JP2008175384A - 流体軸受装置用軸部材、およびその製造方法 - Google Patents

流体軸受装置用軸部材、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れ、かつ軸部とフランジ部との間で高い固定強度を有する流体軸受装置用の軸部材を低コストに形成する。
【解決手段】軸部21をフランジ部22に圧入すると共に、第1の治具31の塑性加工部31cをフランジ部22の上端面22aに押し付け、フランジ部22を部分的に内周側に塑性変形させる。これにより、軸部21との間に加締め部23を形成する。また、第2の治具32および第3の治具33でフランジ部22の双方の端面22a、22bを拘束した状態で圧入および加締めを行う。
【選択図】図8

Description

本発明は、流体軸受装置用軸部材、およびその製造方法に関する。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される流体の膜で軸部材を相対回転自在に支持するものである。この種の軸受装置は、特に高速回転時における回転精度、静粛性等に優れており、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として好適に使用される。具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
通常、流体軸受装置においては、軸部材の軸部が軸受スリーブ等の内周に挿入され、軸部の外周面と軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受部を構成する。また、軸部の一端にフランジ部を設け、このフランジ部の端面とこれに対向する面(例えば軸受スリーブの端面)との間にスラスト軸受部を構成するものがある(例えば、特許文献1を参照)。
このように、軸部の外周面は、ラジアル軸受部を構成し、また、フランジ部の端面はスラスト軸受部を構成することから、これらの面は高精度に仕上げておく必要がある。同時に、ラジアル軸受部とスラスト軸受部とを共に構成する場合、個々の面精度だけでなく、これらの間の形状精度、すなわち軸部の外周面とフランジ部の端面との間の直角度が重要となる。
互いに別体の軸部とフランジ部とを高精度に一体化する方法として、例えば固定軸に環状のスラストプレートを圧入することで固定する手段が提案されている(特許文献2を参照)。
また、最近では、情報機器の小型化・携帯化が進むにつれ、これら情報機器に搭載される流体軸受装置に対して、落下等に対する耐性(耐衝撃性)の向上が求められている。従い、軸部とフランジ部とを別体構造とする軸部材であれば、その締結強度を向上させることが重要となる。
締結強度向上のための手段として、例えば、フランジ素材の外径部の拡張を規制した密閉状態でフランジ部を軸方向に加圧し、フランジ部の内周面を縮径させ、これにより軸部との締結固定を図る手段が提案されている(特許文献3を参照)。
特開2003−239951号公報 特開2000−324753号公報 特開2004−204916号公報
圧入は、他の固定手段に比べて比較的容易に実施可能であり、また、予め互いに圧入固定される面を高精度に仕上げかつ位置決めを行って実施すれば、直角度等の組立て精度を確保することが可能な手段である。しかしながら、上述のように、落下等に備えた固定力(抜止め力)向上の要請に対応するには締結強度の面で不十分である。ましてや、最近の小型化に対する要請が強まる中、軸寸法を縮小するとなると、どうしても圧入長さを短く
せざるを得ない。これでは、締結強度を確保することは困難である。特許文献2には、圧入後、当該圧入領域の軸方向端部をレーザ溶接することで、固定強度の補強を図る旨が記載されているが、この種の作業には、別途大規模な設備が必要となり、製造コストの高騰を招く。
また、特許文献3に記載の如く、いわゆるプレス加工で外周面の拡大を規制した状態のフランジ部を圧縮縮径させることにより、軸部とフランジ部との締結を図る手段を採用した場合、精度の面で問題が生じる。すなわち、フランジ部は軸受面を有する部材であることから、その形状精度や面精度には高いものが求められる。翻って、この種の固定手段は、部品全体を塑性変形させることで締結固定を図るものであるから、軸受面などの変形を避けることは難しく、必要な面の精度確保が不十分となる恐れがある。
以上の事情に鑑み、本発明では、軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れ、かつ軸部とフランジ部との間で高い固定強度を有する流体軸受装置用の軸部材を低コストに形成することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、軸部と、軸部の一端に固定されるフランジ部とを備えるもので、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材において、軸部がフランジ部に設けた孔に圧入されると共に、軸部又はフランジ部が部分的に塑性加工を受けて加締め固定されていることを特徴とする流体軸受装置用軸部材を提供する。
このように、本発明は、圧入固定と加締め固定とを併用した点を特徴とし、かつフランジ部全体の塑性変形による加締めを避けて、軸部又はフランジ部に対し、部分的に塑性加工を施すことで加締め部を形成する点を特徴とするものである。かかる構成によれば、従来のように、加締めによる軸部あるいはフランジ部全体の変形を避けることができる。また、部分的に塑性変形させて加締め部を形成することで、圧入した領域が緩むのを避けて圧入状態を維持することができる。そのため、圧入により得られた高い形状精度(直角度)、あるいは個々の部品加工時に得られた高い面精度を維持した状態で固定強度の向上を図ることができる。あるいは、所要の固定強度を確保し得る限りにおいて、その軸方向寸法を縮小することにより、流体軸受装置の小型化を図ることも可能である。
