JP2013036475A - 流体動圧軸受装置およびこれを備えるモータ - Google Patents

流体動圧軸受装置およびこれを備えるモータ Download PDF

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Abstract

【課題】個別に製作した軸部および円環状のフランジ部を結合一体化してなる軸部材を備えた流体動圧軸受装置において、必要とされる軸受性能を確保しつつ、そのコスト低減を図る。
【解決手段】軸部21およびフランジ部22を有する軸部材2と、両端が開口し、内周に軸部材を収容したハウジング7と、フランジ部22の軸方向外側に隣接配置され、ハウジング7の一端開口部を封口する蓋部材10とを備えた流体動圧軸受装置1である。フランジ部22は、金属板を打ち抜くことで円環状に形成され、内周面22cおよび外周面22dの一端部にかえり24,25を有する。フランジ部22は、打ち抜き加工で形成された後、かえり24,25を外側に向けた状態で軸部21の一端外周に固定される。蓋部材10の内底面10aには、かえり24,25を蓋部材10と非接触の状態で収容する凹部10b,10cが設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体動圧軸受装置およびこれを備えるモータに関する。
流体動圧軸受装置は、軸受隙間に形成される流体の潤滑膜(油膜)で、軸部材を相対回転自在に非接触支持する軸受装置である。この流体動圧軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、ディスク駆動装置(例えば、HDD等の磁気ディスク駆動装置や、CD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置)のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、電気機器のファンモータ等のモータ用軸受装置として好適に使用されている。
上記の各種モータのうち、特にスピンドルモータに搭載される流体動圧軸受装置においては、軸部材として、外周面でラジアル軸受隙間を形成する軸部と、軸部の一端に設けられ、端面でスラスト軸受隙間を形成するフランジ部とを有するもの(フランジ付軸部材)を使用する場合が多い。フランジ付軸部材としては、軸部およびフランジ部を機械加工や塑性加工で一体に形成した一体タイプと、個別に製作した軸部およびフランジ部を適宜の手段で結合一体化した別体タイプとがあるが、何れのタイプのフランジ付軸部材を採用する場合であっても、当該軸部材は、一端開口部が蓋部材にて封口されたハウジングの内周に収容された状態で使用されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
一体タイプのフランジ付軸部材は、軸部とフランジ部との間に高い締結強度を確保し得ることができる他、軸部の外周面(詳しくは、外周面のうちラジアル軸受隙間を形成する円筒状領域)とフランジ部の端面(詳しくは、端面のうちスラスト軸受隙間を形成する環状領域)との間の直角度等、フランジ付軸部材に必要とされる各種精度を高精度に確保し得るが、その製作に際しては専用の加工設備が必要でコスト高が顕著になることから、別体タイプのフランジ付軸部材を採用することが積極的に検討されている。別体タイプのフランジ付軸部材としては種々のものが公知であるが、例えば下記の特許文献2には、軸部の一端外周に、円環状のフランジ部を嵌合固定してなる別体タイプのフランジ付軸部材が記載されている。
特開2003−336636号公報 特開2000−324753号公報
円環状のフランジ部は、流体動圧軸受装置のコスト低減を図るべく、例えば金属板の打ち抜き加工品(プレス切断品)とされるが、打ち抜き直後のフランジ部の内周面および外周面の一端部(打ち抜き加工終了側の端部)には、かえりとも称されるバリが残存している。一端部にかえりが残存したままのフランジ部を用いたフランジ付軸部材を使用すると、フランジ部のかえりとフランジ部の軸方向外側に隣接配置される蓋部材とが摺動することにより、蓋部材が削れ、あるいはかえりが脱落してコンタミが生じる可能性がある。そのため、通常は、打ち抜き加工に伴って形成されたかえりを除去し、フランジ端面の平面度を向上することを目的として、フランジ部の端面に研削等の仕上げ加工が施される。しかし、このような仕上げ加工を施すと工程数が増加する分コスト高となり、フランジ部を打ち抜き加工品とすることによるコストメリットを十分に享受することができなくなる。
また、特に、円環状のフランジ部を軸部の一端外周に嵌合固定することでフランジ付軸部材を得る場合には、所期の軸受性能を確保するためにも、軸部の固定面となるフランジ部の内周面に対するフランジ端面(厳密には、端面のうちスラスト軸受隙間を形成する領域)の直角度を十分に高める必要がある。しかしながら、フランジ部は、その厚みが1〜数mm程度の薄板状部材であることから、内周面を基準とした端面の仕上げ加工(例えば研削)を精度良く実行するのは容易ではない。そのため、フランジ部の内周面と端面との間に必要とされる直角度は、金属板を打ち抜いてフランジ部を形成するのと同時に確保するのが一般的である。従って、打ち抜き加工により得られたフランジ部に対し、かえりの除去等を目的として端面研削等の仕上げ加工を施すと、予め確保されていたフランジ部の内周面と端面との間の直角度を崩す結果となり、所定の軸受性能を確保することが難しくなる。
