JP2008188840A - インクジェット記録装置および吐出回復制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置および吐出回復制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において、タイマによって記録ヘッドの回復実行を制御するとともに、不必要に廃棄されるインク量を抑制する。
【解決手段】タイマによって測定される経過時間が基準の所定時間を超えているか否かを判断する(S905)。この判断で、経過時間が所定時間を超えているときだけ、吐出状態の検出動作を行なう(S906)。これにより、吐出状態が不良となっている蓋然性が低いことを意味する、経過時間が所定時間以下のときは、その後の検出動作の実行を回避することができる。その結果、実際は吐出状態が良好で回復処理を必要としない場合に、検出動作が無駄になることを防ぐことができ、見かけの記録速度の低下を抑制することができる。さらに、実際に吐出状態が不良の場合のみ回復動作を行なうことから、回復動作による廃インクの量を少なくすることもできる。
【選択図】図9

Description

本発明は、インクジェット記録装置および吐出回復制御方法に関し、詳しくは、インクを吐出する記録ヘッドの吐出回復動作の実行を制御する構成に関するものである。
インク滴を吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方式の記録装置においては、複数の微細な吐出口およびそれらに連通する液路などを形成した記録ヘッドが用いられる。このインクジェット記録装置では、一定の未使用期間が有ると吐出口近傍のインクの水分や揮発成分が蒸発し、インクの増粘や固化を生じる。そして、増粘などしたインクが正常に吐出できず画像に不良が発生することが知られている。
こうした記録ヘッドの吐出性能低下を回避するため、従来、先ず未使用期間が比較的短時間のときは記録動作前にあらかじめ設けられた吐出受けなどにインク吐出を行い、吐出不良を未然に防止する回復処理(以下、予備吐出と称する)が行われる。また、非使用期間が比較的長期にわたる場合は、吐出口内やヘッド内のインクをリフレッシュする回復処理が行われている。これにより、吐出口内などのインク中の溶存気体、供給チューブのガス透過によって発生した気泡を除去することができる。このような回復処理を行う構成の一形態としては、記録ヘッドの吐出口形成面を覆うキャップと、このキャップに連通するポンプを設けたものがある。この形態では、キャップによって吐出口形成面を覆い、ポンプによってキャップ内に負圧を発生させて記録ヘッドの吐出口からインクを強制的に吸引、排出する。このため、このような回復処理は、吸引回復処理とも言われている。
吐出口付近のインクの水分や溶媒の蒸発によるインクの乾燥に伴うインク増粘ないし固着は、時間の経過と共に増大する。このため、プリンタにおいてその電源がオンの状態や記録の指示があったときなどに前回の回復処理などからの経過時間を取得し、それが所定時間以上経過しているとき、上述した回復動作を実行する形態(以下、タイマ回復ともいう)が採られることが多い。
しかし、これらのタイマ回復においては、ある程度の量のインクを廃棄することとなる。一方、このような廃棄されるインクを減らすことはランニングコストの観点から望ましいことである。例えば、ごく稀にしかプリントを行わないユーザーにとっては、プリントをするごとにタイマ回復が実行され、廃棄されるインク量がプリントで消費するインク量に比べて無視できない量となることもある。
また、良好な吐出特性を維持するために必要な回復処理の量は記録ヘッドごとにばらつきがある。また、環境条件によって記録ヘッドにおけるインク増粘等の程度も異なる。このため、記録ヘッドないし装置によっては必ずしもタイマ回復における所定時間を基準として実行される回復が必要とは限らない。すなわち、場合によっては回復動作が必要以上に行われている可能性もある。
以上のような問題に対し、特許文献1には、複数ページの連続記録時にページごとに予備吐出を実施し、その際に記録ヘッドの吐出状態の検出を行い、吐出不良吐出口がある場合には回復動作を実施する技術が開示されている。しかし、この技術は、ページごとに吐出状態の確認を行うため、見かけの記録速度の低下を招く。また、ページごとに予備吐出を実施することによりインク消費の増大を招くことにもなる。
また、特許文献2には、所定のタイミングで記録ヘッドの吐出速度の検知を行い、その結果に応じて回復動作を実行する技術が提案されている。さらに、特許文献3には、同様に所定のタイミングで記録ヘッドの吐出状態の良否を判定し、それにより回復方法を決定する構成が提案されている。これらの方法によれば、記録ヘッドの吐出状態に応じて回復動作が行なわれることから、回復時のインク消費を削減することはできる。
特開平1−297253号公報 特開2000−272134号公報 特開2005−205615号公報
以上のように、各特許文献に記載の回復動作を実行する制御は、吐出状態を判断しそれに応じて回復動作の実行の可否を決定するものであることから、廃インクの低減ひいてはランニングコスト低減には有効ではある。しかしながら、これらの制御は、先ず吐出状態の検出を行うものであるため、吐出状態が良好で回復処理を必要としない場合は、結果として検出動作が無駄になることになり、程度の多少はあるものの記録速度の低下を免れることができない。これに対し、前述のタイマ回復の制御を用いると、回復実行の可否の判断の第一段階として、経過時間が基準の所定時間を超えているか否かを判断する。これにより、吐出状態が不良となっている蓋然性が低いことを意味する、経過時間が所定時間以下のときは、その後の動作の実行を回避することができる。
本発明は、上述の観点からなされたものであり、その目的は、タイマ回復と同じ時間による制御を採用しつつ、不必要に廃棄されるインク量を抑制できるインクジェット記録装置および吐出回復制御方法を提供することにある。
そのために本発明では、インクを吐出する記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、記録ヘッドの吐出回復動作を行う回復手段と、記録ヘッドからのインク排出に係る動作が行われてからの経過時間を測定するタイマ手段と、該タイマ手段が測定する経過時間が閾値時間間隔を超えたか否かを判断する判断手段と、該判断手段が、前記経過時間が前記閾値時間間隔を超えたと判断したとき、検出手段によって記録ヘッドの吐出状態を検出し、吐出状態が不良であることを検出したとき、前記回復手段によって記録ヘッドの回復動作を行わせる回復実行制御手段と、を具えたことを特徴とする。
また、インクを吐出する記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置における吐出回復制御方法であって、記録ヘッドの吐出回復動作を行う回復手段を用意する工程と、記録ヘッドからのインク排出に係る動作が行われてからの経過時間を測定するタイマ工程と、該タイマ工程で測定する経過時間が閾値時間間隔を超えたか否かを判断する判断工程と、該判断工程で、前記経過時間が前記閾値時間間隔を超えたと判断したとき、検出手段によって記録ヘッドの吐出状態を検出し、吐出状態が不良であることを検出したとき、前記回復手段によって記録ヘッドの回復動作を行わせる回復実行制御工程と、を有しことを特徴とする。
