以下に本発明の実施形態について説明する。まず、本発明の適用対象であるラインヘッドを用いた画像形成装置と、同ラインヘッドの構成及び潜像形成動作とを説明する。これらの説明の後に、マイクロレンズアレイと素子基板との相対的位置関係の具体的調整例について説明する。
A.画像形成装置の構成
図1は本発明の適用対象であるラインヘッドを用いた画像形成装置の構成を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図面である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が副走査方向に搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
ラインヘッド29は、感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に配列された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して(露光して)該表面に潜像を形成する。なお、この画像形成装置では、各色のラインヘッド29を制御するためにヘッドコントローラHCが設けられ、メインコントローラMCからのビデオデータVDと、エンジンコントローラECからの信号とに基づき各ラインヘッド29を制御している。すなわち、画像形成指令に含まれる画像データがメインコントローラMCの画像処理部51に入力される。そして、該画像データに対して種々の画像処理が施されて各色のビデオデータVDが作成されるとともに、該ビデオデータVDがメイン側通信モジュール52を介してヘッドコントローラHCに与えられる。また、ヘッドコントローラHCでは、ビデオデータVDはヘッド側通信モジュール53を介してヘッド制御モジュール54に与えられる。このヘッド制御モジュール54には、上記したように潜像形成に関連するパラメータ値を示す信号と垂直同期信号VsyncがエンジンコントローラECから与えられている。そして、これらの信号およびビデオデータVDなどに基づきヘッドコントローラHCは各色のラインヘッド29に対して素子駆動を制御するための信号を作成し、各ラインヘッド29に出力する。こうすることで、各ラインヘッド29において発光素子の作動が適切に制御されて画像形成指令に対応する潜像が形成される。
そして、この画像形成装置においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を感光体カートリッジとしてユニット化している。また、各感光体カートリッジには、該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
また、この画像形成装置では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するようにブレード対向ローラ83が移動する場合は、ブレード対向ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
B.ラインヘッドの第1構成
図3は、本発明の適用対象であるラインヘッドの第1構成の概略を示す斜視図である。また、図4は、ラインヘッドの第1構成の幅方向断面図である。図5は、ラインヘッドの分解斜視図である。なお、図5では、ケース等の一部の部材については、記載を省略している。ラインヘッド29は、主走査方向MDを長手方向LDとするとともに、副走査方向SDを幅方向WDとする。また、ラインヘッド29は、ケース291を備え、かかるケース291の両端には位置決めピン2911とねじ挿入孔2912が設けられている。そして、かかる位置決めピン2911を、感光体ドラム21を覆うとともに感光体ドラム21に対して位置決めされた感光体カバー(図示省略)に穿設された位置決め孔(図示省略)に嵌め込むことで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決めされる。そして更に、ねじ挿入孔2912を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体ドラム21に対して位置決め固定される。
ケース291は、感光体ドラム21の表面に対向する位置にマイクロレンズアレイ299を保持するとともに、その内部に、該マイクロレンズアレイ299に近い順番で、スペーサ297及び素子基板293を備えている。スペーサ297は、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との間隔を規定する機能を果たすとともに、その内部に中空部2971が穿設されている。また、素子基板293は透明のガラス基板であるとともに、その裏面(素子基板293が有する2つの面のうちマイクロレンズアレイ299と逆側の面)には、複数の発光素子グループ295が設けられている。即ち、複数の発光素子グループ295は、素子基板293の裏面に、長手方向LD及び幅方向WDに互いに所定間隔だけ離れて2次元的に配置されている。ここで、複数の発光素子グループ295の各々は、複数の発光素子を配列して構成されるが、これについては後に説明する。また、このラインヘッド29では、発光素子として有機EL(Electro-Luminescence)を用いる。つまり、素子基板293の裏面に有機ELを発光素子として配置している。そして、複数の発光素子それぞれから感光体ドラム21の方向に射出される光ビームは、スペーサ297の中空部2971を通過して、マイクロレンズアレイ299へと向かう。
図4に示すように、固定器具2914によって、裏蓋2913が素子基板293を介してケース291に押圧されている。つまり、固定器具2914は、裏蓋2913をケース291側に押圧する弾性力を有するとともに、かかる弾性力により裏蓋を押圧することで、ケース291の内部を光密に(つまり、ケース291内部から光が漏れないように、及び、ケース291の外部から光が侵入しないように)密閉している。なお、固定器具2914は、長手方向LDに複数箇所設けられている。また、発光素子グループ295は、封止部材294により覆われている。
図6は、マイクロレンズアレイの長手方向の断面図である。マイクロレンズアレイ299は、ガラス基板2991を有するとともに、該ガラス基板2991を挟むように一対一で配置された2枚のレンズ2993A,2993Bにより構成されるレンズ対を複数有している。なお、これらレンズ2993A,2993Bは樹脂により形成することができる。
つまり、ガラス基板2991の表面2991Aには複数のレンズ2993Aが配置されるとともに、複数のレンズ2993Aに一対一で対応するように、複数のレンズ2993Bがガラス基板2991の裏面2991Bに配置されている。また、レンズ対を構成する2枚のレンズ2993A,2993Bは、相互に光軸OAを共通にする。また、これら複数のレンズ対は、複数の発光素子グループ295に一対一で配置されている。なお、この明細書では、一対一の対を成すレンズ対2993A,2993Bと、かかるレンズ対によって挟まれたガラス基板2991とから成る光学系を「マイクロレンズML」と称することとする。そして、これら複数のレンズ対(マイクロレンズML)は、発光素子グループ295の配置に対応して、長手方向LD及び幅方向WDに互いに所定間隔だけ離れて2次元的に配置されている。また、複数のマイクロレンズMLそれぞれの光軸OAは、互いに略平行である。
図7は、マイクロレンズアレイおよび発光素子グループの構成を示す図である。マイクロレンズアレイ299は、長手方向LDに複数のマイクロレンズMLを並べて成るレンズ行MLRを幅方向WDに3行配列した構造を有する。これらレンズ行MLRは、幅方向WDに等間隔で配置されている。また、長手方向LDにおいて、複数のマイクロレンズMLそれぞれの位置は互いに異なる。さらに、長手方向LDにおいて、複数のマイクロレンズMLは等間隔で配置されている。そして、複数のマイクロレンズMLに一対一で対応して、複数の発光素子グループ295が設けられている。
図8は、発光素子グループの構成を示す図である。本実施形態では、10個の発光素子2951_a〜2951_jを対称中心SCに対して点対称に配置して、1つの発光素子グループ295を構成している。このとき、次に列挙する5組それぞれを構成する2つの発光素子2951は、対称中心SCに対して互いに点対称である。ここで、5組は、発光素子2951_aと発光素子2951_jから成る組、発光素子2951_bと発光素子2951_iから成る組、発光素子2951_cと発光素子2951_hから成る組、発光素子2951_dと発光素子2951_gから成る組、発光素子2951_eと発光素子2951_fから成る組である。また、当然のことではあるが、1つの組を構成する互いに点対称な2つの発光素子2951の中点は、対称中心SCと一致する。なお、図8において対称中心SCを×印で表しているが、かかる×印は物理的に存在するものではなく、対称中心SCの位置を示すために図中に仮想的に記載したものである。また、本明細書に添付の図面において、点を表すために×印を使用する場合があるが、いずれの場合においても、かかる×印は物理的に存在する点ではなく仮想的な点を示すために記載されたものである。
また、同図が示すように、5つの発光素子2951_a〜2951_eが長手方向LDに配列されて1つの発光素子行2951Rを構成するとともに、5つの発光素子2951_e〜2951_jが長手方向LDに配列されて1つの発光素子行2951Rを構成する。そして、これら2つの発光素子行2951Rを幅方向WDに2行並べて、1つの発光素子グループ295が構成されている。さらに、1つの発光素子グループに属する10個の発光素子2951_a〜2951_jの長手方向LDにおける位置は、互いに異なる。そして、発光素子2951から射出された光ビームは、該発光素子2951が対向するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム21の表面に結像される。このとき、マイクロレンズMLは、倒立等倍で光ビームを結像する。
図9は、倒立等倍の光学特性の説明図である。同説明図では、2つの発光素子OJ1,OJ2に対向して、倒立等倍の光学特性を有する結像光学系OPSが配置されている。そして、発光素子OJ1,OJ2それぞれから射出された光ビームは、結像光学系OPSにより結像面SIMに結像される。このとき、発光素子OJ1から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ1の反対側の結像位置IM1に結像される。なお、発光素子OJ1から光軸OAまでの距離と、結像位置IM1から光軸OAまでの距離は等しい。また、発光素子OJ2から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ2の反対側の結像位置IM2に結像される。なお、発光素子OJ2から光軸OAまでの距離と、結像位置IM2から光軸OAまでの距離は等しい。つまり、倒立等倍の光学特性を有する結像光学系は、倒立像を結像するとともに、その結像倍率は1倍である。
このように、本実施形態のラインヘッド29では、10個の発光素子が2次元的に配されて発光素子グループ295が構成されている。しかも、発光素子グループ295では、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。また、発光素子グループ295にはマイクロレンズMLが対向配置されており、発光素子グループ295の各発光素子2951が光ビームを射出すると、複数のスポットSPがスポットグループSGとして感光体ドラム表面に形成される。そして、本実施形態では、発光素子グループ295とスポットグループSGが次のような関係を満たすように、ラインヘッド29は構成されている。
