JP2008188006A - 甘味料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 甘味成分である単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール類に対し、2種以上の多糖類を一定範囲量、配合することで、糖アルコール類に起因する、消化器症状を主訴とする副作用を軽減ないし消失させることができる安全な甘味料。2種以上の多糖類をその特質を生かすことができるように、適宜組み合わせ、配合することで、消化器症状の軽減又は防止効果はより的確なものになる。二糖類とそのアルコール類により引き起こされた消化器症状にも十分な効果を示す。
【選択図】 なし
Description
糖質は生体の重要な栄養源であり、また、すぐれた甘みを有することから甘味料として用いられてきた。糖又は糖アルコールのうち、例えばソルビトール、キシリトール、エリスリトールなど、優れた甘味を有し、かつ消化管で消化酵素により消化されにくいものは、低カロリーの甘味料として、ダイエット食品に限らず広く健康食品に添加されている。また糖尿病患者に適した甘味料として欠くことのできないものである。さらに、ウ触を直接防止する作用が報告されているキシリトールの他、直接的に抗ウ蝕作用が認められない糖又は糖アルコールも、ショ糖の代替甘味料として、食品やガム、歯磨き剤に甘味料として用いれば、口腔内で細菌、酵素による有機酸の生成がほとんど無いので虫歯の発生原因とならず、抗ウ触効果(並びにウ蝕予防効果)が期待できる。
は講じられていない。
程には違いがあり、消化器症状も一様ではない。例えば単糖類アルコールのエリスリトールは約90%が小腸で吸収され、代謝されることなく尿に排泄される。残りの10%が大腸に移動するが、大腸の微生物は発酵させることができず、そのまま排泄されると報告されている(非特許文献3)。人体だけなく、腸内微生物によっても代謝されないことは「ノンカロリー甘味料」として非常に好ましい(最大カロリー0.2Kcal/g)が、大量に服用した場合には未分解の糖は全体量の10%といえども重篤な下痢を引き起こすことになる。
Robayo-Torres CC et al: Disaccharide digestion: clinical and molecular aspects. Clin Gastroenterol Hepatol, 2006 Mar;4(3):276-87. Safwate A et al: Renin-aldosterone system and arginine vasopressin in diarrhoeic calves. Br Vet J 147:533-7,(1991) Arrigoni E, Human gut microbiota does not ferment erythritol. Br J Nutr. 2005 Nov;94(5):643-6. Lian-Loh R, The metabolism of maltitol in the rat. Br J Nutr 1982 Nov;48(3):477-81 Beaugerie L. Digestion and absorption in the human intestine of three sugar alcohols. Gastroenterology. 1990 Sep;99(3):717-23.
きない。
(1)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類の一方は、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる多糖類であり、他方の多糖類は、ペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
(2)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
(3)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類が、ペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
(4)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び3種の多糖類の含有する甘味料であって、3種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる2種の多糖類、及びペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる1種の多糖類であることを特徴とする甘味料
(5)単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び3種の多糖類の含有する甘味料であって、3種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる1種の多糖類、及びペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる2種の多糖類であることを特徴とする甘味料
(6)多糖類の総含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールによる生じる消化器症状を防止するのに有効な量である(1)ないし(5)のいずれか1に記載の甘味料。
(7)多糖類の総含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、2〜50重量%である、(1)ないし(5)のいずれか1に記載の甘味料。
(8)多糖類の総含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、3〜50重量%である、(1)ないし(5)のいずれか1に記載の甘味料。
(9)多糖類の総含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、5〜50重量%である、(1)ないし(5)のいずれか1に記載の甘味料。
その糖アルコール(以下、「糖アルコール類」ということもある。これらは単独でも、2種以上を含んでいてもよい。)の甘味成分と共に、2種以上の多糖類を一定範囲量で摂取することにより、糖アルコール類に起因する、A)下痢、及び/または、B)腸内異常発酵による胃腸症状などの消化器症状を主訴とする副作用を軽減ないし消失させることができ、重度の下痢に続発する脱水症状の予防に有用である。多糖類の性質の違いを利用して、2種以上を適切な割合で配合して投与することで、より少量で的確な効果を発現することが出来る。
