JP2008189697A - ボールペン用油性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤を液媒体として使用した、いわゆる油性ボールペンに使用する油性インキ組成物に関し、書き出し時のカスレが少ない油性ボールペン用インキ組成物を提供する。
【解決手段】着色材と、有機溶剤と、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートから選ばれる一種以上の該有機溶剤に可溶な樹脂と、アストロカリウムムルムル脂とを少なくとも含有する油性ボールペン用インキ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機溶剤を液媒体として使用した、いわゆる油性ボールペンに使用する油性インキ組成物に関し、書き出し時のカスレが少ないボールペン用油性インキ組成物に関するものである。
従来、油性ボールペンは、ボールチップ先端部のインキ組成物が乾燥して、インキ組成物の粘度が局部的に増粘した場合、書き出し時に、ボールが回りにくくなり、書き始めから数mm〜数十mmインキが吐出しなかったり、筆記途中でインキの吐出が一時的に中断するカスレ現象が発生したりする欠点(以下、このような書き出し時に生じる現象を初筆カスレと称する)が起こり易かった。この点は、特に、インキ組成物の粘度が高くなる冬場や寒冷地において顕著であるが、夏場や高温地域でも、インキ組成物の乾燥、増粘が激しいため、よく起きるものであった。
このような欠点を解決しようとして、従来より種々の工夫が試されている。例えば、特開昭55−54370号公報に記載の発明では、特定の非イオン系界面活性剤を添加してインキ組成物の乾燥を極力抑制して潤滑性を付与して初筆カスレを改善したものが開示されている。また、特開昭51−47824号公報に記載の発明では、高沸点芳香族炭化水素を溶剤としてインキの乾燥速度を遅くしたもの、特開平3−28279号公報に記載の発明では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加して、インキ組成物に潤滑性を付与して書き味を改善したもの、特開平3−203972号公報に記載の発明では、リン酸エステルを添加してインキ組成物に潤滑性を付与して初筆カスレを改善したもの、特開平6−247093号公報に記載の発明では、不揮発性の溶剤を使用し、インキが完全に乾ききるのを防いで滑らかに書き出し出来るもの、特開平7−196971号公報では、分子量200〜400万のポリエチレングリコール添加して潤滑効果を上げ、書き出し時のインキの出をスムーズに出るように狙ったものがそれぞれ開示されている。
特開昭55−054370号公報 特開昭51−047824号公報 特開平03−028279号公報 特開平03−203972号公報 特開平06−247093号公報 特開平07−196971号公報
上述の従来技術においても、キャップをしないで放置しておくと、僅かでも溶剤が揮発することによって、インキの吐出開口部でインキが乾燥して樹脂の皮膜が発生してしまい、書き出し時に、カスレてしまうものであり、書き出し時のカスレ(初筆カスレ)については、未だ十分とは言えるものはなかった。
本発明は、キャップをしない状態で放置されていても、書き出し時のカスレが少ない油性ボールペン用インキ組成物を得ることを目的とする。
即ち、本発明は、着色材と、有機溶剤と、該有機溶剤に可溶な樹脂と、アストロカリウムムルムル脂とを少なくとも含有するボールペン用油性インキ組成物を要旨とする。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、ボールペン先端部に付着したインキの溶剤が蒸発し樹脂の皮膜が形成された場合においても、常温で固体の油脂であり、水和作用を有するアストロカリウムムルムル脂が樹脂皮膜中に分散された状態で存在するため、強固な皮膜とならない。更に、アストロカリウムムルムル脂の他の油脂にない特質であるビタミン類等の成分を豊富に含んでいることによる皮膜に湿潤性を有する油脂の保護膜を皮膜表面に形成することで、溶剤の揮発を抑制する。又空気中の水分と反応し、水分を皮膜中に取り込み皮膜を脆くさせている。それで、書き出し時にボールの回転に伴って容易に皮膜が破れやすくなり、初筆カスレが極力抑制されるものと推察される。
アストロカリウムムルムル脂(Astrocaryum murumuru)は、熱帯地域に自生するムルムルヤシ(ヤシ科、ホシダネヤシ属)の実の果肉と種子から圧搾して得られる油状成分、油脂状成分の精製物であり、ラウリン酸、ミリスチン酸などの各種の脂肪酸を主成分としてビタミン類が豊富に含まれた天然素材の油脂状物(融点が32〜33℃)である。
本発明におけるインキ全量に対する使用量は、インキ全量に対して、0.1重量%以上10重量%以下であり、さらに好ましくは0.3重量%以上2%重量以下である。10重量%以上使用すると、油分が経時的に分離しやすくなる。
着色材としては、染料及び/または顔料が特に限定無く使用できる。
油溶性染料の具体例として、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株))、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株))、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファーストイエロー♯3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー♯3105(C.I.18690A)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック♯3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー♯1109、バリファーストオレンジ♯2210、バリファーストレッド♯1320、バリファーストブルー♯1605、バリファーストバイオレット♯1701(以上、オリエント化学工業(株)社製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6,S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。更に、C.I.ベーシックブルー1、同7、同8、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、C.I.ベーシックレッド1などの塩基染料とC.I.アシッドイエロー23、同36などから選ばれる酸性染料との造塩染料なども用いることができる。上記例示した油溶性染料は、1種又は2種以上混合して使用でき、その使用量は油性ボールペン用インキ全量に対して6重量%以上45重量%以下が好ましい。
