JP3908884B2 - 歯車の成形装置、及び歯車の成形方法 - Google Patents

歯車の成形装置、及び歯車の成形方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外歯と内歯とを有する歯車を冷間鍛造によって形成するための、歯車の成形装置、及び歯車の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外歯と内歯とを有する円筒状の歯車として、例えば、サンギヤが知られている。このサンギヤは、自動車等の自動変速機に組み込まれるプラネタリギヤユニットの構成要素の一つとして使用されるものであり、外周面には外歯として例えばヘリカルギヤが形成され、また、内周面には内歯として例えば内スプラインが形成されている。そして、内歯を、入力軸(又は出力軸)の外周面に形成された外スプラインに噛合させる一方、外歯にはキャリヤによって支持された複数のピニオンが噛合させている。
【0003】
サンギヤは、上述のように、入力軸(又は出力軸)とピニオンとに噛み合って、両者間に動力の伝達を行うものであり、外歯及び内歯の加工精度が低い場合には、歯車の噛み合い音が大きくなって騒音が発生したり、動力の伝達ロスが大きくなったりするといった不具合が発生するため、高い加工精度が要求される。
【0004】
このようなサンギヤの外歯と内歯は、一般に、切削加工や塑性加工(例えば、冷間鍛造)によって形成される。
【0005】
切削加工においては、例えば、外歯のヘリカルギヤはホブ盤によって、また、内歯の内スプラインはブローチ盤によって加工される。
【0006】
塑性加工においては、据え込み加工が行われる。円筒状の素材を、その外周部がダイスの外歯形成部を対面するように、また、内周部がマンドレルの内歯形成部に対面するようにして支持部材上に載置し、この状態で、素材の上端面を上パンチで加圧して素材を軸方向に圧縮し、素材の外周部を外歯形成部に押し付けて外歯を形成し、素材の内周部を内歯形成部に押し付けて内歯を形成するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の切削加工においては、高い加工精度を得ることができるものの、加工工数が多くなるという問題がある。ホブ盤やブローチ盤による切削加工は、それ自体が多くの工数を費やす加工であり、さらに、両加工を並行して行うことができないため、加工工数の低減が難しい。
【0008】
他方、塑性加工においては、特に内歯の加工精度が低いという問題がある。据え込み時に素材の上端面のほぼ全面を上パンチで加圧して素材を軸方向に圧縮した際、円筒状の素材は、外周部側に流れやすく、内周部側には流れにくいため、内歯を形成するためのマンドレルの内歯形成部に素材が十分に充填されず、内歯の加工精度が低下しがちであるという問題である。
【0009】
塑性加工におけるこのような問題を防止するための方法として、第1に、素材を密閉状態で据え込むことが考えられる。しかし、この場合、成形荷重が過大となって、特に軸方向の端面近傍の歯部においては、欠肉が発生しやすく、製品としての機能を十分に満足し得ない。また、無理に荷重をかけると、金型(ダイスやパンチ)破損の原因になる。
【0010】
第2に、外歯と内歯とを別の工程で成形することが考えられる。しかし、この場合には、工程間の素材の搬送が煩雑となり、また、外歯と内歯との同軸度の確保が難しくなる。そして、加工工数も多くなる。
【0011】
なお、外歯を精度よく成形する方法として、「捨て軸の原理」を応用した事例が、「鍛造分科会・第64回研究集会 精密技術を支える技術」という文献中に「分流法による自動車用ヘリカルギヤの試作」というタイトルで紹介されている。しかし、この「捨て軸の原理」を応用した方法は、外歯を成形するには有効であるが、内歯の成形については課題が残る。これは、主に、据え込み時に素材が外周部側に逃げる傾向にあることに起因する。
【0012】
そこで、本発明は、素材の上端面を所定の面積比で外パンチと内パンチとによって分割して加圧することにより、加工工数が多い、加工精度が低い等の上述の課題を解消した歯車の成形装置、及び歯車の成形方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、例えば、図4に示すように、内周面(10a)に外歯形成部(11)を有するダイス(10)と、外周面に内歯形成部(21)を有するマンドレル(20)と、前記外歯形成部(11)と前記内歯形成部(21)との間に形成される環状の成形空間(S)にセットされた円筒状の素材(W)の下端面(W)を下方から支持する支持部材(30)と、前記素材(W)の上端面(W)を下方に加圧して前記素材(W)を軸(C)方向に圧縮し前記素材(W)の外周部(W)を前記ダイス(10)の前記外歯形成部(11)に押し付けるとともに前記素材(W)の内周部(W)を前記マンドレル(20)の前記内歯形成部(21)に押し付ける上パンチ(40)と、を備えた歯車の成形装置(M)において、
前記上パンチ(40)は、前記素材(W)の上端面(W)における環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面(S)と内周側の内側加圧面(S )とを面積比が6:4ないし4:6になるように加圧する分割された外パンチ(50)と内パンチ(60)とを有し、
前記外パンチ(50)と前記内パンチ(60)とを下降させて前記外側加圧面(S)と前記内側加圧面(S)とを加圧しつつ、前記内パンチ(60)を所定圧に背圧制御して、前記外パンチ(50)に対する前記内パンチ(60)の相対的な上昇を許容してなり、