酸が生成し、酸性物質が腸粘膜を刺激して蠕動運動を亢進させ、また生成した二酸化炭素、水素、メタンなどが腸内ガスとなり、腹部の膨満感、ゴロゴロ感を増悪させるなどして、止瀉を目指して添加した多糖類によってさらに新たな胃腸症状を発生させる危険がある。
うなものが好ましいかは、用途に応じて選択できる。一般に非水溶性のものは便を柔らかくし、消化管を通過する時間を短くすると考えられており、水溶性のものは非水溶性のものより、さらに水を吸収して膨らむうえ、保水力が優れているため、便量や消化管通過時間を正しく保つ効果が強いと考えられている。これまでの報告から、非水溶性多糖類は消化管を通過する時間を短くし、下痢が生じやすいと考えられてきたが、本発明では、予想に反して親水性の低い多糖類も親水性の高い多糖類と同等程度の効果を発現することが判った([実施例3−2])。また分子量の大きい多糖類(例えばキサンタンガムの分子量は約200万もしくは1200万から5000万)の方が少量で強力な止瀉作用を示す傾向が認められた。配合量が少なくて済むため、摂取が容易で不都合が少ない。
形剤、希釈剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味・着色剤などを配合することができる。
Ery:エルスリトール
SO:ソルビトール
P又はPec:ペクチン
XG:キサンタンガム
GG:グァーガム
AG:アラビアガム
Al:アルジネートナトリウムグリセロール
CMC:カルボキシメチルセルロースナトリウム
感は明らかだったことである。また、便が腸管内で形成されていた動物では、間隔が大きく空いた部分には腸管へ穿刺することによりガスの発生が確認できたものがあった。ガスの発生は、膨満感を相乗的に増悪させるものであろうと思われ、不快な症状があったと推定された。したがって、本発明の参考例、実施例においては、止瀉を判定するには、便の固さだけではなく、量や形、大きさ、表面の滑らかさ等を評価し、腹部の視診、手指による触診で、腹部の膨満感やガスの発生、ガスの移動、さらに下腹部に圧を加えることで容易に排便するかどうかなど、詳細に検討し、評価した。
糖アルコール類による下痢と多糖類による下痢の防止効果を調べた。糖アルコール類のうち、4単糖であるエリスリトール(以下Eryと略すこともある)、5単糖であるキシリトール、キシロース(以下XSと略すこともある)、6単糖としてソルビトール(以下SOと略すこともある) 、二糖類としてマルチトール、多糖類としてペクチン(以下、Pecと略すこともある)、キサンタンガム(以下、XGと略すこともある)、グァーガム(以下、GGと略すこともある)を添加して、モルモットに経口投与し、投与後6時間目まで便を観察した。また、視診、腹部の手指による圧迫などによる触診により、腸内ガスの発生状況の確認も行った。
酸アルミニウムゲル、炭酸カルシウムは日本薬局方には制酸剤、収斂剤、止瀉剤としてあげられている典型的な薬品で、添加量は通常臨床で用いられる量から始め、2〜4倍まで次第に増量しながら効果を観察した。
投与前、正常な便をしているモルモット50匹を、5匹ずつ10群に分け、表2に示すようにキシリトール等の水溶液を経口投与した。
キシリトール1.4g/kgでは下痢は起きなかったが、2.1g/kg投与群では3時間後には手指で押さえると便が容易に変形する程度の軟便の動物が1匹いた。2.8g/kgでは投与後1時間では異常は認められなかったが、投与後2時間ですべての動物に程度の差はあったが、明らかな下痢症状があらわれた。投与後3〜4時間で全動物の便が軟化し、うち2匹が泥状便となり、症状がもっとも重篤になったが、6時間後にはほぼ正常な便に戻った。下痢が続く間、腹部には軽度ないし中等度の膨満が触れたが、ガスの移動は認められなかった。
キシリトール2.8g/kgに、XGを0.09g/kg、0.12g/kg添加し経口投与したところ、2時間目からわずかずつ便が軟化し始め、3〜4時間後に明らかな症状が発現し、ピークに達した。その時点の便の評価を表1に示した。便はXGの量が増加するにつれ正常な便をするものが多くなり、0.18g/kgでは観察時間中に殆どの動物が正常便となり、便の固さには比較例1と比べ、有意差が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。3群とも便量が減り、視診により腹部の特に異常な膨満は認められなかったが、触診でガスの発生と移動が触れた。
キシリトール2.8g/kgに、各々Pecを0.2g/kg、0.3g/kg添加し経口投与すると、0.2g/kgでは、便は2時間目から軟化傾向を示しはじめ、3〜4時間目に3匹が軟便または泥状便となって、便の固さに比較例1と比べ、有意差はなかった。0.3g/kgで軟便は認められず、便の固さには有意差が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。視診により両群とも腹部の異常な膨満は認められなかった。触診でもガスの発生と移動などの異常は特に認められなかった。
正常な便をしているモルモット16匹を表2に示すように3群に分けた。XS2.8g/kgのみを投与した5匹(比較例2)のうち4匹は泥状便ないし軟便、XSにXG0.2g/kg添加した群では、やや軟らかい便の1匹を除いて正常便で、軟便は見られず、便の固さには比較例2と比べ有意差が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。下痢が続く間、腹部には軽度ないし中等度の膨満が触れ、ガスの移動をわずかであるが触れた。Pec0.3g/kgを添加した群では全動物が正常便で、便の固さには比較例2と比べ有意差が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。
2時間後には軟便の動物が多くなり、3時間後には全動物が泥状便となり、6時間後にも3匹は泥状便が続いていた。下痢が続く間、腹部には軽度ないし中等度の膨満が触れたが、ガスの移動は認められなかった。
