JP2008200614A5 - - Google Patents

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一酸化炭素酸化触媒およびその製造方法、水素生成装置、ならびに燃料電池システム
本発明は、主として、水素含有ガス中の一酸化炭素を選択的に酸化する一酸化炭素酸化触媒に関する。
高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、酸素と水素との反応により発電する。水素の工業的な製造方法としては、水の電気分解が知られているが、炭化水素ガスの改質も行われている。炭化水素ガスの改質法には、水蒸気改質法、部分酸化法、これらを組み合わせたオートサーマル法などがある。これらの改質法では、改質器によるメタン、エタン、プロパン、ブタン、都市ガス、LPガスまたはその他の炭化水素ガス(二種類以上の炭化水素の混合ガスを含む)の改質が行われ、水素及び一酸化炭素を含む水素含有ガスが生成される。
PEFCに導入される水素含有ガス中の一酸化炭素(CO)の含有量(体積割合)は、50ppm程度が限界であり、これを越えると、電池性能が著しく低下する。よって、水素含有ガスに含まれるCOは、PEFCへ導入する前に、できる限り除去する必要がある。水素含有ガス中のCO含有量は、10ppm以下であることが望ましい。
しかし、水蒸気改質によって得られる水素含有ガスには、水素の他に、未反応のメタン、未反応の水蒸気、炭酸ガスが含まれ、更に通常8〜15体積%程度のCOが含まれている。そこで、CO濃度を低減するために、通常、PEFCに供給される水素含有ガスを生成する水素生成装置は、シフト反応によりCOを低減するための変成器及び酸化反応によりCOを低減するCO除去器を備えている。まず、改質器にて生成した水素含有ガスは、変成器へ送られる。変成器では、下記反応(1)により、COが炭酸ガスと水素に変換される。
ただし、反応(1)では、COを十分に除去できないため、水素含有ガスには微量のCOが残留する。そこで、反応(1)を経た水素含有ガスを、空気等の酸化剤とともに、一酸化炭素酸化触媒(CO酸化触媒)を含む触媒構造体を有するCO除去器に導入する。水素含有ガスが上記CO除去器内の触媒構造体を通過する際に、下記反応(2)により、COの更なる酸化が行われる。こうしてCO濃度が50ppm以下、好ましくは10ppm以下に低減された水素リッチガスが、PEFCのアノードに供給される。
CO+H2O→CO2+H2 (1)
CO+1/2O2→CO2 (2)
幅広い温度範囲でCOを低濃度(例えば、10ppm以下)まで除去できるCO酸化触媒として、γ−アルミナにRuを担持した触媒(Ru/γ−Al23)が知られている。Ru/γ−Al23は、CO酸化触媒として広く用いられている(非特許文献1)。
S. H. Oh, R. M. Sinkevitch, J. Catal, vol. 142, p254, 1993
家庭用燃料電池システムでは、運転効率を上げるために、夜間にはシステムを停止し、翌日に起動する運転方法(DSS運転)がある。上記運転方法を用いると、起動/停止の際にCO酸化触媒が、水素含有ガス中の水蒸気の凝縮により、濡れてしまうことがある。例えば、システムの起動時には、CO酸化触媒が十分に加熱されていない状態で、水蒸気を含む水素含有ガスがCO除去器に供給されると、CO酸化触媒の濡れが起こる場合がある。
また、システムの異常停止時や停電時には、原料および水の改質器への供給を停止し、水素生成装置内の残留ガスをパージせずに、運転を停止する場合がある。
この場合、水素生成装置内には、水素含有ガスが滞留する。よって、水素生成装置が自然放冷されることで、水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、CO酸化触媒が濡れてしまう。このように、システムの起動もしくは停止の度にCO酸化触媒が濡れると、触媒特性が低下することが明らかになっている。
