JPH0977800A - 融合蛋白質、並びに落葉状天疱瘡の治療薬、治療器具、診断剤及び抗体測定方法 - Google Patents

融合蛋白質、並びに落葉状天疱瘡の治療薬、治療器具、診断剤及び抗体測定方法

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JPH0977800A
JPH0977800A JP7260899A JP26089995A JPH0977800A JP H0977800 A JPH0977800 A JP H0977800A JP 7260899 A JP7260899 A JP 7260899A JP 26089995 A JP26089995 A JP 26089995A JP H0977800 A JPH0977800 A JP H0977800A
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Masayuki Amaya
雅行 天谷
Takashi Hashimoto
隆 橋本
Nobuyoshi Shimizu
信義 清水
Takeji Nishikawa
武二 西川
Jiei Guriin Kiyasurin
キャスリン・J・グリーン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識される融合
蛋白質を提供すると共に、副作用の影響の少ない落葉状
天疱瘡の治療薬や治療器具を提供すること、更に落葉状
天疱瘡の有効な診断剤及び診断方法を提供すること。 【解決手段】 落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識される
融合蛋白質であって、落葉状天疱瘡抗原蛋白質の細胞外
領域に、IgGの定常領域がヒンジ部を介して結合され、
落葉状天疱瘡患者IgGと高い親和力で特異的に結合する
高次構造を有してなることを特徴とする融合蛋白質。か
かる融合蛋白質をコードする遺伝子をゲノムにもつ組み
換えバキュロウイルスを作製したた後、昆虫細胞に感染
し、培養上清を回収して適当なカラムクロマトグラフィ
ーによる精製を行い、目的とする融合蛋白質を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、落葉状天疱瘡患者
自己抗体に認識される融合蛋白質、並びに、落葉状天疱
瘡の治療薬、治療器具、診断剤及び抗体測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】天疱瘡は皮膚や粘膜表面に水疱が多発し
て難治性のびらん面となり、時として死にいたる重篤な
病である。疫学的には男性に比して女性に多く、50歳
代をピークに30〜60歳代で好発する。症状としては
可視性粘膜、特に口腔内のびらんで初発することが多
く、水疱やびらんはやがて汎発化し全身熱傷様を呈す
る。水疱は弛緩性で破れやすく、早くびらんを作り、さ
らに進行拡大して表皮形成も悪い。しかも疼痛が強くて
患者を苦しめる。特に口腔疹は摂食をさまたげ、皮膚の
広範囲のびらんからの血清喪失とともに低蛋白血症の原
因となる。憎悪期には外見上正常な皮膚面を指尖で圧迫
しながらずらせると表皮剥離を起こす(ニコルスキー現
象)。治療は困難であり、いわゆる難病として国の特定
疾患に指定されている。治療が不適切な場合、内臓諸疾
患の萎縮と機能障害、さらに感染に対する無防備などに
より死に至る。
【0003】天疱瘡は臨床的及び組織学的特徴によって
尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡の二つのタイプに分けるこ
とができる。すべての天疱瘡においてその病変は表皮角
化細胞(ケラチノサイト)の細胞間接触の障害(これを
棘融解という)による表皮内水疱形成であるが、尋常性
天疱瘡では基底層直上に棘融解を生じ、落葉状天疱瘡で
は表皮上層角層下に水疱を生ずる。
【0004】尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡のどちらに
おいても、その病変部皮膚を蛍光抗体法で調べてみる
と、上皮細胞にIgGの沈着が見られ、特徴的な細胞間染
色パターンを示す。さらに患者血中には上皮細胞膜表面
に結合するIgGが検出された[Proc Soc Exp Biol Med 第
117号、505-510頁、1964年、ボイトナー(E.H.Beutne
r)ら、Journal of Clinical Investigation 、第83
号、1443-1448頁、1989年、スタンレー(J.R.Stanley)
ら参照]。これらのことから、天疱瘡は自己免疫疾患で
あることが明かにされた。また、天疱瘡の患者から精製
されたIgGを新生マウスに注射すると、マウス皮膚に患
者においてみられるのと同じ組織学的特徴を持つ水疱が
形成され[New England Journal of Medicine、第306
巻、1189-1196頁、1982年、アンハルト(G.J.Anhalt)
ら参照]、器官培養を行っている皮膚の培養液に添加す
ると細胞接着の消失をきたす[Journal of Experimental
Medicine、第157巻、259-272頁、1983年、ハシモト
ら、Journal of Investigative Dermatology、第67
巻、254-260頁、1976年、シュルツ(J.R.Schiltz)ら参
照]ことから、天疱瘡患者に認められるIgGは、水疱形成
において病因的な役割を担っていると考えられていた。
【0005】尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の抗体が標
的とする抗原についての免疫化学的な分析から、それら
がそれぞれ130kD及び160kDの糖蛋白質であることが明か
にされ[Journal of Clinical Investigation、第70号、
281-288頁、1982年、スタンレー(J.R.Stanley)ら、Jo
urnal of Clinical Investigation、第74号、313-320
頁、1984年、スタンレー(J.R.Stanley)ら、Journal o
f Experimental Medicine、第160号、1509-1518頁、198
4年、クール(L.Koulu)ら、Journal of Clinical Inve
stigation、第81号、807-812頁、1988年、アイル(R.W.
