JP2004202526A - 流体軸受部材の製造方法および製造設備ならびに流体軸受部材 - Google Patents

流体軸受部材の製造方法および製造設備ならびに流体軸受部材 Download PDF

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Abstract

【課題】フランジの動圧溝と、フランジの基準面となる軸心穴の加工とを高精度でかつ安価に実施でき、量産性を向上させる。
【解決手段】上型と下型とでフランジFにスラスト動圧溝を印圧成形するに際し、第1プレス工程で、成形凸部3u,3dを有する上型2および下型1を使用して、外周部に配置した外径拘束板5と軸心穴Fcに配置したピン4によりフランジ素材を密閉dq状態で加圧成形を行い、第2プレス工程で、プレス方向に垂直な平面からなる矯正面を有する上型と下型とで、外径部を規制することなくフランジを加圧して、フランジの厚みと動圧溝形成面の平面度を矯正する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばハードディスク装置等に用いられる流体軸受装置の軸受部材で、動圧溝が形成されたフランジを製造するための流体軸受部材の製造方法および装置ならびに流体軸受部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の動圧スラスト軸受装置において、フランジを回転させることにより、流体にポンプ作用を発生させるスラスト動圧溝をフランジに形成する方法は、フォトエッチング加工を用いるのが一般的である。しかし、エッチング加工のコストが高いため、これを解決するものとして、金型により動圧溝を印圧形成する方法がたとえば特許文献1等に提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2997499号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1等の金型により動圧溝を印圧形成する製造方法、製造装置では、印圧加工時の金型の面圧分布や弾性変形、フランジの加圧変形に起因して、フランジの表面が変形したり、動圧溝の深さが外径側と中心側で異なるため、印圧加工する金型を複雑で高精度な形状に形成する必要があるとともに、再加工するために高精度で複雑な矯正用金型が必要となり、複数の加工要素が複雑に絡み合うため、安定性に欠けるという問題があった。
【0005】
また特許文献1等では、プレス工程で動圧溝のランド部を高く形成する時に、フランジが大きく塑性変形してフランジの軸心穴の内径や外径が変形するため、これら軸心穴や外径を基準面として組立を行う場合、施盤などで修正加工が必要になり、結果として製造コストはほとんど下がらず、量産性が低いと言う課題があった。
【0006】
本発明は、フランジの動圧溝加工と、フランジの基準面の加工とを高精度でかつ安価に成形することができ、低コストで安定して生産が可能で、量産性が極めて高い流体軸受部材の製造方法および装置ならびに流体軸受部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の流体軸受部材の製造方法は、上型と下型によりフランジ素材を加圧して、表面および裏面の少なくとも一方に動圧溝が印圧成形されたフランジを製造するに際し、第1プレス工程で、成形凸部を有する上型または/および下型を駆動してフランジ素材を加圧し動圧溝を形成する時に、フランジ素材の外径部の拡張を規制し、第2プレス工程で、プレス方向に垂直な平面からなる矯正面を有する上型または/および下型を駆動して、外径部を規制することなくフランジを加圧してフランジの厚さと平面度を矯正するものである。
【0008】
上記構成によれば、第1プレス工程で、上型と下型とによりフランジ素材を加圧成形中に、フランジ素材が拡張するのを外径規制部材により規制し、上型と下型と外径規制部材によりフランジ素材全体を拘束した密閉状態で、加圧成形して成形凸部により動圧溝を成形するので、均一深さの動圧溝加工と、外径部の加工が同時に高精度で行える。次いで、第2プレス工程で上型と下型の平坦面により、外径部を拘束しないでフランジ素材を加圧することにより、動圧溝加工面の平面度の矯正と厚み補正とを高精度で行うことができ、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で高精度な動圧溝付きのフランジを製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0009】
請求項2記載の流体軸受部材の製造方法は、請求項1記載の構成において、軸心穴を有するフランジ素材を使用し、第1プレス工程で、軸心穴内に配置した内径規制部材によりフランジ素材の内径部の縮径を規制するものである。
【0010】
上記構成によれば、軸心穴を有するフランジでは、内径規制部材によりフランジ素材内径部の縮径を規制し、フランジ素材全体を密閉状態で成形凸部により動圧溝を成形するので、均一深さの動圧溝加工と、外径部と内径部の加工とが同時に高精度で行える。また、第2プレス工程における平面矯正は僅かな厚みであるため、矯正部分はほとんど外径部側に拡張されので、第1プレスにおける内径部の加工精度を高く保持することができ、内径部を基準面とすることができる。
