JP3365949B2 - バルブリフタの製造方法 - Google Patents
バルブリフタの製造方法Info
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Description
動弁機構に用いられるバルブリフタに関し、詳しくはバ
ルブ当り凸部の厚さを所定の値に調製するために該バル
ブ当り凸部を加工する方法に関するものである。
端壁部52と周壁部53とからなる倒立カップ状に形成
され、端壁部52の内面中央部にはバルブ当り凸部54
が突設されている。バルブクリアランス調整に対応する
ために、バルブ当り凸部54のバルブ当り面54aと端
壁部52の外面(図示例ではカム当り面)55との間の
厚さTが微小ピッチ(例えば10〜20μmとび)で異
なる数十種類のバルブリフタ51が製造され、内燃機関
の各気筒の動弁機構にマッチする厚さTを持ったバルブ
リフタ51が選択使用される。このように、厚さTを微
小ピッチで異なる所定の値に調製するため、従来、バル
ブ当り凸部54は次のような方法で加工されている。
54のバルブ当り面54a近傍を旋盤で切削することに
より荒加工する。具体的には、端壁部52の外面55を
基準ストッパ60に当接させて止め、周壁部53の外周
をチャック56で保持し、バルブリフタ51をその軸心
回りに回転させる。バルブリフタ51の内側に、バイト
57を軸直角方向の送りを与えて進入させ、バルブ当り
凸部54のバルブ当り面54a近傍をその外周部位から
中心部位にかけて切削する。この切削による荒加工によ
り、厚さTが小ピッチで異なる例えば十種類程度のバル
ブリフタ51を作成する。
て、少なくともバルブ当り面54a近傍を硬化させる。
54aを研削することにより仕上加工する。具体的に
は、周壁部53の外周をチャック56で保持し、バルブ
リフタ51をその軸心回りに回転させる。バルブリフタ
51の内側に、回転する円柱形の砥石58を軸方向の送
りを与えて進入させ、砥石58の端面によりバルブ当り
面54aを研削する。この研削による仕上加工により、
前記荒加工による十種類程度のバルブリフタ51から、
厚さTが微小ピッチで異なる数十種類のバルブリフタ5
1を作成する。
り凸部の調厚加工方法には、次のような問題〜があ
った。
の精度)は、後の研削代を小さくするために極力高くし
たいところであるが、現実には±50μm程度と低い。
これは、チャック56で保持するときに、基準ストッパ
60と端壁部52の外面55との当接状態のバラツキが
大きいため、厚さTや直角度等の制御が非常に難しいか
らである。従って、後の研削による仕上加工において、
前記バラツキ分を研削する必要があるため、研削代を大
きく(例えば100μm以上に)しなければならなかっ
た。
焼入れ深さを深く(例えば160〜200μm程度に)
する必要があるため、焼入れコストが高くつく。
砥石58しか使用できないため、砥石58の摩耗が早
い。従って、上記のように研削代が大きければ、砥石寿
命が短くなり、コストアップとなる。
54aの中心部位に、ボチ59(切削されない小突起)
が残る。このボチ残りを少なくするためには、摩耗した
バイト57を使用しないようにする必要がある。従っ
て、バイト寿命が短く、コストアップとなる。また、バ
イト芯高調整に時間をかける必要もあり、設備稼働率が
低下する。
がバルブ当り面54aに接触する直前までは砥石58の
送りを早くし、砥石58がバルブ当り面54aに接触し
てからは砥石58の送りを遅くしている。しかし、上記
のようにボチ残りがあると、早送り中の砥石58がボチ
59に接触するため、砥石58が異常摩耗する。この異
常摩耗を防止するためには、砥石58がボチ59に接触
する前に早送りを止めて遅送りする必要があり、ボチ残
りが無い場合に対してボチ59の高さ分だけ研削時間が
長くなる。
最終研削面になる場合もあるが、その場合でも同様に外
面55の研削代を大きくしたり、焼入れ深さを深くした
りする必要があった。
工の精度を高くして仕上加工の研削代を小さくでき、も
って砥石寿命を長くしたり焼入れ深さを浅くしたりさら
には研削レスを実現したりでき、また、荒加工時のボチ
残りを無くして仕上加工時の研削時間を短縮でき、もっ
てコストダウンを図ることができる、バルブリフタの製
造方法を提供することにある。
に、本発明のバルブリフタの製造方法は、端壁部の内面
にバルブ当り凸部が突設されている粗形材のバルブリフ
タを形成し、相対的に接近及び離間しうる高剛性のパン
チプレート及びダイプレートと、前記パンチプレートに
突設されたパンチと、前記パンチプレート及びダイプレ
ートの間に取替可能に設けられたパンチより背の高いス
ペーサとを備えたプレス機を使用し、前記ダイプレート
に前記バルブリフタを端壁部の外面が当接するようにセ
