JP2008194485A - 増速タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 増速タイヤにおいて、増速作用の安定確実を図ること。
【解決手段】 増速タイヤ16Cであって、複数の遊星歯車67がタイヤ16Cの側壁に設けた複数の遊星軸66に枢着され、押えリング68に設けた複数の係合ピン68Aを各遊星軸66の各中空部に中空部の先端より挿着することで、前記複数の遊星歯車67が前記タイヤ16Cの側壁と前記押えリング68との間で保持されるもの。
【選択図】 図4

Description

本発明は増速タイヤに関する。
増速タイヤとして、非特許文献1に記載の如く、芝刈り機のフレームにタイヤを支持し、タイヤの回転に連動して回転する回転刃を有し、タイヤの回転を増速して回転刃に伝える増速手段をタイヤの内部に設けてなるものがある。
デビッド・マコーレイ「道具と機械の本」(株式会社岩波書店 1991年2月25日第3刷)
従来技術の増速手段は、タイヤの回転中心の周囲に設けた大径内歯車と、回転刃の回転中心の周囲に設けた小径外歯車の噛合いからなる歯車列により構成されている。このような増速手段は、回転刃の回転中心の周囲に設けた小径外歯車が周方向の1点だけで大径内歯車に噛合うものであり、小径外歯車が大径内歯車から逃げて噛合い外れを生じ、増速作用の安定確実を損なう虞がある。特に、回転刃に作用する芝からの抵抗(芝刈り負荷)が大きくなるときに、小径外歯車の上述の噛合い外れを生じ易い。
本発明の課題は、増速タイヤにおいて、増速作用の安定確実を図ることにある。
請求項1の発明は、フレームにタイヤを支持し、タイヤの回転に連動して回転する被回転体を有し、タイヤの回転を増速して被回転体に伝える増速手段をタイヤの内部に設けてなる増速タイヤであって、前記増速手段が、被回転体の回転中心に設けた太陽歯車と、タイヤに枢着されて太陽歯車に噛合い、該太陽歯車の周囲を公転する複数の遊星歯車と、フレームの側に固定されて各遊星歯車が噛合う内歯歯車とからなり、前記複数の遊星歯車がタイヤの側壁に設けた複数の遊星軸に枢着され、押えリングに設けた複数の係合ピンを各遊星軸の各中空部に中空部の先端より挿着することで、前記複数の遊星歯車が前記タイヤの側壁と前記押えリングとの間で保持されるようにしたものである。
清掃具10は、床面1上のゴミ、例えばカーペット等の繊維に絡み付いた髪の毛等のゴミを捕集するものであり、図1〜図3に示す如く、柄11の先端部に継手部12を介して支持アーム13を結合し、支持アーム13の両側アーム部13Aに支軸部14を介してフレーム15を前後方向に揺動自在に支持している。
フレーム15の前部には可撓掻き上げ体16が回動自在に支持され、フレーム15の後部には回転体18が回動自在に支持され、掻き上げ体16と回転体18は平行に並べられて配置される。
掻き上げ体16は、支軸16Aと、支軸16Aの軸方向の全長に渡って植設されたブラシからなる掻き上げ部材16Bと、支軸16Aの両端部に結合された両側の増速タイヤを構成するタイヤ部16Cからなる。掻き上げ部材16Bは粘着ロール21に接触しても、接触しなくても良い。両側のタイヤ部16Cは該タイヤ部16Cにゴミがかみ込まないようにフレーム15の両外側に配置されるが、フレーム15の内側に設けても良い。
回転体18は、粘着ロール21のための駆動手段であり、支軸18Aと、支軸18Aの軸方向の両端側2位置(軸方向3位置等の複数位置でも可)に固定される円盤状の回転子18Bと、支軸18Aの両端部に結合された両側の増速タイヤを構成するタイヤ部18Cからなる。回転子18Bは粘着ロール21に接触する。両側のタイヤ部18Cはフレーム15の両外側に配置される。
