JP2008190961A - ピエゾ抵抗型加速度センサー - Google Patents

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JP2008190961A JP2007024646A JP2007024646A JP2008190961A JP 2008190961 A JP2008190961 A JP 2008190961A JP 2007024646 A JP2007024646 A JP 2007024646A JP 2007024646 A JP2007024646 A JP 2007024646A JP 2008190961 A JP2008190961 A JP 2008190961A
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Hiroyuki Hatano
弘之 秦野
Masakatsu Saito
正勝 斎藤
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

【課題】 オフセット電圧補正後に過度の衝撃が加わっても新たなオフセット電圧の発生
が起こらない、小型で薄型の3軸加速度センサーを提供する。
【解決手段】 ピエゾ抵抗型加速度センサー素子の、可撓部のピエゾ抵抗素子形成面側に
、枠部から錘部に至る溝と溝底面上に金属配線を形成し、金属配線上面をピエゾ抵抗素子
上の電気絶縁層上面より凹ませることで、加速度センサーに過度な衝撃が加わり可撓部が
規制板に衝突しても金属配線の変形が起こらず、新たなオフセット電圧の発生を防げる。
溝底面の端部は20度から80度の仰角もしくは俯角を持つ傾斜面で、ピエゾ抵抗素子面
と電気絶縁層上面に繋がっている。

【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車や航空機、家電製品、ゲーム機、ロボット、セキュリティーシステム
等に使用される加速度検出用のピエゾ抵抗型加速度センサーに関するものである。
加速度センサーは、自動車のエアーバッグ作動用の大きな衝撃力を検出する用途や、ブ
レーキ制御システムなどの車両制御用途向けの小さな加速度の検出に使用されてきた。こ
れらの自動車用途ではX軸、Y軸の加速度を測定するため1軸もしくは2軸機能で充分で
あった。最近は、携帯端末機器やロボット、人体動作の検出による各種制御等の新しい用
途向けに実用化が進んできている。このような新用途では3次元での動きを検出するため
X、Y、Z軸の加速度を測定できる3軸加速度センサーが要求されている。また、微小な
加速度を検出するために高分解能で、小型、薄型であることも要求されている。
加速度センサーは可撓部の動きを電気信号に変換する方法で、ピエゾ抵抗型、静電容量
型、圧電型に大別される。用途によって使い分けられるが、静止加速度の検出用途ではピ
エゾ抵抗型と静電容量型に絞られ、これら2つのタイプはシリコン基板に半導体技術やマ
イクロマシン技術により、立体的な構造を形成することにより小型で高感度の加速度セン
サーを一度に大量に製造できる。特に、ピエゾ抵抗型は構造および製造プロセスの構築が
し易く小型、薄型で低価格化に向いた加速度センサーである。また、可撓部の構造で、ダ
イアフラム型と梁型に大別される。電気信号の検出方法と可撓部の構造さらに、検出軸数
を組み合わせることで、種々の加速度センサーを得ることができる。
梁型のピエゾ抵抗素子型3軸加速度センサーに関しては、多数出願されている。特許文
献1から特許文献6で、錘部の形状や梁部の形状、ピエゾ抵抗素子の配置、ピエゾ抵抗素
子の接続方法、梁部と枠部の接合部の形状等が開示されている。図7に3軸加速度センサ
ーの分解斜視図、図8a)に図7のh−h’方向の断面図、図8b)に、センサーチップ
の平面図を示す。3軸加速度センサー20は、ケース1にセンサーチップ2と規制板3が
樹脂などの接着剤16で所定の間隔で固着されている。センサーチップ2のチップ端子4
はワイヤー5でケース端子6に接続され、センサーの信号は外部端子7から取り出す。ケ
ース1にはケース蓋8を例えば金錫はんだ等の接着剤17で固着し密封されている。セン
サーチップ2には、梁型3軸加速度センサー素子9が形成されている。梁型3軸加速度セ
ンサー素子9は、方形の枠部10と錘部11と対を成す梁部12で構成され、錘部11が
2対の梁部12で枠部10の中央に保持されている。梁部12にはピエゾ抵抗素子18が
形成されている。ピエゾ抵抗素子18は、一対の梁にX軸ピエゾ13とZ軸ピエゾ15が
、他の一対の梁にY軸ピエゾ14が形成され、金属配線(図示せず)で接続されている。
図8a)の錘部11の下面とケース1の内底面との間隔g4と、錘部11の上面と規制板
3の間隔g3は、衝撃の様な過度な加速度がセンサーに加わったとき、錘部11の動き量
を規制して梁部12の破損を防ぐものである。規制板3に、センサー素子の出力データ等
を処理するICチップを用いたIC規制板が実用化され、小型化と低価格化に貢献してい
る。
特開2003−172745号 公報 特開2003−279592号 公報 特開2004−184373号 公報 特開2006−098323号 公報 特開2006−098321号 公報 WO2005/062060A1
ダイアフラム型3軸加速度センサー素子のダイアフラム構造やピエゾ抵抗素子の配置方
法等が、特許文献7から9に開示されている。可撓部は円形や多角形をしたダイアフラム