前記支持部材(30)は、外周面に前記ダイス(10)の前記外歯形成部(11)に係合し得る外歯(31)を有し、
前記ダイス(10)は、前記外パンチ(50)に当接して、該外パンチの下降に伴って前記外歯形成部(11)を前記外歯(31)に係合しつつ前記支持部材(30)に対して移動するように構成された、
歯車の成形装置(M)にある。
【0014】
請求項2に係る本発明は、前記ダイス(10)の前記外歯形成部(11)が、前記素材(W)の外周部(W1 )にヘリカルギヤを形成する歯部(11a)であり、前記マンドレル(20)の前記内歯形成部(21)が、前記素材(W)の内周部(W2 )に内スプラインを形成する歯部(21a)である、
請求項1に記載の歯車の成形装置(M)にある。
【0015】
請求項3に係る本発明は、前記マンドレル(20)の前記内歯形成部(21)の歯部(21a)と、前記内パンチ(60)の内周側及び前記支持部材(30)の内周側との間に逃がし部(A1 、A2 )を設ける、
請求項1又は2に記載の歯車の成形装置(M)にある。
【0016】
請求項4に係る本発明は、前記ダイス(10)をその軸を中心に回転可能に支持する支持ベース(71)を備え、前記ダイス(10)と前記支持ベース(71)との間に、例えば、図3に示すように、前記ダイス(10)に接触する接触面(72a)に油溝(72b)を有するプレート(72)を介装してなる、
請求項1ないし3のいずれかに記載の歯車の成形装置(M)にある。
【0017】
請求項5に係る本発明は、円筒状の素材(W)に外歯と内歯とを形成する歯車の成形方法において、
前記素材(W)の外周部(W)をダイス内周面(10a)の外歯形成部(11)に対面させ、かつ前記素材(W)の内周部(W)をマンドレル外周面の内歯形成部(21)に対面させた姿勢で前記素材(W)を支持部材(30)上に載置する素材セット工程と、
前記素材セット工程でセットされた素材(W)の上端面(W)を上パンチ(40)で下方に加圧して前記素材(W)を軸(C)方向に圧縮し前記素材(W)の外周部(W)を前記ダイス(10)の前記外歯形成部(11)に押し付けるとともに前記素材(W)の内周部(W)を前記マンドレル(20)の前記内歯形成部(21)に押し付ける据え込み工程と、を備え、
前記据え込み工程は、前記素材(W)の上端面(W)における環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面(S)と内周側の内側加圧面(S)とを面積比が6:4ないし4:6になるように分割された外パンチ(50)と内パンチ(60)とによって加圧しつつ、前記内パンチ(60)を所定圧に背圧制御して、前記外パンチ(50)に対する前記内パンチ(60)の相対的な上昇を許容する工程であり、かつ前記ダイス(10)が、前記外歯形成部(11)を前記支持部材(30)の外周に形成した外歯(31)に係合しつつ、前記外パンチ(50)に当接して該外パンチの下降に伴って前記支持部材(30)に対して移動して、前記外歯形成部(11)と前記内歯形成部(21)との双方に充分に素材(W)を充填させる工程である、歯車の成形方法にある。
【0018】
[作用]
前述したように、分割されていない上パンチによって素材(W)の上端面(W4 )のほぼ全体を加圧した場合には、素材(W)は外周部(W1 )側に流れやすく、内周部(W2 )側には流れにくい。
【0019】
これに対し、請求項1の構成によると、素材(W)の上端面(W4 )の加圧面を加圧する上パンチ(40)が外パンチ(50)と内パンチ(60)とに分割されていて、外パンチ(60)が外側加圧面(S1 )を加圧するので、この加圧により、素材(W)は内周部(W2 )側に逃げようとして、内周部(W2 )側への流れが増加する。この外パンチ(50)による加圧と並行して、所定圧に背圧制御された内パンチ(60)が素材(W)の内側加圧面(S2 )を加圧するので、外パンチ(50)の加圧によって内周部(W2 )側へ流れた素材(W)は、内パンチ(60)によって適宜に加圧される。これにより、マンドレル(20)の内歯形成部(21)に素材が充填される。この際、内パンチ(60)は、外パンチ(50)に対して相対的な上昇が許容されるので、密閉状態で据え込みを行う場合と異なり、成形荷重が過大となることを防止することができる。すなわち、内パンチ(60)は、素材(W)の内周部(W2 )側への流れを円滑にすべくいわゆる「逃がし部」として作用するとともに、さらに、開放された一般的な逃がし部とは異なり、内周部(W2 )側に流れてきた素材(W)に適宜な加圧力を付加して外パンチ(50)とともに据え込みにも寄与することになる。
【0020】
なお、上記の[課題を解決するための手段]及び〔作用〕におけるカッコ内の符号は、図面と対照するためのものであって、理解の容易化・迅速化を図る便宜的なものである。したがって、その性質上、これらの符号は、特許請求の範囲の構成に何等の影響を与えるものではない。
【0021】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、外パンチによって内周部側に流れた素材に対し、背圧制御された内パンチによってその素材の流れを適宜に制御することができ、かつダイスは、外パンチに当接して、外パンチの下降に伴って支持部材の外歯に係合しつつ該支持部材に対して移動するので、ダイスの外歯形成部とマンドレルの内歯形成部との双方に、素材を必要かつ十分に充填させることができる。したがって、素材に対して外歯と内歯とを同時に、しかも精度よく形成することができる。すなわち、外歯と内歯との加工精度の低下を伴うことなく、加工工数を少なくすることが可能である。さらに、外側加圧面と内側加圧面との面積比を6:4ないし4:6に設定しているので、素材を内周部側に流れやすくする外パンチの作用と、内周側に流れてきた素材をマンドレルの内歯形成部に充填する内パンチの作用とを良好にバランスさせて、全体として小さい加圧力で、外歯と内歯とを同時に精度よく形成することができる。
