JP2008185078A - 車両駆動装置の油圧回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルポンプ75の損失を低減することが可能な、車両駆動装置の油圧回路58を提供する。
【解決手段】電動機によって駆動されるオイルポンプ75と、オイルポンプ75からシンクロメッシュ機構37に作動油を供給するライン通路82と、オイルポンプ75から差動装置へ潤滑油を供給する低圧通路83と、油の供給路をライン通路82または低圧通路83に切り換えるレギュレータバルブ84と、レギュレータバルブ84の動作を制御するH/Lソレノイド86と、H/Lソレノイド86の動作を制御するコントローラ100とを備える構成とした。
【選択図】図4

Description

この発明は、電動機の駆動力を車両左右の車輪に差動装置を介して伝達する車両駆動装置の油圧回路に関するものである。
車両の駆動装置として、車両左右の車軸を差動装置に連結するとともに、一方の車軸の外周に同軸に配置した電動機によって差動装置に駆動力を伝達するようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
この駆動装置は、車軸駆動用の電動機と、その電動機の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機と、その減速機の出力を車両左右の車輪に分配する差動装置とが、一体のハウジングに収容されている。電動機のロータには遊星歯車式減速機のサンギヤが連結され、そのサンギヤがプラネタリギヤに噛合されるとともに、プラネタリキャリアが差動装置のディファレンシャルケースに連結されている。プラネタリギヤはさらにリングギヤに噛合され、そのリングギヤは油圧クラッチによって制動制御されるようになっている。
油圧クラッチによるリングギヤの制動が解除されると、電動機から車輪への動力伝達が遮断される。これにより、車輪側回転速度が電動機側回転速度よりも速いとき(減速時)等に、電動機の過剰回転や車軸フリクションの増大を防止することができる。
この油圧クラッチを動作させる油圧回路では、オイルポンプから吐出されたオイルを、切換バルブを介して潤滑油路(低圧油路)とクラッチ側油路(高圧油路)に切り換えられるようになっている。クラッチ側油路には、クラッチ操作用の開閉弁とともに、アキュムレータが設けられている。アキュムレータは、油圧クラッチを操作するときの圧力を安定させるために設けられている。なおアキュムレータの圧力をコントローラにフィードバックするため、圧力センサが設けられている。
上述した油圧回路において、アキュムレータへの蓄圧時には、切換バルブをクラッチ側油路に切り換え、オイルポンプから油圧クラッチおよびアキュムレータに対して高圧の作動油を供給する。アキュムレータが所定圧力まで上昇したら、切換バルブを潤滑油路に切り換え、オイルポンプから電動機、遊星歯車式減速機および差動装置に対して低圧の潤滑油を供給する。なおハウジング内には、電動機、遊星歯車式減速機および差動装置の下部領域に跨るようにオイル貯留部が設けられている。
特開2006−264647号公報
上述した従来技術に係る車両駆動装置の油圧回路の場合、高圧にてアキュムレータの調圧を行った後に、減圧して潤滑油を供給するので、オイルポンプの損失が大きくなるという問題がある。
また上述した従来技術に係る車両駆動装置では、リングギヤの制動が解除されると、遊星歯車式減速機のリングギヤ、プラネタリギヤおよびプラネタリキャリア、並びに差動装置が、車輪とともに空転することになる。ところが、ハウジング内の下部領域のみにオイルが貯留されているので、減速機や差動装置の空転による焼き付きや異常磨耗が懸念される。なおハウジング内の貯留油量を増加させれば、その油によって減速機や差動装置が冷却および潤滑されるので、焼き付きや異常磨耗を防止することが可能になる。しかしながらこの場合には、各ギヤによるオイル撹拌や電動機のフリクション等により、動力伝達時の損失が増大することになる。
そこでこの発明は、オイルポンプの損失を低減することが可能であり、また焼き付きの防止と動力損失の低減とを両立させることが可能な、車両駆動装置の油圧回路を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車輪駆動用の電動機(例えば、後述の実施形態における電動機2)と、この電動機の駆動回転を減速する減速機(例えば、後述の実施形態における遊星歯車式減速機12)と、この減速機の出力を車両左右の車輪に分配する差動装置(例えば、後述の実施形態における差動装置13)と、車両左右のいずれか一方の車輪と前記差動装置の間に設けられた、動力の接続と遮断を行う断接手段(例えば、後述の実施形態におけるシンクロメッシュ機構37)と、を備えた車両の駆動装置(例えば、後述の実施形態における駆動装置1)において、前記電動機によって駆動されるオイルポンプ(例えば、後述の実施形態におけるオイルポンプ75)と、前記オイルポンプから前記断接手段に作動用の油を供給する第1油路(例えば、後述の実施形態におけるライン通路82)と、前記オイルポンプから前記差動装置に潤滑用の油を供給する第2油路(例えば、後述の実施形態における低圧通路83)と、前記油の供給路を前記第1油路または前記第2油路に切り換える第1切換弁(例えば、後述の実施形態におけるレギュレータバルブ84)と、前記第1切換弁の動作を制御する第1電磁弁(例えば、後述の実施形態におけるH/Lソレノイド86)と、前記第1電磁弁の動作を制御する制御部(例えば、後述の実施形態におけるコントローラ100)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、電動機によって駆動されるオイルポンプを採用した場合でも、平常時には第2油路に油を供給して差動装置の潤滑を安定的に行い、断接手段の断接切換時には第1油路に油を供給して、高圧で断接切り換えを行うことが可能になる。したがって、断接切り換えを行うときのみ高圧に調圧し、それ以外では低圧に調圧するため、オイルポンプを高圧で制御する頻度を抑制することにより、オイルポンプの損失を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、前記断接手段の断接に対応して前記油の供給路を切り換える第2切換弁(例えば、後述の実施形態における給排切換えバルブ85)と、前記第2切換弁の動作を制御する第2電磁弁(例えば、後述の実施形態におけるSYNソレノイド87)と、を備え、前記制御部は、前記第1電磁弁に加えて前記第2電磁弁の動作を制御することを特徴とする。
これにより、第1油路の圧力検出や圧力調整等を行うことなく、断接手段の断接切り換えを行うことが可能になる。したがって、オイルポンプの損失を低減することができる。
請求項3に記載の発明は、前記制御部は、前記断接手段を遮断状態から接続状態へと切り換える場合には、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の両方を作動させ、前記断接手段を接続状態から遮断状態へと切り換える場合には、前記第1電磁弁のみを作動させることを特徴とする。
これにより、断接手段の断接切り換えを簡単に行うことができる。
請求項4に記載の発明は、前記制御部は、前記断接手段を遮断状態から接続状態へと切り換えた後、最初に前記第1電磁弁を停止し、次に前記第2電磁弁を停止することを特徴とする。
最初に第2電磁弁を停止すると第1電磁弁のみが作動状態になり断接手段が遮断状態に戻ってしまうが、本発明によれば断接手段の接続状態を維持することができる。
