JP2008194054A - 植物における防御タンパク質を含む免疫グロブリンの製造法およびその使用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも抗原結合ドメインの部分を有する免疫グロブリン由来重鎖と会合した防御タンパク質を含み、かつ植物内で産生されている、免疫グロブリンを提供することにより解決される。
【選択図】図1
Description
これは、本発明に参考として包含させる1994年12月30日出願の同時継続出願番号第08/367,395号の一部継続出願である。
本発明は、植物における防御タンパク質を含む免疫グロブリンの発現およびこのような免疫グロブリンを発現するトランスジェニック植物に関する。これらの免疫グロブリンの治療的使用にもまた関する。
モノクローナル抗体は、多くの治療目的に非常に可能性を有する。モノクローナル抗体治療の慣用医薬を越える利点は、その著しい選択性、多重エフェクター機能および分子操作、例えば放射性同位元素標識および他のタイプの結合の行い易さを含む。広範な標的抗原が特異的モノクローナル抗体を製造するのに使用されている。例えば、Therapeutic Monoclonal Antibodies, C.A.K. BorrebaeckおよびJ.W. Larrick編, Stockton Press, New York, 1990およびThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies, M. RosenbergおよびG.P. Moore編, Spring-Verlag, Berlin. 1994参照。
モノクローナル抗体の一つの治療的使用は、外因性に製造した免疫グロブリンを直接、処置する動物に注射または経口により投与する、受動免疫治療である。成功するには、受動免疫治療は処置する動物の免疫応答に拠るものではないため、受動免疫治療は適切な量の免疫グロブリンを動物に送達しなければならない。投与する免疫グロブリンは処置を行うことが望ましい病原菌または分子に特異的でなければならない。受動免疫治療の一つの利点は、正常免疫応答と比較した、抗体が標的に接触し得る速度である。受動免疫治療は疾病または感染が発症するのを予防する予防剤としても使用できる。
本発明は免疫グロブリン分子の新規タイプに関する。本発明の免疫グロブリンは少なくとも抗原結合ドメインの部分を有する免疫グロブリン由来重鎖と会合した(in association)防御タンパク質を含む。他の態様において、本発明の免疫グロブリンは、更に、免疫グロブリン由来重鎖と結合した少なくとも抗原結合ドメイン部分を有する免疫グロブリン由来軽鎖を含む。
図面を最初に簡単に説明する。
A.定義
双子葉植物(双子葉):胚芽が二つの半分の種子または子葉を有する顕花植物。双子葉の例は:タバコ;トマト;アルファルファを含むマメ科植物;オーク;カエデ;バラ;ハッカ;カボチャ;ヒナギク;クルミ;サボテン;スミレ;およびキンポウゲである。
単子葉植物(単子葉):胚芽が一つの子葉または種子葉を有する顕花植物。単子葉の例は:ユリ;芝生;トウモロコシ;オート麦、小麦および大麦を含む穀類;ラン;アイリス;タマネギおよびヤシである。
下等植物:シダ、裸子植物、球果植物、トクサ、ヒカゲノカズラ、ゼニゴケ、ツノゴケ、コケ、紅藻類、褐藻類、配偶体、シダ植物の胞子体および緑藻類を含む非顕花植物。
真核ハイブリッドベクター:その手段により、ポリペプチドをコードするDNA(挿入体)を真核細胞に挿入できるDNA。
染色体外リボソームDNA(rDNA):リボソームRNAをコードする1個またはそれ以上の遺伝子を有し、自主的に複製する(染色体の複製と無関係)、単細胞真核細胞内で染色体の外に見られるDNA。
回帰性DNA:1個またはそれ以上の対称性中心を有するDNA。
DNA:デオキシリボ核酸。
T−DNA:移入DNAのセグメント。
rDNA:リボソームDNA。
RNA:リボ核酸。
rRNA:リボソームRNA。
Ti−プラスミド:癌誘発プラスミド。
Ti−DNA:Ti−プラスミド由来のDNAのセグメント。
挿入体:構造遺伝子および所望により付加DNA配列を含む、rDNAに無関係のDNA配列。
構造遺伝子:ポリペプチドをコードする遺伝子であり、適当なプロモーター、停止配列および所望により他の調節DNA配列を伴い、正しいリーディングフレームを有する。
シグナル配列:ポリペプチドを小胞体に結合させ、ポリペプチドに結合したアミノ酸配列をコードする、タンパク質分泌に必須である、DNA配列。
(選択)遺伝子マーカー:その手段により形質転換細胞が非形質転換細胞から選択できる、表現型形質をコードするDNA配列。
プロモーター:遺伝子の発現制御要素を発現し、それにRNAポリメラーゼが特異的に結合し、その遺伝子のRNA合成(転写)を開始させる、DNA配列またはDNA配列のグループの認識部位。
ウイルスプロモーター:ウイルス遺伝子の5'末端に見られるプロモーターと実質的に同一のDNA配列を有するプロモーター。典型的ウイルスプロモーターは、Huang et al., Cell, 27:245(1981)記載のMMTVのp21タンパク質をコードする遺伝子の5'末端に見られる。他の例は、Benfey et al., Science, 250:959(1990)記載のようなカリフラワーモザイクウイルスの35S転写物に見られるプロモーターを含む。
合成プロモーター:生物由来よりむしろ化学的合成したプロモーター。通常合成プロモーターはRNAポリメラーゼ開始の能率を最適化するための配列変化を含む。
構成プロモーター:RNAポリメーラゼ結合および開始がほぼ一定あり、外的刺激に相対的に無関係な所のプロモーター。構成プロモーターの例は、Poszkowski et al., EMBO J., 3:2719(1989)およびOdell et al., Nature, 313:810(1985)により記載されたカリフラワーモザイクウイルス35Sおよび19Sプロモーターを含む。
制御プロモーター:RNAポリメラーゼ結合および開始の速度が発育の特定の時期、または生物の特定の構造またはこれらのタイプの調節の両方で制御される所のプロモーター。制御プロモーターの例は、Chua et al., Science, 244:174-181(1989)に記載されている。
一本鎖抗原結合タンパク質コード遺伝子:一本鎖抗原結合タンパク質をコードする組換え遺伝子。
ポリペプチドおよびペプチド:隣接残基のアルファ−アミノおよびカルボキシ基の間のペプチド結合により他のものに結合したアミノ酸残基の連続直線。
タンパク質:ポリペプチドでのように他のものに結合した約50アミノ酸残基より大きい連続直線。
免疫グロブリン生産物:免疫グロブリン重鎖の少なくとも免疫活性部位を含むポリペプチド、タンパク質またはタンパク質であり、従って抗原と特異的に結合できる。免疫グロブリン生産物の例は、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン分子、実質的に無傷な免疫グロブリン分子、当分野でFabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')フラグメントおよびFvフラグメントとして知られている部分を含む、パラトープを含む免疫の部分である。
免疫グロブリン分子:互いに共有結合した免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の免疫学的活性部分を含むタンパク質であり、抗原と特異的に結合できる。
免疫グロブリン由来重鎖:免疫グロブリンの少なくとも抗原結合ドメインの部分および免疫グロブリン重鎖の少なくとも可変領域の部分または免疫グロブリン重鎖の少なくとも定常領域の部分を含むポリペプチド。従って、免疫グロブリン由来重鎖は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーとアミノ酸配列相同性の明白な領域を有する。例えば、Fabフラグメントの重鎖は、免疫グロブリン由来重鎖である。
免疫グロブリン由来軽鎖:免疫グロブリンの少なくとも抗原結合ドメインの部分および少なくとも免疫グロブリン軽鎖の可変領域または定常領域の部分を含むポリペプチド。従って、免疫グロブリン由来軽鎖は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーとアミノ酸配列相同性の明白な領域を有する。
J鎖:免疫グロブリンの重合化および重合化免疫グロブリンの上皮細胞への輸送に関与するポリペプチド。The Immunoglobulin Helper:The J Chain in Immunogloburin Genes, 345頁, Academic Press(1989)参照。J鎖は、五量体IgMおよび二量体IgAにみられ、典型的にジスルフィド結合により結合している。J鎖はマウスおよびヒトの両方で研究されている。
