JP2008195107A - ウインドスロッブ低減装置 - Google Patents

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信幸 岩崎
Yasuyuki Hoshina
康幸 保科
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裕康 加藤
Yusuke Sugita
祐輔 杉田
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Abstract

【課題】サイドウインド開口部が開いた際に、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させることができ、且つ、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させるためのアクチュエータを不要にできるウインドスロッブ低減装置を提供する。
【解決手段】リアウインド開口部30の車両前端側、且つ、リアドアガラス28の車内側にディフレクタ60を配設する。ディフレクタ60を、車両上下方向に延在する軸線回りに回動可能とし、トーションバネによりリアドアガラス28側へ付勢する。また、ディフレクタ60の下端部を車両後方へかけて車両上方へ傾斜するテーパ部とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、ウインドスロッブを低減するウインドスロッブ低減装置に関する。
サイドウインド開口部の開度や車速に応じて、車体の左右に設けられた乱れ生成板(ディフレクタ)の車室外側への突出量を変更することにより、サイドウインド開口部で発生するウインドスロッブを低減するウインドスロッブ低減装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このウインドスロッブ低減装置では、乱れ生成板を変位させるためのモータ等のアクチュエータが必要となるため、コスト上の問題がある。
実開平5−62392号公報
本発明は上記事実を考慮し、サイドウインド開口部を開放させた際に、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させることができ、且つ、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させるためのアクチュエータを不要にできるウインドスロッブ低減装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載のウインドスロッブ低減装置は、ウインドガラスにより開閉されるサイドウインド開口部の前端側、且つ、前記ウインドガラスの車内側に、車両上下方向に延在する軸線回りに回動可能に配設されたディフレクタと、前記ディフレクタを前記ウインドガラス側に付勢する付勢手段と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載のウインドスロッブ低減装置では、ディフレクタが、サイドウインド開口部の前端側、且つ、ウインドガラスの車内側に配設されている。このディフレクタは、車両上下方向に延在する軸線回りに回動可能とされており、付勢手段によりウインドガラス側に付勢されている。
これにより、サイドウインド開口部が開いた際に、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させることができ、且つ、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させるためのアクチュエータを不要にできる。
請求項2に記載のウインドスロッブ低減装置は、請求項1に記載のウインドスロッブ低減装置であって、前記ディフレクタの少なくとも車両後端下部は、上昇中の前記ウインドガラスから押された前記ディフレクタを前記ウインドガラスの車内側へ案内するガイド部とされていることを特徴とする。
請求項2に記載のウインドスロッブ低減装置では、ディフレクタが、上昇中のウインドガラスから押された場合に、ディフレクタの少なくとも車両後端下部に設けられたガイド部により、ウインドガラスの車内側へ案内される。
これにより、ウインドガラスの車外側に変位しているディフレクタを、ウインドガラスの車内側へ変位させるためのアクチュエータが不要となるため、コストをより一層低減できる。
請求項3に記載のウインドスロッブ低減装置は、請求項2に記載のウインドスロッブ低減装置であって、前記ガイド部は、車両後方へかけて車両上方へ傾斜するテーパ部であることを特徴とする
請求項3に記載のウインドスロッブ低減装置では、ディフレクタの少なくとも車両後端下部に、車両後方へかけて車両上方へ傾斜するテーパ部が設けられており、上昇中のウインドガラスからテーパ部に作用する力が、テーパ部によりウインドガラスの車内側への力に変換される。これにより、ウインドガラスの上昇中に、ディフレクタが、ウインドガラスの車内側へ格納される。
請求項4に記載のウインドスロッブ低減装置は、前記ディフレクタを車両上下方向に複数備えることを特徴とする。
