上述した従来の制御ボックスにおいては、蓋体が筺体本体に対して回動して装着される。この回動時、上記窓も円弧を描く。従って、上記コネクタと干渉しないようにするためには、余裕をもって形成されていなければならず、必然的に隙間が生じやすい。この隙間から、異物などを挿入して制御基板に保持されているROMを交換してしまうという不正を行うことがあった。
また、同様に制御基板に装着される電子素子などを蓋体が干渉しないようにしておかなければならないので、各部に余裕がなければならず、これも隙間を生じさせ易いという要因となっていた。本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、制御基板を収容する制御ボックスに生じる外部と連通する隙間をできるだけ少なくさせることが可能な制御ボックスを採用した遊技機の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、筺体本体の開口部を蓋体にて閉鎖して形成される制御ボックスで制御基板を収容する遊技機であって、上記筺体本体は、上記遊技機に固定可能に支持され、上記蓋体は、同筺体本体に対して装着可能であるとともに、上記制御基板を当該蓋体の側にて支持可能に構成してある。上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、蓋体が予め制御基板を支持しており、蓋体を筺体本体に装着する際の移動時に蓋体と制御基板との干渉は生じない。このため、制御基板を収容するにあたって必要であった隙間を小さくできる。
本発明は、上記の構成に限られるものではなく、以下の手段も含むものである。
手段1上記蓋体には、その内周壁面から上記制御基板上における所定の素子の周囲に向けて隔壁を延設し、当該隔壁と制御基板と内周壁面とで同素子を取り囲むように構成しても良い。上記のように構成した発明において、制御基板上の所定の素子は隔壁にて取り囲まれるため、外部から到達しにくくなる。
手段2また、この場合、上記隔壁は必ずしも蓋体と一体構造である必要はなく、別体で形成するようにしてもよい。
このように構成した場合、制御基板上での素子の配置位置が変わった場合でも、別体として形成されている隔壁は任意の位置に移動可能であるため、従前の蓋体をそのまま利用できる。
手段3上記蓋体には、上記制御基板におけるケーブルの導出部に対面して窓を有するとともに、同導出部の周囲に向けて上記窓の開口部から隔壁を延設し、当該隔壁の先端が上記制御基板に略当接するように構成しても良い。
制御基板におけるケーブルの導出部は必ず外部に連通する必要がある部位ではある。しかし、上記のように構成した発明において、窓の開口部から延設した隔壁の先端が制御基板におけるケーブル導出部位の周縁に略当接するのであるから、隙間は生じない。また、予め制御基板が蓋体に収容される状況にあるので、蓋体の移動時における干渉も無いので、余裕を設けておく必要もない。
手段4この場合において、上記隔壁は必ずしも蓋体と一体構造である必要はなく、上記蓋体には開口部を形成するとともに、当該蓋体と別体で上記開口部を塞ぎつつ上記ケーブルの導出位置に対応する窓を形成してもよい。
このように構成した場合も、制御基板上でのケーブル導出位置が変化したときに、別体として形成される隔壁についてのみ上記窓の位置だけを変更して作り直せばよく、従前の蓋体をそのまま利用できる。
手段5上記制御ボックスには、上記蓋体を上記筺体本体に対して封止させる筺体封止構造を採用してもよい。
手段6筺体本体と蓋体との開閉方法は各種の構造を採用可能であり、その一例として、上記蓋体は上記筺体本体に対してスライドして装着され、当該蓋体のスライド方向前方側と上記筺体本体の対面部位に上記筺体封止構造が形成される構成としても良い。
手段7スライドしたときに対面する態様は、スライド方向に互いに待ち受けて対面するものでもよい。上記のように構成した発明においては、上記蓋体がスライドして装着されていき、装着完了時に上記蓋体のスライド方向前方側に備えられている筺体封止構造の一部と筺体の側で対面部位にて待ち受けていた筺体封止構造の一部とによって制御ボックスは閉鎖される。
手段8待ち受けて対面する場合は、対面時に筺体封止構造の一方が他方に挿入され、被覆されるようにしてもよい。
これにより、筺体封止構造の一方を外界から隔離させることができ、不正を行いにくくなる。
手段9さらに、上記筺体封止構造の一部が上記筺体に対して上記筺体本体の内側に入るように形成された構成としてもよい。上記のように構成した発明においては、不正を加えるためには筺体を開けなければならなくなり、実質的には封止に対して不正を加えることが不可能となる。
手段10スライドしたときに対面する他の態様は、互いにスライド面に沿って配置され、スライドされるにつれて重なり合い、最終的に対面するものでもよい。
