JP4161889B2 - 円筒部品、その成形装置及びその成形方法 - Google Patents
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上記中央穴を有する円筒状の素材における上記中央穴に挿入するためのコアパンチと、
上記素材の軸方向における一方の端面である第1端面を加圧するためのパンチ加圧面を有する押圧パンチと、
上記素材の外周面を成形するための外周成形面を有するダイスと、
上記素材の軸方向における他方の端面である第2端面を加圧するための対向加圧面を有するダイスリーブとを備えており、
上記コアパンチは、上記素材の上記中央穴に挿入された際に該素材の内周面に対面する内周成形面を有しており、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、軸方向に沿って増大又は減少するように変化しており、
かつ、上記ダイスは、上記ダイスリーブ、上記素材、及び上記押圧パンチを挿入可能な貫通穴を有し、該貫通穴における上記押圧パンチ側に面する開口部近傍に上記外周成形面を有しており、上記内周成形面は、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、上記第1端面に近いほど増大するように設けられていることを特徴とする円筒部品の成形装置にある(請求項1)。
すなわち、上記素材を成形する際には、上記パンチ加圧面及び対向加圧面から素材に付与される圧縮力により、素材の外周面は上記ダイスの外周成形面に向かって変形し、一方、素材の内周面はコアパンチの内周成形面に向かって変形する。このとき、例えば第1端面側における内周間隙距離を第2端面側よりも大きくしている場合には、第1端面側における素材の径方向の変形可能量が第2端面側よりも大きくなる。そのため、この場合の素材からダイスに付与される反力は、第1端面側の方が第2端面側よりも小さくなる。これにより、第1端面側に対応するダイスが拡径する撓みが従来よりも減少し、第1端面側が第2端面側よりも大径化することを防止することができる。また、その分、成形後に円筒部品をダイスから抜き出す際にダイスが撓み状態から戻る際の変形量も小さくなり、これによる円筒部品の軸方向テーパ発生も抑制することができると考えられる。
また、従来の構成において上記と逆方向に軸方向テーパが生じていた場合には、内周間隙距離の変化方向を逆方向にすることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
上記中央穴を有する円筒状の素材における上記中央穴に挿入するためのコアパンチと、
上記素材の軸方向における一方の端面である第1端面を加圧するためのパンチ加圧面を有する押圧パンチと、
上記素材の外周面を成形するための外周成形面を有するダイスと、
上記素材の軸方向における他方の端面である第2端面を加圧するための対向加圧面を有するダイスリーブとを備え、
上記コアパンチが、上記素材の上記中央穴に挿入された際に該素材の内周面に対面する内周成形面を有しており、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、軸方向に沿って増大又は減少するように変化しており、かつ、上記ダイスは、上記ダイスリーブ、上記素材、及び上記押圧パンチを挿入可能な貫通穴を有し、該貫通穴における上記パンチに面する開口部近傍に上記外周成形面を有しており、上記内周成形面は、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、上記第1端面に近いほど増大するように設けられている成形装置を用い、
上記素材の外周面を上記ダイスの上記外周成形面に対面させると共に、上記コアパンチの上記内周成形面を上記素材の上記中央穴内に配置した状態で、上記パンチ加圧面と上記対向加圧面とによって上記第1端面と上記第2端面とを加圧することを特徴とする円筒部品の成形方法にある(請求項5)。
そのため、本発明の円筒部品の成形方法によれば、軸方向テーパの発生を未然に防止することができ、得られる円筒部品の外周面を高精度に成形することができる。
これにより、上記ダイスの上記貫通穴が上記押圧パンチ側の開口部が拡大するように撓みやすい。そのため、上記のごとく、内周間隙距離が第1端面に近いほど増大し、第2端面に近いほど減少するように内周成形面を構成することにより、円筒部品の軸方向テーパ発生を抑制することができる。
上記の内周間隙距離の変化を実現するには、実際には、素材の内周面の形状を変化させる方法もとりうるが、コアパンチの内周成形面の外形寸法を徐々に変化させることにより、容易に所望の変化を実現することができる。