Eyre)ら、Journal of Investigative Dermatology、第
94号、327-331頁、199年、ハシモトら、New England Jo
urnal of Medicine、第321号、631-635頁、1989年、コ
ールマン(N.J.Korman)ら参照)]、さらにcDNAのクロ
ーニングによってこれらの分子がともにカドヘリンスー
パージーンファミリーに属するデスモグレイン(以下Ds
gという)のサブファミリーであることが明かにされた
[Europian Journal of CellBiology、第53号、1-12
頁、1990年、コッホ(P.J.Koch)ら、Cell、第67巻、86
9-877頁、1991年、アマガヤら参照]。尋常性天疱瘡及
び落葉状天疱瘡の標的抗原は、現在それぞれデスモグレ
イン3(Dsg3)及びデスモグレイン1(Dsg1)と呼ばれて
いる[Journal of Cell Biology、第121巻、481-483
頁、1993年、バクストン(R.S.Buxton)ら参照]。
【0006】このように、天疱瘡患者では、上皮中にあ
る細胞接着因子カドヘリンの1種であるDsg1、あるいは
Dsg3に対する自己抗体が産生され、その抗体がDsg1やDs
g3と反応することにより接着因子としてのDsgの機能を
阻害し、2次的にプラスミン、補体などを活性化して表
皮の剥離に至ると考えられた(最新医学、第47巻、159-
161頁、1992年、天谷雅行)。
【0007】現在天疱瘡患者に対する治療の試みは、ス
テロイドや免疫抑制剤による一時的な症状の軽減を期待
する対症療法のみであり、副作用も強く、根本的なもの
はなく、疾患の病態を考慮したうえでの特異的な治療法
は存在しない。本発明者らは既に、尋常性天疱瘡の標的
抗原が細胞接着を担う蛋白質であるカドヘリンの類似蛋
白質であり同じく細胞接着に関与していると考えられる
蛋白質Dsg3とIgGとの融合蛋白が尋常性天疱瘡の治療に
用いられることを見いだした(特願平6-173291号)。し
かし、落葉状天疱瘡についてはこのような有効な治療手
段は未だ見いだされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように現在の
免疫抑制剤による治療は、すべての免疫反応を一様に抑
制するものであり、副作用も強く、その効果も一次的で
あるという問題があった。
【0009】従って本発明は、従来の全ての免疫反応を
一様に抑制するという問題点に鑑みてなされたものであ
って、落葉状天疱瘡に関係する免疫反応のみを選択的に
抑制するものである。すなわち、原因物質である落葉状
天疱瘡自己抗体の除去あるいは、自己抗体産生細胞の破
壊をおこなうものである。
【0010】また、従来有効な診断法がない落葉状天疱
瘡は、特異性、感度に優れ、早期の診断に役立ち、かつ
病勢と相関する実用的な診断薬の開発が課題とされてい
た。よって本発明は、落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識
される融合蛋白質を提供すると共に、副作用の影響の少
ない落葉状天疱瘡の治療薬や治療器具を提供すること、
更に落葉状天疱瘡の有効な診断剤及び抗体測定方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段、実施の形態及び発明の効
果】上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明者ら
は以下の発明を完成させた。請求項1の融合蛋白質は、
落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識される融合蛋白質であ
って、落葉状天疱瘡抗原蛋白質の細胞外領域であるアミ
ノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号1〜545)に、IgG
の定常領域がヒンジ部を介して結合されたものである。
落葉状天疱瘡抗原蛋白質はデスモグレイン1(Dsg1)
と名付けられた膜貫通蛋白質であり、自己抗体はin viv
oの状態で細胞膜を通過できないため、本発明者らは自
己抗体の認識する領域を細胞外領域と考え、この細胞外
領域(配列番号1のアミノ酸番号1〜545)のみをコード
する遺伝子を調製した(以下、特にことわりのない限り
細胞外領域を単にPFAgと呼ぶ)。尚、Dsg1の細胞外領域
は既に公知化されている(Nilles,L.A.,Parry,D.,Power
s,E.E.,Angst,B.D., Wagner,R.M.,Green,K.J. Structur
al analysis and expression of human desmoglein: a
cadherin-likedomponent of the desmosome. J. Cell S
ci. vol.99 P809-821(1991))。このように細胞外領域
であるPFAgのアミノ酸配列を用いたため、請求項1の融
合蛋白質をコードする遺伝子を動物細胞または昆虫細胞
に導入して該融合蛋白質を発現させた際、発現された融
合蛋白質が細胞内に閉じ込められることなく細胞外に確
実に排出されるという作用効果を奏する。また、請求項
1の融合蛋白質ではPFAgにIgGの定常領域のヒンジ部を
結合したため、該融合蛋白質を安定に生産すると共にPF
Agの高次構造が天然のものと同等になるという作用効果
を奏する。更に、請求項1の融合蛋白質ではC末端側の
切断部分にIgGを結合したため、もとの蛋白質(落葉状
天疱瘡抗原蛋白質)のN末端からはじまりC末端に向か
う途中で切断されている細胞外領域は、より確実に自己
抗体に認識されるという作用効果を奏する。更にまた、
請求項1の融合蛋白質にIgGを存在させたため、細胞導
入後の発現の有無を市販の抗IgG抗体を用いることによ
り容易に検出が可能となり、また、発現後の融合蛋白質
の精製においてIgGと親和性のあるプロテインAをリガ
ンドとして持つセファロースカラムクロマトグラフィー
を行うことにより容易に精製が行えるという作用効果を
奏する。尚、請求項1の融合蛋白質の原料となるIgGは
種類、動物種により限定されるものではないが、例え
ば、ヒトIgGを用いることができ、この場合請求項1の
融合蛋白質は配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0012】請求項2の融合蛋白質は、落葉状天疱瘡患
者自己抗体に認識される融合蛋白質であって、落葉状天
疱瘡抗原蛋白質の細胞外領域であるアミノ酸配列(配列
番号1のアミノ酸番号1〜545)に、タッグ抗原が結合さ
れたものである。ここにおいてタッグ抗原とは、目的と
される蛋白質(ここではPFAg)との融合蛋白質として発
現され、既に特異性の明らかになっているモノクローナ
ル抗体によって認識される抗原部位(エピトープ)をい
い、目的とする蛋白質を遺伝子工学的に産生する場合
に、その精製、局在解析を容易にする目的で使われる。
例えば、所定数のヒスチジンをつなげたもの(例えば6
つのヒスチジンをつなげたものは「His tag」とい
う)、Etag、β−ガラクトシダーゼ、A蛋白質、Z領
域、G蛋白質、グルタチオン−S−トランスフェレー
ス、ポリアルギニン、ポリグルタミン、Sペプチド、Ta
c抗原、グリーンフルオレッセントプロテイン、HA、c
-myc等が挙げられる(雑誌「実験医学」Vol.13,No.4,p8
5-90(1995))。請求項2の融合蛋白質において、細胞外
領域であるPFAgのアミノ酸配列を用いたことによる作用
効果、C末端側の切断部分にタッグ抗原を結合したこと
による作用効果は、請求項1と同様である。更にまた、
請求項2の融合蛋白質にタッグ抗原を存在させたため、
発現後の融合蛋白質の精製が容易化されるという作用効
果を奏する。例えば、タッグ抗原としてヒスチジンをつ
なげた場合にはヒスチジンと親和性のある金属イオンを
リガンドとして持つセファロースカラムクロマトグラフ
ィーを行うことにより容易に精製が行える。また、Etag
をつなげた場合には抗Etag抗体を用いることによって目
的とする蛋白質(PFAg)の産生を検出することができ
る。
【0013】請求項1、2の融合蛋白質(以下、本発明
の融合蛋白質という)を製造する方法としては、例え
ば、配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子DN
A配列(例えば配列番号2)を宿主微生物において発現
させ得る発現ベクターを作製し、該発現ベクターにより
宿主微生物を形質転換し、前記アミノ酸配列をコードし
ている遺伝子を発現させる条件下において該形質転換微
生物を培養する。このとき、従来の大腸菌を宿主とした
発現系と異なり、COS7細胞のような動物細胞、あるいは
バキュロウイルスをベクターとして利用しSf9細胞やHig
h Five細胞のような昆虫細胞を宿主とした発現系を用い
ることが好ましいが、宿主が動物細胞あるいは昆虫細胞
であればその種類によって限定されない。具体的には、
前記融合蛋白質をコードする遺伝子をゲノムにもつ組み
換えバキュロウイルスを作製したた後、昆虫細胞に感染
し、培養上清を回収して適当なカラムクロマトグラフィ