Fabフラグメント:互いに共有結合し、抗原と特異的に結合できる免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を含む免疫グロブリン分子の部分からなるタンパク質。Fabフラグメントは典型的に、実質的に無傷な免疫グロブリン分子の、当分野で既知の方法を使用したパパインによるタンパク質分解的消化により製造される。しかしながら、Fabフラグメントは、当分野で既知の方法を使用して、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の望ましい部分を好適な宿主細胞中で発現させることにより製造し得る。
F v フラグメント:互いに共有結合し、抗原と特異的に結合できる免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的活性部分を含むタンパク質。FVフラグメントは典型的に、当分野で既知の方法を使用して、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の望ましい部分を好適な宿主細胞中で発現させることにより製造し得る。
無性繁殖:切った葉、切った幹、切った根、一個の植物細胞(原形質体)またはカルスから全植物を再生することにより子孫を産生すること。
自家授粉:同植物上での雄花部分から雌花部分への花粉の移動。この工程は典型的に種子を産生する。
交差授粉:別植物上での雄花部分から雌花部分への花粉の移動。この工程は典型的に種子を産生し、そこから種々の子孫が成育できる。
キメラ免疫グロブリン重鎖:異なるイソタイプまたはサブタイプまたはある別のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の免疫グロブリン重鎖由来のアミノ酸配列残基の一部を有する免疫グロブリン由来重鎖。典型的に、キメラ免疫グロブリン重鎖は、免疫グロブリン重鎖の少なくとも二つの異なるイソタイプまたはサブタイプ由来のアミノ酸残基配列を有する。
トランスジーン:動物の生殖細胞系に挿入された遺伝子。遺伝子は初期発育段階で動物内に挿入し得る。しかしながら、遺伝子は、動物細胞に、例えば、レトロウイルスベクターにより、遅い段階で挿入できる。
多重分子:互いに化学結合を含む手段で結合した1ペプチド以上またはポリペプチドからなる分子。
本発明は、防御タンパク質含有免疫グロブリン分子の新規な製造法を提供する。免疫グロブリンは、少なくとも抗原結合ドメインの部分を有する免疫グロブリン由来重鎖と結合した防御タンパク質を含む。
1)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)21−43に対応するAA;
2)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)1−118に対応するAA;
3)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIのアミノ酸(AA)119−223に対応するAA;
4)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIIのアミノ酸(AA)224−332に対応するAA;
5)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIVのアミノ酸(AA)333−441に対応するAA;
6)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVのアミノ酸(AA)442−552に対応するAA;
7)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVIのアミノ酸(AA)553から606または553から627に対応するAA;およびウサギポリ免疫グロブリン受容体のAA残基607から755または628から755に対応するアミノ酸残基は含まない。
1)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)21−43に対応するAA;
2)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)1−118に対応するAA;
3)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIのアミノ酸(AA)119−223に対応するAA;
4)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIIのアミノ酸(AA)224−332に対応するAA;
5)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIVのアミノ酸(AA)333−441に対応するAA;
6)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVのアミノ酸(AA)442−552に対応するAA;
7)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVIのアミノ酸(AA)553から606または553から627に対応するAA;およびウサギポリ免疫グロブリン受容体のAA残基607から755または628から755に対応するアミノ酸残基は含まない。
1)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)21−43に対応するAA;
2)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIのアミノ酸(AA)1−118に対応するAA;
3)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIのアミノ酸(AA)119−223に対応するAA;
4)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIIIのアミノ酸(AA)224−332に対応するAA;
5)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインIVのアミノ酸(AA)333−441に対応するAA;
6)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVのアミノ酸(AA)442−552に対応するAA;
7)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のドメインVIのアミノ酸(AA)553から606または553から627に対応するAA;およびウサギポリ免疫グロブリン受容体のAA残基628から755に対応するアミノ酸残基は含まない。
本発明は、本発明の免疫グロブリンを含む植物細胞を含む真核細胞に関する。本発明はまた本発明の免疫グロブリンの種々の成分をコードするヌクレオチド配列を含む植物細胞にも関する。当業者は、防御タンパク質および種々の免疫グロブリン重鎖および軽鎖およびJ鎖をコードするヌクレオチド配列が、典型的にはプロモーターに操作可能に結合し、発現ベクターまたはカセットの一部として存在することを理解する。
本発明は、本発明の免疫グロブリンおよび植物高分子物質を含む組成物に関する。典型的に、これらの植物高分子物質は本発明で有用な植物由来である。植物高分子物質は、本発明の免疫グロブリンと共に、例えば、植物細胞中、植物細胞の抽出物中または植物中に存在する。組成物中で本発明の免疫グロブリンと結合した典型的植物高分子物質は、リボースビホスフェートカルボキシラーゼ、集光複合体、(LH6)色素、二次代謝物またはクロロフィルである。本発明の組成物は、本発明の免疫グロブリンを、水以外の質量の1%から99%の間の濃度で有する。他の好ましい組成物は、水以外の質量の1%から50%の間の濃度で存在する本発明の免疫グロブリンを有する組成物を含む。他の好ましい組成物は、水以外の質量の1%から25%の間の濃度の免疫グロブリンを含む。
本発明は:
(a)転写プロモーターに操作可能に結合した防御タンパク質をコードするヌクレオチドを含む発現ベクターの植物細胞への挿入;および
(b)転写プロモーターに操作可能に結合した少なくとも抗原結合ドメインの部分を有する免疫グロブリン由来重鎖をコードするヌクレオチドを含む発現ベクターの同じ植物細胞への挿入:
の段階を含む、防御タンパク質を含む免疫グロブリンの製造法に関する。