手段11このようにしつつ、筺体封止構造の一部がスライド面を横切った状態で停止して筺体本体と蓋体とを閉鎖するようにしても良い。このようにした場合、筺体本体と蓋体とをスライドさせて開こうとうするのに対する抗力はスライド面を横切る部材の破断力になるため、スライドして開口させるのを確実に防止できる。
手段12蓋体と筺体本体とをスライドして装着する場合、略矩形形状とした蓋体の開口端における平行な両縁部を同開口面に沿って平行に鍔状に形成しつつ、筺体本体の側には同鍔状部分が進入してスライド移動可能に支持する断面コの字形のガイド部を形成した構成としても良い。
このようにした場合、制御基板が収容される蓋体の縁部を筺体本体の側のガイド部が包み込むように囲うため、外部からの進入経路を複雑に屈曲させ、異物などの挿入をほぼ完全に塞ぐことができる。
手段13また、上記蓋体の開口端におけるスライド方向後端の縁部はスライド方向に向かって開口する断面コの字形の溝状に形成し、上記筺体本体の側には同蓋体のスライド移動に伴って同溝内部に進入する板状に形成しても良い。
このようにした場合、蓋体と筺体本体とがスライドして装着されるとき、筺体本体の側の板状部分が溝状部分に入り込み、外部からの進入経路を複雑に屈曲させ、異物などの挿入をほぼ完全に塞ぐことができる。
手段14むろん、スライドして装着する場合、矩形形状とした蓋体の開口端における三方を鍔状に形成しつつ、筺体本体の側には三方の同鍔状部分が進入可能な断面コの字形のガイド部を形成した構成としても良い。
また、残りの一方については、筺体本体の側を板状とし、蓋体の側を溝状に形成すれば四方からの進入経路を全て複雑に屈曲させて異物の進入を防止できる。
手段15このような筺体封止構造を採用すると、一度封止したら二度と空けられなくなる。また、無理して空けることによって筺体自体に過度な力を掛けてしまって損傷させるおそれもある。このような不具合を解消するため、当該筺体封止構造は、上記筺体本体か蓋体のいずれかに対して分離可能とするように破断可能な連結材にて連結した構成としてもよい。
上記のように構成した発明においては、上記筺体封止構造が破断可能な連結材にて上記筺体本体か蓋体のいずれかに対して連結されている。このため、同連結材を破断させることにより、筺体本体と蓋体は開口できるようになる。このような連結材は、例えば板状に形成しても良いし、棒状に形成してもよく、各種の形状とすることができる。むろん、一定の場所で折れやすくするために溝を切り欠いたりしてもよい。
手段16また、このような破断可能な連結材で連結させる場合の一例として、上記連結材を介して複数個の筺体封止構造が横並びに配置された構成としてもよい。上記のように構成した発明においては、連結材を破断することで筺体本体と蓋体とが再度開閉可能となることを前提として、複数個の筺体封止構造が連結材を介して横並びに配置されているので、正面から見たときに破断状況を確認しやすい。
手段17ここで、用途によっては開閉の頻度が異なる場合がある。このような場合に好適な一例として、上記複数個の筺体封止構造は、上記連結材の数が相違する構成としてある。例えば、開閉することは基本的にあり得ないことを前提とするものでは、最初の封止が最も不正に空けられにくくしておくと不正を行いにくくなる。従って、このようなものでは、最初に封止される筺体封止構造を連結する連結材の数を多くしておけばよい。また、検査工程などを経るときに必ず二回は封止を開くというのであれば、三回目の封止に利用する筺体封止構造を連結する連結材の数を多くしておけばよい。なお、この場合の連結材の数は、封止を解く際に破断を要する数であり、順次、破断していくときに既に破断されている壁材の数を含めないようして数えている。
手段18ところで、スライド面を横切る部材は、例えば、金属片のようなものを利用できる。この場合、筺体本体の側に金属片の抜け止めをはかるバネ片などを配置しておき、蓋体と筺体本体とを正規位置にスライドさせたら、蓋体に形成した貫通孔などから同バネ片が保持されている部位に向けて金属片を挿入していく構成とすることができる。金属片の一部が蓋体を貫通した状態で筺体本体に保持されると、上述したように蓋体と筺体本体とを相対的にスライドさせることができず、不正を防止できる。 このような金属片やバネ片も手段17に示すように、複数設けることが可能である。このとき、予備の金属片も予め制御ボックス内に保持してあれば便利である。制御ボックス内で予備の金属片を保持しておく一例として、上記金属片とバネ片とを隠すような位置関係となるようにすることが可能である。