ーによる精製を行い、目的とするPFAg-IgG融合蛋白質
(以下この融合蛋白質をPFIgと呼ぶ)を得る。
【0014】請求項3の落葉状天疱瘡の治療薬は本発明
の融合蛋白質を有効成分として含有するものである。例
えば、本発明の融合蛋白質とコレラトキシン、マイトマ
イシンC等の毒素とを共有結合などで結合した結合体を
落葉状天疱瘡患者に投与することにより自己抗体産生細
胞の選択的破壊を行うことができるため、該結合体を落
葉状天疱瘡の治療薬として用いることができる。この
際、マウスを用いた急性毒性実験の結果は、融合蛋白質
1000mg/kgを腹腔に注射した投与群で50%の致死毒性が
発現したが、それ以下の投与量では2週間後でも影響は
みられなかった。この融合蛋白質は本来、生体に存在す
る組織結合蛋白質であり、毒性は極めて低い。このLD
50値は、成人一人当たりの治療における最大投与量の約
100000倍量であり問題とならない。また、本発明の融合
蛋白質に毒素、例えばコレラトキシン、マイトマイシン
Cなどを結合したものでもLD50は10mg/kgであるが、
この値も成人一日当たりの治療における最大投与量の約
1OO倍量であり問題とならない。 かかる落葉状天疱瘡
の治療薬の成人一日当たりの投与量は投与方法および病
状によっても異なるが、通常の投与量は本発明の融合蛋
白質の量で3×1O-9Mないし3×10-10 M程度であり、
投与経路は主として静脈注射または筋肉注射が好まし
い。また、具体的な製剤例として、生理食塩水またはク
エン酸緩衝液中に3×10-3Mないし3×10-6M含むもの
を挙げることができる。また、これに加えてその他の任
意成分として、医薬上許容可能な安定剤、崩壊剤、溶解
補助剤なども適宜添加し得る。
【0015】請求項4の落葉状天疱瘡の治療器具は、本
発明の融合蛋白質を担体に固定した吸着剤を有するもの
である。例えば、本発明の融合蛋白質を水不溶性の担体
に固定化して、落葉状天疱瘡患者IgGを選択的に吸着す
る抗原とし、血漿交換による天疱瘡自己抗体の選択的除
去を行うことにより、落葉状天疱瘡の治療に用いること
ができる。即ち、処理後の血清は落葉状天疱瘡抗原蛋白
質を認識する自己抗体(落葉状天疱瘡の病因)のみが選
択的に除去され、他の有用な抗体は除去されない。従っ
て、この落葉状天疱瘡の治療器具によれば、従来のステ
ロイドや免疫抑制剤による治療がすべての免疫反応を一
様に抑制するものであり、副作用も強く、効果も一時的
であったのと比較して、副作用も少なく、格段に優れた
治療効果を得ることができる。使用される担体として
は、アガロース系、セルロース系、ポリアクリルアミド
系、ポリスチレン系、アクリル酸エステル系、等の有機
高分子、コラーゲン、キトサン等の生体由来の天然有機
高分子あるいは活性炭素、セラミック等の無機物が挙げ
られ、その形態として平板状、粒子状等様々な形態を使
用し得るが、表面積を大きく採れるものが好ましい。PF
Ig融合蛋白質と担体との固定化は共有結合によって行わ
れる。例えば、担体がその表面に有するエポキシ基やア
ルデヒド基等の反応性官能基に水性溶液中で直接結合す
ることによって実施される。また、アミノ基等の官能基
を表面に有する担体を用いる場合は、PFIg融合蛋白質と
担体との混合水性溶液にジアルデヒドやジエポキシ化合
物等の反応性多官能基を有する化合物を添加し、反応さ
せることによっても実施することができる。
【0016】請求項5の落葉状天疱瘡の診断剤は、本発
明の融合蛋白質を免疫診断の抗原として用いるものであ
る。例えば、本発明の融合蛋白質は、ウェスタンブロッ
ト法、RIA法、EIA法などの免疫診断方法の抗原蛋白質と
して用いられ、患者血液中の自己抗体の測定を行うこと
ができる。これにより、従来有効な診断剤がなかった落
葉状天疱瘡において、特異性、感度に優れ、早期の診断
に役立つ診断剤を提供することができる。
【0017】請求項6の落葉状天疱瘡の抗体測定方法
は、請求項2の融合蛋白質を結合させた不溶性担体に患
者血清を加えることによりこの融合蛋白質と前記患者血
清中の落葉状天疱瘡患者自己抗体とを結合させ、次いで
前記落葉状天疱瘡患者自己抗体に特異的に結合する標識
抗体を反応させ、該反応物の標識量を測定する方法であ
る。ここで、標識抗体における標識物質としては、例え
ばペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、マイ
クロペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ビオ
チン等の各種酵素やアイソトープの標識抗体が挙げられ
る。本測定方法によれば、従来のように正常表皮切片を
基質とする必要がないため簡便性、客観性に優れるとい
う効果が得られ、また、特異性及び感度に優れるため落
葉状天疱瘡の早期発見に役立つという効果も得られる。
尚、請求項2の蛋白質に代えて請求項1の融合蛋白質を
用いた場合、落葉状天疱瘡患者自己抗体に特異的に結合
する標識抗体は請求項1の融合蛋白質のIgG領域にも結
合してしまうため、上記自己抗体の定量性が失われ、的
確に診断できないという問題がある。
【0018】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用・効果を一
層明かにするために、以下に本発明の好適な実施例を説
明するが、この発明は以下の例に限定されるものではな
い。 [実施例1]PFIgの発現プラスミド 細胞外に分泌可能な融合蛋白質とするために必要なシグ
ナルペプチドとプロシークエンス領域をコードするcDNA
は、Dsg1の全細胞外領域をコードするcDNAとともに、Ds
g1の全コーディング領域を含むベクターpKA-Dsg1(ジェ
ンバンク(genBank)より入手。アクセス番号X56654)
からPCR増幅により得た。
【0019】PCR増幅法を行うためのオリゴヌクレオチ
ドプライマーは以下に示すように、Dsg1のATGコドンの
すぐ上流にあるポリヘドリンイニシエーションコドン
(5'-CCTATAAAT-3')を含むように、5'末端及び3'末端
においてそれぞれ制限酵素Bgl II及びSal Iサイトを持
つようにデザインした。 5'プライマー:5'-GAA-GAT-CTC-CTA-TAA-ATA-TGG-ACT-G
GA-GTT-TCT-TCA-GAG-3' 3'プライマー:5'-GTT-GTC-GAC-ATG-TAC-ATT-GTC-TGA-T
AA-CAA-ATC-3' ヒトIgG1定常領域のDNAを含むバキュロウイルストラン
スファーベクターは、特願平6-173291号で開示された落
葉状天疱瘡対応抗原(Dsg3)の細胞外領域とヒトIgG定
常領域融合蛋白質の発現領域を含むベクターpEVmod-PVA
g-IgG(後述の参考例1参照、尚、pEVmodはファーミン
ジェン(Pharmingen)社の商品名である)を制限酵素Bg
l II及びXho Iによって消化し、Dsg3の細胞外領域をコ
ードするシークエンスを除くことにより得た。
【0020】尚、pEVmod-PVIgの配列及び遺伝子地図
は、既知である(Wong,X.,B.G.Ooi,andL.K.Miller : Ba
durovirus vectors for multiple gene expression and
foroccluded virus production. Gene vol.100 p131-1
37(1991))。 Dsg1 PCR産物はBgl II及びSal Iで切断し、Bgl II-Xho
Iで切断したpEVmod-PVIgと結合した。この結合産物をpE
Vmod-PFIg とした。このpEVmod-PFIgは配列表の配列番
号2に示すDNA配列を含む。
【0021】図1は、PFIgの分子構造を表す説明図であ
る。Dsg1の細胞外領域に由来する領域は、シグナルペプ
チド(S)、プロシークエンス(P)及び細胞外領域(EC
1からEC5まで(配列番号1のアミノ酸番号1〜545))を
含む。ヒトIgG1の定常領域に由来する領域(配列番号1
のアミノ酸番号547〜778)は、ヒンジ部(H)、CH2及び
CH3領域を含む。二つの蛋白質(Dsg1の細胞外領域に由
来する領域とヒトIgG1の定常領域に由来する領域)を一
つのフレームに融合させるために、一つのバリン(配列
番号1のアミノ酸番号546)が導入された。
【0022】尚、配列番号2の塩基番号1〜1635がDsg1
の細胞外領域、塩基番号1636〜1638がバリン、塩基番号
1639〜2334がヒトIgG1の定常領域に相当する。 [実施例2]バキュロウイルスによるPFIgの産生 pEVmod-PFIgはバキュロゴールド バキュロウイルス(フ
ァーミンジェン(Pharmingen, San Diego, CA))を用
いてSf9培養昆虫細胞にコ・トランスフェクトし、天谷
らの方法(Journal of Clinical Invastigation、第94
巻、59-67頁、1994、アマガヤら参照)に準じてPFIgを
コードするシークエンスを含むリコンビナントウイルス
を得た。
【0023】すなわち、60mmディッシュにまいた約3×1
06のSf9細胞を無血清グレース培地(GIBCO BRL, Gaithe
rsburg, MD)中の2μgのpEVmod-PFIgプラスミドDNA、0.