図10は、ラインヘッドの第1構成における発光素子グループとスポットグループとの関係を示す斜視図であり、図11は、ラインヘッドの第1構成における発光素子グループとスポットグループとの関係を示す平面図である。なお、図11は、感光体ドラム表面に形成されるスポットグループを示している。図10に示すように、素子基板293では、対称中心SCに対して点対称に発光素子グループ295の各発光素子2951が配置されている。発光素子グループ295には、マイクロレンズMLが対向配置されており、発光素子グループ295から射出された光ビームがマイクロレンズMLにより結像されて、感光体ドラム表面にスポットグループSGが形成されている。このスポットグループSGは、主走査方向MDの互いに異なる位置に形成された10個のスポットSP_a、SP_b、…、SP_jから構成され、図10、図11に示す例では、10個のスポットSP_a、SP_b、…、SP_jは主走査方向MDに略等しいスポットピッチPspで並んでいる。なお、スポットピッチPspは、スポットグループSGを構成する各スポットSPの主走査方向MDにおけるピッチである。
ここで、発光素子グループ295の対称中心SCからマイクロレンズMLの光軸OA方向に感光体ドラム表面に下ろした点を、対称中心投影点P(SC)と定義する。このとき、本実施形態では、対称中心投影点P(SC)と、スポットグループSGの重心点BCとの二点間距離dbは、スポットピッチPsp(所定距離)未満となっている。このスポットグループSGの重心点BCは、例えば次のようにして求めることができる。つまり、各スポットSP_a、SP_b、…、SP_jにおいて光量分布がピークとなる位置を、ピーク位置pk_a,pk_b,…,pk_jとして求め、さらに、これらピーク位置pk_a,pk_b,…,pk_jの幾何重心をスポットグループSGの重心点BCとして求めることができる。
このように、本実施形態では、対称中心投影点P(SC)に対してスポットグループSGの重心点が所定距離内にあるように構成されている。ここで、スポットグループSGの対称中心ではなくてスポットグループSGの重心点BCが、対称中心投影点P(SC)に対して所定距離内にあるように構成されている理由は次の通りである。つまり、マイクロレンズアレイ299により形成されたスポットSPの配置は、マイクロレンズアレイ299の加工誤差やマイクロレンズMLの収差等の影響を受けて正確には点対称とならない場合がある。そこで、本実施形態では、スポットグループSGの重心点が、対称中心投影点P(SC)に対して所定距離内にあるように構成したのである。なお、上記のような収差や加工誤差が少ない場合はスポットSPの配置は点対称となり、この対称中心と重心点とは一致する。
このように本実施形態では、発光素子グループ295は発光素子2951を点対称に設けており、発光素子グループ295の各発光素子が発光すると、スポットグループSGとして複数のスポットSPが形成される。しかも、対称中心投影点P(SC)と、スポットグループSGの重心点BCとの二点間距離が、所定距離未満となっている。したがって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を抑制することが可能となっている。
また、本実施形態における発光素子グループ295では、長手方向LDに複数の発光素子が設けられた発光素子行2951Rが、幅方向WDに複数設けられている。そして、発光素子グループ295が発光して主走査方向MDの互いに異なる位置に複数のスポットSPが形成される。しかしながら、このような構成を有するラインヘッド29では、特に長手方向LD(主走査方向MD)において発光素子2951とマイクロレンズとの位置関係がずれると、収差の悪化が顕著となる傾向にある。そこで、このようなラインヘッド29に対しては、上記実施形態に示したように本発明を適用することが特に好適である。
また、上記実施形態では、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間に設けられたスペーサ297を備え、スペーサ297の一方が素子基板293に当接するとともに他方がマイクロレンズアレイ299に当接することで、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間隔が規定されている。したがって、スペーサ297により素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間隔を規定することが可能であり、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を抑制するのに有利な構成となっている。
また、上記実施形態は発光素子2951として有機EL素子を用いており、好適である。なんとなれば、有機EL素子は半導体のプロセスにより高い位置精度で形成されるため、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を抑制するのに有利であるからである。
また、上記実施形態のマイクロレンズアレイ299では、ガラス基板2991に対してレンズを形成することでマイクロレンズMLが構成されており、上記実施形態は好適である。なんとなれば、ガラスは樹脂等と比較して熱膨張係数が小さいため、温度変化によるマイクロレンズMLの位置変動を抑制することが可能であり、発光素子2951とマイクロレンズとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を抑制するのに有利であるからである。
C.ラインヘッドの第2構成
上記ラインヘッド29の第1構成例では、対称中心投影点P(SC)と、スポットグループSGの重心点BCとの二点間距離dbは、スポットピッチPspに設定されている。しかしながら、マイクロレンズMLの収差等に起因して、スポットグループSGにおいてスポットピッチPspが一様でない場合もある。このような場合、二点間距離dbがスポットピッチの平均値AV(Psp)未満となるように、ラインヘッド29を構成しても良い。また、スポットピッチの平均値は、例えば次のようにして求めることができる。
図12は、スポットピッチの平均値を説明するための図であり、感光体ドラム表面に形成されるスポットグループを現している。図12に示す例では、10個のスポットSP_a,SP_b,…,SP_jからスポットグループSGが構成されている。そして、各スポットピッチPsp1〜Psp9は、スポットSPの光量分布のピーク位置pk_a,pk_b,…,pk_j間距離として求めることができる。具体的には、スポットピッチPsp1は、スポットSP_aのピーク位置pk_aとスポットSP_bのピーク位置pk_bとの間の距離として求めることができる。そして、このようにして求められた各スポットピッチPsp1〜Psp9の平均値を、スポットピッチの平均値AV(Psp)として求めることができる。
このように、ラインヘッドの第2構成例では、二点間距離dbは、発光素子グループ295が発光することで形成される複数のスポットSP(スポットグループSG)の主走査方向MDのスポットピッチPspの平均(所定距離)未満となっている。したがって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を、効果的に抑制することが可能となっている。
D.ラインヘッドの第3構成
図13は、ラインヘッドの第3構成における発光素子グループとスポットグループとの関係を示す斜視図であり、図14は、ラインヘッドの第3構成における発光素子グループとスポットグループとの関係を示す平面図である。なお、図14は、感光体ドラム表面に形成されるスポットグループを示している。以下では、主として第1構成例と第3構成例との差異点について説明することとし、共通部分については相当符号を付して説明を省略する。図13、図14に示すように、第3構成例では、対称中心投影点P(SC)とと、スポットグループSGの重心点BCとは略一致しており、二点間距離dbは略ゼロとなっている。
このようにラインヘッドの第3構成例では、発光素子グループ295は発光素子2951を点対称に設けており、発光素子グループ295の各発光素子が発光すると、スポットグループSGとして複数のスポットSPが形成される。しかも、対称中心投影点P(SC)と、スポットグループSGの重心点BCとが略一致している。したがって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれや収差の悪化を、きわめて良好に抑制することが可能となっている。
E.ラインヘッドの潜像形成動作
このように、上述のラインヘッド29を用いることで、結像位置のずれや収差の悪化を抑制して、良好に潜像形成を実行することが可能となる。そして、このラインヘッド29は、次に示すように、移動する感光体ドラム表面に対してスポットを形成することで、潜像形成を実行する。
図15は、上述のラインヘッドによるスポット形成動作を示す図である。以下に、図2、図7、図15を用いて本実施形態におけるラインヘッドによるスポット形成動作を説明する。また、発明の理解を容易にするため、主走査方向MDに伸びる直線上に複数のスポットを並べてライン潜像を形成する場合について説明する。概略としては、かかる潜像形成動作では、感光体ドラム21の表面を副走査方向SD(幅方向WD)に搬送しながら、ヘッド制御モジュール54により複数の発光素子を所定のタイミングで発光させることで、主走査方向MD(長手方向LD)に伸びる直線上に複数のスポットを並べて形成する。以下に、詳細について説明する。
つまり、本実施形態のラインヘッドでは、幅方向位置WD1〜WD6の各位置に対応して、幅方向WDに発光素子行2951Rが6行並べて配置されている(図7)。そこで、本実施形態では、同一の幅方向位置にある発光素子行2951Rは、略同一のタイミングで発光させるとともに、異なる幅方向位置にある発光素子行2951Rは、互いに異なるタイミングで発光させる。より具体的には、幅方向位置WD1〜WD6の順番で、発光素子行2951Rを発光させる。そして、感光体ドラム21の表面を幅方向WD(副走査方向SD)に搬送しながら、上述の順番で発光素子行2951Rを発光させることで、該表面の長手方向LD(主走査方向MD)に伸びる直線上に複数のスポットを並べて形成する。
かかる動作を、図7および図15を用いて説明する。まず最初に、幅方向WDに最上流の発光素子グループ295A1,295A2,295A3,…に属する幅方向位置WD1の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「1回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。なお、同図において、白抜きの丸印は、未だ形成されておらず今後形成される予定のスポットを表す。また、同図において、符号295C1,295B1,295A1,295C2でラベルされたスポットは、それぞれに付された符号に対応する発光素子グループ295により形成されるスポットであることを示す。
次に、同発光素子グループ295A1,295A2,295A3,…に属する幅方向位置WD2の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「2回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。ここで、感光体ドラム21の表面の搬送方向が幅方向WDであるのに対して、幅方向WDの下流側の発光素子行2951Rから順番に(つまり、幅方向位置WD1,WD2の順番に)発光させたのは、マイクロレンズMLが倒立特性を有することに対応するためである。
次に、幅方向上流側から2番目の発光素子グループ295B1,295B2,295B3…に属する幅方向位置WD3の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「3回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。
次に、同発光素子グループ295B1,295B2,295B3,…に属する幅方向位置Y4の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「4回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。