ットし、前記パンチプレート及びダイプレートを前記ス
ペーサによって停止するまで相対的に接近させたとき
に、前記パンチが前記バルブ当り凸部を軸方向に所定量
だけ圧縮変形させることにより荒加工し、この荒加工を
スペーサを高さが異なるものに取替えて行うことによ
り、該バルブ当り凸部のバルブ当り面と前記端壁部の外
面との間の厚さが小ピッチで異なる十種類程度又は二十
種類程度のバルブリフタを作成し、前記バルブリフタを
焼き入れして、少なくともバルブ当り面近傍を硬化さ
せ、前記バルブ当り面を研削することにより仕上加工す
ることで、前記厚さが微小ピッチで異なる数十種類のバ
ルブリフタを作成することを特徴とする。
当り面近傍が軸直角方向に拡径変形するのを規制するた
めの拡径変形規制凹部が設けられていることが好まし
い。
り面の直径と直径が略等しい押圧用内底面と、押圧用底
面からパンチの端面にかけて拡径した規制用内側面とか
らなる凹部を例示できる。
ルブ当り面を湾曲凸面に加工できる。
成するための突条が設けられていれば、バルブ当り面に
溝を形成できる。
当り凸部の調厚加工方法の実施形態例について、図1〜
図8を参照して説明する。まず、この調厚加工方法を実
施する前の粗形材のバルブリフタ1について説明する
と、図8に示すように、このバルブリフタ1は円板状の
端壁部2と円筒状の周壁部3とからなる倒立カップ状に
形成され、端壁部2の内面中央部には短円柱形のバルブ
当り凸部4が突設されている。端壁部2の厚さT1 は例
えば約2.5mmであり、端壁部2の内面からのバルブ
当り凸部4の突出高さT2 は例えば約3mmである。従
って、バルブ当り凸部4のバルブ当り面4aと端壁部2
の外面(本実施形態ではカム当り面)5との間の厚さT
は約5.5mmである。
えば鋼材料をバルブリフタ形状に型鍛造したり鋼板をバ
ルブリフタ形状にプレスしたりした後、必要に応じて、
端壁部2の上面や、周壁部3の下端面とを旋盤で切削し
て形成される。
クリアランス調整に対応するために、厚さTが微小ピッ
チ(例えば10〜20μmとび)で異なる数十種類のバ
ルブリフタが製造される。このように、厚さTを微小ピ
ッチで異なる所定の値に調製するために、バルブ当り凸
部4は次のような方法で加工される。
ルブ当り凸部4を、プレス機10を使用した塑性加工
(プレス成形)により、軸方向に圧縮変形させることに
より荒加工する。
により連結固定された下盤12及び上盤13を備え、下
盤12の中央部にはダイプレート14が設置されてい
る。上盤13の上面中央部には油圧シリンダ15が下向
きに取付けられ、そのロッド16は上盤13を下方へ貫
通し、ロッド16の下端にはパンチプレート17が取付
けられている。ダイプレート14及びパンチプレート1
7は、例えば直径100〜150mm程度の円盤形に形
成されることで、高剛性となっている。油圧シリンダ1
5によりパンチプレート17が下降及び上昇されること
により、ダイプレート14及びパンチプレート17は相
対的に接近及び離間しうる。
形のパンチ18が下方へ突設され、該パンチ18の下面
中央部にはバルブ当り凸部4のバルブ当り面4a近傍が
軸直角方向に拡径変形するのを規制するための拡径変形
規制凹部20が設けられている。拡径変形規制凹部20
は、バルブ当り面4aの直径と直径が略等しい押圧用内
底面21と、押圧用内底面21からパンチ18の下端面
にかけて拡径した円錐面状の規制用内側面22とからな
る。規制用内側面22の下端開口の直径はバルブ当り面
4aの直径より例えば0.05〜0.2mm程度大きく
なっている。ダイプレート14及びパンチプレート17
の間であって、ダイプレート14の上面周囲部にはパン
チ18より背の高いスペーサ19がワンタッチで取替可
能(例えば、ダイプレート14の上面とスペーサ19の
下面に相対的に設けた凸部と凹部との単純な嵌脱)に設
置され、本例のスペーサ19は手前側が開口した平面馬
蹄形に形成され、高剛性となっている。
プレート14の上面中央部に粗形材のバルブリフタ1を
端壁部2の外面5が当接するようにセットし、図1及び
図4に示すように、油圧シリンダ15によりパンチプレ
ート17をスペーサ19の上面に当接して停止するまで
下降させ、パンチ18の拡径変形規制凹部20によりバ
ルブ当り凸部4を所定量だけ圧縮することにより行う。
減少し、その減少分だけバルブ当り凸部4は軸直角方向
に拡径変形しようとする。しかし、その拡径変形は、拡
径変形規制凹部20の押圧用内底面21と規制用内側面
22との境界部により規制されるため、バルブ当り凸部
4のうちバルブ当り面4aより離れた部位が規制用内側
面22の形状に倣って円錐面状に変形する。このよう
に、バルブ当り面4a近傍の拡径変形を規制することに