かかる実情に鑑み、本発明の目的は、個別に製作した軸部および円環状のフランジ部を結合一体化してなる軸部材を備えた流体動圧軸受装置において、必要とされる軸受性能を確保しつつ、そのコスト低減を図ることにある。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、軸部およびその一端外周に固定された円環状のフランジ部を有する軸部材と、両端が開口し、内周に軸部材を収容したハウジングと、フランジ部の軸方向外側に隣接配置され、ハウジングの一端開口部を封口する蓋部材と、軸部の外周面で形成される潤滑油で満たされたラジアル軸受隙間と、フランジ部の端面で形成される潤滑油で満たされたスラスト軸受隙間とを備える流体動圧軸受装置において、フランジ部が、金属板を打ち抜くことで円環状に形成され、内周面および外周面の一端部にかえりを有するものであり、打ち抜き後のフランジ部を、かえりを軸方向外側に向けた状態で軸部の一端外周に固定し、蓋部材の内底面に、かえりを蓋部材と非接触の状態で収容する凹部を設けたことを特徴とする。なお、ここでいう「軸方向外側」とは、軸受外部側と同義である。
本発明に係る流体動圧軸受装置では、金属板を打ち抜くことで円環状に形成され、内周面および外周面の一端部にかえりを有するフランジ部が、かえりを軸方向外側に向けた状態で軸部の一端外周に固定される。すなわち、本発明では、金属板の打ち抜き(プレス切断)加工で形成されたフランジ部が、研削等の仕上げ加工が施されることなくそのまま使用される。そのため、打ち抜き加工でフランジ部を形成した後に、研削等の仕上げ加工を施すことにより生じ得る弊害、具体的には、加工コスト増や軸受性能の低下といった問題が生じるのを可及的に回避しつつ、フランジ部を金属板の打ち抜き加工品とすることによるコスト低減効果を有効に享受することができる。また、打ち抜き加工で円環状のフランジ部を形成した場合、フランジ部の内周面および外周面の他端部(打ち抜き加工開始側の端部)はR形状となるので、軸部の一端をフランジ部の内周に円滑に嵌入することができる。従って、軸部に対するフランジ部の組み付け精度に優れた高精度のフランジ付軸部材を得ることができる。その一方で、フランジ部の軸方向外側に隣接配置される蓋部材の内底面(フランジ部の一端面と軸方向に対向する端面)に、かえりを蓋部材とは非接触の状態で収容する凹部を設けたことにより、フランジ部のかえりと蓋部材とが摺接するのを回避することができる。そのため、打ち抜き加工されたフランジ部をそのまま用いたとしても、コンタミの発生を可及的に防止することができる。以上から、必要とされる軸受性能を確保しつつ、軸部材の製造コストの低廉化を通じて流体動圧軸受装置のコスト低減を図ることができる。
流体動圧軸受装置の軸受性能は、ラジアル軸受隙間およびスラスト軸受隙間の個々の隙間幅精度の他、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受隙間の間の直角度等によって左右され、これら各種精度を所定値に管理するには、ラジアル軸受隙間の形成面である軸部の外周面と、スラスト軸受隙間の形成面であるフランジ部の端面との間に所定の直角度が確保されるように軸部とフランジ部を組み付ける必要がある。そのため、打ち抜き後のフランジ部において、軸部の固定面となる内周面と、スラスト軸受隙間の形成面となる端面との間の直角度は3μm以下とするのが望ましい。
かえりは、その高さ寸法が小さければ小さいほど軸受性能上好ましい。しかしながら、かえりを、フランジ部の厚み(フランジ部の両端面間の離間距離)の3%を下回るような高さ寸法に形成するには、打ち抜き加工を極めて精度良く実行しなければならず、フランジ部を金属板の打ち抜き加工品とすることによるコストメリットを十分に享受することができなくなる。一方、かえりの高さ寸法がフランジ部の厚みの10%を超えてしまうと、流体動圧軸受装置の組立段階等において、かえりが脱落等する可能性が飛躍的に高まる。従って、フランジ部は、かえりの高さ寸法がフランジ部の厚みの3%以上10%以下となるように打ち抜き加工されたものとするのが望ましい。
本発明に係る流体動圧軸受装置は、潤滑油の油面を保持してハウジングの他端開口部をシールするシール隙間をさらに備えたものとすることができる。ここで、蓋部材の内底面に設けられる凹部は、その深さ寸法を大きく確保しておくほど、かえりと蓋部材の接触を防止する上で有利となるが、凹部の深さ寸法が大きくなるほど、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間を含め、流体動圧軸受装置の内部空間に充填すべき潤滑油量が増大してシール隙間の軸方向寸法を大きくとる必要が生じ、また、蓋部材自体の強度が低下することから、軸受性能上不利となる。かかる事情を勘案すると、凹部の深さ寸法は、かえりの高さ寸法の(1倍を超えて)2倍以下とするのが望ましい。
上記構成において、スラスト軸受隙間に流体動圧を発生させるスラスト動圧発生部を設けることができ、このスラスト動圧発生部は、金属板の打ち抜きでフランジ部を形成するのと同時に、フランジ部の端面に型成形することができる。このようにすれば、別工程でスラスト動圧発生部を形成する手間を省くことができるので、動圧軸受からなるスラスト軸受部を低コストに構成することができる。
ハウジングの内周には、対向する軸部の外周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブを固定することができる。このようにすれば、流体動圧軸受装置の各部に求められる要求特性を最適化し易くなる。なお、ハウジングと軸受スリーブとが一体的に設けられたものを用いることも可能である。このようにすれば、部品点数や組立工数の削減を通じて流体動圧軸受装置の低コスト化を図る上で有利となる。