請求項4に記載のウインドスロッブ低減装置では、サイドウインド開口部の前端側、且つ、ウインドガラスの車内側に、複数のディフレクタが車両上下方向に配設されている。これにより、サイドウインド開口部の開放された領域では、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させ、サイドウインド開口部の閉塞された領域では、ディフレクタをウインドガラスの車内側に格納することが可能となる。よって、ディフレクタによる走行時の風切音、空気抵抗(空気効力係数Cd)の増大を抑制できる。
以上説明したように、本発明によれば、サイドウインド開口部を開放させた際に、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させることができ、且つ、ディフレクタをウインドガラスの車外側へ変位させるためのアクチュエータを不要にできるウインドスロッブ低減装置を提供することが可能である。
以下、図1〜図21を用いて、本発明に係るウインドスロッブ低減装置の一実施形態について説明する。なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
まず、本発明の第1実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両12の側部の構成について説明する。
図1には、車両12の側部を車両斜め前方から見た斜視図が示されており、また、図2には、車両12の側部を車両上側から見た水平断面図が示されている。これらの図に示すように、車両12の側部には、フロントサイドドア14と、リアサイドドア18と、フロントサイドドア14とリアサイドドア18との間で車両上下方向へ延在するBピラー22とが配設されている。
また、フロントサイドドア14の車両前側では、Aピラー(図示省略)が車両上下方向へ延在しており、フロントサイドドア14は、このAピラーにドアヒンジ(図示省略)を介して回動可能に支持されている。また、リアサイドドア18は、Bピラー22にドアヒンジ(図示省略)を介して回動可能に支持されている。
また、フロントサイドドア14の車両上側部には、フロントドアガラス24の昇降により開閉されるフロントウインド開口部26が形成されている。また、リアサイドドア18の車両上側部には、ウインドガラスとしてのリアドアガラス28の昇降により開閉される、サイドウインド開口部としてのリアウインド開口部30が形成されている。リアウインド開口部30の車両後側には、略三角形状の小窓32と、小窓32を閉止するクォーターガラス34と、ウインド開口部30と小窓32との間において車両上下方向に延在するディビジョンバー36とが配設されている。
また、図2に示すように、Bピラー22は、骨格部44と、この骨格部44の車室内側に離間して配置された樹脂製のピラーガーニッシュ46と、によって構成されている。骨格部44は、車室外側に配置された断面略ハット状のピラーアウタパネル38と、車室内側に配置された断面略波形状のピラーインナパネル40と、ピラーアウタパネル38とピラーインナパネル40との間に挟持状態で配置された断面略ハット状のピラーリインフォース42とによって閉断面構造に構成されている。
なお、骨格部44の前端フランジ部44A及び後端フランジ部44Bには、ウエザストリップ47が弾性的に嵌着されており、Bピラー22と後述のフロントウインドフレーム後部48との間、及びBピラー22と後述のリアウインドフレーム前部50との間がウエザストリップ47によりシールされている。
また、Bピラー22の車幅方向外側には、フロントドアガラス24の後縁に沿って延在するフロントウインドフレーム後部48と、リアドアガラス28の前縁に沿って延在するリアウインドフレーム前部50とが配設されている。
フロントウインドフレーム後部48には、フロントドアガラス24の後縁部とフロントウインドフレーム後部48との間をシールする断面コ字状のガラスラン52が嵌着されている。また、リアウインドフレーム前部50には、リアドアガラス28の前縁部とリアウインドウインドフレーム前部50との間をシールする断面コ字状のガラスラン54が嵌着されている。また、ディビジョンバー36には、リアドアガラス28の後縁部とディビジョンバー26との間をシールする断面コ字状のガラスラン55が嵌着されている。
また、リアウインドフレーム前部50には、ガラスラン54の近傍から車内側へ膨出した膨出部50Aが形成されている。
また、フロントウインドフレーム後部48の車外側壁面48Aには、車両上下方向を長手方向とする矩形状のドアフレームガーニッシュ43が装着され、リアウインドフレーム前部50の車外側壁面50Bには、車両上下方向を長手方向とする矩形状のドアフレームガーニッシュ45が装着されている。
また、フロントウインドフレーム後部48には、ウエザストリップ49がBピラー22の外面に面して装着されており、Bピラー22とフロントウインドフレーム後部48との間がウエザストリップ49によりシールされている。また、リアウインドフレーム前部50には、ウエザストリップ51がBピラー22の外面に面して装着されており、Bピラー22とリアウインドフレーム前部50との間がウエザストリップ51によりシールされている。
