JP2001191143A - 歯車の成形装置、及び歯車の成形方法 - Google Patents

歯車の成形装置、及び歯車の成形方法

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JP2001191143A JP37579099A JP37579099A JP2001191143A JP 2001191143 A JP2001191143 A JP 2001191143A JP 37579099 A JP37579099 A JP 37579099A JP 37579099 A JP37579099 A JP 37579099A JP 2001191143 A JP2001191143 A JP 2001191143A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歯車の外歯と内歯とを、少ない加工工数で精度
よく形成する。 【解決手段】上パンチ40を外パンチ50と内パンチ6
0とに分割し、かつ外側加圧面と内側加圧面との面積比
が6:4ないしは4:6、さらに望ましくはほぼ1:1
になるように分割し、外パンチ50が素材Wの外側加圧
面S1 を加圧することで、従来、外周部W1 側に流れが
ちであった素材Wを、内周部W2 側にも円滑に流れるよ
うにする。さらに素材Wの内側加圧面S2 を加圧する内
パンチ60を、所定圧に背圧制御して、素材Wの内周部
2 側への流れを妨げることなく、しかも流れてきた素
材Wを適宜に加圧することができるので、マンドレル2
0の内歯形成部21に対して、素材Wを必要かつ十分に
充填することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外歯と内歯とを有
する歯車を冷間鍛造によって形成するための、歯車の成
形装置、及び歯車の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】外歯と内歯とを有する円筒状の歯車とし
て、例えば、サンギヤが知られている。このサンギヤ
は、自動車等の自動変速機に組み込まれるプラネタリギ
ヤユニットの構成要素の一つとして使用されるものであ
り、外周面には外歯として例えばヘリカルギヤが形成さ
れ、また、内周面には内歯として例えば内スプラインが
形成されている。そして、内歯を、入力軸(又は出力
軸)の外周面に形成された外スプラインに噛合させる一
方、外歯にはキャリヤによって支持された複数のピニオ
ンが噛合させている。
【0003】サンギヤは、上述のように、入力軸(又は
出力軸)とピニオンとに噛み合って、両者間に動力の伝
達を行うものであり、外歯及び内歯の加工精度が低い場
合には、歯車の噛み合い音が大きくなって騒音が発生し
たり、動力の伝達ロスが大きくなったりするといった不
具合が発生するため、高い加工精度が要求される。
【0004】このようなサンギヤの外歯と内歯は、一般
に、切削加工や塑性加工(例えば、冷間鍛造)によって
形成される。
【0005】切削加工においては、例えば、外歯のヘリ
カルギヤはホブ盤によって、また、内歯の内スプライン
はブローチ盤によって加工される。
【0006】塑性加工においては、据え込み加工が行わ
れる。円筒状の素材を、その外周部がダイスの外歯形成
部を対面するように、また、内周部がマンドレルの内歯
形成部に対面するようにして支持部材上に載置し、この
状態で、素材の上端面を上パンチで加圧して素材を軸方
向に圧縮し、素材の外周部を外歯形成部に押し付けて外
歯を形成し、素材の内周部を内歯形成部に押し付けて内
歯を形成するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の切削加
工においては、高い加工精度を得ることができるもの
の、加工工数が多くなるという問題がある。ホブ盤やブ
ローチ盤による切削加工は、それ自体が多くの工数を費
やす加工であり、さらに、両加工を並行して行うことが
できないため、加工工数の低減が難しい。
【0008】他方、塑性加工においては、特に内歯の加
工精度が低いという問題がある。据え込み時に素材の上
端面のほぼ全面を上パンチで加圧して素材を軸方向に圧
縮した際、円筒状の素材は、外周部側に流れやすく、内
周部側には流れにくいため、内歯を形成するためのマン
ドレルの内歯形成部に素材が十分に充填されず、内歯の
加工精度が低下しがちであるという問題である。
【0009】塑性加工におけるこのような問題を防止す
るための方法として、第1に、素材を密閉状態で据え込
むことが考えられる。しかし、この場合、成形荷重が過
大となって、特に軸方向の端面近傍の歯部においては、
欠肉が発生しやすく、製品としての機能を十分に満足し
得ない。また、無理に荷重をかけると、金型(ダイスや
パンチ)破損の原因になる。
【0010】第2に、外歯と内歯とを別の工程で成形す
ることが考えられる。しかし、この場合には、工程間の
素材の搬送が煩雑となり、また、外歯と内歯との同軸度
の確保が難しくなる。そして、加工工数も多くなる。
【0011】なお、外歯を精度よく成形する方法とし
て、「捨て軸の原理」を応用した事例が、「鍛造分科会
・第64回研究集会 精密技術を支える技術」という文
献中に「分流法による自動車用ヘリカルギヤの試作」と
いうタイトルで紹介されている。しかし、この「捨て軸
の原理」を応用した方法は、外歯を成形するには有効で
あるが、内歯の成形については課題が残る。これは、主
に、据え込み時に素材が外周部側に逃げる傾向にあるこ
とに起因する。
【0012】そこで、本発明は、素材の上端面を所定の
面積比で外パンチと内パンチとによって分割して加圧す
ることにより、加工工数が多い、加工精度が低い等の上
述の課題を解消した歯車の成形装置、及び歯車の成形方
法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、例えば、図4に示すように、内周面(10a)に外
