JP2021077509A - 透明導電性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】タッチパネル等に適用される場合に、透明導電層の形状が視認されにくく、かつ、干渉ムラの生じにくい透明導電性フィルムを提供する。【解決手段】基材と、光学調整層と、透明導電層とをこの順に有し、光学調整層は、第1光学調整層と、第2光学調整層とが積層されており、第2光学調整層は、基材側に位置し、第1光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、1.35〜1.5であり、第2光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、2.0〜2.5であり、50mm四方の領域を9等分した各領域における、ΔEaveは、0.074以下である、透明導電性フィルム。【選択図】図1
Description
本発明は、透明導電性フィルムに関する。より詳細には、本発明は、タッチパネル等に適用される場合に、透明導電層の形状が視認されにくく、かつ、干渉ムラの生じにくい透明導電性フィルムに関する。
従来、カーナビゲーションシステムに採用されているタッチパネル等において、高透過、低反射、視認性向上を目的としたハイエンドモデルが開発されている。図2は、タッチパネルの構成を説明するための模式的な断面図である。ハイエンドモデルのタッチパネルPは、液晶ディスプレイ(LCD)8、光学粘着シート(OCA)9、タッチセンサー10、カバーガラス11、反射防止(AR)フィルム12を主に備える。このようなハイエンドモデルのタッチパネルPは、タッチセンサー10の裏面にOCA9がダイレクトボンディングによって設けられており、かつ、再表面にARフィルム12が設けられることにより、優れた低反射性を実現し、高級感が付与されている。
図3は、従来のタッチセンサー10の構成を説明するための模式的な断面図である。タッチセンサー10は、基材13と、基材13の両面にそれぞれ設けられた第1ハードコート層14および第2ハードコート層15と、光学調整層16と、透明導電層17とを備える。しかしながら、従来のタッチセンサーは、上記低反射性を実現したところ、新たな課題として、透明導電層におけるITO等のパターン形状が外部より視認されたり(いわゆる「骨見え」)、干渉ムラを生じるなどの問題があった。
これに対し、特許文献1には、光学調整層を、屈折率の異なる2層から構成することにより、視認性を向上させた透明導電性フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の透明導電性フィルムは、得られるタッチパネルにおいて、骨見えを充分に改善できていない。また、この透明導電性フィルムは、依然として得られるタッチパネルにおいて干渉ムラを生じていた。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、タッチパネル等に適用される場合に、透明導電層の形状が視認されにくく、かつ、干渉ムラの生じにくい透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、光学調整層として、屈折率の差が大きい2つの光学調整層(第1光学調整層および第2光学調整層)を採用することにより透明導電層側の平均色目差(ΔEave)を小さくすることにより、骨見えの課題を充分に改善しつつ、干渉ムラの発生も防止し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の透明導電性フィルムには、以下の構成が主に含まれる。
(1)基材と、光学調整層と、透明導電層とをこの順に有し、前記光学調整層は、第1光学調整層と、第2光学調整層とが積層されており、前記第2光学調整層は、前記基材側に位置し、前記第1光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、1.35〜1.5であり、前記第2光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、2.0〜2.5であり、50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveは、0.074以下である、透明導電性フィルム。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
このような構成によれば、第1光学調整層および第2光学調整層を含む光学調整層によって、骨見えが充分に改善される。また、透明導電性フィルムは、透明導電層側の平均色目差(ΔEave)が小さくなるよう調整されており、かつ、第1光学調整層および第2光学調整層のそれぞれの屈折率が上記範囲に調整されていることにより、骨見えを抑えつつ、干渉ムラを生じにくい。
(2)前記第1光学調整層の厚みは、15〜35nmであり、前記第2光学調整層の厚みは、4〜15nmである、(1)記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、より骨見えを抑制しやすい。
(3)前記基材と前記光学調整層との間に、第1ハードコート層が設けられている、(1)または(2)記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、透明導電層が保護されるとともに、基材に適度な剛性が付与され得る。
(4)前記第2光学調整層と前記第1ハードコート層との間に、密着層が設けられており、前記密着層は、ケイ素を含む、(3)記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、第2光学調整層と、第1ハードコート層との密着性が向上し、耐薬品性が向上する。
(5)前記密着層の厚みは、0.3〜2.0nmである、(4)記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、優れた透過性を維持しつつ、第2光学調整層と第1ハードコート層との密着性がより向上する。