表3に示すようにEry2.8g/kgに天然ケイ酸アルミニウム0.17g/kg及び/または炭酸カルシウム50mg/kgを加えた場合のいずれも殆どの動物が、3時間目には泥状便または軟便で、6時間目も軽回が見られず、これらの胃腸薬による下痢の防止効果は認められなかった。さらに、添加量を2ないし4倍に増やしたが、80%が泥状又は軟便であったことから、増量しても下痢を防止することはなく、次の1−eグループの多糖類添加群と比べ、下痢の防止効果は全く不十分なものであることが示された。下痢が続く間、腹部には軽度ないし中等度の膨満が触れたが、ガスの移動は認められなかった。
ア)エリスリトール(Ery)にペクチン(Pec)を添加
Ery2.8g/kgにPecを各々0.1g/kg、0.3g/kg、0.5g/kg、1.0g/kg、1.5g/kg添加し、経口投与した。0.5g/kg添加すると便は過半数が正常になり、1.5g/kg添加すると、便は正常よりむしろやや固くなることが判った。0.5g/kg以上を投与した3群で有意な止瀉効果が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。0.1g/kg、0.3g/kg投与群では、下痢の悪化と主に、触診で腹部の膨隆がわずかに感じられたが、ガスの移動は感じられなかった。1.0g/kg、1.5g/kg投与した群では便が固くなる傾向があったが、腹部の異常は感じられず、腹部に圧を加えても動物は特に苦しがる様子は見られなかった。腸内のガスの移動も感じられず、不快な消化器症状を発生させることなく、下痢を防止できたことが判った。
Ery2.8g/kgに、各々XGを0.05g/kg、0.10g/kg、0.15g/kg、添加し経口投与した。XG0.05g/kgの群では、2時間目からわずかずつ便が軟化し始め、3〜4時間後に明らかな症状が発現し、ピークに達した。その時点の便の評価を表4に示した。便はXGの量が増加するにつれ正常な便をするものが多くなり、0.10g/kgでは観察時間中に軟便となる動物はなく、0.15g/kgでも4匹が正常便で、観察時間中に軟便は認められず、いずれの群も便の固さには比較例3と比べ、有意差が認められた(P<0.01、Mann-Whitney 検定)。3群とも便量が減り、視診により腹部の特に異常な膨満は認められなかったが、触診でガスの発生と移動が触れた。
表5に示すようにEry2.8g/kgにPec0.5g/kgさらに天然ケイ酸アルミニウム0.17g/kgと炭酸カルシウム50mg/kgを加えた場合、Pec0.5g/kgさらに天然ケイ酸アルミニウム0.17g/kgを加えた場合のいずれも殆どの動物が正常な便であった。下痢が続く間、腹部には軽度ないし中等度の膨満が触れたが、ガスの移動は認められなかった。1−d)で、天然ケイ酸アルミニウム及び/または炭酸カルシウムを添加することで止瀉効果はないと判ったが、1−f)でPecと併用した場合には、相乗効果が認められることもなく、また、Pecの作用を相殺するようなこともなく、Pecの下痢防止作用に影響を与えることはないことが判った。
SO単味2.8g/kgでは、投与後3〜4時間目に5匹中4匹が軟便または泥状便となったが、Eryと比べれば症状は軽度であると言える結果であった。
5.4重量%添加した場合、腹部の軽度膨満が認められ、便の量が3〜4時間目に減少した。Pecの場合には腹部の膨満は認められず、便の量は通常通りであった。
正常な便をしているモルモット38匹を、対照群(二糖類のアルコールであるマルチトールのみを投与:比較例7)6匹、残りの32匹を、4匹ずつ8群に分け、マルチトールに多糖類のXGまたはGGを表6のように添加して経口投与し、24時間目まで表1の評価基準に従って便の固さを観察し、下痢の発生状況とXGの防止効果を調べた。消化器症状については、膨満感は腹部の視診、触診により、ゴロゴロ感は触診によりガスを発生しているかどうかで判定した。結果を表6に示す。
二糖類のマルチトール2.8g/kgでは全ての動物で泥状便となった。下痢の経過は、単糖類又はそのアルコール類(投与後3時間目で下痢のピークに達する)と比較すると、下痢の発症はいくらか遅く、3時間目に、便が軟化し始め、4時間ですべての動物の便が軟化し、うち5匹が泥状便となった。5時間目には全6匹が泥状便となり、12時間目まで続いた。18時間目を過ぎるころから少しずつ回復傾向が認められ、24時間後には半数が正常な便に戻った。5時間目を過ぎる頃から時間の経過とともに、腹部に圧を加えると動物は苦しむ様子が認められ、放屁があった。腹部は外部から視診でも膨満している様子が確認できた。
マルチトール2.8g/kgに、各々XGを0.07g/kg、0.14g/kg、0.28g/kg、0.56g/kg、1.12g/kg添加し経口投与した。XGを0.07g/kg投与した群では多糖類による止瀉効果は殆ど認められなかった。0.14g/kg投与した群では、3時間目から便が軟化し始め、症状は増悪して5時間目には2匹が泥状便、残りの2匹が軟便となった。この状態は12時間後にも続いており、18時間後
にはいくらか回復傾向が認められ、24時間後には全動物が正常便に復した。XGの下痢防止効果は認められなかった(有意差なし、Mann-Whitney 検定)。
マルチトール2.8g/kgに、GGを0.28g/kg、0.56g/kg、1.12g/kg添加し、経口投与した。GGを0.28g/kg(10重量%)投与した群では、2時間目から便が軟化するものが認められ、4時間後には軟便の1匹を除き泥状便となった。5時間目には全動物が泥状便となり、12時間目まで続いた。18時間目も、4匹が軟便であったが、24時間目には正常に復した。XGと比較し、下痢防止効果は劣っていた。腹部の視診により腹部の膨満、触診ではガスの発生、移動が認められた。
分の1程度で、XGと比べ多かった。腹部の膨満は同程度であったが、触診による苦しみは軽かった。
正常な便をしているモルモット28匹を、対照群12匹(比較例8)にデキストリンのみを投与し、残りの16匹を、4匹ずつ4群に分け、デキストリンに多糖類のXGまたはPecを表6のように添加して経口投与し、24時間目まで表7の評価基準に従って便の固さを観察し、下痢の発生状況とXG及びPecの防止効果を調べた。消化器症状については、膨満感は腹部の視診、触診により、ゴロゴロ感は触診によりガスを発生しているかどうかで判定した。結果を表6に示した。
デキストリン1.4g/kgでは2時間目で便が軟化し始めたが、3時間目には便の排泄が止まり、判定が困難になった。2.8g/kgでも同様に便排泄が止まり、18時間目まで僅かな便の排泄しか認められなかった。下痢の発症、持続時間は二糖類とよく似たものであったが、重篤度は二糖類と比べ、軽度であった。18〜24時間後に、通常の固さの便が大量に排泄された。5時間目を過ぎる頃から時間の経過とともに、腹部に圧を加えると動物は苦しむ様子が認められ、放屁があった。腹部は外部から視診でも膨満している様子が確認できた。