歯形成部(11)を有するダイス(10)と、外周面に
内歯形成部(21)を有するマンドレル(20)と、前
記外歯形成部(11)と前記内歯形成部(21)との間
に形成される環状の成形空間(S)にセットされた円筒
状の素材(W)の下端面(W3 )を下方から支持する支
持部材(30)と、前記素材(W)の上端面(W4 )を
下方に加圧して前記素材(W)を軸(C2 )方向に圧縮
し前記素材(W)の外周部(W1 )を前記ダイス(1
0)の前記外歯形成部(11)に押し付けるとともに前
記素材(W)の内周部(W2 )を前記マンドレル(2
0)の前記内歯形成部(21)に押し付ける上パンチ
(40)と、を備えた歯車の成形装置(M)において、
前記上パンチ(40)は、前記素材(W)の上端面(W
4 )における環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面
(S1 )と内周側の内側加圧面(S3 )とを面積比が
6:4ないし4:6になるように加圧する分割された外
パンチ(50)と内パンチ(60)とを有し、前記外パ
ンチ(50)と前記内パンチ(60)とを下降させて前
記外側加圧面(S1 )と前記内側加圧面(S2 )とを加
圧しつつ、前記内パンチ(60)を所定圧に背圧制御し
て、前記外パンチ(50)に対する前記内パンチ(6
0)の相対的な上昇を許容してなる、歯車の成形装置
(M)にある。
【0014】請求項2に係る本発明は、前記ダイス(1
0)の前記外歯形成部(11)が、前記素材(W)の外
周部(W1 )にヘリカルギヤを形成する歯部(11a)
であり、前記マンドレル(20)の前記内歯形成部(2
1)が、前記素材(W)の内周部(W2 )に内スプライ
ンを形成する歯部(21a)である、請求項1に記載の
歯車の成形装置(M)にある。
【0015】請求項3に係る本発明は、前記マンドレル
(20)の前記内歯形成部(21)の歯部(21a)
と、前記内パンチ(60)の内周側及び前記支持部材
(30)の内周側との間に逃がし部(A1 、A2 )を
設ける、請求項1又は2に記載の歯車の成形装置(M)
にある。
【0016】請求項4に係る本発明は、前記ダイス(1
0)をその軸を中心に回転可能に支持する支持ベース
(71)を備え、前記ダイス(10)と前記支持ベース
(71)との間に、例えば、図3に示すように、前記ダ
イス(10)に接触する接触面(72a)に油溝(72
b)を有するプレート(72)を介装してなる、請求項
1ないし3のいずれかに記載の歯車の成形装置(M)に
ある。
【0017】請求項5に係る本発明は、円筒状の素材
(W)に外歯と内歯とを形成する歯車の成形方法におい
て、前記素材(W)の外周部(W1 )をダイス内周面
(10a)の外歯形成部(11)に対面させ、かつ前記
素材(W)の内周部(W2 )をマンドレル外周面の内歯
形成部(21)に対面させた姿勢で前記素材(W)を支
持部材(30)上に載置する素材セット工程と、前記素
材セット工程でセットされた素材(W)の上端面
(W4 )を上パンチ(40)で下方に加圧して前記素材
(W)を軸(C2 )方向に圧縮し前記素材(W)の外周
部(W1 )を前記ダイス(10)の前記外歯形成部
(11)に押し付けるとともに前記素材(W)の内周部
(W2 )を前記マンドレル(20)の前記内歯形成部
(21)に押し付ける据え込み工程と、を備え、前記据
え込み工程は、前記素材(W)の上端面(W4 )におけ
る環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面(S1 )と
内周側の内側加圧面(S2 )とを面積比が6:4ないし
4:6になるように分割された外パンチ(50)と内パ
ンチ(60)とによって加圧しつつ、前記内パンチ(6
0)を所定圧に背圧制御して、前記外パンチ(50)に
対する前記内パンチ(60)の相対的な上昇を許容する
工程であり、前記外歯形成部(11)と前記内歯形成部
(21)との双方に充分に素材(W)を充填させる工程
である、歯車の成形方法にある。
【0018】[作用]前述したように、分割されていな
い上パンチによって素材(W)の上端面(W 4 )のほぼ
全体を加圧した場合には、素材(W)は外周部(W1
側に流れやすく、内周部(W2 )側には流れにくい。
【0019】これに対し、請求項1の構成によると、素
材(W)の上端面(W4 )の加圧面を加圧する上パンチ
(40)が外パンチ(50)と内パンチ(60)とに分
割されていて、外パンチ(60)が外側加圧面(S1
を加圧するので、この加圧により、素材(W)は内周部
(W2 )側に逃げようとして、内周部(W2 )側への流
れが増加する。この外パンチ(50)による加圧と並行
して、所定圧に背圧制御された内パンチ(60)が素材
(W)の内側加圧面(S2 )を加圧するので、外パンチ
(50)の加圧によって内周部(W2 )側へ流れた素材
(W)は、内パンチ(60)によって適宜に加圧され
る。これにより、マンドレル(20)の内歯形成部(2
1)に素材が充填される。この際、内パンチ(60)
は、外パンチ(50)に対して相対的な上昇が許容され
るので、密閉状態で据え込みを行う場合と異なり、成形
荷重が過大となることを防止することができる。すなわ
ち、内パンチ(60)は、素材(W)の内周部(W2
側への流れを円滑にすべくいわゆる「逃がし部」として
作用するとともに、さらに、開放された一般的な逃がし
部とは異なり、内周部(W2 )側に流れてきた素材
(W)に適宜な加圧力を付加して外パンチ(50)とと
もに据え込みにも寄与することになる。
【0020】なお、上記の[課題を解決するための手
段]及び〔作用〕におけるカッコ内の符号は、図面と対
照するためのものであって、理解の容易化・迅速化を図
る便宜的なものである。したがって、その性質上、これ
らの符号は、特許請求の範囲の構成に何等の影響を与え
るものではない。
【0021】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、外パン