掻き上げ体16と回転体18の回転子18Bの上には、それらに跨がる粘着ロール21(ゴミ捕集手段)が乗せられ、粘着ロール21は掻き上げ体16と回転体18の回転に連れ回る。フレーム15の上部は粘着ロール21の出し入れ口とされ、取外し可能な透明カバー15Aにより被覆される。粘着ロール21は、粘着シートの巻取りロールの構成、又は表面が粘着性のエラストマーからなり、その表面を洗浄して再使用可能とする構成等を含む。本実施例の粘着ロール21は、粘着シート21Aをコア21Bに巻き回し、粘着シート21Aの粘着面を外側に向けて巻出し可能かつ切断可能にした巻取りロールにて構成される。
フレーム15における掻き上げ体16の後部には塵取部23(ゴミ捕集手段)が支持されている。塵取部23は、床面に接する底面部23Aと、掻き上げ体16に隙間なく(又は隙間を介して)相対する曲面状(又は平面状)のすくい面部23Bと、回転体18の回転子18Bの下方の前後に渡る範囲に延在される凹状のゴミ受け部23Cを有する。塵取部23は、フレーム15に後述する如くに上下に揺動可能に支持され、自重により底面部23Aとすくい面部23Bの最下端部を床面に隙間なく接し、掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bが掻き上げるゴミを床面に沿う後方に逃がすことなく、その全てのゴミをすくい面部23Bにより粘着ロール21の側にガイドし、大きなゴミはすくい面部23Bに後続するゴミ受け部23Cに送り込む。
清掃具10では、塵取部23をフレーム15に対し、掻き上げ体16とは独立に上下に揺動可能に支持するとともに、塵取部23のゴミ受け部23Cをフレーム15から開放可能に支持した。
具体的には、塵取部23における掻き上げ体16に近い側の前側端を揺動部40(塵取部23の前端側両側面に設けたピン41を、フレーム15の両側壁に設けた長孔42の中で上下動可能に係入したもの)によりフレーム15に揺動可能に支持する。また、塵取部23における掻き上げ体16から遠い側の後側端に設けた係脱部50の孔51を、フレーム15に設けた係脱可能ピン52に係脱可能にし、孔51を係脱可能ピン52から外して塵取部23の後側端をフレーム15から開放可能に支持する。塵取部23の孔51をフレーム15の係脱可能ピン52に係入した状態で、係脱可能ピン52を塵取部23の揺動の中心軸とし、塵取部23の孔51をフレーム15の係脱可能ピン52から外した状態で、揺動部40を塵取部23の開放の中心軸とする。
清掃具10による清掃動作は以下の通りなされる。
(1)柄11の軸方向に加える操作力により清掃具10を前進させ、掻き上げ体16及び回転体18を回動させ、同時に粘着ロール21を連れ回り回転させる。
(2)掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bが床面上のゴミを掻き上げると、このゴミは塵取部23のすくい面部23Bにガイドされて粘着ロール21の側に送り出され、粘着ロール21の粘着面に吸着捕捉される。大きなゴミはすくい面部23Bからゴミ受け部23Cに送り込まれて捕捉される。
(3)透明カバー15Aを通して粘着ロール21の粘着面の全周に多量のゴミが捕捉されたことが視認されたら、カバー15Aを開いて粘着シート21Aの1周分を剥離切断除去し、新規粘着面を露出せしめた後、カバー15Aを閉じる。
(4)透明なフレーム15や塵取部23を通して、塵取部23のゴミ受け部23Cに多量のゴミがたまったことを視認したら、塵取部23の係脱部50を外し、該塵取部23を揺動部40を中心として開放し、ゴミ受け部23Cのゴミを廃棄する。
尚、清掃具10は前進だけでなく、後進もできる。塵取部23は、底面部23Aの尾端部をアール状に跳ね上げ、後進時にこの尾端部が床面に引掛かるのを防止する。
清掃具10にあっては、前述した如く、回転体18が支軸18Aと回転子18Bとからなるものにしたから、下記(a)、(b)の構成を具備することになる。尚、回転体18の支軸18A及び回転子18Bは、フレーム15と塵取部23に挟まれる空間に配置される。
(a)回転体18の支軸18Aは、回転子18Bが固定されていない部分で、粘着ロール21と大きな隙間を介して離隔する(図3)。
