JP4622591B2 - プレス加工用パンチ - Google Patents
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Description
特許文献1には、ダイとパンチでワークをハット状断面にプレス加工する技術が開示されている。パンチには、ビード形成凸部(凸条)が設けられている。パンチの凸条によって、ワークをプレス加工するときに、ワークのフランジにビードが形成される。ビードを形成すると、フランジに残留応力が発生する。フランジに発生した残留応力によって、スプリングバック量が抑制される。
本発明は、フランジにスプリングバック抑制用のビードを形成するパンチを、低コストで製造することが可能な技術を提供することを課題とする。
このパンチによれば、一方側フランジ加工面上と他方側フランジ加工面上に線状部材を配置することで、一方側フランジの内面と他方側フランジの内面にスプリングバック抑制用のビードを形成することができる。よって、フランジ内面にスプリングバック抑制用のビードを形成するパンチを、低コストで製造することができる。
このパンチによれば、一方側フランジ加工面上と他方側フランジ加工面上に線状部材を配置することで、一方側フランジの内面と他方側フランジの内面にスプリングバック抑制用のビードを形成できる。よって、フランジ内面にスプリングバック抑制用のビードを形成するパンチを、低コストで製造することができる。
フランジ加工面の内側に湾曲する部位によって加工されるフランジは、長手方向に大きく引き伸ばされる(この部位は、いわゆる「伸びフランジ」と言われる)ことによって、大きくスプリングバックする。フランジ加工面の長手方向に沿って内側に湾曲する部位に配置される線状部材が、残余の部分に配置されているものよりも太いと、伸びフランジの内面側に、深いビードが形成されることによる大きな残留応力が発生する。よって、伸びフランジのスプリングバックをより抑制することができる。
(形態1)
(1)プレス加工装置は、板状の素材をプレス加工することによって、コの字状断面を有するワークに成形する。プレス加工装置は、下型部と上型部を備えている。下型部は、パンチを有している。パンチは、パンチ本体と、複数の線状部材を持っている。パンチ本体は、略凸状の断面を有している。パンチ本体の上面には、複数の溝が形成されている。線状部材の中間部は、溝に入り込んでいる。線状部材の一方側部は、パンチ本体の一方側加工面に沿って降下している。線状部材の他方側部は、パンチ本体の他方側加工面に沿って降下している。上型部は、ダイを備えている。
(2)パンチとダイを用いて素材をプレス加工すると、一方側フランジと他方側フランジを持つワークが成形される。そのプレス加工のときに、一方側フランジの内面と他方側フランジの内面が、線状部材によって押圧される。すると、一方側フランジの内面と他方側フランジの内面にビードが形成される。ビードが形成されると、一方側フランジと他方側フランジが外方側にスプリングバックする量が抑制される。
(形態2)
形態1と相違する内容のみを記載する。
(1)本形態2では、プレス加工によって、ハット状断面を有するワークを、形態1よりも高さが大きいフランジを持つワークに成形する。
(2)パンチ本体には、一方側加工面から他方側加工面まで貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔を線状部材の中間部が通過している。線状部材の一方側部は、パンチ本体の一方側加工面に沿って降下している。線状部材の他方側部は、パンチ本体の他方側加工面に沿って降下している。
(3)プレス加工を実行すると、一方側フランジの下部内面と他方側フランジの下部内面に、線状部材に押圧されたビードが形成される。ビードが形成されると、一方側フランジと他方側フランジが外方側にスプリングバックする量が抑制される
図1は、プレス加工装置20を示している。プレス加工装置20は、板状の素材をプレス加工することによって、図12に示すワーク12に成形する。プレス加工装置20は、下型部22と上型部23を備えている。下型部22は、パンチ25と基台27から構成されている。パンチ25は、基台27上に固定されている。
図2に示すように、パンチ25は、パンチ本体30と、複数の線状部材32と、複数の固定用部材33を備えている。パンチ本体30は、略凸状の断面を有している。パンチ本体30の上面(中間部加工面)34には、複数の溝36が形成されている。線状部材32は、金属製(例えば、ピアノ線)であり、円形状の断面を有している。図3、図4に良く示すように、線状部材32の中間部35は、溝36に入り込んでいる。図3に示すように、線状部材32の一方側部39は、パンチ本体30の一方側加工面(一方側フランジ加工面)38に沿って降下している。線状部材32の他方側部43は、パンチ本体30の他方側加工面(他方側フランジ加工面)37に沿って降下している。線状部材32の端部40、41は、パンチ本体30と固定部材33との間に挟み込まれている。固定部材33は、ボルト42によってパンチ本体30に締結されている。
図1に示すように、上型部23は、ダイ46、47、プレート45、支持部材50、51、パッド48、スプリング52を備えている。ダイ46、47は、プレート45に固定されている。支持部材50、51は、パッド48を、図1に示す位置から、プレート45側に移動可能に支持している。スプリング52は、プレート45とパッド48の間に介装されている。