はすば歯車の場合には、その軸方向に平行でない歯筋を有している。そのため、冷間鍛造において軸方向テーパが生じた場合には、その後の仕上げ加工において所望の形状を得ることが困難であり、本発明の装置及び方法を適用することが非常に有効である。
また、はすば歯車の場合には、上記歯面がダイスの外周成形面に係合したまま軸方向にまっすぐには動かない。そのため、成形後に円筒部品の中央穴からコアパンチを引き抜く際に、上記内周成形面に噛み合った成形がなされていたとしても、容易に安定して引き抜き作業を行うことができる。
車両用自動変速機を構成する部品は、高精度な寸法精度が求められていると共に、コストダウンが求められており、上記本発明の装置及び方法を用いて成形することが非常に有効である。
本発明の実施例に係る円筒部品の成形装置及び成形方法につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例の成形装置1は、図1、図6に示すごとく、両端が開放された中央穴82を有する円筒部品8としてのはすば歯車を成形する装置である。
成形装置1は、図1に示すごとく、上記中央穴82を有する円筒状の素材80における上記中央穴82に挿入するためのコアパンチ21と、該コアパンチ21の外周側に配置され上記素材80の軸方向における一方の端面である第1端面801を加圧するためのパンチ加圧面22を有する押圧パンチ220(アウターパンチ23、インナーパンチ24)とを有する。さらに、素材80の外周面を成形するための外周成形面31を有するダイス3と、素材80の軸方向における他方の端面である第2端面802を加圧するための対向加圧面41を有するダイスリーブ4(アウタースリーブ42、インナースリーブ43)とを備えている。
以下に、さらに詳説する。
本例のパンチ2は、上記素材80の中央穴82に挿入配置される円形断面のコアパンチ21と、その外周側に配置された円筒状のインナーパンチ24と、さらにその外周側に配置された円筒状のアウターパンチ23とを有し、これらはパンチケース25内に収められ、全体で上下方向に進退するように構成されている。また、インナーパンチ24は、コアパンチ21及びアウターパンチ23に対して移動可能になっており、後述するように成形時に素材に付与する加圧力を発生するように構成されている。
また、上記ダイス3は、回転可能に配設されている。本例では、上記ダイス3は、上記ガスクッション66の可動部661に取り付けたダイスホルダー65に対してスラストベアリング67を介して回転可能に構成されている。
また、アウタースリーブ42の外周面には、ダイス3の外周成形面31に繋がるつる巻き状の歯面に螺合する螺合摺動面425が設けられている。
また、インナースリーブ43には、これを上下方向に進退させるためのノックアウトピン68が接続されている。
本例の成形方法においては、上記素材80をダイスリーブ4上に配置する配置工程(図1)と、素材80より円筒部品8を成形する成形工程(図2)と、成形後の円筒部品8からコアパンチ21を引き抜く引抜工程(図3)と、円筒部品8をダイス3より取り出す取出工程(図4)とを行う。
次いで、図2に示すごとく、上記成形工程においては、パンチ2を前進(下降)させる。このとき、パンチ2のコアパンチ21は、上記圧縮バネ46の付勢力に抗して、ダイスリーブ4のクッションピン45を下降方向に押し下げながら、上記素材80の中央穴82に挿入され、内周成形面210が素材80の内周面803に対面した状態となる。
そして、パンチ2、ダイス3及びダイスリーブ4によって囲まれたキャビティ内において円筒部品8を成形する。この成形の際には、パンチ2のインナーパンチ24の加圧力により、キャビティ内の素材80に加わる成形圧力が調整される。
また、このとき、ダイス3は、成形後の円筒部品8を外周成形面31に対向させた状態のまま、すなわち内部に成形後の円筒部品8を保持したまま、回転しながら上昇する。こうして、ダイス3内には、成形後の円筒部品8が取り残される。
以降は、上記配置工程から取出工程を繰り返すことによって、円筒部品8を連続的に成形することができる。
また、その分、成形後に円筒部品3をダイス3から抜き出す際にダイス3が撓み状態から戻る際の変形量も小さくなり、これによる円筒部品8の軸方向テーパ発生を抑制することができる。
2 パンチ
21 コアパンチ
210 内周成形面
22 パンチ加圧面
220 押圧パンチ
23 アウターパンチ
24 インナーパンチ
3 ダイス
31 外周成形面
4 ダイスリーブ
41 対向加圧面