チによって内周部側に流れた素材に対し、背圧制御され
た内パンチによってその素材の流れを適宜に制御するこ
とができるので、ダイスの外歯形成部とマンドレルの内
歯形成部との双方に、素材を必要かつ十分に充填させる
ことができる。したがって、素材に対して外歯と内歯と
を同時に、しかも精度よく形成することができる。すな
わち、外歯と内歯との加工精度の低下を伴うことなく、
加工工数を少なくすることが可能である。さらに、外側
加圧面と内側加圧面との面積比を6:4ないし4:6に
設定しているので、素材を内周部側に流れやすくする外
パンチの作用と、内周側に流れてきた素材をマンドレル
の内歯形成部に充填する内パンチの作用とを良好にバラ
ンスさせて、全体として小さい加圧力で、外歯と内歯と
を同時に精度よく形成することができる。
【0022】請求項2に係る本発明によると、素材の外
周部に形成すべき外歯がヘリカルギヤである場合に、そ
のヘリカルギヤを精度よく形成することができ、さら
に、素材の内周部に形成すべき内歯が内スプラインある
場合に、その内スプラインを精度よく形成することがで
きる。
【0023】請求項3に係る本発明によると、マンドレ
ルの内歯形成部の歯部と、内パンチの内周側及び支持部
材の内周側との間に逃がし部を設けることにより、素材
の内周部側への流れをさらに円滑にすることができるの
で、マンドレルの内歯形成部への素材の充填を一層確実
に行うことができ、その分、内歯の精度を向上させるこ
とができる。
【0024】請求項4に係る本発明によると、素材の外
周部に形成すべき外歯がヘリカルギヤである場合、主
に、外パンチの加圧によってダイスの外歯形成部に素材
が充填されるときに、素材からダイスに対して軸を中心
とした回転力が作用するが、ダイスとこれを支持する支
持ベースとの間に、ダイスとの接触面に油溝を有するプ
レートが介装されているので、回転力が作用したダイス
の摺動抵抗が低減され、ダイスの回転が円滑なものとな
る。
【0025】請求項5に係る本発明によると、据え込み
工程を次のような工程、すなわち、、素材の上端面にお
ける加圧面のうちの外側加圧面を外パンチで加圧すると
ともに、所定圧で背圧制御された内パンチによって外パ
ンチと独立に素材の内側加圧面を加圧する工程とするこ
とにより、請求項1と同様、内パンチによって、内周部
側への素材の流れを適宜に調整することができるので、
素材に対して外歯と内歯とを同時に、しかも精度よく形
成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。
【0027】〈実施の形態1〉図1(a)、(b)に、
本発明の係る歯車の成形装置の一例を示す。図1(a)
は、歯車の成形装置(以下単に「成形装置」という。)
Mの主要部の概略構成を示す縦断面図である。詳しく
は、水平なベッドBに対して垂直な軸C1 を通る縦断面
図のうちの、軸C1 を基準とした右半部を主に示すもの
である。同図は、素材をセットする前の状態を示してお
り、また、図1(b)は、素材をセットする前の図1
(a)における成形空間S近傍の拡大図である。なお、
図4(a)、(b)は、図1(a)、(b)の成形装置
Mに円筒状の素材Wをセットした状態を示すものであ
る。
【0028】図2に、成形装置Mが加工対象とする素材
Wの縦断面図、成形装置Mによる加工後の半製品H、さ
らに半製品Hに切削加工等を施した最終的な製品Pを示
す。いずれも軸C2 を通る縦断面図である。成形装置M
による加工前の素材Wは、円筒状に形成されており、同
図の姿勢は、成形装置Mにセットされた状態(図4参
照)と同じである。この姿勢において、W1 を外周部、
2 を内周部、W3 を下端面、W4 を上端面とする。最
終的な製品Pは、半製品Hの上端面及び下端面(斜線で
図示)を切削加工等したものであり、外周部には外歯P
1 として例えばヘリカルギヤが、また、内周部には内歯
2 として内スプラインが形成されている。なお、これ
ら外歯P1 、内歯P2 は、成形装置Mによる加工後、切
削加工等は行われない。つまり、外歯P1 、内歯P2
ついては、成形装置Mによる加工精度が、ほぼそのまま
製品Pにおける精度となる。
【0029】図1(a)、(b)に戻って、成形装置M
について詳述する。なお、以下の説明においては、「素
材W」という言葉を、「円筒状の物体」という意味と
「それを構成している物質」という意味とに使用するも
のとする。
【0030】同図に示す成形装置Mは、主要構成部材と
して、ダイス10と、マンドレル20と、支持部材30
と、上パンチ40とを備えており、さらに、上パンチ4
0は、外パンチ50と、内パンチ60とに分割されてい
る。
【0031】以上の、ダイス10から内パンチ60まで
は、本発明における最も基本的な構成(請求項1に対
応)に必要な部材である。
【0032】以下、ダイス10から順に説明する。
【0033】ダイス10は、径方向(同図の左右方向)
の寸法の異なる3つのブロックa1、a2 、a3 を内側
から順に組合せて全体としてほぼ環状に構成されてい
る。ダイス10の内周面10aには、外歯形成部11が
形成されている。この外歯形成部11は、本実施の形態
においては、素材Wの外周部W1 にヘリカルギヤを形成
するための歯部11aである。外歯形成部11の上下方
向の寸法は、素材Wの軸方向長さL(図2参照)よりも
長く設定されている。外歯形成部11の上端近傍には、
水平面12と、この水平面12の外周側に連続し、上方
に向かって拡径された傾斜面13が設けられている。こ
れら水平面12、傾斜面13の形状は、後述の外パンチ
50の下端面の形状に対応している。
【0034】上述構成のダイス10は、回転可能に、か
つ昇降可能に支持されている。ダイス10は、円板状の
支持ベース71によって下方から支持されている。支持
ベース71は、内周側が外周側よりも薄く形成されてい
て、内周側の上面71aには、環状のプレート72が固
