JP3251547B2 - 免疫複合体の除去装置 - Google Patents

免疫複合体の除去装置

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JP3251547B2
JP3251547B2 JP09041398A JP9041398A JP3251547B2 JP 3251547 B2 JP3251547 B2 JP 3251547B2 JP 09041398 A JP09041398 A JP 09041398A JP 9041398 A JP9041398 A JP 9041398A JP 3251547 B2 JP3251547 B2 JP 3251547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は体液から有害な成分
を吸着除去するための除去装置に関する。さらに詳しく
は体液中より免疫複合体を除去し、自己免疫疾患を抑制
するための除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】われ
われの周囲には、おびただしい種類のウイルス、細菌、
かび、寄生虫などの感染性の異物が存在している。その
いずれもが生体に疾患をおこすことができ、もし無制限
に生体内で増殖すれば、最終的に生物を殺してしまうこ
とになる。そこで生体にはこれを防御する機能として免
疫系が存在している。この免疫系で主役をなすのが抗体
分子である。つまりウイルスや細菌などの異物が抗原と
なり、免疫系を刺激すると、その抗原と選択的に結合す
る抗体分子が産生される。
【0003】一方自己免疫疾患では、外部の生物でなく
自己の細胞や組織のもつ抗原に対して体液性あるいは細
胞性の免疫応答がおこり、自己に対する抗体(以下、自
己抗体という)や抗原抗体が特異的に反応しあって作ら
れる複合体(以下、免疫複合体という)などが大量に生
じる。そしてこの体液中の免疫複合体は、生理的排除機
構によって処理されず、腎糸球体、関節滑膜、肺、血管
壁などの組織に沈着して自己免疫疾患に特徴的な病態の
出現に直接関わりをもつことが多い。
【0004】代表的な自己免疫疾患である全身性エリテ
マトーデス(以下、SLEという)では細胞の核成分、
とりわけデオキシリボ核酸(以下、DNAという)に対
する抗体(以下、抗DNA抗体という)が体液中に出現
し、この自己抗体自身が抗原と結合して免疫複合体を形
成し組織に沈着することにより組織障害を起こす機構が
提唱されている。SLEのばあいは発生した抗DNA抗
体が同じく血中に流出した細胞由来のDNAと免疫複合
体を形成し、血管壁、腎糸球体基底膜に沈着することに
よりそれぞれ血管炎、ループス腎炎を発症することが知
られており、実際SLEでは腎不全により死亡する例が
多い。
【0005】このように産生した自己抗体と対応抗原と
の免疫複合体によりさまざまな症状がひきおこされるわ
けであるから、治療には免疫複合体のコントロールが非
常に重要である。
【0006】従来より免疫複合体の産生を抑制する目的
でステロイド剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤な
どがSLEの治療に広く用いられている。なかでもステ
ロイド剤はもっとも一般的に用いられ、パルス療法と呼
ばれるステロイドの短期超大量投与療法もしばしば行わ
れている。しかしながら、ステロイドは少量の投与によ
っても副作用を生じやすいのでステロイドの短期超大量
投与療法によれば、さらに大きな副作用を生じさせやす
くなるのは自明である。また、これらの薬剤は長期にわ
たって用いられることが多く、そのようなばあいには副
作用がさらに出やすく、また薬剤耐性によりしだいに増
量しなければならないことも多いため症例によってはこ
れらの薬剤の使用が不可能であったり、充分な効果を発
揮しないばあいも多い。とくにSLEの活動期は抗DN
A抗体および免疫複合体の抑制がもっとも必要な時期で
あるにもかかわらず、上記の理由によりパルス療法や免
疫抑制剤などの薬剤を用いる強力な療法を採用できない
ばあいも多い。
【0007】一方、これらの薬剤療法とは別のアプロー
チとして、体液中の免疫複合体を体外循環によって直接
除去しようとする試みがなされている。もっとも簡便な
方法は、免疫複合体を含む患者の血漿を健常人の血漿と
交換する、いわゆる血漿交換療法である。この方法によ