本発明は、上記従来の課題を解決するためのもので、システムが起動/停止を繰り返してCO酸化触媒に水濡れが発生しても、活性の低下の少ないCO酸化触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、上記CO酸化触媒をCO除去器の触媒に用いることで、長期に安定した運転を継続することが可能な水素生成装置及びこれを備える燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記起動/停止の繰り返しに伴うCO酸化触媒の劣化には、CO酸化触媒の担体であるアルミナがアルミナ水和物に変化する際の形状の変化に原因があると推測した。また、この形状の変化が、CO酸化触媒のシンタリングやCO酸化触媒の担体内部への埋伏による触媒の不活性化を招くものと推測した。そして、鋭意検討の結果、予め担体であるアルミナの一部、特に表面を、アルミナ水和物に変化させたものを担体として用いることで、起動/停止の繰り返しに伴う水和物への変化及びそれに伴う担体の形状の変化を抑制でき、CO酸化触媒の活性低下を抑制できることを見出した。
上記課題を解決するため、本発明の一酸化炭素酸化触媒は、担体と、前記担体に担持された触媒金属とを備え、前記担体が、アルミナ及びアルミナ水和物を含み、前記触媒金属が、ルテニウムを含む、ことを特徴とする。
ここで、本発明の一酸化炭素酸化触媒は、アルミナが、例えば、γ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、δ−アルミナ、κ−アルミナおよびχ−アルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、アルミナ水和物が、例えば、ベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、ことを特徴とする。
また、本発明の一酸化炭素酸化触媒の製造方法は、アルミナを、水を含む雰囲気中で加熱し、前記アルミナの一部をアルミナ水和物に変換することにより、触媒担体を得る工程と、触媒担体に、ルテニウムを含む触媒金属を担持させる工程とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の水素生成装置は、原料から、水素と一酸化炭素とを含む水素含有ガスを発生させる改質器と、上記本発明の一酸化炭素酸化触媒を有し、前記一酸化炭素酸化触媒を用いて水素含有ガス中の一酸化炭素を酸化反応により低減するCO除去器と、前記CO除去器に酸化ガスを供給する酸化ガス供給器とを備える、ことを特徴とする。
本発明の燃料電池システムは、上記本発明の水素生成装置と、前記水素生成装置から供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池とを備える、ことを特徴とする。
本発明により、起動/停止の繰り返しによりCO酸化触媒に水蒸気が凝縮して、水濡れが発生しても、活性の低下の少ない一酸化炭素酸化触媒を得ることができる。また、本発明の一酸化炭素酸化触媒をCO除去器の触媒として用いることにより、長期に安定した運転を継続することが可能な水素生成装置及び燃料電池システムを得ることができる。
本発明は、担体と、担体に担持された触媒金属とを含む一酸化炭素酸化触媒に関する。担体は、アルミナとアルミナ水和物とを含み、触媒金属は、ルテニウムを含む。ここで、アルミナとは、結晶水を含まないアルミナ単体を意味し、アルミナ水和物とは区別される。
アルミナは、比表面積の大きな活性アルミナであることが好ましい。活性アルミナは、例えば、γ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、δ−アルミナ、κ−アルミナおよびχ−アルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルミナのBET比表面積は、例えば、100m2/g以上であることが、CO酸化触媒粒子の高分散化の点から好ましい。なかでも、γ−アルミナは比表面積が大きく、触媒担体として好適である。一方、α−アルミナは、上記の活性アルミナと比べて比表面積が小さい。そのため、α−アルミナに触媒金属を担持させても、十分な初期活性が得られない場合がある。
