JP2009178738A - 歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法 - Google Patents

歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させることができる歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法を提供すること。
【解決手段】歯車鍛造装置1は、パンチコア2、インナーパンチ31、アウターパンチ32、ダイス5及びダイスリーブ6を有している。アウターパンチ32は、第1加圧源による加圧力を受けて、歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83を成形する。インナーパンチ31は、第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、歯車用素材80の軸方向上端面801の内周側部分82を成形する。パンチコア2は、その外周面における全周に、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部21を形成してなる。歯車8の成形時には、環状凹部21を歯車用素材80の内周面803の上側部分に対向させた状態が維持される。
【選択図】図6

Description

本発明は、いわゆる密閉鍛造を行って、軸穴を備えた筒形状の歯車用素材の外周面に歯面を成形する歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法に関する。
冷間密閉鍛造を行って、外周面につる巻状の歯面を有する歯車(はすば歯車等)を製造する装置又は方法としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1においては、つる巻き状の歯面を形成したダイスの歯型成形穴内に歯車用素材を配置した状態において、パンチとダイスリーブとにより歯車用素材の軸方向における両端面を加圧して、ダイスの歯型成形面内に外周面につる巻状の歯面を有する歯車を成形している。
また、特許文献2においては、円筒状の素材における中央穴に挿入するコアパンチと、素材の軸方向における一方の端面を加圧する押圧パンチと、素材の外周面を成形するダイスと、素材の軸方向における他方の端面を加圧するダイスリーブとを備えた円筒部品の成形装置及び成形方法が開示されている。この特許文献2においては、はすば歯車等の円筒部品の外周面が、軸方向に向けて外径がテーパ状に変形して成形されることを防止するために、コアパンチの内周成形面を、素材の内周面との間の距離が軸方向に沿ってテーパ状に変化する状態に形成している。
ところで、特許文献2においては、図12に示すごとく、押圧パンチ(インナーパンチ931、アウターパンチ932)とダイスリーブ96とによって素材80を加圧して冷間鍛造を行う際に、円筒部品の軸方向上端部近傍の外径が拡大して成形されることを防止するために、上記テーパ状に形成したコアパンチ92の内周成形面をインナーパンチ931の内周側にも対向させている。同図において、内周成形面の最も縮径した軸方向位置を2点鎖線Xによって示す。
そのため、パンチコア92の内周成形面とインナーパンチ931との間に形成された隙間921に素材の一部が進入してバリ89が形成されることがある。このとき、インナーパンチ931に対してコアパンチ92を前進させると、インナーパンチ931がバリ89による引張応力を受けて劣化し、最悪の場合には、インナーパンチ931が破損するおそれがある。
また、引用文献1においては、パンチに破損が生じないものの、成形する歯車の外周面に生ずるテーパ状の変形を防止することができない。
特開2004−98159号公報 特開2005−161323号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させることができる歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、筒形状の歯車用素材の軸穴に挿通するパンチコアと、該パンチコアの外周に位置して上記歯車用素材の軸方向上端面を加圧するパンチと、上記歯車用素材の外周面に歯面を転写成形するダイスと、上記パンチコアの下端部を保持した状態で、上記パンチと対向して上記歯車用素材の軸方向下端面を受け止めるダイスリーブとを有しており、
上記パンチコア、上記パンチ、上記ダイス及び上記ダイスリーブによって形成された密閉鍛造空間において、外周面に歯面を有する歯車を成形するよう構成してなる歯車鍛造装置において、
上記パンチは、上記パンチコアの外周に位置するインナーパンチと、該インナーパンチの外周に位置するアウターパンチとからなり、
該アウターパンチは、第1加圧源による加圧力を受けて、上記ダイスを押し下げながら、上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を成形するよう構成してあり、
上記インナーパンチは、上記アウターパンチと共に下降可能であると共に、その下端面が上記アウターパンチの下端面よりも下方に突出した状態で、上記第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を成形するよう構成してあり、
上記パンチコアは、上記インナーパンチと共に下降可能であると共に、その外周面における全周に、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部を形成してなり、かつ上記歯車の成形時には、上記環状凹部を上記歯車用素材の内周面の上側部分に対向させた状態が維持されるよう構成してあることを特徴とする歯車鍛造装置にある(請求項1)。