次に、副走査方向最下流の発光素子グループ295C1,295C2,295C3,…に属する幅方向位置WD5の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「5回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。
そして最後に、同発光素子グループ295C1,295C2,295C3…に属する幅方向位置WD6の発光素子行2951Rの発光素子2951を発光させる。そして、かかる発光動作により射出される複数の光ビームは、上述の倒立等倍特性を有するマイクロレンズMLにより、感光体ドラム表面に結像される。つまり、図15の「6回目」のハッチングパターンの位置にスポットが形成される。このように、1〜6回目までの発光動作を実行することで、長手方向LD(主走査方向MD)に伸びる直線上に複数のスポットを並べて形成する。
F.ラインヘッドの調整方法
ところで、上述のラインヘッド29では、倒立等倍の光学特性、つまり非正立等倍の光学特性を有するマイクロレンズMLにより、発光素子2951から射出された光ビームを結像する。したがって、理想的には、全ての発光素子グループ295の対称中心SCそれぞれが、対応するマイクロレンズMLの光軸OAの上に在ることが望ましい。換言すれば、全てのマイクロレンズMLのそれぞれが、理想位置にあることが望ましい。なんとなれば、マイクロレンズMLが理想位置からずれると、光ビームの結像位置もずれることとなるからである。なお、本明細書では、マイクロレンズMLが、その光軸OAが対応する発光素子グループ295の対称中心SCを通るように配置されているとき、「マイクロレンズMLが理想位置にある」と表現する。よって、上述のような非正立等倍のマイクロレンズMLを用いるラインヘッドを組み立てるに際しては、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係を高精度に調整することが重要となる。また、次の点においても、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係を高精度に調整することが重要である。
つまり、本実施形態では、複数の発光素子グループ295のそれぞれが、複数の発光素子2951から成る。したがって、1つの発光素子グループ295から射出された光ビームを、1つのマイクロレンズMLで結像する。しかしながら、本実施形態のように、発光素子グループ295が複数の発光素子2951からなる構成においては、マイクロレンズMLの光軸OAの近傍にある発光素子2951もあれば、光軸OAから離れた位置にある発光素子2951もある。したがって、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との位置関係が適切でない場合、光軸OAから離れた位置にある発光素子2951と光軸OAとの距離が大きくなり、その結果、光軸OAから離れた位置にある発光素子2951から射出される光ビームの像の結像特性(歪曲収差、コマ収差等)が許容できないレベルになるという問題が発生する可能性がある。そして、このような問題を有するラインヘッド29を用いて画像形成を行ったような場合、マイクロレンズMLの配置周期で濃度ムラが発生する場合がある。したがって、複数の発光素子2951で1つの発光素子グループ295を構成する上述のようなラインヘッド29では、特に、上記位置関係を高精度に調整する必要がある。
しかしながら、上記実施形態のように非正立等倍の光学特性のマイクロレンズMLを用いたラインヘッド29に対しては、従来技術のようなレンズアレイを装着した状態の光量分布に基づいてレンズと発光素子との位置関係を調整する方法では、十分な精度で位置関係の調整ができない場合があった。そこで、以下示す調整例により、位置関係の調整を実行することで、高精度の位置調整が実現可能となる。
第1調整例
図16は、本発明の第1調整例にかかるラインヘッドの調整装置が備えるアレイ移動機構と観察光学系とを示す斜視図である。また、図17は、ラインヘッドの調整装置を長手方向から見た図である。ラインヘッドの調整装置9は、素子基板293を保持可能である基板保持手段91と、3つのアレイ移動機構93,95,97と、観察光学系99とを備えている。
基板保持手段91は、裏面に発光素子グループ295を有する素子基板293を保持可能に構成されている。つまり、基板保持手段91は、2つの載置台911,912を有するとともに、2つの載置台911,912の間には退避空間913が設けられている。2つの載置台911,912のそれぞれには、L字状の切欠部9111,9121が設けられている。また、これら切欠部9111,9121は、互いに対向するように設けられている。そして、素子基板293を基板保持手段91により保持するに際しては、素子基板293の幅方向WDにおける一方端を切欠部9111に載置するとともに、素子基板293の幅方向WDにおける他方端を切欠部9121に載置する。切欠部9111,9121の間の距離は、幅方向WDにおける素子基板293の移動を規制するように設定されている。つまり、基板保持手段91に載置された素子基板293は、切欠部9111,9121により、幅方向WDへの移動が規制される。なお、幅方向WDに対して略直交する長手方向LDについても、載置された素子基板293の移動を規制する同様の機構が、基板保持手段91に設けられている。このように、基板保持手段91は、載置された素子基板293の幅方向WDおよび長手方向LDへの素子基板293の移動を規制して、素子基板293を保持している。
また、素子基板293が基板保持手段91に載置された状態において、素子基板293の裏面にある発光素子グループ295および封止部材294は、素子基板293に対して重力方向下側に突出する格好となる。しかしながら、上述のとおり基板保持手段91には退避空間913が設けられている。つまり、第1調整例では、素子基板293が基板保持手段91に載置された状態において、発光素子グループ295および封止部材294を、退避空間913に位置させて他の部材と接触しないように構成されている。
図17を用いてアレイ移動機構93について説明する。アレイ移動機構93は、マイクロメータヘッド931と付勢ロッド932とを有する。マイクロメータヘッド931は、基板保持手段91に対して固定された支持部材933により支持されている。また、マイクロメータヘッド931のストロークである移動ロッド9311は、つまみ9312の回転に伴って、ストローク方向SD93に進退する。付勢ロッド932は、移動ロッド9311に対向して配置されている。同図が示すように、付勢ロッド932は、支持部材934に穿設された孔に嵌合するとともに、当該孔をストローク方向SD93に進退可能である。なお、支持部材934は、基板保持手段91に対して固定されている。また、基板保持手段91に対して固定された支持部材935と付勢ロッド932とは、付勢手段936により連接されている。その結果、付勢ロッド932は、ストローク方向SD93に付勢されている。
そして、アレイ移動機構93は、次のようにしてマイクロレンズアレイ299を動かす。基板保持手段91に載置された素子基板293の上にスペーサ297を置き、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を置いたとき、マイクロレンズアレイ299は、移動ロッド9311と付勢ロッド932との間に位置する。また、このとき、複数のマイクロレンズMLそれぞれの光軸OAは素子基板293の表面と略直交する。この状態において、つまみ9312を回して移動ロッド9311の進退を調整すると、移動ロッド9311と付勢ロッド932により、マイクロレンズアレイ299が挟まれる。そして、マイクロレンズアレイ299が2つのロッド9311,932に挟まれた状態において移動ロッドを進退させることで、マイクロレンズアレイ299をストローク方向SD93に動かすことができる。なお、このとき、付勢ロッド932は、ストローク方向SD93において移動ロッド9311に向けて付勢されている。よって、マイクロレンズアレイ299は、移動ロッド9311と付勢ロッド932とにより、かかる付勢力でもって挟持されつつ、動かされることとなる。
図16が示すように、アレイ移動機構95は、マイクロメータヘッド951と付勢ロッド952とを有する。そして、つまみ9512を回してマイクロメータヘッド951のストロークである移動ロッド9511を進退させることで、マイクロレンズアレイ299をストローク方向SD95に動かすことが可能である。なお、アレイ移動機構95の構成・動作の詳細は、アレイ移動機構93と同様であるので説明を省略する。
また、アレイ移動機構97は、マイクロメータヘッド971と付勢ロッド972とを有する。アレイ移動機構97のマイクロメータヘッド971と付勢ロッド972は、長手方向LDからマイクロレンズアレイ299を挟む点で、上述したアレイ移動機構93,95と異なる。そして、つまみ9712を回してマイクロメータヘッド971のストロークである移動ロッド9711を進退させることで、マイクロレンズアレイ299をストローク方向SD97に動かすことが可能である。なお、アレイ移動機構97の構成・動作の詳細は、アレイ移動機構93と同様であるので説明を省略する。
図16が示すように、ストローク方向SD93,SD95は幅方向WDと略平行であるとともに、ストローク方向SD97は長手方向LDと略平行である。つまり、アレイ移動機構93,95はマイクロレンズアレイ299を幅方向WDに移動させる機能を果たすとともに、アレイ移動機構97はマイクロレンズアレイ299を長手方向LDに移動させる機能を果たす。
観察光学系99は、マイクロレンズアレイ299がスペーサ297の上に載置された状態において、マイクロレンズアレイ299の長手方向LDにおける一方端部を重力方向上側から臨むように、配置されている。このとき、観察光学系99はマイクロレンズMLの光軸方向からマイクロレンズアレイ299を観ることとなる。つまり、観察光学系99は、マイクロレンズMLの光軸OAに対して垂直な平面に投影された映像を観る。そして、観察光学系99は、発光素子2951および該発光素子2951から射出された光ビームの像を観察することが可能である。また、観察光学系99は、十字カーソルを有し、該十字カーソルを用いて発光素子2951の位置に関する位置情報を取得する。かかる十字カーソルは、観察光学系99が観察する映像の任意の点に対して、移動および固定可能に構成されている。なお、十字カーソルの詳細および十字カーソルを用いた位置情報の取得動作は、以下の説明において明らかにする。また、次に、上述した調整装置9を用いて実行されるラインヘッドの調整方法について説明する。
図18は、ラインヘッドの調整方法を示すフローチャートである。図19は、図18のフローチャートに対応する動作説明斜視図である。なお、図19では、理解の容易のため、発光素子グループは対象グループのみを、また、マイクロレンズは対象グループに対向するマイクロレンズのみを示している。図20は、図18のフローチャートに対応する動作説明正面図である。つまり、図20は、観察光学系が観る調整動作を示している。
ステップS101において、素子基板293を基板保持手段91に配置する(基板配置工程)。ステップS102において、観察光学系99を用いて、発光素子グループ295を観察する。なお、第1調整例では、幅方向WDに並ぶ3行のレンズ行MLRのうち真中のレンズ行MLRに属する複数のマイクロレンズMLのうち、図7において最も左側に位置するマイクロレンズMLに対向する発光素子グループ295を、対象グループO295とする。