請求項5に記載の発明は、前記電動機、前記減速機および前記差動装置を格納するとともに、前記油が回収される格納室(例えば、後述の実施形態におけるハウジング11)と、前記格納室から区画され、前記電動機の前進駆動時に前記油を一時貯留する油貯留部(例えば、後述の実施形態におけるリザーバタンク80)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、電動機の前進駆動時には、油貯留部に油を一時貯留して、格納室の残留油量を減少させることが可能になる。これに伴って、減速機による残留油の撹拌作用を抑制することが可能になり、また残留油に起因する電動機のフリクションを低減することが可能になる。したがって、動力損失を低減することができる。一方、電動機の停止時や後退駆動時には、油貯留部から格納室に油が流出するので、格納室の残留油量を増加させることが可能になる。これに伴って、断接手段の遮断により格納室内で空転する差動装置を十分に冷却および潤滑することが可能になる。したがって、差動装置の焼き付きや異常磨耗を防止することができる。以上により、動力損失の低減と焼き付きの防止を両立することができる。
請求項6に記載の発明は、前記第2油路は、前記差動装置に加えて前記減速機にも潤滑用の前記油を供給し、さらに前記油貯留部に一時貯留用の前記油を供給することを特徴とする。
これにより、差動装置および減速機の潤滑用に必要な油を供給した後に、余剰の油を油貯留部に供給することが可能になる。したがって、差動装置および減速機の潤滑を確保することができる。
請求項7に記載の発明は、前記油貯留部は、前記油の貯留量が所定量以上になった場合に、前記格納室に前記油を供給することを特徴とする。
これにより、電動機の前進駆動時における格納室の残留油量を調整することができる。
この発明によれば、電動機によって駆動されるオイルポンプを採用した場合でも、平常時には第2油路に油を供給して差動装置の潤滑を安定的に行い、断接手段の断接切換時のみに第1油路に油を供給して断接切り換えを行うことが可能になる。したがって、断接切り換えを行うときのみ高圧に調圧し、それ以外では低圧に調圧するため、オイルポンプを高圧で制御する頻度を抑制することにより、損失を低減することができる。
また、電動機の前進駆動時には油貯留部に油を一時貯留して格納室の残留油量を減少させることが可能になる。そのため、残留油に起因する動力損失を低減することができる。一方、電動機の停止時には油貯留部から油が流出するので格納室の残留油量を増加させることが可能になる。そのため、断接手段の遮断により空転する差動装置を冷却および潤滑することが可能になり、焼き付きおよび異常磨耗を防止することができる。したがって、動力損失の低減と焼き付きの防止を両立させることができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
この発明にかかる駆動装置1は、電動機2を車輪駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両3に用いられる。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動ユニット6を有するハイブリッド車両であり、この駆動ユニット6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wf側に伝達される一方で、この駆動ユニット6と別に設けられたこの発明にかかる駆動装置1の動力が後輪Wr側に伝達されるようになっている。駆動ユニット6の電動機5と後輪Wr側駆動装置1の電動機2は、PDU8(パワードライブユニット)を介してバッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、各電動機5,2からバッテリ9へのエネルギー回生とが、PDU8を介して行われるようになっている。
図2は、駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は図2の部分拡大図である。図2において、10A,10Bは、車両の後輪側の左右の車軸である。駆動装置1のハウジング11は、両車軸10A,10Bのほぼ中間位置から一方の車軸10Bの外周側を覆うように設けられ、車両の後部下方に車軸10Bとともに支持固定されている。また、ハウジング11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の電動機2と、この電動機2の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機(減速機)12と、この遊星歯車式減速機12の出力を左右の車軸10A,10Bに分配する差動装置13とが、車軸10Bと同軸になるように収容配置されている。
ハウジング11内の軸方向略中央位置には、電動機2のステータ14が固定設置され、このステータ14の内周側に環状のロータ15が回転可能に配置されている。ロータ15の内周部には車軸10Bの外周側を囲繞する円筒軸16が結合され、この円筒軸16が車軸10Bと同軸となるようにハウジング11内に回転可能に支持されている。また、円筒軸16の外周とハウジング11の間には、ロータ15の回転位置情報を電動機2の制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20が設けられている。
遊星歯車式減速機12は、円筒軸16の一端側外周に一体に設けられたサンギヤ21と、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22と、これらのプラネタリギヤ22を支持するプラネタリキャリア23と、プラネタリギヤ22の外周側に噛合されるリングギヤ24とを備えている。そのサンギヤ21から電動機2の駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23を通して出力されるようになっている。
プラネタリギヤ22は、サンギヤ21に直接噛合される大径の第1ギヤ26と、この第1ギヤ26よりも小径の第2ギヤ27を有している。これらの第1ギヤ26および第2ギヤ27は、同軸状にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。リングギヤ24は、ハウジング11内の第1ギヤ26の軸方向側方に対面する位置に固定設置され、その内周面が小径の第2ギヤ27に噛合されている。この実施形態の場合、リングギヤ24の最大半径は、第1ギヤ26の車軸10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。
一方、差動装置13は、回転可能なピニオン30が内面側に突設されたディファレンシャルケース31と、このディファレンシャルケース31内においてピニオン30に噛合される一対のサイドギヤ32a,32bとを備え、これらの各サイドギヤ32a,32bが左右の車軸10A,10Bに夫々結合されている。ディファレンシャルケース31の外側面には、遊星歯車式減速機12のプラネタリキャリア23が一体に結合されている。なお、ディファレンシャルケース31はハウジング11内に回転可能に支持されている。
ところで、車軸10Bは、一端に差動装置13の前記サイドギヤ32bが設けられる第1軸34と、この第1軸34の他端に一体回転可能に結合された接続ハブ35と、ハウジング11内の差動装置13と逆側の軸方向の端部に回転可能に設けられた第2軸36とを備え、その第2軸36が右側車輪(図示せず)に接続されている。そして、接続ハブ35と第2軸36とが、断接手段であるシンクロメッシュ機構37を介して、接続状態と遮断状態を任意に変更し得るようになっている。なお、図2,図3においては、ハウジング11の中心軸線を挟んで上側ではシンクロメッシュ機構37が接続された状態を示し、下側ではシンクロメッシュ機構37が遮断された状態を示している。
