JP2008201056A - 積層体 - Google Patents

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【課題】 透明基材上に、高屈折率及び高アッベ数を有し、かつ無色透明な有機膜が形成された積層体を提供すること。
【解決手段】 透明基材の少なくとも片面に、下記一般式(1)で表される環状化合物よりなる膜(A)が形成されていることを特徴とする積層体。
【化1】
Figure 2008201056

〔ここで、a、b、c、dはそれぞれ0〜2の整数である(但し、a〜dが同時に0とはならない。)。X、Yは、同じでも異なってもよく、ハロゲン、チオール基、CH2SH
、フェニル基、もしくはベンジル基である。m、nは、0〜2の整数である。zは、1〜10の整数である。〕

Description

本発明は、様々な光学材料、電子材料、機能性フィルム・シート等の用途に有効な積層体であり、透明基材の表面に、高屈折率を有する有機系の環状化合物が形成された積層体に関するものである。
光学分野においては、光の透過や屈折などの制御のために、屈折率の異なる各種材料が使用されている。特に、ディスプレイやレンズなどの用途においては、透明基材上に、高屈折材料あるいは低屈折材料よりなる薄膜を形成した光学部材が汎用されている。例えば、ガラスや樹脂フィルムなどの透明基材上に、高屈折率なTiO2膜と低屈折率なSiO2膜を交互に積層した反射防止フィルムなどがある。これらの高/低屈折率膜は、従来、無機材料を用いて、蒸着などのドライプロセスで形成されることが多かった。これは、無機材料は多種多様であり、広範囲に屈折率を選定できること、また、一般的に、ドライプロセスで得られる膜は、均質であり、膜厚の均一性に優れ、高い表面平滑性や信頼性を有するためである。
一方、低コスト化の観点から、また、樹脂フィルムとの密着性の観点から、近年、有機材料を用いて、ウェットプロセスにより高/低屈折率膜を形成した光学部材も報告されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、高屈折率を有する材料が少なく、高屈折率であっても着色していたり、色分散(低アッベ数)が大きいなどの問題があった。更に、成膜の手法においても、ウェットプロセスでは、ドライプロセスに比べて、膜厚や平滑性に関して高精度な膜が得られないなどの問題もあった。
更に、近年、液晶や有機ELなどのディスプレイ用途においては、輝度向上の観点から、高屈折率有機材料が強く求められている。これらの用途においては、一般的に、透明基材上に、導電膜や半導体膜などの高屈折率を有する無機膜が形成されている。かかる膜の屈折率は1.8以上であることが多く、一方、基材となるガラスや樹脂の屈折率は1.4〜1.6程度であり、両者の屈折率差が大きいほど界面反射が増大するため、輝度が低下することになる。また、光が高屈折率膜を伝搬するため、外部への光取り出し効率が低下する。輝度向上のため、ひいては低消費電力化のため、ディスプレイ部材の光線透過率は0.1%でも向上させることが求められており、これらの問題を回避するには、基材と高屈折率無機膜の間に、中間の屈折率(1.6〜1.8)を有する膜を、膜厚を十分制御して形成することが好ましい。特に、フレキシブルディスプレイを指向する際には、柔軟な有機膜で中間膜を形成することが特に好ましいのである。
特開平11−002702号公報 特開2000−017099号公報
本発明は、このような背景下において、透明基材上に、高屈折率及び高アッベ数を有し、かつ無色透明な有機膜が形成された積層体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、分子内にフェニレン基、チオエーテル基及びメチレン基を有する特定構造の有機系の環状化合物を用いて膜を形成することにより、高屈折率及び高アッベ数を有し、かつ無色透明な膜を形成することができ、とりわけ光学材料、電子材料、機能性フィルム・シート等の用途に有効な積層体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、透明基材の少なくとも片面に、下記一般式(1)で表される環状化合物よりなる膜(A)が形成されてなることを特徴とする積層体に関するものである。
Figure 2008201056