本発明の歯車鍛造装置においては、上記アウターパンチ、インナーパンチ及びパンチコアの構成に工夫を行い、歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させている。
具体的には、本発明のインナーパンチは、アウターパンチに加圧力を付与する第1加圧源よりも小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を成形するよう構成してある。また、本発明のパンチコアは、インナーパンチと共に昇降して、歯車の成形時には、歯車用素材に生じる圧力を逃がすための環状凹部を、歯車用素材の上側部分に対向させた状態が維持されるよう構成してある。これらの構成により、歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させることができる。
具体的には、本発明の歯車鍛造装置による歯車の成形動作は、以下のように行うことができる。
まず、第1加圧源を動作させ、アウターパンチ、インナーパンチ及びパンチコアを一体的に下降させる。そして、パンチコアの下端部がダイスリーブ内に保持されると共に、アウターパンチの下端面がダイスに当接する。このとき、パンチコア、アウターパンチ、インナーパンチ、ダイス及びダイスリーブによって密閉鍛造空間が形成される。そして、アウターパンチによってダイスが押し下げられると共に、インナーパンチの下端面がアウターパンチの下端面よりも下方に突出していることにより、第2加圧源による加圧力を受けたインナーパンチによって、歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分が加圧される。
これにより、インナーパンチとダイスリーブとの間に歯車用素材の内周側部分が成形される。
次いで、第1加圧源の動作を継続する。このとき、第2加圧源によって、インナーパンチに加圧力を付与した状態が維持されているものの、インナーパンチ及びパンチコアは、歯車用素材及びダイスリーブによって受け止められることによって下降することができない。そして、第1加圧源による加圧力が第2加圧源による加圧力よりも大きいことにより、アウターパンチは、ダイスをさらに押し下げながら、インナーパンチ及びパンチコアに対して相対的に下降する。こうして、第1加圧源による加圧力を受けたアウターパンチによって、歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分が加圧される。
これにより、アウターパンチとダイスリーブとの間に歯車用素材の外周側部分の多くが成形されると共に、ダイスによる転写成形が行われて、歯車用素材の外周面に歯面が成形される。
上記歯車用素材の外周面に歯面を成形する際には、インナーパンチとパンチコアとの位置関係が維持されていることにより、パンチコアの環状凹部が歯車用素材の上側部分に対向する状態が維持されている。また、環状凹部は、パンチコアの外周面における全周において、インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させて形成されている。
これにより、歯車用素材の上側部分の外径が下側部分よりも大きくなることを抑制することができる。
すなわち、歯車用素材を成形する際には、インナーパンチ及びダイスリーブから歯車用素材に付与される圧縮力により、歯車用素材の外周側部分はダイスに向かって(外周側へ)変形し、一方、歯車用素材の内周側部分はパンチコアに向かって(内周側へ)変形する。このとき、環状凹部に対向する歯車用素材の上側部分の径方向(内外周方向)への変形可能量は、歯車用素材の下側部分に比べて大きくなる。そのため、歯車用素材がダイスから受ける反力は、歯車用素材の上側部分の方が歯車用素材の下側部分に比べて小さくなる。これにより、歯車用素材の上側部分に対応するダイスが拡径する撓みが従来よりも減少し、歯車用素材の上側部分が下側部分よりも大径化することを抑制することができる。
次いで、第1加圧源の動作をさらに継続する。このとき、インナーパンチに対する第2加圧源による加圧力の付与の停止又は低減を行うことにより、インナーパンチから歯車用素材の内周側部分に付与される加圧力がほとんどなくなる又は減少し、歯車用素材の内周側部分の変形を拘束する力をほとんどなくす又は減少させることができる。
そして、アウターパンチが、ダイスをさらに押し下げながらインナーパンチ及びパンチコアに対してさらに相対的に下降するときには、歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分がさらに加圧される。このとき、歯車用素材の内周側部分の変形を拘束する力がほとんどなくなっている又は減少していることにより、歯車用素材の上側部分の外径が下側部分よりも大きくなることを抑制して、歯車用素材の外周面に歯面の最終的な成形をすることができる。そのため、歯車の成形精度を向上させることができる。
また、上記歯車の成形を行う際には、パンチコアとインナーパンチとの位置関係が維持されており、パンチコアの環状凹部が歯車用素材の上側部分に対向する状態が維持されている。これにより、歯車の成形途中において、パンチコアとインナーパンチとの間に歯車用素材の一部が進入することを防止することができ、これらの間にバリが形成されることを防止することができる。そして、パンチコアとインナーパンチとが相対的に移動することがないため、インナーパンチがバリによる引張応力を受けて劣化することを防止することができる。そのため、インナーパンチの耐久性を向上させることができる。
それ故、本発明の歯車鍛造装置によれば、歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させることができる。