接続ハブ35は、図3にも示すように、第1軸34にスプライン嵌合される軸部38と、軸部38の端部に一体に形成されたフランジ部39とを備え、フランジ部39の外周に、スプラインギヤ40が設けられるとともに、このスプラインギヤ40に対して一段縮径して先細り状に傾斜するテーパ面41が設けられている。
車輪側の第2軸36は、一端に右車輪側の図示しない接続ロッドがスプライン嵌合される軸部42と、この軸部42の接続ハブ35側の端部に一体に形成されたフランジ部43とを備え、フランジ部43の外周に接続ハブ35方向に突出する円筒壁44が設けられるとともに、この円筒壁44の外周面に、接続ハブ35のスプラインギヤ40と同径のスプラインギヤ45が形成されている。
シンクロメッシュ機構37は、所謂トリプルコーン式のシンクロメッシュ機構であり、接続ハブ35のテーパ面41と第2軸36の円筒壁44との間に介装された3層の摩擦伝達部材であるアウタリング46、シンクロコーン47およびインナリング48を備えている。また、第2軸36のスプラインギヤ45の外周に軸方向にスライド可能にスプライン嵌合されるシンクロスリーブ49と、このシンクロスリーブ49を軸方向に進退作動させる制御ピストン50(ピストン)と、を備えている。
このシンクロメッシュ機構37では、シンクロスリーブ49が制御ピストン50によって接続ハブ35方向に操作されたときに、アウタリング46、シンクロコーン47、インナリング48および接続ハブ35が、隣接する各テーパ面を通して摩擦接触する。これにより、接続ハブ35と第2軸36の間に回転速度差がある場合に、その回転速度差が各テーパ面間の摩擦抵抗によって漸減されるようになっている。接続ハブ35と第2軸36の回転速度差が充分に低くなり、さらにシンクロスリーブ49が接続ハブ35方向に操作されると、シンクロスリーブ49の内周面に形成された内スプライン(符号省略)が、第2軸36のスプラインギヤ45および接続ハブ35のスプラインギヤ40に跨って噛合する。それによって、第1軸34と第2軸36とが結合されるようになっている。一方、第1軸34と第2軸36が結合された状態から、制御ピストン50が接続ハブ35から離間する方向に操作されると、シンクロスリーブ49の内スプラインと接続ハブ35のスプラインギヤ40との噛合が解除される。それによって、第1軸34と第2軸36との接続が遮断されるようになっている。
制御ピストン50は、ハウジング11の端部寄りの周壁11aに摺動自在に嵌合される略円筒状のガイド壁51と、ハウジング11の端部壁11bに円環状に凹設されたシリンダ部52に摺動自在に嵌合される円環状のピストン本体53と、ガイド壁51とピストン本体53を結合する円筒状の連結壁54とを備えている。またハウジング11の端部壁11bには、制御ピストン50の連結壁54の内周面に摺動自在に当接する円環状のシール壁55が固定されている。そして、ピストン本体53、連結壁54、シール壁55およびシリンダ部52で囲まれた領域に、解除側作動室56が形成されている。また、ピストン本体53とシリンダ部52の底部との間に、接続側作動室57が形成されている。解除側作動室56と接続側作動室57は、それぞれ後述する油圧回路58の給排通路59,60(図4参照)に接続されている。
また、制御ピストン50のガイド壁51の内周には環状の保持リング61が取り付けられ、シンクロスリーブ49の外周に突設された係止爪49aがこの保持リング61によって係止されるようになっている。したがって、シンクロスリーブ49は保持リング61を介して制御ピストン50に係止され、制御ピストン50の作動に応じて進退操作されるようになっている。
ハウジング11の周壁11aと制御ピストン50のガイド壁51との間には、制御ピストン50を前後の設定制御位置(接続側の制御位置と解除側の制御位置)に位置決めするためのディテント機構62が設けられている。このディテント機構62は、ガイド壁51の外周面に軸方向に沿って設けられた接続側および解除側の各位置決め溝63,64と、ハウジング11の周壁11aを貫通して設けられたボール保持器65と、ボール保持器65に進退自在に保持されたボール66と、このボール66を制御ピストン50の軸心方向に付勢するスプリング67とによって構成されている。制御ピストン50が前後のいずれか一方に油圧制御されたときに、その操作方向にある位置決め溝63または64に、ボール66がスプリング付勢されて嵌合される。これによりディテント機構62は、制御ピストン50を軸方向前後のいずれかの設定制御位置に位置決めするようになっている。
また、ハウジング11の周壁11aと端部壁11bには、制御ピストン50の制御位置からシンクロメッシュ機構37の断接状態を検出する一対の状態検出スイッチ68,69が設けられている。この状態検出スイッチ68,69は、図3に示すように先端部にボール70を保持する検出ピストン71がケーシング78内に収容され、ボール70に作用する外力によって検出ピストン71が設定量押し込まれたときにスイッチ本体部72がオン状態にされ、スイッチ本体部72からオン信号が図示しないコントローラに出力されるようになっている。一方の状態検出スイッチ68は、ハウジング11の周壁11aに斜めに傾斜して設置され、その先端部が周壁11aを貫通してハウジング11内に突出しており、他方の状態検出スイッチ69は、ハウジング11の端部壁11bに軸方向に沿って設置され、その先端部が端部壁11bを貫通してハウジング11内に突出している。制御ピストン50のガイド壁51の外周には一方の状態検出スイッチ68の先端部との緩衝を回避するための窪み部73が設けられるとともに、ガイド壁51の端部壁11b寄りの外周縁部には、制御ピストン50の作動位置に応じて状態検出スイッチ68,69の各ボール70が選択的に当接するテーパ状のスイッチ作動片74が設けられている。なお、この実施形態の場合、周壁11aに設置される状態検出スイッチ68がシンクロメッシュ機構37の接続状態(オン状態)を検出し、端部壁11bに設置される状態検出スイッチ69がシンクロメッシュ機構37の遮断状態(オフ状態)を検出する。
また、ハウジング11内の電動機2とシンクロメッシュ機構の37の間には、図2に示すように、ハウジング11内の底部から汲み上げた油を制御ピストン50やハウジング11内の冷却通路、潤滑通路、さらにリザーバタンク80への戻し通路に供給するためのオイルポンプ75が固定設置されている。このオイルポンプ75は、電動機2の駆動力を受けて作動するポンプであり、例えばトロコイド型のポンプによって構成されている。冷却や潤滑に提供された油は、ハウジング11内の底部に回収される。なお、図2中81は、オイルポンプ75の吸入部に設けられたオイルストレーナである。
電動機2の停止時にはオイルポンプ75も停止するため、図2に示すようにハウジング11の底部における残留油量99は増加する。これに対して、電動機2の作動時にはオイルポンプ75も作動するため、図5に示すようにハウジング11の底部における残留油量99は減少する。
(油圧回路)
ここで、図4に示す油圧回路58について説明する。
