JP2008209930A - 反射防止膜およびその製造方法 - Google Patents

反射防止膜およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CRTパネルガラス表面に貼り付けて用いる反射防止膜は、付着強度、反射率特性、電気抵抗、全光線透過率に関する全ての条件を満たすことは困難であり、それらを満たそうとすると、生産性が低下して高価格となっていた。
【解決手段】ベースフィルム11上に順に形成されたSiOx膜21、インジウムスズ酸化膜22、SiO2膜23、インジウムスズ酸化膜24、SiO2膜25を有し、最上層の酸化シリコン膜25の膜厚は、その直下のインジウムスズ酸化膜24の膜厚よりも厚く形成されていてSiOx膜21のxの範囲は0.5〜1.9とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止膜およびその製造方法に関し、詳しくは酸化シリコン膜とインジウムスズ酸化膜とを多層に積層してなる反射防止膜およびその製造方法に関する。
一般に導電膜を有する反射防止膜は、ベースフィルム上に大きな屈折率を有する膜と小さな屈折率を有する膜とを交互に積層して形成さている。小さな屈折率を有する膜には酸化シリコン(以下SiO2 という)膜を用い、大きな屈折率を有しかつ導電性を有する膜にはインジウムスズ酸化(以下、ITOという、ITOはIndium Tin Oxideの略)膜が良く用いられている。例えば、樹脂のベースフィルム上にITO膜、SiO2 膜、ITO膜、SiO2 膜、汚染防止膜の順に積層されたものが用いられている(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、CRT(Cathode Ray Tube)〔例えばブラウン管〕のパネルガラス表面に貼り付けて用いる反射防止膜として必要な特性は以下のようなものである。(a)樹脂ベースフィルムに対する反射防止膜の付着強度として、高温(例えば60℃)かつ高湿(98%)の雰囲気に2時間放置した後の付着強度、温度サイクル履歴が、例えば+70℃(5時間)と−40℃(5時間)とを1サイクルとして5サイクル繰り返した後の付着強度、等が十分に大きいこと。(b)反射率特性(波長450nm〜650nmの光に対する平均反射率)が0.6%以下であり、十分に小さいこと。(c)電気抵抗(電磁遮蔽および帯電防止を目的としている)が500Ω/□以下であること。(d)全光線(波長450nm〜650nmの光)透過率が90%以上の透明性を有すること。以上のような相反する特性を同時に満足させる必要があった。
一般にITO/SiO2 /ITO/SiO2 の積層構成を用いた膜(例えば、特許文献1参照。)では、上記(a)(d)の各項目を同時に満足させることは困難であり、それを満足させようとすると、生産時に高い歩留りを得ることが難しくなり、高価な反射防止膜となっていた。
特開平9−197102号公報
解決しようとする問題点は、反射防止膜の付着強度、反射率特性、電気抵抗、全光線透過率を同時に満足させることが困難な点である。
本発明は、膜構成を工夫して、反射防止膜の付着強度、反射率特性、電気抵抗、全光線透過率を同時に満足させる。
本発明反射防止膜は、ベースフィルム上に順に形成されたSiO x 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜を有し、最上層の酸化シリコン膜の膜厚を、この酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成されていて、前記反射防止膜の波長が450nm以上650nm以下の全光線透過率が90%以上を有し、SiOx 膜のxの範囲を0.5〜1.9とする。
上記反射防止膜では、最上層の酸化シリコン膜の膜厚を、この酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成したことから、インジウムスズ酸化膜による光吸収が小さくなるので、全光線透過率の減少量が小さくなり全光線透過率の許容値(例えば90%以上)を満たせる。またベースフィルムとの界面における反射防止膜の最下層にSiOx 膜を設け、そのSiOx のxの範囲を0.5〜1.9としたことから、反射防止膜の付着強度を確保しながら、全光線透過率の減少量を0.5%〜2.5%程度に保てる。