デキストリン2.8g/kgに、各々XGを0.1g/kg、0.3g/kg添加し経口
投与した。XGを0.1g/kg投与した群では2時間目に便排泄が止まり、18時間目まで小さく形の不整な便が僅かずつ排泄した。12時間目に腹部に圧を加えることで、軟便もしくはやや軟便程度のパサパサした形のない便が排出した。放屁があり、便の排出や大きさが不規則であることから、腸管内の便の配列はバラバラであることが推測された。XGを添加することによる止瀉効果は全く認められず、むしろ便が軟化する傾向があり、さらに便の形状が異常になり、便排出がさらに減るなど、デキストリン単味の場合より消化器症状が悪化した。0.3g/kg投与した群でも同様に、2時間目から18時間目まで便排出が殆ど止まったが、下痢の程度はデキストリン単味と同程度で、XGを添加することによる止瀉効果は認められなかった(Mann-Whitney 検定)。両群とも腹部の視診により腹部の膨満、触診ではガスの発生が認められ、動物は苦しむ様子が見られた。両群ともおよそ20〜24時間後に、通常の固さの便が大量に排泄された。
Pecを0.5g/kg、0.8g/kg投与した両群では投与後24時間継続して、通常量、または通常以上の量の便排泄が見られ、6時間ないし12時間目には便が僅かに軟化した。便の形態は一定で表面は滑らかで、両群とも腹部の視診、触診により、腹部の膨満、ガスの発生が認められなかった。デキストリン単味では便排泄が減少するか、止まるが、Pecを添加することで便通が何も投与していない群以上に改善、排泄量も増加し、結果として腹部の違和感がなくなり、消化器症状が飛躍的に改善することが判った。混和液は粘性が比較的低く、内服もしやすい性状であった。
HSD1.4g/kgでは3時間目から18時間目まで便の排泄が減少し始め、その間、便の判定が困難であった。HSD2.8g/kgでは、さらにその傾向が強まり、18時間目まで僅かな便の排泄しか認められなかった。下痢の発症及び持続時間は二糖類とよく似たものであったが、重篤度は二糖類と比べ、軽度であった。およそ24時間後に、通常の固さの便が通常より大量に排泄された。5時間目を過ぎる頃から時間の経過とともに、腹部に圧を加えると動物は苦しむ様子が認められ、放屁があった。
HSD2.8g/kgに、XGを0.3g/kg添加し経口投与した。0.3g/kg投与した群でも同様に、2時間目から18時間目まで便排出が殆ど止まった。下痢の程度はHSD単味と同程度の軽度なものではあったが、便は軟化する傾向にあり、XGを添加することによる止瀉効果は認められなかった(Mann-Whitney 検定)。便の形状は異常になり、便排出がさらに減るなどするため、腹部の視診により腹部の膨満、触診ではガスの発生が認められ、HSD単味の場合より消化器症状がむしろ悪化し、動物も苦しむ様子が観察された。
症状が軽回することが判った。しかしながら、ペクチンの添加量は17.8重量%と大量で、添加量の削減が課題となる。
糖アルコール類は不快な胃腸症状を生じるが、排出される便の性状を観察しているだけでは、胃腸症状の詳細は判定できない部分もある。そこで、以下のとおり4系列の試験を行って、糖アルコールによる胃腸症状と、多糖類によるその軽減効果、下痢防止効果を詳細に評価するため、灌流固定後、または断頭後に開腹して消化器官、消化管内の便の性状を観察した。
の検討を加えた。
モルモット60匹を各群10匹ずつ6群に分け、各群に次に示すように薬物の投与を行った。Ery水溶液は1回投与量が8ml/kgとなるように調整した。 胃腸症状についての検討結果を表8に示す。なお、便の固さは灌流時のものである。
第1群:対照群 蒸留水8ml/kg 3時間後
第2群:E1H群 Ery2.8g/kg 1時間後
第3群:E2H群 同 2時間後
第4群:E3H群 同 3時間後
第5群:E6H群 同 6時間後
第6群:E12H群 同 12時間後
便の固さは灌流時点に排出された便と直腸部分の便を観察し、評価した。対照群はすべて正常便であった。E1H,E2H群は直腸付近では正常な便が形成されていたが、次第に軟便に移行していた。E3H,E6H群はすべて泥状便であった。E6H群の5匹中1匹は泥状便にわずかな軽回が認められたが、形は形成されていなかった。E12H群では全動物でほぼ正常な固さの便が形成されていた。
対照群では55.0±8.8cmで、便の大きさは一定で、その間隔も一定であったが、E1H群では体外に排出される正常便であったが、既に直腸近くまで一部軟便になっていて、大きさは不整、間隔もバラバラになっているなど不定になっており、不快な胃腸症状の発現が推定された。便の形成された長さは22.8±6.9cmであった。この便はEry投与前に形成されたものであると思われた。E2H−E6H群では、腸内はほぼ泥状便で満たされており、形の形成は0cmであった。腸管は水分の多い大量の便で膨張して
いたが、ガスの発生は認められなかった。投与後6時間目には10匹中4匹において、2〜6cmのわずかではあるが便が形成され始め、12時間のE12H群では、ほぼ一定の形をした便が66.0±12.1cm形成されていた。便の間隔は対照群では通常約0.7〜1cmでほぼ一定であるところ、E12H群の一部の動物では8〜10cmの箇所もあり、不定で、ガスの発生が認められた。腸管内に穿刺すると、ガスが排出した。
モルモット40匹を各群10匹ずつ5群に分け、各群に次に示すように薬物投与を行い、一定時間経過後に大腸、結腸、直腸の状態、特に便の形成、配列状況を観察し、腸内のガスの発生、膨満感を調べた。
群 投与薬剤 灌流(投与後)
第7群:E+P0.1g群 Ery2.8g/kg+P0.1g/kg 3時間後
第8群:E+P3H群 Ery2.8g/kg+P0.5g/kg 3時間後
群 投与薬剤 灌流(投与後)
第9群:E+P6H群 Ery2.8g/kg+P0.5g/kg 6時間後
第10群:E+P12H群 Ery2.8g/kg+P0.5g/kg 12時間後
モルモット10匹を各群5匹ずつ2群に分け、各群に次に示すように薬物投与を行った。PはEry投与の16時間前と8時間前に1日量の3分の1ずつを投与(Pec懸濁液の1回量2ml/kg)し、3回目にはEryと同時に投与する。3時間後に大腸、結腸、直腸の状態、特に便の形成、配列状況を観察し、腸内のガスの発生、膨満感を調べた。
第11群:E+P0.3/分3群 Ery2.8g/kg+P0.3g/kg/分3 3時間後