この油圧回路58は、ハウジング11内の底部の油を吸い上げて吐出するオイルポンプ75と、オイルポンプ75から吐出された油を高圧のライン通路82と低圧通路83に振り分けるレギュレータバルブ84とを備えている。低圧通路83には、油をオイルポンプ75に戻す還流バルブ122が設けられている。ライン通路82には、シンクロメッシュ機構37の制御ピストン50を制御するための給排通路59,60に対してライン通路82を選択的に連通させる給排切換えバルブ85が設けられている。レギュレータバルブ84および給排切換えバルブ85は、夫々電磁式の制御バルブ86,87によって操作されるようになっている。なお、以下では、説明の都合上レギュレータバルブ84を操作する制御バルブ86をH/Lソレノイド86と呼び、給排切換えバルブ85を操作する制御バルブ87をSYNソレノイド87と呼ぶものとする。
レギュレータバルブ84は、バルブ収容室(符号省略)内に摺動自在に収容された制御スプール88と、バルブ収容室の略中央部の内周面に形成されてポンプ側通路89とライン通路82を常時連通させる環状の供給ポート90と、バルブ収容室の供給ポート90に隣接する位置に形成されて低圧通路83に連通する環状の排出ポート91と、バルブ収容室の一端側(図中右側)に配置されて制御スプール88を他端側(図中左側)に付勢するスプリング92と、バルブ収容室の他端に設けられて制御スプール88にスプリング92の力に抗する方向にライン通路82の圧力を作用させるライン圧導入ポート93と、スプリング92の収容されるバルブ収容室の一端側に設けられて後述するH/Lソレノイド86による制御圧が導入されるスプール制御ポート94とを備えている。
このレギュレータバルブ84は、スプール制御ポート94がH/Lソレノイド86によって低圧(ドレン圧)に制御されているときには、ライン圧導入ポート93を通して制御スプール88に作用するライン圧がスプリング92の付勢力に打ち勝ち、制御スプール88を図4中右側に移動させて供給ポート90を排出ポート91に導通させる。このとき、オイルポンプ75から吐出された油はレギュレータバルブ84を介して低圧通路83側に供給される。一方、この状態からスプール制御ポート94がH/Lソレノイド86によって高圧(ライン圧)に制御されると、ライン圧導入ポート93とスプール制御ポート94を通して制御スプール88に作用する力が釣り合い、制御スプール88はスプリング92の力によって図4中左側に移動する。このとき、オイルポンプ75から吐出された油はレギュレータバルブ84を通してほぼ全量がライン通路82に供給される。
H/Lソレノイド86は、ソレノイドのオン・オフによって操作される2位置3ポート型の切換弁であり、ライン通路82に接続されたライン側ポート95と、レギュレータバルブ84のスプール制御ポート94および後述する給排切換えバルブ85の第2給排ポート110に接続された制御ポート96と、ドレン通路に接続されたドレンポート97とを備えている。このH/Lソレノイド86は、コントローラ100によってオン・オフ制御され、オフ制御時には制御ポート96をドレンポート97に接続し、オン制御時にはライン側ポート95を制御ポート96に接続するようになっている。つまり、H/Lソレノイド86のオフ制御時には、レギュレータバルブ84のスプール制御ポート94が低圧状態になり、同バルブ84がポンプ側通路89と低圧通路83とを接続する。これに対して、H/Lソレノイド86のオン制御時には、レギュレータバルブ84のスプール制御ポート94が高圧状態になり、同バルブ84がポンプ側通路89と低圧通路83とを遮断する。
また、給排切換えバルブ85は、バルブ収容室(符号省略)内に摺動自在に収容された制御スプール108と、バルブ収容室の略中央部に軸方向に並んで設けられ、ライン通路82に接続された環状の第1給排ポート109およびH/Lソレノイド86のバルブ制御ポート96に接続された環状の第2給排ポート110と、バルブ収容室の第1給排ポート109に隣接する位置に設けられ、制御ピストン50の接続側作動室57に接続された環状の接続側ポート111と、バルブ収容室の接続側ポート111に隣接する位置に設けられた第1ドレンポート107と、バルブ収容室の第2給排ポート110に隣接する位置に設けられ、制御ピストン50の解除側作動室56に接続された環状の解除側ポート112と、バルブ収容室の解除側ポート112に隣接する位置に設けられた第2ドレンポート106と、バルブ収容室の一端側(図中右側)に配置されて制御スプール108を他端側(図中左側)に付勢するスプリング113と、バルブ収容室の他端に設けられてSYNソレノイド87による制御圧が導入されるスプール制御ポート114とを備えている。
この給排切換えバルブ85は、スプール制御ポート114がSYNソレノイド87によって低圧(ドレン圧)に制御されているときには、制御スプール108をスプリング113の付勢力によって図4中左側に移動させて、第2給排ポート110を解除側ポート112に連通させるとともに、接続側ポート111を第1ドレンポート107に連通させる。ここでH/Lソレノイド86がオフ制御されている場合には、解除側ポート112(解除側作動室56)および接続側ポート111(接続側作動室57)がともにドレン圧になり、制御ピストン50は非作動状態に保持される。一方、H/Lソレノイド86がオン制御されている場合には、解除側ポート112(解除側作動室56)がライン圧になる一方で接続側ポート111(接続側作動室57)がドレン圧になり、その結果、制御ピストン50はシンクロ解除方向に作動する。
一方、H/Lソレノイド86がオン制御されている状態から、スプール制御ポート114がSYNソレノイド87によって高圧(ライン圧)に制御されると、制御スプール108がスプリング113の付勢力に打ち勝って図4中右側に移動し、第1給排ポート109を接続側ポート111に連通させるとともに、解除側ポート112を第2ドレンポート106に連通させる。これにより、接続側ポート111(接続側作動室57)がライン圧になる一方で、解除側ポート112(解除側作動室56)がドレン圧になり、その結果、制御ピストン50はシンクロ接続方向に作動する。
SYNソレノイド87は、ソレノイドのオン・オフによって操作される2位置3ポート型の切換弁であり、ライン通路82に接続されたライン側ポート116と、給排切換バルブ85のスプール制御ポート114に接続された制御ポート117と、ドレン通路に接続されたドレンポート118とを備えている。このSYNソレノイド87は、H/Lソレノイド86と同様にコントローラ100によってオン・オフ制御され、オフ制御時には制御ポート117をドレンポート118に接続し、オン制御時にはライン側ポート116を制御ポート117に接続するようになっている。つまり、SYNソレノイド87のオフ制御時には、給排切換えバルブ85のスプール制御ポート114が低圧状態になり、同バルブ85が第2給排ポート110を解除側ポート112に接続するともに、接続側ポート111を第1ドレンポート107に接続する。これに対して、SYNソレノイド87のオン制御時には、給排切換えバルブ85のスプール制御ポート114が高圧状態になり、同バルブ85が第1給排ポート109を接続側ポート111に接続するとともに、解除側ポート112を第2ドレンポート106に接続する。
なお、上述した電動機2、H/Lソレノイド86およびSYNソレノイド87は、コントローラ100に接続され、コントローラ100からの通電により作動制御されるようになっている。
また、図4中、120は、ライン通路82の圧力を検出してその信号をコントローラ100に出力する圧力センサであり、121は、ライン通路82に設けられたリリーフバルブである。なお圧力センサ120およびリリーフバルブ121を設けない構成としてもよい。
一方、低圧通路83に設けられた還流バルブ122は、バルブ収容室(符号省略)内に摺動自在に収容された制御スプール124と、バルブ収容室の略中央部に設けられ低圧通路83に接続された環状の供給ポート127と、供給ポート127に隣接する位置に設けられ、還流通路130に接続された排出ポート128と、バルブ収容室の一端側(図中右側)に配置されて制御スプール124を他端側(図中左側)に付勢するスプリング125と、バルブ収容室の他端に設けられて制御スプール124にスプリング125の力に抗する方向に低圧通路83の圧力を作用させるライン圧導入ポート126とを備えている。
