JP2008186874A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサにおいて、その導電性高分子の生成工程での、誘電体酸化皮膜への影響に着目し、漏れ電流の小さい電解コンデンサを得る。
【解決手段】アルミニウム箔の表面に形成されるエッチング処理層と、前記エッチング処理層に陽極酸化によって形成される誘電体酸化皮膜層と、酸化剤と重合性モノマーとの重合反応によって導電性高分子を前記誘電体酸化皮膜層と接触させて形成した固体電解質層と、を備える固体電解コンデンサにおいて、前記アルミニウム箔に含まれる鉄濃度を50ppm以下にするとともに、エッチング処理により、前記アルミニウム箔の表層近傍に点在する前記鉄を選択的に溶解して、前記エッチング処理層に含まれる前記鉄の濃度を低減させて前記酸化剤により前記鉄と前記固体電解質層の接触頻度を低下させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサ、特に導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサに関するものである。
近年の電子機器の小型化、高速化、高周波化に伴い、電解コンデンサにおいても小型化、高周波性能の向上が求められている。従来、固体電解コンデンサの固体電解質としては二酸化マンガン等の無機半導体が用いられていたが、これらの物質の電導度は必ずしも高いものではないため、高周波領域でのインピーダンスが大きく、このような固体電解コンデンサでは高周波対応の電子機器へ応用することが困難になりつつある。このため、より電導度の高い導電性高分子を固体電解質として用いた高周波数領域でのインピーダンス特性が改善された固体電解コンデンサが開発されている。
導電性高分子を固体電解質とした固体電解コンデンサとしては、巻回型、単板型、積層型のいずれもが実用化されている。このうち、巻回型の固体電解コンデンサは、アルミニウム箔をエッチングするとともに誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子の内部に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した構成となる。また単板型の固体電解コンデンサは長方形状に切断したアルミニウム箔を、陽極部と陰極部に区分し、これらのアルミニウム箔の陰極部に導電性高分子からなる固体電解質層を形成し、さらに固体電解質層に陰極層を形成した構成となる。さらに、積層型の固体電解コンデンサは単板型の固体電解コンデンサに用いられるアルミニウム箔を複数枚積層してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子の内部に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した構成となる。いずれの構成の固体電解コンデンサも、アルミニウム箔の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、さらに誘電体酸化皮膜の上に導電性高分子層を形成し、誘電体酸化皮膜を絶縁層、そして導電性高分子層を固体電解質として真の陰極として作用させている。
ところで、上述したような固体電解コンデンサの陽極として用いられるのは高純度のアルミニウム箔である。粉のアルミニウム箔には鉄、銅、シリコン等の不純物が微量ながら含まれている。このうち、アルミニウムに対して鉄の固溶限は、常温付近では20ppm程度とされる。そして、アルミニウムに固溶されない鉄は、アルミニウムの結晶粒界に析出した状態となっている。そして、この結晶粒界に析出した鉄がアルミニウム箔の表面に露出すると、この点がエッチング開始点となり、エッチング効率の改善することが知られている。
(エッチング前のアルミニウム箔とエッチング後のアルミニウム箔の構成の違い)
そして、エッチング工程では、鉄が溶解するとともに、鉄の周囲でのアルミニウムの溶解がより早く進行するため、鉄が完全に溶解しなかった場合でも、鉄がアルミニウムの表面からエッチング液側に遊離するようになる。このため巨視的にみると、アルミニウム箔の表面の鉄は選択的に溶解されるため、アルミニウム箔の表面では、エッチング前の鉄濃度に比べ、エッチング後の鉄濃度は低くなる。
このような特性を利用して、エッチング効率の改善を図った技術としては特許文献1に記載されたものが知られている。
特開平5−152170号公報