定されている。この環状のプレート72には、図3
(a)、(b)、(c)に示すように、上面72aに、
複数の螺旋状の油溝72bが設けられている。各油溝7
2bは、その断面形状が、図3(c)(図3(a)のX
ーX線斜視拡大図)に示すように円弧状に形成されてお
り、図3(a)に示すように、内周側と外周側とを連通
するように形成されている。上述のダイス10は、その
下面10bにおける内周側が、油溝72bのあるプレー
ト72の上面72aが接触し、また、その下面10bに
おける外周側が、支持ベース71の外周側の上面71b
に接触している。さらに、支持ベース71は、受圧台7
3に取り付けられた複数のガスシリンダ74(ただし、
図1(a)では1個のみを図示)によって昇降自在に支
持されている。受圧台73は、上下方向に配置した3個
のブロックb1 、b2 、b3 と、ブロックb3 の内側
に配置された環状のブロックb4 とによって全体として
環状に構成されている。受圧台73には、周方向に等分
する位置のそれぞれに上下方向に向けて複数の取付け孔
73aが穿設されており、上述のガスシリンダ74は、
各取付け孔73aに、上下方向に向けて配設されてい
る。そして、ガスシリンダ74の本体74aに対して伸
縮自在なプランジャ74bの先端に上述の支持ベース7
1が固定されている。
【0035】ダイス10は、このように、支持ベース7
1及びプレート72に対して回転可能であり、かつ、こ
の支持ベース71がガスシリンダ74によって昇降可能
に支持されているので、全体として、回転動作及び昇降
動作が可能である。
【0036】ダイス10の回転動作及び昇降動作は、ダ
イス10の外側に配置されたガイド部材75によってガ
イドされる。ガイド部材75は、上述の受圧台73の上
面73bに固定されており、内周面には、ダイス10の
回転動作及び昇降動作を、また、支持ベース71の昇降
動作をガイドするガイド面75aが形成されている。ガ
イド部材75の上部には、ダイス10の上昇限度を規制
する取付け部材76が固定されている。
【0037】マンドレル20は、棒状に形成されてい
て、内歯形成部21を有するとともに、昇降可能に支持
されている。マンドレル20は、その軸C3 を成形装置
Mの軸C1 に一致させるようにして上下方向に向けて配
設されており、上部から順に、小径部20a、中径部2
0b、大径部20cを有している。上述の内歯形成部2
1は、素材Wの内周部W2 に内スプラインを形成すべく
小径部20aの外周面に形成されている。内歯形成部2
1の上下方向の長さは、素材Wの軸方向長さL(図2参
照)よりも長く形成されている。図1(b)に示すよう
に、内歯形成部21の歯部21aの歯先面21bの直径
は、中径部20bの外形とほぼ同じに設定されている。
内歯形成部21は、前述のダイス10の外歯形成部11
に対面しており、両者の間には環状の成形空間Sが形成
されている。マンドレル20は、ベッドシリンダ77の
上端に乗っている。ベッドシリンダ77は、ロッドd1
とプレートd2 とシリンダd3 と、カバーd4 とを一
体に構成したものである。
【0038】マンドレル20及びベッドシリンダ77は
一体となって上昇動作するものであり、その昇降動作
は、後述の支持部材30の内周面30a、前述の受圧台
73の内側に上下方向に設けられているガイド孔73
c、73dによってガイドされる。下降は、インナシリ
ンダ83の動作により押圧ピン82によって上から押さ
れることで行われる。
【0039】支持部材30は、ほぼ円筒状に形成されて
おり、素材Wを下方から支持して前述の成形空間Sに配
置している。支持部材30の内周面30aは、全体にわ
たって円柱状に形成され、また外周面のほぼ上半部に
は、ヘリカルギヤ31が形成されている。支持部材30
は、その内周面30aの下部側を上述のマンドレル20
の中径部20bの外周面に接触させるととともに、その
上部を、ダイス10の外歯形成部11とマンドレル20
の内歯形成部21との間の成形空間Sに侵入させてい
る。侵入させた上部の内周面は、図1(b)に示すよう
に、マンドレル20の内歯形成部21の歯部21aの歯
先面21bに接触し、また、外周面のヘリカルギヤ31
は、ダイス10の外歯形成部11の歯部11aの下部に
噛合されている。このため、図4(b)に示すように、
支持部材30の上端部と、外歯形成部11の歯部11a
との間には、素材Wの逃がし部は形成されないが、支持
部材30の上端部と、内歯形成部21の歯部21aとの
間、すなわち、素材Wの下端面W3 と内周部W2 との交
線を下端縁W5 とすると、この下端縁W5 と、内歯形成
部21の歯部21aとの間には、逃がし部A1 が構成さ
れる。同様に、素材Wの上端面W4 と内周部W2 との交
線を上端縁W6 とすると、内歯形成部21の歯部21a
との間には、逃がし部A2 が構成される。なお、図4
(b)を見る限りは、素材Wの上端縁W6 とダイス10
の外歯形成部11の歯部11aとの間にも逃がし部が構
成されているように見えるが、実際には、この部分は、
後述の外パンチ50によって閉塞されるので、逃がし部
は構成されないことになる。
【0040】図1(a)に戻る。上述の支持部材30の
環状の下面30bには、これを周方向に等分する位置に
複数のピン78(ただし、図1(a)では1本のみを図
示)が下方に垂下するように固定されている。各ピン7
8は、上端部が前述の受圧台73の上下方向の透孔73
eを貫通し、中間部が上述のベッドシリンダ77のプレ
ートd4 の上下方向の透孔77aを貫通し、下端面78
aを突き上げ部材79の突き上げ板e1 の上面79aに
当接させている。突き上げ部材79は、上述の突き上げ
板e1 と突き上げ板e1 の下面中央部に固定された突き
上げ棒e2 とによって構成されている。突き上げ棒e2
は、上述のベッドシリンダ77のプレートd2 の上下方
向の透孔77bを貫通している。
【0041】支持部材30は、図1(a)に示す素材W