〔ここで、a、b、c、dはそれぞれ0〜2の整数である(但し、a〜dが同時に0とはならない。)。X、Yは、同じでも異なってもよく、ハロゲン、チオール基、CH2SH
、フェニル基、もしくはベンジル基である。m、nは、0〜2の整数である。zは、1〜10の整数である。〕
本発明の積層体は、表面に、高屈折率、高アッベ数、かつ無色透明な有機膜を有し、好ましくは、蒸着により高精度な膜が形成されているため、高屈折率及び高アッベ数を有し、かつ無色透明な膜を形成することができ、様々な光学材料、電子材料、例えば、眼鏡、ビデオ、カメラ用のレンズ、液晶、有機/無機EL、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池用の光学フィルム、光ディスク、光カードなどの記憶・記録媒体、更には機能性フィルム・シート、反射防止膜、光学多層膜等各種光学フィルム・シート・コーティング用途などに有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の透明基材の少なくとも片面に形成される膜(A)は、上記一般式(1)で表される構造の有機系環状化合物よりなるものであり、好ましくは下記一般式(2)で表される構造の環状化合物よりなるものである。
Figure 2008201056

〔ここで、zは、1〜10の整数である。〕
本発明では、一般式(1)において、a、b、c、dはそれぞれ0〜2の整数であり、同時に0とはならない。a、b、c、dはそれぞれ、好ましくは0または1であり、特にはすべてが1であることが好ましい。一般的に、フェニレン基とチオエーテル基が直接結合すると着色しやすい傾向があり(a、b、c、dのいずれかが0の場合)、また、屈折率の波長依存性、即ち色分散が増大する傾向があるという点からもa、b、c、dがすべて1であることが好ましい。a、b、c、dのいずれかが上限値を超えると、高屈折率化が得られない。X、Yは、高屈折率化を達成するため一般的に使用される置換基であり、同じでも異なってもよく、ハロゲン、チオール基、CH2SH、フェニル基、もしくはベンジル基である。中でも化合物の安定性の点から、ハロゲン、フェニル基が好ましく、更には膜の色相の点からハロゲンが好ましい。m、nは、0〜2の整数であり、好ましくは0または1であり、更に好ましくは0である。m、nのいずれかが上限値を超えると、フィラーとしての安定性に劣る傾向にある。また、一般式(1)及び一般式(2)におけるzは1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜3である。zが0であると得られる化合物は不安定となり、上限値を超えると蒸着することが困難となる。
かかる上記一般式(1)で表される環状化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2008201056