上記のような導電性高分子からなる固体電解質層の形成方法としては、化学酸化重合及び電解重合による方法がある。このうち電解重合の場合、一個に数点の重合用電極を取り付けることが必要となることと、導電性高分子が電極上にフィルム状に形成されるため大量に製造することに困難であるという問題があるが、重合性モノマーと酸化剤を接触させることによって重合性モノマーの高分子化を図る化学重合手段の場合は、そのような問題は無く、電解重合と比較して大量の導電性高分子層を容易に得ることができるという利点がある。
しかし、重合性モノマーを酸化剤によって重合して、導電性高分子からなる固体電解質を形成した固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子に固体電解質層を形成した後に再化成を行った場合でも、漏れ電流が大きくなってしまう場合があることが判明した。
発明者らは、この現象に着目し、そのメカニズムについて検討を行った。そして、その原因について、アルミニウム箔に含まれる鉄に着目した。
アルミニウム箔の中に鉄が含有されていると、前述したようにエッチングの開始点となり、エッチング効率を改善することができるため、従来はアルミニウム箔に所定量の鉄を含有させることが行われてきた。しかし、エッチングの後にもアルミニウム箔の表面に鉄が露出している場合には、その後に陽極酸化皮膜の形成工程を経ても、鉄の上にはアルミニウムの陽極酸化皮膜は形成されない。
しかしながら、鉄が露出したままであったとしても、その露出部分が微小なものであれば、その鉄の露出部分の周囲のアルミニウムで誘電体酸化皮膜が形成されることで、露出した鉄が被われるため、アルミニウム箔の表面上に露出した鉄が固体電解質と接触する機会は少ない。
(電解液タイプの電解コンデンサとの対比)
さらに、従来より知られる電解液を用いた電解コンデンサでは、アルミニウム箔の表面に露出した鉄が電解液と接触した場合でも、鉄が電解液中に溶出し、アルミニウム母材から遊離してしまい、アルミニウムが露出した部分には再化成により、誘電体酸化皮膜が形成されるため、漏れ電流が小さなものとなっていた。
(二酸化マンガンタイプ固体電解コンデンサとの対比)
また、固体電解質の中でも、二酸化マンガンを固体電解質として用いた場合には、固体電解質層の二酸化マンガンから、アルミニウムに対して酸素が供給されるために、皮膜修復性が高い。このため、アルミニウム箔の表面に鉄が露出していた場合でも、周囲のアルミニウムが陽極酸化して、誘電体酸化皮膜層の厚さが増加することにより、鉄の露出部分が被われてしまい、鉄が露出した状態が修復されると考えられる。
これに対し、導電性高分子を固体電解質を用いた固体電解コンデンサでは、アルミニウム箔に含有されている鉄と固体電解質が接触した場合には、鉄は固体電解質によって固定されてしまい、アルミニウム箔表面から遊離することができない。このため、鉄が露出した部分と固体電解質層が直接接触することにより、電流がパスする部位となり、漏れ電流が流れてしまうことになる。そして、導電性高分子はアルミニウム酸化皮膜の皮膜修復作用がほとんどないと考えられており、鉄が露出した部分およびその周辺のアルミニウムも、その後の再化成によっても誘電体酸化皮膜が形成されないと考えられる。
さらに、重合性モノマーを酸化剤によって重合させて、導電性高分子よりなる固体電解質層を形成する際、酸化剤をアルミニウム箔に接触させることになる。酸化剤は酸性であり、アルミニウム箔表面に接触した酸化剤が、アルミニウム箔の誘電体酸化皮膜を溶解させてしまう場合があった。そして、誘電体酸化皮膜が溶解することによって、アルミニウム箔の表面に露出している鉄が、固体電解質と接触する機会が大きくなってしまうと考えられる。
このように、導電性高分子を用いた固体電解コンデンサ、特に重合性モノマーと酸化剤により導電性高分子を重合して固体電解質とした固体電解コンデンサでは、従来の電解液を用いた電解コンデンサや、二酸化マンガンを固体電解質に用いた固体電解コンデンサに比べると、アルミニウム箔に含有されて鉄が固体電解質と接触する機会が多くなり、さらに、その部分での漏れ電流が再化成によっても低減することが困難であるという、従来の電解コンデンサや固体電解コンデンサとは異なる課題を有することが判明した。
そこで、この発明では、導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサにおいて、その導電性高分子の生成工程での、誘電体酸化皮膜への影響に着目し、漏れ電流の小さい電解コンデンサを得ることを目的としている。