以上の構成によれば、経過時間が閾値時間間隔を超えている場合にのみ記録ヘッドの吐出状態の検出動作を行なうことができる。これにより、吐出状態が不良となっている蓋然性が低いことを意味する、経過時間が閾値時間間隔以下のときは、その後の検出動作の実行を回避することができる。その結果、実際は吐出状態が良好で回復処理を必要としない場合に、検出動作が無駄になることを防ぐことができ、見かけの記録速度の低下を抑制することが可能となる。さらに、従来のタイマ回復のように、経過時間が所定時間を超えているときに一律に回復動作を行なう形態と較べて、実際に吐出状態が不良の場合のみ回復動作を行なうことから、回復動作による廃インクの量を少なくすることもできる。
この結果、タイマ回復と同じ時間による回復実行タイミングの制御を行いながら、不必要に廃棄されるインク量を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<実施形態1>
(1)インクジェット記録装置の機械的構成
(1−1)装置の概略
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態であるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。同図に示す記録装置はいわゆるシリアルスキャン型のプリンタであり、記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向(主走査方向)に記録ヘッドをスキャン(走査)して画像を形成するものである。
図1を用いてこのプリンタの構成および記録時の動作の概略を説明する。まず不図示の給紙モータによりギヤを介して駆動される給紙ローラ6によって記録媒体Pが搬送される。一方、所定の搬送位置において不図示のキャリッジモータによりキャリッジユニット2を上記搬送の方向と直交する方向に延在するガイドシャフト8に沿って走査させる。そして、この走査の過程で、エンコーダ7によって得られる位置信号に基づいたタイミングでキャリッジユニット2に装着された記録ヘッドの吐出口からインクを吐出し、吐出口配列範囲に対応した一定のバンド幅を記録する。なお、記録ヘッドはキャリッジユニット2に対して着脱自在に装着される。その後記録媒体の搬送を行い、さらに次のバンド幅について記録を行う構成となっている。このようなプリンタでは、各走査間でバンド幅分の記録媒体搬送を行う場合もあるし、必要に応じて、1走査毎にバンド幅分の搬送を行わず、複数回走査を行ってから搬送を行う場合もある。また、1走査毎に所定のマスクによって間引かれたデータを記録してから1/nバンド前後の紙送りを行う。そして、再度走査を行うことによって、一画像領域に対し記録に関与する吐出口を異ならせた複数回の走査と搬送とによって画像を完成させる、いわゆるマルチパス記録を行う場合もある。
記録ヘッドに対しては、吐出駆動のための信号パルスやヘッド温調用信号などを供給するためのフレキシブル配線基板9が取り付けられている。フレキシブル基板の他端は、本プリンタの制御を実行する制御回路を備えた制御回路(後述)に接続されている。このキャリッジユニット2に搭載される記録ヘッドには、図2および図4にて後述されるように、6色のインクをそれぞれ貯留するインクタンクから各色独立に、インク供給チューブ45を介してインクが供給される。また、キャリッジユニット2の移動可能な範囲の一部、例えば記録ヘッドのホームポジションには、記録ヘッドの吐出回復動作を行うための回復系ユニット(図5)が設けられる。
なお、キャリッジモータからキャリッジユニット2への駆動力の伝達には、キャリッジベルトを用いることができる。しかしキャリッジベルトの代わりに、例えばキャリッジモータにより回転駆動され、主走査方向に延在するリードスクリューと、キャリッジユニット2に設けられ、リードスクリューの溝に係合する係合部とを具えたものなど、他の駆動方式を用いることも可能である。
送給された記録媒体Pは、給紙ローラ6と不図示のピンチローラとに挟持搬送されて、プラテン4上の記録位置(記録ヘッドの走査領域)に導かれる。通常休止状態では記録ヘッドのフェイス面にはキャッピングが施されているため、記録に先立ってキャップを開放して記録ヘッドないしキャリッジユニット2を走査可能状態にする。その後、1走査分のデータがバッファに蓄積されるとキャリッジユニット2を走査させ、上述したように記録を行う。
(1−2)記録ヘッドの構成
図2は、上記プリンタのキャリッジユニット2に搭載される記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した模式的斜視図である。記録ヘッド9は、走査方向Sに沿って、異なる色調のインク、例えば、ブラック(Bk)、ライトシアン(Lc)、シアン(C)、ライトマゼンタ(Lm)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクそれぞれの吐出部11〜16を配置している。なお、異なる色調は、上記インク色に示すとおり、色、濃度が違うものを含むものである。各吐出部に対しては、インク導入部23から記録ヘッド内部のインク流路を介してインクが供給される。インク導入部23には後述のインクタンクよりチューブを介してインクが導入される。
図3は各吐出部の模式的な斜視図である。各吐出部は、インクを吐出するために利用されるエネルギとして、例えば通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを用いる方式のものである。基板51上にこの発熱部52が所定のピッチで配列され、この発熱部列の2列が並列している。基板51の発熱部列間には、上記インク流路に連通するインク供給口56が設けられている。基板51に対しては、発熱部52に対応した吐出口55と、吐出口55のそれぞれに対応してインク供給口56からインクを供給するためのインク路59とが形成された部材(オリフィスプレート)54が接合されて、吐出部が構成される。
各列では互いに、発熱部52および吐出口55を半ピッチずらして配置することで、所望の記録解像度を実現している。ここで、吐出部11〜16のそれぞれについて同じ記録密度および吐出口数とすることもできるし、異なる記録密度および吐出口数とすることもできる。本実施形態では、Bk用の吐出部11では1cmあたり約245吐出口の密度で640個の吐出口が配列されており、その他のカラーインク用吐出部11〜15では各色とも1cmあたり約490吐出口の密度で1280個の吐出口が配列されている。
なお、本例では発熱部52が基板51に対して垂直方向にインクを吐出させる方式の吐出部を用いているが、平行な方向にインクを吐出させる形態の吐出部を用いるものでもよい。
(1−3)インク供給系
図4は、上記記録ヘッドないし吐出部へのインク供給系の構成例を示す模式的斜視図である。記録ヘッドないし吐出部にインクを供給する方式としては主に2つのものがある。一つは、キャリッジにインクを保持するインクタンクを搭載し、直接記録ヘッドにインクを供給するものである。もう一つは、供給チューブと呼ばれるチューブを用いて、装置の固定部位に配置されたインクタンクと、キャリッジに搭載された記録ヘッドとの間を繋いでインクを供給するものであり、一例として本実施形態ではこの方式を採用している。
インクタンク39Bk、39Lc、39C、39Lm、39Mおよび39Yには、それぞれ異なるブラック(Bk)、ライトシアン(Lc)、シアン(C)、ライトマゼンタ(Lm)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクが収納されている。各色インクタンクに接続されるインク供給チューブ45は、キャリッジユニット2ないし記録ヘッド9の移動(走査)に追従可能な可撓性を有するものである。46は記録ヘッドとともにキャリッジユニット2に搭載されるジョイントであり、各供給チューブ45の他端が接続される一方、記録ヘッド9のインク導入部23に結合するインク導出管45Aを有する(当該接続部分は図示を省略している)。
