JP2007192336A - 駆動力断接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】イグニッションの切換操作や断線故障に対する安全性が高い駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供する
【解決手段】電動モータの駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構に、駆動力の伝達を断接可能なクラッチ及び油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置において、油圧サーボ機構に供給する供給油路を切り換えて油圧サーボ機構を作動させるシフトバルブ120と、シフトバルブに供給油路の切り換え作動を行わせる信号圧をオンオフ制御する電磁切換弁105とを備え、電磁切換弁105に信号圧を導入する油路を、車両の走行レンジに拘わらず油圧ポンプP1と接続される油路104から導き、シフトバルブ120に作動油圧を導入する油路を、走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に油圧供給源と接続される油路114から導くように駆動力断接装置100を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動モータの駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構に、駆動力の伝達を断接可能なクラッチ及び当該クラッチを作動させる油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置に関する。
電動モータの駆動力を断接可能なクラッチ及び油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置として、変速機の車軸側に駆動用モータを有し、駆動用モータの駆動力により走行可能なハイブリッド車両に設けられた駆動力断接装置がある。この種のハイブリッド車両においては、駆動用モータの駆動力を車軸に伝達する伝達経路にクラッチが設けられており、エンジンの駆動力により車両が走行している際にクラッチを切り離して車軸と駆動モータとの間の動力伝達経路を切断することで、駆動用モータの引きずりによるロスの発生を防止し、高速走行時に駆動用モータが過回転することを防止するように構成される(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−287550号公報
上記のような駆動力断接装置では、駆動用モータと駆動輪との間の動力伝達経路が切断状態になっている状況で油圧サーボ機構が故障した場合に、クラッチが接続状態に変化しないことが望ましい。これは、車両がエンジン駆動力で走行しており駆動用モータから駆動輪への動力伝達経路が切断されている状態下で、油圧サーボ機構の故障により急激に動力伝達経路が接続されると、それまで停止していた駆動用モータが車速に対応した回転数で回転している車軸に急激に接続されることになり、車両の急減速やクラッチの損傷を生じさせたり、高速走行時において駆動用モータが過回転状態になって損傷させたりするおそれがあるからである。特に、油圧サーボ機構のシフト位置を制御する電磁切換弁(ソレノイドバルブ)に電源を供給する配線は、挟み込みや振動等により稀に断線することがあり、断線故障時にクラッチが接続状態となるような回路構造は避けることが望ましい。
一方、この種のハイブリッド車両においては、車両が駐車されている状態(エンジンが停止されている駐車状態)から走行を開始する再始動時に、エンジンをかけずに駆動用モータの駆動力で走行を開始可能な機能が求められる。ところが、クラッチの代表例とされるシンクロクラッチやドグクラッチは、一度切断されると駆動モータ側及び車軸側がともに回転停止した停止状態で接続させることが難しく、再始動時に切断状態から速やかにモータ走行を開始することが困難である。このため、ハイブリッド車両では、低車速域においてクラッチを接続させて駆動用モータの駆動力で走行するように構成されており、クラッチはイグニッションがオフ操作された駐車状態においても接続状態を維持し続けることが望ましい。