たとえば、上記連結材を介して複数の筺体封止構造が横並びに形成されているとすると、並び方向の外側位置に保持位置を形成し、複数の筺体封止構造の両側から挟み込むようにする。 このようにすれば、封止中の金属片とバネ片の係合状態を解除するために制御ボックスに対して穴を空けるといった不正を行いにくくなる。むろん、そのような位置関係は両側に限られるものではなく、制御ボックスの形状や金属片とバネ片との係合状態に応じて適宜変化させればよい。
手段19また、この制御ボックスは、各種の遊技機に適用可能であり、遊技機の一例として、パチンコ機に適用し、当該制御ボックスが、同パチンコ機の背面側から視認できる位置に配置する構成とする。パチンコ機は、営業時間中を含めて頻繁に開いてその背面側が目に触れるものである。このため、同制御ボックスが背面側から視認できる位置にあることによって不正を防止できる。パチンコ機のような遊技機では、ゲーム内容に対応する遊技プログラムを記録したICが制御ボックスに収容され、当該ICの内容を書き換える不正が行われる可能性がある。このため、同制御ボックスに上記筺体封止構造を適用することにより、不正を未然に防ぐことができる。
手段20また、上記遊技機はスロットマシンであり、上記制御ボックスは同スロットマシンの内部あるいは背面側に配置され、同スロットマシンを開いたときに同制御ボックスを容易に視認できる位置に配置した構成とする。スロットマシンも、営業時間中を含めて頻繁に開いてその背面側が目に触れるものである。このため、同制御ボックスが背面側から視認できる位置にあることによって不正を防止できる。
手段21また、上記遊技機はパチロットであり、この制御ボックスは同パチロットの内部あるいは背面側に配置され、同パチロットを開いたときに同制御ボックスを容易に視認できる位置に配置した構成とする。パチロットは、メダルの代わりに一定数のパチンコ球を使用して絵合わせを行うパチンコ機とスロットマシンの両方の特徴を備えた遊技機である。このようなパチロットも、営業時間中を含めて頻繁に開いてその背面側が目に触れるものである。このため、同筺体封止構造が背面側から視認できる位置にあることによって不正を防止できる。
以上説明したように本発明は、制御基板を収容するにあたって必要であった隙間を小さくし、不正を行いにくくすることが可能な制御ボックスを備えた遊技機を提供することができる。また、手段1にかかる発明によれば、不正などの対象となり易い所定の素子の周囲に向けて隔壁を延設することにより、外部からの異物を到達させにくくし、不正を防止できる。さらに、手段2にかかる発明によれば、制御基板上での素子の配置位置が変わった場合でも、従前の蓋体をそのまま利用できる。
さらに、手段3にかかる発明によれば、隙間が生ぜざるを得なかったケーブルの導出部の周囲に向けて窓の開口部から隔壁を延設したため、異物を挿入する隙間を無くし、不正を防止できる。さらに、手段4にかかる発明によれば、制御基板上でのケーブル導出位置が変化したときに、別体として形成される隔壁についてのみ上記窓の位置だけを変更して作り直せばよく、従前の蓋体をそのまま利用できる。
さらに、手段5にかかる発明によれば、筺体封止構造により、制御ボックスに対する不正をより効果的に防止できる。さらに、手段6にかかる発明によれば、蓋体の側に予め制御基板を収容することにより、隙間を生じさせることなくスライドして装着させることができる。さらに、手段7にかかる発明によれば、スライド方向に沿って対面するように待ち受ける筺体封止構造を提供できる。さらに、手段8にかかる発明によれば、対面時に筺体封止構造の一方が他方に挿入されるので、外部から隔離せしめて不正を防止できる。
さらに、手段9にかかる発明によれば、筺体封止構造の一部が筺体本体の内側に入り込むので、外部から隔離せしめて不正を防止できる。さらに、手段10にかかる発明によれば、スライドされるにつれて重なり合い、最終的に対面する態様とすることができる。さらに、手段11にかかる発明によれば、スライド面を横切った状態で停止する部材によってスライドを禁止するので、無理に開けることはほぼ困難とすることができる。
さらに、手段12にかかる発明によれば、鍔状と断面コの字形のガイド部とを組み合わせることにより、蓋体と筺体本体との接合部分での隙間を複雑な形状とし、異物を挿入させにくくできる。さらに、手段13にかかる発明によれば、スライド方向の後端の縁部においても断面コの字形の溝状部分と板状部分とを組み合わせ、蓋体と筺体本体との接合部分での隙間を複雑な形状とし、異物を挿入させにくくできる。
さらに、手段14にかかる発明によれば、スライド方向前方側についても同様に隙間を複雑な形状として異物を挿入させにくくできる。さらに、手段15にかかる発明によれば、破断可能な連結材を用いて封止後も開くことができるようになる。さらに、手段16にかかる発明によれば、複数回の開閉が可能となる。さらに、手段17にかかる発明によれば、開閉の必要性に応じて連結材の数を調整することができる。