【0011】
請求項3記載の流体軸受部材の製造方法は、請求項1または2記載の構成において、フランジ素材に、第1プレス工程および第2プレス工程で生じる加工誤差で生じる体積誤差より大きい空間の逃がし部を形成しておくものである。
【0012】
上記構成によれば、加工誤差により増加する体積を逃がし部で埋めて許容することができるので、外径部の外周面および内径部の内周面をさらに精度よく成形することができ、寸法精度の高い流体軸受装置を製造することができる。
【0013】
請求項4記載の流体軸受部材の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、第1プレス工程で、昇降自在に支持された下型の下降限で、下型と上型の間でフランジ素材を加圧成形した後、下型と上型との間にフランジを挟み込んだ状態で、上型と共にフランジおよび下型を上昇させてフランジを外径部規制部材から離脱させるものである。
【0014】
上記構成によれば、加工後の上型上昇時に、下型と上型とで挟み込んだ状態でフランジを上昇させて、外径規制部材内から離脱するので、加圧成形により発生したバリの抵抗や離脱時の摩擦により、フランジの変形を防止することができる。これにより、第2プレス工程による矯正を安定して行え、結果としてフランジの動圧溝加工面の精度を高めることができる。
【0015】
請求項5記載の流体軸受部材の製造設備は、第1プレス装置と第2プレス装置により、軸心穴が形成されフランジ素材を用いて、表面および裏面の少なくとも一方に動圧溝が形成されたフランジを製造する流体軸受部材の製造設備であって、前記第1プレス装置は、少なくとも一方に動圧溝を成形する成形凸部が形成された上型および下型と、フランジ素材の外周部に配置されて外径部の拡張を規制する外径規制部材とを具備し、上型または/および下型を駆動して外径規制部材によりフランジ素材の外径部を拘束し動圧溝を加圧形成するように構成され、前記第2プレス装置は、プレス方向に垂直な平坦面状の矯正面をそれぞれ有する上型および下型を具備し、該上型および下型によりフランジの外径部および内径部を拘束することなく加圧成形してフランジの厚さと平面度を矯正するように構成されたものである。
【0016】
上記構成によれば、第1プレス装置により、上型と下型と外径規制部材とにより密閉状態で加圧して成形凸部により動圧溝を成形するので、動圧溝の加工と、外径部の外周面の加工が同時に高精度で行える。また第2プレス装置により上型と下型の矯正面により、フランジの表面または/および裏面の平面矯正と、フランジの厚み揃えとを高精度で行うことができ、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で高精度な動圧溝付きのフランジを製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0017】
請求項6記載の流体軸受部材の製造設備は、請求項5記載の構成において、フランジ素材は予め軸心穴が形成され、第1プレス装置に、前記軸心穴内に配置された加圧成形時にフランジの内径部の縮径を規制する内径規制部材を設けたものである。
【0018】
上記構成によれば、軸心穴を有するフランジであっても、内径規制部材によりフランジの内径部の縮径を規制して密閉状態で加圧成形することにより、動圧溝と、外径部外周面および内径規制部材とを高精度で加圧成形することができる。
したがって、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で軸心穴を有する動圧溝付きでのフランジを高精度で製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0019】
請求項7記載の流体軸受部材の製造設備は、請求項5または6記載の構成において、第1プレス装置は、下型を所定範囲で昇降自在に案内するガイドベースと、該下型を上方に付勢する下型付勢手段と、前記ガイドベースに取り付けられた外径部規制部材とを有し、前記下型の下降限で上型との間でフランジを印圧成形した後、下型と上型との間にフランジを挟み込んだ状態で前記下型付勢手段の付勢力でフランジを上昇させて外径部規制部材から離脱させるように構成されたものである。
【0020】
上記構成によれば、加圧加工後の上型の上昇時に、下型付勢手段により下型と上型とでフランジを挟み込んだ状態でフランジを上昇させて、外径拘束板からフランジを取り外すので、離脱時に加圧成形により発生したバリの抵抗や離脱時の摩擦によるフランジの変形を防止することができる。これにより、第2プレス装置による矯正を安定して行え、結果としてフランジの動圧溝加工面の精度を高めることができる。
【0021】
請求項8記載の流体軸受部材の製造設備は、請求項5乃至7のいずれかに記載の構成において、第2プレス装置は、上型の下降ストロークを規制して第1プレス装置により加圧成形されるフランジの厚さより、第2プレス装置のフランジの厚さを小さく加工するストッパを有し、フランジの動圧溝のランド部表面を平面矯正するように構成されたものである。