また着色材として、顔料も使用することができ、有機顔料としては、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同8、同17、同22、同31、同38、同41、同48:1、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同202、同206、同207、同208、同209、同211、同213、同216、同245、同254、同255、同264、同270、同272、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同22、同25、同28、同29、同36、同60、同66、同68、同76、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同128、同139、同147、同151、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、C.I.PIGMENT BLACK 7等が挙げられる。これらの有機顔料は1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して1重量%以上45重量%以下使用でき、十分な筆跡濃度を得る為に、好ましくは6重量%以上40重量%以下である。使用量が、少ないと筆跡が薄くなり、多くなるとインキのボールペン先からの追従性が悪くなりカスレがでたりインキが吐出しなくなることがある。
また、無機顔料としては、黒色酸化鉄、ファーネストブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの無機顔料は、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して1重量%以上50重量%以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上40重量%以下である。
その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料等を使用しても良い。例えば、蛍光顔料としては、FZ−5000シリーズ(シンロイヒ(株)製)などが挙げられる。パール顔料としては、パールグレイズMRY−100や同ME−100等(日本光研化学(株)製)が挙げられる。蓄光顔料としては、GSS(根本特殊化学(株))などが挙げられる。また、金属顔料としては、筆跡の色と異なる光輝感を醸し出す目的として使用するもので、アルミニウム粉やブロンズ粉、亜鉛粉等が、具体例として、市販されているアルミニウム粉末としては、スーパーファインNo.22000、同No.18000、ファインNo.900、同No.800(以上、大和金属粉工業(株)製)等が挙げられる。
これらの顔料は、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して1重量%以上45重量%以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上40重量%以下である。
顔料の分散効率を上げるため、前記高分子化合物中に顔料をあらかじめ微分散したものを粒子化したものを使用しても良い。特に、このような顔料を用いた場合は、製造上容易に分散できるので、製造上有用な手段として用いることが出来る。一例を挙げると、マイクロリスYellow 3G−K、同Yellow 4G−K、同Yellow 3R−K、同Scarlet R−K、同DPP Red B−K、同Magenta 5B−K、同Violet B−K、同Blue A3R−K、同Blue 4G−K、同Green G−K、同Black C−K、同White R−K(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂に微分散させた顔料、チバスペシャルティ ケミカルズ(株)製)、IKイエロー、IKレッド、IKブルー、IKグリーン、IKブラック (塩化ビニル・酢酸ビニル樹脂に微分散させた顔料、富士色素(株)製)、マイクロリス Yellow 2G−T、同Yellow 3R−T、同Brown 5R−T、同Scarlet R−T、同Red BR−T、同Blue GS−T、同Green G−T、同Black C−T(ロジンエステル樹脂に微分散させた顔料、チバスペシャルティ ケミカルズ(株)製)、マイクロリス Yellow 4G−A、同Yellow MX−A、同Yellow 2R−A、同Brown 5R−A、同Scarlet R−A、同 Red 2C−A、同Red 3R−A、同Magenta 2B−A、同Violet B−A、同Blue 4G−A、同Green G−A、同Black C−A、同White R−A(エチルセルロース樹脂に微分散させた顔料、チバスペシャルティ ケミカルズ(株)製)、L1/SイエローNIF、L1/8レッドF3RK−70、L1/8バイオレットRN50、L1/8オレンジ501、L1/8ブラウン5R、L1/8ブラックMA100、NC790ホワイト(ニトロセルロース樹脂に微分散させた顔料、太平化学製品(株)製)、RenolイエローGG−HW、同イエローHR−HW、同オレンジRL−HW、同レッドFGR−HW、同レッドHF2B−HW、同レッドF5RK−HW、同カーミンFBB−HW、同バイオレットRL−HW、同ブルーB2G−HW、同グリーンGG−HW、同ブラウンHFR−HW、同ブラックR−HW、同ホワイトT−HW(ポリビニルブチラール樹脂に微分散させた顔料、クラリアントジャパン(株)製)、フジASブラック810、同ASレッド575、同ASブルー650、同ASグリーン737、同ASホワイト165(ポリビニルブチラール樹脂に微分散させた顔料、冨士色素(株)製)等が挙げられる。