加締め部は、フランジ部に対して部分的に塑性加工を施すことで形成されるのが好ましく、また、スラスト軸受隙間に面する領域より内側の領域に塑性加工を施すことで得られたものであることが好ましい。軸部は、強度向上や摺動特性改善の観点から焼入れ等の表面処理により硬度の向上を図るのが通常であるのに対し、フランジ部は軸部に比べて加工性に優れた材料で形成可能だからである。また、スラスト軸受面を避けてフランジ部を部分的に塑性変形させるようにすれば、スラスト軸受面となる両端面の精度を悪化させることもない。また、実質的にスラスト軸受面として作用する領域を外して塑性変形させることができ、軸受面積の減少にもつながらないため好ましい。
さらに、軸受面精度やその面積を確保する目的で、塑性加工により生じるフランジ部の塑性変形を内径側に逃がすための逃がし部を軸部に設けた構成とすることも可能である。すなわち、上述のように、フランジ部に対して塑性加工(加締め加工)を施した際、フランジ部に生じた塑性変形領域を逃がすことのできる位置に溝状の小径部などを設けておくことで、かかる溝状小径部に向けて塑性変形が生じる。そのため、塑性加工を施した領域周辺での盛上りを抑え、フランジ部に設けたスラスト軸受面の精度を維持することができる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、軸部と、軸部の一端に固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法であって、軸部をフランジ部に設けた孔に圧入する工程と、軸部又はフランジ部を加締める工程とを含み、少なくとも加締め工程を、フランジ部
の双方の端面を拘束した状態で行うことを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法を提供する。
一般に、加締め加工は、締結固定される双方の部材の何れか一方に塑性変形を生じさせるものであるから、例えば圧入工程後、加締め工程を行うこととすると、一方の部材の塑性変形により、圧入固定に関与する領域が変形を生じ、圧入力の低下、あるいは圧入精度の低下を招く恐れがあり好ましくない。これに対して、本発明のように、圧入状態における加締め工程を、フランジ部の双方の端面を拘束した状態で行うようにすれば、拘束する端面の面精度を維持して、また軸部に対するフランジ部の姿勢(位置)を圧入時のまま維持した状態で加締めることができる。また、フランジ部を拘束する面を高精度に仕上げた治具を用いて加締めるようにすれば、圧入時の位置ずれ等を治具の拘束により矯正することができる。また、固定と同時に高い形状精度(直角度など)を有する軸部材が製造可能なため、後加工で別途矯正のための工程を設ける必要がなく、工程数を増やさずに済む。以上より、この方法によれば、非常に高い面精度および直角度を有し、かつ十分な締結強度を有する軸部材を低コストで製造することができる。
もちろん、圧入工程時においても、フランジ部の双方の端面を拘束した状態としておくことで、軸部のフランジ部に対する圧入姿勢を適正に保った状態で圧入することができる。また、圧入姿勢を適正に保った状態で圧入すれば、圧入後の位置ずれを生じる恐れも少ないため好適である。
また、軸部とフランジ部、各々の加工プロセスから生じる寸法公差のずれを補う目的で、軸部をフランジ部に圧入する際の圧入力に基づき加締め力を設定することも可能である。この場合、圧入による固定力と、加締めによる固定力との総和が一定となるよう、先に検出可能な圧入時の荷重(圧入力)に基づき、後に行う加締め時の荷重(加締め力)が制御される。あるいは、固定力(固定強度)の総和が、その用途等に応じて要求される最低限の固定強度を常に満たすよう、必要に応じて一定の加締め力を付与して加締め加工を施すように設定される。そのため、互いに圧入される軸部の外径とフランジ部の孔の内径との差(締め代に相当)にばらつきがある場合でも、完成品が有する軸部とフランジ部との固定力は一定に保たれ、あるいは、その最低値が保証される。これにより、歩留まりを高めて、高品質の軸部材を安定して提供することができる。
上述の軸部材は、非常に優れた軸受面精度および軸受面間の直角度を有するものであるから、軸受隙間を高精度に管理することが必要な流体軸受装置用の軸部材として、あるいはこの軸部材を備えた流体軸受装置として好適に提供可能である。
以上のように、本発明によれば、軸受面の精度、および軸受面間の形状精度に優れ、かつ軸部とフランジ部との間で高い固定強度を有する流体軸受装置用の軸部材を低コストに形成することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づき説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は、単に各図における構成要素間の位置関係を容易に理解するために用いるもので、流体軸受装置の設置方向や使用態様等を特定するものではない。後述する他の実施形態においても同様である。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置1を具備したスピンドルモータの断面図を示す。このスピンドルモータは、例えば磁気ディスクを備えたHDD用として用いられるもので、ハブ3を取り付けた軸部材2をラジアル方向に非接触支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bとからなる駆動部4と、ブラケット5とを備えている。ステータコイル4aはブラケット5に固定され、ロータマグネット4bはハブ3に固定される。流体軸受装置1のハウジング7は、ブラケット5の内周に固定される。また、同図に示すように、ハブ3にはディスク6(図1では2枚)が保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間に発生する励磁力でロータマグネット4bが回転し、これに伴って、ハブ3に保持されたディスク6が軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、ハウジング7と、ハウジング7の内周に固定される軸受スリーブ8と、ハウジング7の一端を閉塞する蓋部材9
