JP2008191655A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジアミン成分に3,5−ジアミノベンジル=シンナメートの如きジアミンを用いて得られたポリアミック酸またはそのイミド化重合体を含有する液晶配向剤。
【選択図】なし
Description
また、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
このような液晶表示素子らは、テレビやインフォメーションパネルなどに使用される事があり、長時間使用した場合でも電気特性が変わらないなどパネルの信頼性への要求が更に厳しく求められつつある。本発明の目的は、高い電圧保持率を示し、また電圧保持率の信頼性に優れた配向剤を提供することとする。
(A)テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を反応させて得られるポリアミック酸および/またはそのイミド化重合体並びに
(B−1)分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物、または、
(B−2)分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物と分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物との組合せ、
を含有することを特徴とする液晶配向剤により達成される。
本発明の液晶表示素子は、種々の装置に有効に使用することができ、例えば、卓上計算機、腕時計、置時計、携帯電話、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。
本発明では、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を重付加反応させて合成されたポリアミック酸および/または前記ポリアミック酸をイミド化して得られるイミド化重合体100重量部に対して、分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物は0.01〜100重量部で用いられる。また、反応開始の早いエポキシ化合物を添加することによりオキセタン化合物の反応を加速できることから、分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物と分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物を総量で0.01〜100重量部で用いることもできる。分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物としては下記式(イ)、(ロ)および(ハ)のそれぞれで表される化合物が好ましく用いられる。下記式(イ)で表される化合物は、分子中に2個のオキセタニル環を有する化合物である。
上記式(イ)においてRaは水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基、Rbは、炭素原子数1〜20の線状又は分岐状飽和炭化水素基、炭素原子数1〜20の線状又は分岐状不飽和炭化水素基、フェニレン基、炭素原子数1〜20の線状又は分岐状多価アルコール基、N原子を含む芳香族基、カルボニル基、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)のそれぞれで示される芳香族炭化水素基、式(VII)及び(VIII)のそれぞれで示されるカルボニル基を含む芳香族炭化水素基から選択される2つの原子価を持った基であるのが好ましい。
分子内に2個以上のオキセタン環を有する化合物と併用される、分子内に2個以上のエポキシ基を有するこれらの化合物は、分子内に2個以上のオキセタン環を有する化合物100重量部に対し0.01〜100重量部で用いるのが好ましい。
本発明の液晶配向剤(以下、「液晶配向剤」ともいう)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を重付加反応させて合成されたポリアミック酸および/または前記ポリアミック酸をイミド化して得られるイミド化重合体からなる液晶配向剤であって、上記重合体総量100重量部に対して、分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物を好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜70重量部、特に好ましくは1〜50重量部、または、分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物及び分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物を好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜70重量部、特に好ましくは1〜50重量部を含有する。
以下、本発明に用いることのできるポリアミック酸、ポリイミドの製法について述べる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸および/または前記ポリアミック酸をイミド化して得られるイミド化重合体としては、例えば、以下に記載するテトラカルボン酸二無水物を原料として合成される。
本発明の液晶配向剤がTN方式、STN方式、OCB方式、VA方式に用いられる場合、本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸および/またはイミド化重合体の合成に使用されるジアミン化合物には下記式(10)または下記式(11)で表されるプレチルト角発現成分を用いることが好ましい。
これらのプレチルト角発現成分を有するジアミンは1種単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
本発明の液晶配向剤がVA方式に用いられる場合は、優れた液晶の垂直配向性を発現することから、上記プレチルト角発現成分を有するジアミンのうち、式(14)、(15)のそれぞれで表わされる化合物を用いることが特に好ましい。これらのジアミンの割合は、全ジアミンに基づいて、好ましくは8〜60モル%、より好ましくは9〜50モル%、特に好ましくは10〜25モル%である。
本発明の液晶配向剤に用いる重合体の合成に使用される上記プレチルト角発現成分を含有するジアミン化合物以外のジアミン化合物としては、例えば、以下のジアミンを挙げることができる。
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、および下記式(19)、(20)のそれぞれで表される化合物の如く、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、などの脂肪族および脂環式ジアミン;下記式(21)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