さらに、手段18にかかる発明によれば、筺体封止構造を予備の金属片などで隠すように配置ことにより、不正に対する防御ができ、不正を行いにくくすることができる。さらに、手段19にかかる発明によれば、パチンコ機の遊技領域における背面側から視認でき、営業時間中を含めて頻繁に開かれるので目に触れ易く、早期に発見して不正に基づく損失を最小限とすることができるし、未然に不正を防止できる。
さらに、手段20にかかる発明によれば、スロットマシンの内部に配置されつつ、同スロットマシンを開いたときに視認できるので、早期に発見して不正に基づく損失を最小限とすることができるし、未然に不正を防止できる。さらに、手段21にかかる発明によれば、パチロットの内部に配置されつつ、同パチロットを開いたときに視認できるので、早期に発見して不正に基づく損失を最小限とすることができるし、未然に不正を防止できる。
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる筺体封止構造を適用した遊技機の制御ボックスを斜視図により示しており、図2は要部を拡大しつつ破断した斜視図により示しており、図3は筺体封止構造を断面図により示している。図において、筺体本体10は略矩形状とした全体形状のうち、相対面する辺に断面コの字形としたレール状のガイド部11,11を有しており、同様に略矩形形状とした蓋体20における相対面する辺に形成した鍔状部24,24を同ガイド部11,11に沿わせるようにしてスライドして装着できるようになっている。
蓋体20の側は、一般的な蓋とは異なり、深みのある形状となっている。そして、当該蓋体20の側にて、遊技機に使用する制御基板30をその部品載置面31の側から内面に対面させつつ、同制御基板30を保持するようにしている。このように、本実施形態では、スライドして脱着される蓋体20の側に制御基板30を保持させる構成としてある。図4は保持状態を断面図により示している。通常、筺体本体に制御基板を保持してあると、蓋体というのは制御基板に対して密着させることができず、どこかに隙間が生じがちである。例えば、ケーブルの引き出し部位に隙間が生じ、この隙間から異物を差し込んで不正を行おうとする可能性がある。
しかしながら、本実施形態では、深みのある形状となっている蓋体20に対して制御基板30をその部品載置面31の側から内面に対面させて収容している。また、蓋体20の内周面から制御基板30上の重要部品であるICソケット32とIC33を取り囲むように遮蔽壁材25を立設させ、同遮蔽壁材25の先端がほぼ制御基板30の表面に当接している。このため、異物にてIC33に到達しうることは不可能となっている。
また、ケーブル34についても、ケーブル34自体は外部に導出させなければならないので制御基板30の表面を外部に露出させなければならない。しかし、開口部位から当該ケーブル34の周囲で制御基板30に当接しうる程度の長さの遮蔽壁材26を形成しておくことにより、隙間が生じない。これにより、異物などを挿入させること自体も不可能になる。なお、この例では、遮蔽壁材25,26を蓋体20の内周面から立設させているが、制御基板30の改変があると蓋体20の形状も変更しなければならなくなる。このため、図14と図15に示す例では、蓋体20を汎用化させたものを示している。
同図において、筺体27はICソケット32とIC33の上方からかぶせることができるように形成されたものであり、被覆状態で制御基板30を蓋体20内に収容したときに、制御基板30の表面から蓋体20の内周天井面までの高さと略一致するようにしてある。このため、筺体27がずれることはないし、外部から異物を進入させようとしてもIC33は同蓋体27に囲まれているので同異物はIC33まで到達できない。
また、蓋体20には大きめの窓29を形成してあり、筺体28は同窓29を塞ぐことが可能な大きめの浅皿状に形成されている。同筺体28にはケーブル34の導出部位に形成されたコネクタ34aと対面する位置に小窓28aを形成してあり、ケーブル34は当該小窓28aを通して外部に導出される。筺体28の高さは筺体27と同様に制御基板30の表面から蓋体20の内周天井面までの高さに略一致するように形成されている。このようにしてあるので、小窓28aから異物を挿入しようとしても、筺体28から蓋体20の内側へは進入することができず、不正を防止できる。