より、後述する(3)での研削面積の増加を防ぐことが
できる。
なるものに取替えて、前記塑性加工を行うことにより、
厚さTが小ピッチで異なる例えば十種類程度のバルブリ
フタ1を作成する。なお、スペーサ19はワンタッチで
取替えられるので、荒加工による厚さTの種類を従来よ
り多くする(例えば二十種類程度)ことも容易にでき、
研削代をさらに小さくすることもできる。
示略)して、少なくともバルブ当り面4a近傍を硬化さ
せる。
り面4aを研削することにより仕上加工する。具体的に
は、周壁部3の外周をチャック6で保持し、バルブリフ
タ1をその軸心回りに回転させる。バルブリフタ1の内
側に、回転する円柱形の砥石8を軸方向の送りを与えて
進入させ、砥石8の端面によりバルブ当り面4aを研削
する。この研削による仕上加工により、前記荒加工によ
る十種類程度のバルブリフタ1から、厚さTが微小ピッ
チで異なる数十種類のバルブリフタ1を作成する。
方法によれば、次のような作用・効果〜が得られ
る。
(圧縮変形)による荒加工の精度(厚さT方向の精度)
は、±15μm程度と高い。これは、ダイプレート1
4、パンチプレート17及びスペーサ19に高剛性のも
のを使用することにより、バルブ当り凸部4の圧縮量を
正確に決めることができ、プレス機10の他部の剛性が
たとえ低くても精度が高くなるからである。従って、従
来の切削による荒加工の精度が±50μm程度であった
ことと比較すると、後の研削代を従来よりも70μm程
度小さくすることができる。また、旋盤による切削より
も、プレス機10による塑性加工の方が、設備費も消耗
費も安く済み、コストダウンとなる。
いことから、焼入れ深さも同程度浅くすることができ、
焼入れコストを低くすることができる。
石8しか使用できない点は従来と同様であるが、研削代
が従来よりも小さい分だけ、砥石寿命が長く、コストダ
ウンとなる。
り面4aに従来のようなボチが残らない。また、寿命に
問題があるバイトを使用せず、パンチ寿命は非常に長い
ので、コストダウンとなる。また、時間をかけて調整す
る必要がある旋盤を使用しないので、設備稼働率が高
い。
削による仕上加工時には、砥石8がバルブ当り面4aに
接触するまで砥石58を早送りできる。従って、研削時
間が短くなり、ボチによる砥石8の異常摩耗も起こらな
い。
0によりバルブ当り面4a近傍の拡径変形を規制するの
で、後の研削面積の増加を防ぐことができ、研削の効率
が上がる。
研削面になる場合もあるが、その場合でも同様に外面5
の研削代を小さくしたり、焼入れ深さを浅くしたりでき
る。
調厚加工方法によれば、荒加工の精度が高いことから、
上記(3)の研削による仕上げ加工を不要にすること
(いわゆる研削レス)も可能となる。
ものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸
脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。 (a)図6に示すように、押圧用内底面21を湾曲凹面
とすることにより、バルブ当り面4aを湾曲凸面に加工
すること。
1に突条23を設けることにより、バルブ当り面4aに
オイル潤滑用の溝9を形成すること。
面21の直径をバルブ当り面4aの直径より小さくし、
前記塑性加工時に、バルブ当り面4a近傍を軸直角方向
に縮径変形させること。
パンチ18の下面中央部を平面とすること。この場合、
塑性加工による荒加工時に、バルブ当り面4a近傍は拡
径変形するが、精度は前記実施形態と同等又はそれ以上
となる。従って、上記(3)の研削が不要な場合(研削
レス)に、特に適する。なお、この平面を上記(a)の
湾曲凹面としたり、この平面に上記(b)の突条を設け
たりしてもよい。
を嵌合できるようにし、シムの表面をカム当り面とする
こと。
よれば、荒加工の精度を高くして仕上加工の研削代を小
さくでき、もって砥石寿命を長くしたり焼入れ深さを浅
くしたりさらには研削レスを実現したりでき、また、荒
加工時のボチ残りを無くして仕上加工時の研削時間を短
縮でき、もってコストダウンを図ることができる、とい
う優れた効果を奏する。
レス機の正面図である。
前の断面図である。
の断面図である。
ある。
る。
面図、(b)は(a)の丸で囲んだ範囲の拡大図であ
る。
時を示し、(a)は断面図、(b)は(a)の丸で囲ん
だ範囲の拡大図である。
加工時の断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 端壁部(2)の内面にバルブ当り凸部
(4)が突設されている粗形材のバルブリフタ(1)を
形成し、相対的に接近及び離間しうる高剛性のパンチプレート
(17)及びダイプレート(14)と、前記パンチプレ
ート(17)に突設されたパンチ(18)と、前記パン
