JP2008194304A - 自己抗体吸着材及び体外循環モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】天疱瘡患者の自己抗体、及びデスモグレインに対する自己抗体を吸着する安全性、保存安定性に優れた吸着材及び治療用吸着器を提供することを課題とする。
【解決手段】チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されていることを特徴とする自己抗体吸着材及び血液又は血漿を流入させる入り口ポートと、血液又は血漿を流出させる出口ポートを有する容器に上記自己抗体吸着材が充填されていることを特徴とする体外循環モジュール。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天疱瘡患者の血液中に存在する自己抗体の吸着材及び体外循環モジュールに関する。
天疱瘡は皮膚や粘膜表面に水疱が多発して難治性のびらん面となり、時として死にいたる重篤な病である。疫学的には男性に比して女性に多く、50歳代をピークに30〜60歳代で好発する。症状としては可視粘膜、特に口腔内のびらんで初発することが多く、水疱やびらんはやがて汎発化し全身熱傷様を呈する。水疱は弛緩性で破れやすく、早くびらんを作り、さらに進行拡大して表皮形成も悪い。しかも疼痛が強くて患者を苦しめる。特に口腔疹は摂食を妨げ、皮膚の広範囲のびらんからの血清喪失とともに低蛋白血症の原因となる。憎悪期には外見上正常な皮膚面を指尖で圧迫しながらずらせると表皮剥離を起こす(ニコルスキー現象)。治療は困難であり、いわゆる難病として国の特定疾患に指定されている。治療が不適切な場合、内臓諸器官の萎縮と機能障害、さらに感染に対する無防備などにより死に至る。
天疱瘡は臨床的及び組織学的特徴によって尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡の二つのタイプに分けることができる。すべての天疱瘡においてその病変は表皮角化細胞(ケラチノサイト)の細胞間接触の障害(以下、「棘融解」という)による表皮内水疱形成であるが、尋常性天疱瘡では基底層直上に棘融解を生じ、落葉状天疱瘡では表皮上層角層下に水疱を生ずる。
尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡のどちらにおいても、その病変部皮膚を蛍光抗体法で調べてみると、上皮細胞にIgGの沈着が見られ、特徴的な細胞間染色パターンを示す。さらに、非特許文献1、2には、患者血中には上皮細胞膜表面に結合するIgGが検出されたことが記載されている。また、非特許文献3には、天疱瘡の患者から精製されたIgGを新生マウスに注射すると、マウス皮膚に患者においてみられるのと同じ組織学的特徴を持つ水疱が形成されることが示されている。又、非特許文献4、5には、器官培養を行っている皮膚の培養液に天疱瘡の患者から精製されたIgGを添加すると細胞接着の消失をきたすことが報告されている。すなわち、天疱瘡患者は自己上皮組織に対するIgGを産生し、当該IgGは、天疱瘡の主たる病態である水疱形成において上皮の細胞間接着を消失させる病因を担っていると考えられている。
非特許文献6〜11では、尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の抗体が標的とする抗原についての免疫化学的な分析から、それらがそれぞれ130kD及び160kDの糖蛋白質であることが明らかにされた。さらに非特許文献12、13では、cDNAのクローニングによってこれらの抗原分子がともに細胞間接着分子であるカドヘリンスーパージーンファミリーに属するデスモグレイン(以下、「Dsg」という)のサブファミリーに属することが明かにされた。そして、非特許文献14には、尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の標的抗原は、現在それぞれデスモグレイン3(以下、「Dsg3」という)及びデスモグレイン1(以下、「Dsg1」という)と呼ばれていることが記載されている。
非特許文献15の記載によれば、天疱瘡患者では、上皮中にある細胞接着因子カドヘリンの1種であるDsg1、あるいはDsg3に対する自己抗体が産生され、その抗体がDsg1やDsg3と反応することにより接着因子としてのDsgの機能を阻害し、2次的にプラスミン、補体などを活性化して表皮の剥離に至ると考えられている。