(b)回転体18の支軸18Aは、回転子18Bが固定されていない部分で、塵取部23(ゴミ受け部23Cの底面23D)と、大きな隙間を介して離隔する(図2)。尚、ゴミ受け部23Cの底面23Dのうち、回転子18Bに相対する部分は円弧状くぼみ部23Eとされる。
ここで、回転体18の回転子18Bは、シリコンゴム製Oリング等の環状リング18Dを外周に備える。環状リング18Dは回転子18Bに設けた環状溝に装填される。
尚、清掃具10は、柄11及び支持アーム13によりフレーム15を持ち上げた状態で、掻き上げ体16の方が回転体18より前方かつ上方に位置付けられる傾斜状態となるように、フレーム15及びその取付部品の重心を支持アーム13の支軸部14まわりに位置設定している。清掃具10における粘着ロール21の交換等に際し、フレーム15を持ち上げた上述の傾斜状態で、塵取部23のゴミ受け部23Cの中の前側(掻き上げ体16の側)にあったゴミAは、回転体18の支軸18Aの下方を通ってゴミ受け部23Cの回転体18より後側に移動し、このゴミを透明樹脂からなるフレーム15及び塵取部23の外方から視認できる。清掃具10において、回転体18がストレート状円筒体からなるとき、回転体18と塵取部23の間へのゴミの噛み込みを防ぐ必要から、塵取部23が回転体18の前側に壁Wを設けた場合には、回転体18より後側へのゴミAの移動は生じない。
清掃具10は、(A)掻き上げ体16において、タイヤ部16Cの回転を増速して掻き上げ部材16Bに伝える掻き上げ増速手段60と、(B)粘着ロール21を回転する粘着ロール駆動手段80を以下の如くに備える。
(A)掻き上げ増速手段60
掻き上げ増速手段60は、図1に示す如く、掻き上げ体16におけるタイヤ部16C(増速タイヤ)の内部に設けられ、該タイヤ部16Cの回転を増速して掻き上げ部材16B(被回転体)に伝える。
掻き上げ増速手段60は、図4〜図6に示す如く、フレーム15の両側壁に設けた軸支部61にベース62の中空軸部62Aを挿着し、ベース62の回り止め凸部62Bを軸支部61の回り止め溝61Aに回転方向で係止し、ベース62の抜け止め膨出部62Cをフレーム15の内側面に衝接し、回り止めと抜け止めを図っている。
掻き上げ体16の支軸16Aの両端部に回転方向一体に差込んで係合した太陽軸63が、ベース62の外側からその中空軸部62Aの中空部に回転自在に挿入配置され、太陽軸63の外側端部には太陽歯車64を設けてある。太陽歯車64は掻き上げ体16の回転中心に設けられるものになる。
ベース62の外周にはカップ状のタイヤ部16Cが回転可能に嵌装されている。ベース62に嵌装されたタイヤ部16Cの開口側内周部にはロックリング65が螺着される。タイヤ部16Cは、ベース62の外周の大径部62Dに直接的に、ベース62の大径部62Dに対する側傍部にロックリング65を介して回転可能に嵌装される。
タイヤ部16Cの側壁内側面で、その中心軸の周方向複数位置(本実施形態では5位置)には遊星軸66が突設され、各遊星軸66に遊星歯車67を枢着している。複数の各遊星歯車67は、太陽歯車64に噛合い、遊星軸66を中心として自転しながら、太陽歯車64の周囲を公転する。尚、各遊星軸66は中空軸とされ、遊星歯車67が遊星軸66から脱落するのを防ぐ押えリング68に設けた係合ピン68Aを遊星軸66の中空部に挿着している。タイヤ部16Cの側壁中心部には太陽軸63の先端軸部63Aが挿入される凹部69が設けられ、タイヤ部16Cと押えリング68は太陽軸63に対して相対回転可能とされる。
ベース62の内周部は複数の遊星歯車67、押えリング68を収容する凹部71とされ、その内周部には遊星歯車67が噛合う内歯歯車72が設けられる。
即ち、掻き上げ増速手段60は、太陽歯車64、遊星歯車67及び内歯歯車72からなる遊星歯車列により、タイヤ部16Cの回転を倍率a1で増速して掻き上げ部材16Bに伝える。太陽歯車64のピッチ円径d1、遊星歯車67のピッチ円径をd2、内歯歯車72のピッチ円径をd3とするとき、d3=d1+2d2、a1=(d3/d1)+1である。d1=12、d2=6、d3=24のとき、a1=3になる。