ここで、電磁切換弁の断線故障に対する対策は、図9及び図10に示すように、回路の作動態様を「電磁切換弁通電状態=動力伝達経路接続(サーボ:ON)」、「電磁切換弁無通電状態=動力伝達経路切断(サーボ:OFF)」とすることで行い得る。しかしながら、これらの回路形態では、車両を駐車するためにイグニッション(IG)をオフ操作した時に電磁切換弁61が瞬時に無通電状態となりシフトバルブ62への信号圧が遮断される一方で、エンジン等の動力源により駆動されるオイルポンプP1は瞬時には停止せず一定時間油圧を発生し続けるため、油圧サーボ機構63がオフ方向に作動してクラッチが切断されてしまうという問題(イグニッション切換操作時の問題)があった。
一方、図11に示すように、電磁切換弁71,72とシフトバルブ73,74とを二つずつ用い、いずれか一方の電磁切換弁に通電されている場合にのみ油圧サーボ機構63が作動する回路とすれば断線故障時及びイグニッションをオフ操作した時の両方に対して、油圧サーボ機構が作動しないようにすることができる。しかしながら、このような構成では、油圧制御回路の構成要素が多くなってコストアップ及び重量の増加につながり、ひいてはハイブリッド車両全体の価格上昇、重量増加による燃費悪化を引き起こすという問題(油圧制御回路複雑化の問題)があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、イグニッションの切換操作が行われても油圧サーボ機構によるクラッチの断接位置が変化することがない駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の本発明は、電動モータ(例えば、実施形態における第1駆動モータM1)の駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構(例えば、実施形態におけるモータ動力伝達機構5)に、駆動力の伝達を断接可能なクラッチ(例えば、実施形態におけるシンクロクラッチ57)及び当該クラッチを作動させる油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置において、油圧サーボ機構に供給する作動油圧の供給油路を切り換えて油圧サーボ機構を作動させるシフトバルブと、シフトバルブに供給油路の切り換え作動を行わせる信号圧の供給をオンオフ制御する電磁切換弁(例えば、実施形態におけるソレノイドバルブ105)とを備え、電磁切換弁に作動用の元圧(シフトバルブに信号圧を供給する元となる油圧)を導入する油路を、車両の走行レンジ選択手段において選択された走行レンジに拘わらず油圧供給源と接続される油路(例えば、実施形態における油路104)から導き、シフトバルブに作動油圧を導入する油路を、走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に油圧供給源と接続される油路(例えば、実施形態における油路114)から導くように駆動力断接装置を構成する。
第2の本発明は、電動モータ(例えば、実施形態における第1駆動モータM1)の駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構(例えば、実施形態におけるモータ動力伝達機構5)に、駆動力の伝達を断接可能なクラッチ(例えば、実施形態におけるシンクロクラッチ57)及び当該クラッチを作動させる油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置において、油圧サーボ機構に供給する作動油圧の供給油路を切り換えて油圧サーボ機構を作動させるシフトバルブと、シフトバルブに供給油路の切り換え作動を行わせる信号圧の供給をオンオフ制御する電磁切換弁(例えば、実施形態におけるソレノイドバルブ205)とを備え、電磁切換弁に作動用の元圧(シフトバルブに信号圧を供給する元となる油圧)を導入する油路及びシフトバルブに作動油圧を導入する油路を、走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に油圧供給源と接続される油路(例えば、実施形態における油路204)から導くとともに、作動油圧を導入する油路におけるシフトバルブよりも上流側に、当該油路の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路を遮断するカットバルブを設けて駆動力断接装置を構成する。
なお、上記シフトバルブは、当該シフトバルブのスプールがセット側にあるときに、油圧サーボ機構がクラッチを非係合側に作動させるように構成することが好ましい。