尚、上記染料、有機顔料、無機顔料等は混合して使用することもできる。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、樹脂、特にセルロース系高分子化合物及び/又はポリビニルブチラール樹脂を使用することによって、ボールペンにしたときの高湿環境化での経時安定性が保たれ、また、セルロース系化合物の中でもエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートを用いることによって、より高湿環境化での影響を受けにくいインキにすることが出来る。
セルロース系化合物は、有機溶剤に溶解した状態で水分に対して強靱な界面を作るうえに、親水性と新油性のバランスから、樹脂皮膜内に細かく分散されたムルムルバターを安定に保つことができるため好ましい。セルロース系化合物の中でもエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート及びニトロセルロースは、特に良好な効果をもたらす。尚、セルロース系化合物でも、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースは、水に溶解するが、有機溶剤に可溶で水に溶解しない高分子化合物と併用して、本発明の効果以外の目的、例えば洩れ防止剤などのために、本発明の作用効果に対して悪影響を及ぼさない範囲で使用することは可能である。
ボリビニルブチラール樹脂は、セルロース系化合物はと同様、有機溶剤に溶解した状態で水分に対して強靱な界面を作ることと、顔料の分散性を向上する働きがあるうえに、親水性と新油性のバランスから、樹脂皮膜内に細かく分散されたムルムルバターを安定に保つことができる。一例を挙げると、電気化学工業(株)製のデンカブチラール#2000L、同#3000−1、同#3000−2、同#3000−3、同#3000−4、同#3000−K、同#4000−1、同#4000−2、同#5000−A、同#6000−C、積水化学工業(株)製のエスレックBL−1、同BL−2、同BL−3、同BL−S、同BX−L、同BM−1、同BL−2、同BM−5、BM−S、同BH−3、同BX−1、同BX−2、同BX−5、同BX−55、同BH−S等が挙げられる。その使用量は、インキ組成物全量に対して0.5重量%以上15重量%以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは5重量%以上10重量%以下である。
樹脂として上記高分子化合物以外にも、通常ボールペンインキ組成物に定着剤や分散剤として使用されている樹脂、例えばケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を併用することが出来る。これらの樹脂は単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良く、その配合量は、インキ組成物全量に対して、0.1重量%以上30重量%以下の範囲である。これらの樹脂は、インキ組成物の粘度を調整したり、固着性、耐水性等を向上させる作用がある。
また、インキ組成物の製造方法として、前記セルロース系高分子化合物及び/又はポリビニルブチラール樹脂に顔料をあらかじめ微分散したものを粉砕するなどして、粒子化し、この粒子を前記セルロース系高分子化合物及び/又はポリビニルブチラール樹脂が可溶な有機溶剤又は前記セルロース系高分子化合物及び/又はポリビニルブチラール樹脂が可溶な有機溶剤を含有する組成物中に配合することで、顔料が細かく、均一に分散されるため、通常の生顔料から分散するものより、経時的に安定なインキ組成物得ることができる。前記油性ボールペン用インキ組成物は、前述した各成分をラボミキサー、ビーズミル、3本ロール等を用いて溶解・分散してインキを得ることができる。
本発明において使用する有機溶剤は、従来公知のボールペン用溶剤を使用することが出来る。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルグリコール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、等のグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、酢酸−2−エチルへキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等のエステル系溶剤、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリドデシルアルコール、等のアルコール系溶剤等が使用可能である。上記溶剤の中でも、好ましくはグリコールエーテル系溶剤がセルロース系樹脂の溶解性が良く、また経時安定性に効果がある。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いても良く、配合量はインキ全量に対し20重量%以上90重量%以下好ましくは35重量%以上75重量%以下である。
これらの有機溶剤と高分子化合物との可溶する例として、一例をあげると、高分子化合物として、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール等の樹脂と、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系の溶剤との組み合わせが挙げられる。