【0022】
請求項2に係る本発明によると、素材の外周部に形成すべき外歯がヘリカルギヤである場合に、そのヘリカルギヤを精度よく形成することができ、さらに、素材の内周部に形成すべき内歯が内スプラインある場合に、その内スプラインを精度よく形成することができる。
【0023】
請求項3に係る本発明によると、マンドレルの内歯形成部の歯部と、内パンチの内周側及び支持部材の内周側との間に逃がし部を設けることにより、素材の内周部側への流れをさらに円滑にすることができるので、マンドレルの内歯形成部への素材の充填を一層確実に行うことができ、その分、内歯の精度を向上させることができる。
【0024】
請求項4に係る本発明によると、素材の外周部に形成すべき外歯がヘリカルギヤである場合、主に、外パンチの加圧によってダイスの外歯形成部に素材が充填されるときに、素材からダイスに対して軸を中心とした回転力が作用するが、ダイスとこれを支持する支持ベースとの間に、ダイスとの接触面に油溝を有するプレートが介装されているので、回転力が作用したダイスの摺動抵抗が低減され、ダイスの回転が円滑なものとなる。
【0025】
請求項5に係る本発明によると、据え込み工程を次のような工程、すなわち、、素材の上端面における加圧面のうちの外側加圧面を外パンチで加圧するとともに、所定圧で背圧制御された内パンチによって外パンチと独立に素材の内側加圧面を加圧する工程とすることにより、請求項1と同様、内パンチによって、内周部側への素材の流れを適宜に調整することができるので、素材に対して外歯と内歯とを同時に、しかも精度よく形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
〈実施の形態1〉
図1(a)、(b)に、本発明の係る歯車の成形装置の一例を示す。図1(a)は、歯車の成形装置(以下単に「成形装置」という。)Mの主要部の概略構成を示す縦断面図である。詳しくは、水平なベッドBに対して垂直な軸C1 を通る縦断面図のうちの、軸C1 を基準とした右半部を主に示すものである。同図は、素材をセットする前の状態を示しており、また、図1(b)は、素材をセットする前の図1(a)における成形空間S近傍の拡大図である。なお、図4(a)、(b)は、図1(a)、(b)の成形装置Mに円筒状の素材Wをセットした状態を示すものである。
【0028】
図2に、成形装置Mが加工対象とする素材Wの縦断面図、成形装置Mによる加工後の半製品H、さらに半製品Hに切削加工等を施した最終的な製品Pを示す。いずれも軸C2 を通る縦断面図である。成形装置Mによる加工前の素材Wは、円筒状に形成されており、同図の姿勢は、成形装置Mにセットされた状態(図4参照)と同じである。この姿勢において、W1 を外周部、W2 を内周部、W3 を下端面、W4 を上端面とする。最終的な製品Pは、半製品Hの上端面及び下端面(斜線で図示)を切削加工等したものであり、外周部には外歯P1 として例えばヘリカルギヤが、また、内周部には内歯P2 として内スプラインが形成されている。なお、これら外歯P1 、内歯P2 は、成形装置Mによる加工後、切削加工等は行われない。つまり、外歯P1 、内歯P2 については、成形装置Mによる加工精度が、ほぼそのまま製品Pにおける精度となる。
【0029】
図1(a)、(b)に戻って、成形装置Mについて詳述する。なお、以下の説明においては、「素材W」という言葉を、「円筒状の物体」という意味と「それを構成している物質」という意味とに使用するものとする。
【0030】
同図に示す成形装置Mは、主要構成部材として、ダイス10と、マンドレル20と、支持部材30と、上パンチ40とを備えており、さらに、上パンチ40は、外パンチ50と、内パンチ60とに分割されている。
【0031】
以上の、ダイス10から内パンチ60までは、本発明における最も基本的な構成(請求項1に対応)に必要な部材である。
【0032】
以下、ダイス10から順に説明する。
【0033】
ダイス10は、径方向(同図の左右方向)の寸法の異なる3つのブロックa1 、a2 、a3 を内側から順に組合せて全体としてほぼ環状に構成されている。ダイス10の内周面10aには、外歯形成部11が形成されている。この外歯形成部11は、本実施の形態においては、素材Wの外周部W1 にヘリカルギヤを形成するための歯部11aである。外歯形成部11の上下方向の寸法は、素材Wの軸方向長さL(図2参照)よりも長く設定されている。外歯形成部11の上端近傍には、水平面12と、この水平面12の外周側に連続し、上方に向かって拡径された傾斜面13が設けられている。これら水平面12、傾斜面13の形状は、後述の外パンチ50の下端面の形状に対応している。
【0034】