【0022】
上記構成によれば、ストッパにより第2プレス装置の上型と下型の加圧ストロークを規制してフランジの動圧溝のランド部表面を矯正することにより、動圧溝が形成されたフランジの平面の矯正と厚み揃えとを高精度で行うことができる。
【0023】
請求項9記載の流体軸受部材の製造設備は、請求項5乃至8のいずれかに記載の構成において、加工誤差で生じる体積より大きい容積の逃がし部を形成したフランジ素材を使用するものである。
【0024】
上記構成によれば、加工誤差により増加する体積を逃がし部で埋めて許容することができるので、第2プレス装置により平面度を矯正しても、外径部の外周面および内径部の内周面をさらに精度よく成形することができ、寸法精度の高い流体軸受装置を製造することができる。
【0025】
請求項10記載の流体軸受部材は、請求項2記載の製造方法により形成された動圧溝付きのフランジ内径部の内周面を基準面として、該内径部にシャフトを嵌合して組み立てたものである。
【0026】
上記構成によれば、請求項2記載の製造方法で加工されたフランジは、第2プレス工程で拘束することなく平面度が矯正されても、僅かな厚みで、矯正部分はほとんど外径部側に拡張されるので、内径部の内周面は高精度に保持でき、再加工することなく、基準面としてシャフトを嵌合し組み立てることができる。したがって、作業工程を省略して低コストの流体軸受部材を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
ここで、本発明に係る流体軸受部材の製造方法および装置の第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0028】
この製造設備は、円形で中心に軸心穴Fcが形成された板状のフランジFの上下面にそれぞれスラスト動圧溝Mu,Mdを印圧(プレス)加工すると共に、フランジFの内径部Faと外径部Fbを高精度で形成する第1プレス工程を行う第1プレス装置A1と、フランジFの外径部Fbと内径部Faとを拘束せずに加圧してフランジFの厚さと平面度を高精度で矯正する第2プレス工程を行う第2プレス装置A2とが具備されている。
【0029】
図1(a)に示すように、第1プレス装置A1の加工部には、フランジFにスラスト動圧溝Muを印圧加工する成形凸部3uを有する上型1と、フランジFに動圧溝Mdを印圧加工する成形凸部3dを有する下型2とが配置され、図示しない加圧駆動装置により上型1が下降されて、下型2との間でフランジFにスラスト動圧溝Mu.Mdが印圧成形されるとともに、フランジFの内径部Faの内周面と外径部Fbの外周面がそれぞれ高精度に形成される。なお、このプレス加工では下型2を上昇しても、上型1と下型2をそれぞれ昇降してもよい。
【0030】
前記下型2の加工面には、外周部に外径部Fbが拡径されるの所定範囲内に規制するリング状の外径拘束板(外径規制部材)5が配置されるとともに、中心部に内径部Faの加圧変形により軸心穴Fcが縮径されるのを規制するピン(内径規制部材)4が配置されている。また外径拘束板5の外側には、上型1の下降限となる第1ストッパ6が設けられ、第1ストッパ6により上型1の下降ストローク限を設定している。
【0031】
また第2プレス装置A2には、図2に示すように、フランジF上面でスラスト動圧溝Muが形成されたランド部の表面をプレス方向に垂直な平坦面に矯正する矯正面13uを有する上型11と、フランジF下面でスラスト動圧溝Mdが形成されたランド部の表面をプレス方向に垂直な平坦面に矯正する矯正面13dを有する下型12とが配置され、図示しない加圧駆動装置により、上型11が下降されて下型12との間でフランジFの外径部Fbと内径部Faとを拘束せずにフランジFの厚さと平面度が矯正される。なお、このプレス加工では下型12を上昇しても、上型11と下型12をそれぞれ昇降してもよい。
【0032】
前記下型2の加工面には、外周部に上型1の下降を規制してフランジFの厚みを最終的に設定する第2ストッパ16が配置されている。
上記構成において、フランジ素材は、直径がたとえば10mm前後で、成形品フランジFに対して、体積が同じで外径が小さく、かつ内径が大きく、厚みが大きいものが使用され、第1プレス装置Aの下型2上にフランジ素材を配置することで、ピン4と外径拘束板5との間にそれぞれ隙間δ1,δ2が形成される。
【0033】
上型1が下降されてフランジFを加圧すると、最初にフランジFが外周側に変形されると同時に、成形凸部3u,3dによりスラスト動圧溝Mu,Mdが形成され始め、まずランド部の外周側が高く内周側がスラスト動圧溝Mu,Mdが形成される。更に上型1が下降されると、加圧変形により主にフランジFの外径部Fbが拡張されて外径拘束板5に当り拡張が拘束され、これによりスラスト動圧溝Mu,Mdのランド部も内周側と外周側でほぼ同じ高さになる。更に上型1を下降させていくと、フランジFの内径部Fbも軸心側に変形されて軸心穴Fcが縮径され、ピン4に当接されて規制される。そして上型1が第1ストッパ6に当接して停止され、フランジFの厚みが形成されて第1プレス工程の加工が終了する。この第1プレス工程で、スラスト動圧溝Mu,Mdと、内径部Faの内周面及び外径部Fbの外周面の加工が同時に完了する。