本発明のポリアミック酸の合成反応に使用されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.5〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量となる割合である。
本発明の液晶配向剤に用いられるイミド化重合体は、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより合成することができる。ここで言うイミド化重合体には、上記ポリアミック酸を部分的にイミド化した部分イミド重合体および100%イミド化した重合体が含まれ、以下、これらを総称して『イミド化重合体』と記載する。
本発明の液晶配向剤に用いられるイミド化重合体における好ましいイミド化率は、10〜100%、更に好ましくは20〜95%、特に好ましくは45〜90%である。ここで、「イミド化率」とは、重合体における繰り返し単位の総数に対する、イミド環を形成してなる繰り返し単位の数の割合を%で表したものとする。この時、イミド環の一部がイソイミド環であっても良い。
上記(I)ポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜300℃であり、より好ましくは100〜250℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が300℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(ii)で示される式により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 −−−−−−(ii)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、ジカルボン酸一無水物が挙げられ、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、p−エチルアニリン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
本発明の配向剤に使用する重合体は、10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの粘度を持つものであることがより好ましい。
なお、重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、固形分濃度10重量%に希釈した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を重縮合反応させて合成したポリアミック酸および/または前記ポリアミック酸をイミド化して得られるイミド化重合体、オキセタン化合物またはそれとエポキシ化合物とが、通常有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
発明に使用させる重合体としては(A)1種以上のポリアミック酸単独、(B)1種以上のイミド化重合体、(C)ポリアミック酸とイミド化重合体の混合物を挙げることができる。これらのうち、電圧保持率、耐焼付き性(残留DC)などの特性が良好となる理由から、(B)1種以上のイミド化重合体および(C)ポリアミック酸とイミド化重合体の混合物を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
なお、特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
垂直配向型液晶表示素子の垂直配向性は電圧OFF時および交流12V(ピーク−ピーク)での液晶表示素子を観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判断した。
液晶表示素子に温度60度で5Vの電圧、60マイクロ秒の印加時間、1670ミリ秒のスパンで印加した際、5V印加解除から1670ミリ秒後の保持電圧を、(株)東陽テクニカ製VHR−1を用いて測定した。この際に液晶としてネガ型MLC−2038(Merck社製)を用いた。
垂直配向型液晶表示素子の耐熱性は素子を高温(100℃)、湿度50%RHに10日間放置し、電圧をオン・オフさせた時に液晶セル中の異常ドメインの認められないことを確認した。
液晶配向剤の信頼性は、垂直配向型液晶表示素子に直流6.0V、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を60℃の環境温度で150時間印加した後、電圧をOFFとし、残像が消去したのちに、ムラなく、均一に垂直配向しているか目視により確認した。さらに、高温試験前後の電圧保持率について比較を行った。
テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20g(0.091モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン7.9g(0.073モル)および上記式(15)で表されるジアミン化合物9.1g(0.018モル)を、N−メチル−2−ピロリドン150gに溶解させ、60℃で4時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液を小量分取し、NMP(N−メチルピロリドン)を加えて固形分濃度10重量%の溶液で粘度を測定したところ、60mPa・sであった。得られたポリアミック酸をN−メチル−2−ピロリドン350gを追加して溶解させ、ピリジン14gおよび無水酢酸19gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなγ−ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、固形分濃度10重量%時(γ−ブチロラクトン溶液)の溶液粘度58mPa・s、イミド化率約53%のイミド化重合体(これを「重合体P−1」とする)溶液約240gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22g(0.10モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン9.9g(0.091モル)および上記式(15)で表されるジアミン化合物5.4g(0.011モル)を、N−メチル−2−ピロリドン150gに溶解させ、60℃で4時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液を小量分取し、NMPを加えて固形分濃度10重量%の溶液で粘度を測定したところ、48mPa・sであった。