5μgのバキュロゴールドDNA及び30μlのリポソーム(商
品名リポフェクチン(GIBCO社製))の混合液とともに
トランスフェクトした。
【0024】リコンビナントウイルスは培養上清から回
収し、数回の再増幅の後、高力価ウイルス保存液を得
た。PFIgを産生するために、無血清EX Cell 400培地(J
RH バイオサイエンス社製)で培養したHigh Five細胞
(インビトロジェン(Invitrogen)社製)に高力価のウ
イルスストックを感染させ、27℃で3〜4日インキュベ
ートし、遠心によって細胞の残骸を除いた後-70℃で保
存した。
【0025】プロテインAセファロース(ファルマシア
(Pharmacia)社製)で精製した後プロテインアッセイ
キット(バイオラッド(Bio Rad )社製)で測定した場
合、平均的には上清に10〜30μg/ml のPFIgを含んでい
た。PFIgにおけるIgG定常領域の存在はこの分子の抗ヒ
トIgG抗体による検出及びプロテインAカラムでの精製
を容易にするものであった。 [実施例3]免疫ブロット法による分析 プロテインAセファロースに結合した精製PFIgはドデシ
ル硫酸ナトリウム(SDS)サンプルバッファー(2.5% 2-
メルカフ゜トエタノール 添加、若しくは非添加の62.5mMトリス塩酸
バッファー(pH7.5)1%SDS, 0.0025%フ゛ロムフェノールフ゛ルー、10
%ク゛リセロールを含む)中に懸濁した。PFIgはSDS-ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分離し、PVDFメ
ンブレン(ミリポア(Millipore)社製)に転写した。
このメンブレンは目的に応じて以下のように処理した。 [3−1] 免疫ブロット法によるPFIg分子の検出 PFIg分子を検出するため、前記メンブレンは1000倍希釈
したアルカリホスファターゼ標識抗ヒトIgG(ザイムド
ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)社製)とインキ
ュベイトした。
【0026】免疫ブロット法での分析の結果、この蛋白
質は還元状態でPFIg はメジャーな112kDのバンドとマイ
ナーな115kDのバンドの2量体として検出された(図
2、レーン1)。図2における右側の横棒は上から20
0、116及び97kDの分子量スタンダードを示す。
【0027】天谷らの報告から、プロセシング前のキメ
ラPVIg分子とE-カドヘリン分子が昆虫の培養培地におい
て同様に発現されていることが観察されているように、
高分子のバンドは、プロセシング前の分子を表している
と考えられる。これらの異なる形態の蛋白質が発現され
てくるということは、高濃度に異所性に発現する蛋白を
分泌する昆虫細胞の培養においては蛋白分解によるプロ
セシング機能が飽和しているのかも知れないと考えられ
る。
【0028】非還元状態ではPFIg 217kDバンドとして現
れるが(図2、レーン2)、このことはこの分子が均一
の分子として分泌されており、ヒンジ部においてジスル
フィド結合で結ばれているのではないかということを示
唆している。ツニカマイシン処理によってこの分子が分
子量102kD以下の分子に還元されることから、PFIg分子
は又、High Five Cell内でグリコシル化されていると可
能性が示唆される。 [3−2] 免疫ブロット法によるPFIg分子と患者血清
との反応性 PFIg分子と患者血清の反応性を試験するため、50倍希釈
したヒト血清(落葉状天疱瘡21検体、ブラジル天疱瘡18
検体、尋常性天疱瘡26検体、類天疱瘡10検体及び正常血
清5検体)とインキュベイトし、1000倍希釈したマウス
抗ヒトIgG4抗体(ケミコン(Chemicon)社製)と反応さ
せた後1000倍希釈したアルカリホスファターゼ標識ヤギ
抗マウスIgG(ザイムドラボラトリーズ(Zymed Laborat
ories)社製)で発色させた。
【0029】その結果、PFIg は落葉状天疱瘡患者血清2
1検体中10検体(48%)、ブラジル天疱瘡患者血清18検
体中10検体(56%)、尋常性天疱瘡患者血清26検体中4
検体(15%)と反応したが、類天疱瘡患者血清10検体及
び正常コントロール血清5検体とはいずれも反応しなか
った(代表的な例を図3に示す)。図3における矢印
は、PFIgの位置を示す。
【0030】従来より、Dsg1は免疫沈降法によってすべ
ての落葉状天疱瘡患者血清と反応するにも関わらず、正
常ヒト上皮抽出物あるいはウシ鼻鏡部を基質として用い
た免疫ブロット法では、落葉状天疱瘡患者血清の約3分
の1の血清としか反応しないことが知られている。この
ことはSDS-PAGEの過程でDsg1のエピトープの多くが破壊
されてしまっていることを示している。同様に、最近行
われた免疫沈降法及び免疫ブロット法によると、PV血清
の約3分の2はDsg1に対する抗体を持っている(アイル
(R.W.Eyre)ら、Journal of Clinical Investigatio
n、第81号、807-812頁、1988年、ハシモトら、Journal
of Investigative Dermatology、第94巻、327-331頁、1
990年、カルバニコ(Calvanico N.J.)ら、Journal of
Invastigative Dermatology、第96巻、815-821頁、199
年)。
【0031】従って、今回PFIgを用いて行った免疫ブロ
ット法の結果は最近の観察と一致しており、このことは
PFIg分子が少なくともPFAg特異的なエピトープを有する
ことを示している。即ち、PFIg分子を免疫ブロット法
で処理した場合、このPFIg分子は落葉状天疱瘡患者血清
(PF血清)の全検体の一部しか反応しなかったが、これ
はネイティブなDsg1を免疫ブロット法で処理した場合も
同様であること、PFIg分子を免疫ブロット法で処理し
た場合、このPFIg分子は尋常性天疱瘡患者血清(PV血
清)の全検体の一部と反応したが、これはPV血清がDsg1
に対する抗体を持っているとの事実(免疫沈降法及び免
疫ブロット法による)と一致すること、から、PFIg分子
は少なくともPFAg特異的なエピトープを有することを示
している。 [実施例4]PFIgアフィニティーカラム(落葉状天疱瘡
の治療器具)の作製 PFIgアフィニティーカラムを作るためにプロテインAを
用いてバキュロウイルスの精製と濃縮を行った。
【0032】最初にPFIgをプロテインAから低pHのグリ
シンバッファー(pH2.4)を用いて溶出した。しかし、
この場合結果として蛋白は血清からPF免疫反応性を吸着
する能力を失ってしまったことから、アフィニティーカ
ラムはプロテインAセファロースに直接結合したPFIgを
用いて作成した。
【0033】PFIgアフィニティーカラムを作成するた
め、典型的にはPFIgを含む培養上清100mlを200μl のベ
ッドボリュームのプロテインAセファロース(プロテイ
ンAセファロースのベッドボリューム1ml当りヒトIgG
20mg までの結合能力を持つ、ファルマシア社製)と4
℃で一晩インキュベイトする。続いて過剰量の正常ヒト
血清でプロテインAの結合能力を飽和させ、カラムを1
mMカルシウムを含む生理的トリス緩衝液(TBS-Ca)で数
回洗浄し、使用時まで4℃で保存した。
【0034】非感染High Five細胞の培養上清とインキ
ュベイトし、正常ヒト血清で処理したプロテインAセフ
ァロースをコントロールカラムとして用いた。 [実施例5]PFIgによるPF血清からの病因自己抗体の吸
着除去−その1 落葉状天疱瘡患者血清(PF血清)からのDsg1に対する多
様な自己抗体をPFIgが吸着できるか否か検討するため、
20μlの落葉状天疱瘡患者血清(PF血清)20検体若しく
はブラジル天疱瘡患者血清(BPF血清)8検体を5μlのベ
ッドボリュームのPFIg-プロテインAセファロース(50
μgのPFIgを含む)、あるいは正常ヒト血清で飽和した
プロテインAセファロース(コントロールカラム)と室
温で4時間又は4℃で一晩緩やかに撹拌しながらインキ
ュベイトした。処理した血清はTBS-Caで5120倍まで倍数
希釈し、正常ヒト上皮の凍結切片を用いて間接免疫蛍光
染色を行った。免疫染色は50倍希釈したFITC標識抗ヒト