と、ハウジングの他端開口側に配設されるシール部材10と、ハウジング7と軸受スリーブ8、およびシール部材10に対して相対回転する軸部材2とを主に備える。
ハウジング7は、例えば真ちゅう等の金属材料や樹脂材料で筒状に形成され、その軸方向両端を開口した形態をなす。ハウジング7の内周面7aには、軸受スリーブ8の外周面8cが、例えば接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)など適宜の手段で固定される。また、内周面7aの下端側には、内周面7aよりも大径であって、後述する蓋部材9を固定するための固定面7bが形成される。
軸受スリーブ8は、例えば焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、軸受スリーブ8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7aに接着固定される。また、軸受スリーブ8は、樹脂やセラミック等の非金属材料からなる多孔質体で形成することもでき、また焼結金属等の多孔質体以外にも、内部空孔を持たない、あるいは潤滑油の出入りができない程度の大きさの空孔を有する構造の材料で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3に示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が、軸方向に離隔して2ヶ所に形成される。なお、この実施形態では、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、一方(ここでは上側)の動圧溝8a1、8a2形成領域を、軸方向非対称に形成している。図3に例示の形態で説明すると、軸方向中心mより上側(シール部材10側)の動圧溝8a1形成領域の軸方向寸法X1が、下側の動圧溝8a2形成領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるように形成されている。
軸受スリーブ8の下端面8bの全面または一部環状領域には、例えば図4に示すように、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1形成領域は、完成品の状態では後述するフランジ部22の上端面22aと対向し、軸部材2の回転時、上端面22aとの間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
軸受スリーブ8の外周面8cには、軸方向に向けて延びる複数の軸方向溝8c1が形成されている。これら軸方向溝8c1は、主に流体軸受装置1の使用時、軸受内部空間内で潤滑油の過不足が生じた場合などに、この好ましくない状態を早急に適正な状態に回復するための役割を果たす。
ハウジング7の下端側を閉塞する蓋部材9は、例えば金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の内周下端に設けられた固定面7bに固定される。
蓋部材9の上端面9aの全面又は一部環状領域には、例えば図4と同様の配列態様(スパイラルの方向は逆)をなす動圧溝形成領域が形成される。この動圧溝形成領域(スラスト動圧発生部)は、完成品の状態ではフランジ部22の下端面22bと対向し、軸部材2の回転時、下端面22bとの間に後述する第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
シール手段としてのシール部材10は、この実施形態ではハウジング7と別体に金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の上端内周に圧入、接着、溶着、溶接等任意の手段で固定される。
シール部材10の内周にはテーパ形状をなすシール面10aが形成されており、このシール面10aと、後述する軸部21の外周面との間にシール空間Sが形成される。潤滑油を流体軸受装置1内部に充満させた状態では、潤滑油の油面は常時シール空間Sの範囲内に維持される。
軸部材(流体軸受装置用軸部材)2は、軸部21と、中央に設けた孔22cに軸部21の下端を固定した環状のフランジ部22とで構成される。この実施形態では、図2に示すように、軸部21の外周に、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた動圧溝8a1、8a2形成領域とラジアル方向に対向するラジアル軸受面21aが軸方向に離隔して2ヶ所に設けられる。これらラジアル軸受面21a、21a間には、ラジアル軸受面21aより小径のヌスミ部21bが設けられる。また、フランジ部22の孔22c内に導入した部分のうち、後述するフランジ部22との加締め部23には、塑性変形部となるフランジ部22の内側突出部22dを収容するための小径部21cが設けられる。この図示例では、溝状の小径部21cが設けられている。
軸部21の下端はフランジ部22に圧入されている。また、圧入領域の軸方向端部(ここでは軸受スリーブ8側)に、フランジ部22との加締め部23が形成されている。