Figure 2008201056
Figure 2008201056

Figure 2008201056


Figure 2008201056

Figure 2008201056
Figure 2008201056
上記の環状化合物において、本発明では特に、フェニレン基をメタ体とすることが好ましく、それにより、該環状化合物の合成が容易になり、純度良く、安価に環状化合物を合成することができるのである。なお、本発明においては、一般式(1)で表される構造の環状化合物を複数含んでいても良い。
これらの中でも特に好ましくは、合成の容易さから、上記の化式(a)の化合物、化式(b)の化合物、もしくは化式(a)と化式(b)の化合物よりなる組成物である。更に好ましくは、蒸着のしやすさから化式(a)の化合物である。
次に、本発明で用いられる環状化合物の製造方法について説明する。
本発明で用いられる環状化合物の製造方法としては、公知の手法を用いることができるが、2個以上のクロロメチル基を有するベンゼン誘導体と2個以上のメルカプト基を有するベンゼン誘導体を反応させる手法が好ましい。
2個以上のクロロメチル基を有するベンゼン誘導体としては、ジクロロ−o−キシリレン、ジクロロ−m−キシリレン、ジクロロ−p−キシリレン、1−クロロ−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1−メルカプト−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1−メルカプトメチル−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1−フェニル−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1−ベンジル−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼンなどの2個のクロロメチル基を有するベンゼン誘導体、1,3,5−トリス(クロロメチル)ベンゼンなどの3個のクロロメチル基を有するベンゼン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、ジクロロ−m−キシリレン、1−クロロ−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼンが好ましく、より好ましくはジクロロ−m−キシリレンである。
2個以上のメルカプト基を有するベンゼン誘導体としては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3―ジメルカプトベンゼン、1,4―ジメルカプトベンゼン、1−メルカプト−2−メルカプトメチルベンゼン、1−メルカプト−3−メルカプトメチルベンゼン、1−メルカプト−4−メルカプトエチルベンゼン、ジメルカプト−o−キシリレン、ジメルカプト−m−キシリレン、ジメルカプト−p−キシリレン、1−クロロ−3,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1−フェニル−3,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1−ベンジル−3,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンなどの2個のメルカプト基を有するベンゼン誘導体、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1−メルカプト−3,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ジメルカプト−5−メルカプトメチルベンゼンなどの3個のメルカプト基を有するベンゼン誘導体などが挙げられる。これらの中では、ジメルカプト−m−キシリレン、1−クロロ−3,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが好ましく、より好ましくはジメルカプト−m−キシリレンである。
以下、上記環状化合物の製造方法の具体例として、ジクロロ−m−キシリレンとジメルカプト−m−キシリレンを用いた製造例を説明する。但し、かかる例に限定されるものではない。
上記の環状化合物は、有機溶剤中でジクロロ−m−キシリレンとジメルカプト−m−キシリレンを反応させることにより得られる。反応触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩を用いることが好ましい。有機溶剤としては、メタノール、DMF、DMSOなど通常の有機溶剤が使用可能である。反応温度は、0℃〜200℃が好ましく、より好ましくは100℃〜150℃である。反応により得られた環状化合物は、洗浄や晶析などの手法で精製することができる。洗浄溶剤としては、水が好ましい。また晶析溶剤としては、DMFやトルエンが好ましい。得られた環状化合物の同定法としては、赤外吸収、NMR、GAS―MASSなどの手法を用いることができる。
上記方法で得られた環状化合物において、その粒径は、通常、数nm〜数十万nmであり、具体的には10〜100000nm、好ましくは100〜10000nmである。
かくして本発明で用いられる環状化合物は、上記の通り、フェニレン基とチオエーテル基を有しているため高屈折率化を達成することができるものであり、高屈折率を有する有機膜を形成することができる。また、フェニレン基とチオエーテル基の間に、メチレンスペーサーを配置することにより、無色透明であり、かつ低色分散(高アッベ数)を達成することができる。更に、化学構造的に歪みの少ない環状構造を有するため、化学的にも物理的にも安定であり、有機系であるため低温で蒸着することが可能である。