第2の発明は、筒形状の歯車用素材の軸穴に挿通するパンチコアと、該パンチコアの外周に位置して上記歯車用素材の軸方向上端面を加圧するパンチと、上記歯車用素材の外周面に歯面を転写成形するダイスと、上記パンチコアの下端部を保持した状態で、上記パンチと対向して上記歯車用素材の軸方向下端面を受け止めるダイスリーブとを有しており、
上記パンチは、上記パンチコアの外周に位置するインナーパンチと、該インナーパンチの外周に位置するアウターパンチとからなり、
該アウターパンチは、第1加圧源による加圧力を受けて、上記ダイスを押し下げながら、上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を成形するよう構成してあり、
上記インナーパンチは、上記アウターパンチと共に下降可能であると共に、その下端面が上記アウターパンチの下端面よりも下方に突出した状態で、上記第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を成形するよう構成してあり、
上記パンチコアは、上記インナーパンチと共に下降可能であると共に、その外周面における全周に、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部を形成してなり、
上記パンチコア、上記パンチ、上記ダイス及び上記ダイスリーブによって形成された密閉鍛造空間において、外周面に歯面を有する歯車を成形するよう構成してなる歯車鍛造装置を用い、
上記第1加圧源によって、上記アウターパンチ、上記インナーパンチ及び上記パンチコアを一体的に下降させ、上記アウターパンチによって上記ダイスを押し下げながら、上記密閉鍛造空間において、上記第2加圧源による加圧力を受けた上記インナーパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を加圧して、該歯車用素材の内周側部分を成形する第1成形工程と、
上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを、上記ダイスをさらに押し下げながら上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与を維持した状態で、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を加圧して、該歯車用素材の外周面に上記歯面を転写成形する第2成形工程と、
上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを、上記ダイスをさらに押し下げながら上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対してさらに相対的に下降させると共に、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与の停止又は低減を行い、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分をさらに加圧して、上記歯車を成形する第3成形工程とを行うことを特徴とする歯車鍛造方法にある(請求項6)。
本発明の歯車鍛造方法は、上記歯車鍛造装置を用いて、インナーパンチの劣化を抑制して、成形精度に優れた歯車を製造することができる方法である。
具体的には、本発明においては、上述した歯車鍛造装置の発明における第1加圧源による動作と同様の工程を、上記第1〜第3成形工程として行って、歯車を製造する。
それ故、本発明の歯車鍛造方法によれば、上記歯車鍛造装置の発明と同様に、歯車の成形精度の向上と、インナーパンチの耐久性の向上とを両立させることができる。
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記環状凹部は、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置からその下方位置まで内周側へ陥没させて形成してあり、かつ上記インナーパンチの下端面の近傍に対向する位置の陥没量が最も大きく、該インナーパンチの下端面の近傍から下方に向かうに連れて陥没量が小さくなるテーパ状に形成してあることが好ましい(請求項2)。
この場合には、インナーパンチによって歯車用素材に加わる加圧力は、歯車用素材の上端に近いほど大きくなるのに対して、歯車用素材の上端に近いほどパンチコアによる拘束力を小さくすることができる。これにより、歯車用素材の上端に近いほど外径が大きくなる歯車の成形不良を、効果的に改善することができ、成形する歯車の歯面の真直度をより向上させることができる。
また、上記パンチコアは、上記歯車の成形時に上記インナーパンチと係合していることによって、該インナーパンチと一体的に下降するよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、インナーパンチとパンチコアとを別体で構成して、歯車の成形時に一体化させておくことができる。
また、上記歯車鍛造装置は、上記第1加圧源によって、上記アウターパンチ、上記インナーパンチ及び上記パンチコアを一体的に下降させ、上記アウターパンチによって上記ダイスを押し下げながら、上記密閉鍛造空間において、上記第2加圧源による加圧力を受けた上記インナーパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を加圧して、該歯車用素材の内周側部分を成形する第1成形動作と、上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与を維持した状態で、上記アウターパンチによって上記ダイスをさらに押し下げながら、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を加圧して、該歯車用素材の外周面に上記歯面を転写成形する第2成形動作と、上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与の停止又は低減を行い、上記アウターパンチによって上記ダイスをさらに押し下げながら、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分をさらに加圧して、上記歯車を成形する第3成形動作とを、上記第1加圧源による上記アウターパンチの1回の下降ストローク中に行うよう構成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、第1加圧源による1回の下降ストロークを行う際に、上記第1〜第3成形動作を行うことができ、歯車を製造するサイクルタイムを短縮することができる。また、歯車鍛造装置の構成を簡単にすることもできる。