のセット前の状態において、その上部を成形空間Sに侵
入させて素材Wを下方から支持するように構成されてい
る。また、ピン78は、その下面78aを突き上げ部材
79の上面79aに当接させている。支持部材30とピ
ン78とは、一体となって上昇可能であり、その昇降動
作は、マンドレル20の中径部20b、受圧台73の透
孔73e、ベッドシリンダ77の透孔77a等によって
ガイドされる。また、突き上げ部材79も昇降可能であ
り、その昇降動作は、ベッドシリンダ77のシリンダd
3 の内周面77c、プレートd2 の透孔77bによって
ガイドされる。
【0042】上パンチ40は、前述のように、外側に配
置された外パンチ50と、内側に配置された内パンチ6
0とに分割されている。
【0043】外パンチ50は、ほぼ円筒状に形成されて
いる。外パンチ50は、下面における内側に環状の水平
な押圧面51を有し、押圧面51の外側に、上部ほど直
径が大きくなる傾斜面52を有している。これら加圧面
51、傾斜面52は、それぞれ前述のダイス10の水平
面12、傾斜面13に対応している。外パンチ50は、
ブロックf1 、f2 、f3 により構成されたホルダ80
によって、ラムRに固定されている。したがって、外パ
ンチ50は、ラムRの昇降動作に伴って、一体的に昇降
する。
【0044】内パンチ60は、上述の外パンチ50より
も軸方向の長さが長く形成された円筒状の部材である。
内パンチ60は、下端に環状の水平な押圧面61を有し
ている。加工前においては、この押圧面61は、外パン
チ50の押圧面51と同じ高さに設定されている。内パ
ンチ60は、外周面のうちの下半部が上述の外パンチ5
0の内周面50aによって、また、外周面のうちの上半
部がブロックf2 によって昇降自在に支持されている。
内パンチ60は、上端に当接されたアウタシリンダ81
によって素材Wに対する加圧力が所定圧となるように背
圧制御される。すなわち、内パンチ60は、ラムRの昇
降動作に伴って、外パンチ50とともに昇降し、かつ外
パンチ50に対して相対移動できるように構成されてい
る。内パンチ60の内側には、押圧ピン82が配設され
ており、この押圧ピン82は、上端に当接されたインナ
シリンダ83によって押し下げられる。押圧ピン82の
昇降動作は、内パンチ60の内周面によってガイドされ
る。
【0045】図4〜図12を参照して、上述構成の成形
装置Mの動作を説明する。これらの図は、いずれも素材
Wの各加工工程における成形装置Mの軸C1 を通る縦断
面のうちの右半部を示している。
【0046】図4〜図12を大別すると、図4がいわゆ
る素材セット工程、図5〜図8が素材据え込み工程、図
9〜図12が素材分離工程となる。詳しくは、図4は成
形装置Mに素材Wがセットされた状態、図5はラムRの
下降途中、図6は外パンチ50及び内パンチ60が素材
Wに接触した状態、図7は据え込み動作中、図8は分流
動作中、図9はマンドレル20の内歯形成部21から素
材Wを分離した状態、図10はラムRの上昇途中、図1
1はラムRの上昇完了、図12はノックアウト完了をそ
れぞれ示す図である。
【0047】本発明の特徴は、図6(b)に示すよう
に、上パンチ40を外パンチ50と内パンチ60とに分
割して、素材Wの上端面W4 の加圧面を、外パンチ50
の押圧面51によって加圧される面(以下「外側加圧面
1 」という。)と、内パンチ60の押圧面61によっ
て加圧される面(以下「内側加圧面S2 」という。)と
に分け、S1 とS2 との面積比を6:4ないし4:6、
望ましくはほぼ1:1とした点にある。そして、外パン
チ50と内パンチ60とによる素材Wの据え込み加工
に、内パンチ60を所定圧に背圧制御して、素材Wが内
周部W2 側に流れやすくするものである。なお、本実施
の形態においては、外側加圧面S1 と内側加圧面S2
の面積比がほぼ1対1となるように、外パンチ50、内
パンチ60等を構成している。
【0048】以下、図4〜図12を参照して、成形装置
Mの動作を詳述する。
【0049】図4は、素材セット工程(素材Wが成形空
間Sにセットされた状態)を示している。この状態にお
いて、ダイス10は、ガスシリンダ74のプランジャ7
4bが伸長されて支持ベース71が最上位に位置するの
に伴って、同様に最上位に位置している。また、マンド
レル20と支持部材30も、ベッドシリンダ77によ
り、最上位に配置される。一方、外パンチ50、内パン
チ60、押圧ピン82は、ラムRが最上位に位置するの
に伴って、最上位に位置している。このとき、上方に配
置されている外パンチ50及び内パンチ60と、下方に
配置されているダイス10及びマンドレル20との間に
は、上下方向の長さが素材Wの軸方向長さL(図2参
照)よりも長い空間が形成されて、成形空間Sに対する
素材Wのセットを容易にしている。成形空間Sにセット
された素材Wは、図4(b)に示すように、その下端面
3 を支持部材30の上面30cに当接させ、その外周
部W1をダイス10の外歯形成部11に対面させ、かつ
その内周部W2 をマンドレル20の内歯形成部21に対
面させている。この状態において、内歯形成部21の歯
部21aと、素材Wの下端縁W5 及び上端縁W6 との間
には、それぞれ逃がし部A1 及び逃がし部A2 が形成さ
れている。
【0050】図5は、ラムRの下降途中を示している。
ラムRの下降に伴って、外パンチ50、内パンチ60、
ホルダ80、アウタシリンダ81、押圧ピン82、イン
ナシリンダ83が、ラムRと一体的に下降する。なお、
ダイス10、マンドレル20、支持部材30等は、図4
に示す状態と同じである。ラムRの下降によって、外パ
ンチ50がダイス10に接触する前に、また押圧ピン8
2がマンドレル20に接触する前に、ガスシリンダ74
及びベッドシリンダ77に所定の荷重が付加される。
【0051】図6は、ラムRの下降によって、外パンチ
50及び内パンチ60が素材Wに接触した状態を示して
いる。同図に示す状態となる前に、まず、ラムRの下降
