JP2008185101A - 流体軸受装置用軸部材の製造方法、およびその方法により製造された軸部材 - Google Patents

流体軸受装置用軸部材の製造方法、およびその方法により製造された軸部材 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れた流体軸受装置用の軸部材を低コストに量産する。
【解決手段】軸部21とフランジ部22を第1の治具31および第2の治具32内に設置した状態から押圧部材33を下降させ、軸部21を押圧することで、軸部21のフランジ部22に対する圧入を開始する。軸部21をフランジ部22の孔22cに対して圧入していき、軸部21の圧入が完了した時点で第1の押圧部材33の下降を停止する。圧入完了後、第1の押圧部材33に代えて、第2の押圧部材34を第1の治具31および軸部21の上方に配置し、第2の押圧部材34を下降させる。第1の治具31を押圧し、第1の治具31の下端面31bと第2の治具32の上端面32aとでフランジ部22を圧縮する。かかる圧縮作業を、軸部21を第1の治具31で保持した状態で行うことで、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を治具31、32の形状に倣って矯正する。
【選択図】図5

Description

本発明は、流体軸受装置用軸部材の製造方法、およびその方法により製造された軸部材に関する。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される流体の膜で軸部材を相対回転自在に支持するものである。この種の軸受装置は、特に高速回転時における回転精度、静粛性等に優れており、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として好適に使用される。好適な用途の具体例としては、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるスピンドルモータ用の軸受装置や、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置を挙げることができる。
通常、この種の流体軸受装置においては、軸部材の軸部が軸受スリーブ等の内周に挿入され、対向する軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受部を構成するものが知られている。また、軸部の一端にフランジ部を設け、このフランジ部の端面とこれに対向する面(例えば軸受スリーブの端面)との間にスラスト軸受部を構成するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
このように、軸部の外周面はラジアル軸受部を構成し、また、フランジ部の端面はスラスト軸受部を構成することから、これらの面は高精度に仕上げておく必要がある。同時に、ラジアル軸受部とスラスト軸受部とを共に構成する場合、個々の面精度だけでなく、これらの間の形状精度、すなわち軸部の外周面とフランジ部の端面との間の直角度が重要となる。
互いに別体の軸部とフランジ部とを低コストに一体化する方法として、例えば固定軸に環状のスラストプレートを圧入固定する手段が提案されている(特許文献2を参照)。
また、軸部とフランジ部とを高精度に圧入固定する手段として、シャフト保持面とリング当接面との間の直角度を予め高精度に加工したガイド部材を用いると共に、圧入開始時に互いに当接するシャフト部材(軸部)の下端外周にR部を、リング部材(フランジ部)の孔の上端内周縁に面取り部をそれぞれ設けたものを用いて圧入固定を行うものが提案されている(特許文献3を参照)。この場合、まずシャフト部材の下端に設けたR部がリング部材の孔の面取り部に接触し、その作用によりリング部材が水平方向に移動してシャフト部材とリング部材の同軸を合わせた状態で圧入が行われるようになっている。
特開2003−239951号公報 特開2000−324753号公報 特開2001−287124号公報
上述のように、圧入により軸部とフランジ部との一体化を図る場合、軸受面間の形状精度(直角度)を高めるのであれば、圧入寸法(軸方向の圧入長さ)を大きくとればよい。しかしながら、最近の小型化に対する要請が強まる状況では軸部材の軸方向寸法の縮小は避け難く、圧入寸法の増大は非常に困難である。
また、この種の軸部材が量産品となることを考慮すれば、別々に製造される軸部やフランジ部の寸法上のばらつきはある程度許容せざるを得ない。このことを前提とした場合、特許文献3のように、シャフト保持面とリング当接面との間の直角度を予め高精度に加工したガイド部材を用いて圧入を行ったとしても、軸部のフランジ部に対する位置や姿勢を高精度に維持した状態で圧入することは難しい。
また、圧入は互いの部材の変形を伴ってなされるものであるから、圧入開始時には高精度に位置決めされていても、圧入がなされるに従い、その位置関係が崩れる場合も少なくない。特許文献3に記載のガイド部材は、ばねを介して駆動機構(ねじ軸)に連結されているため、軸部の圧入が始まっても、ガイド部材はフランジ部と当接した位置よりも下降しないように構成されている。しかしながら、このガイド部材は、単に圧入開始時の軸部に対するフランジ部の位置決めをなすものに過ぎず、圧入開始後の位置関係のずれを防止し、又は修復することを意図したものではない。