以上のような筺体27,28を使用すれば、IC33の位置やケーブル34のコネクタ34aの位置が変化したときでも移動した位置で筺体27,28を装着すればよいだけであり、蓋体20を新たに作りかえる必要はなくなる。ところで、図1に示すように、筺体本体10における上記ガイド部11,11の挿入端とは反対側の辺には挿入穴形成部12が五つ連結されて形成され、その外側には金属片40の予備を収容する予備収容部13が二つ形成されている。一方、スライドして装着されてくる蓋体20の側には各挿入穴形成部12を覆蓋して対面する位置に上記金属片40を挿入可能なスリットを有する金属片挿入部21が形成され、この金属片挿入部21は周囲の部材に対して比較的破損し易いようにした樹脂壁22a,22bを介して連結されている。なお、挿入穴形成部12には、板バネ50が収容されている。
図3に示すように、金属片40はU型に折り返して二つの足部41a,41bを有する形状となっており、この例では一方の足部41aが長く、他方の足部41bが短く形成されている。長い側の足部41aにおける内側の辺には三つの切り欠き部位41cを形成してあり、各切り欠き部位41cは鋸刃状の突起41dの凹部として形成されている。鋸刃状の突起41dは足部41aを挿入していくときに障害物を乗り越えやすくなる斜面が対面し、足部41aを引き抜こうとするときに障害物に食い込みやすくする方向性となっている。
板バネ50は、短冊状の金属板片を概略L字形に屈曲して形成されている。より詳細には、長片51の部分の先端51aを短片52の部分とは反対方向に鋭角にして折り返してあり、また、長片51の部分の両サイドにて短片の側から切り起こし弾性支持爪51c,51cを形成すると共に、当該長片51の中央部分には長さ方向に沿って三ヶ所をコの字型に切りつつその内部を起こして切り起こし爪51dを形成してある。
弾性支持爪51cは長片51に対して斜めに起こされているが、その先端部分は再度折り曲げて長片51と平行となるように形成してある。切り起こし爪51dは、長片51の先端側に向かう側が起こされており、図3に示すように、金属片40の足部41aを挿入していくときに、上記鋸刃状の突起41dの挿入を妨げないが、足部41aを引き抜こうとするときには先端が切り欠き部位41c内に入り込んで抜け止めを図るようになっている。
この切り起こし爪51dの幅は、金属片40の足部41aとほぼ同等か、それ以下になるようにする。このようにすると、下方から見たときに切り起こし爪51dは金属片40にカバーされ、外部から異物を挿入して切り起こし爪51dを寝かせるとということが困難になる。切り起こし爪51dを切り起こす方向については、制御ボックスの内部に向けている。このようにすれば、切り起こし爪51dを寝かせようとするためには制御ボックスの内側から穴を開けなければならず、制御ボックスが開いていて初めて実現できるので、不正行為を防止できることになる。
なお、短片52の先端52aは長片51の先端51aと同方向に折り返してある。このように短片52の先端52aを折り返すことにより、後述するように壁材12cの反対面に引っかかり、板バネ50を図3にて下方に引き抜こうとする不正行為に対向することができる。挿入穴形成部12は上記金属片40の足部41a,41bに対応して二つの挿入穴12a,12bが形成されている。長い方の足部41aに対応する挿入穴12aには上記板バネ50の長片51が挿入されるようになっており、さらに最奥部には長片51の先端51aが入り込んで係止可能な凹部12a1を形成してある。
板バネ50を挿入穴12aに挿入していくとき、先端51aが凹部12a1に入り込んで抜け止めが図られると共に、上記弾性支持爪51cは挿入穴12aの壁面に当接して長片51がやや浮いた状態で支持される。ここで、短片52は挿入穴12a内には入らず、挿入穴12aと挿入穴12bの間に形成される壁材12cに当接し、さらに、短片52における折り返した先端52aが挿入穴12bの側に入り込む。従って、長片51は短片52と接続する根本の側で壁材12cにて移動を規制されつつ、中間の部位では弾性支持爪51cによって上記壁材12cから離れる側に付勢され、先端51aが凹部12a1内にしっかりと入り込んで抜けないように保持されることになる。
筺体本体10の挿入穴形成部12に対応する蓋体20の金属片挿入部21は板状の金属片40を挿入できるようにスリット状の開口21a1を有する平たい筒状の本体部分21aを有しており、この本体部分21aはその長手方向の一端で蓋体20と樹脂壁22aを介してに連結されている。樹脂壁22aは他の部位の壁部よりもやや薄目に形成されており、この部位で比較的容易に破壊できるようになっている。また、本体部分21a同士を横並び方向に連結する樹脂壁22bは全体的には幅広に形成されているが、中央には一端から切り欠き22b1を形成しており、実質的には短い幅でのみ連結されている。従って、この部位で比較的容易に破壊できるようになっている。なお、スリット状の開口21a1内には二股とした金属片40の足部41a,41bがそれぞれ挿入可能な開口を形成するための架橋部21bが形成されている。