に伴って、外パンチ50の押圧面51と傾斜面52と
が、それぞれダイス10の水平面12と傾斜面13とに
当接し、さらに、ガスシリンダ74に抗してダイス10
を押し下げる。同じく、同図に示す状態となる前に、ラ
ムRの下降に伴って、マンドレル20の上端面20dに
押圧ピン82の下端面82aが当接し、押圧ピン82
は、この当接により、マンドレル20がベッドシリンダ
77によって所定の荷重が付加されているのに基づき、
外パンチ50及び内パンチ60に対して相対的に押し上
げられる。そして、さらに、ラムRが下降されるのに伴
って、図6(b)に示すように、外パンチ50の押圧面
51が素材Wの外側加圧面S1 に当接し、また、内パン
チ60の押圧面61が素材Wの内側加圧面S2 に当接す
る。同図に示す状態は、据え込み加工の開始直前の状態
である。
【0052】図7は、据え込み途中の状態を示す。素材
Wに外パンチ50及び内パンチ60が接触した後、さら
にラムRを下降させて外パンチ50と内パンチ60とに
よって、図7(b)に示すように、素材Wを軸方向に圧
縮し、素材Wの外周部W1 をダイス10の外歯形成部1
1に押し付け、また、素材Wの内周部W2 をマンドレル
20の内歯形成部21に押し付ける。このとき、ダイス
10は外パンチ50によって押し下げられつつ、素材W
の外周部W1 が外歯形成部11に押し付けられるのに伴
って、素材Wから軸C1 を中心とした回転力が作用す
る。このダイス10の回転は、ダイス10と支持ベース
71との間に介装されたプレート72の上面72aの油
溝72b(図3参照)に潤滑油を注油しておくことによ
り摺動抵抗が低減されるため、円滑なものとなる。言い
換えると、外歯形成部11に充填される素材Wの流れを
円滑なものとすることができる。マンドレル20は、据
え込み加工中において不動であり、したがって、押圧ピ
ン82は、内パンチ60等に対してさらに押し上げられ
ることになる。この据え込み加工が開始される前に、内
パンチ60に対して所定圧の背圧制御が開始される。た
だし、図7(b)に示すように、また、外歯形成部11
及び内歯形成部21に対して、素材Wの充填が進行中で
あるため、内パンチ60は、背圧制御中であるにもかか
わらず、その押圧面61が、外パンチ50の押圧面51
と同じ高さにあるが、特に同じ高さにする必要はない。
【0053】図8は、据え込み加工がさらに進行して、
素材Wの外側加圧面S1 を加圧する外パンチ50によっ
て外歯形成部11にほぼ素材が充填されると、素材Wの
成形圧が上昇し、素材Wは、内周部W2 側に流れようと
する。このとき、背圧制御されている内パンチ60が、
外パンチ50に対して相対的に上昇して逃げることによ
り、内周部W2 側への素材の流れが円滑になる。ただ
し、内パンチ60は、逃げるといっても、所定圧に背圧
制御されているので、単なる逃がし部(開放されている
逃がし部)とは異なり、内周部W2 に流れてきた素材W
を適宜に加圧するので、マンドレル20の内歯形成部2
1に素材Wを確実に充填させることができる。さらに、
前述したように、内歯形成部21には、開放されている
逃がし部A 1 、2 が形成されているので、素材Wはさ
らに内周部W2 側に流れやすくなり、このことにより、
内歯形成部21に対する素材Wの充填が一層良好に行わ
れる。
【0054】このように、上パンチ40を外パンチ50
と内パンチ60とに分割し、外パンチ50が素材Wの外
側加圧面S1 を加圧することで、従来、外周部W1 側に
流れがちであった素材Wを、内周部W2 側にも円滑に流
れるようにすることができる。すなわち、素材Wの流れ
を外周部W1 側と内周部W2 側とに良好に分流すること
ができる。そして、さらに素材Wの内側加圧面S2 を加
圧する内パンチ60を、所定圧に背圧制御しているの
で、素材Wの内周部W2 側への流れを妨げることなく、
しかも流れてきた素材Wを適宜に加圧することができる
ので、マンドレル20の内歯形成部21に対して、素材
Wを必要かつ十分に充填することが可能となる。
【0055】図9は、マンドレル20の内歯形成部21
から素材Wを分離した状態を示す。上述の据え込み加工
が終了した後、ベッドシリンダ77の加圧をゼロとす
る。その後、インナシリンダ83を作用させて、押圧ピ
ン82を下降させて、その下端面82aにより、ベッド
シリンダ77と一体のマンドレル20の上端面20dを
内歯形成部21が、素材Wから完全に抜けるまで押し下
げる。このとき、マンドレル20とともにベッドシリン
ダ77が押し下げられるのに伴って、突き上げ部材79
が下降し、その突き上げ板e1 の上面79aが下がって
ピン78の下端面78aから離れる。なお、同図に示す
内歯の分離工程においては、上述の、押圧ピン82、イ
ンナシリンダ83、マンドレル20及びベッドシリンダ
77、押圧部材79以外の他の部材は、図8の状態と同
じ状態である。
【0056】図10は、ラムRの上昇途中を示す。ラム
Rの上昇により、ホルダ80、外パンチ50、内パンチ
60、押圧ピン82等が上昇する。これにより、ダイス
10が上昇して、図4に示す加工前の状態に復帰する。
なお、この際、素材Wの上下方向の位置は不変であり、
素材Wに形成された外歯とダイス10の外歯形成部11
とが噛み合った状態で、ダイス10が上昇するため、素
材Wに対して回転力が作用するが、このとき素材Wは、
内歯が既にマンドレル20の内歯形成部21から外れて
いるので、自由に回転することができる。
【0057】図11は、ラムRの上昇が完了した状態を
示す。この状態は、図10の状態からラムRの上昇によ
って、ホルダ80、外パンチ50、内パンチ60、押圧
ピン82等が一体となって上昇したものである。
【0058】図12は、ノックアウトが完了した状態を
示す。突き上げ部材79を上昇させることで、その突き
上げ板e1 によってピン78を突き上げ、ピン78と一
体の支持部材30を上方に移動させる。これにより、素
材Wが押し上げられ、素材Wの外歯がダイス10の外歯