上述構成のダイス10は、回転可能に、かつ昇降可能に支持されている。ダイス10は、円板状の支持ベース71によって下方から支持されている。支持ベース71は、内周側が外周側よりも薄く形成されていて、内周側の上面71aには、環状のプレート72が固定されている。この環状のプレート72には、図3(a)、(b)、(c)に示すように、上面72aに、複数の螺旋状の油溝72bが設けられている。各油溝72bは、その断面形状が、図3(c)(図3(a)のXーX線斜視拡大図)に示すように円弧状に形成されており、図3(a)に示すように、内周側と外周側とを連通するように形成されている。上述のダイス10は、その下面10bにおける内周側が、油溝72bのあるプレート72の上面72aが接触し、また、その下面10bにおける外周側が、支持ベース71の外周側の上面71bに接触している。さらに、支持ベース71は、受圧台73に取り付けられた複数のガスシリンダ74(ただし、図1(a)では1個のみを図示)によって昇降自在に支持されている。受圧台73は、上下方向に配置した3個のブロックb1 、b2 、b3 と、ブロックb3 の内側に配置された環状のブロックb4 とによって全体として環状に構成されている。受圧台73には、周方向に等分する位置のそれぞれに上下方向に向けて複数の取付け孔73aが穿設されており、上述のガスシリンダ74は、各取付け孔73aに、上下方向に向けて配設されている。そして、ガスシリンダ74の本体74aに対して伸縮自在なプランジャ74bの先端に上述の支持ベース71が固定されている。
【0035】
ダイス10は、このように、支持ベース71及びプレート72に対して回転可能であり、かつ、この支持ベース71がガスシリンダ74によって昇降可能に支持されているので、全体として、回転動作及び昇降動作が可能である。
【0036】
ダイス10の回転動作及び昇降動作は、ダイス10の外側に配置されたガイド部材75によってガイドされる。ガイド部材75は、上述の受圧台73の上面73bに固定されており、内周面には、ダイス10の回転動作及び昇降動作を、また、支持ベース71の昇降動作をガイドするガイド面75aが形成されている。ガイド部材75の上部には、ダイス10の上昇限度を規制する取付け部材76が固定されている。
【0037】
マンドレル20は、棒状に形成されていて、内歯形成部21を有するとともに、昇降可能に支持されている。マンドレル20は、その軸C3 を成形装置Mの軸C1 に一致させるようにして上下方向に向けて配設されており、上部から順に、小径部20a、中径部20b、大径部20cを有している。上述の内歯形成部21は、素材Wの内周部W2 に内スプラインを形成すべく小径部20aの外周面に形成されている。内歯形成部21の上下方向の長さは、素材Wの軸方向長さL(図2参照)よりも長く形成されている。図1(b)に示すように、内歯形成部21の歯部21aの歯先面21bの直径は、中径部20bの外形とほぼ同じに設定されている。内歯形成部21は、前述のダイス10の外歯形成部11に対面しており、両者の間には環状の成形空間Sが形成されている。マンドレル20は、ベッドシリンダ77の上端に乗っている。ベッドシリンダ77は、ロッドd1 とプレートd2 とシリンダd3 と、カバーd4 とを一体に構成したものである。
【0038】
マンドレル20及びベッドシリンダ77は一体となって上昇動作するものであり、その昇降動作は、後述の支持部材30の内周面30a、前述の受圧台73の内側に上下方向に設けられているガイド孔73c、73dによってガイドされる。下降は、インナシリンダ83の動作により押圧ピン82によって上から押されることで行われる。
【0039】
支持部材30は、ほぼ円筒状に形成されており、素材Wを下方から支持して前述の成形空間Sに配置している。支持部材30の内周面30aは、全体にわたって円柱状に形成され、また外周面のほぼ上半部には、ヘリカルギヤ31が形成されている。支持部材30は、その内周面30aの下部側を上述のマンドレル20の中径部20bの外周面に接触させるととともに、その上部を、ダイス10の外歯形成部11とマンドレル20の内歯形成部21との間の成形空間Sに侵入させている。侵入させた上部の内周面は、図1(b)に示すように、マンドレル20の内歯形成部21の歯部21aの歯先面21bに接触し、また、外周面のヘリカルギヤ31は、ダイス10の外歯形成部11の歯部11aの下部に噛合されている。このため、図4(b)に示すように、支持部材30の上端部と、外歯形成部11の歯部11aとの間には、素材Wの逃がし部は形成されないが、支持部材30の上端部と、内歯形成部21の歯部21aとの間、すなわち、素材Wの下端面W3 と内周部W2 との交線を下端縁W5 とすると、この下端縁W5 と、内歯形成部21の歯部21aとの間には、逃がし部A1 が構成される。同様に、素材Wの上端面W4 と内周部W2 との交線を上端縁W6 とすると、内歯形成部21の歯部21aとの間には、逃がし部A2 が構成される。なお、図4(b)を見る限りは、素材Wの上端縁W6 とダイス10の外歯形成部11の歯部11aとの間にも逃がし部が構成されているように見えるが、実際には、この部分は、後述の外パンチ50によって閉塞されるので、逃がし部は構成されないことになる。
【0040】
図1(a)に戻る。上述の支持部材30の環状の下面30bには、これを周方向に等分する位置に複数のピン78(ただし、図1(a)では1本のみを図示)が下方に垂下するように固定されている。各ピン78は、上端部が前述の受圧台73の上下方向の透孔73eを貫通し、中間部が上述のベッドシリンダ77のプレートd4 の上下方向の透孔77aを貫通し、下端面78aを突き上げ部材79の突き上げ板e1 の上面79aに当接させている。突き上げ部材79は、上述の突き上げ板e1 と突き上げ板e1 の下面中央部に固定された突き上げ棒e2 とによって構成されている。突き上げ棒e2 は、上述のベッドシリンダ77のプレートd2 の上下方向の透孔77bを貫通している。
【0041】