上述の構成部品を組立てた後、軸受内部空間に潤滑油を充填することで、完成品としての流体軸受装置1を得る。ここで、流体軸受装置1内部に充満される潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の動圧軸受装置に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等が好適に使用可能である。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の双方の動圧溝8a1、8a2形成領域は、軸部21のラジアル軸受面21a、21aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上下何れの動圧溝8a1、8a2形成領域においても潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心mに向けて押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1、8a2の動圧作用によって、軸部材2を回転自在にラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ軸方向に離隔して2ヶ所に構成される。
これと同時に、軸受スリーブ8の下端面8bに設けた動圧溝8b1形成領域とこれに対向するフランジ部22の上端面22aとの間のスラスト軸受隙間、および蓋部材9の上端面9aに設けた動圧溝形成領域とこれに対向するフランジ部22の下端面22bとの間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
以下、軸部材2の製造工程の一例を図5〜図8に基づき説明する。
図5は、軸部材2のアセンブリに用いる装置の概略図を示している。この装置は、軸部21を保持する第1の治具31と、第1の治具31の下方に位置するフランジ部22を保持する第2の治具32と、第2の治具32との間でフランジ部22を保持あるいは拘束可能な第3の治具33と、軸部21の上端面(フランジ部22と反対側の端面)21dと当接可能で、適当な駆動機構により軸部21をフランジ部22の側に向けて押し込む第4の治具34とを主に備える。
第3の治具33と第4の治具34との間には、第5の治具35が配設されている。この
治具(第5の治具35)は、下方に位置する第3の治具33との間に弾性体36を介設してなり、第4の治具34から下向きの負荷を受けた場合、この負荷を弾性体36を介して第3の治具33に伝達するようになっている。この場合、弾性体36が負荷に応じて圧縮変形することで、第5の治具35の下方への変位を吸収するようになっている。
第1の治具31は、軸部21を挿入可能で、かつ挿入した軸部21を保持可能な保持孔31aを有する。また、第2の治具32の上端面32aはフランジ部22の下端面22bを保持し、第3の治具33の下端面33aはフランジ部22の上端面22aを保持する。従い、保持孔31aは、軸部21のラジアル軸受面21a、21aを適正に保持、拘束可能な程度に、その寸法や形状が高精度に形成されている必要がある。同様に、上端面32aや下端面33aも、スラスト軸受面となるフランジ部22の両端面22a、22bを適正に保持、拘束可能な程度に、その形状(平面度など)が高精度に形成されている必要がある。
加えて、この種の軸部材2においては、ラジアル軸受面21aとスラスト軸受面(上端面22a)との間の直角度が軸受性能を左右する。そのため、これら軸受面間で高い直角度が得られるよう、保持孔31aと上端面32aとの間、および保持孔31aと下端面33aとの間の直角度を予め高精度に加工することで高めておくことが望ましい。フランジ部22を軸方向に拘束する上端面32aと下端面33aとの間で高い平行度が得られるように双方の治具32、33を高精度に加工しておくことはもちろんである。
第1の治具31の下方には、第1の治具31の下降に伴い、フランジ部22を部分的に塑性変形させ、軸部21との間に加締め部23を形成するための塑性加工部31cが設けられる。この実施形態では、塑性加工部31cは、先端に向けて先細りする形状をなし、軸部21およびフランジ部22を各治具31〜35に設置した状態では、フランジ部22の上端面22a内周側と当接している。また、フランジ部22の孔22cは、圧入前の段階では、所定の圧入代を見込んで、圧入すべき軸部21の外径寸法よりも若干小径に形成されている。
上記構成の装置を用いた場合、軸部21とフランジ部22との固定は以下の様にして行われる。
上述の如く、軸部21およびフランジ部22を第1の治具31〜第5の治具35に設置した(保持した)状態から、第4の治具34を下降させ、軸部21の上端面21dと当接させる(図5に示す状態)。この段階では、第5の治具35の上端面35aは、軸部21の上端面21dよりも下方に位置し、また、第1の治具31の上端面31bは、第5の治具35の上端面35aよりも下方に位置している。
第4の治具34を軸部21に当接させた状態から、さらに第4の治具34を下降させることで、軸部21の下端をフランジ部22の孔22cに圧入する。このようにして圧入を開始し、所定長さ分圧入を行った段階(言い換えると、フランジ部22に対する軸部21の圧入姿勢が安定化した段階)で、第4の治具34を第5の治具35の上端面35aに当接させる(図6に示す段階)。そして、さらに第4の治具34を下降させ、第5の治具35を下方に押圧することで、弾性体36を介して、第3の治具33に下向きの負荷が伝達される。従い、フランジ部22の両端面22a、22bを、第3の治具33と第2の治具32との間で拘束しながら、軸部21の圧入が進行する。
このようにして軸部21の圧入を、フランジ部22を拘束した状態で続行し、かかる圧入がある程度完了した段階で第4の治具34の下端面34aを第1の治具31の上端面31bに当接させる。図7は、軸部21の下端面21eとこの面に対向する第2の治具32