この出願の請求項1に係る発明は、アルミニウム箔の表面に形成されるエッチング処理層と、前記エッチング処理層に陽極酸化によって形成される誘電体酸化皮膜層と、酸化剤と重合性モノマーとの重合反応によって導電性高分子を前記誘電体酸化皮膜層と接触させて形成した固体電解質層と、を備える固体電解コンデンサにおいて、前記アルミニウム箔に含まれる鉄濃度を50ppm以下にするとともに、エッチング処理により、前記アルミニウム箔の表層近傍に点在する前記鉄を選択的に溶解して、前記エッチング処理層に含まれる前記鉄の濃度を低減させて前記酸化剤により前記鉄と前記固体電解質層の接触頻度を低下させるよう構成されたことを特徴とする固体電解コンデンサである。
アルミニウム箔をエッチングした後のエッチング処理層に含まれる鉄の濃度を50ppm以下とすると、エッチング処理層表面に露出する鉄が大幅に減少する。このような状態で酸化剤と重合性モノマーの重合反応によって導電性高分子よりなる固体電解質層を誘電体酸化皮膜上に形成すると、エッチング処理層の表面に露出した鉄と固体電解質の接触頻度を低下させることになる。このため、電流をパスする部位となる部分が減少し、結果として、漏れ電流が大きな状態となることを防止することができる。
また請求項2に係る発明は、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、酸化剤が有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩であることを特徴とする。
酸化剤に有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩を用いることにより、アルミニウム箔および誘電体酸化皮膜の溶解を抑制することができるとともに、重合した導電性高分子の導電率が高い物となるために好適である。
この発明では、アルミニウム箔の表面に形成されるエッチング処理層と、前記エッチング処理層に陽極酸化によって形成される誘電体酸化皮膜層と、酸化剤と重合性モノマーとの重合反応によって導電性高分子を前記誘電体酸化皮膜層と接触させて形成した固体電解質層と、を備える固体電解コンデンサにおいて、前記アルミニウム箔に含まれる鉄濃度を50ppm以下にするとともに、エッチング処理により、前記アルミニウム箔の表層近傍に点在する前記鉄を選択的に溶解して、前記エッチング処理層に含まれる前記鉄の濃度を低減させて前記酸化剤により前記鉄と前記固体電解質層の接触頻度を低下させるよう構成させたことにより、固体電解コンデンサの再化成時に漏れ電流を低減させることができる。
図1はこの発明におけるアルミニウム固体電解コンデンサの構成を示し、図2は要部拡大断面図である。この発明におけるアルミニウム固体電解コンデンサ及びその製造方法を以下に詳述する。
図1において、電極箔1は、アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化処理したもので、アルミニウム箔の両面が多孔質のエッチング層13となり、内部に隙間を有する構造となっている。また、アルミニウム箔の内部はエッチングされることなくアルミニウムの地金が残されており、このアルミニウム地金が残芯層となる。
例えば、電極箔1は厚さが120μmの高純度のアルミニウムよりなるアルミニウム箔を用い、両面よりそれぞれ40μmのエッチング処理層13を施す。この場合残芯層14の厚さは40μmとなる。この電極箔としては高純度のアルミニウム箔を用い、エッチングした後のエッチング層に含まれる鉄の量を50ppm以下としたものを用いている。
この電極箔1の長手方向の端部の近傍では、溝17が形成してある。この溝17は、エッチング層13を機械的に切削し、残芯層14を露出することにより形成したものである。また、レーザーを照射してエッチング層13を除去する方法で形成することもできる。さらに、機械的な切削とレーザーの照射による除去を組み合わせてもよい。
このようなエッチング層13の除去の他にも、エッチング層13の両側より圧縮して、多孔質部のエッチング層13を押し潰して、隙間が無い状態とすることにより、溝17を形成してもよい。
以上のように、この溝17を形成するのはエッチングにより形成された多孔質部の隙間をなくすことが目的であり、エッチング層13を除去することによっても、エッチング層13を押し潰して隙間をなくすことによっても良い。
そして、溝17にレジスト材を注入し、レジスト材を硬化する。硬化することによって、レジスト層2が形成される。このレジスト層2によって、電極箔1は端部近傍の狭い領域の陽極部11と、一方端の広い領域の陰極部12に区分される。