各インクタンクはPP,PE等の樹脂によりインジェクション・ブロー等により成型され、超音波溶着,熱溶着,接着,嵌合などの技術を用いて組み立てられている。図4では、タンク外装がそのままインクチャンバとして機能する形式のものが例示され、その底部にジョイントゴム44が配置される。一方、供給チューブ45の端部に設けた中空針43がジョイントゴム44を貫通してインクチャンバ内に突入することでインク供給を受けるようになっている。また、各インクタンクに対しては、中空針42を介して大気連通管41が接続され、消費されたインク分の空気がここを通じてインクチャンバ内に供給されることにより内圧をほぼ一定に保つ。記録ヘッドに対して作用する負圧は、吐出口52と中空針42の開口48に形成されるメニスカスとの間の水頭差により発生する。本実施形態において、負圧は−90mmAqに設定されている。また、大気連通管41にはバッファ室41Aが介挿されている。これは、環境変化等によってインクチャンバ内に圧力変化が生じたときにこれを吸収して供給チューブ45ひいては記録ヘッド9側に圧力変動の影響を及ぼさないようにする機能を果たす。例えば、インクタンク内の空気が膨張することによってタンク内から溢れ出るインクを一時的に保持するなどの機能を果たす。
なお、インクタンクの構成としては、上記のものに限られず、例えば内部にインクを充填したインク袋を持つものでもよい。また、内部に多孔質体が充填されてインク含浸保持するとともに、記録ヘッドのインク吐出口に形成されるインクメニスカスを保持するための負圧を発生させるようにしたものであってもよい。また、このような負圧発生機構を有するタンクの形態としては、インクを収納する可撓性の袋を設け、袋の内部または外部に設けられたばね機構等によって袋の内容積を拡大する方向に付勢するようにしたものでもよい。
(1−4)回復系ユニット
キャリッジユニット2の移動領域におけるホームポジション付近には、キャップおよびワイパブレードを含む回復系ユニットが配置されている。
図5は、回復系ユニットの構成例を示す模式的斜視図である。キャップ27は不図示の昇降機構によって昇降可能に支持されており、上昇位置では、記録ヘッドにおける例えば3つの吐出部のフェイス面毎にキャッピングを施し、非記録動作時等においてその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行ったりすることができる。記録動作時には記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、またフェイス面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。
ゴム等の弾性部材でなるワイパブレード21,22はワイパホルダ25に固定されている。ワイパホルダ25はガイド24に沿って、矢印Wで示す図の前後方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。そして、記録ヘッド9がホームポジションに到達したときに、矢印W方向にワイパホルダ25が移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、ワイパがフェイス面等と干渉しない位置に戻す。なお、本例においては、3つの吐出部のフェイス面を単位としてワイピングする2つのワイパブレード21と、吐出部11〜16の吐出面を含む記録ヘッド9の面全体をワイピングするワイパブレード22とが設けられている。
吸引ポンプ29は、キャップ27をフェイス面に接合させてその内部に密閉空間を形成した状態で負圧を発生させることにより吸引を行う。すなわち、この吸引によって、インクタンクから記録ヘッドないし吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。図示の例では、チューブポンプ形態の吸引ポンプ29が用いられる。そして、この吸引ポンプは、可撓性のチューブ28を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、これに向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部とを有する。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることで、ローラは曲面形成部材上で可撓性チューブを押しつぶしながら転動する。これに伴い、キャップ7が形成する密閉空間に負圧が生じてインクが吐出口より吸引され、キャップ27からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる一方、引き込まれているインクはさらに適宜の部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
また、吸引ポンプ29は、そのような吸引回復だけでなく、キャップ27がフェイス面に対向した状態で行われる予備吐出動作によってキャップ27に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップ27に保持されたインクが所定量に達したときに吸引ポンプ29を作動させることで、キャップ27内に保持されていたインクをチューブ28を介して廃インク吸収体に移送することができる。
(1−5)吐出状態検出ユニット
本実施形態のプリンタには、図1では不図示の吐出状態検出ユニットが配設されている。本実施形態ではこれにより吐出状態の良否を判定する。
図6(a)および(b)は、吐出状態検出ユニットの詳細な構成を示す模式図である。本実施形態では、検出ユニットは、記録ヘッドの移動範囲の一部に対応して配設されるものであり、例えば、上述した回復系ユニットに隣接して設けることができる。
図6(a)に示すように、発光素子58から放射された光は発光素子に正対して配設された受光素子59に入射する。これらの発光素子と受光素子は、それらによる光軸60が記録ヘッド9における各吐出部の吐出口配列と平行になるように配置されている。なお、このような構成のほかに吐出口列に対して光軸を斜めに配置しヘッドを移動させながら検出を行う構成であってもよい。発光素子58および受光素子59の下側には、検出のために吐出されたインクを受けるためのインク受け62が設けられる。インク受け62に吐出されたインクは、排出口64を通って所定の吸収体に導かれる。
図6(a)に示すように光軸60上にインク滴61が存在しないときは、発光素子58から発せられた光はインク滴61にさえぎられること無くそのまま受光素子59に到達する。一方、図(b)に示すように、記録ヘッド9から吐出されたインク滴61が発光素子−受光素子間の光軸60を遮ると受光素子からの信号レベルの低下が起こり、これによってインクが正常に吐出されていることを検知することができる。
以上の検出ユニットを用いた吐出状態の検出は、それぞれの吐出部について吐出口ごとに行なわれる。すなわち、検出動作では、先ず一つの吐出部の吐出口列を光軸に沿うように光軸の位置に対向させる。そして、その吐出部における複数の吐出口のうち、例えば一方の端の吐出口から順次吐出し検出を行う。以上の動作を吐出部を順次変更して行う。これにより、記録ヘッドにおいて吐出不良状態があるか否かを検出することができるとともに、吐出不良状態にある吐出口の数を知ることができる。
図7(a)〜(c)は、一つの吐出口の吐出状態検出を受光素子の出力によって示す図である。これらの図において、横軸は発光素子が発光を開始してからの時間を表し、縦軸は受光素子の出力(電圧)を表す。
図7(c)に示すように光軸をインク滴が遮らない状態では、出力曲線69のように受光素子の出力は一定のレベルを保持する。一方、図7(a)に示すように、記録ヘッドからインク滴が吐出され光軸にインク滴が到達すると、出力曲線67はインク滴が光軸60を遮っている間、出力レベルが低下する。そして、インク滴が光軸を通過すると出力が復帰し、元のレベルに戻る。