本発明は、重および軽鎖を含む免疫グロブリンドメインが、重または軽鎖免疫グロブリンのいずれかの異なるアイソタイプ由来である、防御タンパク質を含む免疫グロブリンに関する。当業者は、分子技術を使用して、これらのドメインが同じドメインに置換でき、従って、二つの異なる免疫グロブリンの間のハイブリッドである免疫グロブリンを製造することを理解する。これらのキメラ免疫グロブリンは、異なる免疫グロブリンから付与された種々の望ましい特性を含む、構築すべき防御タンパク質を含む免疫グロブリンを可能にする。
本発明はまた、その細胞または植物内に、細胞内にそれぞれ異なるポリペプチドをコードする4つのトランスジーン核酸に挿入された核酸を有する細胞を含むトランスジェニック生物に関する。これらのトランスジーンは、そのトランスジーンから製造されるメッセンジャーRNAが4つのトランスジーンの他のものから製造されるメッセンジャーRNAおよびポリペプチドと異なることとにより異なる。従って、本発明で記載されているトランスジーンの数は、通常トランスジェニック生物で見られるような同じトランスジーンの多重コピーは含まない。本発明は、他のトランスジーンの同一コピーではない4つのトランスジーンを有するトランスジェニック生物を指向する。本発明は、それぞれのトランスジーンが多重コピーで存在し得る可能性を除外しない。しかしながら、少なくとも4つの別の異なるトランスジーンがトランスジェニック生物の細胞中に存在する。
以下の実施例は本発明の記載を説明する。これらの実施例はいかなる意味でも本発明の請求の範囲を限定しない。
a.Guy'13免疫グロブリンをコードするヌクレオチド配列の単離
Guy's13抗S. mutans抗体のガンマおよびカッパ鎖の分子クローニングは、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131(1994)記載の方法で行った。簡単には、Guy's13ハイブリドーマ細胞系からmRNAを抽出し、標準工程によりcDNAに変換した。次いで、cDNAをガンマまたはカッパcDNAのいずれかに特異的に相補的なオリゴヌクレオチドのペアを使用して増幅した。増幅は、記載のように熱サイクラー(thermal cycler)を使用してTaq 1ポリメラーゼで触媒した。増幅cDNAを次いで適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、標準植物発現ベクターの対応する制限部位にライゲートした。このようなベクターの多くの例が文献で報告されており、一般に入手可能である。使用し得る一つのベクターの例はpBIN19である。
実験の関連するシリーズにおいて、cDNAを細菌ベクターbluescriptにクローンした。この構築物を使用して、ガンマおよびカッパcDNAを、MaxamおよびGilbert法を使用して決定した。
PCR技術を含み、または得られたcDNAの適当なベクター中へのライゲーションに続くcDNAライブラリーの構築による抗体cDNAをクローニングする方法は、当業者に慣用の平凡な技術である。
これらの構築物は、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131(1994)記載の方法で行い、上記のように適当な植物発現ベクターにライゲートした。最終構築物は構造:IgG2A重鎖と呼ぶGuy's13可変領域−(IgG1 CH1)−(IgG1 CH2)−(IgA CH2)−(IgA CH3)およびGuy's13可変領域−(IgG1 CH1)−(IgA CH2)−(IgA CH3)を有した。
クローンウサギポリ免疫グロブリン受容体(pIgR)cDNAは、Mostov, Nature, 308:37(1984)に記載され、図8に示した。防御タンパク質部分は(pIgR)をコードするヌクレオチド配列の部分のPCR増幅により得、上記のように適当な植物発現ベクター中にライゲートした。これらの構築に使用するpIgRの防御タンパク質部分は、アミノ酸数1のコドンからアミノ酸数606のコドンを含む。この構築を達成する方法は当分野で既知であり、オリゴヌクレオチドがpIgR核酸配列を使用して選択できる。
変異誘発方法は、Stratageneプロトコールに従って行った。いずれの場合(即ち、アルファ定常領域または防御タンパク質)も、炭水化物の結合部位として使用したアスパラギンのコドンは、ヒスチジンのコドンに変えた。
防御タンパク質を有する免疫グロブリンを含む植物および植物細胞は、以下の方法で製造した。
a)ベクターのAgrobacterium tumefaciensへの移入
植物形質転換は、Agrobacterium tumefaciensを使用して行った。組換えpMON530植物発現ベクターを有するE. coli DH5αは、移入機能を提供するのに、ヘルパー株(pRK2013)の存在下でAgrobacteriumと組み合わせた。あるいは、pMON530プラスミドDNAを直接形質転換によりAgrobacteriumに挿入した。この方法において、Agrobacterium株を最初にYEP培地中で一晩28℃で成育させた。一晩培養物の2mlを、YEP 50mlに接種するのに使用し、OD600が1.0になるまで成育させた。次いで、細胞を4℃で冷却し、遠心してペレットにし、氷冷20mM CaCl2 1mlに再懸濁した。約1μgのDNAを、氷冷細胞の0.1mlのアリコートに添加した。次いで、細胞を、液体窒素に浸すかまたはドライアイスエタノール浴で急速に凍結させた。細胞を、37℃で5分のインキュベーション、続くYEP培地1mlの添加により融解した。細胞を、穏やかに振盪しながら2−4時間インキュベートした。組換えベクターを有する個々のベクターを、適当な抗生物質を含むYEP寒天プレート上でインキュベートすることにより単離した。
pMON530を含むAgrobacteriaをカナマイシン、スペクチノマイシンおよびクロラムフェニコールを含む培地で成育させた。次いで、タバコ葉の小断片をAgrobacteriumと2日間共インキュベートし、その後葉切片をAgrobacteriumを殺すためのカルベニシリン含有プレートに移した。形質転換葉細胞の全植物への再生は、植物が土壌での成育ができるまでカナマイシン選択の存在下で行わせた。
温室で育てたタバコまたはペチュニア植物由来の葉を20%(容量)Chlorox漂白剤、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで、室温で8分滅菌した。次いで、葉を70%エタノールで簡単に濯ぎ、滅菌ペトリ皿で乾燥させた。
約0.5cm直径の葉ディスクを滅菌穴開け器で除き、MS10培地(MS10培地リットル当たり:最小有機物含有4.4g MurashigeおよびSkoog基本塩[Sigma #M68991]、30gシュークロース、0.2mg酢酸ナフタレン、2mgベンジルアミノプリン、0.1mgニコチン酸、0.1mgピリドキシン、0.1mgチアミン、10g寒天、KOHでpH5.7)含有寒天培地に置いた。
次いで、LB中のAgrobacterium(約1×108Agrobacterium/ml)の2mlのアリコートを葉片に加えた。葉ディスクの全ての表面をAgrobacteriumと接触させ、過剰な液体をプレートから注ぎ出し、ディクスを細菌と2日間室温で共培養した。次いで、このディスクをMS10培地、50μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン含有(MS10−KC)寒天プレートに移した。再生は、ディスクを、再生新芽が見えるまで週毎に新鮮MS−10−KCプレートに移すことにより行った。次いで、新芽をMSO−KC培地(MSO−KCリットル当たり:最小有機物含有4.4g MurashigeおよびSkoog基本塩[Sigma #M68991]、30gシュークロース、1mgニコチン酸、1mgピリドキシン、0.1mgチアミン、50μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン、10g寒天、KOHでpH5.7)を含む寒天プレートに移した。
根形成後、小植物を土壌に移し、成熟するまで成育させた。
3つ葉のアルファルファを温室植物から切り、20%(容量)Chlorox漂白剤、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで、室温で8分滅菌した。次いで、3つ葉を70%エタノールで簡単に濯ぎ、滅菌ペトリ皿で乾燥させた。