形成部11から外れる。このとき、突き上げ部材79の
上昇途中で、突き上げ部材79がベッドシリンダ77に
係合して、ベッドシリンダ77とともにマンドレル20
を押し上げて、図4に示す加工前の位置に復帰させる。
これにより、内歯形成部21及び外歯形成部11から外
された素材Wは、その下半部に、マンドレル20の上端
部が挿入された状態となり、適宜な位置に位置決めされ
た状態で、ノックアウトが完了する。その後、加工後の
素材W、すなわち、半製品Hを成形装置Mから取り出
す。
【0059】図2で前述したように、素材Wは、上述の
据え込み加工(プレス加工)によって、半製品Hとな
り、さらに、斜線部分の切削加工等がなされて、最終的
な製品Pとなる。
【0060】図13に、素材から製品になるまでの加工
工程を、本発明を適用した場合と、従来とで比較した図
を示す。
【0061】本発明においては、素材Wを、まず、上述
のように、プレス(PR)によって据え込み加工する。
その後、旋盤(LA)によって、図2に示す上端面P4
と下端面P3 とを切削加工し、さらに、面取り盤(C
H)で面取りを行った後、必要に応じてシェービング
(SV)によって歯形修整を行う。その後、熱処理(H
T)を行い、研削(GR)、クリーニング(CL)を行
って製品Pとして完成し、完成後、測定を行う。
【0062】これに対して、従来は、まず、素材Wの外
周部W1 、内周部W2、下端面W3、上端面W4 を旋盤
(LA)で切削加工する。その後、内歯をブローチ盤
(BR)によって切削加工し、さらに、外歯をホブ盤
(HB)によって切削加工する。以下、面取り盤(C
H)から後の工程は、本発明と同じである。
【0063】すなわち、同図から、本発明においては、
従来のブローチ盤(BR)及びホブ盤(HB)による切
削加工に代えて、プレス(PR)による据え込み加工を
行っていることが分かる。このような工程の変更は、ブ
ローチ盤(BR)及びホブ盤(HB)による歯切り加工
が多数の工数が必要となるのに比較して、プレス(P
R)による据え込み加工が極めて短時間で行い得ること
を考慮すると、大幅な工数低減が可能であることを意味
する。
【0064】図14に、上述のようにして構成された製
品Pの使用例を示す。同図は、自動車等の自動変速機の
一部を示す、入力軸に沿った縦断面を示すものである。
外歯としてヘリカルギヤを有し、また内歯として内スプ
ラインを有する製品Pは、プラネタリギヤユニット90
の構成要素であるサンギヤ91として使用されている。
サンギヤ91は、その内歯を、動力が伝達される入力軸
93の外周に形成された外スプラインに噛合させ、ま
た、外歯には、キャリヤ94によって支持された複数の
ピニオン95の外周に形成されたヘリカルギヤが噛合さ
れている。このように、サンギヤ91は、入力軸93と
ピニオン95との間に介装されて両者の間に動力の伝達
を行う。そして、本発明に係る歯車の成形装置Mによっ
て形成されたサンギヤ91は、前述のように、外歯、内
歯ともに精度よく形成することができるので、ギヤの噛
み合い音を低減し、また、動力伝達ロスを低減すること
ができる。
【0065】〈実施の形態2〉上述の実施の形態1にお
いては、素材Wの上端面の加圧面のうちの、外パンチ5
0によって加圧される外側加圧面S1 と、内パンチ60
によって加圧される内側加圧面S2 との面積比をほぼ1
対1に設定した場合について説明した。
【0066】この1対1という値は、外歯と内歯とを有
する、一般的な歯車を形成するに際しては、好適な割合
である。
【0067】図15に実験例を示す。この図は、内歯及
び外歯に対する素材の充填率を示す。これらの図中、
「■」は内パンチ60の背圧制御における制御圧が14
0kg/mm2 (≒1.37×109 Pa)の場合を、ま
た、「◆」は、同じく120kg/mm2 (≒1.18×1
9 Pa)の場合を示している。横軸は分流比、つま
り、外側加圧面の面積(S1 ):内側加圧面の面積(S
2 )を示している。これらの図から、可及的小さい制御
圧(背圧)で、充填率を高めようとした場合、分流比を
5:5(=1対1)に設定するのが好適であることが分
かる。
【0068】ところで、低い制御圧で、充填率を高める
ことのできる分流比は、素材の固さや流れやすさ、ま
た、歯車の大きさ、外歯や内歯の形状や大きさ等の条件
によって微妙に影響を受けるものである。したがって、
本発明を適用するに際しては、この分流比については、
そのとき製造する歯車に応じて、例えば、実験によって
適宜に設定すればよい。ただし、一般的な分流比として
は、6:4〜4:6の範囲内が設定するのが好ましい。
その理由は、外パンチ50によって加圧される外側加圧
面S1 の面積が大き過ぎる場合には、素材Wが内周部W
2 側に良好に流れなくなり、逆に、小さ過ぎる場合に
は、素材Wに対する据え込みが不足して、この場合に
は、外歯形成部11及び内歯形成部21に対する素材W
の充填が十分に行われないからと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図2】加工対象となる素材、半製品、最終的な製品を
示す縦断面図。
【図3】(a)、(b)、(c)はこの順に、プレート
の上面図、縦断面図、(a)のX−X線矢視拡大図。
【図4】(a)は素材をセットした状態における成形装
置の縦断図の右半部を示す図。(b)は(a)の成形空
間近傍の拡大図。
【図5】ラムの加工途中における成形装置の縦断図の右
半部を示す図。
【図6】(a)は外パンチ及び内パンチが素材に接触し
た状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図7】(a)は据え込み加工中における成形装置の縦
断図の右半部を示す図。(b)は(a)の成形空間近傍
の拡大図。
【図8】(a)は素材が分流されている状態における成
形装置の縦断図の右半部を示す図。(b)は(a)の成
形空間近傍の拡大図。