の上端面32aとの間に若干の隙間が生じる位置まで軸部21を押し込んだ(圧入した)段階で、第1の治具31と第4の治具34とを当接させる場合を例示している。また、この状態では、図7に示すように、弾性体36が圧縮変形した分に応じた負荷が第3の治具33からフランジ部22に付与され、これによりフランジ部22を拘束している。
そして、さらに第4の治具34を下降させることで、第4の治具34と当接する第1の治具31を軸方向に押圧し、下端に設けた塑性加工部31cでフランジ部22を部分的に塑性変形させる。ここでは、スラスト軸受面を除いた領域となる、フランジ部22の上端面22aの内周縁を、先細り形状の塑性加工部31cで半径方向内側に塑性変形させることで、軸部21の外周面(ラジアル軸受面21a)よりも内周側に入り込んだ内側突出部22dが形成される(図8を参照)。従い、塑性加工を受けたフランジ部22と軸部21との間、ここで言えば圧入領域の軸方向上端に加締め部23が形成される。上述の加締め加工は、引き続きフランジ部22の拘束下で行われる。
なお、軸部21がステンレス鋼など、フランジ部22に比べて硬い(高剛性の)材料で形成される場合には、図示のように、軸部21の、予め内側突出部22dが形成される箇所に小径部21cを設けておくのがよい。また、フランジ部22は、塑性加工を受けて内側に加締めることを想定して、例えば真ちゅう等の軟質金属で形成されるのがよく、また、焼入れなどの硬化処理が施されていないものがよい。
このようにして、軸部21とフランジ部22との間に加締め部23が形成された段階で、第4の治具34の下降を停止し、治具31〜35から軸部21とフランジ部22との一体品(軸部材2)を取出すことで、完成品としての軸部材2を得る。この実施形態では、軸部21の下端面21eが第2の治具32の上端面32aと当接する位置まで第1の治具31を押し込んだ(フランジ部22を塑性変形させた)段階で第4の治具34を停止し、アセンブリ(軸部材2)を取出している。
このように、軸部21をフランジ部22に圧入すると共に、フランジ部22を部分的に塑性変形させることにより、軸部21との間に加締め部23を形成したので、従来のように、加締めによる軸部21あるいはフランジ部22全体の変形を避けることができる。そのため、圧入時に得られた高い形状精度(直角度)、あるいは個々の部品加工時に得られた高い面精度を維持しつつも、圧入と加締めを併用することによる固定強度の向上を図ることができる。
また、圧入工程と加締め工程のうち、少なくとも加締め加工をフランジ部22の双方の端面22a、22bを拘束した状態で行うことにより、圧入時の軸部21に対するフランジ部22の姿勢を維持したままで加締めることができる。また、拘束する双方の端面22a、22bの面精度を維持したままで加締めることができる。特に、この実施形態のように、フランジ部22への負荷(拘束力)が、第4の治具34および第5の治具35の下降量に伴い増大する構成を採る場合、圧入時よりも高い拘束力でもってフランジ部22を拘束する。そのため、万一、圧入時に軸部21とフランジ部22との間で位置ずれ等が生じた場合であっても、かかる位置ずれを治具31〜33の拘束により矯正することができる。
さらには、上述のように、弾性体36等を利用して、フランジ部22に作用する拘束力を徐々に高めることで、例えば圧入初期においては、フランジ部22の軸部21に対する圧入姿勢は維持しつつも、フランジ部22の水平移動をある程度許容することで、ある種の案内機能を果たすことができる。従い、フランジ部22と軸部21との位置関係を良好にした状態で圧入を行うことができる。なお、この場合、図5や図6に示すように、面取り等により軸部21とフランジ部22の一方あるいは双方の導入側端部に案内面を設けて
おくことで、より適正な姿勢で圧入を行うことができる。
また、この実施形態では、圧入時においても、第2および第3の治具32、33によりフランジ部22を拘束するようにしたので、軸部21のフランジ部22に対する圧入姿勢を適正に保った状態で、あるいはフランジ部22の両端面22a、22bの平面度や振れ精度(直角度)を矯正しながら軸部21を圧入することができる。また、圧入姿勢を適正に保った状態で圧入すれば、圧入後の位置ずれを生じる恐れもないため好ましい。
また、この実施形態では、フランジ部22の上端面22aのうち、スラスト軸受面より内側の領域を塑性変形させる(内側突出部22dを形成する)ようにしたので、スラスト軸受面の面精度を悪化させることもない。また、実質的にスラスト軸受面として作用する領域を外してフランジ部22を塑性変形させることで軸受面積を確保することができる。
また、この実施形態のように、治具31〜33の各軸受面と当接する面(保持孔31aの内周面や上端面32a、下端面33a)を予め高精度に形成しておき、かつこれら治具31〜33の位置精度を高度に設定しておくことで、ラジアル軸受面21aとスラスト軸受面(上端面22a)との間の直角度を高く保った状態で、圧入および加締め固定を行うことができる。
また、この実施形態では、駆動機構からの駆動力(ここでは上下動のための駆動力)を受ける第4の治具34との間の軸方向隙間を、軸部21、第5の治具35、第1の治具31の順に大きくした構成とした。かかる構成によれば、第4の治具34を下降させることで上述の負荷過程(軸部21の圧入を開始した後、フランジ部22に軸方向の拘束力を付与し、その後、フランジ部22を加締め加工)を実現することができる。そのため、駆動系統(駆動機構)が単一のもので済み、設備コストの低減化が可能となる。また、互いに連動する一連の治具31〜35でもって圧入、矯正、加締め全ての工程を実施することができるので、生産性の面でも好ましい。