(6)前記基材は、前記第1ハードコート層が設けられた面と反対側の面に、第2ハードコート層が設けられている、(3)〜(5)のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、基材が保護される。これにより、たとえば透明導電性フィルムに熱が加わった際に、透明導電性フィルムは、基材に含まれるオリゴマー等の析出が防止されやすい。また、透明導電性フィルムは、適度な剛性が付与され得る。
(7)前記透明導電層の厚みは、20〜60nmである、(1)〜(6)のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、タッチパネルに使用された場合において、操作時の抵抗値が安定しやすく、操作しやすい。また、透明導電性フィルムは、骨見えが防がれやすい。
(8)前記透明導電層のシート抵抗値は、90Ω/□以下である、(1)〜(7)のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、大型のタッチパネルに使用された場合において、操作性が低下しにくい。
(9)前記第1光学調整層は、SiOx(1≦x≦2)を含み、前記第2光学調整層は、NbOy(1≦y≦2.5)を含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
このような構成によれば、透明導電性フィルムは、骨見えがより防がれやすい。
本発明によれば、タッチパネル等に適用される場合に、透明導電層の形状が視認されにくく、かつ、干渉ムラの生じにくい透明導電性フィルムを提供することができる。
<透明導電性フィルム>
図1は、本発明の一実施形態の透明導電性フィルムの模式的な断面図である。本実施形態の透明導電性フィルム(以下、フィルム1ともいう)は、基材2と、光学調整層3と、透明導電層4とをこの順に有する。光学調整層3は、第1光学調整層31と、第2光学調整層32とが積層されている。第2光学調整層32は、基材2側に位置する。第1光学調整層31の波長589nmの光に対する屈折率は、1.35〜1.5であり、第2光学調整層32の波長589nmの光に対する屈折率は、2.0〜2.5である。また、フィルム1は、50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveが、0.074以下である。以下、それぞれについて説明する。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
図1は、本発明の一実施形態の透明導電性フィルムの模式的な断面図である。本実施形態の透明導電性フィルム(以下、フィルム1ともいう)は、基材2と、光学調整層3と、透明導電層4とをこの順に有する。光学調整層3は、第1光学調整層31と、第2光学調整層32とが積層されている。第2光学調整層32は、基材2側に位置する。第1光学調整層31の波長589nmの光に対する屈折率は、1.35〜1.5であり、第2光学調整層32の波長589nmの光に対する屈折率は、2.0〜2.5である。また、フィルム1は、50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveが、0.074以下である。以下、それぞれについて説明する。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
(基材2)
基材2は特に限定されない。一例を挙げると、基材2は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、シクロオレフィンポリマー(COP)等からなる。これらの中でも、基材2は、波長589nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7である基材が好ましく、PETであることがより好ましい。なお、本実施形態において、波長589nmの光に対する屈折率は、アッベ屈折計(型番:KPR−30A、(株)島津製作所製)を用いて、温度は、20℃、光線はナトリウムスペクトルのD線を用いることにより測定することができる。
基材2は特に限定されない。一例を挙げると、基材2は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、シクロオレフィンポリマー(COP)等からなる。これらの中でも、基材2は、波長589nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7である基材が好ましく、PETであることがより好ましい。なお、本実施形態において、波長589nmの光に対する屈折率は、アッベ屈折計(型番:KPR−30A、(株)島津製作所製)を用いて、温度は、20℃、光線はナトリウムスペクトルのD線を用いることにより測定することができる。
基材2は、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、所望により基材2上に形成されるハードコート層との密着性を向上させてもよい。また、基材2は、溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、除塵、清浄化されることが好ましい。
基材2の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、基材2の厚みは、25〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。基材2の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、耐擦傷性、耐摩耗性が優れる。
(第1ハードコート層5)
第1ハードコート層5は、基材2と後述する光学調整層3との間に、好適に設けられる。
第1ハードコート層5は、基材2と後述する光学調整層3との間に、好適に設けられる。
第1ハードコート層5は特に限定されない。第1ハードコート層5は、適度な透明性、機械的強度があればよく、特に限定されない。一例を挙げると、第1ハードコート層5は、電離放射線や紫外線の照射によって硬化する硬化樹脂や、熱硬化性樹脂であり、アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、ポリシロキサン樹脂であることが好ましい。