この還流バルブ122は、ライン圧導入ポート126が低圧のときには、制御スプール124をスプリング125の付勢力によって図4中左側に移動させて、供給ポート127を排出ポート128から遮断している。これに対して、低圧通路83の流量が増大し、ライン圧導入ポート126が高圧になると、制御スプール124がスプリング125の付勢力に打ち勝って図4中右側に移動し、供給ポート127を排出ポート128に連通させる。これにより、低圧通路83を流れる油が還流通路130に流入し、低圧通路83の油圧が調圧される。この還流通路130は、オイルポンプ75の上流側に接続されている。そのため、還流通路130を流れる油がハウジング11の底部に戻ることなく、オイルポンプ75に直接供給されることになる。これにより、オイルポンプ75の吸上げ効率を向上させることができる。
また、還流通路130からバイパス通路132が分岐して、オイルポンプ75の下流側のポンプ側通路89に連結されている。このバイパス通路132には、ポンプ側通路89から還流通路130への油の流入を防止するため、逆止め弁133が設けられている。上述したように、本実施形態のオイルポンプ75は、電動機2の駆動力を受けて作動するポンプである。そのため、車両の後退駆動時に電動機が逆回転すると、オイルポンプ75も逆回転することになる。この場合でも、オイルポンプ75から還流通路130に流入した油を、バイパス通路132を通ってポンプ側通路89に戻すことにより、循環させることができる。なおバイパス通路132には逆止め弁133が設けられているので、オイルポンプ75の正回転時に、ポンプ側通路89から還流通路130に油が流入するのを防止することができる。
(油の分配方法)
低圧通路83を流れる油は、複数の分岐通路(不図示)を介して車両駆動装置の各部に供給され、冷却油や潤滑油として使用される。
図5は、油の分配方法の説明図である。オイルポンプ75は、ストレーナ81を介して、ハウジング11の底部中央から油を吸上げる。オイルポンプ75が吸上げた油は、冷却通路(不図示)を通って電動機2の上方に供給され、複数箇所から電動機2に滴下される。これにより、電動機2が冷却される。電動機2の冷却油として、例えば合計Qc(L/min)の油を供給する。またオイルポンプ75が吸上げた油は、車軸10Bの中心軸に沿って形成された潤滑通路を通って、遊星歯車式減速機12等の各ギヤに供給され、また遊星歯車式減速機12や円筒軸16等の各ベアリングに供給される。これにより、各ギヤや各ベアリングが潤滑される。この場合には、各ギヤの潤滑油として例えばQg(L/min)の油を供給し、各ベアリングの潤滑油として例えばQb2(L/min)の油を供給する。
一方、オイルポンプ75が吸上げた油は、リザーバタンク80に供給される。リザーバタンクの容量はQa(L)であり、例えばリザーバタンク80に対してQt(L/min)の油が供給される。供給された油は、リザーバタンク80から車両駆動装置の各部に落下して、潤滑油として使用される。例えば、遊星歯車式減速機12にQp(L/min)の潤滑油を落下させ、差動装置13にQd(L/min)の潤滑油を落下させ、車軸10AのベアリングにQb1(L/min)の潤滑油を落下させる。なおリザーバタンク80に供給された油の残りQr(=Qt−(Qp+Qd+Qb1))(L/min)は、リザーバタンク80から溢れてハウジング11の底部に回収される。
以上のように、オイルポンプ75が例えばQc+Qg+Qb2+Qt(L/min)の油を吸上げて、車両駆動装置の各部に供給する。
図6は、車速、タンク供給量および貯蔵時間の相関を示すグラフである。本実施形態では、車両駆動用の電動機2によりオイルポンプ75が駆動されるので、車速が早いほどオイルポンプ75からリザーバタンク80へのオイル供給量(タンク供給量)は多くなる。そのため、車速はタンク供給量に比例することになる。またタンク供給量が多いほど、リザーバタンク80へのオイル貯蔵に要する時間(貯蔵時間)は短くなるから、貯蔵時間はタンク供給量に反比例する。一例を挙げれば、タンク供給量がQ1(L/min)の場合に、車速はV1(km/h)であり、貯蔵時間はT1(sec)となる。
この貯蔵時間は、ハウジング底部の残留油量の低下時間に一致する。そのため図6を用いて、残留油量の低下時間を予測することができる。さらに図6を用いて、所定時間内に残留油量を低下させるためのタンク供給量を求めることができる。
次に、車両の様々な走行モードにおける車両駆動装置の油圧回路の動作について説明する。
(車両発進、加速)
図11は、本実施形態に係る車両駆動装置の油圧回路の第1タイミングチャートである。まず車両の発進・加速時について説明する。車両の発進時に電動機2が始動されると、電動機2の駆動力が遊星歯車式減速機12によって設定減速比に減速され、さらに差動装置13を介して左右の車軸10A,10Bに伝達される。このとき、電動機2から車輪に動力を伝達するため、シンクロメッシュ機構37は接続状態とされている。そのため、差動装置13で分配された駆動力は左右の車軸10A,10Bを通して車輪に伝達される。ここでは、電動機2の冷却および動力伝達機構(遊星歯車式減速機12や差動装置13等)の潤滑を行うため、車両駆動装置の油圧回路を冷却および潤滑モードに設定する。
図7は、油圧回路のモードとソレノイドの動作との対応表である。なお図7では、ソレノイドをオン制御する場合を○で、オフ制御する場合を×で示している。図7(3)に示すように、冷却および潤滑モードでは、SYNソレノイド87およびH/Lソレノイド86を共にオフにする。
図8は、冷却および潤滑モードにおける油圧回路の動作説明図である。電動機2の始動とともにオイルポンプ75の回転速度が上昇して、図4に示すライン通路82の圧力が上昇すると、レギュレータバルブ84のライン圧導入ポート93の圧力が高まり、レギュレータバルブ84の制御スプール88が図中右側に移動する。これにより、供給ポート90と排出ポート91が接続され、オイルポンプ75から吐出された油は低圧通路83に供給される。
低圧通路83に供給された油は、図5に示すように冷却油として電動機2に供給され、また潤滑油として動力伝達機構に供給される。さらに、リザーバタンク80にも供給されて一時貯留されるので、ハウジング11の底部の残留油99の量は減少する(低油面の冷却・潤滑モード)。そのため、動力伝達機構の各ギヤによる残留油99の撹拌作用を最小限に抑制することが可能になり、動力損失を低減することができる。また残留油に起因する電動機2のフリクションを低減することが可能になり、動力損失を低減することができる。
(クルーズ走行)
図11に戻り、加速を終了して、車速一定でクルーズ走行する場合について説明する。この場合には、電動機2から車輪に動力を伝達する必要性が小さくなる。そこで、シンクロメッシュ機構37を接続状態(オン状態)から遮断状態(オフ状態)に切り換える。図7(2)に示すように、シンクロOFF切換モードでは、H/Lソレノイド86のみをオンにして、SYNソレノイド87はオフのままに維持する。具体的には、図11に示すように、コントローラ100によりクルーズ走行状態と判定された時点で、コントローラ100がH/Lソレノイド86をオンにする。