本発明の反射防止膜の製造方法は、ベースフィルム上にSiO x 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜を順に形成する工程を有し前記SiOx のxの範囲を0.5〜1.9とし、前記SiO 2 膜のうち最上層のSiO 2 の膜厚を、該SiO 2 の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成する。
上記製造方法では、反射防止膜の波長が450nm以上650nm以下での全光線透過率が90%以上を有するように、反射防止膜における最上層の酸化シリコン膜の膜厚を、該酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成することから、インジウムスズ酸化膜による光吸収は少なくなり、その分、全光線透過率の減少量が低減されるので、全光線透過率の許容値を満たす。また光の吸収を測定することによりシリコンの酸化度を制御して酸化シリコン(SiOx )膜を形成すること、ベースフィルムとの付着強度を保つとともに反射防止膜の全光線透過率を所定の値以上に保つことが可能になる。また上記SiOx 膜を形成する前に下地に対してアルミニウム電極を用いたグロー放電処理を行うこと、下地のベースフィルムに対する反射防止膜の付着強度が高められる。また反射防止膜を構成する膜は、デュアルマグネトロン方式のスパッタ装置により形成すること、成膜された膜は酸素の多い層と酸素の少ない層とからなる多層構造になるとともに、各層が薄く形成されることになる。そのため、酸素の多い層と酸素の少ない層との構成が粗い構造のもの、または単一酸素量からなる膜構成のものと比較すると、上記多層構造のものは、応力が分散され、また破壊の伝播に際して各膜の界面において破壊の伝播が妨げられるため、膜全体として破壊が起こり難くなる。一方、膜構成が粗い構造のもの、または単一酸素量からなる膜構成のものは、応力が分散され難く、膜破壊が起こり易くなる。
本発明の反射防止膜によれば、最上層の酸化シリコン膜の膜厚を、この酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成されているので、全光線透過率の減少量を小さくでき全光線透過率の許容値を満たすことができる。またベースフィルムとの界面における反射防止膜の最下層にSiOx 膜を設け、そのSiOx のxの範囲を0.5〜1.9としたので、反射防止膜の付着強度を確保しながら、全光線透過率の減少量を0.5%〜2.5%程度に保つことができる。よって、付着強度、光学反射率、電気抵抗、全反射透過率の全ての条件を満足させることができるため、CRTの高品質化に寄与することができる。
本発明の製造方法によれば、光の吸収を測定することによりシリコンの酸化度を制御して酸化シリコン(SiOx )膜を形成するので、ベースフィルムとの付着強度を保つことができるとともに反射防止膜の全光線透過率を所定の値以上に保つことができる。また最下層の酸化シリコン膜を形成する前に下地に対してアルミニウム電極を用いたグロー放電処理を行うことで、下地のベースフィルムに対する反射防止膜の付着強度を高めることができる。また反射防止膜を構成する膜は、デュアルマグネトロン方式のスパッタ装置により形成することで、成膜された膜は酸素の多い層と酸素の少ない層とからなる多層構造に形成できる。そのため、応力が分散され、破壊の伝播が妨げられるので、膜全体として破壊が起こり難くなる。したがって、付着強度、光学反射率、電気抵抗、全反射透過率の全てを満足させた状態で、反射防止膜を従来の方法に比較して高い歩留りで生産することができる。よって、CRTの高品質化、低価格化に寄与することができる。
本発明の実施形態の一例を、図1の要部断面図によって説明する。