チプレート(17)及びダイプレート(14)の間に取
替可能に設けられたパンチ(18)より背の高いスペー
サ(19)とを備えたプレス機(10)を使用し、前記
ダイプレート(14)に前記バルブリフタ(1)を端壁
部(2)の外面が当接するようにセットし、前記パンチ
プレート(17)及びダイプレート(14)を前記スペ
ーサ(19)によって停止するまで相対的に接近させた
ときに、前記パンチ(18)が 前記バルブ当り凸部
(4)を軸方向に所定量だけ圧縮変形させることにより
荒加工し、この荒加工をスペーサ(19)を高さが異な
るものに取替えて行うことにより、該バルブ当り凸部
(4)のバルブ当り面(4a)と前記端壁部(2)の外
面との間の厚さ(T)が小ピッチで異なる十種類程度又
は二十種類程度のバルブリフタ(1)を作成し、 前記バルブリフタ(1)を焼き入れして、少なくともバ
ルブ当り面(4a)近傍を硬化させ、 前記バルブ当り面(4a)を研削することにより仕上加
工することで、前記厚さ(T)が微小ピッチで異なる数
十種類のバルブリフタ(1)を作成することを特徴とす
るバルブリフタの製造方法。 - 【請求項2】 前記パンチに、前記バルブ当り凸部のバ
ルブ当り面近傍が軸直角方向に拡径変形するのを規制す
るための拡径変形規制凹部が設けられた請求項1記載の
バルブリフタの製造方法。 - 【請求項3】 前記拡径変形規制凹部が、前記バルブ当
り面の直径と直径が略等しい押圧用内底面と、前記押圧
用底面から前記パンチの端面にかけて拡径した規制用内
側面とからなる請求項2記載のバルブリフタの製造方
法。 - 【請求項4】 前記押圧用内底面が、湾曲凹面である請
求項3記載のバルブリフタの製造方法。 - 【請求項5】 前記押圧用内底面に、前記バルブ当り面
に溝を形成するための突条が設けられた請求項3又は4
記載のバルブリフタの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01505498A JP3365949B2 (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | バルブリフタの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01505498A JP3365949B2 (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | バルブリフタの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11200820A JPH11200820A (ja) | 1999-07-27 |
JP3365949B2 true JP3365949B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=11878134
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01505498A Expired - Lifetime JP3365949B2 (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | バルブリフタの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3365949B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102004025532A1 (de) * | 2004-05-25 | 2005-12-15 | Ina-Schaeffler Kg | Tassenstößel eines Ventiltriebs einer Brennkraftmaschine |
DE102010032254A1 (de) * | 2010-07-26 | 2012-01-26 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Tassenstößel und Verfahren zu dessen Herstellung |
CN102274922A (zh) * | 2011-02-01 | 2011-12-14 | 魏一波 | 一种内燃机挺柱的冷镦制造方法 |
-
1998
- 1998-01-09 JP JP01505498A patent/JP3365949B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11200820A (ja) | 1999-07-27 |
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