第1の本発明では、電磁切換弁に信号圧を導入する油路が車両の走行レンジ選択手段において選択された走行レンジに拘わらず油圧供給源と接続される油路から導かれ、シフトバルブに作動油圧を導入する油路が走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に油圧供給源と接続される油路から導かれる。このため、走行レンジ選択手段においてニュートラル(Nレンジ)またはパーキング(Pレンジ)が選択されると、その段階で油圧供給源からシフトバルブに作動油圧を導入する油路が遮断されて作動油圧の供給が遮断され、その後イグニッションのオフ操作により電磁切換弁から供給される信号圧が切り替わってシフトバルブのシフト位置が変化したとしても、切り換えられた供給側の油路に作動油圧が立たないため、油圧サーボ機構はNレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置に保持される。また、この状態からイグニッションをオン操作した場合に、電磁切換弁から供給される信号圧が切り替わってシフトバルブのシフト位置が変化したとしても、上記同様に油圧サーボ機構の供給側の油路に作動油圧が立たないため、油圧サーボ機構はNレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置に保持される。従って、クラッチは、イグニッションの切換操作に拘わらず車両が停止する直前の低車速域で設定された状態、すなわち接続状態に保持される。
第2の本発明では、電磁切換弁に信号圧を導入する油路及びシフトバルブに作動油圧を導入する油路が、走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に油圧供給源と接続される油路から導かれるとともに、作動油圧を導入する油路におけるシフトバルブよりも上流側に、当該油路の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路を遮断するカットバルブが設けられている。ここで、上記の「所定圧力」は、油圧サーボ機構を切り換え作動させる作動油圧(サーボ供給圧)よりも幾分低く、シフトバルブが切り換わる信号圧(シフトバルブ作動圧)よりも高めに設定される。このような駆動力断接装置では、まず上記第1の本発明と同様に、走行レンジ選択手段においてNレンジまたはPレンジが選択されると、その段階で油圧供給源からシフトバルブに作動油圧を導入する油路及び電磁切替弁に信号圧を導入する油路の両方の作動油供給が遮断され、不用意に油圧サーボ機構が作動する事態を防止する。
またDレンジ→NレンジまたはDレンジ→Pレンジへの切り換え操作(オフギヤ操作)により両油路の圧力(油路残圧)が低下していく過程で、油圧サーボ機構を切換作動させるサーボ供給圧よりも幾分低下した段階で、カットバルブによりシフトバルブへの供給油路が遮断される。このため、上記オフギヤ操作により電磁切換弁に供給される作動用の元圧が遮断されるとシフトバルブのシフト位置が変化したとしても、切り換えられた供給側の油路に油圧サーボ機構を切換可能な作動油圧が立たず、油圧サーボ機構はNレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置に保持される。またこの状態から、Nレンジ→DレンジまたはPレンジ→Dレンジへの切り換え操作(インギヤ操作)された際は、電磁切換弁に供給される作動用の元圧の立ち上がり遅れによりシフトバルブが意図した位置にならない場合があるが、上記同様に油圧サーボ機構の供給側の油路に作動油圧が立たないため、油圧サーボ機構はNレンジまたはPレンジが選択されていた時の作動位置に保持される。従って、クラッチは、シフトレバー(マニュアルバルブ)の切換操作に拘わらず直前に設定された状態に保持される。さらに、この第2の本発明によれば、油圧供給源からシフトバルブ及び電磁切替弁に導く油路を共用して一本にすることができ、回路構成をさらに簡明化することができる。
なお、上記シフトバルブを、スプールがセット側にあるとき、すなわちシフトバルブのパイロットポートに信号圧が作用していない状態でスプールが配置される位置にあるときに、油圧サーボ機構がクラッチを非係合側(切断側)に作動させるような構成によれば、走行レンジ選択手段をドライブ(Dレンジ)→ニュートラル(Nレンジ)→Dレンジに切り換えた場合に、Nレンジの選択により電磁切替弁に信号圧を導入する油路への作動油供給が遮断されたときにシフトバルブがセット側に配置され、油圧サーボ機構はクラッチを非係合側に作動させる状態に設定される。この状態でシフトバルブにバルブロックが発生した場合には、その後Dレンジが選択されてシフトバルブに信号圧が供給されるとクラッチは切断される状態に作動する。これにより、シフトバルブロック故障時でも車両が急減速したりシンクロクラッチ等に損傷を生じさせたりすることがなく、車両の安全性を確保することができる。