また、この実施形態のように、矯正を伴って軸部21の圧入を行う場合には相当量の圧入代をとった状態で行うことができる一方、圧入と接着とを組み合わせた固定手段を採用することもできる。圧入と接着を併用する場合、接着剤により固定強度の補強を図ることができるので、軽圧入などを採用することが可能である。圧入代が小さくて済めば、その分組立て精度は出し易いので、加締めを伴って圧入固定することで、固定強度と形状精度(組立て精度)とに非常に優れた軸部材2を得ることが可能となる。
以上、本発明の一実施形態に係る軸部材2の構成および製造工程を説明したが、もちろん、これに限定されることなく、上記以外の構成および工程を採ることも可能である。
例えば上記実施形態では、先端が先細り形状をなす塑性加工部31cを平坦なフランジ部22の上端面22aに押し付けることで、かかる領域を内周側に塑性変形させた場合を説明したが、もちろん、この形態に限る必要はない。内側に塑性変形させることで加締め可能である限り、塑性加工部31cの形状は任意である。
また、フランジ部22の塑性加工面は必ずしも平坦である必要はなく、容易に内側に塑性変形できるような形状の突起などを設けても構わない。また、全周にわたってフランジ部22を塑性変形させる(内側突出部22dを形成する)必要はない。必要となる締結強度、あるいは塑性加工の容易性等を考慮して、上端面22aの内周に、円周方向にわたって断続的に複数の内側突出部22dを形成することで加締め部23を設けるようにしてもよい。
また、この実施形態では、加締め部23を、軸部21とフランジ部22との圧入領域の軸方向上端(上端面22aの側)に設けた場合を例示したが、フランジ部22の他端側に予め小径部を形成しておき、これと加締め部23(内側突出部22d)とで締結固定を図る構成を採ることも可能である。例えば図9に示すように、フランジ部22の下端面22bの側から内周に向けて小径部22eを突出形成しておき、これと軸部21の下端面21eとが当接する位置で、フランジ部22を加締めるようにすることも可能である。もちろん、各治具や駆動機構の工夫により、軸方向両端に加締め部23を形成するようにしても構わない。
また、この実施形態では、加締め加工により生じるフランジ部22の半径方向内側への塑性変形を軸部21の側に逃がすことのできる位置に、溝状の小径部21cを設けた場合を例示したが、これ以外の構成を採ることも可能である。例えば図10に例示の如く、軸部21の外周面のうち、ラジアル軸受面21aと圧入領域との間に段差21f(ここではテーパ状)を設けたものをフランジ部22に圧入する。そして、上記と同様、フランジ部22の上端面22aの側に対して塑性加工部31cで塑性加工を施すことで、図11に示すように、フランジ部22に生じた塑性変形を、軸部21に設けた段差21fよりも小径側の領域に向けて逃がすことができる。この場合、上述の如く、フランジ部22の軸方向下端に小径部22eを設けておくか、あるいは軸方向両端に加締め部23を形成するようにするのが好ましい。
なお、図10に例示の如く、フランジ部22の塑性加工を受ける領域22fを、その他の領域(ここでいえば上端面22a)に比べて若干下げておく(幅薄にしておく)構成も有効である。かかる構成のフランジ部22に対して塑性加工を施すことで、例えば図11に示すように、塑性変形としてスラスト軸受面の側に向けて生じた盛上り22gが上端面22aよりも(下端面22bとは反対の側に)突出するのを抑えることができる。従って、加締め部23による固定力を確保しつつも、盛上り22gによるスラスト軸受面への干渉をなるべく避けて、スラスト軸受性能を確保することができる。
また、塑性加工部31cによるフランジ部22の塑性加工の開始時を、軸部21の圧入完了時としても構わない。圧入が完全に終了した時点でフランジ部22の加締め工程を開始するようにすれば、より加締め部23による固定力を高めることも可能である。この場合、軸部21と塑性加工部31cとを独立して下方に押し込むために第4の治具34を分割し、かつこれらを別個独立して駆動(上下動)させるために、複数系統の駆動機構が必要となる。
また、上記実施形態では、第2の治具32と第3の治具33によるフランジ部22の拘束開始時を、軸部21の圧入開始後としたが、拘束開始時を圧入開始時と一致させても構わない。あるいは圧入による位置ずれの矯正を目的とするのであれば、圧入完了時より少し前、あるいは圧入完了後、加締め工程中において任意の段階で拘束(矯正)を開始することも可能である。
また、以上の説明では、フランジ部22に対して部分的に塑性加工を施すことで、軸部21との間に加締め部23を形成する場合を説明したが、これに限る必要はない。例えばラジアル軸受面21a、21aの面精度(真円度や同軸度)が高精度に維持可能な限りにおいて、軸部21に対し部分的に塑性加工を施して、フランジ部22との間に加締め部23を形成することもできる。また、この際、軸部21の部分的な塑性変形(例えば半径方向外側への張り出し)を極力小さい負荷で実現できるよう、例えば図示は省略するが、軸部21の下端側に軸方向の突出部を設け、これを圧入完了時あるいは完了後に、半径方向外側に曲げることで、加締め部を形成することも可能である。
また、上記実施形態では、所定の圧入代となるよう、軸部21をフランジ部22の孔22cに圧入し、かつ、軸部21の下端面21eが第2の治具32の上端面32aと当接する位置まで塑性加工部31cを下降させた場合を説明したが、かかる圧入および加締め態様はあくまでも一例に過ぎない。例えば、軸部21とフランジ部22、各々の加工プロセスから生じる寸法公差(平均値、あるいはその許容幅)のずれを補う目的で、軸部をフランジ部に圧入する際の圧入力に基づき加締め力を設定することも可能である。