図7(b)は、ある吐出口の吐出状態が不良の場合を示している。出力曲線68は、吐出不良の状態のうち、吐出量が正常の場合より少なくなる状態のときの出力レベルであり、インク滴の通過が想定される時間帯で、レベルの低下があるが、それが閾値レベル70を下回らないことを示している。なお、吐出不良のうち、全く吐出しない不吐出の場合は図7(c)に示す出力曲線と同じになり、この場合も出力レベルは閾値レベル70を下回らない。このように、吐出口について吐出不良状態にあると、受光素子の出力レベルが所定の時間帯に閾値レベル以下に低下しないことによって、その吐出口が吐出不良状態にあることを検知できる。
なお本実施形態では光学センサを用いて吐出状態の検知を実施しているが、この形態に限られない。例えば、特開2002−127458号公報に記載されるような電極を設ける構成で電極間の導通を検出するものや、音波等の振動を検知するもの等でインク吐出の良否を検知できるものなども同様に使用することができる。
(2)インク
次に、上記構成のプリンタに使用可能なインクについて説明する。インクとしては、色材に染料成分を含むインクおよび顔料成分を含むインク(以下、それぞれ染料インクおよび顔料インクという)や、両成分を含むインクなどがある。
使用する染料としては、従来から当該技術分野において周知の各種染料を用いることができる。例えば、直接染料としてのアゾ染料、フタロシアニン染料、酸性染料としてのアゾ染料、アントラキノン系染料、等が挙げられる。
また、顔料を使用する場合も、従来公知の有機および無機顔料をすべて使用することができる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料およびキレートアゾ顔料等のアゾ顔料やフタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントセキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオイシジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキおよび酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系およびカーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水性に分散可能なら、いずれのものも使用できる。
インクに顔料を分散させるために含有される水溶性樹脂(分散樹脂)は、アミンあるいは塩基を溶解させた水溶液に可溶で、かつ重量平均分子量が3000から30000の範囲が好ましい。さらに、好ましくは5000から15000の範囲であるものがよく、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体あるいは、これらの塩等を使用することができる。
顔料成分と染料成分とを併用したインクとするときには、一般に、顔料:染料(重量比)が8:2〜2:8の範囲であるのが望ましい。より好ましくは、7:3〜3:7(顔料:染料)の範囲とする。
さらにインクは、好ましくは、インク全体が中性またはアルカリ性に調整されていることが、前記した水溶性樹脂の溶解性を向上させ、一層の長期保存安定性に優れたインクとすることができるので望ましい。インクのpHは、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食原因となる場合があるので、好ましくはpH7〜10の範囲とされるのが望ましい。
pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
インクにおいて好適な水性媒体は、水および水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水は種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。本発明のインクは水系インクであり、水の含有量としてはインク全重量の50%以上であることが好ましい。
水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソ−ブチルアルコール等の炭化数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール類のケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルコレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン:エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、従来公知のインクに使用されているものであれば、概ね使用することができる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;チオジグリコール;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の様な水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインクの全重量に対して重量%で1〜49%、好ましくは2〜30%の範囲である。又、上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも混合物としても使用できるが、媒体を併有する場合の最も好ましい液媒体組成は、少なくとも1種の水溶性高沸点有機溶剤、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを含有するものである。
また、インクは、上記の成分のほか、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等をさらに添加することができる。さらに、市販の水溶性染料等も添加することができる。
上記プリンタに適用される各色インクの例を以下に記載する。
(2−1)イエローインク
分散液の作製
顔料[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))]10部、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]30部、および純水60部を混合し、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行った。さらに、この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにしてインクを調製した。
インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、イエローインクを調製した。
・上記で得た顔料分散体1 40部
・グリセリン 9部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 1部
・1,2−ヘキサンジオール 3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000) 4部
・水 37部
(2−2)マゼンタインク
分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、さらに、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した。その後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 39.5部