以上の事情に鑑み、本発明では、軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れた流体軸受装置用の軸部材を低コストに量産することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、軸部と、軸部の一端に圧入固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法において、フランジ部に設けた孔に対して軸部を圧入した後、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正するための矯正力を、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与する工程を設けることを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法を提供する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、軸部と、軸部の一端に圧入固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法において、フランジ部に設けた孔に対して軸部を圧入する過程で、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正するための矯正力を、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与することを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法を提供する。
上述のように、本発明は、圧入過程、又は圧入完了状態にある軸部およびフランジ部に対して矯正を行うことを特徴とする。すなわち、圧入開始時を避けて、ある程度圧入が進行した段階又は圧入が完了した段階において矯正を行うことで、圧入により生じた変形や姿勢の歪みなどを適宜矯正することができる。そのため、軸部やフランジ部に設けられた軸受面の精度に優れ、また軸部の軸受面とフランジ部の軸受面との直角度に優れた流体軸受装置用軸部材を低コストで製造することが可能となる。
また、圧入完了後に矯正力を付与するのであれば、圧入に用いる機構と、矯正に用いる機構とを別々にすることができる。これによれば、圧入力により制限を受けることなく、矯正に適した大きさの矯正力(例えば圧入に要する負荷と同等かそれよりも大きな負荷)をフランジ部等に付与することができ、負荷形態の自由度を高めることが可能となる。
また、圧入の過程で矯正力を付与するようにすれば、同一工程中で圧入と矯正とを行うことができ、これにより、工程数の削減を図ることができる。また、装置の構成次第で、軸部の圧入に供する駆動系統(駆動機構)を、フランジ部等の矯正に用いる駆動系統として使用(兼用)することができ、駆動系統が1つで済む。そのため、必要となる設備の簡略化を図ることが可能となる。また、かかる方法であれば、圧入途中に、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正することとなるため、圧入により生じた変形(適正な位置からの歪み)が小さい状態で矯正することができる。従い、圧入完了後に付与する場合と比べて小さい矯正力でもって矯正を行うことができる。
圧入過程で矯正力を付与する場合、例えば圧入の進行に伴い、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与される矯正力を徐々に高めることで、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正することも可能である。矯正力を伴って圧入を行う場合、矯正態様やその大きさにもよるが、圧入に要する力が増大する場合もあり得る。これに対して、上述のように、フランジ部への矯正力を徐々に高めながら圧入を行うようにすれば、圧入に要する力を全体的に小さくすることができる。
上述の製造方法によって得られた軸部材であれば、軸受面精度および軸受面間の直角度に優れ、また量産性も良好であることから、軸受隙間を高精度に管理することが必要な流体軸受装置用の軸部材として、あるいはこの軸部材を備えた流体軸受装置として好適に提供可能である。
以上のように、本発明によれば、軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れた流体軸受装置用の軸部材を低コストに量産することが可能となる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づき説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は、単に各図における構成要素間の位置関係を容易に理解するために規定したものに過ぎず、流体軸受装置の設置方向や使用態様等を特定するものではない。後述する他の構成、あるいは軸部材の製造工程における説明に関しても同様である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を具備したスピンドルモータの断面図を示す。このスピンドルモータは、例えば磁気ディスクを備えたHDD用として用いられるもので、ハブ3を取り付けた軸部材2をラジアル方向に非接触支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bとからなる駆動部4と、ブラケット5とを備えている。