支持部材30は、図1(a)に示す素材Wのセット前の状態において、その上部を成形空間Sに侵入させて素材Wを下方から支持するように構成されている。また、ピン78は、その下面78aを突き上げ部材79の上面79aに当接させている。支持部材30とピン78とは、一体となって上昇可能であり、その昇降動作は、マンドレル20の中径部20b、受圧台73の透孔73e、ベッドシリンダ77の透孔77a等によってガイドされる。また、突き上げ部材79も昇降可能であり、その昇降動作は、ベッドシリンダ77のシリンダd3 の内周面77c、プレートd2 の透孔77bによってガイドされる。
【0042】
上パンチ40は、前述のように、外側に配置された外パンチ50と、内側に配置された内パンチ60とに分割されている。
【0043】
外パンチ50は、ほぼ円筒状に形成されている。外パンチ50は、下面における内側に環状の水平な押圧面51を有し、押圧面51の外側に、上部ほど直径が大きくなる傾斜面52を有している。これら加圧面51、傾斜面52は、それぞれ前述のダイス10の水平面12、傾斜面13に対応している。外パンチ50は、ブロックf1 、f2 、f3 により構成されたホルダ80によって、ラムRに固定されている。したがって、外パンチ50は、ラムRの昇降動作に伴って、一体的に昇降する。
【0044】
内パンチ60は、上述の外パンチ50よりも軸方向の長さが長く形成された円筒状の部材である。内パンチ60は、下端に環状の水平な押圧面61を有している。加工前においては、この押圧面61は、外パンチ50の押圧面51と同じ高さに設定されている。内パンチ60は、外周面のうちの下半部が上述の外パンチ50の内周面50aによって、また、外周面のうちの上半部がブロックf2 によって昇降自在に支持されている。内パンチ60は、上端に当接されたアウタシリンダ81によって素材Wに対する加圧力が所定圧となるように背圧制御される。すなわち、内パンチ60は、ラムRの昇降動作に伴って、外パンチ50とともに昇降し、かつ外パンチ50に対して相対移動できるように構成されている。内パンチ60の内側には、押圧ピン82が配設されており、この押圧ピン82は、上端に当接されたインナシリンダ83によって押し下げられる。押圧ピン82の昇降動作は、内パンチ60の内周面によってガイドされる。
【0045】
図4〜図12を参照して、上述構成の成形装置Mの動作を説明する。これらの図は、いずれも素材Wの各加工工程における成形装置Mの軸C1 を通る縦断面のうちの右半部を示している。
【0046】
図4〜図12を大別すると、図4がいわゆる素材セット工程、図5〜図8が素材据え込み工程、図9〜図12が素材分離工程となる。詳しくは、図4は成形装置Mに素材Wがセットされた状態、図5はラムRの下降途中、図6は外パンチ50及び内パンチ60が素材Wに接触した状態、図7は据え込み動作中、図8は分流動作中、図9はマンドレル20の内歯形成部21から素材Wを分離した状態、図10はラムRの上昇途中、図11はラムRの上昇完了、図12はノックアウト完了をそれぞれ示す図である。
【0047】
本発明の特徴は、図6(b)に示すように、上パンチ40を外パンチ50と内パンチ60とに分割して、素材Wの上端面W4 の加圧面を、外パンチ50の押圧面51によって加圧される面(以下「外側加圧面S1 」という。)と、内パンチ60の押圧面61によって加圧される面(以下「内側加圧面S2 」という。)とに分け、S1 とS2 との面積比を6:4ないし4:6、望ましくはほぼ1:1とした点にある。そして、外パンチ50と内パンチ60とによる素材Wの据え込み加工に、内パンチ60を所定圧に背圧制御して、素材Wが内周部W2 側に流れやすくするものである。なお、本実施の形態においては、外側加圧面S1 と内側加圧面S2 との面積比がほぼ1対1となるように、外パンチ50、内パンチ60等を構成している。
【0048】
以下、図4〜図12を参照して、成形装置Mの動作を詳述する。
【0049】
図4は、素材セット工程(素材Wが成形空間Sにセットされた状態)を示している。この状態において、ダイス10は、ガスシリンダ74のプランジャ74bが伸長されて支持ベース71が最上位に位置するのに伴って、同様に最上位に位置している。また、マンドレル20と支持部材30も、ベッドシリンダ77により、最上位に配置される。一方、外パンチ50、内パンチ60、押圧ピン82は、ラムRが最上位に位置するのに伴って、最上位に位置している。このとき、上方に配置されている外パンチ50及び内パンチ60と、下方に配置されているダイス10及びマンドレル20との間には、上下方向の長さが素材Wの軸方向長さL(図2参照)よりも長い空間が形成されて、成形空間Sに対する素材Wのセットを容易にしている。成形空間Sにセットされた素材Wは、図4(b)に示すように、その下端面W3 を支持部材30の上面30cに当接させ、その外周部W1 をダイス10の外歯形成部11に対面させ、かつその内周部W2 をマンドレル20の内歯形成部21に対面させている。この状態において、内歯形成部21の歯部21aと、素材Wの下端縁W5 及び上端縁W6 との間には、それぞれ逃がし部A1 及び逃がし部A2 が形成されている。
【0050】
図5は、ラムRの下降途中を示している。ラムRの下降に伴って、外パンチ50、内パンチ60、ホルダ80、アウタシリンダ81、押圧ピン82、インナシリンダ83が、ラムRと一体的に下降する。なお、ダイス10、マンドレル20、支持部材30等は、図4に示す状態と同じである。ラムRの下降によって、外パンチ50がダイス10に接触する前に、また押圧ピン82がマンドレル20に接触する前に、ガスシリンダ74及びベッドシリンダ77に所定の荷重が付加される。
【0051】