って血中の免疫複合体は大幅に低下し、症状の改善がみ
られている。しかしながらこの方法では大量の健常血漿
が必要となり高価であるばかりでなく、該療法処置中に
血清肝炎などの感染の危険性を伴うために広く普及する
には至っていない。
【0008】血漿交換療法では血漿中のすべての成分が
除かれ、健常血漿と交換されるわけであるが、これに対
して病因物質である免疫複合体を選択的に除去する目的
で、分子サイズにより病因物質を分離する血漿分離膜法
が開発された。この方法では膜により血漿を高分子量画
分と低分子量画分に分離し、病因物質が含まれている高
分子量画分を廃棄し、主要蛋白であるアルブミンが含ま
れている低分子量画分を患者に戻すが、免疫複合体は、
分子量約16万のIgG(免疫グロブリンG)と抗原との
複合体が主であり、その分子量分布も広いために、アル
ブミン、正常なIgGやIgM(免疫グロブリンM)と
の分離は必ずしも充分でなく、免疫複合体を除去する際
にこれらも大量に除去され、さらに病因物質と同等以上
の分子量の蛋白はすべて除去されるなどの欠点がある。
【0009】したがって、病因物質である免疫複合体を
より選択的に除去し、体液中の有用成分がほとんど失わ
れることのない除去手段の出現が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、体液中の有効成分をほ
とんど失うことなくほぼ免疫複合体のみを選択的に吸着
しうる免疫複合体の除去装置を見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0011】すなわち本発明は、流体の流入口および流
出口を有する容器、流体および該流体に含まれる成分は
通過できるが、水不溶性多孔質担体に分子量1000以上の
デキストラン酸が固定されてなる免疫複合体の吸着体
は通過できないフィルター、および前記容器内に充填さ
れた前記免疫複合体の吸着体からなる免疫複合体の除去
装置に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本明細書において体液とは、血
液、血漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液およびこれ
らからえられた分画成分、ならびにその他の生体由来の
液性成分をいう。
【0013】本発明において水不溶性多孔質担体とは、
分子量1000以上のデキストラン酸を固定するための水
に溶解しない性質を有する物質をいう。本発明に用いる
水不溶性多孔質担体は、大きな径の連続した細孔を有す
るものが好ましい。すなわち免疫複合体は、おもにIg
Gと抗原からなり、分子量が16万以上であり、分子量が
100万位の巨大分子のものも存在すると予想されるため
に、これを効率よく吸着するためには免疫複合体が容易
に多孔質体内に侵入しうることが必要である。
【0014】細孔径の測定方法には種々あり、水銀圧入
法がもっともよく用いられているが、親水性多孔質体の
ばあいには適用が難しい。これに変わる細孔径の目安と
して排除限界分子量がよく用いられ、親水性多孔質体、
疎水性多孔質体のいずれにも適用できる。排除限界分子
量とは成書(たとえば波多野博之、花井俊彦著、実験高
速液体クロマトグラフィー、化学同人)などに述べられ
ているごとく、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて細
孔内に侵入できない(排除される)分子のうちもっとも
小さい分子量をもつ物の分子量をいう。
【0015】排除限界分子量は対象とする化合物により
異なることが知られており、一般に球状蛋白質、デキス
トラン、ポリエチレングリコールなどについてよく調べ
られているが本発明に用いる担体のばあい、免疫複合体
にもっとも類似していると思われる球状蛋白質を用いて
えられた値を用いるのが適当である。
【0016】排除限界の異なる種々の水不溶性多孔質担
体を用いて検討した結果、免疫複合体の吸着に適当な細
孔径の範囲は、40万以上6000万以下であることが明らか
になった。すなわち40万未満の排除限界分子量をもつ水
不溶性多孔質担体を用いたばあいには免疫複合体の吸着
量は小さく実用に耐えない。一方排除限界分子量が大き
くなるにつれて、免疫複合体の吸着量は増加するがやが
て頭打ちとなり、排除限界分子量が6000万をこえると表