また、第1ハードコート層5は、屈折率を調整することを目的として、ジルコニウム、アンチモン、チタン、アルミニウム、亜鉛、スズ等の金属微粒子又は金属酸化物微粒子が配合されてもよい。金属微粒子又は金属酸化物微粒子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、金属微粒子又は金属酸化物微粒子の含有量は、第1ハードコート層5を構成する樹脂固形分中、20〜40質量%である。これにより、得られる第1ハードコート層5は、基材2との屈折率差が小さくなるよう調整でき、可視光の干渉を低減出来る。
第1ハードコート層5は、波長589nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。
第1ハードコート層5の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第1ハードコート層5の厚みは、0.4〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。第1ハードコート層5の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、基材2が保護されるとともに、適度な剛性が付与され得る。
(第2ハードコート層6)
第2ハードコート層6は、基材2において、第1ハードコート層5が設けられた面と反対側の面に、好適に設けられる。
第2ハードコート層6は、基材2において、第1ハードコート層5が設けられた面と反対側の面に、好適に設けられる。
第2ハードコート層6は特に限定されない。第2ハードコート層6は、適度な透明性、機械的強度があればよく、特に限定されない。一例を挙げると、第2ハードコート層6は、電離放射線や紫外線の照射によって硬化する硬化樹脂や、熱硬化性樹脂であり、アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、ポリシロキサン樹脂であることが好ましい。
第2ハードコート層6は、波長589nmの光に対する屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。
第2ハードコート層6の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第2ハードコート層6の厚みは、0.5〜3.0μmであることが好ましく、1.0〜2.0μmであることがより好ましい。第2ハードコート層6の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、基材2が保護される。これにより、たとえばフィルム1に熱が加わった際に、フィルム1は、基材2に含まれるオリゴマー等の析出が防止されやすい。また、フィルム1は、適度な剛性が付与され得る。
(密着層7)
密着層7は、後述する第2光学調整層32と第1ハードコート層5との間に、好適に設けられる。密着層7は特に限定されない。一例を挙げると、密着層7は、ケイ素を含む。
密着層7は、後述する第2光学調整層32と第1ハードコート層5との間に、好適に設けられる。密着層7は特に限定されない。一例を挙げると、密着層7は、ケイ素を含む。
密着層7の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、密着層7の厚みは、0.3nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましい。また、密着層7の厚みは、2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましい。密着層7の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、優れた透過性を維持しつつ、第2光学調整層32と第1ハードコート層5との密着性がより向上する。
(光学調整層3)
本実施形態のフィルム1は、第1光学調整層31(低屈折率層)および第2光学調整層32(高屈折率層)が積層された光学調整層3を備える。
本実施形態のフィルム1は、第1光学調整層31(低屈折率層)および第2光学調整層32(高屈折率層)が積層された光学調整層3を備える。
・第2光学調整層32
第2光学調整層32は、光学調整層3のうち、基材2側に位置する層である。本実施形態では、第2光学調整層32は、密着層7上に形成されている。第2光学調整層は、波長589nmの光に対する屈折率が2.0〜2.5であり、後述する第1光学調整層31の屈折率よりも大きい。
第2光学調整層32は、光学調整層3のうち、基材2側に位置する層である。本実施形態では、第2光学調整層32は、密着層7上に形成されている。第2光学調整層は、波長589nmの光に対する屈折率が2.0〜2.5であり、後述する第1光学調整層31の屈折率よりも大きい。
第2光学調整層32は、波長589nmの光に対する屈折率が、2.0以上であればよい。また、第2光学調整層32は、波長589nmの光に対する屈折率が、2.5以下であればよい。第2光学調整層32の屈折率が2.0未満である場合、後述する第1光学調整層31との屈折率差が小さくなり、骨見えに対する改善効果が得られにくくなる。一方、第2光学調整層32の屈折率が2.5を超える場合、フィルム1は、第1光学調整層31との屈折率差が大きくなりすぎ、設計の許容範囲が狭くなりやすい。
第2光学調整層32は、特に限定されない。一例を挙げると、第2光学調整層32は、上記屈折率の範囲に含まれる金属酸化物等である。具体的には、第2光学調整層32は、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.5)、酸化ニオブ(NbOy(1≦y≦2.5))、酸化セレン(Ce2O2、屈折率:2.4)、酸化タンタル(Ta2O5、屈折率:2.3)、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.1)等である。これらの中でも、第2光学調整層32は、得られるフィルム1において、骨見えがより防がれやすい点から、酸化ニオブ(NbOy(1≦y≦2.5))であることが好ましく、五酸化二ニオブ(Nb2O5、屈折率:2.3)であることがより好ましい。