本発明で用いられる透明基材としては、透明であれば特に限定されないが、ガラス、樹脂、あるいは金属酸化物よりなるシート、フィルム、曲率や凹凸を有するレンズ、プリズム、各種形状を有する構造体などが挙げられる。これらの中では、樹脂フィルムが好ましく、かかる樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル(PES)、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、非晶性ポリオレフィン、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、架橋性アクリル、エポキシ樹脂などが挙げられる。
樹脂フィルムの厚さは、一般的に0.01〜1mmである。なお、本発明における透明とは、光線透過率が70%以上であることを意味する。好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。
本発明において、環状化合物により形成される膜(A)は、透明基材の少なくとも片面に形成される。この場合、膜(A)は透明基材の全面に形成される必要は無く、高屈折率膜が必要な箇所に、マスキングやエッティングなどの手法を用いて、選択的に形成することも可能である。例えば、高屈折率な光導波路を作製する場合は、回路状に形成することも可能である。複雑な形状を有する構造体を基材として使用する場合にも、膜(A)は、高屈折率化が必要な箇所に形成されていればよい。
膜(A)の膜厚は、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。かかる膜厚が薄すぎても厚すぎても膜厚精度が低下する傾向がある。
本発明において、環状化合物により形成される膜(A)の屈折率は、1.6以上が好ましく、より好ましくは1.65〜1.8、更に好ましくは1.67〜1.75である。屈折率が低すぎると高屈折率化が十分でない傾向となる。膜(A)の屈折率は、環状化合物の密度や結晶状態に依存するが、温度や真空度など膜形成の手法により適宜調整することができる。
本発明において、環状化合物により形成される膜(A)のアッベ数は、20以上が好ましく、より好ましくは25以上、更に好ましくは30以上である。アッベ数が低すぎると、色分散が大きいため、光学部材の光学設計が困難となる傾向がある。膜(A)のアッベ数は、環状化合物の密度や結晶状態に依存するが、温度や真空度など膜形成の手法により適宜調整することができる。なお、一般的に、アッベ数の上限値は60である。
また、透明基材の少なくとも片面に膜(A)が形成された積層体の光線透過率は、70%以上であることことが好ましく、特には80%以上、更には85%以上であることが好ましい。
次に、本発明おける膜(A)の形成方法について説明する。
本発明で用いられる環状化合物は、粉末状あるいは結晶状の固体であり、加熱により融解し、更に、高温に加熱すると蒸発する。融点並びに沸点は、環状化合物の化学構造や組成に依存するが、おおむね融点は50〜200℃、沸点は150〜300℃である。従って、環状化合物を、50℃以上で融解して基材上に塗布したり、150℃以上に加熱して基材へ蒸着することが可能である。もちろん、一般的なウェットコート法の様に、溶剤に溶解した後、基材上に塗布し、溶剤を乾燥して、膜を形成することも可能である。また、一般的な蒸着法のように、真空下で蒸着することも可能である。
光学用途においては、光学的に高精度な膜が要求され、上述したとおり、膜の均質性や膜厚精度などが重要である。これらの観点から、膜(A)の形成は、ドライプロセスにより行われることが好ましい。ドライプロセスとしては、蒸着、スパッタなど公知の手法が挙げられるが、本発明においては、装置の簡易さから蒸着が好ましい。蒸着の手法は、特に限定されないが、例えば、環状化合物をるつぼ等の容器に入れて、加熱することにより揮発させ、るつぼ上部に配置された基材の表面に、常圧で堆積する手法や、あるいは、同様の手法を真空下で、より低温で行う手法が挙げられる。
成膜された膜(A)は、熱処理することも可能である。熱処理により、結晶化を促進し、膜の屈折率を向上することができる。熱処理する時の温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃である。なお、熱処理は大気下でも、不活性ガス下で行ってもよい。
本発明の膜(A)上には、酸化珪素を主成分とする膜(B)、及び/または屈折率1.8以上の膜(C)が形成されていることが好ましい。これらの膜は、膜(A)の保護、ガスバリア性の付与、あるいは、本発明の積層体を用いた光学部材の光学設計のために形成されるものである。
酸化珪素を主成分とする膜(B)の形成手法は特に限定されないが、光学的な精度から、蒸着やスパッタなどのドライプロセスが好ましい。膜(B)の膜厚は1〜1000nmが好ましく、より好ましくは5〜700nm、更に好ましくは10〜500nmである。膜厚が薄すぎると膜厚精度が劣る傾向にあり、また、ガスバリア性も劣る傾向にある。逆に、膜厚が厚すぎるとフィルムを曲げた際にクラックが入りやすくなる傾向にある。
屈折率1.8以上の膜(C)の具体例としては、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、スズを含む酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含む酸化スズ(ATO)、フッ素を含む酸化スズ(FTO)、アルミニウムを含む酸化亜鉛(AZO)、ガリウムを含む酸化亜鉛(GZO)などの導電膜が挙げられる。
膜(C)の形成手法は特に限定されないが、光学的な精度から、蒸着やスパッタなどのドライプロセスが好ましい。膜(C)の膜厚は10〜10000nmが好ましく、より好ましくは20〜1000nm、更に好ましくは30〜500nmである。膜厚が薄すぎると膜厚精度が劣る傾向にあり、また、導電性も劣る傾向にある。逆に、膜厚が厚すぎるとフィルムを曲げた際にクラックが入りやすくなる傾向にある。
かくして本発明の積層体が得られるが、かかる積層体の層構成としては、例えば、
基材/(A)
基材/(A)/(B)、
基材/(A)/(C)、
基材/(A)/(B)/(C)、
(A)/基材/(A)、
(A)/基材/(A)/(B)、
(A)/基材/(A)/(C)、
(B)/(A)/基材/(A)/(B)、
(B)/(A)/基材/(A)/(B)/(C)