ステップS103において、対象グループO295の対称中心SCの位置に十字カーソルCCの照準点を合わせて、該照準点の位置を対称中心SCの位置に関する位置情報として取得する(位置情報取得工程)。このとき、対称中心SCに十字カーソルCCの照準点を合わせるにあたっては、先に挙げた互いに点対称な発光素子2951の中点に十字カーソルCCの照準点を合わせればよい。ここで、十字カーソルCCの照準点とは、十字を構成する2本の直線の交点である。また、本明細書において、「対称中心SCの位置に十字カーソルCCの照準点を合わせる」とは、対称中心SCから光軸OA方向に伸びる直線SCLの上に、十字カーソルCCの照準点を合わせることを言う。
ステップS104において、マイクロレンズアレイ299を仮装着する。なお、「仮装着」とは、マイクロレンズアレイ299を、素子基板293に対して可動である状態を保ちつつ該素子基板293に対向する位置に配置する動作を表す。つまり、ステップS104では、図17を用いて説明したように、素子基板293の上にスペーサ297を載置し、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を配置する。このとき、複数のマイクロレンズMLのそれぞれが対応する発光素子グループ295に対向するように、マイクロレンズアレイ299を配置する(アレイ配置工程)。
そして、次に対称中心SCに対して、光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SCに対して互いに点対称な2つの発光素子2951を発光させる。このとき、対称中心SCに対して互いに点対称な2つの発光素子2951の選び方は、上述した5組に対応して5通りある。ここでは、発光素子2951_eと発光素子2951_fを発光させることとする。このとき、発光素子2951_e,2951_fには、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e,2951_fから射出された光ビームのそれぞれは、マイクロレンズMLにより像IE_e,IE_fとして結像される。なお、光軸OAの方向において、対象グループO295の位置と像IE_e,IE_fの位置とはマイクロレンズMLの共役長だけ離れているので、観察光学系99により像IE_e,IE_fを観察するためには、観察光学系99を光軸OAの方向に素子基板293から離す必要がある。
ここで、「対称である2つの発光素子2951_e,2951_fから射出される光ビームをマイクロレンズMLにより結像してできる2つの像IE_e,IE_fの中点MP」について考える。かかる中点MPは、言わば、対象グループO295の対称中心SCにある仮想物点を考えたときの該仮想物点の像ができる位置である。したがって、発光素子グループ295に対してマイクロレンズMLが理想位置にあるとき、対象グループO295の対称中心SCと、互いに対称な2つの発光素子2951_e,2951_fから射出された光ビームを結像してできる2つの像IE_e,IE_fの中点MPは、いずれもマイクロレンズMLの光軸OAの上に位置することとなる。よって、本来的には、対称中心SCと、2つの像IE_e,IE_fの中点MPとの面内距離d1(図19,15参照)は、ゼロとなるはずである。しかしながら、図19,15の「S104」の欄に示すように、面内距離d1はゼロではない。ここで、本明細書における「面内距離」について説明する。
図21は、面内距離の説明図である。本明細書において、対象グループO295の対称中心SCと、互いに対称な2つの発光素子2951から射出された光ビームを結像してできる2つの像IEの中点MPとの面内距離dは、マイクロレンズMLの光軸OAに垂直な仮想平面である仮想垂直面HPLの面内にある2点の間の距離として定義される。つまり、仮想垂直面HPLに対して、対称中心SCと中点MPとを投影した点をそれぞれ点PJ(SC)、点PJ(MP)としたとき、面内距離dは点PJ(SC)と点PJ(MP)との距離である。ここで、仮想垂直面HPLに対する投影とは、光軸方向からの投影を指す。このとき、仮想垂直面HPLの光軸方向における位置に依らず、面内距離dが一義的に決まることは明らかである。よって、仮想平面HPLは、光軸OAに対して垂直であればよく、光軸方向における位置に対しては任意に設定できる。
また、対称中心SCの位置を仮想垂直面HPLに投影した位置PJ(SC)は、十字カーソルCCの照準点の位置(位置情報)により与えられる。つまり、上述の通り十字カーソルCCの照準点は対称中心SCから光軸OA方向に伸びる直線SCLの上に在る。よって、十字カーソルCCの照準点を仮想垂直面HPLに投影した位置は、即ち、対称中心SCの位置を仮想垂直面HPLに投影した位置PJ(SC)となる。このように、上述してきた調整例において、面内距離dは、観察光学系99が観る中点MPの位置と十字カーソルCCの照準点との間の距離となる。なお、以下の説明において「対称中心SCの面内距離」と称した場合は、「対称中心SCの位置と、当該対称中心SCに対して点対称な発光素子2951から射出された光ビームを結像してできる2つの像の中点MPの位置との面内距離」を意味するものとする。
面内距離d1が発生する原因は、対称中心SCが光軸OAの上に無い、つまり、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係が理想的でない(マイクロレンズMLが理想位置に無い)ことにある。換言すれば、面内距離は、マイクロレンズMLの理想位置からのずれを定量化した量であり、マイクロレンズMLが理想位置からずれているために面内距離が発生する。そこで、光軸調整処理では、ステップS105に進んで、アレイ移動機構93,95,97を用いて、面内距離d1が所定条件を満たすようにマイクロレンズアレイの位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第1調整例では、面内距離d1がゼロとなるように(つまり、観察光学系99から観て中点MPと十字カーソルCCの照準点とが重なるように)マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第1調整例では、まず、マイクロレンズアレイ299が装着されていない状態において、対象グループO295の対称中心SCに十字カーソルCCの照準点を合わせて、該対称中心SCの位置情報を取得する。次に、素子基板293に対向するようにマイクロレンズアレイ299を配置して(つまり、マイクロレンズアレイ299を仮装着して)、光軸調整処理を実行する。かかる光軸調整処理では、マイクロレンズMLの光軸OAに垂直な仮想平面を仮想垂直面HPLとしたとき、先に取得された位置情報(十字カーソルCCの照準点の位置)が与える対称中心SCの位置を仮想垂直面HPLに投影した位置OJ(SC)と、対称中心SCに対して点対称である2つの発光素子2951_e,2951_fから射出される光ビームを結像してできる像IE_e,IE_fの中点MPとの面内距離d1がゼロとなるように、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整する。つまり、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係の調整を、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SCの位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、対称中心SCに対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e,2951_fから射出される光ビームをマイクロレンズMLにより結像してできる2つの像IE_e,IE_fの中点MPとの比較に基づいて、調整される。よって、本実施形態は、マイクロレンズアレイを装着した状態の光量分布にのみに基づいて素子基板とマイクロレンズアレイとの相対的位置関係を調整する従来技術と比較して、より高精度な調整が可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d1が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
特に、第1調整例では、光軸調整処理において、面内距離d1がゼロとなるように素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。このとき、対象グループO295の対称中心SCが、対応するマイクロレンズMLの光軸上に位置する。よって、対象グループO295に対応するマイクロレンズMLの位置を理想位置とすることが可能となり好適である。
また、アレイ配置工程では、その一方を素子基板293に当接させるとともにその他方をマイクロレンズアレイ299に当接させることで素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間隔を規定するスペーサ297が、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間に配置されるている。このようなラインヘッドの調整方法では、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との間隔がスペーサ297により規定された状態で、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との位置調整ができるため、簡便に高精度の位置調整が実現可能となっている。
また、上記ラインヘッド29では、像面(感光体ドラム表面)の移動に応じたタイミングで各発光素子2951が発光して、像面の移動方向に直交もしくは略直交する方向にスポットSPが並んで形成される。しかしながら、このように像面の移動に応じたタイミングで各発光素子2951を発光させて複数のスポットSPを形成する構成では、これらのスポットSPを像面の適切な位置に形成するとの観点から、発光素子2951とマイクロレンズMLとの位置関係に起因した結像位置のずれを抑制することがなおさら望まれる。したがって、かかる構成に対しては、本発明を適用することが特に好適である。
また、上記ラインヘッド29は、発光素子2951を発光させて射出される光ビームのマイクロレンズMLによる像の位置に基づいて、調整されている。したがって、マイクロレンズMLを仮装着した状態において、素子基板2951に対する照明が不十分で、発光素子2951の形状が読み取りずらい(つまり、発光素子2951のマイクロレンズMLによる像が良好に観察できず、結果として発光素子2951のマイクロレンズMLによる像の位置を特定できない)場合においても、発光素子2951を点灯させて、発光素子2951から射出される光ビームのマイクロレンズMLによる像を観察することで、実質的に発光素子2951のマイクロレンズMLによる像の位置を、容易に特定することが可能であり、好適である。
第2調整例
第1調整例では、1つの対象グループO295に対してのみ光軸調整処理を行った。しかしながら、2つの対象グループO295に対して光軸調整処理を行ってもよい。そこで、第2調整例では、2つの対象グループO295に対して光軸調整処理を実行する。
図22は、第2調整例におけるラインヘッドの調整装置を示す図である。同図が示すように、第2調整例における調整装置は、2つの観察光学系991,992を長手方向LDにおいて素子基板293の両端に配置している。つまり、後述の説明で明らかとなるように、2つの対象グループO295に対応して2つの観察光学系991,992を設けている。それ以外の調整装置の構成は、第1調整例と同様である。図23は、第2調整例における調整動作を示す正面図である。つまり、図23は、観察光学系が観る調整動作を示している。なお、第2調整例で実行する調整動作のフローは基本的に第1調整例と同様であるので、フローについては図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS101において、素子基板293を基板保持手段91に置く(基板配置工程)。ステップS102において、観察光学系991を用いて対象グループO295_1を観察するとともに、観察光学系992を用いて対象グループO295_2を観察する。なお、第2調整例では、幅方向WDに並ぶ3行のレンズ行MLRのうち真中のレンズ行MLRに属する複数のマイクロレンズMLのうち、両端に位置する2つのマイクロレンズMLそれぞれに対向する発光素子グループ295を対象グループO295_1,O295_2としている。ちなみに、左端側の対象グループに対しては符号O295_1を付し、右端側の対象グループに対しては符号O295_2を付した。そして、ステップS103において、対象グループO295_1の対称中心SC1と、対象グループO295_2の対称中心SC2とのそれぞれの位置に十字カーソルCCの照準点を合わせて、これら2つの十字カーソルCCそれぞれの照準点の位置を、対称中心SC1,SC2の位置に関する位置情報として取得する(位置情報取得工程)。