ステータコイル4aはブラケット5に固定され、ロータマグネット4bはハブ3に固定される。流体軸受装置1のハウジング7は、ブラケット5の内周に固定される。また、同図に示すように、ハブ3にはディスク6(図1では2枚)が保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間に発生する励磁力でロータマグネット4bが回転し、これに伴って、ハブ3に保持されたディスク6が軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、ハウジング7と、ハウジング7の内周に固定される軸受スリーブ8と、ハウジング7の一端を閉塞する蓋部材9と、ハウジング7の他端開口側に配設されるシール部材10と、ハウジング7と軸受スリーブ8、およびシール部材10に対して相対回転する軸部材2とを主に備える。
ハウジング7は、例えば真ちゅう等の金属材料や樹脂材料で筒状に形成され、その軸方向両端を開口した形態をなす。ハウジング7の内周面7aには、軸受スリーブ8の外周面8cが、例えば接着(隙間接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)など適宜の手段で固定される。また、内周面7aの下端には、内周面7aよりも大径であって、後述する蓋部材9を固定するための固定面7bが形成される。
軸受スリーブ8は、例えば焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、軸受スリーブ8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7aに接着固定される。ここで、軸受スリーブ8は、樹脂やセラミック等の非金属材料からなる多孔質体で形成することもでき、また焼結金属等の多孔質体以外にも、内部空孔を持たない、あるいは潤滑油の出入りができない程度の大きさの空孔を有する構造の材料で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として
複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3に示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が、軸方向に離隔して2ヶ所に形成される。なお、この実施形態では、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、一方(ここでは上側)の動圧溝8a1、8a2形成領域を、軸方向非対称に形成している。図3に例示の形態で説明すると、軸方向中心mより上側(シール部材10側)の動圧溝8a1形成領域の軸方向寸法X1が、下側の動圧溝8a2形成領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるように形成されている。
軸受スリーブ8の下端面8bの全面または一部環状領域には、例えば図4に示すように、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1形成領域は、完成品の状態では後述するフランジ部22の上端面22aと対向し、軸部材2の回転時、上端面22aとの間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
軸受スリーブ8の外周面8cには、軸方向に向けて延びる複数の軸方向溝8c1が形成されている。これら軸方向溝8c1は、主に流体軸受装置1の使用時、軸受内部空間内で潤滑油の過不足が生じた場合などに、かかる状態を早急に適正な状態に回復するための役割を果たす。
ハウジング7の下端側を閉塞する蓋部材9は、例えば金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の内周下端に設けられた固定面7bに固定される。固定手段には、軸受スリーブ8の場合と同じく、接着、圧入、溶接、溶着など任意の手段が使用可能である。
蓋部材9の上端面9aの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図4と同様の配列態様(スパイラルの方向は逆)をなす動圧溝形成領域が形成される。この動圧溝形成領域は、完成品の状態ではフランジ部22の下端面22bと対向し、軸部材2の回転時、下端面22bとの間に後述する第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
シール手段としてのシール部材10は、この実施形態ではハウジング7と別体に金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の上端内周に圧入、接着、溶着、溶接等任意の手段で固定される。
シール部材10の内周にはテーパ形状をなすシール面10aが形成されており、このシール面10aと、後述する軸部21の外周面との間にシール空間Sが形成される。潤滑油を流体軸受装置1内部に充満させた状態では、潤滑油の油面は常時シール空間Sの範囲内に維持される。