IgG(ダコ(Dako)社製)で染色した。カラムに結合し
なかった分画の免疫蛍光法による抗体価を正常ヒト上皮
の凍結切片を用いて調べた。その結果を表1及び図4に
示す。
【0035】表1は、PFIgによるPF血清の免疫反応性の
除去を示すものである。表1から明らかなように、検査
に用いた全てのPF血清及びBPF血清は、PFIgとのインキ
ュベイト後、ケラチノサイト細胞表面に対する免疫反応
性が完全に除かれていた。尚、尋常性天疱瘡患者血清
(PV血清)の抗体価は、PFIgとのインキュベイトによっ
ても減少しなかった。
【0036】
【表1】
【0037】図4は、PFIgとのインキュベートによるPF
自己抗体の吸収の様子を表す正常ヒト上皮の写真であ
り、40倍希釈したものを示した。図4B及びDはPF血清
をPFIg-プロテインAセファロースカラムを用いてイン
キュベートした場合であり、上皮は染色されておらず、
一方、図4A及びCはPF血清をコントロールカラムを用
いてインキュベートした場合であり、上皮は染色されて
いる。図4から明らかなように、ケラチノサイト細胞表
面に対するPF血清の免疫反応性はPFIgとのインキュベー
ションによって完全に除かれた(図4B、D)。 [実施例6]PFIgによるPF血清からの病因自己抗体の吸
着除去−その2 PFIgが落葉状天疱瘡患者血清(PF血清)から病因活性を
除くことが出来るか否かを新生児マウスを用いて検討す
るため、10mlのPF血清2検体(正常ヒト上皮を用いた間
接蛍光抗体法での抗体価は5120倍であったもの(表1参
照))を連続循環により4℃一晩PFIg-プロテインAカ
ラム(0.5ml のベッドボリュームに5mgのPFIgを含む)
若しくはコントロールカラムに添加し、IgGは通過した
血清より40%の飽和硫安により沈殿させて調製した後0.
5mM のカルシウムを含む生理的リン酸緩衝液(PBS-Ca)
に透析し、マイクロコンセントレイターセントリプレッ
プ100(アミコン(Amicon)社製)を用いて1mlまで濃縮
した。100から150μl の濃縮したIgGを天谷ら(前報)
の報告に従い新生児BALB/cマウス(生後24時間以内)の
皮下に注射した。新生児マウスは注射後18時間に調査
し、生検を行った。その結果を表2及び図5、図6に示
す。表2及び図5、図6は、PFIgとのインキュベーショ
ンによるPF血清の病原活性の除去を示す表及び写真であ
る。
【0038】
【表2】
【0039】コントロールカラムを素通りしたIgGは、
新生児マウスに広範な水疱と皮膚侵食をもたらし(図5
の左側2匹)、落葉状天疱瘡の典型的な組織学的所見で
ある顆粒層のケラチノサイトの細胞接着が失われて上皮
間に水疱が形成された(表2、図6B)。加えて、上記
マウス皮膚を直接蛍光抗体法で検討したところ、ヒトIg
Gに対する陽性反応が認められ(表2、図6D)、これ
らマウスでの間接蛍光抗体法のタイターは160倍から640
倍であった(表2)。一方、PFIgカラムを通り抜けたIg
Gは、水疱も皮膚の侵食も形成せず(図5の右側2
匹)、皮膚の組織学的な観察によっても水疱形成の兆候
は認められなかった(表2、図6C)。加えて、上皮に
は何ら明確なIgGの沈着が認められず(表2、図6
E)、マウス抹消血中にも循環ヒトIgGは認められなか
った(表2)。これらの結果は、PFIgがケラチノサイト
の細胞接着を失わせるようなPF血清の病因活性を減少さ
せることが出来るということを示している。 [実施例7]PFIgに結合した抗体の病原活性 PFIgに結合した抗体が落葉状天疱瘡の病因であるのか否
かを調べるために、以下の実験を行った。即ち、実施例
6で用いたPFIg-プロテインAカラム及びコントロール
カラムに結合した抗体を溶出バッファー(ピアース(Pi
erce)社製、製品番号21009)で溶出し、直ちに5分の
1量の2M トリス塩酸バッファーpH7.4 で中和し、PBS-C
aに透析し、セントリプレップ100で濃縮した。これによ
り、10mlのPF血清をインキュベイトしたカラムから約1m
lのIgG溶液を得た。溶出したIgG溶液の病原活性を調べ
るため、100から150μlの濃縮したIgGを新生児マウスに
注射した。その結果を表3及び図7に示す。表3及び図
7は、PFIg-プロテインAカラムから溶出されたIgGの病
原活性を示す表及び写真である。
【0040】
【表3】
【0041】PFIg-プロテインAカラムから溶出した抗
体は、新生児マウスにおいてPFの典型的な組織学的所見
と共に水疱を形成した(図7Aの上側のマウス、図7
B、表3)。このマウスにおいては、ケラチノサイト細
胞表面にIgGの沈着が認められ、循環ヒトIgGタイターは
320倍から640倍であった(表3)。一方、コントロール
カラムから溶出された抗体は上皮に何の変化も起こさず
(図7Aの下側のマウス、図7C、表3)、皮膚におけ
るヒトIgGの沈着、血清中の循環ヒトIgGも認められなか
った(表3)。
【0042】これらの観察はPFIgは免疫蛍光法及びin v
ivoの新生児マウスの両方で示されたように、PF血清か
ら病因抗体を特異的に除くことを証明している。更に、
これらの結果はPF血清中の抗Dsg1 IgGがPFにおける棘融
解及び水疱を形成することを証明している。 [実施例8]ELISA法によるPF診断 [8−1]PFAg-His発現プラスミドの構築 以下のように落葉状天疱瘡抗原の細胞外領域のC末端に
E tag及びHis tagを伴う発現プラスミドを作製した。即
ち、pEVmod-PVAg-His(後述の参考例2参照)を制限酵
素Bgl2とXho1で消化してDsg3の細胞外領域をコードする
DNAを除き、ゲル電気泳動により目的とするDNAを
分離抽出した。抽出したDNAはQIAEXキット(キアゲ
ン社製)で精製し、制限酵素Bgl2及びSal1で消化したDs
g1の細胞外領域をコードするDNAと結合し、PFAg-His発
現プラスミドpEVmod-PFAg-Hisを作製した。このpEVmod-
PFAg-Hisは配列表の配列番号1のアミノ酸番号1〜545の
アミノ酸配列をコードするDNA配列を含む。 [8−2]昆虫細胞Sf9によるPFAg-Hisの発現 pEVmod-PFAg-Hisとバキュロゴールド(ファーミンゲン
社)のDNAの両者を、実施例2と同様にしてSf9細胞にコ
トランスフェクトすることにより、組換え型のPFAg-His
-Sf9を生成するバキュロウイルスを含む上清を得た。 [8−3]PFAg-His融合蛋白質の精製濃縮 PFAg-His融合蛋白質を精製濃縮するため、1mlのNi2+-NT
A- アガロース(キアゲン社製)に0.22μmのフィルター
でろ過した上記培養上清を添加し、8mlの結合バッファ
ー(20mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH
7.8)で洗浄した後さらに洗浄バッファー(20mMリン酸
ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、pH6.3)で2回洗浄
した。次いで溶出バッファー(200mMイミダゾールを含
む洗浄バッファー)0.6mlで溶出しさらに溶出バッファ
ー1.2mlで2回溶出した。
【0043】イムノブロッティングによりPFAg-Hisを含
む分画を確認し、Ca加生理的トリス塩酸緩衝液(TBS)
で十分透析し、4℃で保存した。尚、PFAg-Hisの分子構
造は、シグナルペプチド(S)、プロシークエンス(P)、PF
Ag(EC1〜EC5)、及びPFAgのEC5に結合した6つのヒス
チジンを含む。また、このPFAg-Hisは、実施例4と同様
にしてPFAg-Hisアフィニティーカラム(落葉状天疱瘡の
治療器具)を作成することができる。 [8−4]ELISA法によるPF診断 落葉状天疱瘡患者であるか否かの診断は以下のようにし
て行うことができる。
【0044】96穴平底マイクロタイタープレート(タ
イターテック社製)の各ウエルに50μlのPFAg-His溶液
を加え、4℃で一晩インキュベイトした後、PFAg-His溶
液を除き、1%BSA,0.005% tween20を含むCa加TBS(ブロ
ッキングバッファー)200μlを加え、室温で1時間ブロ
ッキングし、0.005%ツイーン20を含むCa加TBS(洗浄バッフ