第12群:E+P0.6/分3群 Ery2.8g/kg+P0.6g/kg/分3 3時間後
群 投与薬剤 灌流(投与後)
第13群:E+P1.0g群 Ery2.8g/kg+P1.0g/kg 6時間後
第14群:E+P1.5g群 Ery2.8g/kg+P1.5g/kg 6時間後
便の固さ、間隔の判定と便の形成された長さは、上記の比較例11も加えて評価を行った。結果は以下の表11〜15に示す
結果を表11に示す。
参考例2−1の第4群のE3H群(Pecを添加せずEryのみ投与)は10匹すべてが泥状便であったが、第7群(E+P0.1g群:P0.1g/kg添加)では10匹中、泥状便の動物が5匹、軟便の動物が3匹で、肛門から2〜3cm程度の便の形成がみられた。残りの2匹はやや軟便で、23cm、42cmの便が形成されていたが、その間隔は不定で、間隔が10cm以上開いているところも散見された。間隔が大きく空いた部分に穿刺するとガスが排出し、ガスの発生が確認できた。
下痢防止の十分な効果を得、かつ胃腸症状の軽減を図るためには、Pecは約0.5g/kg添加しなくてはならないことが判ったが、さらに血漿AVP、血漿浸透圧を計測することで、全身状態及び脱水の危険性の有無を検討した。血液の採取は、投与後、3時間でギロチンを用いて断頭、その直後に採取、すぐに遠心沈殿して血漿を採取し、非特許文献(Takeda T et el: Antidiuretic hormone (ADH) and endolymphatic hydrops. Acta Oto
laryngol Suppl 519: 219-22,(1995))と同様の方法で、血漿AVPを測定した。
結果は表13に示す。便の固さは灌流時のものである。
は便の間隔が10匹中9匹で一定であることで、Eryのみの第6群(E12H群:12時間後)と比べ、有意に胃腸症状の軽回が認められた(P<0.001、Mann-Whitney 検定)。
参考例1の1−eグループで、便が無投与の動物より固くなる傾向が見られたことから、便秘あるいは宿便になる傾向があるかどうかを開腹して調べた。さらにそのほかの副作用の存在を腸管周辺、腸管内部を調べた。
モルモット20匹を各群10匹ずつ2群に分け、各群に次に示すように薬物投与を行い、一定時間経過後に腸内の状態、特に便の形成状況を観察した。いずれの群も、1回の投与量は8ml/kgとなるように調製した。
対照群[比較例11] XS2.8g/kg 3時間後
XG添加群 XS2.8g/kg+XG0.2g/kg 3時間後
結果を表16に示す。
以上に示したように、適量の多糖類を添加することで糖アルコール類を摂取することに
より生じる下痢を防止することに成功し、不快な胃腸症状も抑制できたことから、さらに糖アルコール類と多糖類の組み合わせを変えて、下痢の防止効果を観察した。
正常な便をしているモルモット12匹を2群に分け、表17に示すように薬物投与を行い、その後3時間、便を観察し、下痢症状の最も重篤な状態の評価を表17にまとめた。
正常な便をしているモルモット8匹を2群に分け、次に示すように薬物投与を行い、その後6時間、便を観察した。結果を表18に示す。
正常な便をしているモルモット5匹に、0.3g/kg(10.7重量%)の寒天を添加したSO水溶液(8ml/kg)を投与した。その後3時間、便と消化器症状を観察した。結果を表19に示す。
正常な便をしているモルモット5匹に、0.2g/kgのAlを添加したSO水溶液(8ml/kg)を投与した。その後3時間、便を観察した。結果を表20に示す。
正常な便をしているモルモット5匹に、0.3g/kgのカラギーナンを添加したSO水溶液(8ml/kg)を投与し、その後3時間、便を観察した。結果を表21に示す。
正常な便をしているモルモット5匹に、次に示すように薬物投与を行い、その後6時間、便を観察し、その結果を表22に示した。
正常な便をしているモルモット5匹にGG(0.28g/kg)を配合したSO水溶液を投与し、その後6時間、便を観察し、その結果を表23に示した。
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、次に示すように薬物投与を行い、その後6時間、便を観察し、その結果を表24に示し、E3H群と比較検討した。
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、次に示すように薬物投与を行い、その後6時間、便を観察し、その結果を表25に示し、E3H群と比較検討した。
クチン(Pec)に代表される整腸作用に優れたものがある。
XGと同様止瀉作用に優れた多糖類としては、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムなどがある。
一方Pecは参考例2の2−2−aの結果から、止瀉に17.9重量%の大量を要するため、添加量が多くなる欠点がある。また、他の多糖類、オリゴ糖などを重複摂取する場合、何らかの胃腸障害が生じる可能性があるので、注意を要する。ただし、Pecはその3倍の53.6重量%もの大量を添加しても、便が添加量に比例していくらか固くなる傾向があるが、便の表面は滑らかで排泄量も通常かそれ以上で、排便に障害はなかった(参考例1−c、2−2−d)。腸管内での便の配列は規則正しく、整腸作用が優れている。視診、触診でも腹部の膨満感、ゴロゴロ感が生じず、動物も苦しがる様子がなかった。Pecと
同様に、好ましい整腸作用を有し、かつ止瀉作用も発現するものとして、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルセルロースなどがある。Pecより粘性の高い寒天、アルジネートナトリウムはPecより止瀉効果に優れ、CMCはPecとほぼ同程度の止瀉作用を示した。
XGグループは止瀉作用に優れるが、腸内発酵の増悪、便排泄量の減少などの胃腸症状が発現する。一方、Pecグループは止瀉には比較的大量を要する傾向があるが、整腸作用に優れている。各々の多糖類の特質を吟味し、異なった特徴を持つXGグループ、Pecグループから各々1種ずつの多糖類を組み合わせることで、より少量で的確な止瀉効果を発現させつつ、胃腸症状を生じずに、形の整った便を通常量排泄させることを可能にすることを見出した。