面積が少なすぎ吸着量は目だって低下するばかりでな
く、目的とする免疫複合体以外の吸着、すなわち非特異
吸着が増加し選択性がいちじるしく低下する。
【0017】したがって本発明に用いる水不溶性多孔質
担体の好ましい排除限界分子量は40万以上6000万以下で
あり、さらに好ましくはより選択性吸着容量の大きい点
から60万以上2000万以下であるのがよい。
【0018】つぎに水不溶性多孔質担体の多孔構造につ
いては表面多孔性よりも全多孔性が好ましく、空孔容積
が吸着容量が大きいという点から20%以上であることが
望ましい。水不溶性多孔質担体の形状は、粒状、球状、
繊維状、膜状、ホローファイバー状など任意の形状を選
ぶことができる。粒状の水不溶性多孔質担体を用いるば
あい、その粒子径が1μm未満のばあいには圧力損失が
大きく、5000μmをこえるばあいには吸着容量が小さい
点から、1μm以上5000μm以下であるのが好ましい。
【0019】本発明に用いる水不溶性多孔質担体は有機
性、無機性いずれであってもよいが、目的とする免疫複
合体以外の体液成分の吸着(いわゆる非特異吸着)の少
ないものが好ましい。親水性であるほうが非特異吸着が
少ないので水不溶性多孔質担体は疎水性であるよりも、
親水性であるほうが好ましい。
【0020】さらに、水不溶性多孔質担体表面には、リ
ガンドの固定化反応に用いうる官能基が存在していると
好都合である。これらの官能基の代表例としては、水酸
基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオー
ル基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、ハロゲン
基、スクシニルイミド基、酸無水物基などがあげられる
が、これらに限定されるわけではない。また、水不溶性
多孔質担体は前記官能基のなかでも水酸基を有する化合
物よりなるものであるばあい、非特異吸着が少ないので
とくに好ましい。これら官能基をスペーサーとして導入
された水不溶性多孔質担体も、用いうることはいうまで
もない。
【0021】本発明に用いる水不溶性多孔質担体の代表
例としては、アガロース、デキストラン、ポリアクリル
アミドなどの軟質多孔質体、多孔質ガラス、多孔質シリ
カゲルなどの無機多孔質体、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリビニルアルコール、スチレン、ジビニルベンゼ
ン共重合体などの合成高分子および/またはセルロース
などの天然高分子を原料とする多孔質ポリマーハードゲ
ルなどがあげられるがこれらに限定されるわけではな
い。
【0022】本発明に用いる吸着体を体外循環治療に用
いる際には、血液、血漿のごとき高粘性流体を高速で流
す必要があるために、圧密化を引き起こさない充分な機
械的強度を有する硬質水不溶性多孔質担体を用いるのが
好ましい。すなわち、硬質水不溶性多孔質担体とは後記
参考例に示すごとく、水不溶性多孔質担体を円筒状カラ
ムに均一に充填し、水性流体を流通したばあいの圧力損
失と流量との関係が少なくとも 0.3kg/cm2まで直線関
係にあるものをいう。本発明に用いる分子量1000以上の
デキストラン酸は、1分子内に複数の硫酸エステル基
を有する分子量1000以上のデキストランをいう。
【0023】
【0024】本発明に用いる吸着体に固定される分子量
1000以上のデキストラン酸は1種類であってもよい
し、2種類以上であってもよい。
【0025】本発明に用いる吸着体は、水不溶性多孔質
担体に分子量1000以上のデキストラン酸が固定された
状態のものをいう。そのような分子量1000以上のデキス
トラン酸を水不溶性多孔質担体に導入する方法として
は公知の種々の方法を特別な制限なしに用いることがで
きる。
【0026】分子量1000以上のポリアニオン化合物やそ
れ以外のアニオン性官能基を有する化合物が固定されて
なる状態をうるためのアニオン性官能基の担体への代表
的な導入方法としては、 (1)アニオン性官能基あるいは容易にアニオン性官能
基に変換しうる官能基を含有する化合物をモノマーある
いは架橋剤として用いる重合によって吸着体を形成させ
る方法、 (2)アニオン性官能基を含有する化合物を水不溶性多
孔質担体に固定させる方法、 (3)アニオン性官能基を形成する化合物と水不溶性多
孔質担体とを直接反応させることによって、水不溶性多