図7に示す如く、清掃具10の進み速度v0、タイヤ部16Cの直径Dt、タイヤ部16Cの回転速度nt、掻き上げ部材16Bの直径Db、掻き上げ部材16Bの回転速度nb、掻き上げ部材16Bの周速vbのとき、下記(1)式〜(3)式が成立する。
v0=πDtnt …(1)
nb=a1nt …(2)
vb=πDbnb=(Db/Dt)a1v0 …(3)
また、掻き上げ増速手段60は、掻き上げ部材16Bとの連結部(太陽軸63が掻き上げ部材16Bの支軸16Aに連結される連結部)を、タイヤ部16Cの軸方向視でタイヤ部16Cの投影面内に設けている。
また、掻き上げ増速手段60は、掻き上げ部材16Bの回転方向をタイヤ部16Cの回転方向と同一方向に設定している。
図8は、掻き上げ増速手段60による掻き上げ部材16Bの増速作用を示す。図8(A)に示す如く、掻き上げ部材16Bの回転がタイヤ部16Cの回転と同等(a1=1)であれば、タイヤ部16Cの回転角度θによって掻き上げ部材16BがA点からB点に進んだとき、掻き上げ部材16Bの回転角度はθだけとなり、掻き上げ部材16Bのブラシ植毛aは実線位置から鎖線位置まで移動するだけであり、ブラシ植毛aは床面1に対して略同じ位置にとどまり、ブラシ植毛aは床面1上のゴミを抑えるだけであってカーペット等に絡み付いている毛屑等をとることができない。これに対し、図8(B)に示す如く、掻き上げ部材16Bの回転が3倍速(a1=3)で増速されると、タイヤ部16Cの回転角度θによって掻き上げ部材16BがA点からB点に進んだとき、掻き上げ部材16Bの回転角度は3θとなり、掻き上げ部材16Bのブラシ植毛aは実線位置から鎖線位置まで大きく移動し、ブラシ植毛aは床面1のカーペットの繊維内に入って高速でゴミを掻き上げ、カーペット等に絡み付いていた毛屑等もとれる。
従って、増速タイヤとしてのタイヤ部16Cの内部に増速手段60を設けた清掃具10によれば以下の作用がある。
(1)掻き上げ体16のタイヤ部16Cの内部に設けられる増速手段60は、掻き上げ部材16Bの回転中心に設けた太陽歯車64が周方向複数位置に設けた複数の遊星歯車67に噛合い、各遊星歯車67はフレーム15の側に固定された内歯歯車72に噛合う。従って、太陽歯車64は周方向の複数点で各遊星歯車67と噛合い、各遊星歯車67は内歯歯車72にバックアップされるから、太陽歯車64が遊星歯車67から逃げて噛合い外れを生ずることがなく、増速作用の安定確実を図ることができる。掻き上げ部材16Bがカーペットの繊維等に埋もれる等により該掻き上げ部材16Bに大きな抵抗(清掃負荷)が作用するときにも、太陽歯車64の上述の噛合い外れを生じない。
(2)フレーム15に回り止めかつ抜け止め構造を介して固定的に設けたベース62の内周部に内歯歯車72(ピッチ円径d3)を設け、該ベース62の中空軸部62Aに太陽歯車64(ピッチ円径d1)を回転自在に支持し、該ベース62の外周にタイヤ部16Cを回転可能に嵌装し、該タイヤ部16Cの内側面に複数の遊星歯車67を枢着した。従って、内歯歯車72の外周にタイヤ部16Cを固定的に設ける場合に比して、タイヤ部16Cの回転方向と太陽歯車64、ひいては掻き上げ部材16Bの回転方向を同じにできるし、増速倍率aを、a=(d3/d1)+1の如くに大きくできる。
(3)掻き上げ体16の掻き上げ部材16B(ブラシ)の回転を、床面1上を転動するタイヤ部16Cの回転より増速することにより、掻き上げ部材16Bの床面に対する相対速度が大きくなり、(a)掻き上げ部材16Bのブラシ先端がカーペット等の繊維の中に入ってゴミを掻き上げる速さが早くなるからカーペット等に絡み付いている糸屑もとれ、掻き上げ部材16Bによるゴミ掻き上げ力を向上できる。また、(b)掻き上げ部材16Bの後方に配置されている塵取部23の前方床面上のゴミを、塵取部23の到着前段階で塵取部23の側に送り込みでき、清掃具10の先端と塵取部23の間のゴミもとれ、清掃具10による清掃可能範囲を壁等の近くまで広げることができる。