アルミナ水和物は、例えば化学式Al23・nH2O(n=1〜3)で表すことができる。n=1のアルミナ水和物としては、例えば、ダイアスポア、ベーマイト、擬ベーマイトなどが挙げられる。n=3のアルミナ水和物としては、例えば、バイヤライト、ジブサイト、ノルドストランダイトなどが挙げられる。なかでも、高い比表面積を有するなどの点から、アルミナ水和物は、ベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の触媒担体の材料は、アルミナとアルミナ水和物とを含む物質であることが好ましいが、特に、少なくとも表面がアルミナ水和物で覆われているアルミナであることが好ましい。表面がアルミナ水和物で覆われているアルミナは、例えば、γ−アルミナを水熱処理することで得られる。γ−アルミナを水熱処理することで、アルミナの少なくとも表面にベーマイトおよび擬ベーマイトが容易に生成する。
ここで、触媒担体がアルミナ水和物を含まず、アルミナ単体(Al23・nH2O(n=0))だけを含む場合、触媒の濡れが発生すると、触媒特性が低下する。担体であるアルミナは、水濡れにより、アルミナ水和物に変化する。その際、担体は形状の変化を伴う。この形状の変化が、CO酸化触媒のシンタリングやCO酸化触媒の担体内部への埋伏による触媒の不活性化を招くものと推測される。
触媒担体がアルミナ単体を含まず、アルミナ水和物だけを含む場合、触媒の濡れにより、担体であるアルミナ水和物が更に水和物に変化し、担体の形状の変化をもたらす可能性は低い。ただし、アルミナ水和物は、一般的にアルミナに比べ、比表面積が小さく、単位体積当たりの触媒担持量(活性点)が少なくなる。
これに対して、本発明では、予め担体であるアルミナの一部、特に表面を、アルミナ水和物に変化させたものを担体として用いる。これにより、CO酸化触媒の水濡れによるアルミナのアルミナ水和物への変化及びそれに伴う担体形状の変化を抑制できる。よって、アルミナ単体の場合よりも、起動/停止の繰り返しによる触媒活性の低下が起きにくい。また、担体がアルミナ水和物に比べて比表面積の大きいアルミナ部分を有するため、アルミナ水和物単体の場合に比べ、単位体積当たりの触媒担持量(活性点)も多く、好ましい。
触媒担体において、アルミナとアルミナ水和物との合計に占めるアルミナ水和物の量は、5重量%以上であることが好ましい。これにより、水蒸気が凝縮して濡れが発生しても、活性の低下の少ないCO酸化触媒が得られる。
触媒担体に含まれるアルミナ水和物の量は、以下の要領で求めることができる。例えば、結晶水が除去される温度で触媒担体を焼成し、焼成前後の触媒担体の重量差を測定することにより、アルミナ水和物の含有量が求められる。つまりTG−DTAでの重量減に基づき、アルミナ水和物の含有量が求められる。
触媒担体がアルミナだけでなくアルミナ水和物を含むことは、例えば、X線回折(XRD)において、2θ=14.5°、28.2°、38.2°、49.0°にアルミナ水和物に固有のピークが観測されることで確認できる。
赤外分光法(IR)でも、触媒担体がアルミナ水和物を含むことを確認することができる。IRの場合、3100〜3700cm-1の領域のOH伸縮振動に帰属される微細構造から、触媒担体がアルミナ水和物を含むことが示唆される。
電位差滴定によって、触媒担体の表面に存在するOH基の酸強度分布を求めることにより、アルミナおよびアルミナ水和物の同定を行ってもよい。電位差滴定では、例えばHNO3やNaOHを用いて、水溶液中で、触媒担体の滴定を行う。
触媒担体は、上述のように、例えば水熱処理(hydrothermal treatment)により得ることができる。水熱処理では、アルミナを水を含む雰囲気中で加熱して、アルミナの一部をアルミナ水和物に変換する。水を含む雰囲気は、水中でもよく、水蒸気雰囲気中でもよい。