ステップS104において、マイクロレンズアレイ299を仮装着する。つまり、ステップS104では、図17を用いて説明したように、素子基板293の上にスペーサ297を載置し、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を配置する。このとき、複数のマイクロレンズMLのそれぞれが対応する発光素子グループ295に対向するように、マイクロレンズアレイ299を配置する(アレイ配置工程)。
そして、次にそれぞれの対称中心SC1,SC2に対して光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SC1に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e1,2951_f1を発光させるとともに、対称中心SC2に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e2,2951_f2を発光させる。このとき、対象グループO295_1,O295_2には、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e1,2951_f1から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e1,IE_f1として結像されるとともに、発光素子2951_e2,2951_f2から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e2,IE_f2として結像される。ここで、点MP1は像IE_e1,IE_f1の中点であり、点MP2は像IE_e2,IE_f2の中点である。そして、ステップS105に進んで、対称中心SC1,SC2それぞれの面内距離d21,d22が所定条件を満たすようにマイクロレンズアレイ299の位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第2調整例では、面内距離d21,d22がゼロとなるように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。つまり、観察光学系991,992から観て、中点MP1,MP2のそれぞれが対応する十字カーソルCCの照準点と一致させる。これにより、図23の「S104」の欄においては、それぞれ有限の長さを有する面内距離d21,d22が、同図「S105」の欄に示すようにゼロとなる。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第2調整例では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SC1,SC2の位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、互いに点対称な2つの発光素子2951の中点MP1,MP2との比較に基づいて、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。つまり、2つの面内距離d21,d22がゼロとなるように、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。よって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。その結果、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d21,d22が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
さらに、第2調整例では、2つの対象グループO295_1,O295_2に対して光軸調整処理を実行して、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整しており、第1調整例と比較してより高精度な調整が実現されている。
第3調整例
上記第1・第2調整例は、いずれも、マイクロレンズアレイ299におけるマイクロレンズMLの配列間隔と、素子基板293における発光素子グループ295の配列間隔とが、完全に同一かつ一様であるとの前提で説明を行った。つまり、例えば、第2調整例では、2つの対称中心SC1,SC2それぞれの面内距離d21,d22をゼロにすると説明した。しかしながら、実際の製造工程において形成されるこれらの部材(マイクロレンズアレイ299、素子基板293)は、長手方向LDにおいて素子基板293とマイクロレンズアレイ299との長さが異なっていたり、マイクロレンズアレイ299におけるマイクロレンズMLの配列間隔が一様でなかったり、素子基板293における発光素子グループ295の配列間隔が一様でなかったり、或いは、マイクロレンズMLの配列間隔と発光素子グループ295の配列間隔とが異なっていたりと、さまざまなバラツキが存在する可能性がある。したがって、必ずしも面内距離d21,d22の両方をゼロにすることが可能であるとは限らない。つまり、面内距離d21をゼロにすると、面内距離d22をゼロにすることが不可能である場合も考えられる。
そこで、次に、上述のバラツキが存在する場合であっても、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することを可能とする技術について説明する。なお、以下に説明する第3調整例では、バラツキの一例として、長手方向LDにおいて、マイクロレンズアレイ299が素子基板293よりも短いことを仮定している。
図24は、第3調整例における調整動作を示す正面図である。つまり、図24は、観察光学系が観る調整動作を示している。第3調整例でのラインヘッドの調整装置は、第2調整例のそれと同様である。また、第3調整例で実行する調整動作のフローは基本的に第1調整例と同様であるので、フローについては図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS101〜ステップS103の動作については、第2調整例と同様であるので、説明を省略する。ステップS104において、マイクロレンズアレイ299を仮装着する。つまり、ステップS104では、図17を用いて説明したように、素子基板293の上にスペーサ297を載置し、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を配置する。このとき、複数のマイクロレンズMLのそれぞれが対応する発光素子グループ295に対向するように、マイクロレンズアレイ299を配置する(アレイ配置工程)。
そして、次にそれぞれの対称中心SC1,SC2に対して光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SC1に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e1,2951_f1を発光させるとともに、対称中心SC2に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e2,2951_f2を発光させる。このとき、対象グループO295_1,O295_2のそれぞれには、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e1,2951_f1から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e1,IE_f1として結像されるとともに、発光素子2951_e2,2951_f2から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e2,IE_f2として結像される。ここで、点MP1は像IE_e1,IE_f1の中点であり、点MP2は像IE_e2,IE_f2の中点である。そして、ステップS105に進んで、対称中心SC1,SC2それぞれの面内距離d21,d22が所定条件を満たすようにマイクロレンズアレイ299の位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第3調整例では、対称中心SC1,SC2それぞれの面内距離d21,d22が案分されるように、つまり
d21=d22
となるように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。これにより、図24の「S104」の欄においては互いに異なる長さを有する面内距離d21,d22が、同図「S105」の欄に示すよう面内距離d21,d22の長さが互いに等しくなる。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第3調整例では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SC1,SC2の位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、互いに点対称な2つの発光素子2951の中点MP1,MP2との比較に基づいて、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。つまり、対称中心SC1,SC2それぞれの面内距離d21,d22が互いに等しくなるように、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。よって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。その結果、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d21,d22が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
さらに、第3調整例における光軸調整処理では、2つの面内距離d21,d22をゼロにするのではなく、面内距離d21,d22の長さが互いに等しくなるように調整している。このような調整処理は、製造工程において形成された素子基板293・マイクロレンズアレイ299にバラツキがある場合に特に好適である。つまり、このようなバラツキがあると、光軸調整処理において、面内距離d21,d22の両方をゼロにすることが不可能である場合が考えられる。その結果、光軸調整処理を終了できないという場合が考えられる。これに対して第3調整例における光軸調整処理では、面内距離d21,d22の長さが互いに等しくなるように調整しているため、光軸調整処理を終了できないという問題を回避することが可能となっており、好適である。
第4調整例
第3調整例では、素子基板293、マイクロレンズアレイ299にバラツキがある場合に好適である調整方法について説明した。しかしながら、これらの部材の製造工程に起因して発生する問題としては、上述のようなバラツキのみではなく、素子基板293・マイクロレンズアレイ299が湾曲するという問題が発生する場合がある。そこで、以下に説明する第4調整例では、このような湾曲が存在した場合においても、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能である技術について説明する。