図9は、シンクロOFF切換モードにおける油圧回路の動作説明図である。コントローラ100がH/Lソレノイド86をオンにして、同ソレノイド86のライン側ポート95をバルブ制御ポート96側に接続する。こうして、バルブ制御ポート96に高圧のライン圧が導入されると、レギュレータバルブが図4中の左側に移動し、オイルポンプ75から吐出された油のほぼ全流量がライン通路82に供給されるとともに、ライン通路82の油がバルブ制御ポート96を通して給排切換えバルブ85の第2給排ポート110に供給される。このとき、SYNソレノイド87はオフ状態とされているため、給排切換えバルブ85は第2給排ポート110を解除側ポート112に接続し、接続側ポート111を第1ドレンポート107に接続している。したがって、解除側作動室56に高圧の作動油が供給される一方で接続側作動室57から作動油が排出され、その結果、制御ピストン50がシンクロ解除方向に作動してシンクロメッシュ機構37を解除状態にする。なお、このとき制御ピストン50はディテント機構62によって確実にシンクロ解除位置に維持される。
図11に戻り、シンクロメッシュ機構37が解除され、そのことが状態検出スイッチ69によって検出されると、コントローラ100が電動機2の作動を停止するとともに内燃機関4を始動し、その後にH/Lソレノイド86を再度オフにする。このとき、解除側作動室56と接続側作動室57の作動油がともにドレンされるが、シンクロメッシュ機構37は一度噛み合いが解除されると、その状態が維持されるため、解除側作動室56には高圧を作用させ続ける必要はない。
ところで、図2に示すようにシンクロメッシュ機構37が解除されると、差動装置13と右側車輪の接続が遮断されるため、右側車輪がフリー状態で回転するようになるとともに、差動装置13の右側のサイドギヤ32bがほぼ無負荷状態となる。このため、左側の車輪の回転力は、左側のサイドギヤ32aからディファレンシャルケース31に殆ど伝達されることなく、右側のサイドギヤ32b(右側の車軸10Bの第1軸34)のみを回転させることになる。したがって、このとき左右の車輪の回転は、差動装置13のディファレンシャルケース31部分で遮断され、遊星歯車式減速機12や電動機2には伝達されなくなる。この結果、車輪の回転に電動機2が引きずられて回転することがなくなるのは勿論のこと、ディファレンシャルケース31や遊星歯車式減速機12の連れ回りも生じなくなる。
このように、電動機2の停止に伴って、遊星歯車式減速機12や差動装置13のディファレンシャルケース31等の動力伝達機構の運動も停止するので、これらを冷却および潤滑する必要はなくなる。本実施形態では、電動機2の停止に伴ってオイルポンプ75の作動も停止するので、電動機2、動力伝達機構およびリザーバタンク80への油の供給が停止する。これに伴って、ハウジング11の底部の残留油99の量は増加し、例えばハウジング11の下半部が油没した状態になる。この残留油99により、差動装置13において空転するサイドギヤ32の冷却および潤滑を十分に行うことが可能になる(高油面の冷却・潤滑モード)。したがって、サイドギヤ32の焼き付きや異常磨耗を防止することができる。
(急加速)
図11に戻り、クルーズ走行状態を終了して、急加速を行う場合について説明する。この場合には、電動機2から車輪に動力を伝達する必要があり、シンクロメッシュ機構37を遮断状態(オフ状態)から接続状態(オン状態)に切り換える。図7(1)に示すように、シンクロON切換モードでは、H/Lソレノイド86およびSYNソレノイド87を共にオンにする。具体的には、図11に示すように、コントローラ100により急加速状態が判定されると、コントローラ100が電動機2を再始動させて、現在の車速に合致するように電動機2の回転速度を制御する。これと同時に、コントローラ100はH/Lソレノイド86をオンにする。さらに電動機の回転数合わせの終了後、コントローラ100はSYNソレノイド87をオンにする。
図10は、シンクロON切換モードにおける油圧回路の動作説明図である。H/Lソレノイド86をオンにし、同ソレノイド86のライン側ポート95をバルブ制御ポート96側に接続して、オイルポンプ75からの油の供給をレギュレータバルブ84によってライン通路82側に切換える。この後、コントローラ100がSYNソレノイド87をオンにして、同ソレノイド87のライン側ポート116を制御ポート117に接続し、給排切換えバルブ85を図4中の右側に移動させる。これにより、給排切換えバルブ85は第1給排ポート109を接続側ポート111に接続するとともに、解除側ポート112を第2ドレンポート106に接続するようになる。したがって、このとき接続側作動室57に高圧の作動油がライン通路82から供給される一方で解除側作動室56から作動油が排出され、その結果,制御ピストン50がシンクロ接続方向に作動してシンクロメッシュ機構37を接続状態にする。なお、このときも制御ピストン50はディテント機構62によって確実にシンクロ接続位置に維持される。
図11に戻り、シンクロメッシュ機構37が接続され、そのことが状態検出スイッチ68によって検出されると、コントローラ100がH/Lソレノイド86をオフにし、その後にSYNソレノイド87をつづけてオフにする。これは、H/Lソレノイド86をオンにしたままSYNソレノイド87を先にオフにすると、シンクロOFF切換モードになってメッシュ機構37が遮断されてしまうからである。こうして、図10に示すH/Lソレノイド86とSYNソレノイド87がともにオフにされると、接続側作動室57と解除側作動室56の作動油がドレンされるが、シンクロメッシュ機構37は一度噛み合い状態にされると、その状態が維持されるため、接続側作動室57には高圧を作用させ続ける必要はない。このときも、オイルポンプ75から吐出された油は再び低圧通路83に供給されるようになる。
H/Lソレノイド86およびSYNソレノイド87が共にオフになると、図7(3)に示す冷却・潤滑モードに移行する。ここでは電動機2が再始動しているので、低油面の冷却・潤滑モードになり、電動機2に冷却油が供給されて電動機2が冷却され、また動力伝達機構に潤滑油が供給されて各ギヤが潤滑される。
(電動機の過回転防止)
図11に戻り、車速が所定値V3を超えた時点で、電動機2の過回転を防止するため、電動機2を停止する場合について説明する。この場合には、車輪の回転が電動機に伝達されるのを遮断する必要がある。そこで、シンクロメッシュ機構37を接続状態(オン状態)から遮断状態(オフ状態)に切り換える。図7(2)に示すように、シンクロOFF切換モードでは、H/Lソレノイド86のみをオンにして、SYNソレノイド87はオフのままに維持する。具体的には、図11に示すように、車速が第1所定値V3を上回ったとコントローラ100が判定した時点で、コントローラ100がH/Lソレノイド86をオンにする。そして、図9に示すように油圧回路を動作させ、シンクロメッシュ機構37を解除する。
シンクロメッシュ機構37が解除され、そのことが状態検出スイッチ69によって検出されると、コントローラ100が電動機2の作動を停止し、その後にH/Lソレノイド86を再度オフにする。電動機2の停止に伴って、高油面の冷却・潤滑モードとなり、差動装置13において空転するサイドギヤ32の冷却および潤滑が行われる。
(減速回生)
図12は、本実施形態に係る車両駆動装置の油圧回路の第2タイミングチャートである。まず車両の減速中に、電動機からバッテリへのエネルギー回生を行う場合について説明する。この場合には、車輪の回転を電動機2に伝達する必要がある。そこで、シンクロメッシュ機構37を遮断状態(オフ状態)から接続状態(オン状態)に切り換える。図7(1)に示すように、シンクロON切換モードでは、H/Lソレノイド86およびSYNソレノイド87を共にオンにする。具体的には、図12に示すように、車速が第2所定値V2(<第1所定値V3)を下回ったとコントローラ100が判定した時点で、コントローラ100が電動機2を再始動させて、現在の車速に合致するように電動機2の回転速度を制御する。これと同時に、コントローラ100はH/Lソレノイド86をオンにする。電動機の回転数合わせ後、コントローラ100はSYNソレノイド87をオンにする。そして、図10に示すように油圧回路を動作させ、シンクロメッシュ機構37を接続する。