従って、本発明によれば、イグニッションの切換操作が行われても油圧サーボ機構によるクラッチの断接位置が変化することがない駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照して説明する。図8に本発明に係る動力断接装置が設けられた動力伝達装置1の全体構成を模式的に示している。この動力伝達装置1は、エンジンENGと、このエンジンの出力軸ESにトルクコンバータTCを介して連結された自動変速機(以下トランスミッションという)2と、トランスミッション2の車軸側に配設された第1駆動モータM1と、トランスミッション2とエンジンENGとの間に配設された第2駆動モータM2とから構成され、エンジンENGの回転駆動力を左右の駆動輪WL,WRに伝達して車両を走行させる。
第1駆動モータM1及び第2駆動モータM2は、電気モータ・ジェネレータであり、車載の図示省略するバッテリにより駆動されてエンジンENGの駆動力をアシストし、あるいはエンジンの停止時(休筒時)にモータの駆動力で走行することが可能であるとともに、エンジン走行時や減速走行時等に発電を行ってバッテリの充電を行うことができるようになっている。すなわち、動力伝達装置の駆動源は、エンジンENGとこれらの駆動モータM1,M2とからなり、ハイブリッド型になっている。
トランスミッション2は、多板クラッチ等の油圧アクチュエータに供給する油圧を制御することで変速制御がなされる前進5速及び後進1速の平行軸式の変速機構であり、エンジンENGのクランクシャフトESにロックアップ機構LCを有するトルクコンバータTCを介して接続されたメインシャフト10と、このメインシャフト10と平行に延びて配設されるとともに、複数のギヤ列を介してメインシャフト10に接続されたセカンダリシャフト20、サードシャフト30、カウンタシャフト40を備え、図示省略するトランスミッションケースの内部に配設される。
メインシャフト10には、メイン3速ギヤ13が結合配設されるとともに、メイン4速ギヤ14、メイン5速ギヤ15、及びメイン5速ギヤ15と一体に連結されたメインリバースギヤ16が相対回転自在に配設されている。またメインシャフト10には、それぞれ相対回転自在に配設されたメイン4速ギヤ14をメインシャフト10に結合させる4速クラッチC4、メイン5速ギヤ15及びこれと一体のメインリバースギヤ16をメインシャフト10に結合させる5速クラッチC5が設けられている。
セカンダリシャフト20には、セカンダリ1速ギヤ21及びセカンダリ2速ギヤ22が相対回転自在に配設され、セカンダリアイドルギヤ23が結合配設されている。またセカンダリシャフト20には、相対回転自在に配設されたセカンダリ1速ギヤ21をワンウェイクラッチ27を介してセカンダリシャフト20に結合させる1速クラッチC1、セカンダリ1速ギヤ21をワンウェイクラッチ27を介することなく直接セカンダリシャフト20に結合させる1速ホールドクラッチCL、及び相対回転自在に配設されたセカンダリ2速ギヤ22をセカンダリシャフト20に結合させる2速クラッチC2が設けられている。
サードシャフト30には、メイン3速ギヤ13と噛合するサード3速ギヤ33が相対回転自在に配設され、メイン4速ギヤと噛合するサード4速ギヤ34が結合配設されるとともに、相対回転自在に配設されたサード3速ギヤ33をサードシャフトに結合させる3速クラッチC3が設けられている。
カウンターシャフト40には、セカンダリ1速ギヤ21と噛合するカウンタ1速ギヤ41、セカンダリ2速ギヤ22と噛合するカウンタ2速ギヤ42、及びメイン4速ギヤ14と噛合するカウンタ4速ギヤ44が結合配設される。またカウンターシャフト40には、メイン3速ギヤ13及びセカンダリ3速ギヤ23と噛合するカウンタアイドルギヤ43、メイン5速ギヤ15と噛合するカウンタ5速ギヤ45、及びリバースアイドルギヤ36を介してメインリバースギヤ16と噛合するカウンタリバースギヤ46がそれぞれ相対回転自在に配設されている。
カウンターシャフト40上におけるカウンター5速ギヤ45とカウンターリバースギヤ46との間にドグ歯機構を利用したリバースセレクタ47が設けられており、そのセレクタスリーブ47sを図示省略する油圧サーボ機構で軸方向に移動させて、カウンタ5速ギヤ45をカウンタシャフト40に結合させ、あるいはカウンタリバースギヤ46をカウンタシャフト40に結合させることができるようになっている。