XGグループの多糖類は、2種以上を組み合わせると飛躍的に粘度が上昇する。本発明ではこの事実を利用して、複数種組み合わせたところ、添加量を減し、止瀉作用を向上させ、且つ腹部の膨満感、ゴロゴロ感も軽くすることができることを見出した。例えば同じ0.5%の溶液の場合、GG単味の粘度に対し、XG1:GG3の粘度は数倍〜数十倍と、飛躍的に高くなり、0.5%XG溶液とほぼ同じまたはそれ以上に粘調になることが知られている。同様の現象はAGについても見られ、XG+AG,XG+ローカストビーンガム、XG+タラガム、GG+ローカストビーンガムなどというように、複数の多糖類を組み合わせることで、粘性を飛躍的に高めることも知られている。これによって、投与量を削減することが可能である。実際に複数種組み合わせたところ、少ない添加量でも、止瀉作用を向上させることができ、添加量が少ないため腹部の膨満感、ゴロゴロ感も軽くす
ることを見出した。
Pecを単独に加えた場合の問題点は、止瀉を実現するために大量に添加しなくてはならないことである。Pecグループから2種以上を組み合わせることで各々の特質を生かしながら、添加量も比較的少量で止瀉作用を発現することを見出した。例えば、アルジネートナトリウムとPecの混和物は、粘性は両剤の中間的な値となったが、止瀉効果は各々を単独で加えた場合と比較し、少ない添加量で十分な効果を発揮することが判った。また、Pecやアルジネートナトリウム等を糖アルコール溶液に混和するとゲル状になり、添加量が増えるにしたがってパサパサして一体感がなくなり、嚥下が困難になる場合もあるが、CMCを加えることでその問題点が解決することを見出した。すなわち、CMC+PecまたはCMC+Alの混和物は、どちらも非常に流れがよい混和物で、服用が容易となり、様々な投与法が可能となることを見出した。
[0204]に示したように、XGグループの多糖類は、2種以上を組み合わせると飛躍的に粘度が増すことが出来る。添加量が少ないことから、腹部の膨満感、ゴロゴロ感を軽くすることができたが、さらに好ましい整腸作用を得るため、Pecグループから1種選び混合したところ、より少ない添加量で、滑らかな便を排泄させることが出来た。排泄量の減少はごく僅かであった。
多糖類の多様な特質を吟味し、止瀉作用の強いXGグループに、Pecグループから2種加えることで、少ない添加量で止瀉作用と整腸作用を図りつつ、同時に内服も容易にすることが出来た。[0203]のとおり、CMCを加えることで、XGグループの粘性は全く発現しない。これにPecグループからさらに1種以上加えることで、整腸作用を確実にし、内服時に問題になる用量の削減と流れも良好にすることに成功した。
消化器症状が悪化することを見出した。それを解決するため、さらに多糖類を配合して、各々の組み合わせによる症状の変化を観察し、Pecグループの多糖類を1種または2種添加することで消化器症状の改善が図れることを確認した。
〔1−1: エリスリトールとXG+ペクチン(Pec)〕
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、粘度が非常に高いXGと親水性の高いPecとを表26のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、粘度が非常に高いXGと親水性の高いAl(Pecより粘性が高い)とを表27のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
.001、Mann-Whitney検定)。下痢症状は4〜4.5時間目でピークとなり、通常より約1時間遅かった。XGを0.09g/kgに増量する(多糖類合計で10.4重量%)と、3〜4時間目に少し便量が減少し、大きさと形が不揃いになる傾向か認められたが、より優れた止瀉効果が得られた。腹部膨満は認められず、下腹部に強く圧を加えても、動物は苦しむこともなかった。正常な便は表面の滑らかであり、目的を達することが出来た(P<0.001、Mann-Whitney検定)。
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、粘度が非常に高いXGと親水性の高いCMC(Pecより粘性が低い)とを表28のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット10匹を2群に分け、粘度がXGより劣るGGと親水性の高いPecとを表29のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
%)では止瀉効果は認められなかった。GGを0.18g/kgに増量(多糖類合計で13.6重量%)して、止瀉をはかることが出来た(P<0.001、Mann-Whitney検定)。腹部膨満が認められ、便の排泄量が減り、形態も小さく不揃いであった。参考例3−9の結果に示すとおり、GG単独の添加では止瀉を実現するには、20重量%の添加が必要で、XGより劣るもので、ガスの発生など副作用はXGと同様に認められた。Pecと組み合わせることで、単独の添加と比べ少量で止瀉を実現し、且つ胃腸症状を軽減できた。ただし、投与するゲル剤はGGの量が増えると流れが悪くなり、飲料用添加物としては使用が困難である。また嚥下の困難な消費者には適しないものであると思われた。
正常な便をしているモルモット5匹に、粘度がXGより劣るGGと親水性の高いAlとを表30のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
〔エリスリトール(Ery)とXG+グァーガム(GG)〕
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、イ)でXGグループで粘度が非常に高いXGと比較的粘度の低いGGを表31のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
〔3−1: エリスリトールとPec+カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)〕
正常な便をしているモルモット15匹を3群に分け、Pecグループで整腸作用に優れるPecとCMCを表32のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット5匹に不溶性のHPCと水に懸濁するCMCとを表33のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
1、Mann-Whitney検定)。HPCは不溶性で懸濁しにくいが、CMCを加えることで水に懸濁し、止瀉作用を発現した。非水溶性のものは便を柔らかくし、消化管を通過する時間を短くするため下痢が生じやすいとされてきたが、予想に反し止瀉作用を発現した。便の排泄量は減少することもなく、下腹部に圧を加えでも、動物は苦しむこともなかった。