約1cm×4mmの葉片を滅菌外科用メスで切り取り、B5H培地(B5H培地リットル当たり:3.1gガンボルグ粉末培地(Sigma#G8593)、500mg KNO3、250mg MgSO4・7H2O、30gシュークロース、500mgプロリン、1mg 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、100μgカイネチン、100mgイノシトール、1mgニコチン酸、1mgピリドキシン、10mgチアミン、10g寒天、30ml貯蔵アミノ酸、KOHでpH5.7;貯蔵アミノ酸はリットル当たり26.6g L−グルタミン、3.32gセリン、16.8mgアデニン、333mgグルタチオンから成り、オートクレーブ後、培地が約50℃になった時に添加する)を含む寒天プレートに置いた。
次いで、葉片にLB中のAgrobacteriumの懸濁液(約1×108Agrobacterium/ml)2mlを加えた。葉の全ての表面をAgrobacteraと接触させ、過剰な液体をプレートから注ぎ出し、葉を細菌と2日間室温で共培養した。次いで、葉片をB5H培地、25μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン(B5H−KC)含有寒天プレートに移した。再生は、葉片を、体細胞胚が見えるまで週毎に新鮮B5H−KCプレートに移すことにより行った。次いで、胚をBIO2Y−KC培地(BIO2Y−KCリットル当たり:25ml多量栄養素、10ml微量栄養素、25ml鉄、1mlビタミン、1mlアミノ、2g酵母抽出物、100mgミオイノシトール、30gシュークロース、10g寒天、25gカナマイシン、250mgカルベニシリン、KOHでpH5.9;多量栄養素はリットル当たり40g KNO3、40g NH4NO3、13.88g Ca(NO3)2−4FUO、1.4g MgSO4−7H2O、2.6g KCl、12g KH4PO4から成る40×貯蔵を作る;ビタミンはリットル当たり100mgチアミンHCl、500mgニコチン酸、100mgピリドキシンHClから成る1000×貯蔵を作る;アミノはリットル当たり2gグリシンから成る1000×貯蔵を作る;微量栄養素はリットル当たり580mgMnSO4−4H2O、1550mg ZnSO4−7H2O、160mg H3BO3、80mg KIを含む100×貯蔵を作る;鉄はリットル当たり1.28g NaFeEDTAを含む40×貯蔵を作る)を含む寒天プレートに移した。
根形成後、小植物を土壌に移し、成熟するまで成育させた。
7日齢苗木由来の子葉を20%(容量)Chlorox漂白剤、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで、室温で8分滅菌した。次いで、葉を70%エタノールで簡単に濯ぎ、滅菌ペトリ皿で乾燥させた。
約0.5cm直径の子葉片を滅菌外科用メスで切り、MS4培地(MS4培地リットル当たり:最小有機物含有4.4g MurashigeおよびSkoog基本塩[Sigma #M68991]、30gシュークロース、2mgゼアチンリボシド、5mgニコチン酸、0.5mgピリドキシン、0.5mgチアミン、1mMアセトシリンゴン、10g寒天、KOHでpH5.7)含有寒天培地に置いた。
次いで、LB中のAgrobacterium(約1×108Agrobacterium/ml)の2mlの懸濁液を葉片に加えた。葉ディスクの全ての表面をAgrobacteriumと接触させ、過剰な液体をプレートから注ぎ出し、ディクスを細菌と2日間室温で共培養した。次いで、このディスクをMS4培地、50μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン含有(MS4−KC)寒天プレートに移した。再生は、ディスクを、再生新芽が見えるまで週毎に新鮮MS−4−KCプレートに移すことにより行った。次いで、新芽をMSO−KC培地(MSO−KCリットル当たり:最小有機物含有4.4g MurashigeおよびSkoog基本塩[Sigma #M68991]、30gシュークロース、1mgニコチン酸、1mgピリドキシン、10mgチアミン、50μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン、10g寒天、KOHでpH5.7)を含む寒天プレートに移した。
根形成後、小植物を土壌に移し、成熟するまで成育させた。
無菌培養で成育したシロイヌナズナ(Arabidopsis thalliana)植物由来の無傷根を、最初、暗所で3日間、28℃でカルス誘発培地(CIM)で前処理した(CIM培地リットル当たり:3.1gガンボルグ粉末培地(Sigma#G8593)、30gシュークロース、1mg 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、100μgカイネチン、1mgイノシトール、0.1mgニコチン酸、0.1mgピリドキシン、0.1mgチアミン、8g寒天、KOHでpH5.7)。
次いで、無傷根にLB中のAgrobacteriumの懸濁液(約1×108Agrobacterium/ml)2mlを加えた。根の全ての表面をAgrobacteraと接触させ、過剰な液体をプレートから注ぎ出した。次いで、無傷根を5mmセグメントに切断し、細菌と2日間、28℃でCIMプレート上で共培養した。次いで、根片を50μg/mlカナマイシンおよび250μg/mlカルベニシリン含有新芽誘発培地(SIM)(SIM培地リットル当たり:3.1gガンボルグ粉末培地(Sigma#G8593)、30gシュークロース、5mg N6−(2−イソペンテニル)アデニン、150μgインドール−3−酢酸、1mgイノシトール、0.1mgニコチン酸、0.1mgピリドキシン、0.1mgチアミン、8g寒天、KOHでpH5.7)に移した。
再生は、根片を、緑色新芽が見えるまで週毎に新鮮SIMプレートに移すことにより行った。次いで、新芽をEM培地(MSO−KCリットル当たり:最小有機物含有4.4g MurashigeおよびSkoog基本塩[Sigma #M6899]、10gシュークロース、1mgインドール−3−酪酸、1mgニコチン酸、0.1mgピリドキシン、0.1mgチアミン、250μg/mlカルベニシリン、8g寒天、KOHでpH5.7)を含む寒天プレートに移した。
根形成後、小植物を土壌に移し、成熟するまで成育させた。
個々の免疫グロブリン鎖を発現するカナマイシン耐性形質転換体を記載のようにELISAで同定した。形質転換体の更なる分析は、ノーザンブロッティングによるRNAの評価およびウエスタンブロッティングによる免疫グロブリンポリペプチドの評価を含み、両方ともManiatis et al.に記載されていた。
各免疫グロブリン鎖については、抗原性物質、RNAまたはタンパク質を各検定で検出した。最も高いレベルの免疫グロブリンを有すると同定された形質転換体を、交差授粉プロトコールに使用した。
a)葉に含まれる抗体の抽出および富化
葉片を約1cm2片に切った。次いで、これらの切片を、両方約4℃の冷却磁気乳鉢に含まれる、10μg/mlロイペプチン含有TBSの冷却溶液に添加した(1mlTBS/グラム葉)。植物液体を、回転動および手で押して、切片を冷却乳棒で粉砕することにより抽出した。粉砕は、切片がほとんど均質なパルプになるまで続けた(約3分の粉砕)。パルプを4℃で約50,000×gで遠心し、固体植物片がない上清を作った。あるいは、パルプを、孔サイズ約100ミクロンのプラスティックメッシュを通して濾過した。
特定植物に含まれる抗体の力価に依存して、上清は抗原に直接さらすのに適当であるかまたは適当な濃度までの富化が必要であった。粗抽出物中のIgG1またはIgG/Aは、決まりきって、10μg/ml以下であり、平均約5μg/mlであった。Guy's13抗体の粘膜表面への適用のため、1から4mg/mlの濃度までの富化が必要であり得る。1、2または3構築物のタイプについて、Guy's13抗体は、10から14倍の富化が、所望の濃度を作るのに必要であった。これは、親和性吸着(プロテインAまたはプロテインGのいずれかを使用して)、または水を除去するための凍結乾燥により達成された。サイズ排除クロマトグラフィーもまた富化に使用したが、必要な濃度の抗体を産生するために、粗抽出物の完全フラクションが必要であった。ELISA検定およびポリアクリルアミドゲル電気泳動により、共発現鎖は、複合体中に、タイプ1&2については約180−200kダルトンおよびタイプ3については約400kダルトンが集合した。粗抽出物は、決まり切って、約5−10μg/mlを含んで得られた。