第2光学調整層32の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第2光学調整層32の厚みは、4nm以上であることが好ましく、6nm以上であることがより好ましい。また、第2光学調整層32の厚みは、15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましい。第2光学調整層32の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、骨見えに対する改善効果が得られやすい。
・第1光学調整層31
第1光学調整層31は、第2光学調整層32上に形成されている。第1光学調整層は、波長589nmの光に対する屈折率が1.35〜1.5であり、上記した第2光学調整層32の屈折率よりも小さい。
第1光学調整層31は、第2光学調整層32上に形成されている。第1光学調整層は、波長589nmの光に対する屈折率が1.35〜1.5であり、上記した第2光学調整層32の屈折率よりも小さい。
第1光学調整層31は、波長589nmの光に対する屈折率が、1.35以上であればよく、1.4以上であることが好ましい。また、第1光学調整層31は、波長589nmの光に対する屈折率が、1.5以下であればよい。第1光学調整層31の屈折率が1.35未満である場合、フィルム1は、第2光学調整層32との屈折率差が大きくなりすぎ、設計の許容範囲が狭くなりやすい。一方、第1光学調整層31の屈折率が1.5を超える場合、第2光学調整層32との屈折率差が小さくなり、骨見えに対する改善効果が得られにくくなる。
第1光学調整層31は、特に限定されない。一例を挙げると、第1光学調整層31は、上記屈折率の範囲に含まれる金属酸化物等である。具体的には、第1光学調整層31は、酸化ケイ素(SiOx(1≦x≦2)、屈折率:1.46)、フッ化マグネシウム(MgF2、屈折率:1.38)等である。これらの中でも、第1光学調整層31は、得られるフィルム1において、骨見えがより防がれやすい点から、酸化ケイ素(SiOx(1≦x≦2))であることが好ましく、二酸化ケイ素(SiO2、屈折率:1.46)であことがより好ましい。
第1光学調整層31の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第1光学調整層31の厚みは、15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、第1光学調整層31の厚みは、35nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。第1光学調整層31の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、骨見えに対する改善効果が得られやすい。
(透明導電層4)
透明導電層4は、第1光学調整層31上に設けられる。
透明導電層4は、第1光学調整層31上に設けられる。
透明導電層4は特に限定されない。一例を挙げると、透明導電層4は、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンなどの金属の金属酸化物である。これらの中でも、透明導電層4は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等のような酸化亜鉛系材料が好ましく、結晶化タイプのITOがより好ましい。
透明導電層4の、波長589nmの光に対する屈折率は特に限定されない。一例を挙げると、透明導電層4の屈折率は、1.8〜2.2であることがより好ましい。これにより、透明導電層4がパターン化された場合において、パターン部とパターン開口部との反射率差を抑制することができ、かつ、両者の色相の差を抑制することができる。
透明導電層4のシート抵抗値は、90Ω/□以下であることが好ましく、70Ω/□以下であることがより好ましい。また、透明導電層4のシート抵抗値は、40Ω/□以上であることが好ましく、50Ω/□以上であることがより好ましい。シート抵抗値が上記範囲内であることにより、フィルム1は、大型のタッチパネルに使用される場合であっても、操作性が低下しにくい。なお、本実施形態において、シート抵抗値は、低抵抗率計(ロレスタAX MCP−T370、(株)三菱ケミカルアナリテック製)を用いて、4端子4探針法で定電流印加方式により測定することができる。
透明導電層4の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、透明導電層4の厚みは、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。また、透明導電層4の厚みは、60nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。透明導電層4の厚みが上記範囲内であることにより、フィルム1は、タッチパネルに使用された場合において、操作時の抵抗値が安定しやすく、操作しやすい。また、フィルム1は、透明性を維持しつつ、骨見えが防がれやすい。
フィルム1全体の説明に戻り、本実施形態のフィルム1は、50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveは、0.074以下であればよく、0.036以下であることが好ましく、0.020以下であることがより好ましい。本実施形態のフィルム1は、ΔEaveが上記範囲内であることにより、得られるタッチパネルにおいて、骨見えの改善効果が維持されつつ、干渉ムラが抑制される。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
具体的には、平均色目差(ΔEave)は、黒テープ等で裏面反射を無くした透明導電性フィルム1のサンプル(寸法:5cm四方)を準備し、縦横3×3の9点の正方形の領域における反射波形を測定する。それぞれの反射波形から、各測定点間の色目差を計算し(合計36か所)、上記式に従ってΔEaveを算出する。L*、a*、b*は、たとえば、大塚電子(株)製の反射分光厚み計(FE−3000)を用いて、波長400〜700nmにおける可視光線に関して、1nm間隔で絶対反射率を測定することにより算出し得る。