現在、天疱瘡患者に対する治療は、ステロイドと呼ばれる副腎皮質ホルモン剤の全身投与が行われるが、副作用が強いため、血漿交換療法(二重ろ過血漿交換を含む)が併用されている。また、免疫抑制剤やガンマグロブリン大量静注療法が検討されている。ステロイド、免疫抑制剤は自己免疫作用を抑制すると考えられ、長期投与では感染症の悪化や骨頭壊死などの重篤な副作用を引き起こすことが知られている。また、血漿交換療法やガンマグロブリン大量静注療法は病因抗体を除去あるいは中和すると考えられているが、献血由来の血漿成分を使用するため、ウイルスや未知の病原体に感染する恐れがある。したがって、現状の天疱瘡の治療法は全ての患者に対して十分とはいえず、新たな治療法が望まれている。その一つとして、Dsg3あるいはDsg1に対する自己抗体を選択的に吸着する治療器具が検討されている。
特許文献1には、尋常性天疱瘡の標的抗原が細胞接着を担う蛋白質であるカドヘリンの類似蛋白質であり、同じく細胞接着に関与していると考えられる蛋白質Dsg3とIgGとの融合蛋白が尋常性天疱瘡の治療に用いられることが記載されており、その融合蛋白質を担体に固定化した吸着剤材を有することを特徴とする尋常性天疱瘡の治療器具が考案されている。
又、特許文献2には、落葉状天疱瘡の標的抗原が細胞接着を担う蛋白質であるカドヘリンの類似蛋白質であり、同じく細胞接着に関与していると考えられる蛋白質Dsg1とIgGとの融合蛋白が尋常性天疱瘡の治療に用いられることが記載されており、その融合蛋白質を担体に固定化した吸着材を有することを特徴とする落葉状天疱瘡の治療器具が考案されている。
しかしながら、上記特許文献1,2のいずれも担体に固定化されるリガンドは、融合蛋白質であるため、リガンドの抗原性が問題となり、また、リガンドの保存安定性や滅菌時の安定性が悪く、又、体外循環時に血液や血漿と接触した際に加水分解する恐れがあった。さらに、融合蛋白質の生産は、バイオプロセスによるため、生産に多大な労力を要し、生産コストが高く、作製時にエンドトキシンが混入する危険性が高く、十分な安全性を確保するためにエンドトキシン除去など精製行程にも非常に手間とコストがかかり、リガンド作製のための労力、設備、時間、コスト等が莫大になるという欠点があった。
ボイトナー(E.H.Beutner)ら、Proc Soc Exp Biol Med、1964年、 第117号、505-510頁 スタンレー(J.R.Stanley)ら、Journal of Clinical Investigation、1989年、第83号、1443-1448頁 アンハルト(G.J.Anhalt)ら、New England Journal of Medicine、1982年、第306巻、1189-1196頁 ハシモトら、Journal of Experimental Medicine、1983年、第157巻、259-272頁 シュルツ(J.R.Schiltz)ら、Journal of Investigative Dermatology、1976年、第67巻、254-260頁 スタンレー(J.R.Stanley)ら、Journal of Clinical Investigation、1982年、第70号、281-288頁 スタンレー(J.R.Stanley)ら、Journal of Clinical Investigation、1984年、第74号、313-320頁 クール(L.Koulu)ら、Journal of Experimental Medicine、1984年、第160号、1509-1518頁 アイル(R.W.Eyre)ら、Journal of Clinical Investigation、1988年、第81号、807-812頁、 ハシモトら、Journal of Investigative Dermatology、1990年、第94号、327-331頁 コールマン(N.J.Korman)ら、New England Journal of Medicine、1989年、第321号、631-635頁 European Journal of Cell Biology、第53号、1-12頁、1990年、コッホ(P.J.Koch)ら アマガヤら、Cell、1991年、第67巻、869-877頁 バクストン(R.S.Buxton)ら、Journal of Cell Biology、1993年、第121巻、481-483頁 天谷雅行、1992年、最新医学、第47巻、159-161頁 特開平8−188540号公報 特開平9−77800号公報
本発明は、天疱瘡患者の自己抗体、更にDsgに対する自己抗体を吸着する、安全性、保存安定性に優れた吸着材及び治療用吸着器を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されている吸着材が天疱瘡患者の自己抗体を選択的に、且つ高率に吸着し、安全性、保存安定性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されていることを特徴とする天疱瘡の自己抗体吸着材。
