JP4492296B2 - カップ状部品の成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Description
上記カップ状部品9をプレス成形する際には、まず、図14(a)に示すごとく、平板状のワーク90を準備し、図14(b)に示すごとく、このワーク90に絞り成形を行い、底面部91とこの底面部91の外周端部から環状に立設した予備側壁部92Aとを形成する。
その後、図14(d)に示すごとく、底面部91に穴抜き成形を行い、次いで、図14(e)に示すごとく、上記予備側壁部92Aに対して歯型しごき成形を行って歯面を有する側壁部92を形成し、カップ状部品9を得ている。
また、上記絞り成形を行ったときには、底面部91の外周端部、すなわち上記角部93には、大きな曲げ荷重が作用している。そのため、上記側壁部92を形成した後においても、角部93の肉厚が十分ではなく、角部93の強度を確保するためには十分ではない。
上記カップ状部品を成形するに当たっては、成形穴を備えたダイスと、該ダイスの上記成形穴内をスライドするよう互いに対向配設した第1パンチ及び第2パンチとを準備し、
上記第1パンチの外周には、上記底面部と上記側壁部との間の角部よりも大きな曲率のスリーブ角部を先端部に形成してなる絞りパンチスリーブを配設し、該絞りパンチスリーブと上記第1パンチとの間には、圧縮パンチスリーブを配設し、上記ダイスの上記成形穴には、上記第1パンチに近い側から順に、ストレート状の絞り成形穴部と、該絞り成形穴部と同じ内径から上記第1パンチから遠い側に向けてテーパ状に縮径してなる縮管成形穴部と、該縮管成形穴部よりも縮径してなるストレート状のしごき成形穴部とを形成しておき、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に、平板状のワークを挟持するワーク挟持工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ、上記第2パンチ及び上記絞りパンチスリーブを前進させ、該絞りパンチスリーブと上記絞り成形穴部とによって上記ワークに絞り成形を行い、環状に立設する予備側壁部を形成する絞り成形工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ及び上記第2パンチを前進させ、上記第1パンチと上記縮管成形穴部とによって上記予備側壁部に縮管成形を行い、縮管側壁部を形成する縮管成形工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ及び上記第2パンチをさらに前進させ、上記圧縮パンチスリーブによって上記縮管側壁部の開口端部を加圧しながら上記第1パンチと上記しごき成形穴部とによって上記縮管側壁部にしごき成形を行い、上記側壁部を形成するしごき成形工程とを含むことを特徴とするカップ状部品の成形方法にある(請求項1)。
また、予備底面部と予備側壁部とによる予備角部は、最終的に成形する角部よりも大きな曲率を有する絞りパンチスリーブのスリーブ角部によって加圧されて成形される。そのため、上記予備角部の肉厚が局所的に減少してしまうことを防止することができる。
こうして、縮管側壁部から側壁部を形成して、上記カップ状部品を成形することができる。また、しごき成形の際にも、底面部と側壁部とによる角部の肉厚を十分に確保することができ、この角部の強度低下を防止することができる。
そのため、複数の成形プレス装置を備えたトランスファープレス装置によって順次各成形工程を行うのではなく、1つの成形プレス装置によって、上記各成形工程を行うことができる。そのため、各成形工程を行う成形プレス装置の設備能力は、各成形工程において最も大きな荷重を伴う成形工程の所要荷重とすることができ、設備の小型化を図ることができる。
該成形装置は、成形穴を備えたダイスと、該ダイスの上記成形穴内をスライドするよう互いに対向配設した第1パンチ及び第2パンチとを有しており、
上記第1パンチの外周には、上記底面部と上記側壁部との間の角部よりも大きな曲率のスリーブ角部を先端部に形成してなる絞りパンチスリーブを配設してなり、該絞りパンチスリーブと上記第1パンチとの間には、圧縮パンチスリーブが配設してあり、上記ダイスの上記成形穴には、上記第1パンチに近い側から順に、ストレート状の絞り成形穴部と、該絞り成形穴部と同じ内径から上記第1パンチから遠い側に向けてテーパ状に縮径してなる縮管成形穴部と、該縮管成形穴部よりも縮径してなるストレート状のしごき成形穴部とを形成してなり、