孔質担体にアニオン性官能基を有する化合物を固定させ
る方法などがあげられる。
【0027】(1)の方法において用いるアニオン性官
能基あるいは容易にアニオン性官能基に変換しうる官能
基を含有するモノマーあるいは架橋剤の代表例として
は、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およ
びそのエステル、スチレンスルホン酸などがあげられる
がこれらに限定されるわけではない。
【0028】(2)の方法、すなわちアニオン性官能基
を含有する化合物を水不溶性多孔質担体に固定させる方
法としては、物理的吸着による方法、イオン結合による
方法、共有結合により固定する方法などがあり、いかな
る方法を用いてもよいが、吸着体の保存性ならびに安定
性のためにはアニオン性官能基含有化合物が脱離しない
ことが重要であるので、強固な固定が可能な共有結合法
が望ましい。
【0029】共有結合によりアニオン性官能基含有化合
物を固定させるばあい、アニオン性官能基含有化合物が
アニオン性官能基以外に固定に利用できる官能基を有す
るのが好ましい。
【0030】固定に利用できる官能基の代表例として
は、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物
基、スクシニルイミド基、水酸基、チオール基、アルデ
ヒド基、ハロゲン基、エポキシ基、シラノール基などが
あげられるがこれらに限定されるわけではない。
【0031】これらの官能基を有するアニオン性官能基
含有化合物は多数存在するが、後述する、スルファニル
酸、ホスホリルエタノールアミン、グリシン、タウリン
などはその一例である。
【0032】また、アニオン性官能基を含有する化合物
のうち硫酸エステル基を含有する化合物の代表例として
はアルコール、糖類、グリコールなどの水酸基含有化合
物の硫酸エステルがあげられるが、これらのなかでも多
価アルコールの部分硫酸エステル化合物、とりわけ糖類
の硫酸エステル化物が硫酸エステル基、固定に必要な官
能基の双方を含んでいるうえに、生体適合性および活性
ともに高く、さらに硫酸化多糖類は容易に水不溶性多孔
質担体に固定しうることからとくに好ましい。
【0033】つぎに、(3)の方法、すなわちアニオン
性官能基を形成する化合物と水不溶性多孔質担体とを反
応させることによって、水不溶性多孔質担体にアニオン
性官能基を有する化合物を固定させてアニオン性官能基
を導入する方法の代表例として水酸基含有多孔質担体に
硫酸エステル基を導入する反応があげられる。このばあ
い、水酸基含有水不溶性多孔質担体とクロロスルホン
酸、濃硫酸などの試薬を反応させることによって直接硫
酸エステル基を導入することができる。
【0034】導入されるアニオン性官能基の量は、吸着
体1mlあたり0.01μmol 以上10mmol以下が好ましい。0.
01μmol 未満のばあい吸着能力が充分でなく、10mmolを
こえるばあい非特異吸着が多すぎて実用に供することが
困難になる。より好ましいアニオン性官能基導入量は 1
μmol 以上 100μmol 以下であるのがよい。
【0035】本発明に用いる吸着体を治療に用いるには
種々の方法がある。もっとも簡便な方法としては患者の
血液を体外に導出して血液バッグに貯め、これに本発明
に用いる吸着体を混合して免疫複合体を除去後、フィル
ターを通して吸着体を除去し、血液を患者に戻す方法が
ある。この方法は、複雑な装置を必要としないが、1回
の処理量が少なく治療に時間を要し、操作が煩雑になる
という欠点を有する。
【0036】つぎの方法は吸着体をカラムに充填し、体
外循環回路に組み込みオンラインで吸着除去を行うもの
である。すなわち流体の流入口および流出口を有する容
器、流体および該流体に含まれる成分は通過できるが、
水不溶性多孔質担体に分子量1000以上のデキストラン
酸が固定されてなる免疫複合体の吸着体は通過できない
フィルター、および前記容器内に充填された前記免疫複
合体の吸着体からなる免疫複合体の除去装置に体液を通
液する方法が簡便で好ましい。
【0037】図1に本発明の免疫複合体の除去装置の一
実施例の概略断面図を示す。図1中、(1)および
(2)はそれぞれの流体の流入口と流出口、(3)は前
記吸着体、(4)および(5)は流体および流体に含ま
れる成分は通過できるが前記吸着体は通過できないフィ
ルターまたはメッシュ、(6)はカラム、(7)は容器