シンクロメッシュ機構37を接続すると、車輪の回転に伴って電動機が連れ回り、発電が行われる。発生した電気はバッテリに蓄えられ、エネルギー回生が行われる。
シンクロメッシュ機構37が接続され、そのことが状態検出スイッチ68によって検出されると、コントローラ100がH/Lソレノイド86をオフにし、その後にSYNソレノイド87をつづけてオフにする。ここでは電動機2が作動しているので、低油面の冷却・潤滑モードとなり、電動機2に冷却油が供給されて電動機2が冷却され、また動力伝達機構に潤滑油が供給されて各ギヤが潤滑される。
(クルーズ走行)
図11に戻り、減速回生を終了し、クルーズ走行する場合について説明する。この場合には、電動機2から車輪に動力を伝達する必要性が小さくなるので、シンクロメッシュ機構37を接続状態(オン状態)から遮断状態(オフ状態)に切り換える。図7(2)に示すように、シンクロOFF切換モードでは、H/Lソレノイド86のみをオンにして、SYNソレノイド87はオフのままに維持する。具体的には、コントローラ100によりクルーズ走行状態と判定された時点で、コントローラ100がH/Lソレノイド86をオンにする。そして、図9に示すように油圧回路を動作させ、シンクロメッシュ機構37を解除する。
シンクロメッシュ機構37が解除され、そのことが状態検出スイッチ69によって検出されると、コントローラ100が電動機2の作動を停止し、その後にH/Lソレノイド86を再度オフにする。電動機2の停止に伴って、高油面の冷却・潤滑モードとなり、差動装置13において空転するサイドギヤ32の冷却および潤滑が行われる。
(減速、車両停止)
図11に戻り、車両の停止時について説明する。車両を停止する前に、減速回生を行うとともに前後輪のバランスをとるため、車輪と電動機2とを連結する必要がある。そこで、シンクロメッシュ機構37を遮断状態(オフ状態)から接続状態(オン状態)に切り換える。その具体的な方法は、減速回生について上述した方法と同様である。
以上に述べたように、図2に示す車両駆動装置1においては、右側車輪と差動装置13を接続する一方の車軸10B中にシンクロメッシュ機構37が設けられ、このシンクロメッシュ機構37によって右側車輪と差動装置13の接続を遮断することにより、左右の車輪の回転がディファレンシャルケース31に伝達されるのを阻止できるようになっている。そのため、車輪を電動機2から切り離して運転する場合に、電動機2だけでなく重量物であるディファレンシャルケース31や遊星歯車式減速機12の連れ回りを防止することができる。したがって、この駆動装置1を採用することにより、車輪を電動機2側から切り離して運転する場合における車軸フリクションを大幅に低減し、車両の動力損失を確実に減少させることができる。
また、この駆動装置1においては、一方の車軸10Bの周囲に電動機2が同軸に配置されているため、装置の全体の外径を小さくすることができる。したがって、車両における駆動装置1の占有面積を縮小することができため、車両レイアウトを有利にすることができる。
さらに、この駆動装置1においては、電動機2の駆動力を減速して差動装置13に伝達する減速機として、リングギヤ24がハウジング11の内周面に結合される遊星歯車式減速機12を採用しているため、車軸10B回りの外径を大きくすることなく、電動機2から差動装置13に伝達される動力を充分に大きく減速することができる。
特に、駆動装置1で採用している遊星歯車式減速機12の場合、プラネタリギヤ22を、サンギヤ21に噛合される大径の第1ギヤ26とこの第1ギヤ26よりも小径の第2ギヤ27を同軸に設けた構造とし、リングギヤ24を第1ギヤ26の軸方向側部に配置して第2ギヤ27に噛合するようにしているため、サンギヤ21と噛合するプラネタリギヤ22のギヤ部の径を大きく維持したまま、リングギヤ24の外径を充分に小さくすることができる。このため、充分に大きな減速比を確保したまま、車軸10B回りの外径をより小さくすることができる。
また、この駆動装置1においては、電動機2の動力で作動するオイルポンプ75をハウジング11内の電動機2とシンクロメッシュ機構37の間に配置し、そのオイルポンプ75で発生した油圧によってシンクロメッシュ機構37を制御するようになっているため、オイルポンプ75とシンクロメッシュ機構37の操作部の間の油路を短くして迅速なシンクロメッシュ機構37の作動を得ることができる。
また、一方の車輪と差動装置の間で動力接続と遮断を行う断接手段は、シンクロメッシュ機構37に限らず摩擦クラッチ等の他の機構を採用することも可能であるが、この実施形態のシンクロメッシュ機構37のような噛み合い式断接手段を用いた場合には、動力接続時や遮断時に付与する押圧力は短時間の間一時的に付与するのみで済み、その分エネルギーの損失を低減するうえで有利となる。また、シンクロメッシュ機構37のような噛み合い式断接手段においては、多板クラッチ等に比較して遮断状態での摺動抵抗が少なく、その分動力損失を低減することができる。
さらに、この実施形態の駆動装置1においては、シンクロメッシュ機構37のシンクロスリーブ49を操作する略円環状の制御ピストン50を、車軸10Bやシンクロスリーブ49と同軸に配置し、その制御ピストン50に油圧を作用させてシンクロメッシュ機構37の接続と遮断を行うようになっているため、常に円周方向でバランスした均一な力をシンクロスリーブ49に作用させて、安定した断接操作を行うことができるという利点がある。
また、この実施形態の場合、制御ピストン50の進退位置を基にシンクロメッシュ機構37の断接状態を検出する状態検出スイッチ68,69のうちの、接続検出側の状態検出スイッチ68がハウジング11の周壁11aに斜めに傾斜させて配置されているため、状態検出スイッチ68がハウジング11内の軸方向を占有する面積が小さくなり、その分ハウジング11の軸長の短縮を図ることができるという利点もある。
また、この駆動装置1においては、シンクロメッシュ機構37の接続が、基本的に、電動機2による車両駆動や回生発電等が行われる電動機2の作動時にのみ為されるように制御ピストン50が制御されるため、電動機2を作動させない状況での車軸フリクションを低減し、車両運転時におけるエネルギー損失を減少させることができる。
一方、図4に示す車両駆動装置1の油圧回路においては、電動機2によって駆動されるオイルポンプ75と、オイルポンプ75からシンクロメッシュ機構37に作動油を供給するライン通路82と、オイルポンプ75から差動装置13へ潤滑油を供給する低圧通路83と、油の供給路をライン通路82または低圧通路83に切り換えるレギュレータバルブ84と、レギュレータバルブ84の動作を制御するH/Lソレノイド86と、H/Lソレノイド86の動作を制御するコントローラ100とを備える構成とした。
これにより、電動機2によって駆動されるオイルポンプ75を採用した場合でも、平常時には低圧通路83に冷却油および潤滑油を供給して安定的に冷却および潤滑を行い、シンクロメッシュ機構37の断接切換時にはライン通路82に作動油を供給して、高圧で断接切り換えを行うことが可能になる。したがって、断接切り換えを行うときのみ高圧に調圧し、それ以外では低圧に調圧するため、オイルポンプ75を高圧で制御する頻度を抑制することにより、オイルポンプ75の損失を低減することができる。
