JP2008204723A - 燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ASTM D882に準ずる縦方向の引張り弾性率が6.9〜17GPaである支持フィルムの片面または両面に、離型性フィルムが積層されていることを特徴とする燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。前記離型性フィルムはフッ素樹脂からなることが好ましい。また、該燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムは、厚さが10〜300μmであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
この用途に用いられるキャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、離型剤コートPETフィルム、フッ素樹脂フィルムが一般的である。
しかし、これらのフィルムのうち、PETフィルムは離型性が悪い。また、離型剤コートPETフィルムは、燃料電池用部材を形成する際に離型剤が移行し、燃料電池用部材の性能低下を引き起こす。また、フッ素樹脂フィルムは、離型性は良いが、その反面、フィルムがやわらかく、取り扱い性が悪い。
このような問題に対し、フッ素樹脂フィルムと、フッ素樹脂より剛性のより高いフィルムとを積層した積層フィルムをキャリアフィルムとして用いることが提案されている(特許文献1参照。)。
また、特許文献3には、ポリエチレンナフタレートの両面にテトラフルオロエチレン−エチレン系共重合体のフィルムが積層された積層フィルムが開示されている。
しかし、上記のような従来の積層フィルムであっても、燃料電池用部材の製造時、特にロールツーロールでの製膜を行う場合や、乾燥温度が高い場合に、キャリアフィルムにシワが発生しやすい問題があり、燃料電池用部材の生産性を充分に向上させることは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、燃料電池用部材の製造時にシワが発生しにくく、燃料電池用部材の生産性に優れる燃料電池製造プロセス用キャリアフィルムを提供することを目的とする。
[1]ASTM D882に準ずる縦方向の引張り弾性率が6.9〜17GPaである支持フィルムの片面または両面に、離型性フィルムが積層されていることを特徴とする燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
[2]前記支持フィルムの厚さが3.5〜200μmである[1]に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
[3]前記離型性フィルムがフッ素樹脂からなる[1]または[2]に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
[4]前記離型性フィルムの厚さが1〜50μmである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
[5]厚さが10〜300μmである[1]〜[4]のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
[6]前記支持フィルムの170℃での縦方向の引張り弾性率が1〜17GPaである[1]〜[5]のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
本発明の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム(以下、本発明のキャリアフィルムということがある。)は、特定の支持フィルムの片面または両面に離型性フィルムが積層されたものである。かかる構成を有することにより、燃料電池製造プロセスにおいて充分な取り扱い性と、離型性の機能とを両立できる。また、生産上問題となるシワの発生を防止でき、生産性を向上できる。
本発明のキャリアフィルムに用いられる支持フィルムは、ASTM D882に準ずる縦方向(以下、MDという。)の引張り弾性率(23℃50%RHの環境下で測定。以下、MD引張り弾性率[ASTM D882]という。)が6.9〜17GPaである。MD引張り弾性率[ASTM D882]が6.9GPa未満の場合、燃料電池製造プロセス用途に用いられるキャリアフィルムとしての引張り弾性率が充分ではなく、燃料電池用部材の形成時の乾燥温度が170℃以上であると、フィルム搬送により加わる張力によって、シワや歪が発生し易く、得られる燃料電池用部材の平坦性を低下させてしまう。また17GPaを超える場合は、キャリアフィルムが硬く脆くなるため扱いづらい。
MD引張り弾性率[ASTM D882]という。)は、8〜17GPaが好ましく、8〜16GPaがより好ましい。
本発明における支持フィルムは、170℃におけるMDの引張り弾性率(以下、MD引張り弾性率[170℃]という。)が1〜17GPaであることが好ましく、2〜15GPaがより好ましい。1GPaに満たない場合、燃料電池用部材を高温で形成する時にシワが発生し易い。この理由としては、支持フィルムと離型性フィルムとの熱膨張(熱収縮)性が異なるため、乾燥時に加わる温度により、フィルムに歪が発生し易いためであると推定される。また、MD引張り弾性率[170℃]が高いほど、燃料電池用部材の形成時において、高い温度条件に耐えうることから好ましい。そのため、MD引張り弾性率[170℃]の上限は、特に限定されず、適宜決定すればよいが、17GPa超であると製造が容易でない。
170℃におけるMDの引張り弾性率は、前記ASTM D882に規定される測定温度(23℃)を170℃に変更する以外は、前記ASTM D882に準ずるMDの引張り弾性率と同様に測定される。
上記所定の物性を有するフィルムの市販品としては、例えば、ユーピレックス−S(ポリイミドフィルム、宇部興産社製)、アラミカ(アラミドフィルム、帝人アドバンストフィルム社製)等が挙げられる。
支持フィルムは、離型性フィルムとの密着性を向上するための表面処理として、コロナ放電処理やプラズマ処理が施されていてもよい。
支持フィルムは、扱いやすさとコストとを考慮すると、厚さが3.5〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。3.5μm以上であると扱いやすく、100μm以下であると、フィルムの剛性が高くなりすぎず、扱いやすい。また、コストも抑えられる。
離型性フィルムとしては、離型性を有するフィルムであればよく、従来公知のものを利用できる。特に、フッ素樹脂フィルムが、他の比較した場合明らかに離型性がよいため好ましい。