上記成形装置は、上記第1パンチと上記第2パンチとの間に平板状のワークを挟持させ、次いで、上記ダイスの上記絞り成形穴部の終端位置まで上記第1パンチ、上記第2パンチ及び上記絞りパンチスリーブを前進させ、その後、上記圧縮パンチスリーブを前進させると共に上記ダイスの上記しごき成形穴部の終端位置まで上記第1パンチ及び上記第2パンチを前進させるよう構成してあることを特徴とするカップ状部品の成形装置にある(請求項4)。
それ故、本発明のカップ状部品の成形装置によれば、設備の小型化を図ると共に、底面部と側壁部とによる角部の強度低下を防止して、カップ状部品を成形することができる。
上記第1の発明においては、上記第1パンチと上記絞りパンチスリーブとの間には、圧縮パンチスリーブが配設してあり、上記しごき成形工程においては、上記圧縮パンチスリーブによって上記縮管側壁部の開口端部を加圧しながら上記しごき成形を行う。
この場合には、上記底面部と側壁部とによる角部の強度低下を防止して、クラッチハブを成形することができる。
なお、クラッチハブは、例えば、トランスミッション等の動力伝達用の部品とすることができる。
(実施例1)
図1〜図3に示すごとく、本例のカップ状部品8の成形装置1(以下、単に成形装置1という。)は、底面部81と、この底面部81の外周端部から立設した環状の側壁部82とを有するカップ状部品8を成形する。
図3、図7に示すごとく、上記成形装置1は、成形穴20を備えたダイス2と、このダイス2の成形穴20内をスライドするよう互いに対向配設した第1パンチ3及び第2パンチ6とを有している。
以下に、これを詳説する。
そして、上記ダイス2におけるしごき成形穴部23は、上記側壁部82に歯面を成形するための歯型断面形状を有している。
なお、成形装置1としては、油圧式プレス機を用いてもよい。
そして、図7に示すごとく、第1パンチ3の先端面31は、その内周側部分に平坦状に形成された内周平坦面部311と、この内周平坦面部311の外周側部分に環状に突出形成された外周突出面部312とを備えている。また、第2パンチ6の先端面61は、上記内周平坦面部311に対向する位置に平坦状に形成された内周対向面部611と、上記外周平坦面部に対向する位置に陥没形成された外周対向面部612とを備えている。
上記カップ状部品8を成形するに当たっては、まず、図7に示すごとく、ワーク載置工程として、第2パンチ6及びダイス2の上に平板状のワーク80(図1(a)参照)を載置する。
そして、ワーク80の一部が第2パンチ6における外周対向面部612へ向けて変形し、突出部811を形成してなる予備底面部81Aが形成される。
そして、この予備底面部81Aの形成の後には、ワーク80は第1パンチ3と第2パンチ6との間に挟持される。
また、予備底面部81Aと予備側壁部82Aとによる予備角部83A(図9参照)は、最終的に成形する上記角部83よりも大きな曲率を有する絞りパンチスリーブ4のスリーブ角部411によって加圧されて成形される。そのため、上記予備角部83Aの肉厚が局所的に減少してしまうことを防止することができる。
このとき、第1パンチ3とダイス2の縮管成形穴部22とによって予備側壁部82Aに縮管成形が行われる。そして、この縮管成形は、肉厚の局所的な減少が防止された上記予備角部83A及び上記予備側壁部82Aを立設させて行われる。
こうして、底面部81と、この底面部81の外周端部から環状に立設する縮管側壁部82B(図1(c)参照)とが形成される。そして、上述したように一旦予備側壁部82Aを成形し、これを縮管成形するため、底面部81と縮管側壁部82Bとによる角部83(図10参照)の肉厚を十分に確保することができる。
その後、図6、図12に示すごとく、しごき成形工程として、第1パンチ3と第2パンチ6との間にワーク80を挟持した状態を維持して、ダイス2に対して第1パンチ3及び第2パンチ6をさらに前進させる。また、第1パンチ3を前進させるときには、この前進に追従して圧縮パンチスリーブ5を前進させる。そして、第1パンチ3がワーク80を加圧すると共に、第1パンチ3が発生させる加圧力よりも小さな加圧力を圧縮パンチスリーブ5が発生させる。
また、歯型しごき成形の際にも、底面部81と側壁部82とによる角部83(図12参照)の肉厚を十分に確保することができ、この角部83の強度低下を防止することができる。
そのため、複数の成形プレス装置を備えたトランスファープレス装置によって順次各成形工程を行うのではなく、1つの成形装置1によって、上記各成形工程を行うことができる。そのため、各成形工程を行う成形装置1の成形能力は、各成形工程において最も大きな荷重を伴う成形工程の所要荷重とすることができる。
また、上記成形装置1を用いることにより、カップ状部品8を成形するための設備の小型化を図ることができる。
2 ダイス
20 成形穴
21 絞り成形穴部
22 縮管成形穴部
23 しごき成形穴部
3 第1パンチ
4 絞りパンチスリーブ
5 圧縮パンチスリーブ