の外縁を支持枠で支持し、ダイアフラムの内縁に錘を配している。外力で錘が変位すると
ダイアフラムに設けられたピエゾ抵抗素子が変形し、電気信号が得られるものである。梁
型3軸加速度センサー素子9に比べ、ピエゾ抵抗素子の配置の自由度が高いと言う利点が
ある。図8c)に、ダイアフラム型の3軸加速度センサー素子9’の平面図を示す。方形
の枠部10と錘部11と可撓部となるダイアフラム19で構成され、錘部11がダイアフ
ラム19の中央に保持されている。ダイアフラム19にはピエゾ抵抗素子の、X軸ピエゾ
13とY軸ピエゾ14、Z軸ピエゾ15が形成され金属配線で接続されている。本願の梁
型3軸加速度センサー素子とダイアフラム型3軸加速度センサー素子の基本的な構造はこ
れら特許文献と同じであるので、詳細説明は省略する。本願は、特に断りの無い限り、梁
型でピエゾ抵抗型の3軸加速度センサーで説明を行っている。そのため、可撓部を梁部と
言うこともあるが、可撓部と梁部は同義で使用している。
特開平3−2535号 公報 特開平6−174571号 公報 特開平7−191053号 公報
錘部11が外力を受けて動くと梁部12は変形する。梁部の変形度合いをピエゾ抵抗素
子の抵抗値変化として得ることで、外力がどの方向からどの程度の大きさで加速度センサ
ーに加わったかを知ることができる。しかし、ピエゾ抵抗素子の抵抗変化は微小であるた
め、梁部上に各軸当たり4個のピエゾ抵抗素子を配してフルブリッジ回路を構成し、微小
な抵抗変化を電圧変化として検出している。フルブリッジを構成している4個のピエゾ抵
抗素子の電気抵抗値が同じであれば、ブリッジからの出力は無い。しかし、実際には4個
のピエゾ抵抗素子間でピエゾ抵抗素子特性のばらつきや素子の寸法ばらつき、素子に加わ
る応力の違い等の種々の要因により、4個のピエゾ抵抗素子の抵抗値が異なるため、加速
度も加わらず梁も変形していない状態でブリッジの出力が出てしまう。この出力電圧を、
オフセット電圧と称する。オフセット電圧をキャンセルする様に、加速度センサーに付属
するマイコンに補正回路を設けオフセット値を記憶させて、オフセット電圧を略ゼロにし
て製品出荷されている。
加速度センサーに過度な衝撃を加える耐衝撃試験で、オフセット電圧が許容範囲を越え
るものが発生した。該加速度センサーを詳細に調査したところ、加速度センサーに加わっ
た過度な衝撃により梁部が規制板に衝突して、梁部に設けられた金属配線の一部が押し潰
された様に変形していた。金属配線が変形し断面積が変わり、それにより電気抵抗が変わ
ったためオフセット電圧が発生したものであった。また、過度な衝撃が加わった時に、I
C規制板の下面と配線が接触しラッチアップと言う現象を起こした。ラッチアップが発生
するとノイズの増大や誤動作を起こし、最悪ICチップの破損に繋がる。耐衝撃試験での
許容範囲を越えるオフセット電圧や、ラッチアップの発生比率は非常に低いものである。
市場で使われている加速度センサーの全てに過度な衝撃が加わることはないし、また加わ
る衝撃の大きさも様々である。市場で、衝撃によって金属配線が変形し許容範囲を越える
オフセット電圧やラッチアップが発生する不具合の発生率は、限りなくゼロに近いと考え
られる。しかし、1個でも不具合が発生することは信頼性の低下に繋がることであり、無
くすことが必要である。
可撓部が規制板に衝突しても金属配線の変形やラッチアップが発生しないように、電気
絶縁性を有する保護膜を金属配線上に形成することが考えられる。保護膜にはアルミナや
二酸化シリコンのような、硬くて電気抵抗の大きい材料を選択することができる。図9に
、保護膜を形成した金属配線部分の断面を示す。ピエゾ抵抗素子18が形成されたシリコ
ン21に電気絶縁層22を形成し、電気絶縁層22面に金属配線23を形成する。電気絶
縁層22はピエゾ抵抗素子18を湿気や外部イオンの影響から守り、金属配線23の線間
短絡を防ぐ。保護膜24を厚く付けると規制板3と接触しても、金属配線23の変形やラ
ッチアップは防げるが、保護膜24により可撓部の変形度合いが変わり、検出精度の低下
を招くことになってしまう。逆に、薄い保護膜では金属配線の変形を防ぐことができない
ばかりか、保護膜が破損しラッチアップを引き起こしてしまう。更に、破損した保護膜が
錘部11と規制板3間に入り込み、錘部の正常な動きを妨げる危険性がある。このことか
ら、金属配線23を硬い保護膜24で覆うことは避けることが好ましい。
本願発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、オフセット電圧補
正後に過度の衝撃が加わっても新たなオフセット電圧の発生とラッチアップが起こらない
、小型で薄型のピエゾ抵抗型加速度センサーを提供することを目的とする。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、枠部と、可撓部を介して枠部に保持される
錘部と、可撓部に設けられたピエゾ抵抗素子と枠部に設けられたチップ端子を接続する金
属配線からなるピエゾ抵抗型加速度センサー素子を有するピエゾ抵抗型加速度センサーで
あって、ピエゾ抵抗型加速度センサー素子のピエゾ抵抗素子形成面側の略全面に電気絶縁
層が形成され、少なくとも金属配線形成部の電気絶縁層には略コの字型断面形状の溝が形
成され、該溝の底面には少なくとも1本以上の金属配線が形成され、金属配線の上面が電
気絶縁層上面より凹んでいることが好ましい。
梁型と、梁の間が可撓材で連結されたダイアフラム型は、枠部と錘部、ピエゾ抵抗素子