図6は、ラムRの下降によって、外パンチ50及び内パンチ60が素材Wに接触した状態を示している。同図に示す状態となる前に、まず、ラムRの下降に伴って、外パンチ50の押圧面51と傾斜面52とが、それぞれダイス10の水平面12と傾斜面13とに当接し、さらに、ガスシリンダ74に抗してダイス10を押し下げる。同じく、同図に示す状態となる前に、ラムRの下降に伴って、マンドレル20の上端面20dに押圧ピン82の下端面82aが当接し、押圧ピン82は、この当接により、マンドレル20がベッドシリンダ77によって所定の荷重が付加されているのに基づき、外パンチ50及び内パンチ60に対して相対的に押し上げられる。そして、さらに、ラムRが下降されるのに伴って、図6(b)に示すように、外パンチ50の押圧面51が素材Wの外側加圧面S1 に当接し、また、内パンチ60の押圧面61が素材Wの内側加圧面S2 に当接する。同図に示す状態は、据え込み加工の開始直前の状態である。
【0052】
図7は、据え込み途中の状態を示す。素材Wに外パンチ50及び内パンチ60が接触した後、さらにラムRを下降させて外パンチ50と内パンチ60とによって、図7(b)に示すように、素材Wを軸方向に圧縮し、素材Wの外周部W1 をダイス10の外歯形成部11に押し付け、また、素材Wの内周部W2 をマンドレル20の内歯形成部21に押し付ける。このとき、ダイス10は外パンチ50によって押し下げられつつ、素材Wの外周部W1 が外歯形成部11に押し付けられるのに伴って、素材Wから軸C1 を中心とした回転力が作用する。このダイス10の回転は、ダイス10と支持ベース71との間に介装されたプレート72の上面72aの油溝72b(図3参照)に潤滑油を注油しておくことにより摺動抵抗が低減されるため、円滑なものとなる。言い換えると、外歯形成部11に充填される素材Wの流れを円滑なものとすることができる。マンドレル20は、据え込み加工中において不動であり、したがって、押圧ピン82は、内パンチ60等に対してさらに押し上げられることになる。この据え込み加工が開始される前に、内パンチ60に対して所定圧の背圧制御が開始される。ただし、図7(b)に示すように、また、外歯形成部11及び内歯形成部21に対して、素材Wの充填が進行中であるため、内パンチ60は、背圧制御中であるにもかかわらず、その押圧面61が、外パンチ50の押圧面51と同じ高さにあるが、特に同じ高さにする必要はない。
【0053】
図8は、据え込み加工がさらに進行して、素材Wの外側加圧面S1 を加圧する外パンチ50によって外歯形成部11にほぼ素材が充填されると、素材Wの成形圧が上昇し、素材Wは、内周部W2 側に流れようとする。このとき、背圧制御されている内パンチ60が、外パンチ50に対して相対的に上昇して逃げることにより、内周部W2 側への素材の流れが円滑になる。ただし、内パンチ60は、逃げるといっても、所定圧に背圧制御されているので、単なる逃がし部(開放されている逃がし部)とは異なり、内周部W2 に流れてきた素材Wを適宜に加圧するので、マンドレル20の内歯形成部21に素材Wを確実に充填させることができる。さらに、前述したように、内歯形成部21には、開放されている逃がし部A1 2 が形成されているので、素材Wはさらに内周部W2 側に流れやすくなり、このことにより、内歯形成部21に対する素材Wの充填が一層良好に行われる。
【0054】
このように、上パンチ40を外パンチ50と内パンチ60とに分割し、外パンチ50が素材Wの外側加圧面S1 を加圧することで、従来、外周部W1 側に流れがちであった素材Wを、内周部W2 側にも円滑に流れるようにすることができる。すなわち、素材Wの流れを外周部W1 側と内周部W2 側とに良好に分流することができる。そして、さらに素材Wの内側加圧面S2 を加圧する内パンチ60を、所定圧に背圧制御しているので、素材Wの内周部W2 側への流れを妨げることなく、しかも流れてきた素材Wを適宜に加圧することができるので、マンドレル20の内歯形成部21に対して、素材Wを必要かつ十分に充填することが可能となる。
【0055】
図9は、マンドレル20の内歯形成部21から素材Wを分離した状態を示す。上述の据え込み加工が終了した後、ベッドシリンダ77の加圧をゼロとする。その後、インナシリンダ83を作用させて、押圧ピン82を下降させて、その下端面82aにより、ベッドシリンダ77と一体のマンドレル20の上端面20dを内歯形成部21が、素材Wから完全に抜けるまで押し下げる。このとき、マンドレル20とともにベッドシリンダ77が押し下げられるのに伴って、突き上げ部材79が下降し、その突き上げ板e1 の上面79aが下がってピン78の下端面78aから離れる。なお、同図に示す内歯の分離工程においては、上述の、押圧ピン82、インナシリンダ83、マンドレル20及びベッドシリンダ77、押圧部材79以外の他の部材は、図8の状態と同じ状態である。
【0056】
図10は、ラムRの上昇途中を示す。ラムRの上昇により、ホルダ80、外パンチ50、内パンチ60、押圧ピン82等が上昇する。これにより、ダイス10が上昇して、図4に示す加工前の状態に復帰する。なお、この際、素材Wの上下方向の位置は不変であり、素材Wに形成された外歯とダイス10の外歯形成部11とが噛み合った状態で、ダイス10が上昇するため、素材Wに対して回転力が作用するが、このとき素材Wは、内歯が既にマンドレル20の内歯形成部21から外れているので、自由に回転することができる。
【0057】
図11は、ラムRの上昇が完了した状態を示す。この状態は、図10の状態からラムRの上昇によって、ホルダ80、外パンチ50、内パンチ60、押圧ピン82等が一体となって上昇したものである。