次に、ウインドスロッブ低減装置10について説明する。なお、ウインドスロッブ低減装置10は、車両の左右に配設されているが、構成は左右共通(対称)であるため、片側を例に取って説明する。
図1に示すように、ウインドスロッブ低減装置10は、3枚(複数)のディフレクタ60を有している。この3枚のディフレクタ60は、リアウインド開口部30の車両前端側、且つ、リアドアガラス28の車内側に、車両上下方向に沿って配設されている。
ディフレクタ60は、車両上下方向を長手方向とする台形状の板材であり、長手方向の一端部(下端部)には、ガイド部としてのテーパ部60Aが形成され、長手方向の他端部(上端部)には、テーパ部60Bが形成されている。テーパ部60Aは、車両後方へかけて車両上方へ傾斜し、テーパ部60Bは、車両後方へかけて車両下方へ傾斜している。
図2及び図3に示すように、膨出部50Aの車両後側の壁面50Cには、車両前後方向を長手方向とする矩形板状の取付板62が取付けられている。この取付板62の車幅方向外側端部と3枚のディフレクタ60の車両前側端部とは、車両上下方向に延在するシャフト(回動軸)64を介して連結されている。即ち、ディフレクタ60は、取付板62を介して膨出部50Aの車両後側の壁面50Cに、車両上下方向に延在する軸線回りに車両前側端部を中心として回動可能に支持されている。なお、シャフト64は、リアウインド開口部30の車両前側端部に対して平行であってもよいし、傾斜していてもよい。
また、ディフレクタ60の車両前側端部には、ストッパ部60Cが形成されている。このストッパ部60Cは、ディフレクタ60の他部分よりも厚肉とされ、車両後方へかけて次第に肉厚を増加させており、ディフレクタ60がリアドアガラス28の車外側(車幅方向外側、且つ、図中反時計回り方向)へ回動された際、膨出部50Aの車両後側の壁面50Cに当接してディフレクタ60を所定回動位置で停止させる。
該所定回動位置は、ディフレクタ60の車両後側端部がリアドアガラス28よりも車外側に位置すると共に、ディフレクタ60の車両前後方向に対する傾斜角度が所定角度(例えば、45°)となる位置(以下、起立位置という)に設定されている。
また、ウインドスロッブ低減装置10には、付勢手段としてのトーションバネ(捻りコイルバネ)66が備えられている。トーションバネ66は、両端部を、直線状のフック部66A、66Bとされ、フック部66Aとフック部66Bとの間を、巻回されたコイル部66Cとされている。コイル部66Cにはシャフト64が挿通されており、フック部66Aがディフレクタ60に当接し、フック部66Bが取付板62に当接している。
ここで、トーションバネ66は、常時、弾性収縮しており、ディフレクタ60は、トーションバネ66により車幅方向外側(図中反時計回り方向)へ付勢されている。このため、ディフレクタ60は、自身の全体が車内に格納される回動位置(以下、格納位置という)に位置し、且つ、リアドアガラス28が自身の下端部の車両上側まで上昇している場合、トーションバネ66によりリアドアガラス28に圧接される。
次に、本実施形態における作用について説明する。
まず、図4に示すように、リアドアガラス28が最上位まで上昇した状態(以下、リアウインド開口部30の全閉状態という)から、図5に示すように、リアドアガラス28が最下位まで下降した状態(以下、リアウインド開口部30の全開状態という)に変化する際の作用について説明する。
まず、図4に示すように、リアウインド開口部30の全閉状態では、3枚のディフレクタ60の全てが上記格納位置に配置される。この状態では、3枚のディフレクタ60の全てが、リアドアガラス28に圧接されている。そして、図1に示すように、リアドアガラス28が最上位から、最上段のディフレクタ60より車両下側まで下降した場合に、最上段のディフレクタ60が、トーションバネ66の付勢力により車幅方向外側へ回動され、ストッパ部60Cが膨出部50Aの壁面50Cに当接した時点で停止する。これにより、リアウインド開口部30の開放領域に配置された最上段のディフレクタ60がリアウインド開口部30から車外側へ突出(起立)する。
一方で、リアウインド開口部30の閉塞領域に配置された中段及び最下段のディフレクタ60は、トーションバネ66の付勢力によりリアドアガラス28に圧接された状態に維持される。
そして、図6に示すように、リアドアガラス28が中段のディフレクタ60より車両下側まで下降した場合に、中段のディフレクタ60が、上述の最上段のディフレクタ60と同様に起立する。一方で、リアウインド開口部30の閉塞領域に配置された最下段のディフレクタ60は、トーションバネ66の付勢力によりリアドアガラス28に圧接された状態に維持される。
そして、図5に示すように、リアドアガラス28が最下段のディフレクタ60より車両下側まで下降した場合(リアインド開口部30が全開状態に変化した場合)に、最下段のディフレクタ60が、上述の最上段及び中段のディフレクタ60と同様に起立する。