(2)チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されていることを特徴とするデスモグレインに対する自己抗体吸着材。
(3)前記リガンドの炭素数が4個〜8個であることを特徴とする(1)または(2)記載の自己抗体吸着材。
(4)前記リガンドが2−チオフェンエチルアミンであることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の自己抗体吸着材。
(5)前記リガンドの固定化量が、水不溶性担体1ml当り10μmol〜200μmolであることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の自己抗体吸着材。
(6)前記水不溶性担体が粒子状の多孔質体であり、排除限界分子量が15万〜1000万であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の自己抗体吸着材。
(7)血液又は血漿を流入させる入口ポートと、血液又は血漿を流出させる出口ポートを有する容器に(1)〜(6)の何れかに記載の自己抗体吸着材が充填されていることを特徴とする体外循環モジュール。
本発明に係る自己抗体吸着材は、天疱瘡の自己抗体、及びDsgに対する自己抗体を吸着することができる。特に、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体)を選択的に、且つ高率に吸着し、該吸着材は、安全性、保存安定性に優れている。また該吸着材を封入した体外循環モジュールを用いることにより、天疱瘡患者の血液から体外循環により抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体)を含む天疱瘡自己抗体を安全に除去できる。
以下、本発明について詳細に述べる。
本発明でいうリガンドは、チエニル基を含む化合物からなるリガンドである必要がある。リガンドに含まれるチエニル基の数には、特に限定はないが、リガンドの化学的安定性や血液適合性を考慮すると1個〜5個が好ましい。
本発明でいうリガンドの炭素数は、4個以上8個以下であることが好ましい。炭素数が4個以下だと、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体)の吸着性が著しく低下してしまう。リガンドの炭素数は、8個を超えると、リガンドの疎水性が増し、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体)の吸着性はあがるが、血漿中の他のタンパクも吸着してしまう非特異的吸着が起こり、血液適合性が悪くなる。又、リガンド固定時の溶解性や保存安定性も悪くなるので好ましくない。
チエニル基を含む化合物からなるリガンドとしては、担体への固定化や抗Dsg抗体吸着に有効な第1級アミンを一つ以上有しているアミン化合物であることが好ましい。具体的には、チエニル基を含むアミノ酸であるチエニルグリシン、チエニルアラニン、チエニルセリンが挙げられる。尚、本明細書において記載されるアミノ酸及びアミノ酸誘導体は、特に断りのない限りL体である。さらに、カルボン酸を含まないチエニル基を含む化合物である2−チオフェンエチルアミンは、チエニル基を含むアミノ酸よりも抗デスモグレイン抗体吸着能に優れているので、リガンドとして好適に用いることができる。
本発明でいう水不溶性担体とは、吸着材が血液に接触した際に血液中に溶け出さない程度に、水に溶け難い担体のことをいう。
低分子リガンドを固定化する際に使用する担体としては、親水性の表面を有し、かつ低分子リガンドとの間で共有結合を形成させるために利用し得るアミノ基、カルボキシル基、水酸基などの反応性の官能基を有するものが好ましい。また、上記の水不溶性担体は吸着させ得る有効表面積が広い多孔性であるものが望ましい。
担体は粒子状、繊維状、シート状、中空糸状などの任意の形状を用いることができるが、リガンドの保持量や吸着材としての取扱い性を考慮すると、粒子状のものが好ましい。
球状または、粒子状担体の平均粒径は、25μm〜2500μmのものを利用できるが、その比表面積(吸着材としての吸着能力)と体液の流通性を考慮すると、50μm〜1500μmのものが好ましい。
使用できる担体としては、セルロース系ゲル、デキストラン系ゲル、アガロース系ゲル、ポリアクリルアミド系ゲル、多孔質ガラス、ビニルポリマーゲル等の有機または無機の多孔体が使用でき、通常のアフィニティクロマトグラフィーに用いられる担体用の材料は全て用いることができる。