抗体蓄積の劇的増加は、防御タンパク質が、タイプ4抗体を含む植物を産生するタイプ3抗体を含む植物に交配されたときに見られた。ELISAおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動により、共発現鎖は、複合体中に約470,000ダルトンで集合された。粗抽出物は、決まり切って、200μg/ml以上を含み、平均約250μg/mlを含んで得られた。従って、Guy's13抗体のSIgA構築物は標的濃度を達成するために、最小富化を必要とした。この富化は、上記技術で達成された。あるいは、抗体が分子排除200,000dの膜を使用した限外濾過により、植物分子の多くから容易に分離されることが分かった。
機能的抗体研究をELISAにより行った。抗体軽および重鎖を発現する全ての植物は、連鎖球菌抗原(SA I/II)を特異的に認識する機能的抗体を集合させた。結合のレベルおよび力価曲線は、マウスハイブリドーマ細胞上清のものと類似していた。SA I/II結合は、J鎖のみまたは防御タンパク質のみを発現する植物では検出されなかった。同様に、免疫グロブリンを発現しない野生型植物も、結合の検出可能レベルは示さなかった。
同様な一連の実験で、抗体の固定化精製連鎖球菌抗原または細菌細胞表面上の天然抗原への結合が、抗分泌成分抗血清を使用して検出された。これらの検定において、タイプ4抗体結合のみが検出された。機能的タイプ1、2または3抗体は抗分泌成分抗血清に結合しなかった。これらの結果は、防御タンパク質がタイプ4構築物を発現する植物中の抗体と、抗原結合を妨げない方法で、集合することを確認する。
マウスモノクローナル抗体(mAb Guy's13)の重および軽鎖をコードする遺伝子を、タバコ(Nicotiana tabacum)にクローンし、発現させた。トランスジェニック植物は、完全長Guy's13抗体を分泌するものに再生した。重鎖遺伝子配列の操作により、免疫グロブリンアルファ重鎖由来の定常領域が挿入され、Guy's13mAbと共にキメラガンマ/アルファ重鎖も分泌する植物がまた製造される。各植物抗体について、軽および重鎖はウエスタンブロットにより分析し、集合の忠実度を、抗原結合研究により、抗体が完全に機能することを証明することにより確認する。更に、植物抗体は、連鎖球菌を凝集する能力を残し、これは完全長抗体の2価抗原結合能力が無傷であることを証明する。
メッセンジャーRNAをGuy's13およびマウスIgA(MOPC315)ハイブリドーマ細胞系から、酸グアニジニウムチオシアナート−フェノール−クロロホルム抽出を使用して精製した。相補的DNAを、Moloneyマウス白血病ウイルス逆転写酵素(Promega, GB)を使用して作った。Guy'13のガンマおよびカッパ鎖をコードするDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。変性PCRに使用したオリゴヌクレオチドは、増幅DNAフラグメントの5'末端XhoIおよび3'末端EcoRI制限部位を含むように設計された。制限酵素消化に続き、免疫グロブリン鎖コードDNAを、クローニング部位の上流にマウス免疫グロブリンリーダー配列を含む構築植物発現ベクター(pMON 530)にライゲートした。組換えベクターをE. coli(DH5−α, Gibco BRL)形質転換に使用し、サザンブロッティングでスクリーニングし、本来のPCR生産物由来の放射標識DNAプローブを使用した。プラスミドDNAを陽性形質転換体から精製し、Agrobacterium tumefaciensに挿入した。
同様な研究を、ハイブリッドGuy's13重鎖の二つの形を構築するのに使用した。図1に示す合成オリゴヌクレオチドは、PCRで:(a)Cγ1ドメイン(J1−J5)の3'末端にGuy's13シグナル配列、(b)Cγ2ドメイン(J1−J2)の3'末端にGuy's13シグナル配列および(c)MOPC315ハイブリドーマ(J3−J4)由来のDNAの3'末端にCα2ドメインの5'末端領域を増幅するために使用した。フラグメントを精製し(Geneclean II, Bio101, LaJolla, CA)、1時間、37℃でHindIIIで消化させた。Guy's13フラグメントをMOPC315フラグメントにT4DNAリガーゼ(Gibco, BRL)で、16℃で16時間ライゲートし、反応混合物のアリコートを、Guy's13(J1)の5'末端オリゴヌクレオチドおよびMOPC315(J4)の3'末端オリゴヌクレオチドを使用した、更なるPCRの鋳型DNAとして使用した。増幅DNAフラグメントを精製し、上記のようにpMON530ベクターにライゲートした。この方法で使用したベクターは、予め挿入されたマウスリーダー配列を有せず、この場合は、天然Guy's13リーダー配列をコードするDNAをPCR増幅に含んだ。
約6mm直径の葉ディスクを表面滅菌タバコ葉(Nicotiana tabacum, var. xanthii)から切り、一晩、28℃で、免疫グロブリンcDNA挿入体含有組換えA. tumefaciensの培養と共にインキュベートした。このディスクを新芽の再生を誘発する、カナマイシン(200mg/l)およびカルベニシリン(500mg/l)添加培地を含む培養プレートに移した。この段階後の新芽発育を切除し、カナマイシン(200mg/l)を添加した根誘発培地に移植した。発根小植物を、根の出現のできるだけ直後に土壌に移植した。植物を、下記のように、免疫グロブリン鎖発現についてスクリーニングした。重鎖を発現したものは、軽鎖を発現したものと、交差授粉により交配させた。得られた種子を土壌に蒔き、発芽させた。22トランスジェニック植物が、ELISAで測定して、軽または重鎖構築物を伴って形質転換体から再生した。軽および重鎖分泌植物の交差は、カッパおよびガンマ鎖を共に発現するF1植物3/10、カッパおよび植物G1/A重鎖を両方発現する植物4/17およびカッパおよび植物G2/A重鎖を両方とも発現する植物3/8をもたらした。
植物中でのGuy's13モノクローナル抗体発現の3つの異なる形は、従って、全て、同一な軽(カッパ)鎖であるが、異なる重鎖を含む。これらは、この報告を通して、以下(図1)のように略する:本来のガンマ重鎖のGuy's13IgG、植物G13、var−γ1−γ2−α2−α3ドメインを含むIgG/IgAハイブリッド重鎖のGuy's13、植物G2/A。陽性対照として使用するGuy's13ハイブリドーマ細胞培養上清をマウスG13と略す。陰性対照植物は、無関係マウスタンパク質をコードする挿入体を含むpMON530ベクターで形質転換したものである。
ガンマ、カッパまたはガンマ/アルファ鎖ハイブリッドの製造をELISAで検出した。マイクロタイターウェルを、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8)(TBS)中のヤギ抗マウス重または軽鎖特異的IgG(Fisher, USA;Sigma, GB;Nordic Pharmaceuticals, GB)で覆った。ブロッキングは、TBS中の5%脱脂粉乳で4℃で一晩行った。植物葉をTBS中で、ロイペプチン(10μg/ml)(Calbiochem, USA)と共に均質化した。上清を連続2倍希釈でマイクロタイタープレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。0.05%トゥイン20含有TBSで洗浄後、結合免疫グロブリン鎖を適当な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス重または軽鎖特異的抗体(Fisher;Sigma;Nordic Pharmaceuticals)で、2時間、37℃で検出した。検出は、2,2'−アジノ−ジ(3−エチル−ベンズチアゾリン−スルホネート)(Boehringer, FRG)で行った。
同様な検定を使用して、マウスおよび植物Guy's13抗体の濃度の測定を行った。これらを、既知の濃度で使用したマウスIgG1(MOPC21)およびマウスIgA mAb(TEPC21)(Sigma)と比較した。ELISAプレートを抗マウスカッパ抗血清で覆った。ブロッキング後、結合抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスガンマまたはアルファ抗血清で検出した。抗体濃度を、各抗体の結合曲線を比較して測定した。
ELISAをまた集合抗体の結合機能測定の検出に使用した。SA I/IIへの結合を、2μg/mlの最適濃度の精製SA I/IIで覆ったマイクロタイタープレートを使用して検出した。ELISA法は上記の通りである。S. mutansまたはE. coli細胞を結合する能力は、静止期まで18時間、37℃で成育させ、固定した無傷細胞(株Guy's c、S. mutansおよびDH5−α、E. coli)を使用して検出した。全ての抗体溶液を1.5μg/mlの最初の濃度に調節し、連続2倍希釈で使用した。Guy's13重または軽鎖を単独に発現する植物の抽出物でまたこの検定を行い、単一免疫グロブリン鎖が抗原結合活性を示すか否か測定した。細胞または精製SA I/IIに結合する抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス軽または重鎖抗血清(Nordic Pharmaceuticals)を使用して検出した。この結果は、3つの別の検定の二つの結果の平均±標準分散として示す。