上記実施形態を例にとり説明すると、まず軸部21のフランジ部22への圧入を開始した段階(図6)での圧入力を、軸部21がフランジ部22から受ける反力として例えば第4の治具34に設けたロードセル等で検出する。そして、検出した圧入力に基づき、軸部21とフランジ部22との締め代(圧入代)を推定する。締め代が推定できれば、その際に得られる(圧入による)締結力が予測できるので、この圧入による固定力と加締めによる固定力との総和が一定となるよう、推定される締め代に応じて加締めに要する荷重の最大値を設定する。そして、加締め加工時(図7および図8)、塑性加工部31cを有する第1の治具31がフランジ部22から受ける反力を第4の治具34に設けたロードセル等で検出しつつ加締め加工を続行し、加締め荷重の検出値が、先に設定した加締め荷重の最大値に到った段階で、第4の治具34および第1の治具31を停止する。
このようにして、加締め力(加締め荷重)の最大値を制御することにより、互いに圧入される軸部21とフランジ部22との組み合わせによって、その圧入代にばらつきがある場合でも、完成品としての軸部材2が有する軸部21とフランジ部22との固定力を一定に保つことができる。従って、歩留まりを高めて、高品質の軸部材2を安定して提供することができる。
なお、上述の説明では、圧入による固定力と加締めによる固定力との総和が一定となるよう、加締め力(あるいは加締め量)を設定した場合を説明したが、他の基準に基づき加締め力を設定するようにしても構わない。例えば、圧入力につき予め閾値を定めておき、検出した圧入力の値が上述の閾値以上となる場合には、一定の加締め力を付与するようにし、検出した圧入力の値が閾値を下回る場合には、閾値との差に応じて付与すべき加締め力の増加分を設定するように設定することも可能である。あるいは、検出した圧入力の値が上述の閾値を下回る場合にのみ一定の加締め力を付与するようにし、圧入による固定力と加締めによる固定力との総和が閾値を常に満たすよう、加締め力を設定するようにしても構わない。
また、圧入力および加締め力共に、第4の治具34に設けたロードセルでその反力を検出する他、これら検出すべき反力は個別に検出してもよいし、その合計値として検出するようにしてもよい。もちろん、軸部21の圧入とフランジ部22への加締め加工とを別々の駆動機構を用いて行うのであれば、別々に検出部を設けることも可能である。あるいは、直接加締め加工を行う第1の治具31にロードセル等を設けることで反力を検出するようにしても構わない。また、加締め荷重の最大値を塑性加工部31cの下降量(フランジ部22への押し込み量)に換算できるのであれば、塑性加工部31cを有する第1の治具31の位置制御でもって加締め量をコントロールすることも可能である。
また、本発明は、上記の構成に限らず、他の構成をなす流体軸受装置にも適用可能である。
例えば上記実施形態では、軸部21の外周面をラジアル軸受面21aとして、フランジ部22の上端面22aおよび下端面22bをそれぞれスラスト軸受面として使用した場合を説明したが、これに限る必要はない。例えば、双方の端面22a、22bのうち、上端面22aのみをスラスト軸受面として使用する構成の流体軸受装置用の軸部材に、本発明を適用することもできる。
図12は他の実施形態に係る流体軸受装置101の断面図を示している。この流体軸受装置101の特徴点(図2に係る流体軸受装置1との主な相違点)は以下の通りである。すなわち、流体軸受装置101において、軸部21の上端(フランジ部22とは反対側)に固定されたハブ103は、ハウジング107の開口側(上側)に位置する円盤部103aと、円盤部103aの外周部から軸方向下方に延びた筒状部103bとを主に有する。また、ハウジング107の上端面107cには、例えば図4に示す配列態様をなす動圧溝形成領域(スパイラルの向きは逆)が設けられ、向かい合う円盤部103aの下端面103a1との間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する。
ハウジング107の外周には、上方に向かって漸次拡径するテーパ状のシール面107dが形成される。このテーパ状のシール面107dは、筒状部103bの内周面103b
1との間に、ハウジング107の閉塞側(下方)から開口側(上方)に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。なお、図12中、ハウジング107の内周面107aと固定面107bは、それぞれ図2中のハウジング7の内周面7aおよび固定面7bに対応している。これ以外の構成は、図2に係る構成に準じるので説明を省略する。
このように、フランジ部22の上端面22aのみをスラスト軸受面として使用する場合であっても、圧入と加締めとを併用し、かつフランジ部22を部分的に塑性変形させて加締め部23を形成することで、加締め加工後であってもラジアル軸受面21aやスラスト軸受面などの面精度、およびこれら軸受面間の直角度を高度に保つことができる。また、併せて高い固定強度を有する軸部材2を得ることができる。
また、既述のように、治具31〜33の各軸受面と当接する面(保持孔31aの内周面や上端面32a、下端面33a)を予め高精度に形成したものを使用して上述の圧入および加締め固定を行うことで、ラジアル軸受面21aとスラスト軸受面(上端面22a)との間で高い直角度を有する軸部材2を得ることができる。