五つの挿入穴形成部12を挟むようにその外側には金属片40の予備を収容する予備収容部13が二つ形成されており、それぞれに金属片40を2つずつ、合計4つの予備を入れることができる。予備収容部13は上方に開口を有しており、金属片40を上方から挿入可能である。また、蓋体20の側には、筺体本体10に対してスライドして装着されるときに同予備収容部13の上方を覆蓋する位置に予備収容部用蓋部23が形成されている。
上記構成において、予め上記挿入穴形成部12に対して上記板バネ50を挿入しておく。板バネ50の長片51が挿入穴12aの奥まで挿入された状態では折り返した先端51aが凹部12a1内に入り込み、当該板バネ50が抜け出ることを防止する。また、短片52は壁材12cに当接しつつその折り返した先端52aが反対側の挿入穴12bに入り込むようにして引っかかる。このとき、途中に形成した弾性支持爪51cは当該板バネ50を壁材12cから微少距離だけ浮かせて支持することになる。なお、板バネ50は五つの各挿入穴形成部12内に装着しておき、予備収容部13内にはそれぞれ二つずつの金属片40を挿入しておく。以上で筺体本体10の側の準備は完了する。
蓋体20の側では、遊技機に使用する制御基板30をその部品載置面31の側から内面に対面させ、同制御基板30を蓋体20内部に保持させる。そして、鍔状部24,24を筺体本体10のガイド部11,11に沿わせるようにしてスライドして装着する。蓋体20と筺体本体10とが対応する位置関係になると、上記金属片挿入部21と挿入穴形成部12とが重なり合うことになる。そこで、金属片挿入部21におけるスリット状の開口21a1に金属片40を挿入していくと、両足部41a,41bが架橋部21bを挟み込むようにしてそれぞれ挿入穴形成部12の挿入穴12a,12b内に入っていく。足部41aが挿入穴12a内に進入していくときに、切り起こし爪51dが干渉するが、切り起こし爪51dの起こされている傾斜と足部41aに形成されている鋸刃状の突起41dの傾斜面とが互いに乗り過ごせる方向になっており、足部41aは挿入穴12a内の所定位置まで挿入できる。むろん、挿入後は両者が食い込むように対面するので、抜け止めを図ることができる。そして、板バネ50自体は先端51aにて挿入穴12aの奥の凹部12a1内に入り込んで保持されているため、金属片40が挿入穴形成部12から抜け出ることはできなくなる。
足部41aが挿入穴12a内に挿入されるのに伴って足部41bも挿入穴12b内に挿入され、この状態でU型の金属片40は両足部41a,41bの先端を挿入穴形成部12にて固定される。そして、金属片40の折り返される部分は蓋体20の金属片挿入部21の開口21a1内で架橋部21bを挟み込みつつ止まっているので、蓋体20をスライドさせることもできなくなり、結果として蓋体20と筺体本体10とは封止されることになる。
この後、封止を解除して制御ボックスを開ける必要が生じたときには、樹脂壁22aと樹脂壁22bとを破壊する。U型とした金属片40が挿入されている金属片挿入部21は架橋部21bで挿入穴形成部12の上に押さえつけられているので、蓋体20を筺体本体10からスライドさせると、一度封止された部分の金属片挿入部21だけが筺体本体10上に残ったまま、蓋体20は筺体本体10から離れることができる。
上述した例では、筺体本体10と蓋体20とを封止する筺体封止構造が蓋体20におけるスライド方向の前方側に備えられているが、スライド方向の後端側に装着することも可能である。また、筺体本体10と蓋体20とが装着されるときに外部から異物を挿入できにくくするために、鍔状部分と断面コの字形の溝状部分とを合体させると良い。上述した例では鍔状部24とガイド部11とで実現している。図5は他の変形例にかかる制御ボックスを概略的に示したものであり、蓋体20の側には挿入方向前方側と両側部の三方に鍔状部24を形成しつつ、筺体本体10の側にもこの三方に対面してガイド部11を形成している。また、蓋体20の側における挿入方向後方側の縁部にはガイド部11のような断面コの字形で開口部を挿入方向前方側に対面させた壁部24aを形成している。
このように構成した場合、筺体本体10と蓋体20とを装着するときに、同壁部24aは筺体本体10における残りの一方の縁部を挟み込んで停止する。従って、この縁部においても鍔状部24とガイド部11と同様に入り組んだ断面構造となり、異物を挿入するということが不可能となる。この概略図では敢えて筺体封止構造を省略して示しているが、むろん装着することも可能である。上述した筺体封止構造は、スライドしていくにつれて徐々に重なり合い、筺体本体10と蓋体20とが完全に装着された状態で正規位置となって対面している。しかしながら、スライドする筺体本体10と蓋体20とを封止せしめる筺体封止構造はこれに限るものではなく、例えば、スライド方向に沿って互いに対面しているものとすることもできる。