6 第2パンチ
8 カップ状部品
80 ワーク
81 底面部
82 側壁部
82A 予備側壁部
82B 縮管側壁部
821 開口端部
83 角部
Claims (5)
- 底面部と、該底面部の外周端部から立設した環状の側壁部とを有するカップ状部品を成形する方法において、
上記カップ状部品を成形するに当たっては、成形穴を備えたダイスと、該ダイスの上記成形穴内をスライドするよう互いに対向配設した第1パンチ及び第2パンチとを準備し、
上記第1パンチの外周には、上記底面部と上記側壁部との間の角部よりも大きな曲率のスリーブ角部を先端部に形成してなる絞りパンチスリーブを配設し、該絞りパンチスリーブと上記第1パンチとの間には、圧縮パンチスリーブを配設し、上記ダイスの上記成形穴には、上記第1パンチに近い側から順に、ストレート状の絞り成形穴部と、該絞り成形穴部と同じ内径から上記第1パンチから遠い側に向けてテーパ状に縮径してなる縮管成形穴部と、該縮管成形穴部よりも縮径してなるストレート状のしごき成形穴部とを形成しておき、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に、平板状のワークを挟持するワーク挟持工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ、上記第2パンチ及び上記絞りパンチスリーブを前進させ、該絞りパンチスリーブと上記絞り成形穴部とによって上記ワークに絞り成形を行い、環状に立設する予備側壁部を形成する絞り成形工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ及び上記第2パンチを前進させ、上記第1パンチと上記縮管成形穴部とによって上記予備側壁部に縮管成形を行い、縮管側壁部を形成する縮管成形工程と、
上記第1パンチと上記第2パンチとの間に上記ワークを挟持した状態を維持して、上記ダイスに対して上記第1パンチ及び上記第2パンチをさらに前進させ、上記圧縮パンチスリーブによって上記縮管側壁部の開口端部を加圧しながら上記第1パンチと上記しごき成形穴部とによって上記縮管側壁部にしごき成形を行い、上記側壁部を形成するしごき成形工程とを含むことを特徴とするカップ状部品の成形方法。 - 請求項1において、上記しごき成形穴部は、上記側壁部に歯面を成形するための歯型断面形状を有しており、
上記第1パンチの外周面は、上記しごき成形穴部と共に上記側壁部に歯面を成形するための歯型断面形状を有しており、
上記圧縮パンチスリーブは、上記しごき成形穴部と上記第1パンチの外周面との間隙に沿った歯型断面形状を有しており、
上記しごき成形工程においては、上記縮管側壁部に歯型しごき成形を行い、上記側壁部に歯面を形成することを特徴とするカップ状部品の成形方法。 - 請求項2において、上記カップ状部品は、上記側壁部に歯面を有するクラッチハブであることを特徴とするカップ状部品の成形方法。
- 底面部と、該底面部の外周端部から立設した環状の側壁部とを有するカップ状部品を成形する成形装置において、
該成形装置は、成形穴を備えたダイスと、該ダイスの上記成形穴内をスライドするよう互いに対向配設した第1パンチ及び第2パンチとを有しており、
上記第1パンチの外周には、上記底面部と上記側壁部との間の角部よりも大きな曲率のスリーブ角部を先端部に形成してなる絞りパンチスリーブを配設してなり、該絞りパンチスリーブと上記第1パンチとの間には、圧縮パンチスリーブが配設してあり、上記ダイスの上記成形穴には、上記第1パンチに近い側から順に、ストレート状の絞り成形穴部と、該絞り成形穴部と同じ内径から上記第1パンチから遠い側に向けてテーパ状に縮径してなる縮管成形穴部と、該縮管成形穴部よりも縮径してなるストレート状のしごき成形穴部とを形成してなり、
上記成形装置は、上記第1パンチと上記第2パンチとの間に平板状のワークを挟持させ、次いで、上記ダイスの上記絞り成形穴部の終端位置まで上記第1パンチ、上記第2パンチ及び上記絞りパンチスリーブを前進させ、その後、上記圧縮パンチスリーブを前進させると共に上記ダイスの上記しごき成形穴部の終端位置まで上記第1パンチ及び上記第2パンチを前進させるよう構成してあることを特徴とするカップ状部品の成形装置。 - 請求項4において、上記しごき成形穴部は、上記側壁部に歯面を成形するための歯型断面形状を有しており、
上記第1パンチの外周面は、上記しごき成形穴部と共に上記側壁部に歯面を成形するための歯型断面形状を有しており、
上記圧縮パンチスリーブは、上記しごき成形穴部と上記第1パンチの外周面との間隙に沿った歯型断面形状を有していることを特徴とするカップ状部品の成形装置。
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