得られたポリアミック酸にN−メチル−2−ピロリドン350gを追加しに溶解させ、ピリジン16gおよび無水酢酸20gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなγ−ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、固形分濃度10重量%時(γ−ブチロラクトン溶液)の溶液粘度45mPa・s、イミド化率約51%のイミド化重合体(これを「重合体P−2」とする)溶液約230gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20g(0.09モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン8.0g(0.073モル)および上記式(14)で表されるジアミン化合物9.2g(0.018モル)を、N−メチル−2−ピロリドン150gに溶解させ、60℃で4時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液を小量分取し、NMPを加えて固形分濃度10重量%の溶液で粘度を測定したところ、65mPa・sであった。得られたポリアミック酸をN−メチル−2−ピロリドン350gを追加しに溶解させ、ピリジン14gおよび無水酢酸18gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなγ−ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度16重量%、固形分濃度10重量%時(γ−ブチロラクトン溶液)の溶液粘度63mPa・s、イミド化率約56%のイミド化重合体(これを「重合体P−3」とする)溶液約240gを得た。
合成例1で得られた重合体P−1とオキセタン化合物a(重合体100重量部に対し20重量部)を、N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶液(重量比50/50)に溶解させて、固形分濃度3重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、本発明の膜形成用組成物を調製した。
次に、厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、当該膜形成用組成物をスピンナーにより塗布し、200℃で60分間乾燥することで、乾燥膜厚0.06μmの被膜を形成した。
上記のようにして作製された垂直配向型液晶表示素子は、垂直配向性も良好であり、輝度による残像評価でも輝度差は少なく「残像良好」であった。電圧保持率では98.4%を示し、オキセタン化合物aを加えていない場合の電圧保持率は96.4%であることから添加剤を加えることにより向上が見られた。また、高温度下に置いた場合でも温度によって発生する配向ムラは観測されず良好な結果を示し、電圧保持率を恒温試験前後で比較したところ、オキセタン化合物を添加しない場合5%程度低下しているのに対して、添加した場合には1%程度の低下となった。従って、本実施例により作製された液晶表示素子によれば、垂直配向性、電圧保持率性に優れ、さらに高温下の信頼性が電圧保持率において優れていることが確認された。
合成例1〜3で得られた重合体P−1〜P−3のそれぞれと、オキセタン化合物のみ、またはオキセタン化合物及びエポキシ化合物とをN−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶剤(重量比50/50)に溶解させ固形分濃度3重量%の溶液を得、この溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、本発明の液晶配向剤を調製した。それぞれの組成を下記表1に示す。オキセタン化合物として実施例1、5、9ではオキセタン化合物a(重合体100重量部に対しそれぞれ20重量部)を用い、実施例2、6、10ではそれぞれオキセタン化合物b(重合体100重量部に対しそれぞれ20重量部)を用い、実施例3、7、11ではそれぞれ化合物d(重合体100重量部に対しそれぞれ20重量部)を用い、実施例4、8、12ではオキセタン化合物c(重合体100重量部に対しそれぞれ15重量部)及びエポキシ化合物(重合体100重量部に対しそれぞれ5重量部)とした以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、各種評価を行った。結果を下記表2に示す。
合成例1〜3で得られた重合体P−1〜P−3だけを用いるか、またはこれらの重合体のそれぞれとエポキシ化合物(重合体100重量部に対しそれぞれ20重量部)のみを溶解させるかしたこと以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、各種評価・試験を行った。結果を下記表2に示す。また、組成を表1に示した。
a:1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(OXT−121)
b:ジ[2−(3−オキセタニル)ブチル]エーテル(OXT−221)
c:OX−SC
d:PINOX−1009
エポキシ化合物
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
以上に示した様に本発明によって高い電圧保持率を示し、かつ電圧保持率の信頼性に優れる液晶配向剤および当該配向膜を有し、精彩な画面を具備する液晶表示素子を提供することが可能である。
Claims (5)
- (A)テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を反応させて得られるポリアミック酸および/またはそのイミド化重合体並びに
(B−1)分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物、または、
(B−2)分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物と分子内に2個以上のオキセタン環を含有する化合物との組合せ、
を含有することを特徴とする液晶配向剤。 - 少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物およびビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]テトラカルボン酸二無水物、下記一般式で表される化合物、
- 垂直配向性液晶配向膜を形成するために用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする液晶表示素子。
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