の配置、金属配線の配置は略同じであるので、同じ可撓部として扱うことができる。本願
発明は梁型とダイアフラム型の加速度センサー何れにも適用できるものである。
電気絶縁層はピエゾ抵抗素子の保護と金属配線の線間短絡を防ぐために形成するので、
少なくともピエゾ抵抗素子形成部と金属配線形成部、チップ端子形成部には設けることが
必要である。しかし、前述形成部以外の領域に電気絶縁層を形成しても構わないものであ
る。幅の狭い梁部ではピエゾ抵抗素子形成部と金属配線形成部を除くと、殆んど空いてい
る領域は無い状態となるので、梁部全面に電気絶縁層を形成することで、レジストマスク
形成工程が省けるので製作面からは好ましい。また、梁部全面に電気絶縁層を形成するこ
とで不要な応力の発生を防ぐことができる。ダイアフラム型の梁と梁の可撓材全面にも、
電気絶縁層を形成することもできる。電気絶縁層形成のし易さから、ピエゾ抵抗素子形成
面側の略全面に電気絶縁層を形成することが好ましいものである。
電気絶縁層を通して湿気や外部のイオンがピエゾ抵抗素子に達しないように、緻密で欠
陥のない膜である必要がある。また、比抵抗の高い材料を使うことで膜を薄くすることが
できる。梁部の主材であるシリコンと熱膨張係数が近い材料を用いることも重要である。
熱膨張係数に大きな差が生じると、加速度センサーの環境温度が変化したとき、バイメタ
ル現象により梁が変形し大きなオフセット電圧が発生するためである。また、膜厚や膜質
を制御し易い、スパッターやCVDで製膜可能な膜が好ましい。これら条件を加味し、二
酸化シリコン(>1014Ω・cm)、窒化シリコン(>1014Ω・cm)、アルミナ
(>1014Ω・cm)、ジルコニア(1013Ω・cm)等の材料とすることができる
。また、これらの材料を積層した膜を用いることもできる。
電気絶縁層上に形成する溝の断面形状は略コの字型とすることが好ましい。略コの字と
は、溝底面が曲面や凹凸ではなく平らで、溝底面の両側に壁面を有しているものである。
溝幅は、溝底面より溝上面を同等以上としオーバーハング形状にならないようにする必要
がある。溝側壁がオーバーハング形状では、後工程でのレジスト塗布時に塗布ムラが発生
する。また、スパッターで金属膜や酸化膜を成膜時に、オーバーハング部で膜厚が薄くな
ったり不連続となる危険性があるためである。溝側壁面はオーバーハング部がなければ、
2面以上で構成されていても良い。溝底面から略垂直に立ち上り途中から溝幅が広くなる
方向に曲面や平面が形成されていても良い。また、逆に底面から溝幅が広くなる方向に曲
面や平面の側壁を形成し、途中から略垂直な側壁とすることもできる。
1種類の材質で1層の電気絶縁層を形成した後、電気絶縁層に溝を形成することができ
る。スパッターやCVDでピエゾ抵抗素子形成面側全面に電気絶縁層を形成した後、フォ
トリソ技術を用いレジストパターンを形成し、エッチングにより溝を形成する。エッチン
グはエッチング液を用いたウエットエッチングや、イオンミリングやICPエッチング等
のドライエッチングを用いることができる。
1種類もしくは2種類の材質を用い2層以上で電気絶縁層を形成することもできる。1
層目の電気絶縁層上面を溝底面とし、2層目で溝側壁を形成して溝を得る。1層目の電気
絶縁層上にレジストパターンを形成し2層目を製膜する。レジストパターン除去時にレジ
スト上の電気絶縁層も同時に除去するリフトオフ法を用いて、溝側壁を形成することで、
ウエットエッチングやドライエッチングを用いずに溝を形成することができる。1層目と
2層目の材質は同じでも良いし異なっていても良いものである。また、ウエットエッチン
グやドライエッチングを用いて2層目を、溝側壁に加工することもできる。この場合、1
層目の材質と2層目の材質を変えて、2層目のエッチング時に1層目がエッチングされな
いかエッチングレートが著しく小さい材質を選ぶことが好ましい。1層目の電気絶縁層を
エッチングストッパーとすることで、2層目のエッチング作業が容易になるだけでなく、
溝深さの精度を上げることができる。電気絶縁層を3層とし、1層目は溝底面とし2層目
は略垂直の側壁、3層目は傾斜を持った側壁に加工することで、溝底面から略垂直に立ち
上り途中から溝幅が広くなる溝壁壁が形成できる。1層目から3層目の材質組合せや、2
層目と3層目の溝側壁形成はリフトオフ法やドライエッチング法、ウエットエッチング法
を組合わせて作業することができる。
溝の底面に形成する金属配線は、電気抵抗の低い金、銀、銅、アルミニウムもしくはこ
れら金属を含む合金を用いることができる。製膜や配線形状に加工し易く、価格的に優位
なアルミニウムもしくは銅を用いることが好ましい。金属配線は電気絶縁層の壁面形成と
同じ様に、リフトオフ法やドライエッチング法、ウエットエッチング法を用いることがで
きる。配線部以外の領域にレジストパターンを形成し、スパッター等で金属を製膜、リフ
トオフで配線部以外の領域の金属膜を除去する。もしくは、スパッター等で金属を製膜、
配線部にレジストパターンを形成、イオンミリング等で配線部以外の領域の金属膜を除去
して、金属配線を形成することができる。金属配線を電気めっきで形成することも可能で
あるが、めっきシード膜やレジストパターンの形成、めっきシード膜の除去等工数が掛か
ることと、必要とする金属配線厚は0.2μm程度と薄くめっきシード膜の厚みと略同程
度であるので、電気めっきの製膜速度が速く厚膜が得やすいと言う利点を活かし難い。
溝部を埋めるように金属配線を形成することは好ましくない。溝側壁と金属配線が一体