競合ELISAは、精製SA I/IIで覆ったマイクロタイタープレートで、上記のように行った。プレートを、1.5μg/mlのGuy's13ハイブリドーマ上清の植物抽出物および連続二倍希釈で、37℃で1時間および4℃で一晩行った。洗浄後、125I−標識マウスGuy's13を添加し、2時間37℃でインキュベートを続けた。プレートを再び洗浄し、結合放射活性をガンマカウンター(Hydragamma16,Innotec, GB)で計数した。結果を標識マウスGuy's13の阻害%として示し、100%はブロッキング溶液を添加していないウェルからの放射活性計数である。
葉均質物の10μlのアリコートを、還元および非還元条件下で、75mM トリス−HCl(pH6.8)、2%SDSと共に沸騰させた。10%アクリルアミドのSDS−PAGEを行い、ゲルをニトロセルロースにブロットした。ブロットを16時間、0.05%トゥイン20および1%脱脂粉乳含有TBS中でインキュベートし、続いてヤギ抗マウスIgG1、カッパ(Nordic Pharmaceuticals)またはアルファ鎖特異的抗血清(Sigma)と2時間、37℃でインキュベートした。洗浄後、2層抗体、アルカリホスファターゼ結合ウサギ抗ヤギIgG(Sigma)を2時間、37℃で適用した。抗体結合を、300μg/mlニトロブルーテトラゾリウムおよび15p μg/ml 5−ブロモ−5−クロロ−3−インドリルホスフェート(Promega)とのインキュベーションにより検出した。
各クローン免疫グロブリン遺伝子挿入体のDNA配列は、PCR増幅またはクローニング工程中に変異が起こっていないことを確認する。λ/γハイブリッド重鎖のHindIII部位の挿入は、植物G2/AのCγ2およびCα2ドメインの間のロイシン残基および植物G1/AのCγ1およびCα2ドメインの間のロイシン−リジン残基の予定された挿入をもたらす。植物G2/A構築物の付加Cγ2ドメインは、重鎖の長さを141アミノ酸残基(約12000Da)まで増加させる。予定の植物G1/A重鎖は、天然Guy's13重鎖より、33アミノ酸まで、約3000Da大きい。
E. coliの陽性形質転換体から精製されたプラスミドDNAを配列決定した。免疫グロブリン遺伝子挿入体を切除し、Bluescript(Stratagene, USA)にサブクローンした。DNA配列を、ジデオキシ末端法(Sequenase, USB, USA)で測定した。
これらの代表的F1子孫植物由来の抽出物のウエスタンブロット分析は行われ、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131-138(1994)の図2に報告されている。還元条件で流したサンプルは、マウスGuy'13ならびに3つのトランスジェニック植物での約25Kdの所の軽鎖の存在を証明するが、対照植物にはなかった。Guy's13重(ガンマ)鎖はまた植物G13の約57Kdの所で検出されるが、対照植物抽出物ではなかった。単一タンパク質種は検出され、Guy's13抗体細胞培養上清を製造するハイブリドーマと異なり、2つのタンパク質種が矛盾しない発見であった。マウス重鎖の分子サイズの差異は恐らく糖付加差異によるものであり、この結果は、植物中で二つの重鎖が同じ方法で糖付加され得ることを示す。
植物G1/AおよびG2/Aの重鎖を、抗アルファ鎖抗血清で検出する。マウスGuy's13重鎖(約57Kd)と比較して、植物G1/Aの重鎖は僅かに大きい相対的分子質量(約60Kd)を有し、植物GA/2重鎖はより大きい(約70Kd)。これは配列分析で予期される分子量と一致する。幾つかの他のタンパク質種はトランスジェニック植物抽出物質で検出された。これらは、対照トランスジェニック植物からの抽出物で結合が検出されかったため、軽/重鎖複合体または重鎖のタンパク質分解フラグメントであるようである。抗アルファ鎖抗血清は、ガンマ鎖ドメインのみを含むマウスGuy's13と交差反応しなかった。
サンプルをまた非還元条件でも流し、免疫グロブリン分子中への重および軽鎖の集合を確認し、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131-138(1994)に報告されている。検出は、標識抗カッパ抗血清と行われ、全ての3つのトランスジェニック植物は、完全長抗体の上記150Kdの正しいMrで集合免疫グロブリンを有した。植物G13抗体は、マウスG13と同じMrを有するが、植物G2/Aおよび植物G1/A抗体は予測したように、高いMrを有した。多くの小さいタンパク質分解フラグメントもまた検出され、それは先の発見および多くのプロテアーゼが抗体抽出工程中に遊離される事実と一致する。これらの抗体フラグメントは、対照植物抽出物における検出可能バンドの欠失により確認される。
免疫グロブリンを製造する10個の植物を全部で製造し、植物抽出物中の免疫グロブリンの濃度は1から10μg/ml(平均4.5μg/ml)の間で変化した。この研究で使用したマウス抗体および代表植物について、ELISAで測定した濃度は:マウスIgG−15.4μg/ml、植物IgG−7.7μg/ml、植物G1/A−1.5μg/mlおよび植物G2/A−2.1μg/ml。ハイブリッド重鎖を含む植物抗体について測定した濃度は、使用した標準mAb IgAと比較して、定常領域決定基の全ては有しないため、恐らく少なく見積もられる。
植物抗体はまたMa et al., Eur. J. Immunol., 24:131-1387(1994)(S. mutans血清型c)の図5に示されるように、連鎖球菌細胞表面の天然抗原も認識し、更に植物抗体の抗原結合部位の無傷さを確認する。異なる抗体の結合部位で明白な差はなかった。対照からのまたは重または軽鎖のみを発現する植物からの抽出物は、S. mutans細胞への結合を示さなかった。1.0および0.5μg/mlの濃度で、植物抽出物のE. coli細胞への結合はなかった。
植物抗体は、SA I/IIへの結合について、本来のマウスGuy's13 mAbと競合する。125I−標識マウスGuy's13 mAbのSA I/IIへの結合の85%までの阻害が、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131-138(1994)の図6に示されるように、植物抗体を使用して証明された。前記のように、植物抗体の阻害力価曲線は互いに類似であり、マウスGuy's13のものと同等であるが、対照植物抽出物は阻害しなかった。
細菌のGuy's13抗原結合領域を有する植物で製造された免疫グロブリンの活性は、Ma et al., Eur. J. Immunol., 24:131-138(1994)の図7で測定および報告されている。植物抽出物は、0.22μm孔サイズフィルターを通した濾過により滅菌し、Todd Hewittブロスで10倍希釈した。サンプルにS. mutans一晩培養物の0.05容量を接種し、37℃で一晩インキュベートした。サンプルをグラム染色し、油浸顕微鏡観察下に試験した。マウスGuy's13、植物Guy's13、植物G1/Aまたは植物G2/A存在下で成育したS. mutansは凝集し、細胞クランピングが明らかであった。しかしながら、対照植物抽出物は、S. mutans成育に何ら影響を与えなかった。8、12および16時間での生存生物の培養により測定し、植物mAbはS. mutansの成長速度に影響は与えなかった。この結果は、植物抗体が、抗原結合領域を正確に集合させているだけでなく、抗体分子が抗原に二価的に結合することも証明する。