次に、リアウインド開口部30が全開状態(図5参照)から全閉状態(図4参照)に変化する際の作用について説明する。
図5に示すように、リアウインド開口部30の全開状態では、3枚のディフレクタ60の全てが、起立位置で停止する。
そして、図7に示すように、リアドアガラス28が最下位から上昇する際には、まず、リアドアガラス28の上端部28Aが最下段のディフレクタ60のテーパ部(下端部)60Aに当接し、リアドアガラス28の上端部28Aからテーパ部60Aに車両上側向きに力が加えられる。
ここで、ディフレクタ60が、平面視にてリアドアガラス28の上端部28Aに対して傾斜して交差し、且つ、テーパ部60Aが車両後方へかけて車両上側へ傾斜していることにより、リアドアガラス28の上端部28Aからテーパ部60Aに車両上側向きに加えられた力が、車幅方向内側向き(車内側)の力に変換される。
これにより、ディフレクタ60が、トーションバネ66の付勢力に抗して車幅方向内側へ回動する。そして、図6に示すように、リアドアガラス28の上端部28Aがテーパ部60Aより車両上側まで上昇した後は、ディフレクタ60全体が、リアドアガラス28の車内側に格納される。即ち、起立していたディフレクタ60が、上昇するリアドアガラス28により格納位置へ押し込まれる。
そして、リアドアガラス28がさらに上昇する際に、まず、図1に示すように、起立している中段のディフレクタ60が、最下段のディフレクタ60と同様、リアドアガラス28の上端部28Aにより格納位置へ押し込まれ、次に、図4に示すように、起立している最上段のディフレクタ60が、最下段及び中段のディフレクタ60と同様、リアドアガラス28の上端部28Aにより格納位置へ押し込まれる。
即ち、図2に実線で示すように、リアウインド開口部30の開放領域では、ディフレクタ60が起立し、リアウインド開口部30の車幅方向外側の空気流Aを剥離(車幅方向外側に膨出)させる。これにより、ディビジョンバー36に当る空気流Aの量が低減され、リアウインド開口部30の開放時に発生するウインドスロッブが低減される。
また、図2に2点鎖線で示すように、ディフレクタ60を起立させる必要がないリアウインド開口部30の閉塞領域では、ディフレクタ60がリアドアガラス28の車内側に格納されるため、ディフレクタ60による走行時の風切音、空気抵抗(空気効力係数Cd)の増大が抑制される。特に、リアウインド開口部30が全閉状態の場合には、車外にディフレクタ60が存在しないため、ディフレクタ60による走行時の風切音、空気抵抗の増大が防止される。
また、リアウインド開口部30が全閉状態の場合には、ディフレクタ60がリアドアガラス28の車内側に格納されることにより、車両12の外観意匠を良好に保つことができる。
ここで、リアウインド開口部30が開放される際、それまでリアドアガラス28の車内側に格納されていたディフレクタ60は、トーションバネ66の付勢力により起立する。よって、リアウインド開口部30の開放領域に配置されたディフレクタ60を、格納位置から起立位置へ変位させるためのモータ等のアクチュエータが不要となるため、コストを低減できる。
また、ここで、リアウインド開口部30の開放領域が閉塞される際、それまで起立していたディフレクタ60は、上昇中のリアドアガラス28から押されるテーパ部60Aにより、リアドアガラス28の車内側へ案内される。
これにより、ディフレクタ60を、リアドアガラス28の車内側へ変位させるためのモータ等のアクチュエータが不要となるため、コストをより一層低減できる。
なお、本実施形態では、車両上下方向に3枚のディフレクタ60を配設したが、ディフレクタ40を2枚とし、リアウインド開口部30の車両上側半分が開いた状態(半開状態)で、上段のディフレクタ60が起立し、リアウインド開口部30が全開状態で、2枚のディフレクタ60が起立するようにしても良い。
ここで、図8のグラフには、リアウインド開口部30が半開状態でのウインドスロッブのピークレベルと車速との相対関係を示しており、図9のグラフには、リアウインド開口部30が半開状態でのウインドスロッブのピークレベルと車速との相対関係を示している。なお、図中実線はディフレクタ60を起立させた場合の結果を示し、図中点線はディフレクタ60を起立させない場合の結果を示している。
これらのグラフに示すように、リアウインド開口部30が半開状態である場合と全開状態である場合との双方において、ディフレクタ60を起立させることにより、ウインドスロッブの低減効果が発揮されることは明らかである。
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態は、本発明のウインドドスロッブ低減装置をリアサイドドアに配設されたリアウインド開口部に適用したが、フロントサイドドアに配設されフロントドアガラスにより開閉されるフロントウインド開口部にも適用可能である。