これらの担体を例示すると、旭化成マイクロキャリア(旭化成(株)社製)、CM−セルロファイン(登録商標)CH(排除限界タンパク質分子量:約3×106、生化学工業(株)販売)などのセルロース系担体、特公平1−44725号公報記載の全多孔質活性化ゲルや、CM−トヨパール(登録商標)650C(排除限界タンパク質分子量:5×106、東ソー(株)製)などのポリビニルアルコール系担体、CM−トリスアクリルM(CM−Trisacryl M)〔排除限界タンパク質分子量:1×107、スウェーデン国ファルマシア−LKB(Pharmacia−LKB)社製〕などのポリアクリルアミド系担体、セファロースCL−4B(SepharoseCL−4B)〔排除限界タンパク質分子量:2×107、スウェーデン国ファルマシア−LKB(Pharmacia−LKB)社製〕などのアガロース系担体などの有機質担体、およびCPG−10−1000〔排除限界タンパク質分子量:1×108、平均細孔径:100nm、米国エレクトロ−ニュークレオニクス(Electro−nucleonics)社製〕などの多孔性ガラスなどの無機質担体が挙げられる。
本発明で用いられる多孔性重合体粒子は、リガンドを固定化できるものであり、排除限界分子量(タンパク質)としては、本発明の目的吸着物質の分子量が約15万(IgG)であることより15万〜1000万が好ましい。本発明の目的に最も好ましい排除限界分子量は100万〜500万である。
重合体組成は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ビニル化合物の重合体等、多孔性構造をとりうる公知の重合体を用いることができるが、特に親水性モノマーにより親水化したビニル化合物系多孔性重合体が好ましい結果を与える。
リガンドの水不溶性担体への固定化方法としては、その様式を問わないが、共有結合が好ましい。例えば、担体がカルボキシル基を有する場合には、N−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることによって、スクシンイミドオキシカルボニル基に変換し、これにリガンドをアミノ基の部分で反応させる方法(活性エステル法)が挙げられる。担体がアミノ基またはカルボキシル基を有する場合には、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合試薬の存在下で、リガンドのカルボキシル基またはアミノ基を縮合反応させる方法(縮合法)、担体とリガンドとをグルタルアルデヒドなどの2個以上の官能基を有する化合物を用いて結合する方法などが挙げられる。また、担体が、水酸基を有する場合には、臭化シアンなどのハロゲン化シアンを担体に作用させ、リガンドのアミノ基の部分で反応させる方法やエピクロロヒドリンなどのエポキシドを担体に作用させ、リガンドのアミノ基の部分や水酸基の部分で反応させる方法等が挙げられる。
さらに、必要に応じて水不溶性担体とリガンドとの間に任意の長さの分子(スペーサー)を導入して使用することもできる。スペーサー分子としては、ポリメチレン鎖、ポリエチレングリコール鎖等が挙げられる。例えば、アガロースの水酸基とヘキサメチレンジイソシアナートの片側のイソシアナート基を反応、結合させ、残ったイソシアナート基とリガンドのアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を反応、結合させることができる。
本発明で担体に結合させるリガンドの量、すなわち、リガンドの保持量は、担体1ml当り10μmolないしは200μmolの範囲であり、より好ましくは10μmolないしは100μmolの範囲である。保持量が10μmol未満の場合は、抗Dsg抗体の吸着能の低下が起こり、200μmolを超える場合は、血漿有用成分の非特異吸着が起こり好ましくない。
本発明でいう天疱瘡の自己抗体とは、天疱瘡の病因物質となっている自己の抗原に対する抗体のことを意味する。とりわけ、尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の標的抗原であるDsg3及びDsg1に対する自己抗体、すなわち、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)を吸着除去することは、効果的な治療法となる。
抗Dsg抗体吸着材に対する抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)の吸着量を測定する方法としては、抗Dsg抗体吸着材に抗Dsg抗体溶液を加え、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)を吸着させ、抗Dsg抗体溶液中の抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)の減少量率を測定する方法が挙げられる。例えば、リガンドが固定化された担体を、一定時間、抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)溶液に浸漬させ、その後 抗Dsg抗体(抗Dsg1抗体及び抗Dsg3抗体)の減少量率をELISA法によって定量して求めることができる。