軸部の外周面には、ラジアル軸受隙間に流体動圧を発生させるラジアル動圧発生部を設けることができる。ラジアル動圧発生部は、ラジアル軸受隙間を介して軸部の外周面と対向する面(例えば、軸受スリーブの内周面)に形成することも可能であるが、軸部の外周面にラジアル動圧発生部を設ける場合には、転造や研削等の比較的簡便な手段を組み合わせることで微小な動圧溝も精度良く形成することができるので、製造コストの低廉化を図る上で有利となる。
以上で述べた本発明に係る流体動圧軸受装置は、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えたモータ、例えばディスク駆動装置用のスピンドルモータに組み込んで好適に使用可能である。
以上に示すように、本発明によれば、個別に製作した軸部および円環状のフランジ部を結合一体化してなる軸部材を備えた流体動圧軸受装置において、必要とされる軸受性能を確保しつつ、そのコスト低減を図ることができる。
流体動圧軸受装置が組み込まれた情報機器用スピンドルモータの一例を概念的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る流体動圧軸受装置の含軸断面図である。 (a)図は軸受スリーブの断面図であり、(b)図は軸受スリーブの下側端面を示す平面図である。 蓋部材の内底面を示す平面図である。 (a)〜(c)図は、図2に示す流体動圧軸受装置の組立方法の一例を段階的に示す要部拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る流体動圧軸受装置の含軸断面図である。 本発明の第3実施形態に係る流体動圧軸受装置の含軸断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、流体動圧軸受装置が組み込まれた情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示す。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるものであり、流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータベース6とを備えている。ステータコイル4はモータベース6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられる。流体動圧軸受装置1の軸受部材9は、モータベース6の内周に固定される。ディスクハブ3にはディスクDが一又は複数枚(図示例は2枚)保持されている。以上の構成において、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2に、本発明の第1実施形態に係る流体動圧軸受装置1を示す。この流体動圧軸受装置1は、軸部21およびフランジ部22を有する軸部材2と、軸部材2の外径側に配置された軸受部材11と、軸受部材11の一端開口部を封口する蓋部材10とを構成部材として備え、内部空間は流体としての潤滑油(密な散点ハッチングで示す)で満たされている。本実施形態では、軸部材2の軸部21を内周に挿入した円筒状の軸受スリーブ8と、両端が開口し、軸受スリーブ8を内周に固定した円筒状のハウジング7とで軸受部材11が構成され、蓋部材10は、ハウジング7の一端開口部の内周に固定される。なお、以下では、説明の便宜上、蓋部材10が設けられた側を「下側」、その軸方向反対側を「上側」というが、流体動圧軸受装置1の使用態様を限定するものではない。
軸受スリーブ8は、焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。軸受スリーブ8の上側端面8cには、環状溝8c1と、外径端が環状溝8c1に繋がった径方向溝8c2とが形成されており、軸受スリーブ8の外周面8dには、円周方向の一又は複数箇所に軸方向溝8d1が形成されている(本実施形態では円周方向の三箇所。図3(b)を参照)。軸受スリーブ8は、多孔質樹脂に代表されるその他の多孔質体、黄銅等の軟質金属などで形成することも可能である。
軸受スリーブ8の内周面8aには、対向する軸部21の外周面21aとの間にラジアル軸受隙間を形成する円筒状のラジアル軸受面A1,A2が軸方向の二箇所に離間して設けられており、ラジアル軸受面A1,A2には、図3(a)に示すように、軸方向に対して傾斜した複数の動圧溝Aaをヘリングボーン形状に配列してなるラジアル動圧発生部がそれぞれ形成されている。上側のラジアル軸受面A1に形成されたラジアル動圧発生部においては、上側領域の動圧溝Aaの軸方向寸法X1が下側領域の動圧溝Aaの軸方向寸法X2よりも大きくなっており、下側のラジアル軸受面A2に形成されたラジアル動圧発生部においては、上側領域の動圧溝Aaおよび下側領域の動圧溝Aaの軸方向寸法が上記軸方向寸法X2と等しくなっている。動圧溝Aaは、ヘリングボーン形状に限らず、スパイラル形状に形成することもできる。
軸受スリーブ8の下側端面8bには、対向するフランジ部22の上側端面22aとの間に第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する環状のスラスト軸受面Bが設けられている。このスラスト軸受面Bには、図3(b)に示すように、スパイラル形状の動圧溝Baを円周方向に複数配置してなるスラスト動圧発生部が形成されている。