また、上記歯車は、外周面につる巻状の歯面を有するはすば歯車であり、上記歯車鍛造装置は、上記アウターパンチによって、上記ダイスを押し下げると共に回転させながら、上記密閉鍛造空間において上記歯車を成形するよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、成形精度に優れたはすば歯車を容易に製造することができる。
第2の発明において、上記第1成形工程、上記第2成形工程及び上記第3成形工程は、上記第1加圧源による上記アウターパンチの1回の下降ストローク中に行うことが好ましい(請求項7)。
この場合には、第1加圧源による1回の下降ストロークによって、上記第1〜第3成形工程を行うことができ、歯車を製造するサイクルタイムを短縮することができる。また、歯車鍛造装置の構成を簡単にすることもできる。
また、上記歯車は、外周面につる巻状の歯面を有するはすば歯車であり、上記第1成形工程、上記第2成形工程及び上記第3成形工程においては、上記アウターパンチによって、上記ダイスを押し下げると共に回転させながら、上記密閉鍛造空間において上記歯車を成形することが好ましい(請求項8)。
この場合には、成形精度に優れたはすば歯車を容易に製造することができる。
以下に、本発明の歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の歯車鍛造装置1は、図1に示すごとく、筒形状の歯車用素材80の軸穴81に挿通するパンチコア2と、パンチコア2の外周に位置して歯車用素材80の軸方向上端面801を加圧するパンチ3と、歯車用素材80の外周面804に歯面84を転写成形するダイス5と、パンチコア2の下端部を保持した状態で、パンチ3と対向して歯車用素材80の軸方向下端面802を受け止めるダイスリーブ6とを有している。また、歯車鍛造装置1は、パンチコア2、パンチ3、ダイス5及びダイスリーブ6によって形成される密閉鍛造空間11において、外周面804に歯面84を有する歯車8を成形するよう構成されている。ここで、図1は、歯車用素材80を配置しない状態で、パンチコア2、パンチ3、ダイス5及びダイスリーブ6によって密閉鍛造空間11を形成した状態の歯車鍛造装置1を示す図である。
図2に示すごとく、パンチ3は、パンチコア2の外周に位置するインナーパンチ31と、インナーパンチ31の外周に位置するアウターパンチ32とからなる。アウターパンチ32は、第1加圧源による加圧力を受けて、ダイス5を押し下げながら、歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83を成形するよう構成してある。インナーパンチ31は、アウターパンチ32と共に下降可能であると共に、その下端面がアウターパンチ32の下端面よりも下方に突出した状態で、第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、歯車用素材80の軸方向上端面801の内周側部分82を成形するよう構成してある。なお、第1加圧源及び第2加圧源の図示は省略する。
図2、図6に示すごとく、パンチコア2は、インナーパンチ31と共に下降可能であると共に、その外周面における全周に、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部21を形成してなり、かつ歯車8の成形時には、環状凹部21を歯車用素材80の内周面の上側部分に対向させた状態が維持されるよう構成してある。
以下に、本例の歯車鍛造装置1及び歯車鍛造方法につき、図1〜図10を参照して詳説する。
本例の歯車鍛造装置1は、密閉冷間鍛造を行うものであり、パンチ3(アウターパンチ32)の1回の連続した下降ストロークによって、筒形状の歯車用素材80から、外周面804につる巻き状の歯面84を有するはずば歯車(ヘリカルギヤ)8を成形(鍛造)するものである。また、歯車鍛造装置1は、アウターパンチ32によって、ダイス5を押し下げると共に回転させながら、密閉鍛造空間11においてはすば歯車8を成形するよう構成してある。図10には、本例において成形するはすば歯車8を示す。
図3に示すごとく、本例のダイス5は、ダイケース71内に保持された状態で、ダイケース71及びダイスリーブ6に対して回転可能であると共に、付勢手段としてのガスクッション72によって上方へ付勢されており、かつ、歯車用素材80につる巻き状の歯面84を成形するためのつる巻き状歯筋を形成した歯型成形穴51を有している。
ダイス5の歯型成形穴51の上方開口部には、アウターパンチ32の下端部を嵌入させるための嵌入凹部52が形成してある。そして、アウターパンチ32の下端部が嵌入凹部52内に嵌入されることによって、上記密閉鍛造空間11を安定して形成することができる。
上記ガスクッション72は、ダイベース7に配設してあり、ガスクッション72の可動部721には、ダイス5を回転可能にするためのスラストベアリング73を配設したダイス保持部74が配設してある。ダイス5は、スラストベアリング73を介してダイス保持部74に回転可能に配設してあると共に、ガスクッション72によって上下に揺動可能である。なお、ガスクッション72は、ガスの流動によってストロークするピストン構造を有しており、ガスの圧力を利用して所定の反発力を発生させるものである。