水を含む雰囲気には、様々な添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酢酸、フェノールなどが挙げられる。例えば、酢酸水溶液を用いることにより、アルミナ水和物の生成が促進される。
アルミナ水和物の生成は、特にアルミナの表面で進行しやすい。よって、水熱処理により得られた触媒担体は、表層部にアルミナ水和物を多く含むと考えられる。
担体に担持されている触媒金属であるルテニウムの状態は、特に限定されない。Ruは金属状態であってもよく、化合物の状態であってもよい。ルテニウムは、例えば、酸化ルテニウム(RuO、RuO2、Ru23等)や水酸化ルテニウム(Ru(OH)3等)の状態で担体に担持されていてもよい。ただし、Ruが化合物の状態である場合には、COの酸化を行う前に、化合物を還元して、Ruを活性化させる操作を行う。
担体に担持されるルテニウムの量は、担体(アルミナとアルミナ水和物との合計)100重量部あたり、例えば1〜2重量が好適である。
本発明のCO酸化触媒は、アルミナとアルミナ水和物とを含む担体に、ルテニウムを含む触媒金属を担持させることで得られる。担体にルテニウムを担持させる方法は、特に限定されない。例えば、出発材料であるルテニウム化合物を含む水溶液に、担体を浸漬し、その後、水分を蒸発させることにより、担体にルテニウム化合物を担持させる。その後、ルテニウム化合物を還元する。なお、予めアルミナにルテニウムを担持させた後、ルテニウムを担持したアルミナに水熱処理を施し、その後、アルミナ水和物を生成させてもよい。
出発材料であるルテニウム化合物としては、例えば、酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、塩化ルテニウム酸、臭化ルテニウム酸、ヨウ化ルテニウム酸、塩化ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸ナトリウム、ニトロシル硝酸ルテニウム、硫酸ルテニウムなどが挙げられる。
担体に担持されたルテニウムは、還元処理を行うことで、活性化する。還元方法には、例えば湿式還元、水素還元などがある。湿式還元では、ヒドラジン、ホルマリン、蟻酸などの還元剤を用いる。水素還元は、例えば、常圧5%H2/Heの水素雰囲気中で行う。水素雰囲気は、水素の他に窒素を含むことができる。
還元処理は、低温(例えば200℃〜300℃)で行うことが好ましい。還元処理を高温(例えば500℃)で行うと、アルミナ水和物が脱水されてしまう場合がある。還元処理の時間は、2〜3時間が好適である。
次に、本発明のCO酸化触媒を用いた水素生成装置について説明する。
水素生成装置は、改質器と、変成器と、CO除去器とを含む。改質器では、炭化水素を含む原料と水蒸気から、水素と一酸化炭素とを含む水素含有ガスを発生させる。ここで、炭化水素には、アルカン、アルケン、アルキン、アルコール、エーテルなどが用いられる。具体的には、メタン、メタノール、ジエチルエーテルなどが用いられる。
変成器は、Cu−Zn触媒等で例示される変成触媒を用いて、水蒸気シフト反応(反応式(1))により、改質器から供給された水素含有ガスに含まれるCOをCO2と水素に変成し、CO量を低減する。
変成器を通過した水素含有ガスは、本発明の一酸化炭素酸化触媒を含む触媒構造体を有するCO除去器に供給される。変成器とCO除去器との間には、水素含有ガスに酸化ガスを供給する酸化ガス供給器が設けられている。酸化ガス供給器から酸化ガスを供給することにより、酸化ガスと混合された水素含有ガスが、CO酸化触媒を含む触媒構造体を通過する。その際に、酸化反応により、水素含有ガス中のCO量が低減される。
酸化ガス供給器からは、酸化ガスとして、例えば空気が供給される。空気の供給量は、水素含有ガスと空気との混合ガスに含まれる酸素濃度が、CO濃度の例えば1〜3倍程度となるように調節することが好ましい。例えば、混合ガスにおけるCO濃度が1体積%の場合、酸素濃度が1〜3体積%となるように空気を供給する。酸化ガスと混合された水素含有ガスは、触媒構造体を通過し、その際、反応(2):CO+1/2O2→CO2によりCOが酸化される。