図6〜図8はスライド方向に沿って互いに対面している筺体封止構造を示している。図6に示すように、筺体本体10における上記ガイド部111,111の挿入端とは反対側の辺には複数の操作子保持部112が破断可能な板状壁材(連結材)113にて連結されて形成されている。操作子保持部112はスライドして装着されてくる蓋体20に対面するように立設して形成されており、同蓋体20と対面する反対面に凹部112aを開口して形成してある。
凹部112aの奥壁には互いに平行なスリット(貫通穴)112a1,112a1を形成してあり、二つのスリット112a1,112a1で挟まれる部分112a2は、図7に示すように略台形となっている。また、凹部112aの内周面は奥方へ向かうほど開口径が狭まるようなテーパー形状となっている。そして、凹部112aと反対の面には上記スリット112a1,112a1の開口部の外側から蓋体20の側に向かって板状の壁部112b,112bが立設されている。
樹脂製操作子140は上記凹部112a内に挿入できる大きさの略皿状に透明の樹脂にて形成されており、周囲の壁面は凹部112aの内周壁面のテーパー形状に沿うように前方へ向かうほど徐々に幅狭となる傾斜面となっている。皿状とした内側には断面U字形に屈曲した金属製係合片150が保持されている。同金属製係合片150は帯状の板材を断面U字形に屈曲させるとともに両端を内側に鋭角に折り返して形成されている。また、U字形に折り返した部分を樹脂製操作子140の凹み部分に挿入した状態で、抜け止めの樹脂片141を挿入して接着固定してある。
当初、樹脂製操作子140は金属製係合片150を保持した状態で操作子保持部112の凹部112a内に挿入されている。このとき、折り返し端151,151は上記スリット112a1,112a1を通過するときに撓めて押し込められることになり、一旦、通過すると折り返し端151,151がスリット112a1,112a1の間の部分112a2に引っかかるので抜け出なくなる。この状態を図7にて二点鎖線で示しており、この状態では樹脂製操作子140は凹部112aの最奥まで押し込まれておらず、残りの押し操作代が確保されている。
一方、蓋体20の側には上記操作子保持部112に対面するように固定受け構造121が形成されている。固定受け構造121の側にも上記スリット112a1,112a1に対面するようにスリット121a1,121a1が形成されているが、このスリット121a1,121a1の開口は広くなっており、操作子保持部112の側から立設されている板状の壁部112b,112bも当該スリット121a1,121a1内に挿入できるようになっている。従って、壁部112b,112bがスリット121a1,121a1内に挿入された時点では実質的に上記スリット112a1,112a1と同等の開口幅となる。
固定受け構造121の側でもスリット121a1,121a1の間には断面台形形状の被係合部121bが形成されている。被係合部121bには操作子保持部112に対面する側で開口を大きくし、反対の側で開口を狭めるようにテーパー状の傾斜面121b1,121b1を形成してある。また、操作子保持部112に対面する側と反対の側の面には凹部121b2を形成してある。上記傾斜面121b1,121b1は金属製係合片150における折り返し端151,151を挿入しやすくするために形成され、凹部121b2はスリット121a1,121a1を通過した折り返し端151,151の先端が入り込んで食い込んで抜けにくくするために形成されている。
図8は上記蓋体20を上記筺体本体10に対してスライドして装着し、上記固定受け構造121と上記操作子保持部112とが対面した状態で上記樹脂製操作子140を上記凹部112aの奥方に向けて押し操作して封止した状態を示している。当初、広い開口となっていたスリット121a1,121a1内には、先ず、壁部112b,112bが入り込んで固定受け構造121と操作子保持部112との位置合わせをしつつ、開口を実質的にスリット112a1,112a1と同等とする。そして、樹脂製操作子140を押し込めば金属製係合片150の先端が上記スリット121a1,121a1内に押し込まれていく。このとき、折り返し端151,51は同スリット121a1,121a1を通過するために撓められ、同スリット121a1,121a1を通過したときに再度開く。開いた状態では折り返し端151,151の先端は被係合部121bの裏面に形成した凹部121b2に対面しており、蓋体20を筺体本体10から外すようにスライドさせようとしたときには同折り返し端151,151の先端が同凹部121b2内に入り込み、食い込むような形態となるので抜け出ることはない。