化した場合、可撓部の温度が上がると電気絶縁層と金属配線の熱膨張係数の違いにより、
梁部やピエゾ抵抗素子に不要な応力が加わりオフセット電圧発生の原因となる。応力の発
生を少なくするため、溝断面の3面で金属配線を固定せず溝底面のみとすることが良い。
溝部に形成した金属配線の上面を電気絶縁層上面より凹ませることで、可撓部が撓んで
も金属配線面が規制板と接触することはない。錘部は撓むことは無いが、最も規制板と接
触し易い箇所であるので、錘部の金属配線も溝内に形成することが良い。枠部の金属配線
は過度の衝撃が加わっても規制板に接触することは無い。しかし、加速度センサー素子製
造時等のハンドリングで金属配線にピンセット等が接触する危険性がある。枠部の金属配
線も電気絶縁層に形成した溝内に配することで、接触の危険性を下げることができる点で
、好ましいものである。
電気絶縁層に形成した溝内に形成する金属配線数は、1本に限ることなく複数本でも良
い。複数の金属配線を同一溝内に形成することで、溝の数を減らすができ、溝の配置設計
がし易くなる利点がある。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、ピエゾ抵抗型加速度センサー素子の電気絶
縁層上面からの金属配線上面の凹み量は、0.05μm以上0.5μm以下であることが
好ましい。
ピエゾ抵抗素子上の電気絶縁層上面からの金属配線上面の間隔を0.05μm以上とす
ることで、可撓部が幾等撓んで変形しても金属配線が規制板と接触することはない。該間
隔を大きくすることで安全率も大きくなるが、溝の深さを深くする必要があるため0.5
μm以下が良い。溝を深くすると、溝を形成するドライエッチング時間が長くなり製造コ
ストが増加する。また、溝を深くすると電気絶縁層全体の膜厚を厚くする必要がある。そ
のため、製膜時間が長くなり製造コストが増加する。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、電気絶縁層に形成された溝端部の底面は、
溝長さ方向に俯角の傾斜を持ってピエゾ抵抗素子形成面に達していることが好ましい。
ピエゾ抵抗素子の抵抗変化を電気信号出力として取出すため、ピエゾ抵抗素子と溝内に
形成された金属配線を電気的に接続する必要がある。ピエゾ抵抗素子の金属配線と接続す
る部分電気絶縁層を除去してスルーホールを形成し、スルーホールを通して金属配線を形
成する。
溝端部の底面に対し垂直のスルーホールを形成すると、金属配線の一部は垂直のスルー
ホール壁面に形成することとなる。垂直のスルーホール壁面に金属膜を形成するのはスパ
ッター粒子やガスが入りにくいために非常に難しい。膜を形成できたとしても、その膜厚
は薄く不安定で、電気回路全体の抵抗値の増大、オフセット電圧の発生、あるいは断線を
起こす危険性がある。また、膜をイオンミリング等で配線形状に加工するにも、イオンミ
リング粒子の廻り込みが悪く加工も難しい。スルーホールの径が溝底面側で大きくピエゾ
抵抗素子側で小さくなる様に、スルーホール壁面が傾斜していることが好ましい。言い換
えると、溝端部の底面から俯角をもってピエゾ素子面に至る傾斜面を形成することが好ま
しい。
溝端部の底面をピエゾ抵抗素子面に対して斜めに形成するには、ウエットエッチングを
用いることができる。二酸化シリコンやアルミナの様な酸化膜は、ウエットエッチングは
等方的に進行するので、エッチング部の断面に傾斜を形成することができる。また、イオ
ンミリングの様なドライエッチングを用いることもできる。加速度センサー素子が多数形
成されたシリコンウェファーを、イオン源に対し傾けて保持し加工することで、スルーホ
ール壁面を傾斜させることができる。ドライエッチング法を用いると、ウェファーの保持
角度を変えることで、スルーホール壁面角度を変えることができる。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、電気絶縁層に形成された溝端部の底面は、
溝長さ方向に仰角の傾斜を持って電気絶縁層上面に達していることが好ましい。
チップ端子を電気絶縁層の上面に形成する場合には、溝端部の底面と電気絶縁層上面は
、底面に対し仰角を持つ面で繋がれていることが好ましい。傾斜面を形成する理由と方法
は、前述したスルーホール部と同じである。電気絶縁層上面にチップ端子を形成すること
で、ワイヤーボンディング作業時に溝壁面がワイヤーボンディングヘッドの動きを阻害す
ることがない。
電気絶縁層を2層構造とし、2層目で溝側壁を形成する場合、1層目上に金属配線とチ
ップ端子を形成することができる。金属配線とチップ端子は同一面となるため、溝端部を
仰角面に加工する必要はない。しかし、ワイヤーボンディング作業時に溝壁面がワイヤー
ボンディングヘッドの動きを阻害する恐れがあるので、チップ端子の上面を電気絶縁層上
面より凸とすることが好ましく、チップ端子に追加の製膜を施すことが望ましい。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、電気絶縁層に形成された溝端部の底面の傾
斜は、溝底面に対し20度以上80度以下の仰角もしくは俯角であることが好ましい。
電気絶縁層に形成された溝端部の底面の傾斜を、溝底面に対し80度以下の仰角もしく
は俯角とすることで、溝の中の金属配線とピエゾ抵抗素子面との良好な接続が得られる。
80度以上とすると斜め部分の金属膜の付き回りが極端に悪くなる。80度以下であれば
金属配線とピエゾ抵抗素子面との接続は良好であるが、20度未満の場合、溝端部の底部