【0034】
このようにフランジ素材が、上型1、下型2、ピン4および外径拘束板5により、密閉状態で加圧されるいわゆる密閉冷間鍛造されることにより、第1プレス工程終了時の加工精度は、図3に示すように、内径と外径は高精度に加工され、また肉厚は精度が低い。またこの平面度について言及すれば、内径側の肉厚が僅か(数μm程度)に薄く形成される傾向にある。またスラスト動圧溝Mu,Mdのランド部の高さは、内周側と外周側とも一定に形成される。
【0035】
なお、フランジFはこれ自体の加工誤差による体積を有するが、この体積誤差は結果として、最も金型剛性の弱い上型1と下型2の方向の厚み誤差となって現れ、外径と内径の寸法精度はピン4と外径拘束板5の寸法が転写されることになる。
【0036】
つぎに第2プレス工程では、スラスト動圧溝Mu,Mdが形成されたフランジFを下型12上に配置し、その内径部Faも外径部Fbも全く拘束しない状態で、上型11と下型12により、その加圧方向に垂直な平坦面な矯正面13u,13dで矯正される。この時、第2ストッパ16の上型11の規制位置を第1ストッパ6より低く設定することで、フランジFの厚み方向の誤差が常に一定の厚みとなるよう矯正される。
【0037】
この第2プレス工程における加工精度は、図3に示すように、フランジの肉厚が高精度で改善される。この時厚み方向の個さは、主に外径部Fbが拡大されることにより吸収されることから、外径の加工精度が僅かに低下するが、内径の精度は低下することがない。そして、スラスト動圧溝Mu,Mdのランド部表面の平面度が高精度で改善され、さらにスラスト動圧溝Mu,Mdの深さの加工精度も低下することもない。
【0038】
上記第1の実施の形態によれば、第1プレス工程で、フランジ素材を密閉した状態で成形凸部3u,3dによりスラスト動圧溝Mu,Mdを印圧成形するので、スラスト動圧溝Mu,Mdのランド部表面の平面度と肉厚の精度が幾分劣るが、外径と内径、スラスト動圧溝Mu,Mdの深さを高精度で加圧成形することができる。そして、第2プレス工程で、上型11と下型12の平坦面からなる矯正面13u,13dによりフランジFを加圧することで、フランジFの厚み方向の誤差が補正されて肉厚が一定となるように高精度で矯正できるとともに、スラスト動圧溝Mu,Mdのランド部表面の平面度が高精度に矯正される。そして、外径の加工精度が僅かに低下するが、内径の精度は低下することなく、スラスト動圧溝Mu,Mdの深さの加工精度も低下することがなく、全体としてフランジ素材にスラスト動圧溝Mu,Mdを高精度でプレス加工することができる。
【0039】
したがって、従来のように材質や作業環境に左右されやすい複雑な金型も不要で、2度のプレス工程で容易かつ確実に高精度な動圧溝尽きのフランジFを製造することができ、製造コストを低減することができる。また軸心穴Fcの内径を高精度に形成できることから、これを基準面として軸を直接嵌合固定することができ、流体軸受部材の作業工程を削減することができ、製造コストを低減することができる。さらにフランジFの外径面は、第2プレス工程で加工精度が僅かに低下するが、第2プレス工程での加工がミクロンオーダとなることから、基準面としても使用が可能であり、フランジFに直接スリーブを嵌合して取り付けることもできる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次ぎに本発明に係る流体軸受部材の製造方法および装置の第2の実施の形態を図4〜図7を参照して説明する。この実施の形態は、密閉状態でプレス加工を行った後にフランジFを取り外す場合、フランジFの変形を防止してスムーズに製造を行うものである。
【0041】
図4および図5に示すように、第1プレス装置B1の加工部には、上ダイフレーム20Uに固定されてフランジFにスラスト動圧溝Muを印圧加工する成形凸部23uを有する上型21と、下ダイフレーム20Dに立設固定されたガイドベース27と、フランジFにスラスト動圧溝Mdを印圧加工する成形凸部23dを有する下型22とを具備し、下型22はガイドベース27の内側で所定範囲で昇降自在に配置されて、下ダイフレーム20Dにより下降限が規制されるとともに、ガイドベース27の規制部27aにより上昇限が規制されている。
【0042】
第1プレス装置B1の下ダイフレーム20Dのプレス位置には、下型22に形成された軸穴22aにスライド自在に嵌合されるピン(内径規制部材)24が立設固定されており、ピン24の上端部にフランジFが軸心穴Fcを介して嵌合されている。そして、ピン24は印圧加工時に内径部Faの加圧変形で軸心穴Fcが縮径されるのを規制する内径規制部24aが形成されている。また下ダイフレーム20Dと下型22の間のピン24には、下型22を上方に付勢する下型付勢手段であるばね28が外嵌されて下型22を上方に付勢している。なお、上型21には、ピン24の上端部が嵌入する受け穴21aが形成されている。
【0043】