また、図3に示すごとく、本例においては、ダイス保持部74がダイベース7及びダイケース71に対して回転してしまうことを防止するため、ダイス保持部74には、上下方向に沿った直線溝741が形成してあり、ダイケース71には、直線溝741に係合する係合部711が形成してある。なお、ダイケース71に直線溝741を形成し、ダイス保持部74に係合部711を形成することもできる。
また、上記ダイスリーブ6は、ダイベース7に対して固定してあり、ダイス5の回転に伴って回転しないよう構成してある。ダイスリーブ6の外周面には、ダイス5の歯型成形穴51におけるつる巻き状歯筋に螺合するつる巻き状歯筋が形成してある。そして、ダイス5は、その歯型成形穴51におけるつる巻き状歯筋を、ダイスリーブ6の外周面におけるつる巻き状歯筋に沿って摺動させることによって回転しながら上昇又は下降するよう構成してある。
図3、図6に示すごとく、ダイスリーブ6は、歯車用素材80の軸方向下端面802の内周側部分82を受け止めるインナースリーブ61と、インナースリーブ61の外周に位置し、歯車用素材80の軸方向下端面802の外周側部分83を受け止めるアウタースリーブ62とを有している。また、インナースリーブ61内には、パンチコア2を上方へ付勢することができる付勢ピン63が配置してある。
インナースリーブ61は、上昇可能なノックアウト部材64によって押し上げられて、成形後のはすば歯車8をダイス5の歯型成形穴51内から上方へ押し出すことができるよう構成してある。
図2に示すごとく、パンチコア2、インナーパンチ31及びアウターパンチ32は、第1加圧源によって下降可能なパンチベース4に対して配置してある。パンチベース4には、インナーパンチ31を下降させるためのインナーベース45がスライド可能に配設してあり、インナーベース45は、第2加圧源によって下降するよう構成してある。パンチベース4には、アウターパンチ32と共にダイス5を押し下げるための押下部41と、ダイケース71に当接してアウターパンチ32の下降端を決定する下降端当接部42とが設けてある。
また、図示は省略するが、本例の第1加圧源は、アウターパンチ32に加圧力を付与することができる油圧シリンダーを用いて構成してある。また、第2加圧源がインナーパンチ31への加圧力の付与を停止するタイミングは、第1加圧源によるパンチベース4の移動位置をリニアスケース等の位置検出手段を用いて監視することによって、決定している。また、第2加圧源は、インナーパンチ31に加圧力を付与することができる油圧シリンダーを用いて構成してある。なお、第1加圧源は、サーボモータを用いて構成することもできる。
図2に示すごとく、パンチコア2は、はすば歯車8の成形時にインナーパンチ31と係合していることによって、インナーパンチ31と一体的に昇降するよう構成してある。本例のパンチコア2の外周面には、突起部22が形成してあり、第2加圧源の加圧力によってインナーパンチ31に加圧力を付与することができる部材33には、突起部22に係合する凹部331が形成してある。そして、はすば歯車8の成形時に、第2加圧源によってインナーパンチ31を下方へ付勢するときには、突起部22と凹部331との係合によって、パンチコア2は、インナーパンチ31と一体的に昇降することができる。
本例の歯車鍛造装置1は、インナーパンチ31によって歯車用素材80の軸方向上端面801の内周側部分82を加圧する第1成形動作、インナーパンチ31による加圧力を維持した状態で、アウターパンチ32によって歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83を加圧する第2成形動作、インナーパンチ31による加圧力をなくした状態で、アウターパンチ32によって歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83を加圧する第3成形動作とを、第1加圧源による1回の下降ストロークによって行うよう構成してある。
図6に示すごとく、パンチコア2における環状凹部21は、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置からその下方位置まで内周側へ陥没させて形成してある。環状凹部21は、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置の近傍の陥没量が最も大きく(パンチコア2の外径が最も小さく)、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置の近傍から下方に向かうに連れて陥没量が小さくなる(パンチコア2の外径が大きくなる)テーパ状に形成してある。同図において、環状凹部21の陥没量が最も大きい軸方向位置を2点鎖線Xによって示す。
なお、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置は、成形するはずば歯車8の軸穴81の軸方向長さ、すなわち、アウターパンチ32が下降端に位置してはすば歯車8の成形が完了するときのインナーパンチ31の下端面からダイスリーブ6の上端面までの距離(100%)に対して、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置から下方に20%の範囲内の位置とすることができる。
次に、本例の歯車鍛造装置1を用いて、はすば歯車8を成形する歯車鍛造方法につき説明する。
本例においては、歯車鍛造装置1による第1〜第3成形動作によって、はすば歯車8を成形する第1〜第3成形工程を行う。また、以下に示す第1〜第3成形工程は、第1加圧源によるアウターパンチ32の1回の下降ストローク中に行う。