(4)掻き上げ部材16Bのための増速手段60と該掻き上げ部材16Bとの連結部を、タイヤ部16Cの投影面内に設けたから、清掃具10の先端と掻き上げ部材16Bとの間にタイヤ部16Cを存在させることがない。本実施形態では、増速手段60と掻き上げ部材16Bの中心軸(支軸16A)との連結部をタイヤ部16Cの投影面内に設けたから、清掃具10の先端と掻き上げ部材16Bの中心軸との間にタイヤ部16Cの全体を存在させることがない。これにより、清掃具10による清掃可能範囲を壁等の近くまで広げることができる。
(5)掻き上げ部材16Bの回転方向をタイヤ部16Cの回転方向と同一方向にした。従って、掻き上げ部材16Bによる床面からのゴミ掻き上げ方向が清掃具10の清掃進み方向の後方に向き、ゴミ捕捉手段(粘着ロール21と塵取部23)は掻き上げ部材16Bの後方に設けるものになる。従って、清掃具10の先端と掻き上げ部材16Bとの間にゴミ捕集手段を存在させることがなく、清掃具10による清掃可能範囲を壁等の近くまで広げることができる。
(B)粘着ロール駆動手段80
粘着ロール駆動手段80は、前述の回転体18により構成され、粘着ロール21を掻き上げ体16における掻き上げ部材16Bの回転方向と反対方向に回転させるものである。
回転体18は、前述の如く、フレーム15に支持されて床面上を転動するとともに、その回転により粘着ロール21を回転する。具体的には、回転体18は、床面上を転動するタイヤ部18Cと、タイヤ部18Cの回転に連動するとともに、粘着ロール21に接触して該粘着ロール21を回転する円盤状の回転子18B(最外径部分は環状リング18Dで構成される)とを有する。粘着ロール21が回転子18B(環状リング18D)に滑りなく接触回転するから、回転子18B(環状リング18D)の周速vrが粘着ロール21の周速と同一になる。
粘着ロール駆動手段80は、回転体18におけるタイヤ部18C(増速タイヤ)の内部に設けられ、該タイヤ部18Cの回転を増速して回転子18B(環状リング18D)(被回転体)に伝える増速手段80Aを有する。増速手段80Aは、前述の掻き上げ部材16Bのための増速手段60と同一の遊星歯車列により構成できる。
即ち、増速手段80Aは、図9〜図11に示す如く、フレーム15の両側壁に設けた軸支部81にベース82の中空軸部82Aを挿着し、ベース82の回り止め凸部82Bを軸支部81の回り止め溝81Aに回転方向で係止し、ベース82の抜け止め膨出部82Cをフレーム15の内側面に衝接し、回り止めと抜け止めを図っている。
回転体18の支軸18Aの両端部に回転方向一体に差込んで係合した太陽軸83が、ベース82の外側からその中空軸部82Aの中空部に回転自在に挿入配置され、太陽軸83の外側端部には太陽歯車84を設けてある。太陽歯車84は回転体18の回転中心に設けられるものになる。
ベース82の外周にはカップ状のタイヤ部18Cが回転可能に嵌装されている。ベース82に嵌装されたタイヤ部18Cの開口側内周部にはロックリング85が螺着される。タイヤ部18Cは、ベース82の外周の大径部82Dに直接的に、ベース82の大径部82Dに対する側傍部にロックリング85を介して回転可能に嵌装される。
タイヤ部18Cの側壁内側面で、その中心軸の周方向複数位置(本実施形態では5位置)には遊星軸86が突設され、各遊星軸86に遊星歯車87を枢着している。複数の各遊星歯車87は、太陽歯車84に噛合い、遊星軸86を中心として自転しながら、太陽歯車84の周囲を公転する。尚、各遊星軸86は中空軸とされ、遊星歯車87が遊星軸86から脱落するのを防ぐ押えリング88に設けた係合ピン88Aを遊星軸86の中空部に挿着している。タイヤ部18Cの側壁中心部には太陽軸83の先端軸部83Aが挿入される凹部89が設けられ、タイヤ部18Cと押えリング88は太陽軸83に対して相対回転可能とされる。