また、インキの粘性の調節するために、粘性調節剤を使用することができ、一例を挙げると、ベントナイト、合成微粉シリカ、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス等が挙げられる。ベントナイト系粘性調節剤の市販例として、NLケミカルズ社製ベントン27、SUD化学製EX−0101等が挙げられる。シリカ系粘性調節剤の市販例として、日本アエロジル(株)製アエロジル380、アエロジル♯200等が挙げられる。水添ヒマシ油系粘性調節剤の市販例として、楠本化成(株)製ディスパロン♯305、伊東製油(株)製T−20S、T−20SF等が挙げられる。脂肪酸アマイドワックス系粘性調節剤の市販例として、楠本化成(株)製ディスパロン♯6500、伊東製油(株)製T−25、T−75F等が挙げられる。これらの粘性調節剤は、単独で用いても、組み合わせて使用することも出来る。
その他必要に応じて、防腐剤、防錆剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、カスレ防止剤、洩れ防止剤、界面活性剤等のインキ組成物に慣用されている助剤を含有させても良い。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、上記各成分をダイノーミル、ボールミル、ロールミル、アトライター、サンドグラインダー、ターボミキサー、ラボミキサー、ホモミキサー等の分散機を使用して分散混合することによって得られる。
(実施例1)
カーボンブラック♯750(顔料、C.I.PIGMENT BLACK7、三菱化学(株)製) 30重量部
ソルスパース20000(高分子顔料分散剤、アビシア(株)製) 8重量部
エトセル4(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 16重量部
精製ムルムルバター(アストロカリウムムルムル脂、香栄興業(株)製) 0.6重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 34.4重量部
ベンジルアルコール 11重量部
上記各成分中カーボンブラックを除いた成分を加熱攪拌し、カーボンブラックを添加し、ビーズミルで1時間分散し、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例2)
イルガジンRED2030(顔料、C.I.PIGMENT RED 254、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 20重量部
Disperbyk−160(高分子顔料分散剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)
2重量部
精製ムルムルバター(前述) 0.5重量部
エトセル7(エチルセルロース、ダウ・ケミカル日本(株)製) 8重量部
T−20SF(水添ヒマシ油化合物、伊東製油(株)製) 0.1重量部
プロピレングリコールモノフェニルエーテル 54重量部
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 15.4重量部
上記各成分イルガジンRED2030を除いた成分を加熱攪拌し、イルガジンRED2030を添加し、ビーズミルで1時間分散し、赤色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例3)
マイクロリス BLACK C−A(エチルセルロースに微分散した加工顔料、C.I.PIGMENT BLACK7とエチルセルロースの重量比率が6:4、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 20重量部
ルビスコールK−90(ポリビニルピロリドン、BASF社製) 0.3重量部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 13重量部
精製ムルムルバター(前述) 0.7重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 50重量部
エチレングリコールモノベンジルエーテル 16重量部
上記各成分中マイクロリス BLACK C−Aを除いた成分を加熱攪拌し、完全に溶解が確認できた時点でマイクロリス BLACK C−Aを徐々に添加し、80℃・1時間攪拌混合し、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例4)
L1/8ブラックMA100(ニトロセルロース樹脂に微分散した加工顔料、C.I.PIGMENT BLACK7とニトロセルロース樹脂の重量比率が1:1、太平化学製品(株)製) 33重量部
デンカブチラール2000L(ポリビニルブチラール樹脂、電気化学工業(株)製)
2重量部
精製ムルムルバター(前述) 0.7重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 46.3重量部
エチレングリコールモノヘキルエーテル 18重量部
上記各成分中L1/8ブラックMA100を除いた成分を加熱攪拌し、完全に溶解が確認できた時点でL1/8ブラックMA100を徐々に添加し、80℃、3時間攪拌混合し、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例5)
スピロンオレンジ#6(油溶性染料、保土ヶ谷化学(株)製) 14.8重量部
スピロンレッドC−GH(油溶性染料、保土ヶ谷化学(株)製) 11.9重量部
スピロンレッドC−BH(油溶性染料、保土ヶ谷化学(株)製) 0.6重量部
スピロンイエローC−2GH(油溶性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3重量部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 20重量部
ルビスコールK−90(前述) 0.7重量部
精製ムルムルバター(前述) 0.5重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 36重量部
ベンジルアルコール 12.5重量部
スピロンオレンジ#6、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンイエローC−2GHを除いた上記各成分をラボミキサーで攪拌溶解後、残りの成分を配合し、ラボミキサーで、1時間高速分散し、赤色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例6)