このように構成されたトランスミッション2において、1速クラッチC1を係合させてセカンダリ1速ギヤ21をセカンダリシャフト20に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、カウンタアイドルギヤ43、セカンダリアイドルギヤ23、セカンダリ1速ギヤ21、カウンタ1速ギヤ41からなる1速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される1速段が設定される。1速クラッチC1を係合させた1速段では、セカンダリ1速ギヤ21がワンウェイクラッチ27を介してセカンダリシャフト20に結合されるため、アクセルをオフにしたときにワンウェイクラッチ27が滑り急減速しないようになっている。一方、1速ホールドクラッチCLを係合させた1速ホールド段ではギヤ列は同一であるが、セカンダリ1速ギヤ21がワンウェイクラッチ27を介することなく直接セカンダリシャフト20に結合されるため、強力なエンジンブレーキを作動させることができる。
2速クラッチC2を係合させてセカンダリ2速ギヤ22をセカンダリシャフト20に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、カウンタアイドルギヤ43、セカンダリアイドルギヤ23、セカンダリ2速ギヤ22、及びカウンタ2速ギヤ42からなる2速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される2速段が設定される。同様に、3速クラッチC3を係合させてサード3速ギヤ33をサードシャフト30に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、サード3速ギヤ33、サード4速ギヤ34、メイン4速ギヤ14、及びカウンタ4速ギヤ44からなる3速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される3速段が設定される。また4速クラッチC4を係合させると、メインシャフト10の回転が、メイン4速ギヤ14とカウンタ4速ギヤ44とからなる4速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される4速段が設定される。
一方、5速クラッチC5を係合させて一体に形成されたメイン5速ギヤ15及びメインリバースギヤ16をメインシャフト10に結合させると、メインシャフト10の回転がこれらのギヤと噛合するカウンタ5速ギヤ45及びカウンタリバースギヤ46に伝達される。但し、カウンタ5速ギヤ45及びカウンタリバースギヤ46はそれぞれカウンタシャフト40に相対回転自在に配設されており、リバースセレクタ47の作動に応じてカウンタシャフト40と選択的に係脱される。
すなわち、図示省略する油圧サーボ機構によりセレクタスリーブ47sを図8における右方に移動させてカウンタ5速ギヤ45をカウンタシャフト40に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン5速ギヤ15及びカウンタ5速ギヤ45からなる5速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される5速段が設定される。一方、セレクタスリーブ47sを図8における左方に移動させてカウンタリバースギヤ46をカウンタシャフト40に結合させると、メインシャフト10の回転がメインリバースギヤ16、リバースアイドルギヤ36、及びカウンタリバースギヤ46からなるリバースギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達されるリバース段が設定される。
以上のように、1速、2速、3速、4速、5速クラッチC1〜C5及び1速ホールドクラッチCLの係合制御と、油圧サーボ機構によるリバースセレクタ47のセレクタスリーブ47sの移動制御とにより1速〜5速、1速ホールド、及びリバース段の設定がなされる。これら1速〜5速クラッチC1〜C5及び1速ホールドクラッチCLの係合制御と、油圧サーボ機構の作動制御、及びトランスミッション各部の潤滑が油圧制御装置7から供給される作動油により行われる。油圧制御装置7の作動制御はコントロールユニットECUからの制御信号に基づいて行われる。
そして、1速段〜5速段、1速ホールド段、及びリバース段が設定され、各ギヤ列を介してメインシャフト10の回転がカウンタシャフト40に伝達される。カウンタシャフト40の回転は、このカウンタシャフト40に結合配設されたファイナルドライブギヤ48、及びファイナルドライブギヤ48と噛合するファイナルドリブンギヤ58を介してディファレンシャル機構DFに伝達され、左右のアクスルシャフト59,59を介して左右の駆動輪WL,WRに伝達される。