ハウジング7は、例えば溶製材(黄銅やステンレス鋼等の中実の金属材料)で軸方向両端が開口した略円筒状に形成されており、側部7aと、側部7aの上側に設けられて内径側に延びたシール部7bとを一体に有する。側部7aには小径内周面7a1と大径内周面7a2とが設けられており、両内周面7a1,7a2には、接着、圧入、圧入接着(圧入と接着の併用)、溶接等の適宜の手段により、軸受スリーブ8および蓋部材10がそれぞれ固定されている。
シール部7bの内周面7b1は、下方(ハウジング7の内部側)に向けて漸次縮径したテーパ面状に形成され、対向する軸部21の外周面21aとの間に下方に向けて径方向寸法を漸次縮小させたくさび状のシール隙間Sを形成する。シール部7bの下側端面7b2の内径側領域には、軸受スリーブ8の上側端面8cが当接しており、ハウジング7に対する軸受スリーブ8の軸方向における相対的な位置決めがなされている。シール部7bの下側端面7b2の外径側領域は、外径側に向かって徐々に上側に後退しており、軸受スリーブ8の上側端面8cおよび上部外周チャンファとの間に環状隙間を形成している。環状隙間の内径端部は、軸受スリーブ8の上側端面8cの環状溝8c1に繋がっている。
蓋部材10は、例えば溶製材(黄銅やステンレス鋼等の中実の金属材料)で円盤状に形成され、ハウジング7の大径内周面7a2の内周に固定されてハウジング7の下端開口部を封口している。蓋部材10の内底面(上側端面)10aには、対向するフランジ部22の下側端面22b(のスラスト面E2)との間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する円環状のスラスト軸受面Cが設けられている。スラスト軸受面Cには、図4に示すように、スパイラル形状の動圧溝Caを円周方向に複数配設してなるスラスト動圧発生部が形成されている。
軸部材2は、軸部21と、軸部21の下端に設けられたフランジ部22とを有し、より具体的には、軸部21の下端外周に円環状(リング状)のフランジ部22を固定して構成されている。
軸部21は、高剛性の溶製材(例えばSUS420J2等のステンレス鋼)で形成された中実軸であり、その外周面21aには、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面A1,A2との間にラジアル軸受隙間を夫々形成する円筒状のラジアル面D1,D2が軸方向の二箇所に離間して設けられている。これらラジアル面D1,D2間領域には、ラジアル面D1,D2よりも内径側に後退した円筒状の中逃げ部23が設けられている。このような中逃げ部23を設けたことにより、ラジアル軸受隙間の軸方向両側にラジアル軸受隙間よりも隙間幅の大きい半径方向隙間が形成される。この半径方向隙間は、潤滑油溜りとして機能させることができるので、軸受運転中には、軸方向上下に隣接した2つのラジアル軸受隙間を潤沢な潤滑油で満たすことが可能となり、ラジアル方向における回転精度の安定化が図られる。また、上記の半径方向隙間を設けたことでロストルクを小さくすることができるので、モータの低消費電力化に寄与する。
円環状のフランジ部22は、銅合金やアルミニウム合金等に代表される軟質金属、あるいは軸部21と同様のステンレス鋼で形成されている。このフランジ部22の上側端面22aには、軸受スリーブ8のスラスト軸受面Bとの間に第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する平坦なスラスト面E1が設けられ、下側端面22bには、蓋部材10のスラスト軸受面Cとの間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する平坦なスラスト面E2が設けられている。
フランジ部22は、上記の金属材料からなる板材(金属板)を円環状に打ち抜くことで形成された打ち抜き加工品(プレス切断品)とされ、内周面22cの下端部(下端内周縁部)22c1および外周面22dの下端部(下端外周縁部)22d1には、打ち抜き加工に伴って形成されたかえり24,25が除去されることなくフランジ部22の全周に亘って残存し、下側端面22bよりも下方に突出している。すなわち、金属板を円環状に打ち抜くことで形成されたフランジ部22は、打ち抜き加工後に研削加工や研磨加工等の仕上げ加工が施されることなく、かえり24,25を軸方向外側(下側)に向けた状態で軸部21の下端外周に固定されている。
ここで、流体動圧軸受装置1の軸受性能は、ラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間の隙間幅精度や、第1および第2スラスト軸受部T1,T2のスラスト軸受隙間の隙間幅精度の他、ラジアル軸受隙間と各スラスト軸受隙間の間の直角度等によって左右され、これら各種精度を所定値に管理するには、軸部21の外周面21a(ラジアル面D1,D2)とフランジ部22の端面22a,22b(スラスト面E1,E2)との間に所定の直角度が確保されるように軸部21とフランジ部22を組み付ける必要がある。そのため、金属板の打ち抜き加工は、打ち抜き後のフランジ部22において、軸部21の固定面となる内周面22cと、スラスト軸受隙間の形成面となるスラスト面E1,E2との間の直角度が3μm以下となるように実行される。