ベース82の内周部は遊星歯車87、押えリング88を収容する凹部91とされ、その内周部には遊星歯車87が噛合う内歯歯車92が設けられる。
即ち、増速手段80Aは、太陽歯車84、複数の遊星歯車87及び内歯歯車92からなる遊星歯車列により、タイヤ部18Cの回転を倍率a2で増速して回転子18Bに伝える。太陽歯車84のピッチ円径d1、遊星歯車87のピッチ円径をd2、内歯歯車92のピッチ円径をd3とするとき、d3=d1+2d2、a2=(d3/d1)+1である。d1=12、d2=6、d3=24のとき、a2=3になる。
図7に示す如く、清掃具10の進み速度v0、タイヤ部18Cの直径Dt(掻き上げ体16のタイヤ部16Cの直径Dtと同じとするとき)、タイヤ部18Cの回転速度nt、回転子18Bの直径Dr、回転子18Bの回転速度nr、回転子18Bの周速vrのとき、下記(4)式〜(6)式が成立する。
V0=πDtnt …(4)
nr=a2nt …(5)
Vr=πDrnr=(Dr/Dt)a2v0 …(6)
清掃具10において、例えばDt=34mm、Dr=20mm、Db=40mm、a1=a2=3とするとき、前述(3)式、(6)式より、
Vb/Vr=a1Db/a2Dr=2 …(7)
Vb=2Vr …(8)
が成立する。
また、粘着ロール駆動手段80は、増速手段80Aと回転子18Bとの連結部(太陽軸83が回転子18Bの支軸18Aに連結される連結部)を、タイヤ部18Cの軸方向視でタイヤ部18Cの投影面内に設けている。
また、粘着ロール駆動手段80は、回転子18Bの回転方向をタイヤ部18Cの回転方向と同一方向に設定している。
従って、増速タイヤとしてのタイヤ部18Cの内部に増速手段80Aを設けた清掃具10によれば以下の作用がある。
(1)回転体18のタイヤ部18Cの内部に設けられる増速手段80Aは、回転子18Dの回転中心に設けた太陽歯車84が周方向複数位置に設けた複数の遊星歯車87に噛合い、各遊星歯車87はフレーム15の側に固定された内歯歯車92に噛合う。従って、太陽歯車84は周方向の複数点で各遊星歯車87と噛合い、各遊星歯車87は内歯歯車92にバックアップされるから、太陽歯車84が遊星歯車87から逃げて噛合い外れを生ずることがなく、増速作用の安定確実を図ることができる。粘着ロール21の粘着力により回転子18Bに大きな抵抗が作用するときにも、太陽歯車84の上述の噛合い外れを生じない。
(2)フレーム15に回り止めかつ抜け止め構造を介して固定的に設けたベース82の内周部に内歯歯車92(ピッチ円径d3)を設け、該ベース82の中空軸部82Aに太陽歯車84(ピッチ円径d1)を回転自在に支持し、該ベース82の外周にタイヤ部18Cを回転可能に嵌装し、該タイヤ部18Cの内側面に複数の遊星歯車87を枢着した。従って、内歯歯車92の外周にタイヤ部18Cを固定的に設ける場合に比して、タイヤ部18Cの回転方向と太陽歯車84、ひいては回転子18Bの回転方向を同じにできるし、増速倍率aを、a=(d3/d1)+1の如くに大きくできる。
(3)粘着ロール駆動手段80が回転体18の回転子18Bをタイヤ部18Cの回転より増速し、結果として回転子18Bが接触して回転させる粘着ロール21の周速を早くする。即ち、粘着ロール駆動手段80を構成する回転体18が粘着ロール21を掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bの回転方向と反対方向に、早い周速で回転する。従って、掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bと粘着ロール21とが相対し、掻き上げ部材16Bが掻き上げたゴミを粘着ロール21へ受け渡すゴミ受渡し領域で、粘着ロール21の表面の移動方向を掻き上げ部材16Bの移動方向に合致させ、かつ粘着ロール21の移動速度が高速になる。これにより、掻き上げ部材16Bのブラシ植毛に絡ませた髪の毛等のゴミの先端が粘着ロール21に付着した後、粘着ロール21がこの髪の毛等のゴミを掻き上げ部材16Bの側から拭き取るように巻取り、粘着ロール21により巻取捕集性を向上する。