一方、トランスミッション2の車軸側には、第1駆動モータM1の回転駆動力を駆動輪に伝達するモータ動力伝達機構5が配設されている。モータ動力伝達機構5は、第1駆動モータM1のスピンドルに結合配設されたモータ駆動ギヤ51、モータ駆動ギヤ51と噛合するモータアイドラギヤ52、モータカウンタシャフト50に回転自在に配設されたモータ従動ギヤ53、モータカウンタシャフト50に結合配設されたモータファイナルドライブギヤ54、及びシンクロクラッチ57から構成される。
シンクロクラッチ57は、後に詳述する油圧サーボ機構によりシンクロスリーブ57sを軸方向に移動させてモータ従動ギヤ53をモータカウンタシャフト50に結合させ、あるいはモータ従動ギヤ53とモータカウンタシャフト50との結合を切り離す。このため、シンクロクラッチ57が係合されると、第1駆動モータM1の回転がモータ駆動ギヤ51、モータアイドラギヤ52、モータ従動ギヤ53、モータファイナルドライブギヤ54からなるモータギヤ列を介して、モータファイナルドライブギヤ54と噛合するファイナルドリブンギヤ58を介してディファレンシャル機構DFに伝達され、左右のアクスルシャフト59,59を介して左右の駆動輪WL,WRに伝達される。
従って、このハイブリッド車両では、第2駆動モータM2をエンジンENGのスタータとして使用しアイドル停止状態(休筒状態)のエンジンを始動させることができ、エンジンENGの駆動時にはエンジン駆動力をアシストさせてトランスミッション2において設定された速度段で車両を走行させることができる。またエンジンENGを停止させ、1速〜5速クラッチC1〜C5及び1速ホールドクラッチCLの係合を解除した状態で、モータ動力伝達装置5のシンクロクラッチ57を係合させ、第1駆動モータM1により走行が可能になっている。シンクロクラッチ57の油圧サーボ機構の作動制御、およびモータ動力伝達装置5の各部の潤滑も、トランスミッション2と同様に油圧制御装置7から供給される作動油により行われる。
油圧制御装置7は、トルクコンバータTCの入力軸側に設けられエンジンENGにより回転駆動される第1オイルポンプP1、図示省略するバッテリの電力を利用して電気モータにより回転駆動される第2オイルポンプ、これらのオイルポンプから吐出された作動油を各油圧アクチュエータ(C1〜C5、CL、リバースセレクタ47及びシンクロクラッチ57の油圧サーボ機構等)やベアリング等の潤滑部位に導くための複数の油圧制御バルブ、及びこれらの間を繋ぐ油路からなり、各油圧制御バルブの作動が、運転者がシフトレバー装置において選択したシフトポジションにより油路を切り換えるマニュアルバルブ、コントロールユニットECUからの制御信号により油路を切り換えるソレノイドバルブ等により制御される。
コントロールユニットECUには、運転者がシフトレバーにおいて選択した走行レンジ(D,N,R,Pレンジ)の選択信号やスロットル開度の信号、車両の走行速度や傾斜角度等の走行状態を検出する検出信号が入力されており、コントロールユニットECUは、これらの信号に基づいた制御信号を油圧制御装置7に出力して1速〜5速クラッチC1〜C5、シンクロクラッチ57等の作動を制御し、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2に制御信号を出力して各駆動モータの作動を制御する。これによりトランスミッション2がシフトレバーにおいて選択された走行レンジに応じた動力伝達経路に設定されるとともに、第1,第2駆動モータM1,M2を利用した駆動力アシストやモータ走行、バッテリの充電が行われる。なお本実施形態においては前進方向の走行レンジに複数の前進レンジがある場合を含めてDレンジと記載する
さて、以上のように概要構成される動力伝達装置1において、モータ動力伝達機構5に、本発明に係る動力断接装置が適用されている。第1の本発明における第1実施形態の駆動力断接装置100の回路構成を図1に示しており、以下この図を参照して駆動力断接装置100について説明する。
駆動力断接装置100は、油圧供給源である第1オイルポンプP1から吐出された作動油を、供給油路を切り換えて油圧サーボ機構130を作動させるシフトバルブ120と、シフトバルブ120を切換作動させる信号圧をオンオフ制御するソレノイドバルブ105とを備えて構成される。