図25は、素子基板の湾曲の様子を示す図である。なお、以下の説明では、素子基板293のみが図25に示すように湾曲しているものとし、マイクロレンズアレイ299は湾曲していないものとする。図26は、第4調整例における調整動作を示す正面図である。つまり、図26は、観察光学系が観る調整動作を示している。なお、第4調整例では、観察光学系は、3つの対象グループO295に一対一で対応して3つ設けられる。また、第4調整例で実行する調整動作のフローは基本的に第1調整例と同様であるので、フローについては図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
図25,21が示すように、第4調整例において素子基板293は湾曲している。つまり、素子基板293の中央に対して、素子基板293の右端または左端は、素子基板293の幅方向に距離f1だけずれている。そこで、第4調整例では、光軸調整処理を、「左端」「右端」「中央」の3箇所の対象グループO295_1,O295_2,O295_3について実行する。つまり、幅方向WDに並ぶ3行のレンズ行MLRのうち真中のレンズ行MLRに属する複数のマイクロレンズMLのうち、「左端」に位置するマイクロレンズMLに対応する対象グループO295_1の対称中心SC1と、「右端」に位置するマイクロレンズMLに対応する対象グループO295_2の対称中心SC2と、「中央」に位置するマイクロレンズMLに対応する対象グループO295_3の対称中心SC3に対して光軸調整処理を実行する。なお、「中央」に位置するマイクロレンズMLとは、レンズ行MLRが(2N+1)個のマイクロレンズMLで構成される場合は左或いは右から(N+1)番目のマイクロレンズMLを指し、レンズ行MLRが2N個のマイクロレンズMLで構成される場合は左或いは右からN番目のマイクロレンズMLを指す。ここでNは整数である。そして、ステップS103において、対称中心SC1,SC2,SC3それぞれの位置に十字カーソルCCの照準点を合わせて、これら3つの十字カーソルCCそれぞれの照準点の位置を、対称中心SC1,SC2,SC3の位置に関する位置情報として取得する(位置情報取得工程)。ちなみに、第4調整例においては、対称中心SC1,SC2,SC3それぞれに対して観察光学系が設けられているものとする。すなわち、第4調整例では、「左端」「右端」「中央」の3ヵ所に観察光学系が設けられている。
ステップS104において、マイクロレンズアレイ299を仮装着する。つまり、ステップS104では、図17を用いて説明したように、素子基板293の上にスペーサ297を載置し、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を配置する。このとき、複数のマイクロレンズMLのそれぞれが対応する発光素子グループ295に対向するように、マイクロレンズアレイ299を配置する(アレイ配置工程)。
次に、それぞれの対称中心SC1,SC2,SC3に対して光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SC1に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e1,2951_f1を発光させ、対称中心SC2に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e2,2951_f2を発光させ、対称中心SC3に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e3,2951_f3を発光させる。このとき、対象グループO295_1,O295_2,O295_3のそれぞれには、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e1,2951_f1から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e1,IE_f1として結像され、発光素子2951_e2,2951_f2から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e2,IE_f2として結像され、発光素子2951_e3,2951_f3から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e3,IE_f3として結像される。ここで、点MP1は像IE_e1,IE_f1の中点であり、点MP2は像IE_e2,IE_f2の中点であり、点MP3は像IE_e3,IE_f3の中点である。そして、ステップS105に進んで、面内距離が所定条件を満たすように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第4調整例では、対称中心SC1,SC2,SC3それぞれの面内距離d31,d32,d33の平均値、すなわち
av=(d31+d32+d33)/3
が最小となるように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。これにより、図26の「S104」の欄と「S105」の欄との比較からも判るように、対称中心SC1,SC2,SC3それぞれの面内距離d31,d32,d33を減少させることが可能となる。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第4調整例では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SC1,SC2,SC3の位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、互いに点対称な2つの発光素子2951の中点MP1,MP2,MP3との比較に基づいて、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。よって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。その結果、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d31,d32,d33が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
さらに、第4調整例においては、「左端」と「右端」以外の位置(同調整例では「中央」)にも対象グループを設け、これら3つの対象グループそれぞれの対称中心SCに対して光軸調整処理を実行している。よって、素子基板293の湾曲をも考慮して、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。
第5調整例
上述の第1〜第4調整例では、ラインヘッド29に求められる位置精度については、特に考慮してこなかった。しかしながら、ラインヘッド29に求められる位置精度は、ラインヘッド29の使用目的等によって異なる。つまり、例えば、ラインヘッド29を画像形成装置に用いるような場合、画像形成装置が実現しようとする解像度によって、ラインヘッド29に求められる位置精度は変わる。そこで、第5調整例では、所望の位置精度を簡便に実現する技術について説明する。
図27は、第5調整例で用いる十字カーソルの説明図である。第1〜第4調整例で用いた十字カーソルCCは、図27の上段に示す十字カーソルCCである。十字カーソルCCは、照準点APにおいて互いに交差する2つの直線により構成される。一方、第5調整例で用いる十字カーソルは、図27の下段に示す円付十字カーソルCCCである。円付十字カーソルCCCは、2本の直線が交わる照準点APを中心とする半径rの円CRを有する。よって、円CRの内側に存在する点は、照準点APからの距離が距離r未満となる。また、図28は、第5調整例における調整動作を示す正面図である。つまり、図28は、観察光学系が観る調整動作を示している。第5調整例でのラインヘッドの調整装置は、第3調整例のそれと同様である。また、第5調整例で実行する調整動作のフローは基本的に第1調整例と同様であるので、フローについては図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS101〜ステップS103の動作については、第3調整例と同様であるので、説明を省略する。つまり、第5調整例では、第3調整例と同様に「左端」「右端」に対象グループO295_1,O295_2を設定している。但し、ステップS103において、対称中心SC1,SC2の位置を取得する際に用いる十字カーソルが、円CRを設けた円付十字カーソルCCCである点においては異なる。
ステップS104において、マイクロレンズアレイ299を仮装着する。つまり、ステップS104では、図17を用いて説明したように、素子基板293の上にスペーサ297を載置し、さらにスペーサ297の上にマイクロレンズアレイ299を配置する。このとき、複数のマイクロレンズMLのそれぞれが対応する発光素子グループ295に対向するように、マイクロレンズアレイ299を配置する(アレイ配置工程)。
そして、次にそれぞれの対称中心SC1,SC2に対して光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SC1に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e1,2951_f1を発光させるとともに、対称中心SC2に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e2,2951_f2を発光させる。このとき、対象グループO295_1,O295_2のそれぞれには、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e1,2951_f1から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e1,IE_f1として結像されるとともに、発光素子2951_e2,2951_f2から射出された光ビームは、マイクロレンズMLにより像IE_e2,IE_f2として結像される。ここで、点MP1は像IE_e1,IE_f1の中点であり、点MP2は像IE_e2,IE_f2の中点である。そして、ステップS105に進んで、面内距離が所定条件を満たすように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第5調整例では、観察光学系991,992から観て、中点MP1,MP2のそれぞれが、対応する円付十字カーソルCCCの円CRの内側にくるように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。これにより、対称中心SC1,SC2の面内距離d21,d22は、距離r未満となる。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第5調整例では、第3調整例では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SC1,SC2の位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、互いに点対称な2つの発光素子2951の中点MP1,MP2との比較に基づいて、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。つまり、2つの面内距離d21,d22のいずれもが距離r未満となるように、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。よって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。その結果、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d21,d22が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