なお、このような直角度を確保するためには、フランジ部22の内周面22cの面精度(円筒度や面粗度)を精度良く仕上げる必要があり、また、軸部材2の円滑な相対回転を達成可能とするには外周面22dの面精度(円筒度や面粗度)も内周面22cと同様に精度良く仕上げる必要がある。金属板を打ち抜くことで円環状のフランジ部22を得るようにした場合、加工直後の内周面22cおよび外周面22dには、金属板に対して切断刃の側面が摺動することによって形成される平滑な塑性変形面であるせん断部(せん断面)の他、微小な凹凸が連続した粗面である破断部(破断面)が形成される場合があるが、破断部が存在すると、上記の面精度を確保するうえで、ひいては軸部材2の相対回転精度を確保するうえでの障害となる。そのため、フランジ部22を得るための打ち抜き加工としては、ファインブランキング加工とも称される精密プレス加工(金属板の打ち抜き加工と、当該打ち抜き加工に伴って形成される破断部を削ぎ落とす削ぎ落とし加工とを同時に行う加工法)を採用するのが望ましい。但し、打ち抜き加工は、金属板を打ち抜いてフランジ部22に近似した円環状のフランジ素材を得る工程、および、フランジ素材の破断部を削ぎ落とす工程の二工程を経るように実行しても構わない。
また、かえり24,25は、その高さ寸法が小さければ小さいほど、所定の軸受性能を確保する上で好ましい。しかしながら、かえり24,25を、フランジ部22の厚み(フランジ部22の両端面22a,22b間、より詳しくはフランジ部22の両スラスト面E1,E2間の離間距離)の3%を下回るような高さ寸法に形成するには、打ち抜き加工を極めて精度良く実行しなければならず、フランジ部22を金属板の打ち抜き加工品とすることによるコストメリットを十分に享受することができなくなる。一方、かえり24,25の高さ寸法がフランジ部22の厚みの10%を超えてしまうと、流体動圧軸受装置1の組立段階等において、かえり24,25が脱落等する可能性が飛躍的に高まる。従って、フランジ部22は、かえり24,25の高さ寸法がフランジ部22の厚みの3%以上10%以下となるように打ち抜き加工されたものとする。
軸部21に対するフランジ部22の固定方法は、両者間に必要とされる締結強度を確保し得る範囲において特段の制約はなく、圧入、圧入接着(圧入と接着の併用)、溶接等を採用することができる。なお、金属板を打ち抜いて形成されるフランジ部22のうち、打ち抜き加工開始側の端部である内周面22cおよび外周面22dの上端部(上端内周縁部および上端外周縁部)はR状(円弧状)に形成される(フランジ部22の上端内周縁部については、図2中の上側の拡大図を参照)。そのため、上記した何れの固定方法を採用する場合であっても、フランジ部22の上側端面22aの側から軸部21を挿入すれば、軸部21の外周面をフランジ部22の上端内周縁部で案内することができるので、軸部21を円滑にフランジ部22の内周に挿入し、両者を精度良く固定することができる。
フランジ部22の下端内周縁部22c1および下端外周縁部22d1にそれぞれ形成されたかえり24,25は、蓋部材10の内底面10aのうち、スラスト軸受面Cの内径側および外径側にそれぞれ設けられた円盤状の凹部10bおよび円環状の凹部10cに、蓋部材10とは非接触の状態で収容されている。両凹部10b,10cの具体的な深さ寸法は、かえり24,25の高さ寸法の(1倍を超えて)2倍以内に設定する。凹部10b,10cの深さ寸法をあまりに大きくすると、ハウジング7の内部空間に充填すべき潤滑油量が増大する分、シール隙間Sの軸方向寸法を大きくする必要がある他、蓋部材10の機械的強度が低下する等の弊害が生じ、軸受性能上好ましくないからである。
なお、内径側の凹部10bは、フランジ部22の下端内周縁部22c1に形成されたかえり24を収容するために設けたものであり、当該かえり24を収容することのみを考慮すれば、外径側の凹部10cと同様に円環状に形成すれば足りるが、本実施形態では、上記したとおり、スラスト軸受面Cよりも内径側の全領域に亘る円盤状に形成している。これは、軸部21やフランジ部22をはじめとする流体動圧軸受装置1の各構成部材が寸法公差を有する関係上、軸部21に対するフランジ部22の固定態様によっては、軸部21の下端がフランジ部22の下側端面22bよりも下方に僅かに突出する場合があり、このような場合であっても、軸部21の下端が蓋部材10の内底面10aと干渉するのを可及的に防止するためである。
そして、例えば、ハウジング7の大径内周面7a1に軸受スリーブ8を固定して軸受部材11を製作すると共に、軸受部材11(軸受スリーブ8)の内周に、下端外周にフランジ部22が固定された軸部21を挿入した後、ハウジング7の大径内周面7a2の軸方向所定位置(軸部材2のフランジ部22の上側および下側に所定幅のスラスト軸受隙間を形成し得る位置)に蓋部材10を固定することにより、流体動圧軸受装置1の組立が完了する。その後、軸受スリーブ8の内部気孔を含めてハウジング7の内部空間を潤滑油で満たすことにより、図2に示す流体動圧軸受装置1が完成する。
なお、図2に示す流体動圧軸受装置1は、軸部21に対するフランジ部22の固定と、ハウジング7に対する蓋部材10の固定とを同時進行させるようにして組み立てることも可能である。
具体的には、まず、図5(a)に示すように、ハウジング7の小径内周面7a1に固定された軸受スリーブ8の内周に軸部21を挿入した後、この軸部21上に、金属板を打ち抜くことで形成された円環状のフランジ部22を、かえり24,25を軸方向外側(図示例では上側)に向けた状態で載置する。このとき、フランジ部22の内周面22cおよび軸部21の外周面21a(フランジ部22の固定領域)の少なくとも一方には、軸部21とフランジ部22の間に必要とされる締結強度を確保するため、あるいは両者間の締結強度を向上させるために、適当な接着剤を塗布しておいても良い。