RenolブラックR−HW(ポリビニルブチラール樹脂に微分散した加工顔料、カーボンブラック40重量%、ポリビニルブチラール樹脂60重量%、クラリアントジャパン(株)製) 25重量部
ニグロシンEX(染料、オリエント化学工業(株)製) 8重量部
ルビスコールK−90(前述) 0.3重量部
ハイラック111(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 16重量部
精製ムルムルバター(前述) 1重量部
エチレングリコールモノベンジルエーテル 37重量部
ベンジルアルコール 12.7重量部
上記各成分中RenolブラックR−HWとニグロシンEXを除いた成分を加熱攪拌し、完全に溶解が確認できた時点でニグロシンEXを加え、80℃・1時間攪拌混合後、更にRenolブラックR−HWを添加し、80℃・1時間攪拌混合し、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(実施例7)
RenolブルーB2G−HW(ポリビニルブチラール樹脂に微分散した加工顔料、フタロシアニンブルー50重量%、ポリビニルブチラール樹脂50重量%、クラリアントジャパン(株)製) 17重量部
スピロンブルーBPNH(染料、保土ヶ谷化学(株)製) 5重量部
スピロンブルーC−RH(染料、保土ヶ谷化学(株)製) 3重量部
スピロンバイオレットC−RH(染料、保土ヶ谷化学(株)製) 2重量部
レジンSK(ケトン樹脂、ヒュルス社製) 7重量部
精製ムルムルバター(前述) 1重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 48重量部
エチレングリコールモノヘキルエーテル 17重量部
上記各成分中RenolブルーB2G−HWを除いた成分を加熱攪拌し、完全に溶解が確認できた時点でRenolブルーB2G−HWを徐々に添加し、80℃・1時間攪拌混合し、粘度56200mPa・s(25℃)の青色の油性ボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例1)
実施例1において、ムルムルバター(前述)の代わりに、エチレングリコールにした他は、実施例1と同様になして、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例2)
実施例3において、ムルムルバター(前述)の代わりにポリエチレングリコール#4000、日本油脂(株)製)にした他は、実施例3と同様になして、粘度が5300mPa・s(25℃)の黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例3)
実施例1において、ムルムルバター(前述)の代わりに、ポリエチレングリコールモノオレエート(エチレンオキサイド付加物6モル)日光ケミカルズ(株)製)にした他は、実施例1と同様になして、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例4)
実施例1において、ムルムルバター(前述)の代わりに、デカグリン1−O(モノオレイン酸デカグリセリル、日光ケミカルズ(株)製)にした他は、実施例1と同様になして、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例5)
実施例6において、ムルムルバター(前述)の代わりに、エチレングリコールモノベンジルエーテルにした他は、実施例6と同様になして、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
(比較例6)
実施例1において、ムルムルバター(前述)の代わりに、BYK−348(ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、ビックケミー・ジャパン(株)製)にした他は、実施例1と同様になして、黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
以上、実施例1〜7、比較例1〜6で得られた油性インキ組成物を市販の油性ボールペン(BK70、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレスチップと超硬合金のボールよりなっている)と同様の筆記具に0.3g充填し、試験サンプルとした。
但し、実施例6〜7、比較例5は、筆記する場合、上記サンプルのリフィル後端に圧力機を取り付け、大気圧に対して差圧が50KPaで加圧している状態で筆記できるように工夫改造して、実施した。
試験項目としては、書き出し時のカスレ試験を行った。結果を表1に示す。
書き出し時のカスレ試験
実施例1〜7及び比較例1〜6のインキを充填したサンプルをキャップ外し、試し書きをしてカスレないことを確認した後、キャップをしないで、横向きで室内放置し、1時間後、1日後、14日後各々のサンプルを下記の条件で筆記し、筆跡がカスレている部分の長さを測定した。
<筆記条件>
筆記速度7cm/秒、筆記荷重1.96N、筆記角度70度
筆記試験機:PEN WRITING TESTER MODEL SP−2、SEIKI KOGYO LAB.製

Claims (3)

  1. 着色材と、有機溶剤と、該有機溶剤に可溶な樹脂と、アストロカリウムムルムル脂とを少なくとも含有するボールペン用油性インキ組成物。
  2. 前記樹脂がセルロース系高分子化合物及び/又はポリビニルブチラール樹脂である請求項1に記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 前記セルロース系高分子化合物が、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートから選ばれる一種もしくは二種以上の混合物である請求項2に記載のボールペン用油性インキ組成物。
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