まず、第1成形工程においては、第1加圧源の動作を開始し、第1加圧源による第1成形動作として、パンチベース4に配設したアウターパンチ32、インナーパンチ31及びパンチコア2を一体的に下降させる。このとき、第2加圧源により、インナーパンチ31には、下方への一定の加圧力を付与しておく。
そして、図4、図6に示すごとく、パンチコア2の下端部がインナースリーブ61内に保持され、かつアウターパンチ32の下端面がダイス5の環状凹部21に当接すると共に、パンチベース4の押下部41がダイス5に当接する。このとき、パンチコア2、アウターパンチ32、インナーパンチ31、ダイス5、インナースリーブ61及びアウタースリーブ62によって密閉鍛造空間11が形成される。
そして、図7に示すごとく、アウターパンチ32及び押下部41によってダイス5が押し下げられると共に、インナーパンチ31の下端面がアウターパンチ32の下端面よりも下方に突出していることにより、第2加圧源による加圧力を受けたインナーパンチ31によって、歯車用素材80の軸方向上端面801の内周側部分82が加圧される。
これにより、インナーパンチ31とダイスリーブ6(インナースリーブ61及びアウタースリーブ62)との間に歯車用素材80の内周側部分82が成形される。
次いで、図8に示すごとく、第1加圧源の動作を継続し、第1加圧源による第2成形動作として、パンチベース4をさらに下降させる。このとき、第2加圧源によって、インナーパンチ31に加圧力を付与した状態が維持されているものの、インナーパンチ31及びパンチコア2は、歯車用素材80及びダイスリーブ6によって受け止められることによって下降することができない。そして、第1加圧源による加圧力が第2加圧源による加圧力よりも大きいことにより、アウターパンチ32は、ダイス5をさらに押し下げながら、インナーパンチ31及びパンチコア2に対して相対的に下降する。こうして、第1加圧源による加圧力を受けたアウターパンチ32によって、歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83が加圧される。
これにより、アウターパンチ32とダイスリーブ6との間に歯車用素材80の外周側部分83の多くが成形されると共に、ダイス5による転写成形が行われて、歯車用素材80の外周面804に歯面84が成形される。
上記歯車用素材80の外周面804に歯面84を成形する際には、インナーパンチ31とパンチコア2との位置関係が維持されていることにより、パンチコア2の環状凹部21が歯車用素材80の内周面803の上側部分に対向する状態が維持されている。ここで、図6〜図9において、環状凹部21の陥没量が最も大きい軸方向位置を2点鎖線Xによって示す。
また、環状凹部21は、パンチコア2の外周面における全周において、インナーパンチ31の下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させて形成されている。これにより、歯車用素材80の上側部分の外径が下側部分よりも大きくなることを抑制することができる。
すなわち、歯車用素材80を成形する際には、インナーパンチ31及びダイスリーブ6から歯車用素材80に付与される圧縮力により、歯車用素材80の外周側部分はダイス5に向かって(外周側へ)変形し、一方、歯車用素材80の内周側部分はパンチコア2に向かって(内周側へ)変形する。このとき、環状凹部21に対向する歯車用素材80の上側部分の径方向(内外周方向)への変形可能量は、歯車用素材80の下側部分に比べて大きくなる。そのため、歯車用素材80がダイス5から受ける反力は、歯車用素材80の上側部分の方が歯車用素材80の下側部分に比べて小さくなる。これにより、歯車用素材80の上側部分に対応するダイス5が拡径する撓みが従来よりも減少し、歯車用素材80の上側部分が下側部分よりも大径化することを抑制することができる。
次いで、図5、図9に示すごとく、第1加圧源の動作をさらに継続し、第1加圧源による第3成形動作として、パンチベース4をさらに下降させる。このとき、インナーパンチ31に対する第2加圧源による加圧力の付与を停止することにより、インナーパンチ31から歯車用素材80の内周側部分82に付与される加圧力がほとんどなくなり、歯車用素材80の内周側部分82における変形を拘束する力がほとんどなくなる。
そして、アウターパンチ32が、ダイス5をさらに押し下げながら、インナーパンチ31及びパンチコア2に対してさらに相対的に下降するときには、歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83がさらに加圧される。このとき、歯車用素材80の内周側部分の変形を拘束する力が減少していることにより、歯車用素材80の上側部分の外径が下側部分よりも大きくなることを抑制して、歯車用素材80の外周面804に歯面84の最終的な成形をすることができる。こうして、成形精度に優れたはすば歯車8を成形(鍛造)することができる。
図示は省略するが、はすば歯車8を成形した後、パンチベース4を上昇させると、ダイス5が回転しながら元の位置に上昇復帰する。そして、ノックアウト部材64によってインナースリーブ61を上昇させることによって、成形後のはすば歯車8をダイス5から取り出すことができる。
また、上記はすば歯車8の成形を行う際には、パンチコア2とインナーパンチ31との位置関係が維持されており、パンチコア2の環状凹部21が歯車用素材80の内周面803の上側部分に対向する状態が維持されている。これにより、はすば歯車8の成形途中において、パンチコア2とインナーパンチ31との間に歯車用素材80の一部が進入することを防止することができ、これらの間にバリが形成されることを防止することができる。そして、パンチコア2とインナーパンチ31とが相対的に移動することがないため、インナーパンチ31がバリによる引張応力を受けて劣化することを防止することができる。そのため、インナーパンチ31の耐久性を向上させることができる。