である。ここで流体の流入口側のフィルター(4)は存
在しなくてもよい。
【0038】以下、実施例により本発明の除去装置をさ
らに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限
定されるものではない。
【0039】
【実施例】参考例 両端に孔径15μmのフィルターを装着したガラス製円筒
カラム(内径9mm、カラム長さ150mm)にアガロースゲ
ル(バイオラド(Biorad)社製のBiogel A5m、粒径50〜
100 メッシュ)、ポリマー硬質ゲル(東洋曹達工業
(株)製のトヨパールHW65、粒径50〜100μm、および
チッソ(株)製のセルロファインGC700、粒径45〜105
μm)をそれぞれ均一に充填しペリスタルティックポン
プによりカラム内に水を流通し、流量と圧力損失ΔP と
の関係を求めた。その結果を図2に示す。同図より明ら
かなように軟質ゲルであるアガロースゲルは一定の流量
以上では圧密化をおこし、圧力を増加させても流量が増
加しないのに対し、トヨパール、セルロファインなどの
硬質ゲルは圧力の増加にほぼ比例して流量が増加する。
【0040】製造例1 多孔質セルロースゲルであるセルロースCKゲルA3(商品
名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子量5000
万、粒径45〜105μm)100mlに20%NaOH40g、ヘプタン
120gおよびノニオン系界面活性剤トゥイーン20(商品
名、花王アトラス(株)製)を10滴加えた。40℃で2時
間撹拌後、エピクロルヒドリン50gを加えて2時間撹拌
し、ゲルを水洗濾過し、エポキシ基の導入されたセルロ
ースゲル(以下、エポキシ化ゲルという)をえた。
【0041】比較製造例1 製造例1でえたエポキシ化ゲル5mlにスルファニル酸0.
17gを10mlの水に溶解してpH9.9 に調整した溶液を加
え、常温で24時間振盪し、0.5%モノエタノールアミン
水溶液を加えて振盪し未反応のエポキシ基を封止してス
ルファニル酸が固定されたセルロースゲルをえた。固定
されたスルファニル酸により導入されたアニオン性官能
基量は吸着体1mlあたり6.5μmol であった。
【0042】比較製造例2 製造例1でえたエポキシ化ゲル5mlにホスホリルエタノ
ールアミン0.1gを10mlの水に溶解してpH9.6 に調整し
た溶液を加え、40℃で4時間振盪し、0.5%モノエタノ
ールアミン水溶液を加えて振盪し未反応のエポキシ基を
封止してホスホリルエタノールアミンが固定されたセル
ロースゲルをえた。固定されたホスホリルエタノールア
ミンにより導入されたアニオン性官能基量は吸着体1ml
あたり4μmol であった。
【0043】実施製造例1 製造例1でえたエポキシ化ゲル5mlに分子量約5000、イ
オウ含量15%のデキストラン硫酸ナトリウム4gおよび
水5mlを加えpH9に調整して45℃で16時間振盪した。そ
の後、ゲルを濾別して、2M食塩水溶液、0.5M食塩水溶液
および水を用いてこの順に洗浄し、0.5%モノエタノー
ルアミン水溶液を加えて振盪し未反応のエポキシ基を封
止してデキストラン硫酸ナトリウムが固定されたセルロ
ースゲルをえた。固定されたデキストラン硫酸により導
入されたアニオン性官能基量は吸着体1mlあたり10μmo
l であった。
【0044】比較製造例3 製造例1でえたエポキシ化ゲル5mlにグリシン0.22gを
10mlの水に溶解してpH9.8 に調整した溶液を加えて常温
で24時間振盪した。その後、ゲルを濾別して、0.5%モ
ノエタノールアミン水溶液を加えて振盪し未反応のエポ
キシ基を封止してグリシンが固定されたセルロースゲル
をえた。固定されたグリシンにより導入されたアニオン
性官能基量は吸着体1mlあたり9μmol であった。
【0045】比較製造例4 製造例1でえたエポキシ化ゲル5mlにタウリン0.37gを
10mlの水に溶解してpH9.0 に調整した溶液を加えて常温
で24時間振盪した。その後、ゲルを濾別して、0.5%モ
ノエタノールアミン水溶液を加えて振盪し未反応のエポ
キシ基を封止してタウリンが固定されたセルロースゲル
をえた。固定されたタウリンにより導入されたアニオン
性官能基量は吸着体1mlあたり5μmol であった。
【0046】比較製造例 製造例1で用いたものと同様のセルロースCKゲルA3、10