42 アウタースリーブ
43 インナースリーブ
8 円筒部品
80 素材
801 第1端面
802 第2端面
803 内周面
804 外周面
82 中央穴
Claims (9)
- 少なくとも一方が開放された中央穴を有する円筒部品を成形する装置であって、
上記中央穴を有する円筒状の素材における上記中央穴に挿入するためのコアパンチと、
上記素材の軸方向における一方の端面である第1端面を加圧するためのパンチ加圧面を有する押圧パンチと、
上記素材の外周面を成形するための外周成形面を有するダイスと、
上記素材の軸方向における他方の端面である第2端面を加圧するための対向加圧面を有するダイスリーブとを備えており、
上記コアパンチは、上記素材の上記中央穴に挿入された際に該素材の内周面に対面する内周成形面を有しており、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、軸方向に沿って増大又は減少するように変化しており、
かつ、上記ダイスは、上記ダイスリーブ、上記素材、及び上記押圧パンチを挿入可能な貫通穴を有し、該貫通穴における上記押圧パンチ側に面する開口部近傍に上記外周成形面を有しており、上記内周成形面は、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、上記第1端面に近いほど増大するように設けられていることを特徴とする円筒部品の成形装置。 - 請求項1において、上記コアパンチの上記内周成形面は、上記素材の上記第2端面に最も近い部分の外径が最も大きく、上記素材の上記第1端面に最も近い部分の外径が最も小さくなるように外径寸法が徐々に変化していることを特徴とする円筒部品の成形装置。
- 請求項1又は2において、上記円筒部品は、その外周面につる巻状の歯筋を有する歯面を形成してなるはすば歯車であって、上記ダイスの上記外周成形面は、上記歯面に対応するつる巻状の成形面であることを特徴とする円筒部品の成形装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記円筒部品は、車両用自動変速機を構成する部品であることを特徴とする円筒部品の成形装置。
- 少なくとも一方が開放された中央穴を有する円筒部品を成形する方法であって、
上記中央穴を有する円筒状の素材における上記中央穴に挿入するためのコアパンチと、
上記素材の軸方向における一方の端面である第1端面を加圧するためのパンチ加圧面を有する押圧パンチと、
上記素材の外周面を成形するための外周成形面を有するダイスと、
上記素材の軸方向における他方の端面である第2端面を加圧するための対向加圧面を有するダイスリーブとを備え、
上記コアパンチが、上記素材の上記中央穴に挿入された際に該素材の内周面に対面する内周成形面を有しており、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、軸方向に沿って増大又は減少するように変化しており、かつ、上記ダイスは、上記ダイスリーブ、上記素材、及び上記押圧パンチを挿入可能な貫通穴を有し、該貫通穴における上記パンチに面する開口部近傍に上記外周成形面を有しており、上記内周成形面は、該内周成形面と上記素材の内周面との間の距離が、上記第1端面に近いほど増大するように設けられている成形装置を用い、
上記素材の外周面を上記ダイスの上記外周成形面に対面させると共に、上記コアパンチの上記内周成形面を上記素材の上記中央穴内に配置した状態で、上記パンチ加圧面と上記対向加圧面とによって上記第1端面と上記第2端面とを加圧することを特徴とする円筒部品の成形方法。 - 請求項5において、上記コアパンチの上記内周成形面は、上記素材の上記第2端面に最も近い部分の外径が最も大きく、上記素材の上記第1端面に最も近い部分の外径が最も小さくなるように外径寸法が徐々に変化していることを特徴とする円筒部品の成形方法。
- 請求項5又は6において、上記円筒部品は、その外周面につる巻状の歯筋を有する歯面を形成してなるはすば歯車であって、上記ダイスの上記外周成形面は、上記歯面に対応するつる巻状の成形面であることを特徴とする円筒部品の成形方法。
- 請求項5〜7のいずれか1項において、上記円筒部品は、車両用自動変速機を構成する部品であることを特徴とする円筒部品の成形方法。
- 少なくとも一方が開放された中央穴を有する円筒部品であって、該円筒部品を成形するに当たって、請求項5〜8のいずれか1項に記載の成形方法を用いたことを特徴とする円筒部品。
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