また、本例においては、インナーパンチ31によって歯車用素材80に加わる加圧力は、歯車用素材80の上端に近いほど大きくなるのに対して、歯車用素材80の上端に近いほどパンチコア2による拘束力を小さくすることができる。これにより、歯車用素材80の上端に近いほど外径が大きくなるはすば歯車8の成形不良を、効果的に改善することができ、成形するはすば歯車8の歯面84の真直度をより向上させることができる。
それ故、本例の歯車鍛造装置1及び歯車鍛造方法によれば、はすば歯車8の成形精度の向上と、インナーパンチ31の耐久性の向上とを両立させることができる。
また、本例においては、第1加圧源によるパンチベース4の1回の下降ストロークによって上記第1〜第3成形工程を行うことができ、はすば歯車8を製造するサイクルタイムを短縮することができる。また、歯車鍛造装置1の構成を簡単にすることもできる。
(比較例)
本比較例においては、従来の歯車鍛造装置1における成形動作について説明する。
本比較例においては、パンチコア2をアウタースリーブ62と一体的に下降させるよう構成し、パンチコア2の外周面には環状凹部21を形成した。そして、図11に示すごとく、インナーパンチ31が歯車用素材80の軸方向上端面801の内周側部分82を成形しているときまでは、パンチコア2における環状凹部21が歯車用素材80の内周面803の上側部分に対向する状態が維持されるものの、アウターパンチ32が歯車用素材80の軸方向上端面801の外周側部分83を成形するときには、パンチコア2も下降してしまう。同図において、環状凹部21の陥没量が最も大きい軸方向位置を2点鎖線Xによって示す。
そのため、歯車用素材80の上端に近いほど外径が大きくなる歯車の成形不良を、十分に改善することができないことがわかる。
実施例における、歯車鍛造装置の全体を示す断面説明図。 実施例における、パンチベースの周辺を示す断面説明図。 実施例における、ダイベースの周辺を示す断面説明図。 実施例における、密閉鍛造空間を形成した状態を示す断面説明図。 実施例における、はすば歯車を成形した状態を示す断面説明図。 実施例における、密閉鍛造空間を形成した状態を拡大して示す断面説明図。 実施例における、インナーパンチにより歯車用素材を加圧した状態を拡大して示す断面説明図。 実施例における、アウターパンチにより歯車用素材を加圧した状態を拡大して示す断面説明図。 実施例における、はすば歯車を成形した状態を拡大して示す断面説明図。 実施例における、はすば歯車を示す斜視図。 比較例における、はすば歯車を成形する状態を拡大して示す断面説明図。 従来例における、はすば歯車を成形する状態を拡大して示す断面説明図。
符号の説明
1 歯車鍛造装置
11 密閉鍛造空間
2 パンチコア
21 環状凹部
3 パンチ
31 インナーパンチ
32 アウターパンチ
4 パンチベース
5 ダイス
51 歯型成形穴
6 ダイスリーブ
61 インナースリーブ
62 アウタースリーブ
63 付勢ピン
7 ダイベース
8 歯車(はずば歯車)
80 歯車用素材
801 軸方向上端面
802 軸方向下端面
803 内周面
804 外周面
81 軸穴
82 内周側部分
83 外周側部分
84 歯面

Claims (8)

  1. 筒形状の歯車用素材の軸穴に挿通するパンチコアと、該パンチコアの外周に位置して上記歯車用素材の軸方向上端面を加圧するパンチと、上記歯車用素材の外周面に歯面を転写成形するダイスと、上記パンチコアの下端部を保持した状態で、上記パンチと対向して上記歯車用素材の軸方向下端面を受け止めるダイスリーブとを有しており、
    上記パンチコア、上記パンチ、上記ダイス及び上記ダイスリーブによって形成された密閉鍛造空間において、外周面に歯面を有する歯車を成形するよう構成してなる歯車鍛造装置において、
    上記パンチは、上記パンチコアの外周に位置するインナーパンチと、該インナーパンチの外周に位置するアウターパンチとからなり、
    該アウターパンチは、第1加圧源による加圧力を受けて、上記ダイスを押し下げながら、上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を成形するよう構成してあり、
    上記インナーパンチは、上記アウターパンチと共に下降可能であると共に、その下端面が上記アウターパンチの下端面よりも下方に突出した状態で、上記第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を成形するよう構成してあり、
    上記パンチコアは、上記インナーパンチと共に下降可能であると共に、その外周面における全周に、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部を形成してなり、かつ上記歯車の成形時には、上記環状凹部を上記歯車用素材の内周面の上側部分に対向させた状態が維持されるよう構成してあることを特徴とする歯車鍛造装置。
  2. 請求項1において、上記環状凹部は、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置からその下方位置まで内周側へ陥没させて形成してあり、かつ上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍の陥没量が最も大きく、該インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍から下方に向かうに連れて陥没量が小さくなるテーパ状に形成してあることを特徴とする歯車鍛造装置。