次に、ウインドスロッブ低減装置の第1の開示例について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図10及び図11には、第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置100を備える車両12の側部を示す斜視図が示され、図12には、ウインドスロッブ低減装置100を備える車両の側部を車両上側から見た断面図が示されている。これらの図に示すように、ウインドスロッブ低減装置100は、リアウインドフレーム前部50の車外側に配置されたドアフレームガーニッシュ(ディフレクタ)68を備えている。ドアフレームガーニッシュ68は、車両上下方向を長手方向とする矩形状(長尺状)の板材とされている。
図13に示すように、リアウインドフレーム前部50の車外側の壁面50Bの車両前側端部には、車両上下方向に延在するシャフト70が、溶接等により結合されており、ドアフレームガーニッシュ68の車両前端側とシャフト70とが、軸受(図示省略)を介して連結されている。
即ち、ドアフレームガーニッシュ68は、リアウインド開口部30の車外側且つ車両前側に配設され、且つ、車両上下方向に延在する軸線回りに車両前側端部を中心として回動可能とされている。
また、ドアフレームガーニッシュ68の車両前側端部には、フロントウインドフレーム48に装着されたドアフレームガーニッシュ43の裏側に入り込むことにより、ドアフレームガーニッシュ68とドアフレームガーニッシュ72との隙間を塞ぐ遮蔽部68Aが形成されている。
この遮蔽部68Aは、ドアフレームガーニッシュ68が車幅方向外側へ回動した際に、ピラーアウタパネル38に当接して、ドアフレームガーニッシュ68を所定回動位置で停止させる。該所定回動位置は、上述の本発明の実施形態における起立位置と同様に設定されている。
また、ウインドスロッブ低減装置100には、トーションバネ(捻りコイルバネ)74が備えられている。トーションバネ74は、両端部を直線状のフック部74A、74Bとされ、フック部74Aとフック部74Bとの間をコイル部(図示省略)とされている。コイル部にはシャフト70が挿通されており、フック部74Aがドアフレームガーニッシュ68に当接し、フック部74Bがリアウインドフレーム前部50の車外側の壁面50Bに当接している。
ここで、トーションバネ74は、常時、弾性収縮しており、ドアフレームガーニッシュ68は、トーションバネ74により車外側(車幅方向外側、且つ、図中反時計回り方向)へ付勢されている。
また、ウインドスロッブ低減装置100には、ドアフレームガーニッシュ68を車幅方向内側へ回動させてドアフレームガーニッシュ68を格納する格納装置76が備えられている。図13及び図14に示すように、格納装置76は、リアウインドフレーム前部50の車外側の壁面50Bの車幅方向内側に車両上下方向に沿って配設された回転シャフト78と、回転シャフト78に一端側を巻き取られ、他端部をドアフレームガーニッシュ68の裏面の車両前後方向中央部に固定されたワイヤ80と、回転シャフト78に回転力を付与するモータ82と、モータ82と回転シャフト78とを連結又は連結解除するクラッチ84と、リアドアガラス28の停止位置を検出するリアドアガラス停止位置センサ86と、フロントドアガラス24の停止位置を検出するフロントドアガラス停止センサ88と、車速を検出する車速センサ90と、モータ82を制御する制御装置92とを備えている。
モータ82により回転シャフト78が第1の方向(図中時計回り方向)に回転された場合に、ワイヤ80が回転シャフト78に巻き取られる。また、クラッチ84は、通電状態でモータ82と回転シャフト78との連結を解除し、非通電状態でモータ82と回転シャフト78とを連結する。
ここで、回転シャフト78は、モータ82に連結された状態で、モータ82により回転を拘束され、モータ82との連結を解除された状態で、回転自在となる。
また、リアドアガラス停止位置センサ86、フロントドアガラス停止位置センサ88、及び車速センサ90は、検出信号を制御装置92へ出力し、制御装置92は、受信した検出信号に応じて、モータ82及びクラッチ84を制御する。
以下、制御装置92によるモータ82及びクラッチ84の制御方法について図15のフローチャートを参照して説明する。
まず、車両12に搭載されたエンジン(図示省略)の始動後、処理ルーチンが開始されてステップ1へ移行する。ステップ1では、リアドアガラス停止位置センサ86から出力された検出信号に基づいて、リアドアガラス28が開いているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ2へ移行する。
ステップ2では、フロントドアガラス停止位置センサ88から出力された検出信号に基づいて、フロントドアガラス24が閉じているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ3へ移行する。
ステップ3では、車速センサ90から出力された検出信号に基づいて、車速が所定速度S1(例えば、30km/h)以上であるかが判定され、肯定判定された場合にはステップ4へ移行する。
ステップ4では、クラッチ84が非通電状態から通電状態に切替えられ、ステップ5へ移行する。ステップ5では、クラッチ84が通電状態から非通電状態に切替えられ、ステップ6へ移行する。ステップ6では、リアドアガラス停止位置センサ86から出力された検出信号に基づいて、リアドアガラス28が開いているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ7へ移行し、否定判定された場合にはステップ9へ移行する。