(C)/(B)/(A)/基材/(A)/(B)/(C)
等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各評価方法は以下の通りである。
(全光線透過率)
長さ50×幅50(mm)の試験片を用いて、日本電色社ヘイズメーター「NDH−2000」で、全光線透過率を測定した。
(屈折率、アッベ数)
アタゴ社製アッベ屈折率計「1T(NaD線)」にて23℃で測定した。
(色相)
長さ50×幅50(mm)の試験片を用いて、日本電色社製色差計Σ90で、透過測定モードによりb値を測定した。
(表面硬度)
JIS K−5600−5−4:1999に準じて鉛筆硬度を測定した。
<実施例>
[環状化合物の合成]
フラスコに、ジクロロ−m−キシリレン174部、ジクロロ−m−キシリレン179部、メタノール1000部を入れ、氷冷した。次いで、水酸化ナトリウム86部をメタノール1000部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、更に、3時間室温で攪拌した。水3000部を加えて生成物を完全に析出させた後、1ミクロンの濾紙で濾過し、1000部の水で洗浄した。得られたウェットケーキをビーカーに取り、DMF300部を加え、130℃に加温して完全に溶解させた。水3000部を加えて再度析出させ、1ミクロンの濾紙で濾過し、1000部の水で洗浄した。得られたウェットケーキを減圧で乾燥し、658gの生成物(白色粉末)を得た。DSCよりこの生成物の融点は120℃、沸点は300℃であった。
得られた化合物の赤外吸収のチャートを図1に、1H−NMRのチャートを図2に示す。図1と図2より、生成物が化式(2)で表される構造を持つ環状化合物であることが確認された。
[赤外吸収](図1参照)
810〜750cm-1にベンゼンm−置換体に由来するシグナルが観察された。
1H−NMR](図2参照)
6.8〜7.4ppmにベンゼンm−置換体のプロトンに由来するシグナルが、また3.5〜3.8ppmに環状化合物のメチレンに由来するシグナルがそれぞれ観測された。
[膜(A)の形成:積層体(I)]
上記で得られた環状化合物をるつぼに入れ、300℃まで加熱し、厚さ300μmのポリカーボネート製フィルムの片面に、厚さ200nmの膜(A)を形成した。得られた膜(A)の屈折率は1.673、アッベ数は31.2であった。また、得られた積層体の全光線透過率や色相は表1に示されるとおりである。
[膜(B)の形成:積層体(II)]
得られた積層体の膜(A)上に、保護膜として、スパッタ法にて100℃で厚さ20nmの酸化珪素膜を成膜した。かかる保護膜(B)の表面硬度を表1に示す。
[膜(C)の形成:積層体(III)]
得られた積層体の膜(A)上に、スパッタ法にて100℃で厚さ200nmのITO膜(屈折率2.0)を成膜して、透明導電性フィルムを得た。得られたフィルムの全光線透過率を表1に示す。
<比較例>
厚さ300μmのポリカーボネート製フィルムの片面に、スパッタ法にて100℃で厚さ200nmのITO膜(屈折率2.0)を成膜して、透明導電性フィルムを得た。得られたフィルムの全光線透過率を表1に示す。
Figure 2008201056
表からも明らかなように、比較例では積層体(III)の全光線透過率が82%であるのに対して、実施例では83%であり、実施例のほうが優れている。これは、輝度向上の点、ひいては低消費電力化の点から、ディスプレイ部材の光線透過率は0.1%でも向上させることが求められている現状においては、非常に大きな差を有するものである。
本発明の積層体は、様々な光学材料、電子材料、例えば、眼鏡、ビデオ、カメラ用のレンズ、液晶、有機/無機EL、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池用の光学フィルム、光ディスク、光カードなどの記憶・記録媒体、更には機能性フィルム・シート、反射防止膜、光学多層膜等各種光学フィルム・シート・コーティング用途などに有用である。
実施例1で得られた環状化合物(A)の赤外吸収チャートである。 実施例1で得られた環状化合物(A)の1H−NMRチャートである。

Claims (8)

  1. 透明基材の少なくとも片面に、下記一般式(1)で表される環状化合物よりなる膜(A)が形成されてなることを特徴とする積層体。
    Figure 2008201056

    〔ここで、a、b、c、dはそれぞれ0〜2の整数である(但し、a〜dが同時に0とはならない。)。X、Yは、同じでも異なってもよく、ハロゲン、チオール基、CH2SH、フェニル基、もしくはベンジル基である。m、nは、0〜2の整数である。zは、1〜10の整数である。〕
  2. 環状化合物が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の積層体。
    Figure 2008201056

    〔ここで、zは、1〜10の整数である。〕
  3. 透明基材が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 膜(A)の屈折率が、1.6以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
  5. 膜(A)のアッベ数が、20以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の積層体。
  6. 膜(A)が、蒸着により形成されることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の積層体。
  7. 膜(A)上に、酸化珪素を主成分とする膜(B)が形成されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の積層体。
  8. 膜(A)上に、屈折率1.8以上の膜(C)が形成されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の積層体。
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