図1に示すように、プレス加工するにあたっては、板状の素材54をパンチ本体30の上面34に載置する。そして、上型部23を降下させる。上型部23が降下する途中で、パッド48の下面55が素材54に当接する。さらに上型部23が降下すると、パッド48とプレート45が接近しながら、スプリング52が縮められてゆく。素材54には、パッド48を介してスプリング52の付勢力が作用する。このため、素材54は、パッド48とパンチ本体30の間に挟み込まれた状態で位置決めされる。その状態で、ダイ46、47が素材54を折り曲げながら降下し、素材54がパンチ本体30に当接することによって、プレス加工(曲げ加工)されたワーク12が成形される。図5は、ダイ46、47が最降下位置まで降下し、ワーク12が成形された状態を示している。
パンチ本体30自体に凸条を形成することによって、フランジ14、15の内面57、59にビード58、60を形成することは可能である。しかしながら、パンチ本体30自体に凸条を形成するのには、多大な工数を必要とする。凸条を残しながら、それ以外の部分を削り取る加工を行わなければならないからである。それに対して、本実施例では、線状部材32と固定用部材33を用意することと、パンチ本体30に溝36とボルト42締結用のネジ孔を形成するだけで、フランジ14、15の内面57、59にビード58、60を形成することができる。よって、パンチ25を低コストで製造することができる。
本第2実施例では、第1実施例と重複する内容については、説明を省略する。第1実施例と異ならない部材については、第1実施例と同じ符号を用いる。
図7は、プレス加工装置70を示している。プレス加工装置70は、プレス加工することによって、図8に示すワーク62に成形する。ワーク62は、一方側フランジ64と他方側フランジ65の高さCが、第1実施例のワーク12(図12参照)の一方側フランジ14と他方側フランジ15のそれよりも大きい。プレス加工装置70は、下型部72と、上型部23を備えている。下型部72は、パンチ75と基台27から構成されている。上型部23は、第1実施例のそれと同様に構成されている。
図9に示すように、パンチ75は、パンチ本体73と、線状部材32と、固定用部材33を備えている。線状部材32と固定用部材33は、複数設けられている。パンチ本体73には、一方側加工面76から他方側加工面74までを水平に貫通する貫通孔77が形成されている。図10に示すように、貫通孔77は複数形成されており、それぞれを線状部材32の中間部35が通過している。線状部材32の一方側部39は、パンチ本体73の一方側加工面76に沿って降下している。線状部材32の他方側部43は、パンチ本体73の他方側加工面74に沿って降下している。
図7に示すように、ワーク61をパンチ75にセットしてから、上型部23を降下させる。図11は、上型部23が最降下位置まで降下した状態を示している。上型部23が降下すると、外方を向くフランジ67、68が下方を向くようにプレス加工され、高さCが大きいフランジ64、65を持つワーク62(図8参照)が成形される。そのときに、フランジ64、65の内面下部には、線状部材32に押圧されることによって、ビードが複数形成される。ビードが形成されると、フランジ64、65のスプリングバック量が抑制される。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
14:一方側フランジ
15:他方側フランジ
20:プレス加工装置
22:下型部
23:上型部
25:パンチ
27:基台
30:パンチ本体
32:線状部材
33:固定用部材
34:上面
35:中間部
36:溝
37:他方側加工面
38:一方側加工面
39:一方側部
40、41:端部
42:ボルト
43:他方側部
45:プレート
46、47:ダイ
48:パッド
50、51:支持部材
52:スプリング
54:素材
55:下面
57:内面
58:ビード
59:内面
60:ビード
62:ワーク
64:一方側フランジ
65:他方側フランジ
70:プレス加工装置
72:下型部
73:パンチ本体
74:他方側加工面
75:パンチ
76:一方側加工面
77:貫通孔
Claims (3)
- 素材をダイとともにプレスすることによって、一方側フランジと、他方側フランジと、一方側フランジと他方側フランジを結ぶ中間部を持つワークに加工するパンチであり、
一方側フランジの内面を加工する一方側フランジ加工面と、
他方側フランジの内面を加工する他方側フランジ加工面と、
中間部の内面を加工する中間部加工面と、
中間部加工面に形成されており、一方側フランジ加工面と他方側フランジ加工面を結ぶ方向に延びている溝と、
一方側部と中間部と他方側部を有しており、中間部が前記溝内に配置されているとともに、一方側部が一方側フランジ加工面上に配置されている状態で中間部加工面から離反する方向に延びており、他方側部が他方側フランジ加工面上に配置されている状態で中間部加工面から離反する方向に延びている線状部材と、
を備えていることを特徴とするパンチ。 - 素材をダイとともにプレスすることによって、一方側フランジと、他方側フランジと、一方側フランジと他方側フランジを結ぶ中間部を持つワークに加工するパンチであり、
一方側フランジの内面を加工する一方側フランジ加工面と、
他方側フランジの内面を加工する他方側フランジ加工面と、
中間部の内面を加工する中間部加工面と、
一方側フランジ加工面と他方側フランジ加工面を連通する連通孔と、
一方側部と中間部と他方側部を有しており、中間部が連通孔を通過しているとともに、一方側部が一方側フランジ加工面上に配置されている状態で中間部加工面から離反する方向に延びており、他方側部が他方側フランジ加工面上に配置されている状態で中間部加工面から離反する方向に延びている線状部材と、
を備えていることを特徴とするパンチ。 - 線状部材は、複数設けられており、
一方側フランジ加工面と他方側フランジ加工面の少なくとも一方の一部に、長手方向に沿って内側に湾曲する部位が設けられており、
内側に湾曲する部位に配置されている線状部材が、残余の部位に配置されているものよりも太いことを特徴とする請求項1又は2のパンチ。
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