(2−3)ライトマゼンタインク
分散液の作製
マゼンタインクで使用したポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した。その後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液 8部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 71.5部
(2−4)シアンインク
分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、さらに、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した。その後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 20部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 53.5部
(2−5)ライトシアンインク
分散液の作製
シアンインクで作成したポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
さらに、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した。その後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液 4部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物
(川研ファインケミカル製) 0.5部
・イオン交換水 69.5部
(2−6)ブラックインク(マット紙用ブラックインク)
分散液の作製
表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gとp−アミノ−N−安息香酸3.41gを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して、70℃で撹拌した。ここにさらに数分後、5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾紙(商品名:東洋濾紙No.2;アドバンティス社製)で濾過し、濾取した顔料粒子を十分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液を作製した。
インクの作製
以下の成分を混合し、十分撹拌して溶解後、ポアサイズ3μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過してブラックインクを調製した。
・顔料分散体1 30部
・硫酸カリウム 1部
・トリメチロールプロパン 6部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.2部
(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)
・水 50.8部
(3)制御系の構成例
図8は、本実施形態において用いたプリンタの制御回路の構成例を示す。図8において、101はプログラマブル・ペリフェラル・インターフェイス(以下PPIとする)を示す。このPPI101は、ホストコンピュータ100から送られてくる指令信号(コマンド)や記録データを含む記録情報信号を受信してMPU102に転送するとともに、ホストコンピュータ100に対しては必要に応じプリンタのステータス情報を送出する。また、ユーザーがプリンタに対して各種設定を行う設定入力部やユーザーに対してメッセージを表示する表示部などを有したコンソール106との間で入出力を行う。これとともに、キャリッジユニット102ないし記録ヘッド9がホームポジションにあることを検出するホームポジションセンサや、キャッピングセンサなどを含むセンサ群107よりの信号入力を受容する。
MPU(マイクロプロセッシングユニット)102は、制御用ROM105に記憶された図9〜図12について後述する処理手順に対応した制御プログラムに従って、プリンタ内の各部を制御する。103は受信した信号を格納し、あるいはMPU102のワークエリアとして使用され、また各種データを一時的に記憶するためのRAMである。104はフォント発生用ROMで、コード情報に対応して文字や記録等のパターン情報を記憶しており、入力したコード情報に対応して各種パターン情報を出力する。121はRAM103等に展開された記録データを記憶するためのプリントバッファであって、M行記録分の容量を持つ。制御用ROM105には上記制御プログラムのほか、後述する制御の過程で使用されるデータ(例えば本実施形態の主要部に係るワイピング実行の要否を定めるためのデータ)等に対応した固定データを格納しておくことができる。これらの各部は、アドレスバス117およびデータバス118を介して、MPU102により制御される。
113はキャッピングモータであり、キャップ27の昇降、ワイパホルダ25の移動およびポンプ29の動作の駆動源をなす。114、115および116は、それぞれ、キャッピングモータ113、キャリッジモータ3および給紙モータ5をMPU102の制御に応じて駆動するためのモータドライバである。
109はシートセンサであり、記録媒体の有無、すなわち記録媒体が記録ヘッドによる記録が可能な位置に供給されたか否かを検知する。111は記録情報信号に応じて記録ヘッド9の発熱部52を駆動するためのドライバを示している。124は上記各部へ電源を供給する電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池とを有している。
ホストコンピュータ100からプリンタにパラレルポート、赤外線ポート、あるいはネットワーク等を介して記録データ送信する際、その先頭部分に所要のコマンドが付加される。そのコマンドとしては、例えば記録の行われる記録媒体の種類、媒体サイズ、記録品位、給紙経路、およびオブジェクトの自動判別の有無などがある。また、記録媒体でのインクの定着性を向上するための処理液を付与する構成が採用される場合には、その付与の有無を定める情報等がコマンドとして送信されることもある。
これらのコマンドに従って、プリンタ側では前述したROM105から記録に必要なデータを読み込み、それらのデータに基づいて記録を行う。データとしては、例えば上述したマルチパス記録を行う際の記録パス数や、記録媒体単位面積あたりのインクの打ち込み量および記録方向等を決定するためのものがある。またその他、マルチパス記録を行う際に適用されるデータ間引き用のマスク種類や、記録ヘッドの駆動条件(たとえば発熱部52に印加する駆動パルスの形状,印加時間等)、ドットのサイズ、記録媒体搬送の条件、さらにはキャリッジ速度等もある。
(4)制御手順
図9〜図12は上記構成を用いて行われる本実施形態のプリンタにおける制御手順の例を示す。
(4−1)回復処理のシーケンス制御
図9は、本発明の第一の実施形態にかかる吐出回復制御(クリーニング)処理を示すフローチャートである。
本処理は、電源投入後にプリンタとしての機能を実際に実行可能な状態にするソフトオンまたはホストコンピュータ100からの記録開始コマンドの入力に応じて起動される(ステップS901)。そして、先ずステップS902で現在時刻Taの読み込みを行い、ステップS903で前回の回復処理または記録動作を行った時刻Tbの読み込みを行う。そして、ステップS904で経過時間(クリーニング間隔)Tを算出する。すなわち、回復処理または記録動作は、記録ヘッドからのインク排出に係る動作であり、これによって吐出状態は良好な状態になることからこれらの動作を基点とする。そして、この基点としての動作のいずれかが行われてからの経過時間を測定する。なお、このクリーニング間隔Tは、MPU102またはその他の適切な手段が提供するカレンダ機能により現在時刻Taを知り、RAM103のレジスタ領域等に格納してあるTbの値を読み込むことで算出することができる。