触媒構造体の形態は、特に限定されない。例えば、CO酸化触媒を、所定の形状に成形したり、所定の空間に充填したり、基材に担持させたりすることにより、触媒構造体が得られる。成形体の形状は、特に限定されない。例えば、球状、ペレット状、円筒状、ハニカム状、螺旋状、粒状、リング状などに成形する。触媒を担持させる基材は、ハニカム状、発泡体などであることが好ましく、基材の材料は、コージェライト、ムライトなどのセラミックス、ステンレス鋼などの金属が好ましい。
変成触媒を通過後の水素リッチガスの組成は、改質方法、原料である炭化水素の種類によって異なる。一概には云えないが、水蒸気を除くと、例えば水素が40〜80体積%、二酸化炭素が8〜25体積%、COが0.1〜2体積%である。例えば、メタンから得られる水素リッチガスの変成器を通過した後の組成は、水素が約80体積%、二酸化炭素が18〜20体積%およびCOが数千ppm〜1体積%である。すなわち、本発明の水素生成装置では、CO濃度が数十ppm〜数体積%に低減された水素含有ガス(水素リッチガス)を安定的に得ることができる。
原料が、低温で改質反応が可能なアルコールやエーテルを含む場合、改質後のガスにおけるCO濃度が1体積%前後となる場合がある。この場合、水素含有ガス中の一酸化炭素を、変成触媒による変成反応で低減することは、必ずしも必要ではない。なお、水素含有ガスの組成の違いにより、本発明のCO酸化触媒により得られる効果に本質的な違いが生じることはない。
次に、本発明の燃料電池システムについて説明する。
燃料電池システムは、上記の水素生成装置と、水素生成装置から供給される水素含有ガス中の水素を燃料として発電する燃料電池とを含む。燃料電池の形態は、特に限定されない。燃料電池のアノードで消費されなかった水素含有ガスは、アノードオフガス流路を介して、改質器を加熱するための燃焼器に供給され、燃焼燃料として用いられる。なお、水素生成装置から供給される水素含有ガスは、起動時においては、切り替え器を、バイパス流路側に切り替える。バイパス流路は、燃料電池をバイパスして、アノードオフガス流路に接続されている。このバイパス流路を介して、水素含有ガスが燃焼器に供給される。起動が完了すると切り替え器は、燃料電池側に切り替えられ、水素生成装置から送出された水素含有ガスは、燃料電池に供給される。
本発明の燃料電池システムは、本発明のCO酸化触媒を用いたCO除去器を有する水素生成装置を備えているため、システムの起動/停止の繰り返しに伴うCO酸化触媒の劣化が抑制されている。よって、燃料電池には、長期間にわたり、CO濃度が十分低減された水素含有ガスが供給される。このため、燃料電池システムを、長期間にわたり、安定して運転することができる。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(i)CO酸化触媒の作製
球状のγ−アルミナ(住友化学(株)製のNKHD−24、平均粒径約3mm)を水熱処理した。具体的には、γ−アルミナと、25%重量%の酢酸を含む水溶液とを、オートクレーブ中に入れ、300℃で3時間、加熱した。その結果、得られた担体を、XRDで分析したところ、担体がベーマイトとγ−アルミナとを含むことが確認できた。また、TG−DTAでの重量減より、担体に含まれるベーマイトの含有量は、15重量%であった。
その後、担体を、硝酸ルテニウムを5重量%含む水溶液に浸漬し、攪拌しながら水分を除去して、硝酸ルテニウムを担体に担持させた。
その後、ヒドラジンを用いて、硝酸ルテニウムを還元し、触媒(A)を得た。触媒(A)において、担持されたルテニウムの量は、担体100重量部あたり、2重量部とした。
(ii)初期特性の測定
触媒(A)を、固定床流通反応装置に設置し、改質模擬ガスを、露点64℃の水ともに、GHSV(ガス空間速度)6600h-1で導入した。改質模擬ガスの組成は、一酸化炭素:0.5体積%、二酸化炭素:10体積%、水素:89.5体積%とした。