次に、陰極部12には、アルミニウムを陽極酸化し、酸化アルミニウムからなる誘電体酸化皮膜層を形成する。さらに誘電体酸化皮膜の上に固体電解質層6を形成する。固体電解質層6は重合して導電性高分子となる重合性モノマー溶液と酸化剤溶液を順次、陰極部12に塗布または吐出する方法によって形成することができる。
固体電解質層6は、誘電体酸化皮膜と接触し、真の陰極としての機能を果たす。このため、固体電解質層6が誘電体酸化皮膜と接触している面積が大きい程、固体電解コンデンサの静電容量が増大することになる。従って、固体電解質材料(重合性モノマー溶液および酸化剤溶液)はエッチング層への浸透性が高いことが望ましく、比較的粘性の低い溶液が選択される。
固体電解質材料として比較的粘性の低い溶液を選択した場合には、吐出した後、エッチング層13に浸透していき、エッチング層13内部で拡散する。この場合でも、これらの溶液はレジスト層2によって陽極部11への浸透が抑止され、陽極部11と陰極部12の短絡を防止することができる。
以上のように固体電解質層6の形成に用いる重合性モノマーとしてはチオフェン、ピロールまたはそれら誘導体を好適に使用することができる。より具体的には、チオフェン誘導体としては3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOTと略記する)を例示することができる。重合性モノマーとしてEDOTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDOT溶液としては、その濃度が25〜32wt%となるようにEDOTを揮発性溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
酸化剤としては、有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩を用いると好適である。無機スルホン酸の金属塩としては、無機スルホン酸第二鉄塩を用いることができる。また、有機スルホン酸の金属塩としては、例えば、有機スルホン酸第二鉄塩が用いられ、より具体的には、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、カンファースルホン酸等の脂肪族スルホン酸第二鉄塩、または、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等の芳香族スルホン酸第二鉄塩、または、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸第二鉄塩があげられ、少なくとも1種が用いられる。
さらに、前述した有機スルホン酸の金属塩と無機スルホン酸の金属塩を混合した酸化剤を用いても良い。
有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩を酸化剤として用いた場合、得られる固体電解質の導電率が向上し、固体電解コンデンサのESRが低減する。酸化剤の溶媒に対する濃度は45〜55wt%が好ましく、50〜55wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
酸化剤は酸性であり、陽極箔の誘電体酸化皮膜を溶解する。そして、時には、誘電体酸化皮膜を溶解し、アルミニウムが露出する場合がある。有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩と酸化剤を用いた場合には、硫酸等の酸化剤と比較して、アルミニウムの誘電体酸化皮膜やアルミニウムそのものへの溶解性が低く、アルミニウムの誘電体酸化皮膜を溶解して、アルミニウムそのものが露出することも低減させることができる。
また、陽極箔の誘電体酸化皮膜が溶解し、アルミニウムが露出した場合でもアルミニウム箔中に含まれる鉄の濃度が低いため、アルミニウム箔の表面に鉄が露出することが極めて低くなる。このため、後の再化成によって、誘電体酸化皮膜が修復され、前記鉄は前記誘電体酸化皮膜層よりもアルミニウム箔側に分布することで鉄が固体電解質層に対して露出したままとなることがない。
そして、固体電解コンデンサの電気的特性を改善するために、再化成を行う。再化成は、コンデンサ素子を、ホウ酸、リン酸等の無機酸やシュウ酸、クエン酸、アジピン酸等の有機酸、あるいはそれらの塩の水溶液に浸漬し、陽極部と陰極部の間に電圧を印加して、誘電体酸化皮膜の欠陥部の修復を行うものである。再化成電圧は固体電解コンデンサの定格電圧の1.2倍の電圧を印加して行う。
この再化成においては、電圧を印加している間の漏れ電流を測定すると、当初は漏れ電流が大きいが、時間が経過する毎に漏れ電流が小さくなる。これは、誘電体酸化皮膜の欠陥部が修復され、絶縁特性を回復するために、漏れ電流が小さくなっていくためである。