ステップ7では、フロントドアガラス停止位置センサ88から出力された検出信号に基づいて、フロントドアガラス24が開いているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ8へ移行し、否定判定された場合にはステップ9へ移行する。ステップ8では、車速センサ90から出力された検出信号に基づいて、車速が所定速度S1(例えば、30km/h)未満か否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ9へ移行し、否定判定された場合にはステップ6へ移行する。ステップ9では、モータ82が駆動され回転シャフト78が上記第1の方向に回転される。以上で、処理ルーチンを終了する。
次に、本開示例における作用及び効果について説明する。
リアドアガラス28が最上位から下降してリアウインド開口部30が開放され、フロントドアガラス24によりフロントウインド開口部26が閉塞され、且つ、車速が所定速度S1以上である場合に、クラッチ84が非通電状態から通電状態に切替えられ、モータ82と回転シャフト78との連結が解除される。これにより、回転シャフト78が回転自在となり、ワイヤ80が回転シャフト78から巻き出し可能となる。
ここで、クラッチ84が非通電状態であることによりモータ82と回転シャフト78とが連結されている間は、回転シャフト78の回転がモータ82から拘束されてワイヤ80が回転シャフト78から巻き出し不能となることから、ドアフレームガーニッシュ68が、トーションバネ74の付勢力に抗した状態で格納状態に維持される(図10参照)。
これに対して、クラッチ84が通電状態となることによりモータ82と回転シャフト78との連結が解除されている間は、回転シャフト78が回転自在となりワイヤ80が回転シャフト78から巻き出し可能となることから、ドアフレームガーニッシュ68が、トーションバネ74の付勢力により車幅方向外側へ回動されて起立する(図11参照)。
このため、リアウインド開口部30に沿って車両後側へ流れる空気流Aが、ドアフレームガーニッシュ68により偏向されて車室外側に膨らむため、ディビジョンバー36に当る空気流Aの量が低減される。よって、リアウインド開口部30の開放時に発生するウインドスロッブを低減できる。
また、ここで、フロントウインド開口部26が開いていることにより車両12の気密性が低下している場合、又は、車速が遅い場合等、発生するウインドスロッブが乗員にとって気にならないレベルである場合や、リアウインド開口部30が閉じていることによりウインドスロッブが発生しない場合には、ドアフレームガーニッシュ68を格納している。これにより、ドアフレームガーニッシュ68による走行時の風切音、空気抵抗(空気効力係数Cd)の増大を抑制できる。
次に、ウインドスロッブ低減装置の第2の開示例について説明する。なお、上述の実施形態及び第1の開示例と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図16には、第2の開示例に係るウインドスロッブ低減装置200の制御系の概略を示すブロック図が示されている。なお、ウインドスロッブ低減装置200の機械的な構成は、上述のウインドスロッブ低減装置100と同様であるため、説明を省略する。
図16に示すように、ウインドスロッブ低減装置200は、右側のフロントドアガラス24の停止位置を検出する右側フロントドアガラス停止位置センサ87と、左側のフロントドアガラス24の停止位置を検出する左側フロントドアガラス停止位置センサ89と、車速を検出する車速センサ90と、右側のリアドアガラス28の停止位置を検出する右側リアドアガラス停止位置センサ94と、左側のリアドアガラス28の停止位置を検出する左側リアドアガラス停止位置センサ96と、右側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84を制御する右側用制御装置98と、左側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84を制御する左側用制御装置102とを備えている。
右側フロントドアガラス停止位置センサ87、左側フロントドアガラス停止位置センサ89、及び車速センサ88は、検出信号を右側用制御装置98及び左側用制御装置102へ出力する。また、右側リアドアガラス停止位置センサ94は、検出信号を右側用制御装置98へ、左側リアドアガラス停止位置センサ96は、検出信号を左側用制御装置102へ出力する。
右側用制御装置98、左側用制御装置102は、それぞれ、右側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84、左側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84を制御する。