また、シンクロメッシュ機構37の断接切り換えに対応して作動油の供給路を切り換える給排切換えバルブ85と、給排切換えバルブ85の動作を制御するSYNソレノイド87と、SYNソレノイド87の動作を制御するコントローラ100とを備える構成とした。
これにより、ライン通路82の圧力検出や圧力調整等を行うことなく、シンクロメッシュ機構37の断接切り換えを行うことが可能になる。したがって、オイルポンプの損失を低減することができる。
またコントローラ100は、シンクロメッシュ機構37を遮断状態から接続状態へと切り換える場合には、H/Lソレノイド86およびSYNソレノイド87の両方を作動させ、シンクロメッシュ機構37を接続状態から遮断状態へと切り換える場合には、H/Lソレノイド86のみを作動させる構成とした。
これにより、シンクロメッシュ機構37の断接切り換えを簡単に行うことができる。
またコントローラ100は、シンクロメッシュ機構37を遮断状態から接続状態へと切り換えた後、最初にH/Lソレノイド86を停止し、次にSYNソレノイド87を停止する構成とした。
最初にSYNソレノイド87を停止すると、H/Lソレノイド86のみが作動状態になり、シンクロメッシュ機構37が遮断状態に戻ってしまうが、本発明ではシンクロメッシュ機構37の接続状態を維持することができる。
また、電動機2、遊星歯車式減速機12および差動装置13を格納するとともに、前記油が回収されるハウジング11と、ハウジング11から区画され、電動機2の前進駆動時に油を一時貯留するリザーバタンク80とを備える構成とした。
これにより、電動機2の前進駆動時には、リザーバタンク80に油を一時貯留してハウジング11の残留油量を減少させることが可能になる。これに伴って、動力伝達機構のギヤによる残留油の撹拌作用を最小限に抑制することが可能になり、また残留油に起因する電動機2のフリクションを低減することが可能になる。したがって、動力損失を低減することができる。一方、電動機2の停止時には、リザーバタンク80からハウジング11に油が流出するので、ハウジング11の残留油量を増加させることが可能になる。これに伴って、シンクロメッシュ機構37の遮断によりハウジング11内で空転する差動装置13のサイドギヤ32を十分に冷却および潤滑することが可能になる。したがって、サイドギヤ32の焼き付きや異常磨耗を防止することができる。以上により、動力損失の低減と焼き付きの防止を両立することができる。
また低圧通路83は、差動装置13に加えて遊星歯車式減速機12へ潤滑油を供給し、リザーバタンク80へ油を供給する構成とした。
これにより、差動装置13および減速機12の潤滑用に必要な油を供給した後に、余剰の油をリザーバタンク80に供給することが可能になる。したがって、差動装置13および減速機12の潤滑を確保することができる。
またリザーバタンク80は、油の貯留量が所定量以上になった場合に、ハウジング11に油を流出させる構成とした。これにより、電動機2の前進駆動時におけるハウジング11の残留油量を調整することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、この発明にかかる駆動装置を後輪側に採用したが、同様に前輪側に採用することも可能である。また、上記の実施形態における油圧回路の構成は一例であり、同様の機能を発揮する他の構成を採用することも可能である。
この発明の一実施形態の駆動装置を適用する車両のレイアウトを示す概略構成図。 同実施形態の駆動装置を示す縦断面図。 同実施形態を示す図2の一部を拡大した断面図。 同実施形態を示す油圧回路図。 油の分配方法の説明図。 車速、タンク供給量および貯蔵時間の相関を示すグラフ。 同実施形態のSYNソレノイドとH/Lソレノイドの作動状態を記号で示す図。 冷却・潤滑モードにおける油圧回路の動作説明図。 シンクロOFF切換モードにおける油圧回路の動作説明図。 シンクロON切換モードにおける油圧回路の動作説明図。 車両駆動装置の油圧回路の第1タイミングチャート。 車両駆動装置の油圧回路の第2タイミングチャート。
符号の説明
1…車両駆動装置 2…電動機 11…ハウジング(格納室) 12…遊星歯車式減速機(減速機) 13…差動装置 37…シンクロメッシュ機構(断接手段) 58…油圧回路 75…オイルポンプ 80…リザーバタンク(油貯留部) 82…ライン通路(第1油路) 83…低圧通路(第2油路) 84…レギュレータバルブ(第1切換弁) 85…給排切換えバルブ(第2切換弁) 86…H/Lソレノイド(第1電磁弁) 87…SYNソレノイド(第2電磁弁) 100…コントローラ(制御部)

Claims (7)

  1. 車輪駆動用の電動機と、
    この電動機の駆動回転を減速する減速機と、
    この減速機の出力を車両左右の車輪に分配する差動装置と、
    車両左右のいずれか一方の車輪と前記差動装置の間に設けられた、動力の接続と遮断を行う断接手段と、
    を備えた車両駆動装置において、
    前記電動機によって駆動されるオイルポンプと、
    前記オイルポンプから前記断接手段に作動用の油を供給する第1油路と、
    前記オイルポンプから前記差動装置に潤滑用の油を供給する第2油路と、
    前記油の供給路を前記第1油路または前記第2油路に切り換える第1切換弁と、
    前記第1切換弁の動作を制御する第1電磁弁と、
    前記第1電磁弁の動作を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする車両駆動装置の油圧回路。
  2. 前記断接手段の断接に対応して前記油の供給路を切り換える第2切換弁と、
    前記第2切換弁の動作を制御する第2電磁弁と、を備え、
    前記制御部は、前記第1電磁弁に加えて前記第2電磁弁の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両駆動装置の油圧回路。
  3. 前記制御部は、
    前記断接手段を遮断状態から接続状態へと切り換える場合には、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の両方を作動させ、
    前記断接手段を接続状態から遮断状態へと切り換える場合には、前記第1電磁弁のみを作動させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両駆動装置の油圧回路。
  4. 前記制御部は、前記断接手段を遮断状態から接続状態へと切り換えた後、最初に前記第1電磁弁を停止し、次に前記第2電磁弁を停止することを特徴とする請求項3に記載の車両駆動装置の油圧回路。
  5. 前記電動機、前記減速機および前記差動装置を格納するとともに、前記油が回収される格納室と、
    前記格納室から区画され、前記電動機の前進駆動時に前記油を一時貯留する油貯留部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両駆動装置の油圧回路。
  6. 前記第2油路は、前記差動装置に加えて前記減速機にも潤滑用の油を供給し、さらに前記油貯留部にも一時貯留用の前記油を供給することを特徴とする請求項5に記載の車両駆動装置の油圧回路。
  7. 前記油貯留部は、前記油の貯留量が所定量以上になった場合に、前記格納室に前記油を供給することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の車両駆動装置の油圧回路。
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