以上、本実施形態のフィルム1は、第1光学調整層31および第2光学調整層32を含む光学調整層3によって、得られるタッチパネルにおける骨見えが充分に改善される。また、フィルム1は、透明導電層4側の平均色目差(ΔEave)が小さくなるよう調整されており、かつ、第1光学調整層31および第2光学調整層32のそれぞれの屈折率が上記範囲に調整されていることにより、骨見えを抑えつつ、干渉ムラを生じにくい。
<透明導電性フィルムおよびタッチパネルの製造方法>
上記した透明導電性フィルムの製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、フィルムは、基材の一方の面に第1ハードコート層を形成する第1ハードコート層形成工程と、基材の他方の面に第2ハードコート層を形成する第2ハードコート層形成工程と、第1ハードコート層上に密着層を形成する密着層形成工程と、密着層上に第2光学調整層を形成する第2光学調整層形成工程と、第2光学調整層上に第1光学調整層を形成する第1光学調整層形成工程と、第1光学調整層上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程とを主に含む。なお、上記各層のうち、好適に設けられる層(たとえば第1ハードコート層、第2ハードコート層、密着層)は、適宜省略されてもよい。その場合、これらの層を設ける工程は適宜省略され得る。以下、それぞれの工程について説明する。
上記した透明導電性フィルムの製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、フィルムは、基材の一方の面に第1ハードコート層を形成する第1ハードコート層形成工程と、基材の他方の面に第2ハードコート層を形成する第2ハードコート層形成工程と、第1ハードコート層上に密着層を形成する密着層形成工程と、密着層上に第2光学調整層を形成する第2光学調整層形成工程と、第2光学調整層上に第1光学調整層を形成する第1光学調整層形成工程と、第1光学調整層上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程とを主に含む。なお、上記各層のうち、好適に設けられる層(たとえば第1ハードコート層、第2ハードコート層、密着層)は、適宜省略されてもよい。その場合、これらの層を設ける工程は適宜省略され得る。以下、それぞれの工程について説明する。
(第1ハードコート層形成工程)
第1ハードコート層形成工程は、基材の一方の面に第1ハードコート層を形成する工程である。
第1ハードコート層形成工程は、基材の一方の面に第1ハードコート層を形成する工程である。
第1ハードコート層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第1ハードコート層は、基材に対して、第1ハードコート層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、第1ハードコート層は、厚膜の成膜が容易である点から、ウェットコーティング法により形成されることが好ましい。その後、第1ハードコート層を構成する樹脂組成物は、適宜、加熱乾燥され、紫外線照射により硬化される。
(第2ハードコート層形成工程)
第2ハードコート層形成工程は、基材の他方の面に第2ハードコート層を形成する工程である。
第2ハードコート層形成工程は、基材の他方の面に第2ハードコート層を形成する工程である。
第2ハードコート層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第2ハードコート層は、基材に対して、第2ハードコート層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、第2ハードコート層は、厚膜の成膜が容易である点から、ウェットコーティング法により形成されることが好ましい。その後、第2ハードコート層を構成する樹脂組成物は、適宜、加熱乾燥され、紫外線照射により硬化される。
(密着層形成工程)
密着層形成工程は、第1ハードコート層上に密着層を形成する工程である。
密着層形成工程は、第1ハードコート層上に密着層を形成する工程である。
密着層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、密着層は、第1ハードコート層に対して、密着層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、密着層は、薄膜の成膜が容易である点から、ドライコーティング法により形成されることが好ましく、マグネトロンスパッタリング法によって、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリングにて形成されることが好ましい。この際、たとえば、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。
(第2光学調整層形成工程)
第2光学調整層形成工程は、密着層上に第2光学調整層を形成する工程である。
第2光学調整層形成工程は、密着層上に第2光学調整層を形成する工程である。
第2光学調整層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第2光学調整層は、密着層に対して、第2光学調整層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、第2光学調整層は、薄膜の膜厚均一性が高いという理由から、ドライコーティング法により形成されることが好ましく、マグネトロンスパッタリング法によって、金属ターゲット(たとえばNbOy)を用いた反応性スパッタリングにて形成されることが好ましい。この際、たとえば、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。
(第1光学調整層形成工程)
第1光学調整層形成工程は、第2光学調整層上に第1光学調整層を形成する工程である。
第1光学調整層形成工程は、第2光学調整層上に第1光学調整層を形成する工程である。