図1に示すように、ベースフィルム11は、例えば188μmの厚さのPETフィルム12上に、例えばポリメチルメタクリレート(以下、PMMという)系材料からなる5μmの厚さのハードコート膜13が形成されているものである。さらにそのハードコート膜13上には、下層から順に、酸化シリコン(SiOx)膜21、インジウムスズ酸化(ITO)膜22、酸化シリコン(SiO2 )膜23、インジウムスズ酸化(ITO)膜24、酸化シリコン(SiO2 )膜25が積層され、このような膜構成によって反射防止膜20が形成されている。以下、膜は上記( )内に示した略記を用いて示す。そして最上層のSiO2 膜25の膜厚t1は、このSiO2 膜25の直下のITO24の膜厚t2よりも厚く形成されているものである。また、上記SiOx 膜21のxの範囲を0.5〜1.9とする。
このように、反射防止膜20は、酸化シリコン膜とインジウムスズ酸化膜とを多層に積層してなるものである。上記反射防止膜20は、例えば、SiOx 膜21の膜厚が3nm±2nm、ITO膜22の膜厚が21nm±3nm、SiO2膜23の膜厚が32nm±3nm、ITO膜24の膜厚が42nm±3nm、SiO2 膜25の膜厚が103nm±3nmに形成されている。なお、ここで示した膜厚は一例であって、上記条件を満足すれば適宜膜厚は変更可能である。
なお、最上層のSiO2 膜25の表面に汚染防止膜をコーティングしてもよい。この汚染防止膜は、例えば、パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化合物を被覆することにより形成する。
次に図示はしないが比較例として、従来の反射防止膜の構成を以下に説明する。この膜構成では、最上層のSiO2 膜をその直下のITO膜の膜厚よりも薄く形成してある。一般的に光学シミュレーションにより0.6%以下の反射率を得るためには、次のような膜構成になる。最下層より、SiOx 膜(5nm±2nm)、ITO膜(15nm±4nm)、SiO2 膜(20nm±4nm)、ITO膜(98nm±7nm)、SiO2 膜(85nm±3nm)となる。なお、()内には膜厚を示す。
上記実施形態で説明した反射防止膜20では、その最上層のSiO2 膜25の直下におけるITO膜24が、比較例のITO膜に比べ1/2以下となっているため、ITO膜による光吸収は少なくなり、その分、全光線透過率の減少量が低減されるので、全光線透過率の規格(例えば90%以上)を満足するためのSiOx 膜21の形成条件は範囲の広いものとなる。またベースフィルム11との界面における反射防止膜20の最下層にSiOx 膜21を設け、そのSiOx 膜21のxの範囲を0.5〜1.9としたことから、反射防止膜20の付着強度を確保しながら、全光線透過率の減少量を0.5%〜2.5%程度に保てる。なお、SiOx 膜21が上記xの範囲外で形成された場合には、付着強度が得られなくなる、全光線透過率が少なくなる等の問題を生じる。またITO膜24を薄く形成しても、反射防止膜20の電気抵抗は、500Ω/□以下となっている。
一方、上記比較例の膜構成では、最上層のSiO2 膜の厚さに比較してその直下のITO膜の膜厚が厚いため、ITO膜の吸収による全光線透過率の減少量が大きく、SiOx 膜の吸収と合わせた場合、製造上において許容できるSiOx膜の吸収量が少なすぎることから、非常に生産性、歩留り等が悪くなり、反射防止膜としては高価なものになる。
また、上記実施形態で説明した反射防止膜20のSiOx 膜21による光吸収を決められた範囲内に保つ場合、シリコンターゲットを用い、かつ酸素(O2 )ガスとアルゴン(Ar)ガスの混合ガス雰囲気を用いた反応性スパッタリングによりSiOx 膜21を形成する。その際に、ガス雰囲気中の酸素ガス量は供給される酸素ガス量のみで決定されるのではなく、スパッタチャンバ内壁よりの脱離ガス、ロールPETフィルムからの放出ガスによっても大きく変動する。特にベースフィルム11を形成するPETフィルム12の表面およびPETフィルム12の内部より放出される水分(H2 O)を原因とする酸素(O2 )成分、またロールPETフィルムの製造条件、およびスパッタ成膜までの保管中の吸湿等による水分(H2 O)を原因とする酸素(O2 )成分が変動するため、SiOx 膜21による光吸収の変動は、製造時に生じ易い。
以上のことにより、ITO膜24による吸収を1/2以下にできる構成、すなわち、最上層のSiO2 膜25の膜厚t1がこのSiO2 膜25の直下のITO膜24の膜厚t2よりも厚く形成されている構成は、ロールPETフィルムからの水分放出がSiOx 膜21の形成に及ぼす変動要因を少なくする点で非常に優れている。上記実施形態の構成では、中間にあるSiO2 膜23、ITO膜22,24の許容膜厚精度は比較例よりも巾は広いが、吸収制御の容易さの点で比較例よりも優れている。