軸部材(流体軸受装置用軸部材)2は、軸部21と、軸部21の下端に圧入固定される環状のフランジ部22とで構成される。この実施形態では、図2に示すように、軸部21の外周に、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた動圧溝8a1、8a2形成領域と対向するラジアル軸受面21aが軸方向に離隔して2ヶ所設けられる。これらラジアル軸受面21a、21a間には、ラジアル軸受面21aより小径のヌスミ部21bが設けられる。なお、軸部21は強度や摺動特性を考慮して、SUS鋼など比較的硬い材料で形成されるのに対し、フランジ部22は真ちゅうなど、主に加工性を考慮して比較的軟質の材料で形成されるのがよいが、別にこの組み合わせに限ることなく、各部材の材料を任意に選定することも可能である。
上述の構成部品を組立てた後、軸受内部空間に潤滑油を充填することで、完成品としての流体軸受装置1を得る。ここで、流体軸受装置1内部に充満される潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の動圧軸受装置に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等が好適に使用可能である。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の双方の動圧溝8a1、8a2形成領域は、軸部21のラジアル軸受面21a、21aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上下何れの動圧溝8a1、8a2形成領域においても潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心mに向けて押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1、8a2の動圧作用によって、軸部材2を回転自在にラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ軸方向に離隔して2ヶ所に構成される。
これと同時に、軸受スリーブ8の下端面8bに設けた動圧溝8b1形成領域とこれに対向するフランジ部22の上端面22aとの間のスラスト軸受隙間、および蓋部材9の上端面9aに設けた動圧溝形成領域とこれに対向するフランジ部22の下端面22bとの間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
以下、軸部材2の製造工程の一例を図5に基づき説明する。
上記構成の軸部材2は、フランジ部22に設けた孔22cに軸部21の下部を圧入する工程と、圧入完了後、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正する工程とを経て形成される。
図5(a)〜図5(c)は、軸部21のフランジ部22に対する圧入工程および矯正工程の一例を概念的に示すものである。例えば図5(a)は、圧入前における軸部21およびフランジ部22の配置関係を示すもので、軸部21が、第1の治具31の筒状内周面31a内部に挿入され、保持されている。また、フランジ部22が、第1の治具31の下端面31bと、第1の治具31の下方に位置する第2の治具32の上端面32aとの間に保持されている。
ここで、第1の治具31に設けられた筒状内周面31aと下端面31b、および第2の治具32に設けられた上端面32aは、何れも軸部材2の軸受面と当接し、かつこれら軸受面の面精度や形状精度を矯正するものである。そのため、筒状内周面31aや下端面31b、および上端面32aに対し高精度に仕上げ加工が施されていることが肝要となる。
また、この種の軸部材2においては、ラジアル軸受面21aとスラスト軸受面(上端面22a)との間の直角度が軸受性能を左右する点に鑑み、筒状内周面31aと下端面31bとの間の直角度を予め高精度に加工することで高めておくことが望ましい。フランジ部22を軸方向に拘束する下端面31bと上端面32aとの間で高い平行度が得られるように双方の治具31、32を高精度に加工、配置しておくことはもちろんである。一例として、筒状内周面31aの内径寸法は、圧入すべき軸部21の外径より3μm〜7μm大きくなるよう加工される。また、筒状内周面31aと下端面31b、および筒状内周面31aと上端面32aとの間の直角度が3μm以下となるよう加工されると共に、これら治具31、32が配設される。
圧入前の状態において、軸部21の外径寸法は、フランジ部22の孔22cの内径寸法よりも大きく設定されており、軸部21の外径寸法から孔22cの内径寸法を差し引いた値が実質的な圧入代となる。ここでは、例えば圧入代の直径量が10μm以上30μm以下となるよう、好ましくは15μm以上20μm以下となるよう各部材の寸法設定が行われる。なお、この実施形態では、軸部21の圧入側端部、およびフランジ部22の孔22cの圧入側端部にそれぞれ面取り部21d、22dが形成されている。図5(a)に示すように、圧入前の段階では、軸部21に設けた面取り部21dが、フランジ部22に設けた面取り部22dと当接するようになっている。
上述の如く、軸部21とフランジ部22を第1の治具31および第2の治具32内に設置した状態から、適当な駆動機構で第1の押圧部材33を下降させ、軸部21を押圧する(図5(b)を参照)。これにより、軸部21のフランジ部22に対する圧入を開始する。なお、軸部21の押圧時、互いに当接する軸部21の面取り部21dと、フランジ部22の面取り部22dとの相互作用により、軸部21に対するフランジ部22の同軸合わせ(主に水平方向)が行われる。
このようにして、第1の押圧部材33を押し下げることで、軸部21をフランジ部22の孔22cに対して圧入していき、軸部21の圧入が完了した時点で第1の押圧部材33の下降を停止する。この実施形態でいえば、図5(b)に示すように、軸部21の下端面21cがフランジ部22の下端面22bと同一高さに到るまで圧入した時点で、第1の押圧部材33による押圧(圧入)を停止する。