フランジFの外周側には、外径部Fbが拡径されるのを規制するリング状の外径拘束板(外径規制部材)25が配置されている。またガイドベース27上面には、上型21の外周部が当接して上型21の下降限となるストッパ26が設けられており、これにより上型21の下降ストロークを設定している。
【0044】
次に第2プレス工程を行う第2プレス装置B2は、図6に示すように、第1プレス装置B1と近似しているため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
第2プレス装置B2の上型31の矯正面33uおよび下型32の矯正面33dとも、プレス方向に垂直な平坦面に形成され、第1プレス工程でスラスト動圧溝Mu,Mdが形成されたフランジFを、その内径部Faも外径部Fbも全く拘束しない状態で、上型31と下型32の矯正面31a,32aで加圧成形する。この時、ストッパ36による上型21の規制位置を、第1プレス装置B1のストッパ26より僅かに低く設定することで、フランジFの肉厚を僅かに薄く形成して厚み方向の誤差がなくなるように矯正される。
【0046】
最初に前記第1プレス装置B1による第1プレス工程を説明する。
a.プレスが動作していない状態では、図4に示すように、下型22は、ばね28により上方へ付勢されてガイドベース27の規制部27aで規制された上限位置にあり、これにより、下型22の上面は外径規制板25の上方で位置決めされている。この状態でピン24にフランジ素材を挿入することでセットは完了する。
【0047】
このフランジ素材の寸法は、体積が成形品フランジFと同一で、厚みが成形品フランジFより約20〜50μmほど大きく、かつ外径と内径は、ピン24と外径拘束板25にそれぞれ所定の隙間をあけて挿入できるよう形成されており、フランジ素材のセット作業をスムーズに行うことができる。
【0048】
b.上型21が下降してフランジ素材に当接すると、フランジ素材は例えば約9.8N/mm2×10(100kg/cm2)に設定されたばね28にうち勝って、下型22との間に挟まれたまま下型22と共に下降を続け、図5に示す状態となる。
【0049】
c.ここでフランジ素材は、たとえば材料がSUS系未焼き入れ材で、外径が約6mm、厚みが約0.6mmの場合、加圧力が約9.8〜29.8N/mm2×10(1〜3t/cm2)になると、フランジ素材は圧縮されて外周方向へ拡張されると同時に、成形凸部23u,23dによりスラスト動圧溝Mu,Mdが形成され始める。この時のスラスト動圧溝Mu,Mdは、外周側のランド部が高く、内周側のランド部が低い。
【0050】
d.加圧力が39.2〜49N/mm2×10(4〜5t/cm2)になると、フランジFの外径部Fbが外径拘束板25にぶつかり、スラスト動圧溝Mu,Mdのランド部は、内周側も外周側もほぼ同じ深さ(高さ)となり、内周部Faの変形によるピン24への軽度の接触も始まり、密閉された状態での加圧となる。
【0051】
e.更に加圧力を高めていくと、フランジFの塑性変形により内径部Faがピン24に密着し、かつストッパ26に上型21が密着する。
f.溝加工が完了すると上型21を上昇させる。ここで問題は、密閉状態でのプレス加工であるため、フランジFの外径部Fbが外径拘束板25側に約30μmほど食い込み、外径拘束板25の上下縁部にバリが発生した状態となっているので、このままフランジFを上方に取り外すとフランジFが変形するおそれがある。これを防ぐために、この実施の形態では、ばね28の9.8N/mm2×10(100kg/cm2)のばね力で上型21と下型22の間にフランジFを挟み込んだまま、外径拘束板25から取り出す。これにより、第1プレス工程で成形されたフランジFのスラスト動圧溝Mu,Mdの形状は、常に上型21と下型22とで決定された深さ(ランド部の高さ)および安定した形状となり、次の第2プレス工程でより安定した矯正ができる。
【0052】
なお、上記説明で上型21は、ストッパ26により高さ方向の位置決めを行う構成で説明したが、一般に市販されているサーボプレスで上型21の位置決めをしても良い。
【0053】
次に第2プレス装置B2による第2プレス工程を説明する。
g.第2プレス装置B2が動作していない時は、図6(a)に示すように、下型32がばね28で上方へ付勢されるとともに、ガイドベース27の規制部27aで規制されて上部位置にある。この状態でフランジFをピン24に挿入することでセットが完了する。
【0054】
h.プレスが駆動されて上型31が下降しフランジFに当接すると、フランジFは例えば約9.8N/mm2×10(100kg/cm2)に設定されたばね28にうち勝って下型32との間に挟まれたまま下降を続け、下型32が下ダイフレーム20dに当接し、上型31と下型32との間でフランジFが加圧される図6(b)に示す状態となる。
【0055】
ここで、ストッパ36は第1プレス装置B1のストッパ26位置より低く上型31の昇降ストロークが僅かに長く設定されて、フランジFの厚みが薄くなるように構成している。ここで、薄くする適正な矯正量は、たとえば第1プレス工程で発生するフランジFの体積誤差に起因する厚み誤差(ミクロンオーダー)が十分吸収でき、かつこれに上型31の弾性変形範囲(3〜5μm)を見込んだ必要最低限の量となるように設定されている。これにより、第2プレス工程後のフランジFの厚みは、ストッパ36で設定された常に一定の厚みとなり、かつ平面度も改善することができる。