したがって、上記反射防止膜20は、上記説明したように、最上層のSiO2膜25の膜厚t1がこのSiO2 膜25の直下のITO24の膜厚t2よりも厚く形成されていることにより、またSiOx 膜21のxの範囲が0.5〜1.9となっていることにより、付着強度、反射特性、全光線透過率、電気抵抗値等、全てを、高い歩留りを確保した状態で満足できる。
次に上記反射防止膜20の製造方法を以下に説明する。まず、PMM系材料のハードコート膜13が表面に形成されたPET系材料のPETフィルム12からなるベースフィルム11上に反射防止膜20をスパッタリングで形成する。その際に、第1層のSiOx 膜21の光吸収特性を測定しながらその酸化度を調節することによりこのSiOx 膜21を形成する。その酸化度は、例えばSiOx 膜21のxの値の範囲を0.5〜1.9とする。
一般にアクリル等のプラスチックレンズの表面に反射防止膜を形成するときにはプラスチックレンズと反射防止膜との付着強度を大きくするために、SiOx膜を介在させることが知られている。そこで、SiOx 膜の光吸収を測定しながらSiOx 膜21の形成条件を決定することで、付着強度を確保しながら反射防止膜20の全体としての全光線透過率の規格を満たすようにしている。
例えば全光線透過率が90%以上の反射防止膜20を作製する場合、SiOx膜21による全反射透過率の減少量を0.5%〜2.5%程度に保つことにより、付着強度を十分確保しながら反射光学特性も満足させることができる。ここでSiOx 膜21のxは上記説明したように0.5〜1.9の範囲に保つことが必要である。
次に、上記ハードコート膜13を形成したPETフィルム12からなるベースフィルム11と、最下層にSiOx 膜21を形成した上記実施形態で説明した構成を有する反射防止膜20との付着強度をさらに強くして信頼性を増す方法を、図2によって以下に説明する。図2に示すように、その方法は、SiOx 膜を形成する前に、ベースフィルム11のPETフィルム12側にアース電極51を配置し、ハードコート膜13側にマイナス直流電圧を印加する電極52を配置して、上記電極間にグロー放電を起こさせることにより、ハードコート膜13の表面に対しての表面活性化処理を行う。その際に、上記電極52にアルミニウム材料からなる電極を用いる。
一方、比較例として、上記電極52に、鉄、銅、黄銅等の材料を用いて表面処理を行ったところ、上記アルミニウム材料からなる電極により行う表面活性化処理が、反射防止膜20の付着強度を高めるうえで優れていた。
また、上記反射防止膜20をスパッタリングにより形成する際には、デュアルマグネトロン方式のスパッタ方式を用いることにより、各層をより緻密な微細構造のスパッタ膜に形成することが可能になる。それによって、反射防止膜全体としての膜強度を高めることが可能になる。図3の(1)にデュアルマグネトロン方式によるスパッタリングの説明図を示し、図4の(1)にその成膜例の要部断面図を示す。また図3の(2)にシングルマグネトロン方式によるスパッタリングの説明図を示し、図4の(2)にその成膜例の要部断面図を示す。
図3の(1)に示すように、デュアルマグネトロン方式によるスパッタリングでは、例えばSiO2 膜を成膜する場合、ターゲット61,61にシリコンターゲットを用い、スパッタリング雰囲気にアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気を用い、上記ターゲット61,61間に交流を印加してスパッタリングを行う。その際に、ターゲット61,61の直上の領域Aは領域Bに比較して新しい未反応なガスにさらされることが少なくなる。すなわち、領域Aへ行くガスは、領域Bである程度の反応を行った残りのガスであるから、反応ガスが酸素であるSiO2 の場合、酸素の少ないガス雰囲気にさらされることになる。このようなデュアルマグネトロン方式のスパッタリング装置(40kHzの交流を2本のターゲット間に印加する方式のスパッタリング装置)により成膜された膜は、図4の(1)に示すように、ベースフィルム11に形成される酸化シリコン(SiO x 膜は、酸素が少ない層の第1SiO x 71が2層になり、それらを挟む酸素が多い層の第2SiO x 72が3層になる。そしてターゲット数が多くなれば、酸素が少ない層の第1SiO x 71および酸素が多い層の第2SiO x 72は多くなる。