の傾斜を有する部分が長くなり、溝の長さを必要以上に長くとらなければならなくなるた
め、20度以上とするのが良い。
斜面の全ての部位で一定の仰角と俯角である必要はない。斜面の部分部分で角度が異な
っていても、20度以上80度以下の範囲内にあれば構わない。斜面は平面でなく曲面や
不定形な連続面で良いものである。本願発明で言う仰角は、溝底面と電気絶縁層上面間の
間隔と、溝底面の傾斜が始まる位置と傾斜が電気絶縁層上面と交差する位置との距離から
、三角関数を用いて計算している。俯角も同様に計算できる。斜面の部分部分で角度を計
算する場合は、適度な距離を取りその距離間での間隔から求める。
本願発明のピエゾ抵抗型加速度センサーは、オフセット電圧補正後に過度の衝撃が加わ
っても、金属配線の変形による新たなオフセット電圧の発生やラッチアップ現象が起こら
ず、小型で薄型のピエゾ抵抗型加速度センサーを提供することができた。
以下本願発明を図面を参照しながら実施例に基づいて詳細に説明する。説明を判り易く
するため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。
図1a)に、梁型ピエゾ抵抗型加速度センサー素子9の斜視図を、図1b)に図1a)
のA部拡大図を示す。図2a)〜c)に、図1b)のa−a’〜c−c’断面図を示す。
加速度センサー20の構成は図7,8と同じであるので省略している。梁型3軸加速度セ
ンサー素子9の外形寸法は、縦1.5mmx横1.5mmで厚さは約0.4mmである。
錘部11は一辺420μmとした。梁部12は長さ280μmで幅90μm、厚み6μm
とした。錘部11と枠部10の厚みは410μmとした。
図1b)は、図1a)の梁部12と枠部10の接続部でピエゾ抵抗素子18を含む部位
の拡大斜視図である。シリコン21上に電気絶縁層25を形成し電気絶縁層の一部を除去
し金属配線23を形成した。金属配線23でピエゾ抵抗素子18とチップ端子4を接続し
た。電気絶縁層25は説明を判り易くするため金属配線を形成する溝の底面部と側面部で
、溝底面電気絶縁層26と溝側面電気絶縁層27に分けている。シリコン21形成された
ピエゾ抵抗素子18上の略平面部と溝底面電気絶縁層26上の略平面部は傾斜面で繋がっ
ている。また、溝底面電気絶縁層26上の略平面部と電気絶縁層上面28の略平面部も傾
斜面で繋がっている。これら平面と斜面部に連続した金属配線を形成し、ピエゾ抵抗素子
18の電気抵抗変化をチップ端子から取出した。
図1b)のa−a’断面を図2a)に、b−b’断面を図2b)に、c−c’断面を図
2c)に示す。図2a)ではピエゾ抵抗素子18を形成したシリコン上に電気絶縁層25
をスパッターで形成した。電気絶縁層25に溝30をフォトリソ技術とドライエッチング
技術を用いて形成した。溝の底面部を溝底面電気絶縁層26、溝の側面部を溝側面電気絶
縁層27と破線で区別し図2a)に示している。本実施例1では、電気絶縁層25は1層
で形成しているので、破線は便宜上記載しているものである。0.8μm厚電気絶縁層2
5に、横幅6μm深さ0.4μmの溝30を形成し、溝内に横幅3μm厚さ0.15μm
の金属配線23を形成した。溝30の側面と金属配線23の側面は1.5μm離れている
。また、電気絶縁層上面28から金属配線上面29は0.25μm凹んでいる。
図2b)は、ピエゾ抵抗素子18面と溝底面電気絶縁層26上面を接続している図であ
る。溝底面電気絶縁層26の端部は、θdの俯角を持った斜面32でピエゾ抵抗素子18
面に接続している。俯角θdは30度とした。図2c)は、溝底面電気絶縁層26上面と
電気絶縁層上面28を接続している図である。溝底面電気絶縁層26の端部は、θeの仰
角を持った斜面32で電気絶縁層上面28に接続している。仰角θeは70度とした。言
い換えると、溝側面電気絶縁層27の端部が俯角を持って溝底面電気絶縁層26の上面に
接続している。溝底面電気絶縁層26の端部に上向き及び下向きの斜面32を設けること
で、端部での金属配線の断面積の減少を最小限にできた。斜面を設けることで、金属配線
の断線も防ぐことができた。本実施例では、電気絶縁層上面28に形成された金属配線2
3の一部をチップ端子4とした。
図3a)〜d)を用いて、図2a)の電気絶縁層25に溝30を形成した方法について
詳細に説明する。シリコン21上に電気絶縁層25を形成した[図3a),b)]。本実
施例では410μm厚のシリコン板に約1μm厚のシリコン酸化層と6μmのシリコン2
1の積層構造を有するSOI(Silicon on Insulator)ウェファー
を使用した。電気絶縁層25は、二酸化シリコン(SiO)をスパッターで製膜した。
電気絶縁層25上にフォトリソ技術を用いレジスト31を形成し、イオンミリングで二酸
化シリコンのエッチングを行った[図3c)]。所定の溝深さまでエッチングを行った後
、レジストを有機溶剤で除去し溝30を得た[図3d)]。溝30内に金属配線を形成し
て図2a)となるが、金属配線の形成は省略している。
図3e)〜h)を用いて、図2b)の溝底面電気絶縁層26端部に俯角θdを有する斜
面32の形成方法について詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子18と金属配線を接続する部
位を除いて、電気絶縁層25上にレジスト31を形成し、イオンミリングを用いて電気絶
縁層を除去した[図3e)]。レジストを有機溶剤で除去し電気絶縁層25に貫通孔33