(4)粘着ロール駆動手段80による粘着ロール21の高速回転化により、粘着ロール21が前述のゴミ受渡し領域で掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bに及ぼす回転抵抗を小さくする。従って、清掃具10を前進させて掻き上げ体16を回転させるために柄11に加える清掃操作力を軽くできる。
(5)掻き上げ体16と回転体18をフレーム15に支持し、掻き上げ体16を清掃具10の清掃進み方向の前方に、回転体18をその清掃進み方向の後方に配置したとき、回転体18に増速手段80Aを設けたから、回転体18のタイヤ部18Cに増速負荷起因の回転抵抗が作用し、回転体18のタイヤ部18Cは床面に対し滑ることなく安定的に接地する。このため、使用者が清掃具10を前進させるために柄11からフレーム15に加える操作力の一部が、回転体18のタイヤ部18Cと床面との上記接地点(支点)まわりで、掻き上げ体16のタイヤ部16Cを床面に押付ける力として作用する。従って、掻き上げ体16のタイヤ部16Cが床面上を滑りなく転動して掻き上げ部材16Bを確実に回転させるし、掻き上げ部材16Bの先端を床面に対して弾性たわみ変形させた後の弾発的な復元作用に基づく掻き上げ力によりゴミを強力に掻き上げ、かつ掻き上げ部材16Bの先端をカーペット等の繊維の深い部分にまでもぐらせてゴミを良く掻き出しできる。
(掻き上げ体16のタイヤ部16Cの材質)
毛足の長いカーペットを清掃するときには、掻き上げ体16のタイヤ部16Cの表面材にカーペットの繊維等との摩擦抵抗が大きい材質を用いた場合、タイヤ部16は滑ることなく掻き上げ部材16Bを確実に増速させる。即ち、タイヤ部16Cは滑りなく回ろうとし、掻き上げ部材16Bに回転トルクを与え続けようとする。ところが、掻き上げ部材16Bはカーペットの繊維中に深く埋もれて回りにくくなり、掻き上げ部材16Bがタイヤ部16Cの回転を制動する状態となる。結果として、回転体18のタイヤ部18Cが床面から浮いてしまい、清掃できなくなるという不都合が生ずる。従って、掻き上げ体16のタイヤ部16Cの表面をある程度摩擦抵抗の小さい材質とすることで、タイヤ部16Cはカーペットの繊維等との間で滑ることができ、上述の不都合を生じないから、軽く清掃できるようになる。例えばシリコンゴムは不良、軟質ポリエチレンは良である。この場合、掻き上げ部材16Bはカーペットの表面に倣って回転するので、タイヤ部16Cが滑っている分、増速回転しないものになるが、このように毛足の長いカーペットでは掻き上げ部材16Bの先端がカーペットの中に深く入るし、カーペットの繊維が自在に撓んで該繊維に対するゴミの絡みも少ないので、掻き上げ部材16Bの増速が十分でなくても掻き上げ部材16Bの清掃掻き上げ効果を発揮できる。尚、繊維の毛足が短く密度の高いカーペットでは該繊維にゴミが絡んでとれ難いが、この場合、カーペットの繊維の剛性がしっかりしているので、タイヤ部16Cの接地圧力が高くなるため、タイヤ部16Cの表面材の摩擦係数が小さくても、十分な摩擦力が得られ、タイヤ部16Cは滑らずに回転し、掻き上げ部材16Bを増速回転できるため、カーペットの繊維に絡んだゴミもとることができる。
(回転体18のタイヤ部18Cの材質)