本発明の自己抗体吸着材は、体液の導出入口を備えた容器内に充填保持して使用することができる。
図1において、1は、本発明の自己抗体吸着材を使用した体外循環モジュールの一例を示すものであり、円筒2の一端開口部に、内側にフィルター3を張ったパッキン4を介して体液導入口5を有するキャップ6をネジ嵌合し、円筒2の他端開口部に内側にフィルター3´を張ったパッキン4´を介して体液導出口7を有するキャップ8をネジ嵌合して容器を形成し、フィルター3および3´の間隙に吸着材を充填保持させて吸着材層9を形成してなるものである。
吸着材層9には、本発明の自己抗体吸着材を単独で充填してもよく、他の吸着材と混合もしくは積層してもよい。他の吸着材としては、例えばDNA等の他の悪性物質(抗原)の吸着材や、幅広い吸着能を有する活性炭等を用いることができる。これにより吸着材の相乗効果による広範な臨床効果が期待できる。吸着材層9の容積は、体外循環に用いる場合、50ml〜400ml程度が適当である。
本発明の体外循環モジュールを体外循環で用いる場合には、大きく次の二通りの方法がある。一つには、体内から取り出した血液を遠心分離機もしくは膜型血漿分離器を使用して、血漿成分と血球成分とに分離した後、血漿成分を該体外循環モジュールに通過させ、浄化した後、血球成分と合わせて体内にもどす方法であり、他の一つは、体内から取り出した血液を直接該体外循環モジュールに通過させ、浄化する方法である。
また、血液もしくは血漿の通過速度については、本発明の吸着材の吸着能率が非常に高いため、吸着材の粒度を粗くすることができ、また充填度を低くできるので、吸着材層の形状の如何にかかわりなく、高い通過速度を与えることができ、そのため多量の体液処理をすることができる。
体液の通過方法としては、臨床上の必要に応じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に通液しても良いし、また断続的に通液使用しても良い。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜4]
1.吸着材の作製方法
ポリ酢酸ビニル製の球状の多孔質体(旭硝子株式会社製、平均粒径100μm、排除限界分子量約100万以上、樹脂1mlに充填できる分子量4万のプルランの量が0.20ml/ml以上)100gを、ジメチルスルフォキシド(和光純薬株式会社製)1Lに投入し、水酸化ナトリウム(和光純薬株式会社製)120g・エピクロルヒドリン(和光純薬株式会社製)780ml・水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)750mgを用いて30℃で5時間反応させてエポキシ基を導入した。反応後、メタノール(和光純薬株式会社製)で洗浄し、その後、純水で洗浄して活性化多孔質体を得た。得られた多孔質体に導入されたエポキシ基の量は110μeq/mlgel以上である事を、滴定法(1.3mmol/lチオ硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬株式会社製)4mlと活性化担体2mlに1%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬株式会社製)2滴を滴下し、70℃下で、赤色の呈色が確認されなくなるまで0.1N塩酸を加え、「活性化量(エポキシ基の量)=塩酸滴定量/樹脂量×100」の式により、導入されたエポキシ基の量を求め、110μeq/mlゲル以上である事を確認した。
2.固定化反応
次にpH9.3の炭酸緩衝液(和光純薬株式会社製、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム)を溶媒とし、実施例1〜4については、50μeq/mlゲルの固定量が得られるようにリガンドを溶解した。作製したリガンド溶液と担体を、50℃で16時間反応させて、アミノ基と多孔質体のエポキシ基とを共有結合させて吸着材を得た。リガンドとして、実施例1:チエニルグリシン(L−α−(3−THIENYL)GLYCINE)、実施例2:チエニルセリン(β−(2−THIENYL−DL−SERINE))、実施例3:チエニルアラニン(β−(2−THIENYL)−D−ALANINE))、(実施例1〜3のりガンドはSIGMA社製)、実施例4:2−チオフェンエチルアミン(2−THIOPHENEETHYLAMINE)(和光純薬株式会社製)のものを用いた。固定化量はリガンド溶液の波長200nm〜280nmの吸光度スペクトルを測定し、最も高い吸光度を示す波長を用いて、反応前後の差から1mlゲルあたりの固定量(eq/mlゲル)として算出した。