ァー)で洗浄する。これにブロッキングバッファーで10
0倍希釈した患者血清50μlを加え室温で1時間反応させ
る。洗浄バッファーで4回洗浄し、50μlのペルオキシ
ダーゼ標識抗体を加え室温で1時間反応させ、再度洗浄
した後100μlの発色基質(オルトフェニレンジアミン4m
g、31%過酸化水素6μl を含む0.1Mクエン酸/0.2Mリン
酸2ナトリウム溶液(pH4.8-5.0))を加え、室温で30分
反応させ発色させた後、50μl の4N硫酸を加えて反応を
停止し、波長492nmの吸光度を測定する。 この際、落
葉状天疱瘡患者50例の血清を測定し、その平均値に相
当する患者血清を集めて標準血清とし、この標準血清と
患者血清につき測定を行い、以下の式から患者血清のイ
ンデックス値を求める。
【0045】
【数1】
【0046】別に正常人の血清200例を測定し、その
インデックス値の平均値+3×標準偏差を正常範囲とし
て、これを越えた場合PF抗体を持っていると判断す
る。かかる診断法によれば、従来のように正常表皮切片
を基質とする必要がないため簡便性、客観性に優れると
いう効果が得られ、また、特異性及び感度に優れるため
尋常性天疱瘡の早期発見に役立つという効果も得られ
る。
【0047】また、PF抗体の濃度を測定する方法とし
ては、高力価の患者血清を標準品として倍々希釈により
検量線を作製し、診断対象となる患者血清中のPF抗体
の濃度を求めることもできる。このようにしてPF抗体
の濃度を測定することにより治療効果の判定、患者の臨
床症状の推移を追うことができるという効果が得られ
る。
【0048】尚、PFIgを含む溶液を抗原溶液に用いる
と、ペルオキシダーゼ標識抗体はPF抗体に結合するば
かりでなく、PFIgのIgG部位にも結合してしまうため、
ペルオキシダーゼ標識抗体を用いて上記ELISA法により
診断することはできない。 [参考例1] 実施例1において使用したベクターpEVm
od-PVAg-IgGの作製法(特願平7-165632号参照) PVIg蛋白質発現領域(シグナルペプチド領域−プロシー
クエンス領域−細胞外蛋白領域−ヒトIgG ヒンジ部−ヒ
トIgG CH2部−ヒトIgG CH3部)を含むpEVmod-PVAg-IgG
発現プラスミドDNAの作製法を以下に説明する。
【0049】基本的に、必要なcDNAは増幅されるcDNAの
両側の配列に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いて
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によって増幅した。オ
リゴヌクレオチドは制限酵素の切断位置もしくは付加さ
れるペプチドのコーディング領域を作り出すようにデザ
インされた。PCRは、94℃1分、55℃2分、72℃3分を2
0乃至25サイクル繰り返した。
【0050】COS7細胞用の発現ベクターを構築するため
に、まず、PVAgをコードするcDNAを、PVAgとマウスEカ
ドヘリンの細胞質領域からなるキメラ蛋白質を含む哺乳
動物の発現ベクターであるpcDNA1-PVECIII(Journal of
Investigative Dermatology1994年第102巻, 402-408
頁, Amagaya et al.)上でPCR増幅した。5'プライマー
としてはベクター配列中のT7プライマーを用い、3'プラ
イマーとしては以下の配列を用いた。
【0051】5'-CCTGCTCGAGCCTCCCTGAGTGCGGCCT-3'(PV
AgのEC5領域の末端のすぐ上流にあるアンチセンス配列
及びXhoI切断部位を含む) このPCR産物は5'非コード領域及びシグナルペプチド、
プロシークエンス及びPVAg(ヌクレオチド1-1929)をカ
バーするコード領域を持っていた。
【0052】一方、ヒトIgG1の定常領域をコードするcD
NAは、pTJ5(Journal of Biotechnology 1988年第8巻,
141-148頁, Nakamura et al.)上でPCR増幅によってつ
くられた。プライマーとしては以下の配列のものを用い
た。 5'フ゜ライマー:5'-CCTGCTCGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACA
TGCCCACCGTGCCCA-3'(全ヒンジ領域及びXhoIサイトを含
む) 3'フ゜ライマー:5'-CCATCTAGATCATTTACCCGGGGACAG-3'(スト
ップコドン直上のアンチセンス配列及びXhoIサイトをコ
ードする) 以上のようにして得られたPVAgのPCR産物及びIgG1のPCR
産物はNotI-XhoI及びXhoI-XbaIでそれぞれ消化し、NotI
-XbaIでカットしたサイトメガロウイルス(CMV)プロモー
タを有する真核生物の発現ベクターであるpEVmod(Phar
mingen社製)と結合させた。これをpEVmod-PVAg-IgGと
命名した。 [参考例2] 実施例8において使用したベクターpEVm
od-PVAg-Hisの作製法(特願平7-165632号参照) 以下のようにXho1切断部位及びE tagをコードするプラ
イマーと、His tag及びKpn1切断部位をコードするプラ
イマーを調製し、PCR法によりE tag及びHis tagをコー
ドするcDNAの構築を行った。
【0053】[Xho1切断部位及びE tag をコードするプ
ライマー] 5'フ゜ライマー(DN516)GCCCTCGAGGGTGCGCCGGTGCCGTATA [His tag及びKpn1切断部位をコードするプライマー] 3'フ゜ライマー(DN517)CGGGGTACCTCAATGATGATGATGATGGCC PCRは94℃で1分処理した後94℃1分、55℃1分、72℃
1分を20サイクル繰り返し、72℃7分処理して、クロロ
ホルムを加えた後エタノールを加えてPCR産物を沈殿し
た。これらのPCR産物は制限酵素Xho1及びKpn1で37℃2
時間処理後、ゲル内電気泳動により目的とするHis tag
及びE tagをコードするDNAを採取し、QIAEX kit(キア
ゲン社製)でDNAを精製した。精製したDNAは制限酵素Xh
o1及びKpn1で消化し、IgGをコードする領域を除いたpEV
mod-PVAg-IgGと結合させることにより、PVAg-His発現プ
ラスミドpEVmod-PVAg-Hisを作製した。
【0054】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:778 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:蛋白質 配列 Met Asp Trp Ser Phe Phe Arg Val Val Ala Val Leu Phe Ile Phe 1 5 10 15 Leu Val Val Val Glu Val Asn Ser Glu Phe Arg Ile Gln Val Arg 20 25 30 Asp Tyr Asn Thr Lys Asn Gly Thr Ile Lys Trp His Ser Ile Arg 35 40 45 Arg Gln Lys Arg Glu Trp Ile Lys Phe Ala Ala Ala Cys Arg Glu 50 55 60 Gly Glu Asp Asn Ser Lys Arg Asn Pro Ile Ala Lys Ile His Ser 65 70 75 Asp Cys Ala Ala Asn Gln Gln Val Thr Tyr Arg Ile Ser Gly Val 80 85 90 Gly Ile Asp Gln Pro Pro Tyr Gly Ile Phe Val Ile Asn Gln Lys 95 100 105 Thr Gly Glu Ile Asn Ile Thr Ser Ile Val Asp Arg Glu Val Thr 110 115 120 Pro Phe Phe Ile Ile Tyr Cys Arg Ala Leu Asn Ser Met Gly Gln 125 130 135 Asp Leu Glu Arg Pro Leu Glu Leu Arg Val Arg Val Leu Asp Ile 140 