また、壁部112b,112bがスリット121a1,121a1内に入り込み、金属製係合片150を挟むようになっていることにより、同金属製係合片150を囲む壁面を二重にし、外部から不正を加えることを防止する効果もある。押し操作する前は図7にて二点鎖線で示すように、樹脂製操作子140の外周壁面と凹部112aの内周壁面との間には隙間があるが、押し操作後は図7に示すように樹脂製操作子140の外周壁面と凹部112aの内周壁面との間にはほぼ隙間がなくなる。隙間が無くなることにより、外部から樹脂製操作子140を引き抜くことはほぼできなくなり、不正を防止できる。また、最初は隙間があるので、軽く押し込んでいくことができる。
ところで、挿入穴形成部12は横並び方向に対称に形成されており、一見すると各挿入穴形成部12を支持する樹脂壁22a,22bの数は同様であるが、実際の使用時には異なる。例えば、図9に示すように、一番下にある挿入穴形成部12に対する樹脂壁22a,22bを破壊するときには、初めてであるなら○で示すように三つの破損部位となる。しかしながら、下から二つ目の挿入穴形成部12を解除するときには△で示すように破損すべき部位は二ヶ所になる。この差異は、解除のしやすさに影響を与えるので、通常は解除すること自体が殆ど無いのであれば、最初に解除する際に破損すべき樹脂壁22a,22bの数が多いほど不正をしにくくなる。
また、検査の工程を経る前に一度組み付ける必要があるというようなときには必ず一度は解除しなければならないことが明らかである。このため、最初の挿入穴形成部12については樹脂壁22aだけで支持する構成としておき、横並びの間の樹脂壁22bを形成しておかないというようにしても良い。このようにすれば、検査工程の際に一つの樹脂壁22aだけを破損すればよくなるので、解除の手間が低減される。
なお、樹脂壁22a,22bの破損させやすさは、その数だけでなく、厚みによって調整してもよい。むろん、上述した金属片40や板バネ50、および挿入穴形成部12の形状などは様々に変形可能である。なお、図10はパチンコ機を背面図により示しており、本筺体封止構造を適用した制御ボックスが背面側から視認できるように装着されている。パチンコ機60の背面側には矩形箱形の制御ボックス70が装着されている。ここで、同制御ボックス70は長片の一辺に形成した蝶番機構にて蓋体と筺体とが開閉可能になっており、両方の短辺には本筺体封止構造が採用されている。すなわち、蓋体の金属片挿入部21と筺体の挿入穴形成部12はそれぞれ蓋体と筺体の短辺にそれぞれ4対ずつ形成されており、封止可能となっている。むろん、必要に応じて開口させることもできる。図に示すように、パチンコ機60の背面側から直に視認できる位置に配設されているため、メンテナンスのためにパチンコ機60を開いたときには容易に視認できる。従って、制御ボックス70内に手を加えるなどのために金属片挿入部21や挿入穴形成部12を破損させれば、次のメンテナンス時にはすぐに見つかってしまう。
また、図11はスロットマシン(パチスロ)80の背面を示している。同スロットマシン80の背面側にも矩形箱形の制御ボックス90が装着されている。ここで、同制御ボックス90は図示しない蝶番機構にて蓋体と筺体とが開閉可能になっており、両方の短辺には本筺体封止構造が採用されている。すなわち、蓋体の金属片挿入部21と筺体の挿入穴形成部12はそれぞれ蓋体と筺体の短辺にそれぞれ4対ずつ形成されており、封止可能であるし、必要に応じて開口させることもできる。
同図に示すように、スロットマシン80の背面側にも制御ボックス90が装着され、メンテナンスのためにスロットマシン80を開いたときには容易に筺体封止構造を視認できる。従って、制御ボックス90内に手を加えるなどのために金属片挿入部21や挿入穴形成部12を破損させれば、次のメンテナンス時にはすぐに見つかってしまう。図示していないが、パチロットにも同様に適用可能である。パチロットは、メダルの代わりにパチンコ遊技球を利用するものであり、例えば、パチンコ球の5個がメダル1個に相当して遊技を楽しむことができる。
このように、スライドして開閉する筺体本体10と蓋体20とを合体させて制御ボックスを形成するに際し、予め深みのある蓋体20の側に制御基板30を保持せしめ、このように保持した状態で蓋体20を筺体本体10に対してスライドさせて装着する。蓋体20と筺体本体10との接合部分は蓋体20の鍔状部24を筺体本体10のガイド部11がくわえ込むようにしてスライドさせるようになっており、その断面構造は入り組んでいるため、異物を挿入して制御基板30条のIC33に不正を加えるということは困難である。また、蓋体20の内部に形成する遮蔽壁材25,26が制御基板30表面に略接触するように延設されており、隙間などから異物を挿入して不正をしにくくなっている。