さらに、第5調整例では、面内距離d21,d22が距離r未満になったことをもって光軸調整処理を完了することが可能である。特に円付十字カーソルCCCを用いる方法においては、観察光学系991,992から観て、中点MP1,MP2が対応する円付十字カーソルCCCの円CRの内側に入ったことをもって、光軸調整処理を完了できる。よって、例えば、面内距離d21,d22がゼロとなるまで光軸調整処理を実行する等の必要がない。よって、光軸調整処理の簡素化が図られており好適である。また、距離rを適宜設定することで所望のラインヘッドの位置精度に対応した光軸調整処理の実行が可能であり、簡便に所望の位置精度を実現できるという点においても好適である。
第6調整例
第5調整例のように、円付十字カーソルCCCを用いる方法は、例えば、第4調整例で説明したような、3つの対象グループを設ける構成においても適用可能である。そこで、以下に説明する第6調整例では、第4調整例で説明した調整方法において、円付十字カーソルCCCを用いた調整方法について説明する。
図29は、第6調整例における調整動作を示す正面図である。つまり、図29は、観察光学系が観る調整動作を示している。第6調整例でのラインヘッドの調整装置は、第4調整例のそれと同様である。また、第6調整例で実行する調整動作のフローは基本的に第1調整例と同様であるので、フローについては図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS101〜ステップS103の動作については、第4調整例と同様であるので、説明を省略する。つまり、第6調整例では、第4調整例と同様に「左端」「右端」「中央」に対象グループO295_1,O295_2,O295_3を設定している。但し、ステップS103において、対称中心SC1,SC2,SC3の位置を取得する際に用いる十字カーソルが、円CRを設けた円付十字カーソルCCCである点においては異なる。
そして、次にそれぞれの対称中心SC1,SC2,SC3に対して光軸調整処理を実行する。この光軸調整処理では、まず、対称中心SC1に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e1,2951_f1を発光させ、対称中心SC2に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e2,2951_f2を発光させ、対称中心SC3に対して互いに点対称である2つの発光素子2951_e3,2951_f3を発光させる。このとき、対象グループO295_1,O295_2,O295_3のそれぞれには、対応するマイクロレンズMLが対向している。したがって、発光素子2951_e1,2951_f1から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e1,IE_f1として結像され、発光素子2951_e2,2951_f2から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e2,IE_f2として結像され、発光素子2951_e3,2951_f3から射出された光ビームはマイクロレンズMLにより像IE_e3,IE_f3として結像される。ここで、点MP1は像IE_e1,IE_f1の中点であり、点MP2は像IE_e2,IE_f2の中点であり、点MP3は像IE_e3,IE_f3の中点である。そして、ステップS105に進んで、面内距離が所定条件を満たすように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する(位置調整工程)。具体的には、第6調整例では、観察光学系から観て、中点MP1,MP2,MP3のそれぞれが、対応する円付十字カーソルCCCの円CRの内側にくるように、マイクロレンズアレイ299の位置を調整する。これにより、対称中心SC1,SC2,SC3の面内距離d31,d32,d33は、いずれも距離r未満となる。こうして光軸調整処理を実行することにより位置調整工程が完了すると、ステップS106において、マイクロレンズアレイ299、スペーサ297を素子基板293に対して固定する。これにより、マイクロレンズアレイ999は、素子基板293に装着される。
上述のとおり、第6調整例では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SC1,SC2,SC3の位置と、マイクロレンズアレイ299を仮装着した状態における、互いに点対称な2つの発光素子2951の中点MP1,MP2,MP3との比較に基づいて、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。つまり、対称中心SC1,SC2,SC3の面内距離d31,d32,d33のいずれもが距離r未満となるように、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。よって、発光素子2951とマイクロレンズMLとの相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。その結果、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を高精度に調整することが可能となっている。そして、このような調整を経てラインヘッド29を組み立てることで、面内距離d31,d32,d33が所定条件を満たした状態で、すなわち、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係が高精度に調整された状態で、マイクロレンズアレイ299は素子基板293に装着される。そして、このように高精度に調整されたラインヘッド29により画像形成を実行することで、良好な画像を形成することが可能となる。
さらに、第6調整例では、面内距離d31,d32,d33が距離r未満になったことをもって光軸調整処理を完了することが可能である。特に円付十字カーソルCCCを用いる方法においては、像IE1,IE2,IE3が対応する円付十字カーソルCCCの円CRの内側に入ったことをもって、光軸調整処理を完了できる。よって、例えば、面内距離d31,d32,d33がゼロとなるまで光軸調整処理を実行する等の必要がない。よって、光軸調整処理の簡素化が図られており好適である。また、距離rを適宜設定することで所望の位置精度に対応した光軸調整処理の実行が可能であり、簡便に所望の位置精度を実現できるという点においても好適である。
G.その他
このように上記実施形態では、長手方向LDおよび主走査方向MDが本発明の「第1方向」に相当し、幅方向WDおよび副走査方向SDが本発明の「第2方向」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上述の第2〜6調整例では、対象グループに対向するマイクロレンズMLはいずれも同一のレンズ行MLRに属する。つまり、同一のレンズ行MLRに対応する発光素子グループから対象グループを選んでいる。しかしながら、対象グループの設定の態様はこれに限られるものではなく、複数のレンズ行MLRに対応する発光素子グループから対象グループを選んでもよい。
図30、31は、対象グループの設定態様のバリエーションを示す図である。図30では、長手方向の両端にある2つのマイクロレンズのそれぞれに対応する発光素子グループを対象グループO295_1,O295_2としている。このとき、位置調整工程において、マイクロレンズアレイの長手方向の両端に位置する2つの対象グループO295_1,O295_2について光軸調整処理が実行され、マイクロレンズアレイと素子基板の相対的位置関係がより高精度に調整することが可能となり好適である。また、図31では、素子基板293の四隅にある発光素子グループを、対象グループO295_1〜O295_4としている。この場合、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との四隅の位置関係が調整されることとなり、マイクロレンズアレイ299と素子基板293との相対的位置関係がより高精度に調整されるため好適である。
また、上記実施形態では、光軸調整処理において面内距離が満たすべき「所定条件」の例として、第1・2調整例では「面内距離がゼロであること」を挙げ、第3調整例では、「複数の対象グループの対称中心SCそれぞれの面内距離が互いに等しいこと」を挙げ、第4調整例では、「複数の対象グループの対称中心SCそれぞれの面内距離の平均値が最小となること」を挙げ、第5・6調整例では、「面内距離が所定距離r未満であること」を挙げた。しかしながら、光軸調整処理において面内距離が満たすべき「所定条件」は、これに限られるものではなく、例えば、「複数の対象グループの対称中心SCそれぞれの面内距離の偏差が最小となること」としてもよい。つまり、第4調整例で、面内距離の平均値が最小となることを求める代わりに、面内距離d31〜d33の偏差
s=[{(d31−av)2+(d32−av)2+(d33−av)2)}/3]1/2
が最小となることを求めてもよい。また、面内距離d31〜d33のうちの最小の面内距離が極小となることを求めてもよい。
また、上記実施形態では、観察光学系を用いて対称中心SCの位置情報を取得するにあたり、十字カーソルCCまたは円付十字カーソルCCCを用いている。しかしながら、対称中心の位置情報を取得するにあたり、これらの十字カーソルを用いることは必須の要件ではない。つまり、1つの点からなる点カーソルを、上述してきた十字カーソルの照準点と同様に機能させて、対称中心SCの位置情報を取得してもよい。また、観察光学系に対して固定された十字スケールを用いてもよい。但し、この場合、対称中心SCの位置を取得するために観察光学系そのものを移動させる必要があり、そのための移動機構を観察光学系に設ける必要がある。よって、装置構成の簡便化という観点からは、観察光学系に対して可動なカーソルが好適である。
また、上記実施形態では、位置情報取得工程で十字カーソルCC,CCCの照準点を対称中心SCに合わした後は、かかる十字カーソルCCを素子基板293に対して固定している。しかしながら、位置情報取得工程で十字カーソルCC,CCCの照準点を対称中心SCに合わした後に、十字カーソルCC,CCCを対称中心SCから外すように構成することも可能である。つまり、位置情報取得工程では、マイクロレンズアレイ299を装着しない状態における対称中心SCの位置情報を取得することを目的とする。したがって、例えば、位置情報取得工程で十字カーソルCC,CCCの照準点を対称中心SCに合わした際に、該照準点の座標を位置情報として記憶して、以後の工程を実行しても良い。つまり、第1〜第6実施例では十字カーソルCC,CCCの照準点を対称中心SCの位置情報としていた代わりに、当該座標を位置情報として以後の工程を実行しても良い。
また、上記実施形態における位置調整工程では、マイクロレンズアレイ299を動かして、素子基板293とマイクロレンズアレイ299との相対的位置関係を調整している。しかしながら、これらの相対的位置関係の調整態様はこれに限られず、例えば、素子基板293を動かして調整してもよいし、素子基板293およびマイクロレンズアレイ299の両方を動かしてもよい。そして、これに対応して、位置調整手段を、素子基板293を動かすように構成してもよいし、素子基板293およびマイクロレンズアレイ299の両方を動かすように構成してもよい。但し、十字カーソルCC,CCCの照準点の位置を対称中心SCの位置情報とする構成においては、位置調整工程で素子基板293を動かす場合、該素子基板293の移動に伴って十字カーソルCC,CCCも動かす必要がある。なんとなれば、かかる構成の場合、十字カーソルCC,CCCの照準点が対称中心SCの位置情報として機能するため、位置調整工程の間、十字カーソルCC,CCCの照準点は対称中心SCに合っている必要があるからである。よって、構成の簡素化という観点からは、マイクロレンズアレイ299のみを動かして調整する構成が好適である。