そして、圧入完了後、第1の押圧部材33に代えて、第2の押圧部材34を第1の治具31および軸部21の上方に配置し、この第2の押圧部材34を下降させる。これにより、第1の治具31を押圧し、第1の治具31の下端面31bと第2の治具32の上端面32aとでフランジ部22を圧縮する(図5(c)を参照)。かかる圧縮作業を、軸部21を第1の治具31の筒状内周面31aに保持した状態で行うことで、軸部21に対するフランジ部22の姿勢が治具31、32の形状に倣って矯正される。具体的には、ラジアル軸受面21a、21aとスラスト軸受面を有する両端面22a、22bとの間の直角度がそれぞれ改善(例えば5μm以下に改善)される。また、同時に、フランジ部22の両端面22a、22bが矯正され、これらの面精度および形状精度(ここでは平行度)が改善される。
このように、フランジ部22に対して軸部21を圧入した後、治具31、32により矯正力を付与して、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正することで、圧入により生じた変形や姿勢の歪みなどを適宜矯正することができる。特に、この実施形態のように、フランジ部22に対して矯正力を付与することで、材質や形状の違いから比較的変形を生じやすいフランジ部22の両端面22a、22bを効果的に矯正することができる。以上より、軸部21やフランジ部22に設けられたラジアル軸受面21a、スラスト軸受面(両端面22a、22b)の精度に優れ、またこれら軸受面間の直角度に優れた軸部材2を得ることができる。
また、この実施形態では、圧入完了後に、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正することとした。このように、圧入完了後に矯正を行うのであれば、圧入に用いる機構と、矯正に用いる機構(特に駆動機構)とを別々にすることができるため、例えば、第1の押圧部材33による負荷よりも大きな負荷(矯正力)をフランジ部22に付与することができる。これにより、矯正力の大きさを自由に調整することが可能となり、圧入態様やそのサイズに応じた適切な矯正力を軸部21やフランジ部22に付与することができる。
また、この実施形態では、フランジ部22の圧入領域又はその近傍に対して矯正力を加えることで矯正を行うようにした。既述の如く、圧入は少なくとも何れか一方の部材の変形を伴ってなされるものであり、特に圧入領域では局所的な塑性変形を生じ易い。そのため、圧入領域又はその近傍となる、フランジ部22の内周縁を含む両端面22a、22b全体を、第1の治具31および第2の治具32で圧縮することで、より効果的に矯正を行うことができ、フランジ部22自体の変形、および軸部21に対するフランジ部22の固定姿勢を高精度に矯正することが可能となる。
また、この実施形態のように、圧入完了後に矯正を行うのであれば、矯正力の付与方向およびこの工程に係る構成は任意である。例えば図示の如く、軸部21とフランジ部22とを保持する第1の治具31を押圧することで、フランジ部22の矯正を実施可能である他、第2の治具32もしくはこれに対応する治具を、第1の治具31に保持されたフランジ部22に対して押し付ける(押圧する)ことによっても矯正を図ることができる。
以上、本発明の第1実施形態に係る軸部材2の構成および製造工程を説明したが、もちろん、これに限定されることなく、上記以外の構成および工程を採ることも可能である。
例えば第1実施形態では、軸部21に対するフランジ部22の姿勢に係る矯正を、軸部21の圧入完了後に行う場合を説明したが、これ以外の段階、例えば圧入の過程で軸部21およびフランジ部22に対する矯正を行うこともできる。
図6はその一例に係る圧入工程を概念的に示すものである。この例(第2実施形態)では、図6(a)に示すように、軸部21を保持する第1の治具31と、軸部21をフランジ部22の側に向けて押し込む押圧部材45との間に、第3の治具44が配設されている。この治具44は、下方に位置する第1の治具41との間に弾性体43(Oリングなどの他、ばね等も含む)を介設してなり、第3の治具44が押圧部材45から下向きの負荷を受けた場合、この負荷を弾性体43を介して第1の治具41に伝達するようになっている。また、この場合、弾性体43が負荷に応じて圧縮することで、第3の治具44の下方への変位を吸収するようになっている。
フランジ部22の下端面22bと当接する第2の治具42は、この例ではフランジ部22の外周を覆っており、圧入時、第1の治具31との間で、フランジ部22の移動を拘束するようになっている。この場合、軸部21とフランジ部22とに設けた面取り部21d、22dが機能するよう、すなわち若干の水平方向への位置合せは可能な程度の隙間をフランジ部22との間に設けている(第3実施形態においても同じ)。ラジアル軸受面21a、21aやスラスト軸受面(両端面22a、22b)と当接する第1の治具41の筒状内周面41aと下端面41b、および第2の治具42の上端面42aには何れも高精度に仕上げ加工がなされている。具体的な加工精度としては、第1実施形態と同様の数値を挙げることができる。
上記構成の装置を用いた場合、軸部21とフランジ部22との固定は以下の様にして行われる。