フッ素樹脂フィルムの材質としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、EPE(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリビニルフルオライド)、THV(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体)、VDF−HFP(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、TFE−P(フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体)から選ばれる少なくとも1種類以上のフッ素樹脂が好ましい。成形性および離型性の点から、特にFEPおよび/またはETFEが好ましい。
フッ素樹脂フィルムとしては、市販のものを利用できる。たとえば、ETFEフィルムの市販品としては、アフレックス(旭硝子社製)、トヨフロンE(東レフィルム加工社製)、ネオフロンETFE(ダイキン工業社製)等が挙げられる。FEPフィルムの市販品としては、トヨフロンE(東レフィルム加工社製)、ネオフロンFEP(ダイキン工業社製)等が挙げられる。
離型性フィルムは、支持フィルムとの密着性を向上するための表面処理として、コロナ放電処理やプラズマ処理が施されていてもよい。
離型フィルムの厚さは、扱いやすさとコストとのバランスを考慮すると、1〜50μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。
支持フィルムと離型性フィルムとの積層方法は、特に限定されない。一般な方法としては、ドライラミネート法、熱ラミネート法及び押出しラミネート法等が挙げられる。
[実施例1]
支持フィルムとしてポリイミドフィルム(商品名:ユーピレックス−12.5SN、厚さ:12.5μm、宇部興産社製)、離型性フィルムとしてETFEフィルム(商品名:アフレックス 12N600S、厚さ:12μm、片面コロナ放電処理、旭硝子社製)を、それぞれ500mm幅にて用いた。
支持フィルムの両側に、それぞれ、離型性フィルムを、コロナ放電処理面が内側になるように重ね、その状態で、それぞれ表面温度が180℃の金属ロールとゴムロールとの間を通して加熱、線圧20kN/mにて加圧することにより積層して、厚さ36.5μmのキャリアフィルムを得た。
支持フィルムとしてアラミドフィルム(商品名:アラミカ、厚さ:12μm、帝人アドバンストフィルム社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ36μmのキャリアフィルムを得た。
支持フィルムとしてPETフィルム(商品名:テトロンNS、厚さ:12μm、テイジンデュポン社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ36μmのキャリアフィルムを得た。
500mm幅のETFEフィルム(商品名:アフレックス 50N500NT、厚さ:50μm、旭硝子社製)をキャリアフィルムとした。
支持フィルムとしてポリエチレンナフタレートフィルム(商品名:テオネックスQ51、厚さ:12μm、テイジンデュポン社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ36μmのキャリアフィルムを得た。
[評価1]
<触媒層形成用塗工液の作製>
CF2=CF2とCF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO2Fとを共重合させ、加水分解により−SO2Fを−SO3Hに変換した共重合体(イオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)と、白金をカーボン上に50質量%担持させた担持触媒とを、質量比2:5の割合で、エタノールと水との混合分散媒(質量比で1:1)に分散させ、固形分濃度8質量%の触媒層形成用塗工液を得た。
連続塗工乾燥装置を用い、500mm幅のキャリアフィルム上に、触媒層形成用塗工液を、480mmの塗工幅にダイコート法にて乾燥後の膜厚が10μmになるように塗工し、180℃の熱風乾燥炉で滞留時間1分にて乾燥を行い、触媒層を形成した。該触媒層がその表面に形成されたキャリアフィルムを、外径76mmの紙管に長さ50m巻き取った。
1)乾燥時のシワ発生状態:乾燥後、巻き取る前の、触媒層がその表面に形成された上記キャリアフィルムを目視により観察し、シワがほとんどないものを○(良)、シワが若干(許容レベル)あるものを△(可)、シワが許容でないレベルであるものを×(不良)とした。
2)巻取りロールの状態:巻き取ったキャリアフィルムの巻取りロール姿を目視により観察し、シワおよび凹凸がほぼないものを○(良)、シワおよび凹凸が若干(許容レベル)あるものを△(可)、シワおよび凹凸が許容できないレベルであるものを×(不良)とした。
3)切り出し時の状態:巻取りロールから長さ1mに切り出し、平坦な台に広げたキャリアフィルムを目視により観察し、シワおよび歪(波打ち)状態がほとんどないものを○(良)、若干(許容レベル)あるものを△(可)、許容できないレベルであるものを×(不良)とした。
これらの結果を、表1に示す。
一方、比較例1〜3は、シワや波打ちなどのひずみが発生し、使用に耐えうるものではなかった。特に比較例2は、シワや波打ちが大きく発生していた。そのため、巻取りロール姿が悪く、長さ30m巻取った時点でこれ以上の巻き取りは困難と判断し、巻き取りを中止した。
Claims (6)
- ASTM D882に準ずる縦方向の引張り弾性率が6.9〜17GPaである支持フィルムの片面または両面に、離型性フィルムが積層されていることを特徴とする燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
- 前記支持フィルムの厚さが3.5〜100μmである請求項1に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
- 前記離型性フィルムがフッ素樹脂からなる請求項1または2に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
- 前記離型性フィルムの厚さが1〜50μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
- 厚さが5〜200μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
- 前記支持フィルムの170℃での縦方向の引張り弾性率が1〜17GPaである請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池製造プロセス用キャリアフィルム。
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