また、上記実施形態では、発光素子2951として有機ELを用いたが、発光素子2951の具体的構成はこれに限られるものではなく、例えばLED(Light Emitting Diode)を発光素子2951として用いても良い。ただし、発光素子2951としてLEDを用いるためには、素子基板293にLEDチップを配列することとなる。その結果、発光素子2951の配置の自由度が下がる。よって、比較的自由に発光素子2951を素子基板293に配列可能であるという観点から、有機ELを発光素子2951として用いるのが好適である。
また、上述の通り発光素子2951としては有機ELが好適ではあるが、FL(Fluorescent Lamp)管等の蛍光管や無機EL等の自発光素子を光源とするシャッターアレイ(ライトバルブ)を用いることも可能である。つまり、光の通過を制御する各シャッターを通過した光ビームをマイクロレンズMLにより結像するように構成することで、シャッターアレイの各シャッターを、発光素子2951の如く機能させることが可能である。
また、上述の実施形態では、発光素子グループ295を、対称中心SCに対して点対称に配置された10個の発光素子2951により構成している。しかしながら、発光素子グループ295を構成する発光素子2951の数はこれに限られるものではない。また、上述の実施形態では、発光素子グループ295を、発光素子行2951Rを幅方向WDに2行並べて構成している。しかしながら、発光素子グループ295の構成態様はこれに限られるものではなく、発光素子行2951Rを幅方向WDに3行並べて発光素子グループ295を構成しても良いし、1行の発光素子行2951Rにより発光素子グループ295を構成しても良い。要は、対称中心SCに対して点対称に発光素子2951を配置して発光素子グループ295を構成したラインヘッド全般に対して、本発明を適用可能である。
図32および図33は、発光素子グループ295の変形例を示す図である。図32に示す変形例1では、3行の発光素子行2951R_1〜2951R_3が幅方向WDに並んでおり、各発光素子行2951R_1〜2951R_3は何れも長手方向LDに並ぶ7個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されているとともに、対称中心SCに発光素子2951が在る。
図32に示す変形例2では、3行の発光素子行2951R_1〜2951R_3が幅方向WDに並んでおり、各発光素子行2951R_1〜2951R_3は何れも長手方向LDに並ぶ8個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。
図32に示す変形例2では、3行の発光素子行2951R_1〜2951R_3が幅方向WDに並んでいる。発光素子行2951R_1,2951R2は何れも長手方向LDに並ぶ8個の発光素子2951から構成される一方、発光素子行2951R_2は長手方向LDに並ぶ7個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。
図33に示す変形例4では、4行の発光素子行2951R_1〜2951R_4が幅方向WDに並んでおり、各発光素子行2951R_1〜2951R_4は何れも長手方向LDに並ぶ7個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。
図33に示す変形例5では、4行の発光素子行2951R_1〜2951R_4が幅方向WDに並んでおり、各発光素子行2951R_1〜2951R_4は何れも長手方向LDに並ぶ8個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。
図33に示す変形例6では、4行の発光素子行2951R_1〜2951R_4が幅方向WDに並んでおり、各発光素子行2951R_1〜2951R_4は何れも長手方向LDに並ぶ8個の発光素子2951から構成されている。そして、各発光素子2951は対称中心SCに対して点対称に配置されている。
なお、各変形例1〜6において、対称中心SCは次のようにして求めることができる。つまり、各図における左上発光素子2951_luと右下発光素子2951_rdとを繋いでできる線と、左下発光素子2951_ldと右上発光素子2951_ruとを繋いでできる線との交点として、対称中心SCは求めることができる。
また、上述の実施形態では、レンズ行MLRを3行並べて、マイクロレンズアレイ299を構成しているが、マイクロレンズアレイ299の構成態様はこれに限られるものではない。つまり、例えば、1行のレンズ行MLRのみでマイクロレンズアレイ299を構成してもよいし、2行のレンズ行MLRでマイクロレンズアレイ299を構成してもよい。
また、上記実施形態では、倒立等倍の光学特性を有するマイクロレンズMLを用いた。しかしながら、本発明に用いることができるマイクロレンズMLはこれに限られず、要は、非正立等倍の光学特性を有するマイクロレンズMLであれば、本発明に用いることができる。より具体的に言うと、本発明を実施するにあたっては、倒立等倍以外に、倒立拡大、倒立縮小、正立拡大、正立縮小のいずれかの光学特性を有するマイクロレンズMLを用いることができる。
ところで、光軸調整処理において高精度の位置調整を実現するという観点からは、マイクロレンズMLの理想位置からのずれを高精度に検知することが望ましい。そして、上記実施形態では、かかるずれを面内距離として検知している。したがって、高精度の位置調整という観点からは、小さなずれを大きな面内距離として表すのが好適である。よって、かかる観点からは、マイクロレンズMLは、倒立拡大系あるいは正立拡大系(つまり、拡大光学系)であることが好適である。
図34は、倒立拡大の光学特性の説明図である。同説明図では、2つの発光素子OJ1,OJ2に対向して、倒立拡大の光学特性を有する結像光学系OPSが配置されている。そして、2つの発光素子OJ1,OJ2から射出された光ビームは、結像光学系OPSにより結像面SIMに結像される。このとき、発光素子OJ1から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ1の反対側の結像位置IM1に結像される。なお、結像位置IM1から光軸OAまでの距離は、発光素子OJ1から光軸OAまでの距離よりも大きい。また、発光素子OJ2から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ2の反対側の結像位置IM2に結像される。なお、結像位置IM2から光軸OAまでの距離は、発光素子OJ2から光軸OAまでの距離よりも大きい。
正立拡大の光学特性を以下に説明する。発光素子OJ1,OJ2に対向して、倒立拡大の光学特性を有する結像光学系が配置されている。そして、発光素子OJ1,OJ2から射出された光ビームは、結像光学系により結像面SIMに結像される。このとき、発光素子OJ1から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ1と同じ側の結像位置IM1に結像される。なお、結像位置IM1から光軸OAまでの距離は、発光素子OJ1から光軸OAまでの距離よりも大きい。また、発光素子OJ2から射出された光ビームは、光軸OAに対して、発光素子OJ2と同じ側の結像位置IM2に結像される。なお、結像位置IM2から光軸OAまでの距離は、発光素子OJ2から光軸OAまでの距離よりも大きい。
上述のとおり、高精度の位置調整という観点からは、小さなずれを大きな面内距離として表すのが好適である。そして、面内距離を大きくするという観点からは、上述の倒立光学系と正立光学系のうち、特に倒立光学系が好適である。この理由は次のとおりである。
上述したとおり、正立光学系では、物点OJ(上記説明では発光素子OJ1,OJ2が対応)と該物点OJからの光束が結像される結像位置IM(上記説明では結像位置IM1,IM2が対応)は、光軸OAに対して同じ側にある。換言すれば、対称中心SCと光軸OAとの距離をD(SC)と、該対称中心SCにある仮想物点の像と光軸OAとの距離をD(IM)とすると、正立光学系における対称中心SCの面内距離は、
D(IM)−D(OJ)
と、2つの距離の差で与えられる。一方、物点OJと該物点OJからの光束が結像される結像位置IMは、光軸OAに対して逆側にある。よって、倒立光学系における対称中心SC面内距離は、
D(IM)+D(OJ)
と、2つの距離の和で与えられる。この結果、倍率が同じであっても、倒立光学系の方が正立光学系よりも面内距離が大きくなる傾向にある。よって、倒立光学系の方が、より高精度の位置調整が可能となり好適である。
また、観察光学系99,991,992としては、光学顕微鏡やCCD(Charge Coupled Devices)カメラ等を用いることができる。特に光軸調整処理の自動化という観点からは、CCDカメラが好適である。なんとなれば、CCDカメラが取得した映像をコンピュータに取り込むことで、画像認識技術を用いて、光軸調整処理を自動化することが可能となるからである。このとき、ストロークの進退を電気的に制御可能であるマイクロメータヘッドによりアレイ移動機構を構成すると良い。つまり、コンピュータにより、CCDカメラが取得した映像に基づいてアレイ移動機構を制御することで、光軸調整処理を自動的に実行することが可能となる。
また、このように、CCDカメラが取得した映像をコンピュータに取り込んで画像認識技術を用いた構成の場合、位置情報取得工程において十字カーソルCC,CCC等を用いないように構成することも可能である。つまり、コンピュータに取り込んだ映像から対称中心SCの座標を求め、当該座標を対称中心SCの位置情報として以後の工程を実行するように構成しても良い。
また、CCDカメラを用いて自動的に光軸調整処理を実行する場合、CCDカメラが取得した映像をモニタに映し出すように構成しても良い。なんとなれば、自動的に実行される光軸調整処理を、製造工程の管理者が確認することが可能となるからである。また、この際、2つの観察光学系991,992を用いて光軸調整処理を行う構成においては、2つの観察光学系991,992が取得した映像を、モニタに並べて映し出すことが好適である。
また、一般にラインヘッドの各発光素子から射出される光ビームの結像状態は、発光素子毎に僅かに異なる。そして、ラインヘッドを用いて画像を形成する場合、かかる差異が画質に影響する場合がある。そこで、ラインヘッドの出荷時には、全ての発光素子の結像状態の検査する出荷検査が必要となる場合が多い。しかしながら、上述のCCDカメラを備えた構成の場合、かかるCCDカメラを出荷検査に用いればよく、構成の簡素化が可能となり好適である。
また、上記調整例においては、発光素子2951が射出した光をマイクロレンズMLが結像することでスポットSPが形成される像面(感光体ドラム表面に相当する面)を、仮想垂直面HPL(図21)として光軸調整処理は実行されても良い。なんとなれば、このように調整されたラインヘッド29は良好なスポットを像面に形成することができるからである。
29…ラインヘッド、 293…素子基板、 295…発光素子グループ、 2951…発光素子、 297…スペーサ、 299…マイクロレンズアレイ、 9…ラインヘッドの調整装置、 91…基板保持手段、 93,95,97…アレイ移動機構、 99,991,992…観察光学系、 O295,O295_1,O295_2,O295_3,O295_4…対象グループ、 SC,SC1,SC2,SC3…対称中心、 IE_e1,IE_f1,IE_e2,IE_f2,IE_e3,IE_f3…像、 HPL…仮想垂直面、 d1,d21,d22,d31,d32,d33…面内距離、 r…所定距離、 CC…十字カーソル、 CCC…円付十字カーソル、 ML…マイクロレンズ、 LD…長手方向、 WD…幅方向、 MLR…レンズ行、 SG…スポットグループ、 BC…スポットグループSGの重心点、 db…二点間距離、 Psp…スポットピッチ