145 150 Asn Asp Asn Pro Pro Val Phe Ser Met Ala Thr Phe Ala Gly Gln 155 160 165 Ile Glu Glu Asn Ser Asn Ala Asn Thr Leu Val Met Ile Leu Asn 170 175 180 Ala Thr Asp Ala Asp Glu Pro Asn Asn Leu Asn Ser Lys Ile Ala 185 190 195 Phe Lys Ile Ile Arg Gln Glu Pro Ser Asp Ser Pro Met Phe Ile 200 205 210 Ile Asn Arg Asn Thr Gly Glu Ile Arg Thr Met Asn Asn Phe Leu 215 220 225 Asp Arg Glu Gln Tyr Gly Gln Tyr Ala Leu Ala Val Arg Gly Ser 230 235 240 Asp Arg Asp Gly Gly Ala Asp Gly Met Ser Ala Glu Cys Glu Cys 245 250 255 Asn Ile Lys Ile Leu Asp Val Asn Asp Asn Ile Pro Tyr Met Glu 260 265 270 Gln Ser Ser Tyr Thr Ile Glu Ile Gln Glu Asn Thr Leu Asn Ser 275 280 285 Asn Leu Leu Glu Ile Arg Val Ile Asp Leu Asp Glu Glu Phe Ser 290 295 300 Ala Asn Trp Met Ala Val Ile Phe Phe Ile Ser Gly Asn Glu Gly 305 310 315 Asn Trp Phe Glu Ile Glu Met Asn Glu Arg Thr Asn Val Gly Ile 320 325 330 Leu Lys Val Val Lys Pro Leu Asp Tyr Glu Ala Met Gln Ser Leu 335 340 345 Gln Leu Ser Ile Gly Val Arg Asn Lys Ala Glu Phe His His Ser 350 355 360 Ile Met Ser Gln Tyr Lys Leu Lys Ala Ser Ala Ile Ser Val Thr 365 370 375 Val Leu Asn Val Ile Glu Gly Pro Val Phe Arg Pro Gly Ser Lys 380 385 390 Thr Tyr Val Val Thr Gly Asn Met Gly Ser Asn Asp Lys Val Gly 395 400 405 Asp Phe Val Ala Thr Asp Leu Asp Thr Gly Arg Pro Ser Thr Thr 410 415 420 Val Arg Tyr Val Met Gly Asn Asn Pro Ala Asp Leu Leu Ala Val 425 430 435 Asp Ser Arg Thr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Asn Lys Val Thr Lys 440 445 450 Glu Gln Tyr Asn Met Leu Gly Gly Lys Tyr Gln Gly Thr Ile Leu 455 460 465 Ser Ile Asp Asp Asn Leu Gln Arg Thr Cys Thr Gly Thr Ile Asn 470 475 480 Ile Asn Ile Gln Ser Phe Gly Asn Asp Asp Arg Thr Asn Thr Glu 485 490 495 Pro Asn Thr Lys Ile Thr Thr Asn Thr Gly Arg Gln Glu Ser Thr 500 505 510 Ser Ser Thr Asn Tyr Asp Thr Ser Thr Thr Ser Thr Asp Ser Ser 515 520 525 Gln Val Tyr Ser Ser Glu Pro Gly Asn Gly Ala Lys Asp Leu Leu 530 535 540 Ser Asp Asn Val His Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His 545 550 555 Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser 560 565 570 Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser 575 580 585 Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu 590 595 600 Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val 605 610 615 His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr 620 625 630 Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu 635 640 645 Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro 650 655 660 Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg 665 670 675 Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr 680 685 690 Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro 695 700 705 Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn 710 715 720 Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe 725 730 735 Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln 740 745 750 Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn 755 760 765 His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys 770 775 778
【0055】配列番号:2 配列の長さ:2334 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 ATGGACTGGA GTTTCTTCAG AGTAGTTGCA GTGCTGTTCA TTTTTCTGGT GGTGGTAGAA 60 GTTAACAGTG AATTCCGAAT CCAGGTAAGA GATTATAACA CTAAAAATGG CACCATCAAA 120 TGGCATTCAA TCCGAAGGCA GAAACGTGAA TGGATCAAGT TCGCAGCAGC CTGTCGTGAA 180 GGTGAAGACA ACTCAAAGAG GAACCCAATC GCCAAAATTC ACTCAGATTG TGCTGCAAAC 240 CAGCAAGTTA CATACCGCAT CTCTGGAGTA GGAATTGATC AGCCACCATA TGGGATCTTT 300 GTCATTAATC AGAAAACTGG TGAAATTAAT ATAACATCCA TAGTTGATCG AGAGGTCACT 360 CCTTTCTTCA TTATCTACTG CCGAGCTCTG AACTCAATGG GCCAAGATTT AGAGAGGCCT 420 CTAGAGCTCA GAGTCAGGGT TTTGGATATA AATGACAACC CTCCAGTGTT