4種のトランスジェニックタバコ植物を生育させ、(1)Guy's13軽鎖の抗原結合部位を有するマウスモノクローナル免疫グロブリンカッパ鎖、(2)Guy's13重鎖のCγおよびCα鎖ドメイン並びに抗原結合部位を含むハイブリッドIgA/Gマウス免疫グロブリン重鎖、(3)マウスJ鎖および(4)ウサギポリ免疫グロブリン受容体のアミノ酸1−606を含み、ウサギポリ免疫グロブリン受容体のアミノ酸627−675を含まない防御タンパク質を発現させた。実施例1参照。これらの植物間の連続的交配は、子孫植物における全ての4つのタンパク質鎖の同時発現をもたらした。ある場合、戻り交配を、ホモ接合植物を製造するために使用した。4つの組換えポリペプチドは、約470,000Kdの防御タンパク質を含む機能的、高分子量免疫グロブリンに結合した。防御タンパク質の免疫グロブリンへの集合は、抗体単独を発現する植物を防御タンパク質を発現するものと交配した場合に、防御タンパク質の結合が検出されていないため、J鎖の存在に依存する。防御タンパク質を含む免疫グロブリンを発現する植物の顕微鏡評価は、単一細胞中の防御タンパク質および免疫グロブリン重鎖の同時発現を証明した。単一細胞は、トランスジェニック植物中で防御タンパク質を有する免疫グロブリンを製造できるが、2つの細胞は、哺乳類で分泌型免疫グロブリンの天然の製造に必要である。結果は、組換えサブユニットを発現するトランスジェニック植物の交配が、受動免疫治療用防御タンパク質の大規模製造にならびに他の複合体タンパク質分子の発現に適していることを証明する。防御タンパク質を含む免疫グロブリンは、Smith, R.&Lehner, T. Oral Microbiol. Immunol. 4, 153-158(1989)に示される用に、経口連鎖球菌の細胞表面粘着分子SA I/IIを特異的に認識するGuy's13モノクローナル抗体由来の重および軽鎖抗原結合ドメインを有する。重および軽鎖のみを含むこのタイプのトランスジェニック免疫グロブリンは、実施例6に記載のように、Nicotiana tabacum植物で製造されている。コード長cDNAを含むマウスJ鎖構築物を、Matsuuchi, L., Cann, G. M.&Koshland, M.E. PNAS 83, 456-460(1986)に記載のように、マウスJ鎖のN末端MKTHLLおよびC末端SCYPDに対応する合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅した。この増幅ヌクレオチド配列を、カリフラワー・モザイク・ウイルスの35Sプロモーターを含み、Rogers, S. G., Klee, H. J. Horsch, R. B.&Fraley, R.T. Meth. Enzymol. 153, 253-2796(1987)に記載されている構造的植物発現ベクター、pMON530にライゲートした。タバコ葉組織を、前実施例に記載のように組換えプラスミドを含むアグロバクテリウムを使用して形質転換した。再生植物を、J鎖をコードするメッセンジャーRNAの製造についてスクリーニングし、陽性形質転換体を、ホモ接合子孫を製造するために自家授粉した。J鎖発現植物を最初に、キメラ免疫グロブリン重鎖およびカッパ鎖を発現するものと交配した。キメラ免疫グロブリン重鎖を発現する植物由来の植物抽出物の、抗カッパ抗血清による、非還元条件下でのウエスタンブロット分析は、本来のIgG1抗体と比較して、キメラ免疫グロブリン重鎖に存在する余分な定常領域の存在と一致する、約210Kdのタンパク質種を明らかにした。免疫グロブリンを発現する植物とJ鎖植物の間の交配は、相対的分子量約400Kdの約2倍の主要免疫グロブリンバンドの存在をもたらし、3ポリペプチドの集合が2量体免疫グロブリン(dIgA/G)を発生させることを証明した。
以下の方法は、本実施例の免疫グロブリンの製造および分析に使用した。
i)トランスジェニックNicotiana tabacum中の抗体集合
葉切片を、ロイペプチン(10μg/ml)含有150mM NaCl、20mMトリス−HCl(pH8)(TBS)中で均質化した。抽出物を、非還元条件下で、75mMトリス−HCl(pH6.8)、2%SDS中で3分沸騰させ、4%アクリルアミドのSDS−PAGEを行った。ゲルをニトロセルロースにブロットした。ブロットを2時間、TBS中で、0.05%トゥイン20および1%脱脂粉乳と共に2時間インキュベートし、続いて、適当な抗血清と共に、2時間、37℃でインキュベートした。洗浄後、第2層アルカリホスファターゼ結合抗体を2時間37℃で適用した。抗体結合を、300mg/mlニトロブリーテトラゾリウムおよび150mg/ml5−ブロモ−4−クロロ3−インドリルホスフェートとのインキュベーションにより検出した。
これらの抽出物を、ウエスタン分析を使用して分析し、免疫グロブリンが免疫グロブリン分子に集合しているか否かを測定し、ウエスタンブロット分析は、非還元条件下で製造した植物抽出物で、抗カッパ抗血清(Bradsure, UK)および防御タンパク質を特異的に認識する抗血清で行った。植物中で作られる免疫グロブリンを、Smith, R.&Lehner, T. Oral Microbiol. Immunol. 4, 153-158(1989)記載のモノクローナルIgG1 Guy's13免疫グロブリンと比較した。
ウエスタン分析を、還元条件下で製造した各植物抽出物について行い、免疫グロブリンの個々のタンパク質成分を同定した。種々の植物抽出物のサンプルを、前記の様に、だたし5%β−メルカプトエタノールを添加して、製造した。10%アクリルアミド中のSDS−PAGEを行い、ゲルのタンパク質をニトロセルロースに移した。個々のタンパク質を、抗マウスγ1重鎖(Sigma, UK);抗マウスカッパ鎖(Bradsure, UK);または防御タンパク質を特異的に認識する抗血清、続いて適当なアルカリホスファターゼ結合抗体を使用して検出した。
トランスジェニック植物抽出物のウエスタン分析を上記ii)に記載のように行った。防御タンパク質を含む免疫グロブリンを発現する植物由来の植物抽出物を非還元条件下および還元条件下でSDS−PAGEに付し、タンパク質をニトロセルロースに移した。免疫グロブリン成分を、抗カッパ抗血清または防御タンパク質を特異的に認識するヒツジ抗血清、続いて、適当なアルカリホスファターゼ標識2°抗体で検出した。
植物が抗原特異的免疫グロブリンを製造することを証明するために、精製連鎖球菌抗原(SA)I/IIに結合する植物抽出物を、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗カッパ鎖抗血清で検出して、測定した。抗原特異的免疫グロブリンにおける防御タンパク質の存在を、防御タンパク質に免疫特異的なヒツジ抗血清、続いてアルカリホスファターゼ標識ロバ抗ヒツジ抗血清で検出して、精製連鎖球菌抗原I/IIおよび連鎖球菌細胞に結合する植物抽出物により証明した。抗原特異的免疫グロブリンのこれらの試験を、TBS中の精製SA I/II(2μg/ml)または炭酸水素緩衝液(pH9.8)中の対数増殖期Strep, mutans(NCTC 10449)で覆ったマイクロタイタープレートで行った。ブロッキングを、TBS中の5%脱脂粉乳で、室温で2時間行った。植物葉を10μg/ml中のロイペプチン(Calbiochem, USA)と、TBS中で均質化した。マウスGuy's13ハイブリドーマ細胞培養上清(IgG)を陽性対象として使用した。上清を連続二倍希釈でマイクロタイタープレートに添加し、室温で2時間インキュベーションした。0.05%トゥイン20含有TBSで洗浄後、結合免疫グロブリン鎖を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス軽鎖特異的抗体(Nordic Pharmaceuticals, UK)またはヒツジ抗SC抗血清、続いてアルカリホスファターゼ標識ロバ抗ヒツジ抗体で、2時間、室温で検出した。2,2'−アジノ−ジ−[3−エチル−ベンズチアゾリン−スルフォネート](Boehringer, W. Germany)でHRPO結合抗体またはジナトリウムp−ニトロフェニルホスフェート(Sigma, UK)でアルカリホスファターゼ抗体を検出した。
防御タンパク質を含む免疫グロブリンを発現するトランスジェニック植物および対照Nicotiana tabacumの光顕微鏡写真を、マウスα鎖の免疫金(immunogold)を使用して製造した。簡単に、葉片を2mm×10mm切片に切断し、100mMリン酸ナトリウム(pH7.4)中の3%(w/v)パラホルムアルデヒド、0.5%(w/v)グルタールアルデヒド、5%(w/v)シュークロースに固定した。無水エタノールで脱水後、葉切片をキシレンで浸透させ、パラフィンに埋め、3mm切片に切り、スライドガラス上に、免疫化学染色のためにのせた。葉切片を一次抗体、親和性精製ウサギ抗マウスアルファ鎖(A/Gハイブリッド重鎖と反応する)またはヒツジ抗ウサギSCと、次いで二次抗体;ヤギ抗ウサギ10mn金またはウサギ抗ヒツジ10mn金とインキュベートした。免疫金シグナルを銀促進により強めた。植物を、位相差および明視野顕微鏡の両方を使用して、同じ葉横断切片を見た。防御タンパク質の連続領域中の免疫局在化を、免疫グロブリンとして重鎖の細胞性局在化を示すために使用した。分析を以下の細胞および細胞区画で行った:海綿状葉肉組織細胞、表皮細胞、細胞間隙、さく状柔組織細胞および維束管。