まず、図6(a)に示す状態から、適当な駆動機構により押圧部材45を下降させる。そして、押圧部材45と当接した軸部21を押し下げることで、フランジ部22への圧入を開始する。この段階(圧入開始時)では、第3の治具44よりも軸部21の反圧入側端部が突出した状態にある(図6(a)を参照)。
このようにして圧入を開始した後、軸部21が、所定長さ分圧入された段階(例えば、フランジ部22に対する軸部21の圧入姿勢が安定化した段階)で、押圧部材45を第3の治具44に当接させる(図6(b)に示す段階)。そして、さらに押圧部材45を下降させ、第3の治具44を下方に押圧することで、弾性体43を介して、第1の治具41に下向きの負荷が伝達される。従い、フランジ部22の両端面22a、22bを、第1の治具41と第2の治具42とで圧縮しながら、軸部21の圧入が進行する。
このようにして、押圧部材45を押し下げることで、軸部21をフランジ部22の孔22cに対して圧入していき、同時に、フランジ部22に対して所定の大きさの矯正力(ここでは弾性体43の弾性復元力)を付与することで、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正する。そして、フランジ部22に軸部21の圧入が完了した時点で押圧部材45の下降を停止する。図6(c)は、軸部21の下端面21cがフランジ部22の下端面22bと同一高さに到った時点で軸部21の押込みを停止した状態を示している。ここで、得られる圧入品(軸部材2)の、軸部21のラジアル軸受面21aとフランジ部22の双方の端面22a、22b間の直角度はそれぞれ5μm以下に矯正されている。
このように、フランジ部22に対して軸部21を圧入を開始し、ある程度圧入が進行した段階で、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正することで、圧入により生じた変形や姿勢の歪みなどを適宜矯正しながら、圧入を実施することができる。特に、この実施形態のように、圧入途中に矯正を開始し、かつフランジ部22への矯正力を徐々に高めながら圧入を行うことで、圧入によりフランジ部22に生じた変形、又は本来在るべき姿勢からの歪みが小さい状態で順次矯正することができる。そのため、矯正に要する負荷が全体として小さくて済む。
また、かかる方法(構成)であれば、単一の押圧部材45で圧入および矯正を実施することができる。そのため、圧入力や矯正力の付与に供する駆動機構(駆動系統)が単一のもので済み、設備コストの低減化が可能となる。また、互いに連動する一連の治具41〜45でもって圧入および矯正を実施することができるので、生産性の面でも好ましい。
以上、第1および第2実施形態に係る流体軸受装置用軸部材2の製造方法を説明したが、もちろんこれら以外の圧入固定手段を採ることも可能である。
図7はその一例(第3実施形態)に係る軸部材2の製造方法を概念的に示すものである。同図に係る圧入固定装置は、第1の治具51と第2の治具52、および第1の押圧部材53と第2の押圧部材54とを備える点で、第1実施形態に係る圧入固定装置と同一の構成をなす一方、矯正開始時期が第1実施形態と異なる。
すなわち、図7(a)に示すように、軸部21およびフランジ部22を治具51、52で保持した状態から、一の駆動機構により第1の押圧部材53を下降させ、この押圧部材53と当接した軸部21を押し下げる。これにより、軸部21のフランジ部22への圧入を開始する。この段階(圧入開始時)では、第1の治具44よりも軸部21の反圧入側端部が突出した状態にある(図7(a)を参照)。
そして、ある程度圧入が進行した段階で、第1の押圧部材53に供する駆動機構とは別の駆動機構を用いて第2の押圧部材54を下降させ、第1の治具51と当接させる(図7(b)に示す状態)。この実施形態では、第2の押圧部材54は、第1の押圧部材53の外周に位置し、双方の押圧部材53、54を別個独立して上下動させることができるように構成されている。
そして、さらに第2の押圧部材54を下降させていき、第1の治具51を下方に押圧することで、フランジ部22の両端面22a、22bが第2の治具52との間で圧縮され、これと同時に軸部21の圧入が進行する。
このようにして、第2の押圧部材54を第1の押圧部材53とは別に独立して押し下げることで、軸部21をフランジ部22の孔22cに対して圧入すると共に、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正する。そして、フランジ部22に軸部21の圧入が完了した時点で第1の押圧部材53の下降を停止する。
このように、フランジ部22に対する軸部21の圧入を開始し、ある程度圧入が進行した段階で、軸部21に対するフランジ部22の姿勢を矯正することで、圧入により生じた変形や姿勢の歪みなどを適宜矯正しながら、圧入を実施することができる。また、この実施形態のように、圧入に用いる押圧部材(第1の押圧部材53)および駆動機構と、矯正に用いる押圧部材(第2の押圧部材54)および駆動機構とを別々にすれば、第1の押圧部材53による圧入力に制約を受けることなく、適当な大きさの負荷(矯正力)をフランジ部22に付与することができる。
また、上記実施形態(第1〜第3実施形態)では、ラジアル軸受面21aとほぼ同寸法の軸部21の端部をフランジ部22の孔22cに圧入する場合を説明したが、軸部21を、例えば当該圧入箇所を小径とした、いわゆる段付軸とすることも可能である。この場合、軸部21の段差面がフランジ部22の上端面22aと当接する位置まで圧入することで、容易に圧入位置を把握、管理することができる。