さらに、コンデンサ素子の固体電解質層6の上には、グラファイト層および銀ペースト層を順次形成し導電体層7を形成しコンデンサ素子とする。
また、陽極部には陽極引き出し部を接続する。陽極引き出し部は例えば、金属板を電極箔1の陽極部の間に挿入し、側面からのレーザー照射によるレーザー溶接や、電気溶接によって接合される。この陽極引き出し部は、陽極部と、後述する陽極端子の電気的な接続を容易かつ確実なものとするために用いられる。
以上のようにして形成したコンデンサ素子を複数枚積層し、陽極引き出し手段には陽極端子を接続する。一方、導電体層7の銀ペースト層には陰極端子9を接続する。
次いで、これらを陽極端子8と陰極端子9の一部が外部に露出するように外装樹脂3をモールド成形して外装を施し、固体電解コンデンサを得る。
次にこの発明の実施例について説明する。
(実施例)
アルミニウム箔として高純度のアルミニウム箔を用い、含有される鉄の濃度を45ppmのものを用いた。このアルミニウム箔に長方形状に切り抜き、エッチングを施し、次いで、長方形状のエッチング箔の端部側で機械的にエッチング層を除去して溝を形成した。この溝にレジスト材を注入、硬化してレジスト部とし、アルミニウムを陽極部と陰極部に分離した。陰極部には誘電体酸化皮膜を形成した。
誘電体酸化皮膜層には、重合性モノマーとしてのEDOT溶液および酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を順次塗布することを繰り返してPEDOTからなる固体電解質層を形成した。
固体電解質層を形成した後、再化成を行った。再化成は、ホウ酸水溶液にコンデンサ素子を浸漬し、陽極端子及び固体電解質層に電極を接続し、所定の電圧を印加した。この再化成工程での個々のコンデンサ素子の漏れ電流を測定した。所定時間再化成を行った後の漏れ電流を測定し、規格上限以上の漏れ電流であったものを再化成不良とした。その発生個数を表1に示す。
その後に、固体電解質層には、グラファイト層および銀ペースト層を順次形成し導電体層を形成しコンデンサ素子とした。また、陽極部には陽極引き出し部を接続する。一方、導電体層の銀ペースト層には陰極端子を接続した。
次いで、これらを陽極端子と陰極端子の一部が外部に露出するように外装樹脂をモールド成形して外装を施し、固体電解コンデンサを得た。
(比較例1)
アルミニウム箔に含有される鉄の濃度を60ppmとした他は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(比較例2)
アルミニウム箔に含有される鉄の濃度を70ppmとした他は、実施例と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
Figure 2008186874
以上の表1から判るように、本発明の実施例では再化成で漏れ電流が大きな値のままとなる再化成不良発生率は0%であったのに対し、比較例1および比較例2では、再化成不良発生率は1.2%および2.0%となっている。従って、本発明による再化成での漏れ電流の低減が確実に行われることが確認された。
積層型の固体電解コンデンサの内部構造を示す断面図である。 積層型の固体電解コンデンサの要部を示す断面図である。
符号の説明
1 電極箔
2 レジスト層
3 外装樹脂
5 陽極引き出し部
6 固体電解質層
7 導電体層
8 陽極端子
9 陰極端子
11 陽極部
12 陰極部
13 エッチング層
14 残芯層
17 溝

Claims (2)

  1. アルミニウム箔の表面に形成されるエッチング処理層と、
    前記エッチング処理層に陽極酸化によって形成される誘電体酸化皮膜層と、
    酸化剤と重合性モノマーとの重合反応によって導電性高分子を前記誘電体酸化皮膜層と接触させて形成した固体電解質層と、
    を備える固体電解コンデンサにおいて、
    前記アルミニウム箔に含まれる鉄濃度を50ppm以下にするとともに、
    エッチング処理により、前記アルミニウム箔の表層近傍に点在する前記鉄を選択的に溶解して、前記エッチング処理層に含まれる前記鉄の濃度を低減させて前記酸化剤により前記鉄と前記固体電解質層の接触頻度を低下させた固体電解コンデンサ。
  2. 酸化剤が有機スルホン酸及び/又は無機スルホン酸の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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