【0058】
図12は、ノックアウトが完了した状態を示す。突き上げ部材79を上昇させることで、その突き上げ板e1 によってピン78を突き上げ、ピン78と一体の支持部材30を上方に移動させる。これにより、素材Wが押し上げられ、素材Wの外歯がダイス10の外歯形成部11から外れる。このとき、突き上げ部材79の上昇途中で、突き上げ部材79がベッドシリンダ77に係合して、ベッドシリンダ77とともにマンドレル20を押し上げて、図4に示す加工前の位置に復帰させる。これにより、内歯形成部21及び外歯形成部11から外された素材Wは、その下半部に、マンドレル20の上端部が挿入された状態となり、適宜な位置に位置決めされた状態で、ノックアウトが完了する。その後、加工後の素材W、すなわち、半製品Hを成形装置Mから取り出す。
【0059】
図2で前述したように、素材Wは、上述の据え込み加工(プレス加工)によって、半製品Hとなり、さらに、斜線部分の切削加工等がなされて、最終的な製品Pとなる。
【0060】
図13に、素材から製品になるまでの加工工程を、本発明を適用した場合と、従来とで比較した図を示す。
【0061】
本発明においては、素材Wを、まず、上述のように、プレス(PR)によって据え込み加工する。その後、旋盤(LA)によって、図2に示す上端面P4 と下端面P3 とを切削加工し、さらに、面取り盤(CH)で面取りを行った後、必要に応じてシェービング(SV)によって歯形修整を行う。その後、熱処理(HT)を行い、研削(GR)、クリーニング(CL)を行って製品Pとして完成し、完成後、測定を行う。
【0062】
これに対して、従来は、まず、素材Wの外周部W1 、内周部W2、下端面W3 、上端面W4 を旋盤(LA)で切削加工する。その後、内歯をブローチ盤(BR)によって切削加工し、さらに、外歯をホブ盤(HB)によって切削加工する。以下、面取り盤(CH)から後の工程は、本発明と同じである。
【0063】
すなわち、同図から、本発明においては、従来のブローチ盤(BR)及びホブ盤(HB)による切削加工に代えて、プレス(PR)による据え込み加工を行っていることが分かる。このような工程の変更は、ブローチ盤(BR)及びホブ盤(HB)による歯切り加工が多数の工数が必要となるのに比較して、プレス(PR)による据え込み加工が極めて短時間で行い得ることを考慮すると、大幅な工数低減が可能であることを意味する。
【0064】
図14に、上述のようにして構成された製品Pの使用例を示す。同図は、自動車等の自動変速機の一部を示す、入力軸に沿った縦断面を示すものである。外歯としてヘリカルギヤを有し、また内歯として内スプラインを有する製品Pは、プラネタリギヤユニット90の構成要素であるサンギヤ91として使用されている。サンギヤ91は、その内歯を、動力が伝達される入力軸93の外周に形成された外スプラインに噛合させ、また、外歯には、キャリヤ94によって支持された複数のピニオン95の外周に形成されたヘリカルギヤが噛合されている。このように、サンギヤ91は、入力軸93とピニオン95との間に介装されて両者の間に動力の伝達を行う。そして、本発明に係る歯車の成形装置Mによって形成されたサンギヤ91は、前述のように、外歯、内歯ともに精度よく形成することができるので、ギヤの噛み合い音を低減し、また、動力伝達ロスを低減することができる。
【0065】
〈実施の形態2〉
上述の実施の形態1においては、素材Wの上端面の加圧面のうちの、外パンチ50によって加圧される外側加圧面S1 と、内パンチ60によって加圧される内側加圧面S2 との面積比をほぼ1対1に設定した場合について説明した。
【0066】
この1対1という値は、外歯と内歯とを有する、一般的な歯車を形成するに際しては、好適な割合である。
【0067】
図15に実験例を示す。この図は、内歯及び外歯に対する素材の充填率を示す。これらの図中、「■」は内パンチ60の背圧制御における制御圧が140kg/mm2 (≒1.37×109 Pa)の場合を、また、「◆」は、同じく120kg/mm2 (≒1.18×109 Pa)の場合を示している。横軸は分流比、つまり、外側加圧面の面積(S1 ):内側加圧面の面積(S2 )を示している。これらの図から、可及的小さい制御圧(背圧)で、充填率を高めようとした場合、分流比を5:5(=1対1)に設定するのが好適であることが分かる。
【0068】
ところで、低い制御圧で、充填率を高めることのできる分流比は、素材の固さや流れやすさ、また、歯車の大きさ、外歯や内歯の形状や大きさ等の条件によって微妙に影響を受けるものである。したがって、本発明を適用するに際しては、この分流比については、そのとき製造する歯車に応じて、例えば、実験によって適宜に設定すればよい。ただし、一般的な分流比としては、6:4〜4:6の範囲内が設定するのが好ましい。その理由は、外パンチ50によって加圧される外側加圧面S1 の面積が大き過ぎる場合には、素材Wが内周部W2 側に良好に流れなくなり、逆に、小さ過ぎる場合には、素材Wに対する据え込みが不足して、この場合には、外歯形成部11及び内歯形成部21に対する素材Wの充填が十分に行われないからと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図2】加工対象となる素材、半製品、最終的な製品を示す縦断面図。
【図3】(a)、(b)、(c)はこの順に、プレートの上面図、縦断面図、(a)のX−X線矢視拡大図。