次いで、かえり24,25を収容するための凹部10b,10cが形成された蓋部材10の内底面10aとフランジ部22の下側端面22bとを対向させた状態で、蓋部材10をフランジ部22に対して相対的に接近移動させる(蓋部材10を下降移動させる)ことにより、蓋部材10をハウジング7の大径内周面7a2に嵌合させると共に、フランジ部22を軸部21の下端外周に嵌合させる。蓋部材10は、フランジ部22の上側端面22a(スラスト面E1)と軸受スリーブ8の下側端面8b(スラスト軸受面B)とが当接し、また、蓋部材10の内底面10a(スラスト軸受面C)とフランジ部22の下側端面22b(スラスト面E2)とが当接するまで、すなわち第1および第2スラスト軸受部T1,T2のスラスト軸受隙間の隙間幅が双方共にゼロになるまで下降移動させる[図5(b)参照]。蓋部材10を下降移動させるのに先立って、蓋部材10の外周面および蓋部材10の固定面となるハウジング7の大径内周面7a2の少なくとも一方には、適当な接着剤を塗布しておいても良い。
そして、ハウジング7および軸受スリーブ8の移動を規制した状態で、両スラスト軸受隙間の隙間幅の合計量に相当する分だけ軸部材2を押し上げ[図5(c)を参照]、蓋部材10を、軸部材2の押し上げ量と同じ量だけ上側に向けて移動させる。これにより、フランジ部22の軸方向両側に所定幅のスラスト軸受隙間を形成し得る状態で、流体動圧軸受装置1の組立が完了する。なお、フランジ部22の内周面22cあるいは軸部21の外周面21aに接着剤を塗布していた場合、この接着剤を固化させてから、すなわち軸部21に対するフランジ部22の固定が完了してから軸部材2を押し上げる。
以上の構成からなる流体動圧軸受装置1において、軸受スリーブ8の内周面8aの上下二箇所に離間して設けられたラジアル軸受面A1,A2と、これらに対向する軸部21の外周面21aのラジアル面D1,D2との間にそれぞれラジアル軸受隙間が形成される。そして軸部材2の回転に伴い、両ラジアル軸受隙間に形成される油膜の圧力が動圧溝Aaの動圧作用によって高められ、その結果、軸部材2をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に離隔形成される。これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bに設けたスラスト軸受面Bとこれに対向するフランジ部22の上側端面22aのスラスト面E1との間、および、蓋部材10の内底面10aに設けたスラスト軸受面Cとこれに対向するフランジ部22の下側端面22bのスラスト面E2との間に、スラスト軸受隙間がそれぞれ形成される。そして、軸部材2の回転に伴い、両スラスト軸受隙間に形成される油膜の圧力が、動圧溝Ba,Caの動圧作用によってそれぞれ高められ、その結果、軸部材2をスラスト一方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1および軸部材2をスラスト他方向に支持する第2スラスト軸受部T2が形成される。
また、シール隙間Sが、ハウジング7の内部側に向かって径方向寸法を漸次縮小させたくさび形状を呈しているため、シール隙間S内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用によってハウジング7の内部側に向けて引き込まれる。また、シール隙間Sは、ハウジング7の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面を常にシール隙間S内に保持する。そのため、ハウジング7内部からの潤滑油漏れが効果的に防止される。
また、上側のラジアル軸受面A1に設けられたラジアル動圧発生部を構成する上下の動圧溝Aaの軸方向寸法差により、軸部材2の回転時、ラジアル軸受隙間に介在する潤滑油のポンピング力は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そのため、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部21の外周面21aとの間の隙間に介在する潤滑油は下方に流動し、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→軸受スリーブ8の軸方向溝8d1で形成される軸方向の流体通路12→軸受スリーブ8の上部外周チャンファ等で形成される環状空間→軸受スリーブ8の環状溝8c1および径方向溝8c2で形成される流体通路という経路を循環して、ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このような構成とすることで、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。上記の循環経路には、シール隙間Sが連通しているので、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際にシール隙間S内の潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出される。従って、気泡による悪影響は一層効果的に防止される。