防御タンパク質を含む免疫グロブリンを製造する植物の植物片(葉、幹、花、根または組み合わせ)を均質緩衝液(緩衝液2ml/植物材料g;均質緩衝液:150mM NaCl、20mMトリス−Cl、pH7.5)と混合し、Waring混合機を使用してパルプまで均質化し、10,000×gで遠心し、破片を除いた。次いで、上清を等量のHPLCグレード酢酸エチルで室温で振ることにより抽出し、続いて10,000×gで遠心した。水相を他の容器に移し、残っている酢酸エチル水相から、溶液を真空下に置くことにより除去した。得られた粗抽出物は、決まりきって防御タンパク質を有する免疫グロブリン100μg/mlを含んだ。この方法は、防御タンパク質を含む植物で有用である。
乳鉢および乳棒またはPolytronを含む均質化のための多くの方法が使用され、冷してまたは室温で行うことができる。
抽出物は、ヘキサンまたは他の有機溶媒での抽出による脱脂により更に精製し得る。脱脂は植物抽出物から有用な生産物を得るのに必須ではないが、最終生産物が防御タンパク質を有する精製免疫グロブリンである場合は有利である。多くの場合、粗抽出物が、更なる精製または富化なしに、使用するのに充分な高い量(即ち、100μg/mL)の防御タンパク質を有する免疫グロブリンを含む。経口投与のために、抽出物は通常、香味剤および安定化剤と混合して使用する。歯への使用のために、抽出物は、加えて、ゲル化試薬と混合して、抽出物の歯への接触を持続する。胃投与において、香味抽出物を直接飲む。
粗植物抽出物の2つのセットを上記のように製造した。第1の抽出物はIgG1抗体を発現する植物由来および第2の抽出物は防御タンパク質を発現する植物由来であった。植物由来のこのタイプの粗植物抽出物は種々のタンパク質分解酵素を含むことが知られている。抽出物の室温または37℃での長時間のインキュベーションは、従って、タンパク質分解的消化を起こす。
ELISAを使用して、二つの抽出物中のガンマ−カッパ複合体の量を、室温および37℃で時間の関数として測定した。これらの検定において、抗カッパ鎖抗体をプレートをコートするのに使用し、続いて、37℃で1時間、植物抽出物とインキュベーションした。HRPOに結合した抗ガンマ鎖抗体を植物由来の免疫グロブリンの検出に使用した。抽出直後の抽出物に含まれる防御タンパク質を有する免疫グロブリンの量を100%として取った。室温で3時間後、IgG1を40%含み、防御タンパク質を含む免疫グロブリンを>95%含んだ。6時間後、残っているIgG1抗体は20%および豊富な防御タンパク質を含む免疫グロブリンはまだ>95%であった。12時間後、検出可能なIgG1は存在しなかったが、〜90%の防御タンパク質を有する免疫グロブリンが残っていた。豊富な防御タンパク質の有意(〜70%まで)の減少は、抽出物を製造して48時間後まで観察されなかった。
防御タンパク質を含む免疫グロブリンを構成する4つの鎖はまたインビトロ(細胞培養)またはインビボ(トランスジェニック動物)の他の細胞タイプでも発現できる。Manipulating the Mouse Embryo;A Laboratory Manual, B. Hogan et al., Cold Spring Habor Laboratory(1986)参照。トランスジェニック動物の場合、適当なベクターDNAの精製製造物を、10mMトリス、0.2mM EDTA、pH7.4中で2ng/μlの最終濃度に調整する。前核注入を、近交系動物から製造した接合体を使用して行う。次いで、注入卵を標準技術を使用して疑似妊娠雌に移入する。次いで、生存して生まれてきた動物をPCRおよびELISAのような通常使用されている多くの方法を使用して、トランスジーンの存在についてスクリーニングする。次いで、防御タンパク質を含む免疫グロブリンの異なる成分を発現する血統の仲間を多トランスジーン動物を製造するために交尾させる。次いで、これらの交配の子孫を、全4つの鎖を発現するものを同定するためにスクリーニングする。接合体注入に使用したベクタータイプに依存して、種々の細胞タイプが、防御タンパク質を含む完全免疫グロブリンを集合させるトランスジェニック動物で同定できる。これらのベクターDNAは、特定細胞タイプまたは組織中でトランスジーンの転写を可能にする特異的プロモーター要素を含むことができる。各ベクターは、防御抗体(IgG/A、J鎖、防御タンパク質またはカッパ鎖)の単一成分を発現するかまたは一つ以上の成分を発現し得るこの場合、ベクターは、各トランスジーンの転写をさせるための適当な数のプロモーター領域および制限部位を含む。
細胞培養系中の全4つの鎖の発現は、各成分を個々に促進できるDNAベクターを使用して達成でき、そこから各成分を個々に促進できる。これは、同じベクターDNA上の発現カセット(プロモーター、多重クローニング部位およびポリアデニル化領域)を必要とする。あるいは、個々の細胞系を、各ベクターが細胞場で選択的耐性を付与する限り、一本鎖を発現する別の個々のベクターに連続移入できる。
pMAMneo(Clontech)のような通常入手可能なベクターが、多重発現または別の選択可能マーカーを発現するベクターのシリーズのいずれにも適することができる。
線維芽細胞のような真核細胞の形質導入は慣用法で行う。簡単に、細胞を形質導入の前日に1:20に分割し、125mM CaCl2、140mM NaCl、25mM Hepes、0.75mM NaHPO4、pH7.05および5μgDNA/10cm皿を使用して、約30%コンフルエントで形質導入する。DNAインキュベーションの16時間後、細胞を10%ジメチルスルフオキシドで3分間衝撃を与える。形質導入48時間後、細胞を抗生物質または他の細胞毒性試薬を含む適当な培地での成育による選択に付す。
得られる細胞は、防御タンパク質を含む免疫グロブリンのためのすべての成分を製造する。これらの成分は、防御タンパク質を含む機能的免疫グロブリンを製造するために適切に集合する。
ウサギポリ免疫グロブリン受容体の細胞質ドメインのセグメントをコードするセグメントに融合した防御タンパク質の構築物を下記のように製造する。シグナル配列(MET−18)からGLU606の第1アミノ酸をコードする防御タンパク質cDNAを、Bgl II−Xho IフラグメントとしてpMOBN530ベクター(Bgl IIおよびXho Iで消化した)のような植物発現ベクターにライゲートする。この防御タンパク質誘導体を、それぞれウサギポリ免疫グロブリン受容体の残基−18から−13および残基601から606をコードするDNAに相補的でもあるBgl IIまたはXho I認識配列を含む適当なオリゴヌクレオチドプライマーを使用したPCR増幅により得る。MET−18からALA628をコードする防御タンパク質cDNAを得るために、Xho部位を含むオリゴヌクレオチドがまた残基623から628をコードする防御タンパク質cDNAに相補的でもある以外、同じ方法を行う。
ウサギポリ免疫グロブリン受容体細胞質ドメインフラグメントをコードするcDNAは、またXho IフラグメントとしてPCR増幅により得られる。用いるオリゴヌクレオチドは、両方ともXho I認識配列を含むARG653からALA755をコードするDNAに相補的である。次いで、このフラグメントを上記の防御タンパク質cDNAのいずれかを含むpMON530ベクターにライゲートする。細胞質ドメインcDNAの適当な方向を、制限消化および形質転換細菌コロニーから得たプラスミドの配列分析により決定する。
PCR増幅に使用するオリゴヌクレオチドは、得られるcDNAが枠内であり、防御タンパク質および細胞質ドメインの両方を含む連続的融合タンパク質として翻訳されることができることを確実にするために、適当な数のヌクレオチドを含む。
適当な方向の得られる構築物は、植物細胞中での発現を可能にするDNAセグメント(プロモーター)に操作可能に結合した、機能的膜通過セグメント無しに直接ポリ免疫グロブリン受容体細胞質ドメインに融合した防御タンパク質をコードする。構築物は、Xho I制限部位の挿入に由来し、防御タンパク質と細胞質ドメインのリンカーとして作用する2つの付加アミノ酸(SER−TRP)を高度する。
次いで、これらのベクターは、前記のようにAgrobacteriumの形質転換に使用し、次に植物細胞の形質転換に使用する。上記実施例の記載と同じ技術が、免疫グロブリンの一部として本タンパク質を発現する植物の製造に使用できる。
Claims (1)
- 少なくとも抗原結合ドメインの部分を有する免疫グロブリン由来重鎖と会合した防御タンパク質を含み、かつ植物内で産生されている、免疫グロブリン。
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