なお、以上の実施形態では何れも、ハウジング7、107と、軸受スリーブ8とを別体としたが、これら流体軸受装置1、101の固定側を構成する部品群から選択される2以上の部品同士を、アセンブリ可能な範囲において一体化(同一材料で一体に形成、あるいは一方の部品をインサートして他方の部品を型成形)することも可能である。例えば図2に示す構成でいえば、ハウジング7と軸受スリーブ8、ハウジング7と蓋部材9、ハウジング7とシール部材10との間で一体化が可能である。ハウジング7と軸受スリーブ8、およびシール部材10を一体化することも可能である。また、図12に示す構成でいえば、ハウジング107と軸受スリーブ8、あるいはハウジング107と蓋部材9との間で一体化が可能である。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部21の外周面(ラジアル軸受面21a)との間に、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、ラジアル軸受面となる軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する真円状の外周面(ラジアル軸受面21a)とで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調和波形などの波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、動圧発生部を何れも固定側(ハウジング107や軸受スリーブ8、蓋部材9など)に設けた場合を説明したが、その一部あるいは全てを回転側(軸部21やフランジ部22、ハブ103など)に設けることも可能である。具体的には、軸部21の外周面(ラジアル軸受面21a)やフランジ部22の両端面22a、22b、およびハブ103の下端面103a1のうち、1ヶ所以上に既述の動圧発生部を設けること
が可能である。
なお、以上の実施形態では、軸部材2が回転して、それを軸受スリーブ8などで非接触支持する構成を説明したが、これとは逆に、軸受スリーブ8の側が回転して、それを軸部材2の側で支持する構成に対しても本発明を適用することが可能である。この場合、軸受スリーブ8は、例えば図1あるいは図12に示すハブ3、103に一体又は別体に固定され、ハブ3と一体に回転するよう構成される。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1、101の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体膜を形成するための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも流体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を備えたスピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置の断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 軸受スリーブのフランジ部と対向する端面の平面図である。 軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 他形態に係る軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 他形態に係る軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 他形態に係る軸部材の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 他の実施形態に係る流体軸受装置の断面図である。
符号の説明
1、101 流体軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
21 軸部
21a ラジアル軸受面
22 フランジ部
22a 上端面
22b 下端面
22d 内側突出部
23 加締め部
31〜35 治具
31c 塑性加工部
36 弾性体
S シール空間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (6)

  1. 軸部と、軸部の一端に固定されるフランジ部とを備えるもので、
    軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材において、
    軸部がフランジ部に設けた孔に圧入されると共に、軸部又はフランジ部が部分的に塑性加工を受けて加締め固定されていることを特徴とする流体軸受装置用軸部材。
  2. 加締め部が、フランジ部の、スラスト軸受隙間に面する領域より内側の領域に塑性加工を施すことで得られたものである請求項1記載の流体軸受装置用軸部材。
  3. 塑性加工により生じるフランジ部の塑性変形を内径側に逃がすための逃がし部が軸部に設けられている請求項2記載の流体軸受装置用軸部材。
  4. 軸部と、軸部の一端に固定されるフランジ部とを備え、軸部の外周面と、この外周面に対向する面との間にラジアル軸受隙間を形成すると共に、フランジ部の端面と、この端面に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間に形成される流体の膜で回転支持される流体軸受装置用軸部材の製造方法であって、
    軸部をフランジ部に設けた孔に圧入する工程と、
    軸部又はフランジ部を加締める工程とを含み、
    少なくとも加締め工程を、フランジ部の双方の端面を拘束した状態で行うことを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法。
  5. 圧入力に基づき加締め力を設定する請求項4記載の流体軸受装置用軸部材の製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れかに記載の軸部材、又は、請求項4もしくは5に記載の方法で製造された軸部材を備えた流体軸受装置。
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