第1光学調整層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第1光学調整層は、第2光学調整層に対して、第1光学調整層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、第1光学調整層は、薄膜の膜厚均一性が高いという理由から、ドライコーティング法により形成されることが好ましく、マグネトロンスパッタリング法によって、金属ターゲット(たとえばSiOx)を用いた反応性スパッタリングにて形成されることが好ましい。この際、たとえば、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。第1光学調整層、および、第2光学調整層は、ウェットコーティング法ではなく、ドライコーティング法により形成されることにより、膜厚の均一性を高めることができる。その結果、後述するように、干渉ムラが改善されやすい。
(透明導電層形成工程)
透明導電層形成工程は、第1光学調整層上に透明導電層を形成する工程である。
透明導電層形成工程は、第1光学調整層上に透明導電層を形成する工程である。
透明導電層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、透明導電層は、第1光学調整層に対して、透明導電層を構成する組成物を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライコーティング法、または、ウェットコーティング法(塗工法)等により形成され得る。これらの中でも、透明導電層は、薄膜の成膜が容易であるという理由から、ドライコーティング法により形成されることが好ましく、マグネトロンスパッタリング法によって、金属ターゲット(たとえばITO)を用いた反応性スパッタリングにて形成されることが好ましい。この際、たとえば、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。
以上の工程により、本実施形態のフィルムが作製される。得られたフィルムは、タッチパネルに設けられるタッチセンサー等として好適である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
<干渉ムラの改善効果の確認>
以下の実施例1〜6、比較例1〜2、試験例1〜4を作成し、干渉ムラに影響を及ぼすΔEaveの範囲を確認した。なお、屈折率は、いずれも波長589nmの光に対する屈折率である。
以下の実施例1〜6、比較例1〜2、試験例1〜4を作成し、干渉ムラに影響を及ぼすΔEaveの範囲を確認した。なお、屈折率は、いずれも波長589nmの光に対する屈折率である。
(実施例1)
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷により、乾燥後0.7μmとなるようにジルコニア(濃度28質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.65)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷により、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ケイ素を含む密着層の厚みが0.5nmとなるように密着層(屈折率3.4)を形成した。次いで、密着層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、NbOyによる第2光学調整層の厚みが10nmとなるように第2光学調整層(屈折率2.3)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが25nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、実施例1の透明導電性フィルムを作製した。
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷により、乾燥後0.7μmとなるようにジルコニア(濃度28質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.65)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷により、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ケイ素を含む密着層の厚みが0.5nmとなるように密着層(屈折率3.4)を形成した。次いで、密着層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、NbOyによる第2光学調整層の厚みが10nmとなるように第2光学調整層(屈折率2.3)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが25nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、実施例1の透明導電性フィルムを作製した。
(実施例2〜6)
表1に示される処方にしたがって各層の有無、各層を構成する原材料、厚み等を調整した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜6の透明導電性フィルムを作製した。
表1に示される処方にしたがって各層の有無、各層を構成する原材料、厚み等を調整した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜6の透明導電性フィルムを作製した。
(比較例1)