また、上記実施形態では、所定の圧入代をもって軸部21の端部をフランジ部22の孔22cに圧入する場合を説明したが、例えば接着を伴った圧入(圧入接着)に対しても、本発明を適用することができる。圧入接着であれば、接着剤により固定力を補うことができるので、圧入のみの場合と比べて、圧入代を小さくすることも可能である。あるいは、接着剤は、圧入時、一種の潤滑剤としても機能するため、圧入代を大きくとる場合であっても接着剤を予め供給しておくことで、圧入時の摩擦力を低減して小さい負荷で圧入することができる。また、図示のように、軸部21の導入側端部に面取り部21dを設けておけば、接着を伴って圧入した場合、当該圧入領域に予め供給された接着剤がフランジ部22の下端面22b側に押し出される。そのため、軸部21に設けた面取り部21dを一種の接着剤溜りとして機能させることができる。
また、上記実施形態では、軸部21を保持、拘束した状態で、フランジ部22を治具(第1の治具31、41、51と第2の治具32、42、52)で挟持押圧することで、矯正力を付与する場合を説明したが、矯正力の付与態様はこれに限定されない。すなわち、上述の治具以外でフランジ部22に矯正力を付与することで、又は、半径方向の矯正力(フランジ部22を外周から縮径させる向きの力)を単独であるいは軸方向の矯正力を組み合わせて付与することで矯正を図るものでもよい。また、矯正力を軸部21に付与することで姿勢(直角度)の矯正を図ることもでき、軸部21とフランジ部22の双方に矯正力を付与することもできる。
なお、以上の説明で用いた圧入固定装置は、あくまでも一例であり、本発明に係る軸部材2の製造方法を体現できる限りにおいて任意の構成を採ることが可能である。
また、本発明は、上記の構成に限らず、他の構成をなす流体軸受装置にも適用可能である。
例えば上記実施形態では、軸部21の外周面をラジアル軸受面21aとして、フランジ部22の上端面22aおよび下端面22bをそれぞれスラスト軸受面として使用した場合を説明したが、これに限る必要はない。例えば、双方の端面22a、22bのうち、上端面22aのみ、あるいは下端面22bのみをスラスト軸受面として使用する構成の流体軸受装置用の軸部材に、本発明を適用することもできる。
図8は他の構成例に係る流体軸受装置101の断面図を示している。この流体軸受装置101の特徴点(図2に係る流体軸受装置1との主な相違点)は以下の通りである。すなわち、流体軸受装置101において、軸部21の上端(フランジ部22とは反対側)に固定されたハブ103は、ハウジング107の開口側(上側)に位置する円盤部103aと、円盤部103aの外周部から軸方向下方に延びた筒状部103bとを主に有する。また、ハウジング107の上端面107cには、例えば図4に示す配列態様をなす動圧溝形成領域(スパイラルの向きは逆)が設けられ、向かい合う円盤部103aの下端面103a1との間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する。
ハウジング107の外周には、上方に向かって漸次拡径するテーパ状のシール面107dが形成される。このテーパ状のシール面107dは、筒状部103bの内周面103b1との間に、ハウジング107の閉塞側(下方)から開口側(上方)に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。なお、図9中、ハウジング107の内周面107aと固定面107bは、それぞれ図2中のハウジング7の内周面7aおよび固定面7bに対応している。これ以外の構成は、図2に係る構成に準じるので説明を省略する。
このように、フランジ部22の上端面22aのみをスラスト軸受面として使用する場合であっても、圧入完了後あるいは圧入過程で、軸部21とフランジ部22の一方又は双方に矯正力を付与するようにすれば、高い固定強度を有すると共に、軸受面の面精度に優れ、かつラジアル軸受面21aとスラスト軸受面(上端面22a)との間で高い直角度を有する軸部材2を得ることができる。
なお、以上の実施形態では何れも、ハウジング7、107と、軸受スリーブ8とを別体としたが、これら流体軸受装置1、101の固定側を構成する部品群から選択される2以上の部品同士を、アセンブリ可能な範囲において一体化(同一材料で一体に形成、あるいは一方の部品をインサートして他方の部品を型成形)することも可能である。例えば図2に示す構成でいえば、ハウジング7と軸受スリーブ8、ハウジング7と蓋部材9、ハウジング7とシール部材10との間で一体化が可能である。ハウジング7と軸受スリーブ8、およびシール部材10を一体化することも可能である。また、図8に示す構成でいえば、ハウジング107と軸受スリーブ8、あるいはハウジング107と蓋部材9との間で一体化が可能である。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部21の外周面(ラジアル軸受面21a)との間に、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、ラジアル軸受面となる軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する真円状の外周面(ラジアル軸受面21a)とで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調和波形などの波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、動圧発生部を何れも固定側(ハウジング107や軸受スリーブ8、蓋部材9など)に設けた場合を説明したが、その一部あるいは全てを回転側(軸部21やフランジ部22、ハブ103など)に設けることも可能である。