  3. 請求項1又は2において、上記パンチコアは、上記歯車の成形時に上記インナーパンチと係合していることによって、該インナーパンチと一体的に下降するよう構成してあることを特徴とする歯車鍛造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記第1加圧源によって、上記アウターパンチ、上記インナーパンチ及び上記パンチコアを一体的に下降させ、上記アウターパンチによって上記ダイスを押し下げながら、上記密閉鍛造空間において、上記第2加圧源による加圧力を受けた上記インナーパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を加圧して、該歯車用素材の内周側部分を成形する第1成形動作と、
    上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与を維持した状態で、上記アウターパンチによって上記ダイスをさらに押し下げながら、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を加圧して、該歯車用素材の外周面に上記歯面を転写成形する第2成形動作と、
    上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与の停止又は低減を行い、上記アウターパンチによって上記ダイスをさらに押し下げながら、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分をさらに加圧して、上記歯車を成形する第3成形動作とを、上記第1加圧源による上記アウターパンチの1回の下降ストローク中に行うよう構成してあることを特徴とする歯車鍛造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記歯車は、外周面につる巻状の歯面を有するはすば歯車であり、
    上記アウターパンチによって、上記ダイスを押し下げると共に回転させながら、上記密閉鍛造空間において上記歯車を成形するよう構成したことを特徴とする歯車鍛造装置。
  6. 筒形状の歯車用素材の軸穴に挿通するパンチコアと、該パンチコアの外周に位置して上記歯車用素材の軸方向上端面を加圧するパンチと、上記歯車用素材の外周面に歯面を転写成形するダイスと、上記パンチコアの下端部を保持した状態で、上記パンチと対向して上記歯車用素材の軸方向下端面を受け止めるダイスリーブとを有しており、
    上記パンチは、上記パンチコアの外周に位置するインナーパンチと、該インナーパンチの外周に位置するアウターパンチとからなり、
    該アウターパンチは、第1加圧源による加圧力を受けて、上記ダイスを押し下げながら、上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を成形するよう構成してあり、
    上記インナーパンチは、上記アウターパンチと共に下降可能であると共に、その下端面が上記アウターパンチの下端面よりも下方に突出した状態で、上記第1加圧源に比べて小さな加圧力を発生させる第2加圧源によって、上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を成形するよう構成してあり、
    上記パンチコアは、上記インナーパンチと共に下降可能であると共に、その外周面における全周に、上記インナーパンチの下端面に対する内周側位置の近傍からその下方位置まで内周側へ陥没させた環状凹部を形成してなり、
    上記パンチコア、上記パンチ、上記ダイス及び上記ダイスリーブによって形成された密閉鍛造空間において、外周面に歯面を有する歯車を成形するよう構成してなる歯車鍛造装置を用い、
    上記第1加圧源によって、上記アウターパンチ、上記インナーパンチ及び上記パンチコアを一体的に下降させ、上記アウターパンチによって上記ダイスを押し下げながら、上記密閉鍛造空間において、上記第2加圧源による加圧力を受けた上記インナーパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の内周側部分を加圧して、該歯車用素材の内周側部分を成形する第1成形工程と、
    上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを、上記ダイスをさらに押し下げながら上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対して相対的に下降させ、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与を維持した状態で、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分を加圧して、該歯車用素材の外周面に上記歯面を転写成形する第2成形工程と、
    上記第1加圧源によって、上記アウターパンチを、上記ダイスをさらに押し下げながら上記インナーパンチ及び上記パンチコアに対してさらに相対的に下降させると共に、上記インナーパンチに対する上記第2加圧源による加圧力の付与の停止又は低減を行い、上記第1加圧源による加圧力を受けた上記アウターパンチによって上記歯車用素材の軸方向上端面の外周側部分をさらに加圧して、上記歯車を成形する第3成形工程とを行うことを特徴とする歯車鍛造方法。
  7. 請求項6において、上記第1成形工程、上記第2成形工程及び上記第3成形工程は、上記第1加圧源による上記アウターパンチの1回の下降ストローク中に行うことを特徴とする歯車鍛造方法。
  8. 請求項6又は7において、上記歯車は、外周面につる巻状の歯面を有するはすば歯車であり、
    上記第1成形工程、上記第2成形工程及び上記第3成形工程においては、上記アウターパンチによって、上記ダイスを押し下げると共に回転させながら、上記密閉鍛造空間において上記歯車を成形することを特徴とする歯車鍛造方法。
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