次に、ステップS905において、ステップS904で算出した経過時間Tが規定の閾値時間間隔である時間T0を超えているか否かの判定を行う。肯定判断のときは、ステップS906で、図6および図7(a)〜(c)にて説明した吐出状態の検出動作を行い、次に、ステップS907でその検出に基づき、吐出状態の良否判断を実施する。そして、この判断で吐出状態が不良であると判断したときは、用意された上述の回復系ユニットによって回復動作を行なう(ステップS908)。本実施形態では、この回復動作として、吸引回復、ワイピングおよび予備吐出の組合せをこの順序で行う。
以上のように、本実施形態の回復実行制御によれば、経過時間が基準の所定時間を超えている場合にのみ吐出状態の検出動作を行なう。これにより、吐出状態が不良となっている蓋然性が低いことを意味する、経過時間が所定時間以下のときは、その後の検出動作の実行を回避することができる。その結果、実際は吐出状態が良好で回復処理を必要としない場合に、検出動作が無駄になることを防ぐことができ、見かけの記録速度の低下を抑制することが可能となる。さらに、従来のタイマ回復のように、経過時間が所定時間を超えているときに一律に回復動作を行なう形態と較べて、実際に吐出状態が不良の場合のみ回復動作を行なうことから、回復動作による廃インクの量を少なくすることもできる。
ステップS908の回復動作の後、ステップS909で、ステップS906と同様にして、さらに吐出状態の検知を実施する。そして、ステップS910でさらに吐出不良であると判断された場合にはエラー表示を行う(ステップS912)。
ステップS907で吐出状態が良好と判断されたときは、ステップS911で、時刻Tbの内容を時刻Taに置換し、次に、ステップS913でREADY状態とする。このタイマの更新は、本実施形態では、記録動作または回復処理を行なうことによって更新(リセット)する。具体的には、記録走査ごとにリセットを実施するよう構成している。このように構成することで、各吐出動作によってタイマがリセットされるためにより詳細に記録ヘッドの非使用時間が計測可能となる。なお、このタイマリセットは走査ごとに頻繁に更新する他、排紙にあわせて行っても概略同じような非使用時間の計測が可能となる。ステップS913のタイマの更新が終了すると、ステップS901でソフトオンを受けて図9の処理を行っているときは、記録開始コマンドを受けるまで待機する。このとき、待機してから所定時間経過しても記録コマンドを受けないときには、記録ヘッドの吐出口形成面にキャップを当接するキャッピングを行う。また、ステップS901で記録開始コマンドを受けて図9の処理を行っているときには、ステップS913のタイマ更新の終了に、記録動作を開始する他の記録準備処理を行ってから記録動作を実行する。
図10は、主に、図9に示したステップS907およびS910の吐出状態判断工程の詳細を示すフローチャートである。図10に示すステップS1001、S1002、S1003が、概略ステップS907の工程に該当し、ステップS1004、S1005が概略ステップS910の工程に該当する。
ステップS907の判断処理では、予め記録ヘッドの吐出状態情報の初期値を読み込む(ステップS1001)。本実施形態では、この初期値は、記録ヘッドをプリンタに装着して使用を開始するときに、その記録ヘッドの吐出状態を、図6、図7(a)〜(c)にて説明したようにして検出する。そして、その結果を、本プリンタ本体のRAM103などの記録領域に保存する。これを読み出すことにより、記録ヘッドにおいて吐出不良となっている吐出口の個数を初期値として取得することができる。
次に、ステップS1002において、ステップS906で検出した吐出状態情報とステップS1001で読み出した初期値との比較を行なう。そして、ステップS1003で、ステップS906で検出した吐出状態情報が示す吐出不良の吐出口の数が、初期値が示す吐出不良の吐出口の数から増した数が、N個以上か否かを判断する。この判断で、吐出不良吐出口の数の増加分の数がN個以上(所定数以上)のとき、吐出不良を判断して、ステップS908で回復処理を行なう。ステップS1004、S1005の処理も、ステップS1002、S1003の処理とそれぞれ同じである。
なお、本実施形態では、検出される吐出状態(吐出不良の吐出口の数)に関わらず一定量(レベル)の回復動作を実施する。しかし、吐出状態の判定結果、すなわち、吐出不良となっている吐出口の数に応じて、図14に示すように複数の回復動作から選択できるようにすることもできる。図14において、「クリーニング1」、「クリーニング2」、「クリーニング3」はいずれも、吸引回復、ワイピング、予備吐出をこの順序で行うものである。そして、吸引回復の量が、同図に示すように、「クリーニング1」、「クリーニング2」、「クリーニング3」が、それぞれ0.5g、1.0g、5.5gのように異なる。このように形態とすることにより、吐出状態に応じてより最適な回復動作を実施することができる。
また、記録ヘッドないし吐出部が個別に設けられる場合、あるいは回復機構を吐出部ごとに対応して設ける場合は、回復要否の判断を記録ヘッドないし吐出部ごとに行い、記録ヘッドないし吐出部ごとに回復を実施することもできる。これにより、回復処理によるインクの排出量をさらに低減することが可能である。
同様に、ステップS905の経過時間の判断に用いる閾値を、図15に示すようにインクの種類ごとに設定してもよい。このように制御の最適化を行うことによりさらに余計な動作を省略できるため動作時間・廃インクを削減することができる。図15に示しように、例えば、吐出特性の悪化が懸念されるBkインクに関しては閾値を240hrsとし比較的短く設定する。また、Bkインクよりも若干良いが同じく吐出特性の悪化が比較的早いと思われるCyanインクおよびLightCyanインクについては閾値を360hrsに設定する。その他の色に関しては閾値を720hrs設定としている。
さらに、本実施形態では、ステップS907、S910の判断基準を吐出不良の吐出口の数としているがこれに限られない。例えば、吐出口ごとでなく吐出口の総てあるいは所定数の吐出口を吐出させて検出を行い、受光素子レベルが所定以下に下がらないときは吐出不良とするようにしてもよい。
(4−2)記録処理のシーケンス
図11は、記録処理シーケンスを示すフローチャートである。プリンタの休止状態では、記録ヘッド9ないし吐出部のフェイス面にはキャッピングが施されているため、記録に先立ってキャップを開放して記録ヘッドないしキャリッジユニット2を走査可能状態にする。すなわち、例えばキャップ状態にあるか否かを検出するためのセンサ出力に基づいてステップ1101にて判定を行い、キャップ状態であればキャップ27を下降させてキャップオープン状態とする(ステップS1102)。
次に、ステップS1103で記録に先立ち図9にて上述した回復シーケンスを実施してから、記録媒体の送給を行い(ステップS1104)、記録開始位置に搬送する。また、プリントバッファ121に1走査分のデータが蓄積されたか否かを判定し(ステップS1105)、肯定判定であれば、ステップS1106において、フェイス面に対向しつつも下降しているキャップ27に対して予備吐出を実行する。そして、キャッリッジモータ3によりキャリッジユニット2を走査させ、ステップS1107において蓄積データについての記録動作を実行する。さらに、記録媒体1頁分の記録データの終了や排紙コマンド等に伴う記録媒体の排出(排紙)を行うか否かを判定し(ステップS1108)、肯定判定であればステップS1114にて排紙を行って本手順を終了する。