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.2μmとなるようにジルコニア(濃度28質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.65)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、グラビア印刷を用いて、乾燥後80nmとなるようにジルコニア(濃度32質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2光学調整層(屈折率1.68)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが5nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、比較例1の透明導電性フィルムを作製した。
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.2μmとなるようにジルコニア(濃度28質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.65)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、グラビア印刷を用いて、乾燥後80nmとなるようにジルコニア(濃度32質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2光学調整層(屈折率1.68)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが5nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、比較例1の透明導電性フィルムを作製した。
(比較例2)
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.2μmとなるようアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、グラビア印刷を用いて、乾燥後90nmとなるようにジルコニア(濃度20質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2光学調整層(屈折率1.59)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが5nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、比較例2の透明導電性フィルムを作製した。
PET基材(厚み100μm、屈折率1.65)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.2μmとなるようアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。基材の他方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後1.5μmとなるようにアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2ハードコート層(屈折率1.5)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、グラビア印刷を用いて、乾燥後90nmとなるようにジルコニア(濃度20質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第2光学調整層(屈折率1.59)を形成した。次いで、第2光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、SiOxによる第1光学調整層の厚みが5nmとなるように第1光学調整層(屈折率1.46)を形成した。次いで、第1光学調整層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、比較例2の透明導電性フィルムを作製した。
(試験例1〜4)
COP基材(厚み50μm、屈折率1.51)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後100nmとなるようにジルコニア(濃度36質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.76)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、試験例1〜4の透明導電性フィルムを作製した。
COP基材(厚み50μm、屈折率1.51)を準備した。基材の一方の面に、グラビア印刷を用いて、乾燥後100nmとなるようにジルコニア(濃度36質量%)を含むアクリル樹脂溶液を塗工し、次いで80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプで積算光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し、第1ハードコート層(屈折率1.76)を形成した。次いで、第1ハードコート層上に、マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングにて、ITOによる透明導電層の厚みが35nmとなるように透明導電層(屈折率2.0)を形成した。以上の工程により、試験例1〜4の透明導電性フィルムを作製した。
得られた実施例1〜6、比較例1〜2、試験例1〜4の透明導電性フィルムに関して、50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveを算出した。結果を表1に示す。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。
具体的には、平均色目差(ΔEave)は、黒テープ等で裏面反射を無くした透明導電性フィルムのサンプル(寸法:5cm四方)を準備し、縦横3×3の9点の正方形の領域における反射波形を測定した。それぞれの反射波形から、各測定点間の色目差を計算し(合計36か所)、上記式に従ってΔEaveを算出した。L*、a*、b*は、大塚電子(株)製の反射分光厚み計(FE−3000)を用いて、波長400〜700nmにおける可視光線に関して、1nm間隔で絶対反射率を測定することにより算出した。
また、実施例1〜6、比較例1〜2、試験例1〜4の透明導電性フィルムに関して、10人の試験者1〜10によって、干渉ムラの有無を、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