一方、図3の(2)に示すように、シングルマグネトロン方式のスパッタリング(直流電圧を印加する方式のスパッタリング)では、ターゲット63に直流電圧を印加し、スパッタリング雰囲気にアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気を用いてスパッタリングを行う。これにより成膜された膜は、図4の(2)に示すように、ベースフィルム11に形成される酸化シリコン膜は、酸素が少ない層の第1SiO x 71が1層になり、それを挟む酸素が多い層の第2SiO x 72が2層になる。
したがって、上記デュアルマグネトロン方式のスパッタリングにより成膜された膜は、多層、微細構造となり、各微細層の歪みを分散することができる。そのため、全体としての残留応力の分散が行われ、膜は外部応力に対し強くなる。多層構造、微細分散構造が、単一構造および粗構造よりも応力分散や破壊の伝播に際し、構造界面においても伝播障害となり、全体としての破壊が起こり難いことは、金属材料学においても周知である。
ここで、上記デュアルマグネトロン方式のスパッタリング装置の一例を、図5によって説明する。図5に示すように、デュアルマグネトロン方式のスパッタリング装置101は、ロールフィルム繰出室110、スパッタ室120、ロールフィルム巻取室130が連続して設けられている。上記ロールフィルム繰出室110にはベースフィルム11を巻いたベースフィルムロール31が収納されている。また上記スパッタ室120にはローラ121が設置されていて、そのローラ121を矢印ア方向に回転することにより、そのローラ121の表面の一部に上記ロールフィルム繰出室110から矢印イ方向に繰り出されたベースフィルム11を巻き付けて、上記ロールフィルム巻取室130へ向けて矢印ウ方向に送出している。そして上記ローラ121の回動方向の表面にそって、かつ所定の距離をおいて、電極(カソード)122〔前記図3の(1)のターゲット61の一組分に相当〕が複数設置されている。また上記ロールフィルム巻取室130には巻取ローラ131が設置されていて、その巻取ローラ131はスパッタ室120から送出されたベースフィルム11を巻き取る。
上記スパッタリング装置101は、ロールフィルム繰出室110から繰り出されたベースフィルム11をローラ121の表面の一部に巻き付けて、ロールフィルム巻取室130に送出する際に、電極122に交流を印加して、ベースフィルム11にスパッタ成膜を行う。そしてスパッタリング雰囲気を変えることにより、SiOx 膜、SiO2 膜、ITO膜等を成膜して、上記実施形態で説明したような反射防止膜20を形成する。
以下に、上記実施形態で説明したような条件により、反射防止膜を成膜する一例を、実施例として説明する。またあわせて従来の技術により反射防止膜を成膜した一例を比較例として示す。なお、実施例の各構成部品には前記実施形態で説明した構成部品と同様の符号を付与して説明する。
ベースフィルム11には、188μmの厚さのPETフィルム12膜に5μmの厚さのハードコート膜13を形成したものを用いる。そしてこのハードコート膜13上に反射防止膜20を表1のような条件で成膜する。表1においては、実施例の各膜は最下層のSiOx 膜21から順にSiO2 膜25まで記載してある。また同様に比較例の各膜も最下層より順に記載してある。その際のベースフィルム11の走行速度は0.8m/分とする。またスパッタリングにおけるグロー放電条件としては、真空度を0.4Pa、アルゴン(Ar)の流量を50sccm、電圧を500V、パワーを0.1kWに設定してスパッタリングを行った。この実施例では、スパッタリング装置の電極材料にアルミニウムを用い、比較例では、電極材料にステンレス(SUS304)を用いた。
Figure 2008209930