mlを水洗後吸引濾過し、これにジメチルスルホキシド6
ml、2N-NaOH2.6ml、エピクロルヒドリン1.5mlを加えて4
0℃で2時間撹拌した。反応後ゲルを濾別し、水洗して
エポキシ基の導入されたセルロースゲルをえた。
【0047】これに濃アンモニア水6mlを加え40℃で2
時間反応させてアミノ化セルロースゲルをえた。
【0048】このゲル5mlに分子量19万〜50万のポリア
クリル酸ナトリウム0.2gを10mlの水に溶解してpH4.5
に調整した溶液を加え、さらに1-エチル-3-(ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド200mgをpH4.5 に保ち
ながら添加し、4℃で24時間振盪した。反応後ゲルを濾
別し、水洗してポリアクリル酸の導入されたセルロース
ゲルをえた。固定されたポリアクリル酸により導入され
たアニオン性官能基量は吸着体1mlあたり14μmol であ
った。
【0049】実施製造例 多孔質セルロースゲルをセルロースCKゲルA22(商品
名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子量2000
万、粒径45〜105μm)、セルロファインGCL-2000m(商
品名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子量30
0万、粒径44〜105μm)、セルロファインGCL-1000m
(商品名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子
量60万、粒径44〜105μm)、セルロファインGC-700m
(商品名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子
量40万、粒径44〜105μm)、セルロファインGC-200m
(商品名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子
量12万、粒径45〜105μm)、セルロファインGCL-90
(商品名、チッソ(株)製、球状蛋白質の排除限界分子
量3.5万、粒径45〜105μm)にかえたほかは製造例1お
よび実施製造例1と同様にしてデキストラン硫酸ナトリ
ウムの固定されたセルロースゲルをえた。固定されたデ
キストラン硫酸により導入されたアニオン性官能基量は
吸着体1mlあたりそれぞれ16、18、30、24、30、37μmo
l であった。
【0050】実施製造例 エポキシ化架橋アガロースゲルであるエポキシアクティ
ベイティッドセファロースCL-6B(商品名、ファルマシ
アファインケミカルズ社製、球状蛋白質の排除限界分子
量 400万、粒径45〜165μm)ゲルを用いたほかは実施
製造例1と同様の方法でデキストラン硫酸ナトリウムを
固定した。固定されたデキストラン硫酸により導入され
たアニオン性官能基量は吸着体1mlあたり20μmol であ
った。
【0051】実施製造例 ポリメタクリル酸メチルを主成分とする親水性多孔性硬
質ヒドロゲルであるFP-HG(商品名、三菱化成(株)
製、球状蛋白質の排除限界分子量 400万、粒径 120μ
m)を用いたほかは製造例1および実施製造例1と同様
にしてデキストラン硫酸ナトリウムが固定されたゲルを
えた。固定されたデキストラン硫酸により導入されたア
ニオン性官能基量は吸着体1mlあたり9μmol であっ
た。
【0052】実施製造例 比較 製造例と同様にしてえたアミノ化セルロースゲル
2gに、実施製造例1で用いたものと同様の分子量5000、
イオウ含量15%のデキストラン硫酸ナトリウム4gを 0.1
M リン酸バッファー(pH 8.0)8mlに溶解した液を加え
室温で16時間振盪した。反応後NaCNBH320mgを加え室温
で30分攪拌後、40℃で4時間加熱したのちゲルを濾別水
洗してデキストラン硫酸ナトリウムの固定されたセルロ
ースゲルをえた。固定されたデキストラン硫酸により導
入されたアニオン性官能基量は吸着体1mlあたり18μmo
l であった。
【0053】実験例1 実施製造例1および、ならびに比較製造例1〜でえ
られた吸着体および比較の目的で製造例1で用いた担体
のCKゲルA3を15M トリス緩衝液(pH 7.4)で洗浄したの
ち、各吸着体 0.1mlずつをポリプロピレン製マイクロチ
ューブ(容量7ml)にとり、0.15Mトリス緩衝液(pH 7.