5点:タッチパネルは、干渉ムラが無かった。
3点:タッチパネルは、少し干渉ムラが見られた。
1点:タッチパネルは、多くの干渉ムラが見られた。
(評価基準)
5点:タッチパネルは、干渉ムラが無かった。
3点:タッチパネルは、少し干渉ムラが見られた。
1点:タッチパネルは、多くの干渉ムラが見られた。
表1に示されるように、種々のΔEaveを調整した透明導電性フィルムを作製したところ、ΔEaveの値が0.074以下である透明導電性フィルムを用いた場合に、得られるタッチパネルに干渉ムラが生じにくいことがわかった。一方、ΔEaveの値が0.074を超える透明導電性フィルムを用いた場合に、得られるタッチパネルに干渉ムラが生じやすいことがわかった。
<骨見えの改善効果の確認>
実施例2および比較例1〜2について、骨見えの有無を確認した。なお、屈折率は、いずれも波長589nmの光に対する屈折率である。
実施例2および比較例1〜2について、骨見えの有無を確認した。なお、屈折率は、いずれも波長589nmの光に対する屈折率である。
実施例2および比較例1〜2の透明導電性フィルムに関して、ITOを部分的にエッチングした。そして、(株)島津製作所製の紫外可視分光光度計UV−3600を用い、各サンプルのITO部分とITOエッチング部分における、300〜800nmの波長範囲での反射分光スペクトルを測定した。なお、反射Yを視感度反射率とし、L*a*b*表色系におけるL*、a*、b*をそれぞれ明度、色度、色度とした場合における、ΔR(視感度反射率差)およびΔE(R)(色目差)を、以下の計算式にしたがって算出した。ΔRおよびΔE(R)が小さい場合に、骨見えが改善されていることが示される。
ΔR=絶対値(反射Y(ITO部分)−反射Y(ITOエッチング部分))
ΔE(R)=((ΔL*)2)+(Δa*)2)+(Δb*)2))1/2
ただし、
ΔL*=L*(ITO部分)−L*(ITOエッチング部分)
Δa*=a*(ITO部分)−a*(ITOエッチング部分)
Δb*=b*(ITO部分)−b*(ITOエッチング部分)
ΔR=絶対値(反射Y(ITO部分)−反射Y(ITOエッチング部分))
ΔE(R)=((ΔL*)2)+(Δa*)2)+(Δb*)2))1/2
ただし、
ΔL*=L*(ITO部分)−L*(ITOエッチング部分)
Δa*=a*(ITO部分)−a*(ITOエッチング部分)
Δb*=b*(ITO部分)−b*(ITOエッチング部分)
表2に示されるように、実施例1の透明導電性フィルムは、骨見えが改善されていた。一方、第2光学調整層に代えて、屈折率が1.68である層を採用した比較例1の透明導電性フィルムと、屈折率が1.59である層を採用した比較例2の透明導電性フィルムとは、いずれも、骨見えが改善されなかった。
1 透明導電性フィルム
2 基材
3 光学調整層
31 第1光学調整層
32 第2光学調整層
4 透明導電層
5 第1ハードコート層
6 第2ハードコート層
7 密着層
8 液晶ディスプレイ(LCD)
9 光学粘着シート(OCA)
10 タッチセンサー
11 カバーガラス
12 反射防止(AR)フィルム
P タッチパネル
2 基材
3 光学調整層
31 第1光学調整層
32 第2光学調整層
4 透明導電層
5 第1ハードコート層
6 第2ハードコート層
7 密着層
8 液晶ディスプレイ(LCD)
9 光学粘着シート(OCA)
10 タッチセンサー
11 カバーガラス
12 反射防止(AR)フィルム
P タッチパネル
Claims (9)
- 基材と、光学調整層と、透明導電層とをこの順に有し、
前記光学調整層は、第1光学調整層と、第2光学調整層とが積層されており、
前記第2光学調整層は、前記基材側に位置し、
前記第1光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、1.35〜1.5であり、
前記第2光学調整層の波長589nmの光に対する屈折率は、2.0〜2.5であり、
50mm四方の領域を9等分した各領域における、下記式(1)で算出されるΔEaveは、0.074以下である、透明導電性フィルム。
L*a*b*表色系において、
ΔEave=(ΔEi,jの平均値)
ΔEi,j=((ΔL* i,j)2+(Δa* i,j)2+(Δb* i,j)2)1/2・・・(1)
ただし、ΔL* i,j=L* i−L* j、Δa* i,j=a* i−a* j、Δb* i,j=b* i−b* jであり、かつ、i,jは、いずれも1〜9の整数(i≠j、i<j)である。 - 前記第1光学調整層の厚みは、15〜35nmであり、
前記第2光学調整層の厚みは、4〜15nmである、請求項1記載の透明導電性フィルム。 - 前記基材と前記光学調整層との間に、第1ハードコート層が設けられている、請求項1または2記載の透明導電性フィルム。
- 前記第2光学調整層と前記第1ハードコート層との間に、密着層が設けられており、
前記密着層は、ケイ素を含む、請求項3記載の透明導電性フィルム。 - 前記密着層の厚みは、0.3〜2.0nmである、請求項4記載の透明導電性フィルム。
- 前記基材は、前記第1ハードコート層が設けられた面と反対側の面に、第2ハードコート層が設けられている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層の厚みは、20〜60nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電層のシート抵抗値は、90Ω/□以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
- 前記第1光学調整層は、SiOx(1≦x≦2)を含み、
前記第2光学調整層は、NbOy(1≦y≦2.5)を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
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2019
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