1走査分の記録動作終了後、またはステップS1105にてデータ蓄積が未了であることが判定された場合、ステップS1108を経て、ステップS1109にてその走査についての記録データ蓄積待機時間Twをリードする。この待機時間は、例えば上述と同様のタイマを用い、各走査において最初にステップS1105で否定判定された場合からの経過時間を測定することで知ることができる。次に、ステップS1110にて、待機時間Twが所定時間Tcを超えたか否かを判定し、否定判定であればステップS1112にて、待機時間Twが所定時間Tpを超えたか否かを判定する。ここでも否定判定であればステップS1105に復帰する。1走査の記録終了後には、このステップS1105での判定は次走査についてのものとなる。
ステップS1110において、待機時間Twが所定時間Tcを超えたと判定された場合には、ステップS1111にてキャッピングを施してから、ステップS1105に復帰し、データが蓄積されるのをさらに待機するようにする。なお、このようにキャッピングが施される場合もあることを考慮し、ステップS1105での肯定判定後にキャップオープンの手順を介挿することができる。
また、ステップS1112にて、待機時間Twが所定時間Tpを超えたと判定された場合には、ステップS1113にて予備吐出を実行してから、ステップS1105に復帰し、データが蓄積されるのをさらに待機するようにする。なお、所定時間Tpと上記所定時間Tcとの関係はTp<Tcとすることができる。
なお、以上の手順では各走査開始直前に毎回予備吐出を行うようにしているが、前回予備吐出を行ってからの経過時間を上記と同様にタイマによって管理し、予備吐出の実行の要否を判定するようにすることも可能である。
また、キャップを開放し記録を開始するまでの間に行われる予備吐出等では、前吐出口について一律の数の吐出を行うようにしてもよいし、経過時間などによって決定される数だけの吐出が行われるようにしてもよい。また、各色吐出部別に数や実行タイミングなどの予備吐出条件を設定してもよい。さらに、特に記録中に行われる予備吐出については、前回走査時までに使用されなかった吐出口についてのみを行うものでもよいし、使用した吐出口を含めすべての吐出口に対して行ってもよい。また、使用吐出口に対しては使用した頻度に基づいて吐出数を減らすようにしてもよい。加えて、予備吐出には、上述のもののほか、記録速度を向上させるために、記録動作を行いながら、記録画像の品位を低下させない適宜の記録媒体上の部位に同時に予備吐出を行うものも含めることができる。
(4−3)記録終了後のシーケンス
図12は、記録終了後に実行されるシーケンスを示すフローチャートである。図11に示したような記録媒体1頁分の記録シーケンス(ステップS1201)が終了すると、ステップS1202においてワイピングを実施するか否かを規定するワイプフラグ(後述)の内容を判定する。そして、オン(セット状態)であればワイピングを行う(ステップS1203)。また、この際ワイプフラグおよびドットカウンタのリセットを行う。
ステップS1204では次頁の記録データがあるか否かを判定し、肯定判定の場合にはステップS1201に復帰して当該次頁の記録データについての記録シーケンスを実施する。一方否定判定であれば、所定時間(例えば55秒)の待機を行う(ステップS1205)。待機しても次頁の記録データが無ければ、ワイピングを行い(ステップS1206)、さらにキャッピングを施して(ステップS1207)、本手順を終了する。
なお、本手順ではワイピング実行の有無を各頁の記録シーケンス終了毎に判断するようにした。これは、ワイピング動作が介挿されることで記録媒体1頁内の走査間に時間差が生じることにより色むらが発生するのを防止する上で有効である。しかし、記録領域が大きいプロッタや、A0判やA1判など比較的大判の記録媒体に対して記録を行うプリンタの場合には、適宜各走査または複数走査毎に判断を行うようにすることも可能である。
本実施形態において、ワイプフラグはRAM103の一部の領域に設けておくことができる。ワイプフラグは、基本的には吐出部の吐出数すなわち記録ドットのカウント値に従ってセット可能である。記録ドットのカウント値は、例えば、1走査分の各色記録データをバッファに蓄積する際や、1走査分の記録中または記録後にドットカウントを行い、例えばRAM103の所定領域に設けたカウントエリアに加算して行くことで得ることが可能である。
(5)その他
なお、上記プリンタに適用されるインク吐出方式には種々のものがある。上述のように通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子が設けられているものを用いてもよく、ピエゾ素子など電気機械エネルギ変換素子が設けられているものを用いてもよい。
また、上述の構成ではブラック、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタおよびイエローのインクを用いる場合について説明したが、用いるインクの色や濃度などの色調数および種類は適宜定め得ることは勿論である。また、ミスト発生量の多いインクをインクC(シアンインク)およびインクF(イエローインク)として説明し、蒸発後の粘度が高くなるインクをインクFとして、それぞれドットカウントの補正を行う場合を説明した。しかし、これらのインクの条件(ミスト発生量や粘度)の大小はインク組成に関わるものであって、それらは単なる例示であることは勿論である。
さらに、上述した実施形態で記載された数値もあくまで例示のためのものであって、本発明がこれに限られないことは言うまでもない。
加えて、上例では所謂シリアルタイプのプリンタに本発明を適用した場合について説明したが、本発明は記録媒体の全幅に対応した範囲に吐出口を配列してなる所謂フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドを用いるプリンタに対しても有効なものである。
<実施形態2>
上述した実施形態1では、吐出状態の検出において、比較する吐出状態検出時を記録ヘッド装着後初めて使用使用する初期とし、その初期値と現状の吐出状態の測定結果を比較することにより吐出良否の判定を実施している。一方、記録ヘッドについては使用履歴や経年劣化によって吐出不良が増加することが知られており、このような場合に対処すべく、初期値の代わりに、前回測定値または直前の数回の測定値を用いてもよい。例えば前回測定値からの差分を用いる場合には、前回測定時にREADY状態S10の直前に測定結果をRAM103のような記憶領域に記録しておき。それを判定に用いることが出来る。
<実施形態3>
また、吐出口ごとに直前数回の吐出状態の測定を行い、その吐出口が、非使用期間によって一時的に吐出不良となっているのか、あるいは経年変化などによって本来的に不良となっているのかを判断し、それに応じて回復動作の実行を行ってもよい。
すなわち、経年変化などによって吐出不良となっている吐出口を判断し、それらの吐出口を除いた状態で、実施形態1で説明した回復動作実行の制御を行なうようにする。これにより、より高精度に検知およびそれに基づく回復実行をすることができる。
図13は、吐出口が、非使用期間によって不良となっているのか、あるいは経年変化などによって本来的に不良となっているのかを判断する処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、先ず、実施中の吐出状態検出が正常に終了した場合、ステップS1301において、直前2回の結果を吐出口ごとに記憶領域より読み込む、次に、ステップS1302において今回の測定結果を吐出口ごとに読み込む。