具体的には、軸部21の外周面(ラジアル軸受面21a)やフランジ部22の両端面22a、22b、およびハブ103の下端面103a1のうち、1ヶ所以上に既述の動圧発生部を設けることが可能である。また、例えばフランジ部22の側に、図4に例示する動圧発生部を設けるのであれば、図5で例示の第1の治具31の下端面31bや第2の治具32の上端面32aに、予め当該動圧発生部に対応する型を設けておき、フランジ部22への矯正力付与と共に、フランジ部22の両端面22a、22bに型に対応する動圧発生部を成形することも可能である。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1、101の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体膜を形成するための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも流体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置を備えたスピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置の断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 軸受スリーブのフランジ部と対向する端面の平面図である。 第1実施形態に係る軸部材の製造方法を概念的に示す図であり、(a)は圧入前における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図、(b)は圧入完了時における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図、(c)は圧入完了後、フランジ部に矯正力を付与する段階における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図である。 第2実施形態に係る軸部材の製造方法を概念的に示す図であり、(a)は圧入前における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図、(b)は圧入途中における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図、(c)は圧入完了時における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図である。 第3実施形態に係る軸部材の製造方法を概念的に示す図であり、(a)は圧入前における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図、(b)は圧入途中における軸部およびフランジ部の配置関係を示す断面図である。 他の構成例に係る流体軸受装置の断面図である。
符号の説明
1、101 流体軸受装置
2 流体軸受装置用軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
21 軸部
21a ラジアル軸受面
22 フランジ部
22c 孔
31、41、51 第1の治具
31a、41a、51a 筒状内周面
31b、41b、51b 下端面
31、42、52 第2の治具
32a、42a、52a 上端面
33、34、45、53、54 押圧部材
43 弾性体
44 第3の治具
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (4)

  1. 軸部と、軸部の一端に圧入固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法において、
    フランジ部に設けた孔に対して軸部を圧入した後、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正するための矯正力を、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与する工程を設けることを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法。
  2. 軸部と、軸部の一端に圧入固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法において、
    フランジ部に設けた孔に対して軸部を圧入する過程で、軸部に対するフランジ部の姿勢を矯正するための矯正力を、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与することを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法。
  3. 圧入の進行に伴い、軸部とフランジ部の少なくとも一方に付与される矯正力を徐々に高める請求項2記載の流体軸受装置用軸部材の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の方法で製造された流体軸受装置用軸部材。
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