上記実施例および比較例ともに光学反射率は450nm〜650nmの波長領域において0.4%であり、電気抵抗は実施例が250Ω/□、比較例が120Ω/□であった。また全光線透過率は双方ともに90%であった。次に高温高湿条件と+70℃(5時間)と−40℃(5時間)とを1サイクルとして5サイクル繰り返すような温度サイクル後の付着強度を、図6の(1)に示すように、2kgの負荷71をかけたヘッド72をエチルアルコールを湿らせたガーゼ73(例えば4枚重ねのガーゼ)を介して反射防止膜20の表面に押しつけて、10cmの距離を矢印方向に20往復擦る、荷重擦り試験を行った。図6の(2)に示すように、その荷重をかけるヘッド71の先端形状は、平面視円形状(直径23.3mm)〔平面図参照〕でかつ断面楕円形状(長径23.3mm、短径10mm)〔断面図参照〕を成し、実際の接触面72Aの直径がおよそ17mm、接触面積がおよそ2.3cm2 である。その結果、実施例により成膜した反射防止膜の表面傷発生は皆無であったが、比較例では、100サンプル中50サンプルで剥離傷を生じた。そのため、実施例の反射防止膜の歩留りは比較例の反射防止膜の歩留りよりも2倍程度良くなった。
なお、上記説明では、全光線透過率の規格を90%以上とした場合について記載したが、その規格は適宜変更される。しかしながら、本発明により反射防止膜の製造上の許容度が広くなるという原理は何ら変わるものではない。すなわち、全光線透過率は、CRTに反射防止膜を貼り付けて用いる場合、90%以上を必要とする場合の他、CRTパネルガラスに透過率を高めたガラスを用いた場合には反射防止膜の全光線透過率が80%以上程度で良い場合がある。したがって、CRTパネルガラスの透過率に適合した全光線透過率の規格を用いればよい。
また、ハードコート付きPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなるベースフィルム自体の全光線透過率は92%〜94%であるため、反射防止膜全体として90%以上の全光線透過率を得るためには、スパッタ膜による反射防止膜全体としての透過率の減少分に許容されるのは2%〜5%程度である。
本発明の反射防止膜に係わる実施形態の要部断面図である。 表面活性化処理の説明図である。 デュアルマグネトロン方式とシングルマグネトロン方式のスパッタリングの説明図である。 スパッタリング方式に相違による成膜例の要部断面図である。 デュアルマグネトロン方式のスパッタリング装置に係わる一例の概略構成図である。 荷重擦り試験装置の説明図である。
符号の説明
11…ベースフィルム、20…反射防止膜、21…酸化シリコン(SiOx )膜、22,24…インジウムスズ酸化(ITO)膜、23,25…酸化シリコン(SiO2 )膜

Claims (5)

  1. ベースフィルム上に順に形成されたSiO x 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜を有し、
    前記最上層の酸化シリコン膜の膜厚は、該酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成されていて、
    前記反射防止膜の波長が450nm以上650nm以下の全光線透過率が90%以上を有し、
    前記SiO x のxの範囲を0.5〜1.9とする
    反射防止膜。
  2. ベースフィルム上にSiO x 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜、インジウムスズ酸化膜、SiO 2 膜を順に形成する工程を有し
    前記SiOx のxの範囲を0.5〜1.9とし、
    前記最上層の酸化シリコン膜の膜厚を、該酸化シリコン膜の直下のインジウムスズ酸化膜の膜厚よりも厚く形成する
    反射防止膜の製造方法。
  3. 前記SiO x 光吸収を測定することによりシリコンの酸化度を制御する
    請求項3記載の反射防止膜の製造方法。
  4. 前記SiO x 膜を形成する前に、SiO x 膜を形成する下地に対してアルミニウム電極を用いたグロー放電による表面活性化処理を行う
    請求項3記載の反射防止膜の製造方法。
  5. 前記反射防止膜を構成する膜をデュアルマグネトロン方式のスパッタ装置により形成する
    請求項3記載の反射防止膜の製造方法。
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