〔4−1: エリスリトールとキサンタンガム(XG)+グァーガム(GG)+カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)〕
正常な便をしているモルモット10匹を2群に分け、XGとGGを混和することで、粘度を飛躍的にあげ、そのことで添加量を少なくし、親水性の高いCMCとを表34のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット10匹を2群に分け、XGとAGを混和することで、粘度を飛躍的にあげ、そのことで添加量を少なくし、親水性の高いCMCとを表35のように組みあせてEryに添加し、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
〔エリスリトールとキサンタンガム(XG)+ペクチン(Pec)+カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)〕
正常な便をしているモルモット11匹を2群に分け、XG、Pec、CMCとを表36のように組みあせて添加して投与後6時間目、または3時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
〔6−1: エリスリトールを増量、キサンタンガム(XG)+ペクチン(Pec)〕
([0200]の〔その1〕の組み合わせ)
正常な便をしているモルモット30匹を6群に分け、Eryを25%、50%増量して、XGとPecとを表37のように組みあせて添加して、投与後6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット10匹を2群に分け、Eryを50%増量して、XG+Pec+CMCを表38のように組みあせて添加して6時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
が高くなり摂取が困難になる。しかし、さらにCMCを加えることで非常に流れが良いものとなり、摂取時の口当たり、舌触りなどに優れた材質になった。これは糖アルコール類に過敏な個体に大量の多糖類を添加しなくてはならない場合にも、違和感なく摂取でき、経管栄養に、飲料の甘味料にと利用の範囲が広がる。
二糖類のマルチトールは、XGグループまたはPecグループの多糖類を一種だけ添加して止瀉をはかるには、大量に添加する必要があり、結果として腸内異常発酵症状など胃腸障害を招くおそれがある。そこで、多糖類の複数種組み合わせることで、少量でかつ不快な胃腸症状を発現することなく、二糖類のマルチトールの瀉下効果を阻止できるかどうかを調べた。
正常な便をしているモルモット10匹を2群に分け、粘度が非常に高いXGと親水性の高いCMC(Pecより粘性が低い)とを表39のように組み合わせてマルチトールに添加し、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
便の判定が困難なほどであった。
正常な便をしているモルモット5匹に、PecとXGを表40のように組みあせてマルチトールに添加し、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
(〔その1〕)
正常な便をしているモルモット5匹に、粘度が非常に高いXGと親水性の高いAl(Pecより粘性が高い)とを表41のように組みあせてマルチトールに添加し、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット5匹に、XGより粘度が小さいGGと親水性の高いCMC(Pecより粘性が低い)とを表42のように組みあせてマルチトールに添加し、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット4匹に、XGより粘度が小さいXGと親水性の高いCMC(Pecより粘性が低い)とを表43のように組みあせてマルチトールに添加し、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
デキストリン又はHSDによる便秘状態と腹部膨満感は、多糖類のうち、ペクチンを添加することによって、一定の解消を見たが、その添加量は17.8〜28.9重量%、又は17.8重量%と大量で、添加量の削減が課題となる。
正常な便をしているモルモット4匹に、XGとPecを表44のように組みあせてデキストリンに添加し、投与後、24時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
正常な便をしているモルモット4匹に、XGとPecを表45のように組みあせてHSDに添加し、投与後24時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
Pec0.5g/kg単独の配合(17.9重量%)で便通が通常に復し、便も滑らかで胃腸症状が改善した(参考例1−j)が、XGとPecを組み合わせた場合には、Pec単独より少量(8.9重量%)で消化器症状の改善に成功した。便排泄量は減少することなく、視診、触診によって、腹部膨満感、ガスの発生は少ないことが確認できた。
少糖類は結合剤、溶解補助剤などで医薬品、食品に添加されている。少糖類を糖アルコールに添加した場合、どのような影響があるかを調べた。糖アルコールはEry、少糖類はデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HSD)と組み合わせ、さらに多糖類としてペクチン(Pec)を組み合わせて、投与後24時間目まで、瀉下作用、止瀉効果を観察した。結果を表46に示す。
9−1 Ery2.8g/kg デキストリン:0.5g/kg
9−2 Ery2.8g/kg デキストリン:0.5g/kg Pec:0.2g/kgまたは0.5g/kg
9−3 Ery2.8g/kg HSD:0.5g/kg
9−4 Ery2.8g/kg HSD:0.5g/kg Pec:0.15g/kgまたは0.4g/kg
デキストリンを配合すると、Ery単味の投与の場合より下痢症状は早期に現れ、程度も重篤なものとなり、便通が2時間目から殆ど止まった。視診、触診で、腹部の膨満、圧痛が観察され、腹部膨満感などの胃腸症状の悪化が認められた。このような胃腸症状の悪化はEry単味では殆ど認められなかったもので、これはデキストリンによる便の排泄量が減少に起因すると考えられる。