4)を加えて全量を1mlとした。これに免疫複合体を含
む血清 0.2mlずつを加え、25℃で2時間振盪した。この
吸着操作終了後、遠心分離してゲルを沈降させ、採取し
た上清中の免疫複合体濃度を酵素免疫抗体法(ELISA
法)により測定した。つまり、免疫複合体濃度は、C1q
をコートしたプレートに希釈した検体を加え、抗原−抗
体反応を行い、ペルオキシダーゼ標識抗ヒト免疫グロブ
リン抗体を滴下し、酵素発色反応をSLT-210(商品名、
ラボサイエンス(株)製)にて測定波長486nm で測定し
た。測定値は、熱変性IgG により作成した標準曲線によ
り標準化した。表1に、各吸着体に固定されたアニオン
性官能基を有する化合物名、および各吸着体の上澄み中
の免疫複合体濃度を希釈を考慮して原血清中の濃度に換
算して示す。
【0054】表1から水不溶性多孔質担体にアニオン性
官能基を有する化合物が固定されてなる吸着体は、免疫
複合体を吸着しているのがわかる。そして、デキストラ
ン硫酸が固定された吸着体の免疫複合体の吸着能がとく
に優れていることがわかる。
【0055】
【表1】
【0056】実験例2 実施製造例1〜4でえられた吸着体を用い、加えた血清
量を 0.1mlとしたほかは実験例1と同様の方法にしたが
って上澄み中の免疫複合体濃度を希釈を考慮して原血清
中の濃度に換算して求めた。えられた結果を用いた種々
の水不溶性多孔質担体名とともに表2に示す。比較のた
め原血清の免疫複合体濃度を測定したところ32.2μg/ml
であった。
【0057】表2から、排除限界分子量が40万以下の水
不溶性多孔質担体である実施製造例のセルロファイン
GC-700m、セルロファインGC-200mおよびセルロースGC
L-90の免疫複合体吸着能がおとることがわかる。また、
逆に、排除限界分子量を5000万と大きくしすぎても実施
製造例1のセルロースCKゲルA3の結果から免疫複合体吸
着能は落ちる傾向にあることがわかる。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明の除去装置は体液より免疫複合体
を選択的に除去する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の免疫複合体の除去装置の一実施
例の概略断面図である。
【図2】図2は3種類のゲルを用いて流速と圧力損失と
の関係を調べた結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1:流入口 2:流出口 3:吸着体 4、5:フィルター 7:容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−186558(JP,A) 特開 昭60−90039(JP,A) 特開 昭60−77769(JP,A) 特開 昭62−191041(JP,A) 特開 昭62−53669(JP,A) 特許2140815(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/36 545 B01J 20/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体の流入口および流出口を有する容
    器、流体および該流体に含まれる成分は通過できるが、
    水不溶性多孔質担体に分子量1000以上のデキストラン
    酸が固定されてなる免疫複合体の吸着体は通過できない
    フィルター、および前記容器内に充填された前記免疫複
    合体の吸着体からなる免疫複合体の除去装置。
  2. 【請求項2】 免疫複合体の吸着体の水不溶性多孔質担
    体の球状蛋白質の排除限界分子量が40万以上6000万以下
    である請求項1記載の除去装置。
  3. 【請求項3】 水不溶性多孔質担体が水酸基を有する化
    合物よりなる請求項2記載の除去装置。
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