触媒の上流に空気供給部を設け、空気に含まれる酸素と、改質模擬ガスに含まれるCOとのモル比:[O2]/[CO]が2となるように空気を供給した。そして、装置出口から排出されるガスから水蒸気を除去した後、ガスクロマトグラフィでガスの組成を測定した。改質模擬ガスを固定床流通反応装置に流通させる際、触媒を電気炉で加熱し、触媒の温度を変化させた。触媒の温度は、触媒の上流部に接した熱電対により測定した。
その結果、触媒の温度は、高過ぎても、低過ぎても、CO濃度が高くなることがわかった。すなわち、CO除去に最適な触媒の温度領域が存在した。表1に、CO濃度を10ppm以下にできる触媒の上限温度と下限温度とを示す。
(iii)起動停止模擬試験
水蒸気の凝縮が起こる条件で、起動停止模擬試験を行った。露点64℃の水蒸気を含む改質模擬ガスを、上記の反応条件と同じ流速で流通させながら、電気炉の温度が130℃になるまで、昇温速度2.5℃/minで、固定床流通反応装置を加熱した。
昇温を始めた後、しばらくの間は、露点以下の温度で露点64℃のガスが触媒に供給された。そのため、触媒に水蒸気が凝縮し、触媒温度は露点付近で一度一定となった。その後、触媒が乾き始めると、触媒温度は再び上昇を始めた。
触媒温度が電気炉温度付近まで上昇した後、前記反応条件相当、すなわち、改質模擬ガスに含まれるCOとのモル比:[O2]/[CO]が2となるように空気を供給し、30分間、触媒温度を150℃に維持してCOの酸化反応を行った。
その後、改質模擬ガスの流通を停止し、固定床流通反応装置に、脱硫処理した都市ガスを流通させた。その状態で、触媒温度を50℃になるまで降温させた。この操作を2000回繰り返し、その後、再び触媒活性の温度依存性を調べた。結果を表1に示す。
《比較例1》
γ−アルミナに水熱処理を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして触媒(B)を作製した。触媒(B)に関しても、実施例1と同様にして、初期特性および起動停止模擬試験を確認した。
《比較例2》
擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(LaRoche Chemical社製のVersal250)を、バインダーとしてのアルミナゾルと混合した。得られた混合物を押し出し成形し、直径2〜4mmの球形に整粒し、その後、250℃で焼成し、担体を得た。この担体を用いたこと以外、実施例1と同様にして触媒(C)を作製した。
触媒(C)に対してXRD測定を行ったところ、アルミナを示すピークは認められず、擬ベーマイト構造が保持されていた。
触媒(C)に対しても、実施例1と同様にして、初期特性の測定および起動停止模擬試験を行った。
Figure 2008200614
表1より、初期特性では、触媒(A)と触媒(B)のCO除去に最適な触媒の温度領域は、触媒(C)のそれよりも広く、触媒(A)と触媒(B)とでは同等レベルであった。一方、起動停止模擬試験後では、触媒(A)のCO除去に最適な触媒の温度領域は、触媒(B)のそれよりも、かなり広くなった。触媒(A)においても、起動停止模擬試験後には、CO濃度を10ppm以下にできる上限温度がわずかに低下したが、下限温度はあまり上昇しなかった。触媒(C)は、起動停止模擬試験後には、CO濃度を10ppm以下にすることができなくなっていた。
以上より、触媒(A)の高温での活性の低下の度合いは、触媒(B)のそれに比べ小さいことが理解できる。このことから、アルミナに適度な水熱処理を施し、アルミナの一部を水和物にすることで、装置の起動/停止に伴う水蒸気の凝縮によるCO酸化触媒の活性の低下を抑制できることがわかった。
本発明のCO酸化触媒は、水蒸気が凝縮して濡れても、特性の低下を抑制することができる。よって、CO濃度の低い水素リッチガスを長期間に亘って安定的に得ることができる。その結果、水素を燃料として用いる燃料電池システムを、長期間に亘って安定的に運転することができる。
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