そして、吐出口を特定するパラメータnを1とし(S1203)、n番目の吐出口の判定値を作成する(S1304)。すなわち、n番目の吐出口について前2回および今回それぞれの吐出状態の判定結果をメモリから読み出して取得する。次に、その結果において吐出状態が良のときは“1”とし、不良のときは“0”として、前2回および今回それぞれの判定結果を加算する(S1305)。そして、この加算結果が2未満か否かを判断する(S1306)。
この判断で、2回以上良と判定された吐出口については吐出状態良好として吐出状態の判定に用いるべく登録する(S1308)。一方、直前3回の測定で良好と判断された回数が2回未満の場合については吐出状態が不良であるとして移行の判定には使用しないようにする(S1307)。
以上処理を総ての吐出口について行い(S1309、S1310)、総ての吐出口について判断が終了すると前2回の判定結果を直前の1回と今回の判定結果によって更新する(S1311)。
以上のような処理によって、記録ヘッドの耐久劣化等により発生した継続的な吐出不良と、非使用期間に蒸発増粘などによって一時的な吐出不良とを切り分けることができる。その結果、本発明の趣旨である長期間の非使用期間後の吐出状態検知をより正確に実施することができる。
<実施形態4>
上述の実施形態1において、記録ヘッドからのインク排出に係る動作が行われたときに前回のインク排出に係る動作を終了してからの経過時間を計時するタイマの更新を行う構成としたが、記録ヘッドから所定量のインクが排出されたときにタイマを更新してもよい。例えば、画像データによっては、記録ヘッドからほとんどインクが吐出されないような場合がある。このようなときに、記録ヘッドからインクが排出されるインク排出動作ではあるものの、記録ヘッドの吐出状態が良好にならない可能性がある。そこで、記録ヘッドから排出されるインク量を検知して、排出されるインク量に応じてタイマの更新を行うか否かを判断する構成にしてもよい。このように、所定量以上のインク排出が行われたときにタイマの更新を行う構成とすることで、インクの吐出状態をより良好に保ちつつ、回復動作による廃インクの量を少なくすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置(プリンタ)の外観を示す模式的斜視図である。 図1のプリンタのキャリッジユニットに搭載される記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した模式的斜視図である。 図2の記録ヘッドに設けられる吐出部の模式的斜視図である。 図2の記録ヘッドへのインク供給系の構成例を示す模式的斜視図である。 図2の記録ヘッドに対する回復系ユニットの構成例を示す模式的斜視図である。 (a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る吐出状態検出ユニットの詳細な構成を示す模式図である。 (a)〜(c)は、図6に示す吐出状態検出ユニットによる一つの吐出口の吐出状態検出を説明する図である。 本発明の実施形態において用いたプリンタの制御回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第一の実施形態にかかる回復(クリーニング)処理を示すフローチャートである。 図9に示したステップS907およびS91の吐出状態判断工程の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による記録処理シーケンスを示すフローチャートである。 よる記録処理後のシーケンスの例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係り、吐出口が、非使用期間によって不良となっているのか、あるいは経年変化などによって本来的に不良となっているのかを判断する処理を示すフローチャートである。 本発明の吐出不良の程度に応じた量の回復を選択するためのテーブルを示す図である。 本発明の実施形態に係り、インクの種類ごとの経過時間に対する閾値の関係を表したテーブルを示す図である。
符号の説明
9 記録ヘッド
11〜16 吐出部
21、22 ワイパブレード
27 キャップ
29 吸引ポンプ
39 インクタンク
58 発光素子
59 受光素子
60 光軸
61 インク滴
100 ホストコンピュータ
102 MPU
103 RAM
105 ROM

Claims (8)

  1. インクを吐出する記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    記録ヘッドの吐出回復動作を行う回復手段と、
    記録ヘッドからのインク排出に係る動作が行われてからの経過時間を測定するタイマ手段と、
    該タイマ手段が測定する経過時間が閾値時間間隔を超えたか否かを判断する判断手段と、
    該判断手段が、前記経過時間が前記閾値時間間隔を超えたと判断したとき、検出手段によって記録ヘッドの吐出状態を検出し、吐出状態が不良であることを検出したとき、前記回復手段によって記録ヘッドの回復動作を行わせる回復実行制御手段と、
    を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記検出手段は、記録ヘッドにおけるインクを吐出するための複数の吐出口のうち、吐出不良となっている吐出口の数に応じて吐出状態を検出するものであり、所定の吐出状態検出時の不良吐出口の数に対する、当該検出時の不良吐出口の数の増加分が所定数以上のとき、吐出状態が不良であることを検出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記所定の吐出状態検出時は、記録ヘッドの使用を始める初期であることを検出することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記所定の吐出状態検出時は、当該検出時の前の検出時であることを検出することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記回復実行制御手段は、吐出不良となっている吐出口の数に応じて、回復動作の量を変化させることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記判断手段は、インクの種類に応じて閾値時間間隔を異ならせることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. インクを吐出する記録ヘッドを用い、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置における吐出回復制御方法であって、
    記録ヘッドの吐出回復動作を行う回復手段を用意する工程と、
    記録ヘッドからのインク排出に係る動作が行われてからの経過時間を測定するタイマ工程と、
    該タイマ工程で測定する経過時間が閾値時間間隔を超えたか否かを判断する判断工程と、
    該判断工程で、前記経過時間が前記閾値時間間隔を超えたと判断したとき、検出手段によって記録ヘッドの吐出状態を検出し、吐出状態が不良であることを検出したとき、前記回復手段によって記録ヘッドの回復動作を行わせる回復実行制御工程と、
    を有しことを特徴とする吐出回復制御方法。
  8. 前記検出手段は、記録ヘッドにおけるインクを吐出するための複数の吐出口のうち、吐出不良となっている吐出口の数に応じて吐出状態を検出するものであり、所定の吐出状態検出時の不良吐出口の数に対する、当該検出時の不良吐出口の数の増加分が所定数以上のとき、吐出状態が不良であることを検出することを特徴とする請求項7に記載の吐出回復制御方法。
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