以下、右側用制御装置98による右側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84の制御方法について図17のフローチャートを参照して説明する。なお、左側用制御装置102による左側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82及びクラッチ84の制御方法は、左右が異なるのみで右側用制御装置98と同様であるため、説明を省略する。
まず、車両12に搭載されたエンジン(図示省略)の始動後、処理ルーチンが開始されてステップ101へ移行する。ステップ101では、右側リアドアガラス停止位置センサ94から出力された検出信号に基づいて、右側のリアドアガラス28が開いているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ102へ移行する。
ステップ102では、右側フロントドアガラス停止位置センサ87、左側フロントドアガラス停止位置センサ89から出力された検出信号に基づいて、左右のフロントドアガラス24が閉じているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ103へ移行する。
ステップ103では、車速センサ90から出力された検出信号に基づいて、車速が所定速度S1(例えば、30km/h)以上であるかが判定され、肯定判定された場合にはステップ104へ移行する。
ステップ104では、右側のドアフレームガーニッシュ68用のクラッチ84が非通電状態から通電状態に切替えられ、ステップ105へ移行する。ステップ105では、右側のドアフレームガーニッシュ68用のクラッチ84が通電状態から非通電状態に切替えられ、ステップ106へ移行する。ステップ106では、右側リアドアガラス停止位置センサ94から出力された検出信号に基づいて、右側のリアドアガラス28が開いているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ107へ移行し、否定判定された場合にはステップ109へ移行する。
ステップ107では、右側フロントドアガラス停止位置センサ87、及び左側フロントドアガラス停止位置センサ89から出力された検出信号に基づいて、左右のフロントドアガラス24が閉じていているか否かが判定され、肯定判定された場合にはステップ108へ移行し、否定判定された場合にはステップ109へ移行する。ステップ108では、車速センサ90から出力された検出信号に基づいて、車速が所定速度S1(例えば、30km/h)未満であるかが判定され、肯定判定された場合にはステップ109へ移行し、否定判定された場合にはステップ106へ戻る。
ステップ109では、右側のドアフレームガーニッシュ68用のモータ82が駆動され回転シャフト78が上記第1の方向に回転される。以上で処理ルーチンを終了する。
次に、本開示例における作用及び効果について説明する。
フロントドアガラス24により左右のフロントウインド開口部26が閉塞され、車速が所定速度S1以上であり、且つ右側のリアウインド開口部30が開放された場合、右側のドアフレームガーニッシュ68用のクラッチが非通電状態から通電状態に切替えられることにより、右側のドアフレームガーニッシュ68が、車幅方向外側へ回動されて起立する。
この際、左側のリアウインド開口部30が開放された場合には、左側のドアフレームガーニッシュ68用のクラッチが非通電状態から通電状態に切替えられることにより、左側のドアフレームガーニッシュ68が、車幅方向外側へ回動されて起立する。
また、左側のリアドアガラス28により左側のリアウインド開口部30が閉塞されている場合には、左側のドアフレームガーニッシュ68用のクラッチが非通電状態に維持されることにより、左側のドアフレームガーニッシュ68が、格納状態に維持される。
即ち、左右両側のドアフレームガーニッシュ68を起立させる必要がある場合には、左右両側のドアフレームガーニッシュ68が起立され、左右片側のドアフレームガーニッシュ68のみを起立させれば良い場合には、左右片側のドアフレームガーニッシュ68のみが起立され、反対側のドアフレームガーニッシュ68は格納されるように、左右のドアフレームガーニッシュ68が独立に制御されている。
これにより、ドアフレームガーニッシュ68による走行時の風切音、空気抵抗(空気効力係数Cd)の増大を、第1の開示例と比較してより一層抑制できる。
次に、ウインドスロッブ低減装置の第3の開示例について説明する。なお、上述の実施形態、第1の開示例、及び第2の開示例と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図18には、第3の開示例に係るウインドスロッブ低減装置300を備える車両12の側部を車幅方向外側から見た斜視図が示され、図19には、ウインドスロッブ低減装置300を車幅方向外側から見た側面図が示されており、また、図20及び図21には、それぞれ、図19の20−20断面図、図19の21−21断面図が示されている。これらの図に示すように、ウインドスロッブ低減装置300は、第1の開示例及び第2の開示例におけるドアフレームガーニッシュ68に変えてドアフレームガーニッシュ104を備えている。