3.吸着反応
マイクロプレート(Falcon社製、No.3504)にウエルあたり0.5mlの吸着材を入れ、そこに天疱瘡患者血漿1.0mlを加え、室温にて、振盪しながら60分間反応させた。
4.分析
反応後の血漿から吸着材を除去し、サンプルとした。天疱瘡自己抗体(抗Dsg1抗体および抗Dsg3抗体)の濃度をELISA法にて検出し、元血漿中抗Dsg抗体量と反応後の血清中抗Dsg抗体量の差を吸着量として算出した。吸着性能は、「吸着率(%)=(1−吸着反応後血漿濃度/元血漿濃度)×100」の式で算出した。
[比較例1〜12及び参考例]
比較例として、炭素数が6個以下のチエニル基を含まない化合物をリガンドとして用いた以外は、実施例に記載と同様の方法で実施し、固定化反応は、50μeq/mlゲルの固定量が得られるようにリガンドを溶媒に溶解した。又、参考例として、リガンドを固定しない活性化後担体を用いて実施例に記載と同様の方法で実施した。
リガンドとして、比較例1:グリシン、比較例2:アラニン、比較例3:セリン、比較例4:システイン、比較例5:スレオニン、比較例6:アスパラギン、比較例7:アスパラギン酸、比較例8:メチオニン、比較例9:プロリン、比較例10:ヒスチジン、比較例11:イソロイシン、比較例12:アルギニン(比較例1〜12のリガンドはSIGMA製)を用いた。
[結果]
実施例1〜4、比較例1〜12と参考例(リガンドなし)の結果を合わせて表1に示した。その結果、実施例のチエニル基もつリガンドを有する吸着材はいずれも比較例に比して、抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体の吸着率が高く、天疱瘡患者血漿の中から選択的にこれらを吸着している事が判る。
Figure 2008194304
<実施例5〜8及び参考例>
リガンドとして2−チオフェンエチルアミンを用い、リガンドの固定化量が、0、5、10、50、100μeq/mlゲルになるように反応させた以外は、実施例1〜4と同様の方法で実施し、天疱瘡自己抗体(抗Dsg1抗体および抗Dsg3抗体)の濃度をELISA法にて検出した。その結果を表2に示した。その結果、リガンドの固定化量は、10μeq/mlゲル以上であれば、抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体の吸着率が高いことがわかる。
Figure 2008194304
本発明は、天疱瘡患者の自己抗体及び抗デスモグレイン抗体(抗Dsg1抗体、抗Dsg3抗体)を選択的かつ高率に吸着するので、体外循環吸着療法用の治療器具として有用である。
本発明の自己抗体吸着材を使用した体外循環モジュールの一例を示すものである。
符号の説明
1 …自己抗体吸着材を使用した体外循環モジュール
2 …円筒
3、3´ …フィルター
4、4´ …パッキン
5 …体液導入口
6 …キャップ
7 …体液導出口
8 …キャップ
9 …自己抗体吸着材

Claims (7)

  1. チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されていることを特徴とする天疱瘡の自己抗体吸着材。
  2. チエニル基を含む化合物からなるリガンドが水不溶性担体に固定化されていることを特徴とするデスモグレインに対する自己抗体吸着材。
  3. 前記リガンドの炭素数が4個〜8個であることを特徴とする請求項1または2記載の自己抗体吸着材。
  4. 前記リガンドが2−チオフェンエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自己抗体吸着材。
  5. 前記リガンドの固定化量が、水不溶性担体1ml当り10μmol〜200μmolであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自己抗体吸着材。
  6. 前記水不溶性担体が粒子状の多孔質体であり、排除限界分子量が15万〜1000万であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自己抗体吸着材。
  7. 血液又は血漿を流入させる入口ポートと、血液又は血漿を流出させる出口ポートを有する容器に請求項1〜6の何れかに記載の自己抗体吸着材が充填されていることを特徴とする体外循環モジュール。
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