【0056】
この時のフランジFの体積誤差は、経験的にはそのほとんどが外径の誤差となるので、内径の寸法精度は±1μm、真円度も2μm以下を確保することができる。
【0057】
さらに、第1プレス工程でスラスト動圧溝Mu,Mdのランド部の高さが内周側も外周側も同じ高さに加工されているので、第2プレス工程でフランジFの矯正面Ffを平面としても、図7に示すように、スラスト動圧溝Mu,Mdの深さはほぼ均一となり、スラスト動圧溝Mu,Mdを高精度に形成することができる。
【0058】
なお、この第2プレス工程によりスラスト動圧溝Mu,Mdは、上型31、下型32での矯正面33u,33dでフランジFを押圧すると、スラスト動圧溝Mu,Md間のランド部に応力が集中するので、ランド部が先端角部が丸まった形状となる。このようにランド部のコーナー部が丸まったスラスト動圧溝Mu,Mdは、これをスラスト軸受装置とするときに、起動・停止時の摩耗粉の発生が抑制されることになり、信頼性を得ることができる。
【0059】
次ぎに上記製造方法および装置により製造された軸受部材の実施例について説明する。
第2の実施の形態で説明したように、フランジFの内径精度は±1μm、真円度も2μm以下が確保できる。よってフランジFの軸心穴Fcの内周面を仕上げ加工せずに、そのまま基準面として(内径基準で)、図8に示すように、例えば一般的な締結方法である圧入などの方法を用いて、シャフトSをフランジFの軸心穴Fcに圧入して固定し組み立てることで、実用的に十分な精度で、かつ低コストでスラスト軸受部材を得ることができる。
【0060】
また、フランジFの外径部Fbの外周面は、第2プレス工程で僅かに拡張されるものの数ミクロン単位であり、そのまま基準面として(外径基準で)、スリーブを外嵌固定し、スラスト軸受部材として使用することもできる。
【0061】
次にフランジ素材の実施例について図9を参照して説明する。
第2の実施の形態で、フランジ素材の体積誤差は、第1プレス工程後にフランジFの厚み誤差となり、さらに第2プレス工程で矯正しても、外径部Fbの誤差として残ると説明した。このように第2プレス工程後に、フランジFの厚み、外径、内径共に寸法精度が高く要求される場合には、フランジ素材自体の加工精度を高めることにより、体積誤差を小さくするしかないが、これを実施すると、必然的に製造コストが高くなってしまう。
【0062】
そこで、プレス加工による体積誤差を許容するフランジ素材F1〜F3を図9に示す。
すなわち、図9(a)(b)は、フランジ素材F1,F2を、第1プレス工程および第2プレス工程で内径、外径、厚みの加工誤差に伴う体積誤差と同等以上の空間(容積)ができるように、スラスト動圧溝Mu,Mdを加工しない外径部Fbの外周コーナ部に、面取りCまたはコーナーRからなる逃がし部を形成したフランジ素材F1,F2を示す。このフランジ素材F1,F2を用いることにより、フランジFの体積誤差は、結果としてこの空間を埋めることによりなるので、第1プレス工程後のフランジFの厚みと外径は、体積誤差と無関係に同じ寸法に仕上がることになる。これによりこのフランジFを第2プレス工程で矯正加工しても、フランジFの最大外径と肉厚の減少は、常に同じ量だけ変化するので、フランジFの厚み、外径、内径共に高い寸法精度で成形できて、完成品としての形状および寸法精度を安定させることができる。
【0063】
なお、面取りCか、またはコーナーRに替えて、板金プレス打ち抜き加工によりフランジ素材F3を形成する場合には、図6bに示すように、段付部Nを周方向に形成しても同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
以上のように、上記フランジ素材F1〜3によれば、フランジFの加工コスト増大を押さえるとともに寸法精度を改善することができるので、スラスト軸受部材およびスラスト軸受装置の高精度化と低コスト化が実現できる。
【0065】
なお、上記実施の形態によれば、軸心穴Fcを有するフランジFの成形について説明したが、軸心穴kの無いフランジについても同様に成形することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上に述べたごとく請求項1記載の流体軸受部材の製造方法によれば、第1プレス工程で、上型と下型とによりフランジ素材を加圧成形中に、フランジ素材が拡張するのを外径規制部材により規制し、上型と下型と外径規制部材によりフランジ素材全体を拘束した密閉状態で、加圧成形して成形凸部により動圧溝を成形するので、均一深さの動圧溝加工と、外径部の加工が同時に高精度で行える。次いで、第2プレス工程で上型と下型の平坦面により、外径部を拘束しないでフランジ素材を加圧することにより、動圧溝加工面の平面度の矯正と厚み補正とを高精度で行うことができ、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で高精度な動圧溝付きのフランジを製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0067】