EryにデキストリンとPec0.2g/kgを配合すると、便排泄量は通常よりいくらか減少するが、〔9−1〕のデキストリン単独配合の場合と比べると改善は著しかった。さらに投与後8時間目には排泄量が通常通りになり、便の固さも軟便ないしやや軟便まで回復した。便が止まることもなく、下痢の程度も持続時間も短かったことで、動物の苦しみ方も軽かった。Pec0.5g/kgに増量すると有意な止瀉効果が認められ(P<0.05、Mann-Whitney検定)、全過程をとおして軟便になる動物はいなかった。
EryにHSDを配合すると、デキストリン配合の場合と同様、Ery単味の投与の場合より下痢症状は早期に現れ、程度も重篤なものとなった。かつ、視診、触診で、腹部の膨満、
圧痛が観察され、腹部膨満感などの胃腸症状の悪化が認められた。このような胃腸症状の悪化はEry単味では殆ど認められなかったもので、これはHSDによる便の排泄量が減少に起因すると考えられる。ただし、デキストリンより症状は軽度であった。
正常な便をしているモルモット4匹に、EryにHSDとPec0.15g/kgを配合すると、便排泄量は通常より僅かに減少するが、〔9−3〕のHSD単独配合の場合と比べると改善は著しかった。さらに投与後8時間目には排泄量が通常通りになり、便の固さも軟便ないしやや軟便となり、〔9−3〕のEryとHSD群と比べ、投与後6〜8時間後の早期に改善した(P<0.05、Fisher-Yates test)。便が止まることもなく、下痢の程度も持続時間も短かったことで、動物の苦しみ方も軽かった。Pec0.4g/kgに増量すると有意な止瀉効果が認められ(P<0.05、Mann-Whitney検定)、全過程をとおして軟便になる動物はいなかった。
さらに、2種の多糖類を添加して同様に観察を行なった。
正常な便をしているモルモットに、EryにデキストリンまたはHSDを配合し、さらにPec+CMCを表47のように添加して、投与後12時間目まで便と消化器症状の観察を行った。
〔 エリスリトール(Ery)とポリビニルピロリドン(PVP)〕
体重280−350gで、正常な便をしているモルモット5匹に、Ery2.8g/kgにポリビニルピロリドン(PVP)0.2g/kg(約7.1重量%)を添加、経口投与し、6時間、便の性状を観察し、判定した。結果を表48に示す。
り、6時間後も下痢が続いていた。下痢の程度はEry単味の場合以上に激しかった。
〔エリスリトール(Ery)、ソルビトール(SO)とゼライス〕
同じく、280−350gのモルモット10匹に、表49に示すように糖アルコール類としてEry又はソルビトールに造粘剤としてゼライスを添加し、経口投与して、便の性状を観察し、3時間後灌流固定、消化管内の観察を行い、判定した。
SOにゼライスを添加した群では時間経過とともに次第に便が軟らかくなり、3時間目で5匹中4匹が泥状便又は軟便となった。この下痢は、SO単味の場合とほぼ同様の程度で、有意差はなく、どちらの組み合わせにおいても、ゼライスの下痢の防止効果は全く認められなかった。糖アルコール類の消化器症状を防止するためには多糖類の添加が必要であることが判った
多糖類を単味で投与した場合の便及び消化器官へどのような影響があるかを調べるため、正常な便をしているモルモット5匹 (体重280−350g)に、ペクチン0.5g/kgを経口投与し、便の状態を観察し、3時間後に灌流して消化管内部の状態を観察、検討した。
Claims (9)
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類の一方の多糖類は、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる多糖類であり、他方の多糖類は、ペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び2種の多糖類の含有する甘味料であって、2種の多糖類が、ペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる多糖類であることを特徴とする甘味料
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び3種の多糖類の含有する甘味料であって、3種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる2種の多糖類、及びペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる1種の多糖類であることを特徴とする甘味料
- 単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコール、及び3種の多糖類の含有する甘味料であって、3種の多糖類が、キサンタンガム、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及びタラガムよりなる群から選ばれる1種の多糖類、及びペクチン、アルジネートナトリウム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカラギーナンよりなる群から選ばれる2種の多糖類であることを特徴とする甘味料
- 多糖類の総量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールによる生じる消化器症状を防止するのに有効な量である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の甘味料。
- 多糖類の総量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、2〜50重量%である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の甘味料。
- 多糖類の含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、3〜50重量%である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の甘味料。
- 多糖類の含有量が、単糖類、少糖類、又はそれらの糖アルコールに対し、5〜50重量%である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の甘味料。
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