を形成した[図3f)]。貫通孔33より大きな穴を有するレジスト31を形成し、イオ
ンミリングのイオン射出方向に対し約30度ウェファーを傾けて、電気絶縁層25の角部
をエッチングした[図3g)]。貫通孔33にもレジストを形成し、ピエゾ抵抗素子18
をエッチングから保護した。貫通孔に形成したレジストが斜面形成の邪魔にならないよう
に、レジスト31は略台形状の断面とした。レジストを有機溶剤で除去し、溝底面電気絶
縁層26の端部が俯角を持ってピエゾ抵抗素子面に繋がる斜面32を得た[図3h)]。
本実施例では、貫通孔33の両側に斜面を形成したが、溝30を形成していない側は斜面
とせず、略直角の壁面としても良いものである。図3g)のレジスト31の形成の仕方で
、図3h)の様に溝側面電気絶縁層27まで斜面にせずに、溝側面電気絶縁層27の端面
は略直角で溝底面電気絶縁層26の端部のみ斜面とすることも可能である。
図3i)〜k)を用いて、図2c)の溝底面電気絶縁層26端部に仰角θeを有する斜
面32の形成方法について詳細に説明する。溝底面電気絶縁層26と電気絶縁層上面28
を接続する部位を除いて、電気絶縁層25上にレジスト31を形成し、イオンミリングを
用いて電気絶縁層を除去した[図3i),j)]。イオンミリングのイオン射出方向に対
し約70度ウェファーを傾けて電気絶縁層25をエッチングした。斜面は一方向だけで良
いので、ウェファーは一方向に傾けただけである。レジスト31を有機溶剤で除去し、溝
底面電気絶縁層26の端部が仰角を持って電気絶縁層上面28に繋がる斜面32を得た[
図3k)]。
前述した溝部および溝端部以外の、加速度センサー素子9の製造方法を簡単に説明する
。SOIウェファーに、フォトレジストでパターニングを行い、シリコン層にボロンを1
〜3×1018原子/cmを打ち込みピエゾ抵抗素子を作製した後、ピエゾ抵抗素子間
の接続と金属配線と接続する部位に高濃度拡散層を形成した。高濃度拡散層はボロンを1
〜3×1021原子/cmを打ち込んだ。ピエゾ抵抗素子を外部のイオンから保護する
ためと、シリコンと金属配線、電極の絶縁を確保するために、二酸化シリコンの電気絶縁
層25を形成した。
加速度センサー素子9が多数形成されたウェファーのピエゾ抵抗素子面側を下にして、
熱伝導の高い金属粉末を樹脂に混錬したものを用いて、ダミー基板に接着した。SOIウ
ェファーのシリコン板部分の400μmをドライエッチングするには、SFと酸素を導
入したプラズマ内で長時間行うため、被加工物の冷却が重要であるので、熱伝導の良い接
着剤で放熱性の高いダミー基板に接着するものである。ドライエッチングされるのはシリ
コンのみであるので、シリコン板はエッチングされるが、シリコン酸化層は残っている。
ダミー基板に付けたまま弗酸溶液に浸け、シリコン酸化層を化学エッチングで除去した。
梁部と錘部、支持枠部が形成されたSOIウェファーがダミー基板に接着された状態で、
切断砥石を使って加速度センサー素子9のチップに分離した後、溶剤で接着剤を除去し加
速度センサー素子単体を得た。
図4に、本発明の第2の実施例を示す。図4a)は図1b)のa−a’断面、図4b)
は図1b)のb−b’断面、図4c)は図1b)のc−c’断面に該当する図である。実
施例1と大きく異なる点は、電気絶縁層25を溝底面電気絶縁層26と溝側面電気絶縁層
27の2層で形成したところである。図4a)に示す様に、溝底面電気絶縁層26に、溝
幅に当る距離を離して溝側面電気絶縁層27を形成して溝30としている。溝側面電気絶
縁層27の端部は約70度の斜面としたので、溝の断面形状は逆台形状である。溝側面電
気絶縁層27は0.4μm厚、溝底面電気絶縁層26は0.3μm厚の二酸化シリコンを
スパッターで形成した。溝30内に金属配線23を3本形成した。金属配線23は溝30
内に等間隔で配した。金属配線23は0.2μm厚としたので、電気絶縁層上面28より
金属配線上面29は、0.2μm凹んでいる。
図4b)は、ピエゾ抵抗素子18面と溝底面電気絶縁層26上面を接続している図であ
る。溝底面電気絶縁層26の端部は、θdの俯角を持った斜面32でピエゾ抵抗素子18
面に接続している。俯角θdは45度とした。
図4c)は、溝底面電気絶縁層26上面に金属配線23とチップ端子4を形成している
。そのため、実施例1の様な、溝底面電気絶縁層26上面と電気絶縁層上面28を繋ぐ斜
面32が無い。少なくとも金属配線23を除いた部位に、金属配線23厚より厚い溝側面
電気絶縁層27を形成することで、電気絶縁層上面28より金属配線上面29を凹ますこ
とができる。実施例1では電気絶縁層上面28に金属配線の一部とチップ端子4を形成し
たが、本実施例では溝底面電気絶縁層26上面に金属配線とチップ端子を形成し、電気絶
縁層上面28より凹ましているので、加速度センサー製作時のハンドリングで金属配線や
チップ端子を損傷する危険性が下がることが期待できる。
図5a)〜d)を用いて、図4a)の電気絶縁層25に溝30を形成した方法について
詳細に説明する。シリコン21上に溝底面電気絶縁層26を形成した[図5a),b)]
。溝底面電気絶縁層26は、二酸化シリコン(SiO)をスパッターで製膜した。溝底
面電気絶縁層26上にフォトリソ技術を用い断面形状がきのこ型のレジスト31を形成し
た[図5c)]。スパッターで二酸化シリコンを製膜し、溝側面電気絶縁層27を形成し
た[図5d)]。きのこ型のレジスト31の傘の部分がマスクとなり、きのこ型31のレ
ジストの茎の部分には傾斜膜面が形成される。レジストを有機溶剤で除去し、逆台形上の