請求項2記載の流体軸受部材の製造方法によれば、軸心穴を有するフランジでは、内径規制部材によりフランジ素材内径部の縮径を規制し、フランジ素材全体を密閉状態で成形凸部により動圧溝を成形するので、均一深さの動圧溝加工と、外径部と内径部の加工とが同時に高精度で行える。また、第2プレス工程における平面矯正は僅かな厚みであるため、矯正部分はほとんど外径部側に拡張されので、第1プレスにおける内径部の加工精度を高く保持することができ、内径部を基準面とすることができる。
【0068】
請求項3記載の流体軸受部材の製造方法によれば、加工誤差により増加する体積を逃がし部で埋めて許容することができるので、外径部の外周面および内径部の内周面をさらに精度よく成形することができ、寸法精度の高い流体軸受装置を製造することができる。
【0069】
請求項4記載の流体軸受部材の製造方法によれば、加工後の上型上昇時に、下型と上型とで挟み込んだ状態でフランジを上昇させて、外径規制部材内から離脱するので、加圧成形により発生したバリの抵抗や離脱時の摩擦により、フランジの変形を防止することができる。これにより、第2プレス工程による矯正を安定して行え、結果としてフランジの動圧溝加工面の精度を高めることができる。
【0070】
請求項5記載の流体軸受部材の製造設備によれば、第1プレス装置により、上型と下型と外径規制部材とにより密閉状態で加圧して成形凸部により動圧溝を成形するので、動圧溝の加工と、外径部の外周面の加工が同時に高精度で行える。
また第2プレス装置により上型と下型の矯正面により、フランジの表面または/および裏面の平面矯正と、フランジの厚み揃えとを高精度で行うことができ、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で高精度な動圧溝付きのフランジを製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0071】
請求項6記載の流体軸受部材の製造設備によれば、軸心穴を有するフランジであっても、内径規制部材によりフランジの内径部の縮径を規制して密閉状態で加圧成形することにより、動圧溝と、外径部外周面および内径規制部材とを高精度で加圧成形することができる。したがって、複雑な上型や下型を使用することなく、2度のプレス工程で軸心穴を有する動圧溝付きでのフランジを高精度で製造することができ、流体軸受部材のコスト削減が可能になる。
【0072】
請求項7記載の流体軸受部材の製造設備によれば、加圧加工後の上型の上昇時に、下型付勢手段により下型と上型とでフランジを挟み込んだ状態でフランジを上昇させて、外径拘束板からフランジを取り外すので、離脱時に加圧成形により発生したバリの抵抗や離脱時の摩擦によるフランジの変形を防止することができる。これにより、第2プレス装置による矯正を安定して行え、結果としてフランジの動圧溝加工面の精度を高めることができる。
【0073】
請求項8記載の流体軸受部材の製造設備によれば、ストッパにより第2プレス装置の上型と下型の加圧ストロークを規制してフランジの動圧溝のランド部表面を矯正することにより、動圧溝が形成されたフランジの平面の矯正と厚み揃えとを高精度で行うことができる。
【0074】
請求項9記載の流体軸受部材の製造設備によれば、加工誤差により増加する体積を逃がし部で埋めて許容することができるので、第2プレス装置により平面度を矯正しても、外径部の外周面および内径部の内周面をさらに精度よく成形することができ、寸法精度の高い流体軸受装置を製造することができる。
【0075】
請求項10記載の流体軸受部材によれば、請求項2記載の製造方法で加工されたフランジは、第2プレス工程で拘束することなく平面度が矯正されても、僅かな厚みで、矯正部分はほとんど外径部側に拡張されるので、内径部の内周面は高精度に保持でき、再加工することなく、基準面としてシャフトを嵌合し組み立てることができる。したがって、作業工程を省略して低コストの流体軸受部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸受部材の製造設備の第1の実施の形態を示し、(a)は第1プレス装置のプレス前の側面中央断面図、(b)は同下型の平面図、(c)は(a)の要部拡大図である。
【図2】(a)は第2プレス装置のプレス前の側面中央断面図、(b)は同下型の平面図である。
【図3】プレス加工によるフランジの加工精度を示すグラフである。
【図4】本発明に係る軸受部材の製造設備の第2の実施の形態を示し、(a)は第1プレス装置のプレス前の側面中央断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図5】同第1プレス装置のプレス状態を示し、(a)は第1プレス装置の縦断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図6】同第2プレス装置を示し、(a)は第2プレス装置のプレス前の側面中央断面図、(b)は(a)のプレス中の要部拡大図である。