ドアフレームガーニッシュ104は、ドアフレームガーニッシュ68と同様、車両上下方向を長手方向とする長尺状の板材であり、車両前側端部に設けられた軸受(図示省略)を介してシャフト70に回動可能に連結されている。
ここで、ドアフレームガーニッシュ104の車両前側端部には、車両上下方向に沿って2個の矩形状の穴104Aが形成されている。また、リアウインドフレーム前部50の車外側壁面50Aには、穴104Aと略同一形状の板材106が取付けられている。この板材106は、格納状態のドアフレームガーニッシュ104の穴104Aと嵌り合う位置に配設されている。
次に、本実施形態における作用及び効果について説明する。
第1の開示例と同様、リアウインド開口部30が開放され、フロントウインド開口部26が閉塞され、且つ、車速が所定速度S1以上である場合に、ドアフレームガーニッシュ104が起立する。
これにより、リアウインド開口部30に沿って車両後側へ流れる空気流Aが、ドアフレームガーニッシュ104により偏向されて車室外側に膨らむため、ディビジョンバー36に当る空気流Aの量が低減される。よって、リアウインド開口部30の開放時に発生するウインドスロッブを低減できる。
また、ドアフレームガーニッシュ104に穴104Aが形成されていることにより、空気流Aの2次元性が崩れた(乱れた)状態が作り出される。これにより、リアウインド開口部30において放出される渦の周期性が乱され、同じ渦列の渦のエネルギーが低減される。従って、リアウインド開口部30において発生するウインドスロッブをより一層低減できる。
また、ここで、ドアフレームガーニッシュ104の格納状態では、ドアフレームガーニッシュ104の穴104Aが、板材106により遮蔽されるため、外観意匠の低下を抑制できる。
本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を車両上側から見た断面図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を車両上側から見た断面図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 リアウインド開口部が半開状態の時のウインドスロッブのピークレベルと車速との関係を示すグラフである。 リアウインド開口部が全開状態の時のウインドスロッブのピークレベルと車速との関係を示すグラフである。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を車両上側から見た断面図である。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を車両上側から見た断面図である。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置の制御系の概略を示すブロック図である。 第1の開示例に係るウインドスロッブ低減装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。 第2の開示例に係るウインドスロッブ低減装置の制御系の概略を示すブロック図である。 第2の開示例に係るウインドスロッブ低減装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。 第3の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す斜視図である。 第3の開示例に係るウインドスロッブ低減装置を備える車両の側部を示す側面図である。 図19の20−20断面図である。 図19の21−21断面図である。
符号の説明
10 ウインドスロッブ低減装置
12 車両
28 リアドアガラス(ウインドガラス)
30 リアウインド開口部(サイドウインド開口部)
60 ディフレクタ
66 トーションバネ(付勢手段)
66A テーパ部(ガイド部)

Claims (4)

  1. ウインドガラスの昇降により開閉されるサイドウインド開口部の前端側、且つ、前記ウインドガラスの車内側に、車両上下方向に延在する軸線回りに回動可能に配設されたディフレクタと、
    前記ディフレクタを前記ウインドガラス側に付勢する付勢手段と、
    を有することを特徴とするウインドスロッブ低減装置。
  2. 前記ディフレクタの少なくとも車両後端下部は、上昇中の前記ウインドガラスから押された前記ディフレクタを前記ウインドガラスの車内側へ案内するガイド部とされていることを特徴とする請求項1に記載のウインドスロッブ低減装置。
  3. 前記ガイド部は、車両後方へかけて車両上方へ傾斜するテーパ部であることを特徴とする請求項2に記載のウインドスロッブ低減装置。
  4. 前記ディフレクタを車両上下方向に複数備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のウインドスロッブ低減装置。
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