溝30を有する電気絶縁層25を得た[図5e)]。溝30内に金属配線を形成して図2
a)となるが、金属配線の形成は省略している。
図5f)〜k)を用いて、図4b)の溝底面電気絶縁層26の端部に俯角θdを有する
斜面32の形成方法について詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子18と金属配線を接続する
部位を除いて、溝底面電気絶縁層26上にレジスト31を形成し、イオンミリングを用い
て電気絶縁層を除去した[図5f)]。レジストを有機溶剤で除去した後、再度レジスト
31を形成し、斜め方向からイオンミリングを行った[図5g)]。レジスト31を有機
溶剤で除去し、溝底面電気絶縁層26の端部に斜面32を形成した[図5h)]。少なく
とも、ピエゾ抵抗素子18上にレジスト31を形成した[図5i)]。スパッターで二酸
化シリコンを製膜し、溝側面電気絶縁層27を形成した[図5j)]。レジスト31を有
機溶剤で除去し、溝底面電気絶縁層26の端部が斜面の電気絶縁層25を得た[図5k)
]。
図5l)とm)を用いて、図4c)の電気絶縁層25の形成方法について説明する。溝
底面電気絶縁層26を形成した[図5l)]。溝底面電気絶縁層26上の電気配線23お
よびチップ端子4の形状にレジストを形成(図示せず)し、溝側面電気絶縁層27を形成
し、レジストを有機溶剤で除去し、電気絶縁層25を得た[図5m)]。
図6a)〜e)に図4a)、図6f)〜k)に図4b)の断面構造で、溝底面電気絶縁
層26と溝側面電気絶縁層27が異なった材質で形成された電気絶縁層25の形成方法を
示す。図4c)の部位の製造方法は、実施例2と同じであるので図と説明は省略した。
図6a)〜e)を用いて、図4a)の電気絶縁層25に溝30を形成した方法について
詳細に説明する。シリコン21上に溝底面電気絶縁層26と溝側面電気絶縁層27を形成
した[図6a),b)]。溝底面電気絶縁層26は二酸化シリコン、溝側面電気絶縁層2
7はアルミナ(Al)をスパッターで製膜した。溝側面電気絶縁層27上に溝30
の溝底の幅と同じ幅のレジスト31を形成した[図6c)]。水酸化ナトリウム(NaO
H)溶液で溝側面電気絶縁層27のアルミナをケミカルエッチングした。溝側面電気絶縁
層27のアルミナ膜は等方性にエッチングされ、約45度の斜面32が形成された[図6
d]。有機溶剤でレジスト31を除去し、逆台形状の断面を持つ溝30が形成された電気
絶縁層25を得た[図6e)]。溝30内に金属配線を形成して図4a)となるが、金属
配線23の形成は省略している。溝側面電気絶縁層27のアルミナを0.25μm、金属
配線23の厚みを0.2μmとしたので、電気絶縁層上面28より金属配線上面29は、
0.05μm凹んでいる。
図5f)〜k)を用いて、図4b)の溝底面電気絶縁層26の端部に俯角θdを有する
斜面32の形成方法について詳細に説明する。ピエゾ抵抗素子18と金属配線を接続する
部位を除いて、溝側面電気絶縁層27上にレジスト31を形成した[図6f)]。ケミカ
ルエッチングで溝側面電気絶縁層27を除去した[図6g)]。ケミカルエッチングを用
いているので溝側面電気絶縁層27の端部は傾斜面となっている。イオンミリングで溝底
面電気絶縁層26をエッチングした[図6h)]。レジストを有機溶剤で除去した[図6
i)]。溝側面電気絶縁層27の斜面部が露出するようにレジストを形成し、斜め方向か
らイオンミリングを行い、溝底面電気絶縁層26の端部に、斜面32を形成した[図6j
)]。レジストを有機溶剤で除去し。溝底面電気絶縁層26の端部が斜面32の電気絶縁
層25を得た[図6k)]。
図4cの電気絶縁層25の形成方法は、図6a)〜e)と同じである。
実施例1から実施例3の加速度センサーを用い、過度の加速度が加わった際の金属配線
の変形による新たなオフセット電圧の発生の有無を調査した。比較のため金属配線が電気
絶縁層上に形成された従来品の加速度センサーも供試した。オフセット電圧の変化率を測
定するため、オフセット電圧の測定はオフセット補正回路を通さない値である。また、衝
撃印加前後でオフセット電圧を測定する時は、測定温度変動を1℃以内に抑えているので
温度変化よるオフセット電圧の発生はない。オフセット電圧測定時の加速度センサーの保
持角度等の測定条件は一定としているので、衝撃印加前後のオフセット電圧の変化は、金
属配線の変形によるものと考えられる。各々、1,000個の加速度センサーを製作し試
験を行った。評価は次の手順で行った。イ)オフセット電圧測定、ロ)衝撃印加、ハ)オ
フセット電圧測定、ニ)オフセット電圧が±10%以上変動した試料は不具合発生品とし
、試料は分解調査へ、オフセット電圧が±10%未満の変動試料は、ロ)の衝撃印加とハ
)のオフセット電圧測定を繰返した。ロ)ハ)の繰返しを50回行うことで最大51回の
衝撃が加わったことになり、言い換えると約51,000個の各実施例の加速度センサー
を供試したこととなる。従来品でのオフセット電圧が許容範囲を越えるものの発生率は、
0.02%程度と低いため数多くの加速度センサーを供試する必要があるが、供試できる
数にも限度があるため、前述した試験方法を採用した。0.02%の発生率は5,000
個の加速度センサーで1個のオフセット電圧が許容範囲を越えるものが発生することにな
る。実質51,000個の各条件の加速度センサーを供試することで、効果を判定できる
結果を得ることができる。