【図7】同製造設備により成形されたフランジの部分断面を示す概略図である。
【図8】本発明に係る製造方法および設備により製造したフランジの組立状態を示す側面断面図である。
【図9】本発明に係る軸受部材の製造設備に使用する素材を示し、(a)〜(c)はそれぞれフランジ素材を示す側面中央断面図である。
【符号の説明】
F フランジ
Fa 内径部
Fb 外径部
Fc 軸心穴
Mu,Md スラスト動圧溝
A1,B1 第1プレス装置
A2.B2 第2プレス装置
1,11,21,31 上型
2,12,22,32 下型
3u,3d 成形凸部
23u,23d 成形凸部
4,24 ピン
5,25 外径拘束板
6 第1ストッパ
13u,13d 矯正面
33u,33d 矯正面
16 第2ストッパ
26 ストッパ
27 ガイドベース
27a 規制部
28 ばね
36 ストッパ

Claims (10)

  1. 上型と下型によりフランジ素材を加圧して、表面および裏面の少なくとも一方に動圧溝が印圧成形されたフランジを製造するに際し、
    第1プレス工程で、成形凸部を有する上型または/および下型を駆動してフランジ素材を加圧し動圧溝を形成する時に、フランジ素材の外径部の拡張を規制し、
    第2プレス工程で、プレス方向に垂直な平面からなる矯正面を有する上型または/および下型を駆動して、外径部を規制することなくフランジを加圧してフランジの厚さと平面度を矯正する
    ことを特徴とする流体軸受部材の製造方法。
  2. 軸心穴を有するフランジ素材を使用し、
    第1プレス工程で、軸心穴内に配置した内径規制部材によりフランジ素材の内径部の縮径を規制する
    ことを特徴とする請求項1記載の流体軸受部材の製造方法。
  3. フランジ素材に、第1プレス工程および第2プレス工程で生じる加工誤差で生じる体積誤差より大きい空間の逃がし部を形成しておく
    ことを特徴とする請求項1または2記載の流体軸受部材の製造方法。
  4. 第1プレス工程で、昇降自在に支持された下型の下降限で、下型と上型の間でフランジ素材を加圧成形した後、下型と上型との間にフランジを挟み込んだ状態で、上型と共にフランジおよび下型を上昇させてフランジを外径部規制部材から離脱させる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体軸受部材の製造方法。
  5. 第1プレス装置と第2プレス装置により、軸心穴が形成されフランジ素材を用いて、表面および裏面の少なくとも一方に動圧溝が形成されたフランジを製造する流体軸受部材の製造設備であって、
    前記第1プレス装置は、少なくとも一方に動圧溝を成形する成形凸部が形成された上型および下型と、フランジ素材の外周部に配置されて外径部の拡張を規制する外径規制部材とを具備し、上型または/および下型を駆動して外径規制部材によりフランジ素材の外径部を拘束し動圧溝を加圧形成するように構成され、
    前記第2プレス装置は、プレス方向に垂直な平坦面状の矯正面をそれぞれ有する上型および下型を具備し、該上型および下型によりフランジの外径部および内径部を拘束することなく加圧成形してフランジの厚さと平面度を矯正するように構成された
    ことを特徴とする流体軸受部材の製造設備。
  6. フランジ素材は予め軸心穴が形成され、
    第1プレス装置に、前記軸心穴内に配置された加圧成形時にフランジの内径部の縮径を規制する内径規制部材を設けた
    ことを特徴とする請求項5記載の流体軸受部材の製造設備。
  7. 第1プレス装置は、
    下型を所定範囲で昇降自在に案内するガイドベースと、該下型を上方に付勢する下型付勢手段と、前記ガイドベースに取り付けられた外径部規制部材とを有し、前記下型の下降限で上型との間でフランジを印圧成形した後、下型と上型との間にフランジを挟み込んだ状態で前記下型付勢手段の付勢力でフランジを上昇させて外径部規制部材から離脱させるように構成された
    ことを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の流体軸受部材の製造設備。
  8. 第2プレス装置は、
    上型の下降ストロークを規制して第1プレス装置により加圧成形されるフランジの厚さより、第2プレス装置のフランジの厚さを小さく加工するストッパを有し、フランジの動圧溝のランド部表面を平面矯正するように構成された
    ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の流体軸受部材の製造設備。
  9. 加工誤差で生じる体積より大きい容積の逃がし部を形成したフランジ素材を使用する
    ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の流体軸受部材の製造設備。
  10. 請求項2記載の製造方法により形成された動圧溝付きのフランジの内径部の内周面を基準面として、該内径部にシャフトを嵌合して組み立てた
    ことを特徴とする流体軸受部材。
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