【図4】(a)は素材をセットした状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図5】ラムの加工途中における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図6】(a)は外パンチ及び内パンチが素材に接触した状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図7】(a)は据え込み加工中における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図8】(a)は素材が分流されている状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
(b)は(a)の成形空間近傍の拡大図。
【図9】素材の内歯からマンドレルの内歯形成部を分離した状態における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図10】ラムの上昇中における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図11】ラムの上昇完了時における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図12】ノックアウト完了時における成形装置の縦断図の右半部を示す図。
【図13】素材の加工工程を、本発明と従来とで比較する図。
【図14】本発明に係る成形装置によって成形された製品の使用例を説明する図。
【図15】内歯と外歯における、分流比と充填率との関係を示す図。
【符号の説明】
10 ダイス
10a ダイスの内周面
11 外歯形成部
11a 歯部
20 マンドレル
21 内歯形成部
21a 歯部
30 支持部材
40 上パンチ
50 外パンチ
60 内パンチ
71 支持ベース
72 プレート
72a 接触面
72b 油溝
1 、A2 逃がし部
1 成形装置の軸
2 素材の軸
M 歯車の成形装置
S 成形空間
1 外側加圧面
2 内側加圧面
W 素材
1 素材の外周部
2 素材の内周部
3 素材の下端面
4 素材の上端面

Claims (5)

  1. 内周面に外歯形成部を有するダイスと、外周面に内歯形成部を有するマンドレルと、前記外歯形成部と前記内歯形成部との間に形成される環状の成形空間にセットされた円筒状の素材の下端面を下方から支持する支持部材と、前記素材の上端面を下方に加圧して前記素材を軸方向に圧縮し前記素材の外周部を前記ダイスの前記外歯形成部に押し付けるとともに前記素材の内周部を前記マンドレルの前記内歯形成部に押し付ける上パンチと、を備えた歯車の成形装置において、
    前記上パンチは、前記素材の上端面における環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面と内周側の内側加圧面とを面積比が6:4ないし4:6になるように加圧する分割された外パンチと内パンチとを有し、
    前記外パンチと前記内パンチとを下降させて前記外側加圧面と前記内側加圧面とを加圧しつつ、前記内パンチを所定圧に背圧制御して、前記外パンチに対する前記内パンチの相対的な上昇を許容してなり、
    前記支持部材は、外周面に前記ダイスの前記外歯形成部に係合し得る外歯を有し、
    前記ダイスは、前記外パンチに当接して、該外パンチの下降に伴って前記外歯形成部を前記外歯に係合しつつ前記支持部材に対して移動するように構成された、
    歯車の成形装置。
  2. 前記ダイスの前記外歯形成部が、前記素材の外周部にヘリカルギヤを形成する歯部であり、前記マンドレルの前記内歯形成部が、前記素材の内周部に内スプラインを形成する歯部である、
    請求項1に記載の歯車の成形装置。
  3. 前記マンドレルの前記内歯形成部の歯部と、前記内パンチの内周側及び前記支持部材の内周側との間に逃がし部を設ける、
    請求項1又は2に記載の歯車の成形装置。
  4. 前記ダイスをその軸を中心に回転可能に支持する支持ベースを備え、前記ダイスと前記支持ベースとの間に、前記ダイスに接触する接触面に油溝を有するプレートを介装してなる、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の歯車の成形装置。
  5. 円筒状の素材に外歯と内歯とを形成する歯車の成形方法において、
    前記素材の外周部をダイス内周面の外歯形成部に対面させ、かつ前記素材の内周部をマンドレル外周面の内歯形成部に対面させた姿勢で前記素材を支持部材上に載置する素材セット工程と、
    前記素材セット工程でセットされた素材の上端面を上パンチで下方に加圧して前記素材を軸方向に圧縮し前記素材の外周部を前記ダイスの前記外歯形成部に押し付けるとともに前記素材の内周部を前記マンドレルの前記内歯形成部に押し付ける据え込み工程と、を備え、
    前記据え込み工程は、前記素材の上端面における環状の加圧面のうちの外周側の外側加圧面と内周側の内側加圧面とを面積比が6:4ないし4:6になるように分割された外パンチと内パンチとによって加圧しつつ、前記内パンチを所定圧に背圧制御して、前記外パンチに対する前記内パンチの相対的な上昇を許容する工程であり、かつ前記ダイスが、前記外歯形成部を前記支持部材の外周に形成した外歯に係合しつつ、前記外パンチに当接して該外パンチの下降に伴って前記支持部材に対して移動して、前記外歯形成部と前記内歯形成部との双方に充分に素材を充填させる工程である、
    歯車の成形方法。
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