回転体18のタイヤ部18Cの表面材の摩擦係数は高いものが良い。回転体18は、カーペットに接地しているのがタイヤ部18Cだけであり、回転子18Bはカーペットとは隔離されているため、タイヤ部18Cの回転を阻害しないので、前述のように繊維の毛足の長いカーペットでも、回転子18Bがタイヤ部18Cの回転を制動するようなことがない。また、繊維の毛足の長いカーペットでは、タイヤ部18Cがカーペットにふわっと載っているために、タイヤ部18Cの接地圧力は低いが、タイヤ部18Cの表面材の摩擦係数が大きい材質であれば、回転体18Bにより確実に粘着ロールを回転させることができる。粘着ロール21がスムースに回転すると、粘着ロール21に接触している掻き上げ体16の掻き上げ部材16Bを掻き上げ回転させる方向に該掻き上げ部材16Bを回そうとするので、掻き上げ部材16Bの回転もスムースになり、ゴミ捕捉性能も向上する。例えばシリコンゴムは優良、軟質ポリエチレンは良である。
図1は清掃具を示す模式側面図である。 図2は清掃具の内部を示す縦断面図である。 図3は清掃具の内部を示す横断面図である。 図4は掻き上げ体の増速手段を示す断面図である。 図5は図4のV−V線に沿う断面図である。 図6は図4のVI−VI線に沿う断面図である。 図7は掻き上げ体と回転体と粘着ロールの回転速度関係を示す模式図である。 図8は掻き上げ体の増速作用を示す模式図である。 図9は回転体の増速手段を示す断面図である。 図10は図9のX−X線に沿う断面図である。 図11は図9のXI−XI線に沿う断面図である。
符号の説明
15 フレーム
16B 掻き上げ部材(被回転体)
16C タイヤ部(増速タイヤ)
18B 回転子(被回転体)
18C タイヤ部(増速タイヤ)
60、80A 増速手段
62、82 ベース
63、83 太陽軸
64、84 太陽歯車
65、85 ロックリング
66、86 遊星軸
67、87 遊星歯車
68、88 押えリング
68A、88A 係合ピン
71、91 凹部
72、92 内歯歯車

Claims (4)

  1. フレームにタイヤを支持し、タイヤの回転に連動して回転する被回転体を有し、タイヤの回転を増速して被回転体に伝える増速手段をタイヤの内部に設けてなる増速タイヤであって、
    前記増速手段が、被回転体の回転中心に設けた太陽歯車と、タイヤに枢着されて太陽歯車に噛合い、該太陽歯車の周囲を公転する複数の遊星歯車と、フレームの側に固定されて各遊星歯車が噛合う内歯歯車とからなり、
    前記複数の遊星歯車がタイヤの側壁に設けた複数の遊星軸に枢着され、押えリングに設けた複数の係合ピンを各遊星軸の各中空部に中空部の先端より挿着することで、前記複数の遊星歯車が前記タイヤの側壁と前記押えリングとの間で保持される増速タイヤ。
  2. フレームにタイヤを支持し、タイヤの回転に連動して回転する被回転体を有し、タイヤの回転を増速して被回転体に伝える増速手段をタイヤの内部に設けてなる増速タイヤを備えた清掃具であって、
    前記増速手段が、被回転体の回転中心に設けた太陽歯車と、タイヤに枢着されて太陽歯車に噛合い、該太陽歯車の周囲を公転する複数の遊星歯車と、フレームの側に固定されて各遊星歯車が噛合う内歯歯車とからなり、
    前記複数の遊星歯車がタイヤの側壁に設けた複数の遊星軸に枢着され、押えリングに設けた複数の係合ピンを各遊星軸の各中空部に中空部の先端より挿着することで、前記複数の遊星歯車が前記タイヤの側壁と前記押えリングとの間で保持される増速タイヤを備えた清掃具
  3. 前記フレームに固定したベースの中空部に太陽歯車の太陽軸を回転自在に挿入し、ベースの外周にカップ状のタイヤを回転可能に嵌装し、ベースに嵌装されたタイヤの開口側にロックリングを取着し、ベースの内周部は太陽歯車と複数の遊星歯車と押えリングを収容する凹部とされ、ベースの内周部には内歯歯車が設けられる請求項2に記載の清掃具。
  4. 前記フレームに掻き上げ用タイヤと粘着ロール用タイヤを並べて配置し、
    掻き上げ用タイヤの回転が増速して伝えられる被回転体としての掻き上げ部材を有するとともに、
    粘着ロール用タイヤの回転が増速して伝えられる被回転体としての粘着ロールを有する請求項2又は3に記載の清掃具。
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