TTCAATGGCT 480 ACATTTGCAG GACAAATAGA AGAAAATTCT AATGCAAATA CACTGGTGAT GATACTCAAT 540 GCTACTGACG CAGATGAACC GAACAATTTG AACTCAAAAA TAGCCTTCAA GATTATAAGA 600 CAAGAACCTT CAGATTCACC AATGTTTATT ATCAACAGAA ATACTGGAGA AATTCGAACG 660 ATGAATAATT TTCTAGACAG AGAGCAATAC GGCCAGTATG CTCTTGCTGT AAGAGGCTCT 720 GACCGAGATG GTGGGGCAGA TGGCATGTCA GCGGAATGTG AGTGCAACAT TAAAATCCTC 780 GATGTCAATG ATAATATCCC TTACATGGAA CAGTCTTCAT ATACCATAGA AATTCAAGAA 840 AATACTCTAA ATTCAAATTT GCTCGAGATT AGAGTAATTG ATTTGGATGA AGAGTTCTCA 900 GCTAACTGGA TGGCAGTAAT TTTCTTTATC TCTGGAAATG AAGGAAATTG GTTTGAGATA 960 GAAATGAATG AAAGAACAAA TGTGGGAATT TTAAAGGTTG TTAAGCCCTT AGATTATGAA 1020 GCTATGCAGA GTCTGCAACT CAGTATTGGT GTCAGAAATA AAGCTGAATT TCATCATTCA 1080 ATTATGTCTC AATATAAACT GAAAGCATCT GCAATTTCTG TGACTGTGTT AAATGTAATT 1140 GAAGGCCCAG TGTTTCGTCC AGGTTCAAAG ACATATGTTG TAACTGGTAA TATGGGATCA 1200 AATGATAAAG TGGGAGACTT TGTAGCTACT GACCTGGACA CAGGTAGACC TTCAACGACT 1260 GTTAGGTATG TAATGGGAAA TAATCCAGCT GACCTGCTAG CTGTTGATTC AAGAACAGGC 1320 AAACTCACTT TGAAAAATAA AGTTACCAAG GAACAGTACA ATATGCTCGG AGGAAAATAC 1380 CAAGGAACGA TTCTCTCTAT AGATGATAAT CTTCAAAGAA CTTGCACTGG TACAATTAAT 1440 ATTAACATTC AAAGTTTTGG TAATGACGAC AGGACTAATA CAGAGCCGAA CACTAAAATT 1500 ACTACCAATA CTGGCAGACA AGAAAGTACT TCTTCCACTA ACTATGATAC CAGCACAACT 1560 TCTACTGACT CTAGCCAAGT ATATTCTTCT GAACCCGGAA ACGGAGCCAA AGATTTGTTA 1620 TCAGACAATG TACATGTCGA GCCCAAATCT TGTGACAAAA CTCACACATG CCCACCGTGC 1680 CCAGCACCTG AACTCCTGGG GGGACCGTCA GTCTTCCTCT TCCCCCCAAA ACCCAAGGAC 1740 ACCCTCATGA TCTCCCGGAC CCCTGAGGTC ACATGCGTGG TGGTGGACGT GAGCCACGAA 1800 GACCCTGAGG TCAAGTTCAA CTGGTACGTG GACGGCGTGG AGGTGCATAA TGCCAAGACA 1860 AAGCCGCGGG AGGAGCAGTA CAACAGCACG TACCGGGTGG TCAGCGTCCT CACCGTCCTG 1920 CACCAGGACT GGCTGAATGG CAAGGAGTAC AAGTGCAAGG TCTCCAACAA AGCCCTCCCA 1980 GCCCCCATCG AGAAAACCAT CTCCAAAGCC AAAGGGCAGC CCCGAGAACC ACAGGTGTAC 2040 ACCCTGCCCC CATCCCGGGA GGAGATGACC AAGAACCAGG TCAGCCTGAC CTGCCTGGTC 2100 AAAGGCTTCT ATCCCAGCGA CATCGCCGTG GAGTGGGAGA GCAATGGGCA GCCGGAGAAC 2160 AACTACAAGA CCACGCCTCC CGTGCTGGAC TCCGACGGCT CCTTCTTCCT CTACAGCAAG 2220 CTCACCGTGG ACAAGAGCAG GTGGCAGCAG GGGAACGTCT TCTCATGCTC CGTGATGCAT 2280 GAGGCTCTGC ACAACCACTA CACGCAGAAG AGCCTCTCCC TGTCCCCGGG TAAA 2334
【図面の簡単な説明】
【図1】 PFIgの分子構造を表す説明図である。
【図2】 PFIgの免疫ブロット法の結果を示すメンブレ
ンの写真である。
【図3】 免疫ブロット法によるPFIgと各種血清との反
応性を示すメンブレンの写真である。
【図4】 PFIgとのインキュベートによるPF自己抗体の
吸収の様子を表す写真である。
【図5】 PFIgとのインキュベーションによるPF血清の
病原活性の除去を示す写真である。
【図6】 PFIgとのインキュベーションによるPF血清の
病原活性の除去を示す写真である。
【図7】 PFIg-プロテインAカラムから溶出されたIgG
の病原活性を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 5/10 C12P 21/02 ZNAC 7/00 A61K 37/02 ADS 15/09 C12N 5/00 B C12P 21/02 ZNA 9162−4B 15/00 A (72)発明者 西川 武二 神奈川県横浜市保土ケ谷区峰岡町2−217 −8 (72)発明者 キャスリン・J・グリーン 東京都新宿区信濃町慶応義塾大学医学部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識される
    融合蛋白質であって、落葉状天疱瘡抗原蛋白質の細胞外
    領域であるアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号1
    〜545)に、IgGの定常領域がヒンジ部を介して結合され
    たことを特徴とする融合蛋白質。
  2. 【請求項2】 落葉状天疱瘡患者自己抗体に認識される
    融合蛋白質であって、落葉状天疱瘡抗原蛋白質の細胞外
    領域であるアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号1
    〜545)に、タッグ抗原が結合されたことを特徴とする
    融合蛋白質。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の融合蛋白質を有効
    成分として含有する落葉状天疱瘡の治療薬。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の融合蛋白質を担体
    に固定した吸着剤を有することを特徴とする落葉状天疱
    瘡の治療器具。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の融合蛋白質を免疫
    診断の抗原として用いることを特徴とする落葉状天疱瘡
    の診断剤。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の融合蛋白質を結合させた
    不溶性担体に患者血清を加えることにより前記融合蛋白
    質と前記患者血清中の落葉状天疱瘡患者自己抗体とを結
    合させ、次いで前記落葉状天疱瘡患者自己抗体に特異的
    に結合する標識抗体を反応させ、該反応物の標識量を測
    定する落葉状天疱瘡の抗体測定方法。
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