【図9】素材の内歯からマンドレルの内歯形成部を分離
した状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図10】ラムの上昇中における成形装置の縦断図の右
半部を示す図。
【図11】ラムの上昇完了時における成形装置の縦断図
の右半部を示す図。
【図12】ノックアウト完了時における成形装置の縦断
図の右半部を示す図。
【図13】素材の加工工程を、本発明と従来とで比較す
る図。
【図14】本発明に係る成形装置によって成形された製
品の使用例を説明する図。
【図15】内歯と外歯における、分流比と充填率との関
係を示す図。
【符号の説明】
10 ダイス 10a ダイスの内周面 11 外歯形成部 11a 歯部 20 マンドレル 21 内歯形成部 21a 歯部 30 支持部材 40 上パンチ 50 外パンチ 60 内パンチ 71 支持ベース 72 プレート 72a 接触面 72b 油溝 A1 、A2 逃がし部 C1 成形装置の軸 C2 素材の軸 M 歯車の成形装置 S 成形空間 S1 外側加圧面 S2 内側加圧面 W 素材 W1 素材の外周部 W2 素材の内周部 W3 素材の下端面 W4 素材の上端面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 将木 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 新井 慎二 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 小倉 真義 福岡県北九州市小倉北区許斐1番地 住友 金属工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 片本 英二 福岡県北九州市小倉北区許斐1番地 住友 金属工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 石原 義弘 京都府綴喜郡宇治田原町禅定寺塩谷14 株 式会社ニチダイ内 Fターム(参考) 4E087 AA08 AA10 CA14 CA33 DB04 EC02 EC13 EC41 HA04 HA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外歯形成部を有するダイスと、
    外周面に内歯形成部を有するマンドレルと、前記外歯形
    成部と前記内歯形成部との間に形成される環状の成形空
    間にセットされた円筒状の素材の下端面を下方から支持
    する支持部材と、前記素材の上端面を下方に加圧して前
    記素材を軸方向に圧縮し前記素材の外周部を前記ダイス
    の前記外歯形成部に押し付けるとともに前記素材の内周
    部を前記マンドレルの前記内歯形成部に押し付ける上パ
    ンチと、を備えた歯車の成形装置において、 前記上パンチは、前記素材の上端面における環状の加圧
    面のうちの外周側の外側加圧面と内周側の内側加圧面と
    を面積比が6:4ないし4:6になるように加圧する分
    割された外パンチと内パンチとを有し、 前記外パンチと前記内パンチとを下降させて前記外側加
    圧面と前記内側加圧面とを加圧しつつ、前記内パンチを
    所定圧に背圧制御して、前記外パンチに対する前記内パ
    ンチの相対的な上昇を許容してなる、 歯車の成形装置。
  2. 【請求項2】 前記ダイスの前記外歯形成部が、前記素
    材の外周部にヘリカルギヤを形成する歯部であり、前記
    マンドレルの前記内歯形成部が、前記素材の内周部に内
    スプラインを形成する歯部である、 請求項1に記載の歯車の成形装置。
  3. 【請求項3】 前記マンドレルの前記内歯形成部の歯部
    と、前記内パンチの内周側及び前記支持部材の内周側と
    の間に逃がし部を設ける、 請求項1又は2に記載の歯車の成形装置。
  4. 【請求項4】 前記ダイスをその軸を中心に回転可能に
    支持する支持ベースを備え、前記ダイスと前記支持ベー
    スとの間に、前記ダイスに接触する接触面に油溝を有す
    るプレートを介装してなる、 請求項1ないし3のいずれかに記載の歯車の成形装置。
  5. 【請求項5】 円筒状の素材に外歯と内歯とを形成する
    歯車の成形方法において、 前記素材の外周部をダイス内周面の外歯形成部に対面さ
    せ、かつ前記素材の内周部をマンドレル外周面の内歯形
    成部に対面させた姿勢で前記素材を支持部材上に載置す
    る素材セット工程と、 前記素材セット工程でセットされた素材の上端面を上パ
    ンチで下方に加圧して前記素材を軸方向に圧縮し前記素
    材の外周部を前記ダイスの前記外歯形成部に押し付ける
    とともに前記素材の内周部を前記マンドレルの前記内歯
    形成部に押し付ける据え込み工程と、を備え、 前記据え込み工程は、前記素材の上端面における環状の
    加圧面のうちの外周側の外側加圧面と内周側の内側加圧
    面とを面積比が6:4ないし4:6になるように分割さ
    れた外パンチと内パンチとによって加圧しつつ、前記内
    パンチを所定圧に背圧制御して、前記外パンチに対する
    前記内パンチの相対的な上昇を許容する工程であり、前
    記外歯形成部と前記内歯形成部との双方に充分に素材を
    充填させる工程である、 歯車の成形方法。
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JP2006315081A (ja) * 2005-04-12 2006-11-24 Cleartec:Kk ギヤ類の鍛造装置
JP2009178738A (ja) * 2008-01-30 2009-08-13 Aisin Aw Co Ltd 歯車鍛造装置及び歯車鍛造方法

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