100個の加速度センサーを2mm厚の鉄製治具に固定しオフセット電圧を測定した後
、鉄製治具に取り付けた状態で厚さ100mmの木板の上に、高さ1mから自然落下させ
て衝撃を与えた。この高さから落下させると約1,500から2,000Gの衝撃が加速
度センサーに加わる。衝撃を加えた方向はZ軸方向で、規制板3と梁部12間の空隙g3
が小さくなる方向である。衝撃を加えた後、オフセット電圧を測定しオフセット電圧が±
10%以上変動した試料は不具合発生品として鉄製治具から外し分解調査を行った。オフ
セット電圧の変動が±10%未満の加速度センサーは、再度衝撃を加えて試験を継続した
本願発明品の実施例1から3の加速度センサーでは、オフセット電圧が±10%以上変
動したものはなかった。比較のために試験した従来の加速度センサーでは、5個の加速度
センサーがオフセット電圧変動±10%を越えた。発生頻度は約0.01%であった。該
加速度センサーを分解して調査したところ、加速度センサー素子の梁部12に設けられた
金属配線23の一部が押し潰された様に変形していた。従来品の5個の不具合品で、金属
配線が潰された様に変形していた部位は、梁部の錘部に近い部分が4個、錘部が1個であ
った。この結果からも、梁部と錘部の金属配線上面を電気絶縁層上面より凹ませることは
、過度な衝撃が加わっても金属配線の変形が起らず、金属配線の変形によるオフセット電
圧の発生を防ぐこと効果が大きいことが確認できた。
規制板3にICチップを用いているので、ラッチアップの評価も行った。金属配線と対
向するICチップ裏面は、シリコン面で絶縁処理は行っていない。加速度センサーを鉄製
治具に取り付けた状態で厚さ100mmの木板の上に、高さ1mから自然落下させて衝撃
を与えながら、電気出力を測定しラッチアップ現象の有無を調べた。100個の加速度セ
ンサーを各50回試験(5000個・回)したが、実施例1〜3の加速度センサーではラ
ッチアップ現象は発生しなかった。比較の従来品の加速度センサーでは、1回のラッチア
ップ現象が確認された。本願発明の加速度センサーは、過度な加速度が加わっても加速度
センサー素子の金属配線が規制板3に接触しない構造としたので、金属配線の変形による
オフセット電圧の発生防止だけでなくラッチアップ現象発生防止の効果も得られた。
本願発明の実施例1の加速度センサー素子の斜視図と部分拡大図である。 本願発明の実施例1の加速度センサー素子のa−a’からc−c’断面図である。 本願発明の実施例1の電気絶縁層に溝を形成する方法を説明する図である。 本願発明の実施例2の加速度センサー素子のa−a’からc−c’断面図である。 本願発明の実施例2の電気絶縁層に溝を形成する方法を説明する図である。 本願発明の実施例3の電気絶縁層に溝を形成する方法を説明する図である。 加速度センサーの分解斜視図である。 加速度センサーの断面図と加速度センサー素子の平面図である。 加速度センサーで保護膜を形成した金属配線部分の断面を示す図である。
符号の説明
1 ケース、2 センサーチップ、
3 規制板、4 チップ端子、
5 ワイヤー、6 ケース端子、
7 外部端子、8 ケース蓋、
9 梁型3軸加速度センサー素子、9’ダイアフラム型3軸加速度センサー素子、
10 枠部、11 錘部、
12 梁部、13 X軸ピエゾ、
14 Y軸ピエゾ、15 Z軸ピエゾ、
16,17 接着剤、
18 ピエゾ抵抗素子、19 ダイアフラム、
20 3軸加速度センサー、21 シリコン、
22 電気絶縁層、23 金属配線、
24 保護膜、25 電気絶縁層、
26 溝底面電気絶縁層、27 溝側面電気絶縁層、
28 電気絶縁層上面、29 金属配線上面、
30 溝、31 レジスト、
32 斜面、33 貫通孔。

Claims (5)

  1. 枠部と、可撓部を介して枠部に保持される錘部と、可撓部に設けられたピエゾ抵抗素子
    と枠部に設けられたチップ端子を接続する金属配線からなるピエゾ抵抗型加速度センサー
    素子を有するピエゾ抵抗型加速度センサーであって、ピエゾ抵抗型加速度センサー素子の
    ピエゾ抵抗素子形成面側の略全面に電気絶縁層が形成され、少なくとも金属配線形成部の
    電気絶縁層には略コの字型断面形状の溝が形成され、該溝の底面には少なくとも1本以上
    の金属配線が形成され、金属配線の上面が電気絶縁層上面より凹んでいることを特徴とす
    るピエゾ抵抗型加速度センサー。
  2. 電気絶縁層上面からの金属配線上面の凹み量が、0.05μm以上0.5μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型加速度センサー。
  3. 電気絶縁層に形成された溝端部の底面は、溝長さ方向に俯角の傾斜を持ってピエゾ抵抗
    素子形成面に達していることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型加速度センサー
  4. 電気絶縁層に形成された溝端部の底面は、溝長さ方向に仰角の傾斜を持って電気絶縁層
    上面に達していることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型加速度センサー。
  5. 電気絶縁層に形成された溝端部の底面の傾斜は、溝底面に対し20度以上80度以下の
    仰角もしくは俯角であることを特徴とする請求項3もしくは4に記載のピエゾ抵抗型加速
    度センサー。
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