以上で示したように、本発明に係る流体動圧軸受装置1では、金属板を打ち抜くことで形成され、内周面22cの下端部22c1および外周面22dの下端部22d1にかえり24,25を有する円環状のフランジ部22が、かえり24,25を軸方向外側に向けた状態で軸部21の下端外周に固定される。すなわち、本発明では、一般的な金属板の打ち抜き(プレス切断)加工で形成されたフランジ部22が、その端面22a,22b等に研削等の仕上げ加工が施されることなくそのまま使用される。そのため、打ち抜き加工でフランジ部22を形成した後に、研削等の仕上げ加工を施すことにより生じ得る弊害、具体的には、加工コスト増や軸受性能の低下といった問題が生じるのを可及的に回避しつつ、フランジ部22を金属板の打ち抜き加工品とすることによるコスト低減効果を有効に享受することができる。また、打ち抜き加工で円環状のフランジ部22を形成した場合、フランジ部22の内周面22cおよび外周面22dの上端部(打ち抜き加工開始側の端部)はR形状となるので、軸部21の下端をフランジ部22の内周に円滑に嵌入することができる。従って、軸部21に対するフランジ部22の組み付け精度に優れた高精度のフランジ付軸部材2を得ることができる。その一方で、フランジ部22の軸方向外側に隣接配置される蓋部材10の内底面10aに、かえり24,25を蓋部材10とは非接触の状態で収容する凹部10b,10cを設けたことにより、フランジ部22のかえり24,25と蓋部材10とが摺接するのを回避することができる。そのため、打ち抜き加工されたフランジ部22をそのまま用いたとしても、コンタミの発生を可及的に防止することができる。従って、必要とされる軸受性能を確保しつつ、流体動圧軸受装置1のコスト低減を図ることができる。
以上、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1について説明を行ったが、本発明は、以上で説明した実施形態に係る流体動圧軸受装置1に限定適用されるものではない。以下、本発明を適用可能な他の実施形態に係る流体動圧軸受装置1について図面を参照しながら説明する。以下に示す他の実施形態においては、説明を簡略化する観点から、上述した実施形態と実質的に同一の構成には同一の参照番号を付し、重複説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る流体動圧軸受装置1の含軸断面図である。同図に示す流体動圧軸受装置1が図2に示すものと異なる主な点は、ラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間に流体動圧を発生させるラジアル動圧発生部(図6中、クロスハッチングで示す動圧溝Aa)を、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面A1,A2に替えて、軸部21の外周面21aのラジアル面D1,D2に形成した点にある。
ここで、焼結金属製とされる軸受スリーブ8の内周面8aに動圧溝Aaを形成するために広く採用されている手法は、円筒状に形成した焼結体の内周に、外周面に動圧溝形状に対応した溝型部を有するコアロッドを挿入し、その状態で焼結体に軸方向両側から圧迫力を加えることにより、焼結体の内周面をコアロッドの外周面に食い付かせて溝型部の形状を焼結体の内周面に転写し、その後、圧迫力の解放により生じる焼結体のスプリングバックを利用して、焼結体の内周からコアロッドを抜き取る、というものである。しかしながら、軸受スリーブ8の軸方向寸法が大きくなれば、動圧溝Aaを加工する際、相当に大きな圧迫力を焼結体に加える必要がある。そのため、内部の密度のばらつきが大きくなる、軸受スリーブ8の各部に精度劣化が生じるなど、加工精度の限界が生じる。
これに対して軸部21の外周面21aに動圧溝Aaを設ける場合には、転造や研削等の比較的簡便な手段を組み合わせることで微小な動圧溝Aaを精度良く形成し易く、しかも軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面A1,A2を凹凸のない平滑な円筒面に形成することができる。従って、この場合、焼結金属製の軸受スリーブ8の製造工程は、焼結体に対して内周面および外周面の矯正加工(サイジング)を行うことで完了し、上記したような内周面に動圧溝を型成形する工程を設ける必要がない。従って、軸受スリーブ8の形状の単純化を通じて軸受の精度確保が図られ、軸受スリーブ8、ひいては流体動圧軸受装置1全体としての特性確保が可能となる。
なお、溶製材からなる軸部21(軸素材)の外周面に転造で動圧溝Aaを形成する場合、熱処理後の軸素材の外周面に転造加工を施すのが望ましい。転造により生じる肉の盛り上がり量を、未熱処理の軸素材に転造加工を施す場合に比べて小さくすることができるので、その後の仕上げ加工を簡便化することが、あるいは仕上げ加工を省略することができるからである。
図2および図6に示す流体動圧軸受装置1は、ハウジング7に、軸部21の外周面21aとの間にシール隙間Sを形成するシール部7bを一体的に設けたものであるが、シール部7bは、ハウジング7とは別に設けることも可能である(図示省略)。
図7に、本発明の第3実施形態に係る流体動圧軸受装置1の含軸断面図を示す。この実施形態は、図6に示す流体動圧軸受装置1の変形例であり、軸受部材11として、軸受スリーブ8に相当する部分と、ハウジング7に相当する部分とを一体的に設けたものを使用している。詳述すると、この実施形態の軸受部材11は、例えば黄銅やステンレス鋼等の溶製材で円筒状に形成されており、対向する軸部21の外周面21a(ラジアル面D1,D2)との間にラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間を形成すると共に、対向するフランジ部22の上側端面22a(スラスト面E1)との間に第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する軸受隙間形成部11aと、対向する軸部21の外周面21aとの間にシール隙間Sを形成するシール形成部11bと、蓋部材10を内周に固定した蓋部材固定部11cとを一体に有する。
図示は省略するが、図2に示す本発明の第1実施形態に係る流体動圧軸受装置1においても、軸受スリーブ8に相当する部分と、ハウジング7に相当する部分とを一体的に設けた軸受部材11(軸受隙間形成部11a、シール形成部11bおよび蓋部材固定部11cを一体に有するもの)を使用することももちろん可能である。
以上の実施形態では、ヘリングボーン形状等の動圧溝Aaを円周方向に複数配列したラジアル動圧発生部を設けることによって動圧軸受からなるラジアル軸受部R1,R2を構成したが、動圧軸受からなるラジアル軸受部R1,R2は、ラジアル軸受隙間を介して対向する二面の何れか一方に、軸方向溝を円周方向に複数配したステップ面、あるいは多円弧面を形成することで構成することもできる。また、ラジアル軸受部R1,R2の何れか一方又は双方は、いわゆる真円軸受で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、スラスト動圧発生部をスパイラル形状の動圧溝Ba,Caで構成したが、スラスト動圧発生部は、径方向に延びる放射状の動圧溝を円周方向に複数配列して構成することもできる。また、以上の実施形態では、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間に流体動圧を発生させるためのスラスト動圧発生部、および第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間に流体動圧を発生させるためのスラスト動圧発生部の双方を、フランジ部22と軸方向に対向する面に形成したが、これらスラスト動圧発生部の何れか一方または双方は、フランジ部22のスラスト面E1,E2に形成しても良い。この場合、スラスト動圧発生部は、金属板を円環状に打ち抜いてフランジ部22を形成するのと同時に、フランジ部22に型成形することができる。
また、以上では、軸部材2を回転側、軸受部材11を静止側とした流体動圧軸受装置1に本発明を適用した場合について説明を行ったが、これとは逆に、軸部材2を静止側、軸受部材11を回転側とした流体動圧軸受装置1にも本発明は好ましく適用することができる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
10 蓋部材
10a 内底面
10b 凹部
10c 凹部
11 軸受部材
21 軸部
22 フランジ部
24,25 かえり
A1,A2 ラジアル軸受面
B スラスト軸受面
C スラスト軸受面
D1,D2 ラジアル面
E1,E2 スラスト面
R1、R2 ラジアル軸受部
T1 第1スラスト軸受部
T2 第2スラスト軸受部

Claims (8)

  1. 軸部およびその一端外周に固定された円環状のフランジ部を有する軸部材と、両端が開口し、内周に軸部材を収容したハウジングと、フランジ部の軸方向外側に隣接配置され、ハウジングの一端開口部を封口する蓋部材と、軸部の外周面で形成される潤滑油で満たされたラジアル軸受隙間と、フランジ部の端面で形成される潤滑油で満たされたスラスト軸受隙間とを備える流体動圧軸受装置において、
    フランジ部が、金属板を打ち抜くことで円環状に形成され、内周面および外周面の一端部にかえりを有するものであり、
    打ち抜き後のフランジ部を、前記かえりを軸方向外側に向けた状態で軸部の一端外周に固定し、蓋部材の内底面に、前記かえりを蓋部材と非接触の状態で収容する凹部を設けたことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 打ち抜き後のフランジ部の内周面と端面との間の直角度を3μm以下とした請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
  3. 前記かえりの高さ寸法を、フランジ部の厚みの3%以上10%以下とした請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
  4. 潤滑油の油面を保持してハウジングの他端開口部をシールするシール隙間をさらに備え、
    前記凹部の深さ寸法を、前記かえりの高さ寸法の2倍以下とした請求項1〜3の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  5. 前記スラスト軸受隙間に流体動圧を発生させるスラスト動圧発生部が、金属板の打ち抜きでフランジ部を形成するのと同時に、フランジ部の端面に型成形された請求項1〜4の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  6. ハウジングの内周に、対向する軸部の外周面との間に前記ラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブが固定された請求項1〜5の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  7. 軸部の外周面に、前記ラジアル軸受隙間に流体動圧を発生させるラジアル動圧発生部が形成された請求項1〜6の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えるモータ。
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