第1オイルポンプP1には、ストレーナが設けられたオイルパン101から吸入した作動油を吐出する吐出油路102が接続され、この吐出油路102に設けられたレギュレータバルブ103によりライン圧(PL)に調圧される。吐出油路102はマニュアルバルブ110の入力ポート111に接続されるとともに、その途中で分岐して油路104が設けられソレノイドバルブ105を介して油路106でシフトバルブ120のパイロットポート121に繋がっている。すなわちソレノイドバルブ105の入力ポートは、運転席のシフトレバーにおいて選択された走行レンジ(D,N,R,Pレンジ)に拘わらず油路104により常に第1オイルポンプP1と接続されている。ソレノイドバルブ105はノーマルクローズタイプ(無通電時に油路104,106を遮断、通電時に連通接続)の電磁開閉弁であり、この油路104,106の接続・遮断がコントロールユニットECUにより制御される。
マニュアルバルブ110は、運転席のシフトレバーと連結されて当該シフトレバーにおいて選択された走行レンジに基づいて、入力ポート111に導入された作動油の供給油路を切り替えるバルブであり、選択された走行レンジがDレンジ(前進レンジ)のときに入力ポート111と接続される前進レンジ出力ポート112に油路114が接続されている。油路114は減圧弁115を介して油路116でシフトバルブ120の入力ポート122に繋がっており、減圧弁115により油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧(サーボ供給圧:PS)に調圧された作動油が入力ポート122に供給される。すなわちシフトバルブ120の入力ポート122は、運転席のシフトレバーにおいてDレンジが選択されている時に油路114により第1オイルポンプP1と接続される。
シフトバルブ120は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在なスプールと、このスプールをパイロットポート121の方向(図1における左方)に付勢するスプリングを備え、パイロットポート121に作用する信号圧により、入力ポート122と第1出力ポート123または入力ポート122と第2出力ポート124との接続を切り換えて、油圧サーボ機構130に供給する作動油圧の供給油路を切り換える流路切換弁である。第1出力ポート123は、パイロットポート121に信号圧が作用していない状態、すなわちスプールが左方のセット側に位置するときに入力ポート122と接続され、第2出力ポート124はパイロットポート121に信号圧が作用している状態、すなわちスプールが右方の作動側に位置するときに入力ポート122と接続される。
油圧サーボ機構130は、第1油室131または第2油室132に供給される油圧により作動するピストン133と、このピストン133と同軸上に連結されて伸縮駆動されるフォークシャフト134、フォークシャフト134に固定されたシフトフォーク135、フォークシャフト134の作動位置を検出する第1検出器136a及び第2検出器136bなどから構成される。シフトフォーク135はシンクロクラッチ57のシンクロスリーブ57sに係合されており、第1油室131に作動油圧が作用してフォークシャフト134が伸長した状態(図においてシフトフォーク135がON位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が接続状態になり、第2油室132に作動油圧が作用してフォークシャフト134が縮小した状態(同上シフトフォーク135がOFF位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が切断状態になるように構成されている。
そして、シフトバルブ120の第1出力ポート123が油路125により第2油室132に接続され、シフトバルブ120の第2出力ポート124が油路126により第1油室131に接続されている。
このように構成される駆動力断接装置100では、Dレンジが選択されて車両が前進走行する通常作動時において、油路102に吐出された作動油は油路104を通ってソレノイドバルブ105の入力ポートに供給され(SOL元圧:有り)、マニュアルバルブ110がDレンジであることから油路114及び減圧弁115を介してシフトバルブ120の入力ポート122にも作動油圧(サーボ供給圧PS:有り)が供給されている。
このため、ソレノイドバルブ105への通電をON/OFF制御し、油路106を介してシフトバルブ120のパイロットポート121に信号圧を供給し(SOL信号圧:有り)、または遮断する(SOL信号圧:無し)ことにより、シフトバルブ120から油圧サーボ機構130への供給油路が切り換えられる。
すなわち、ソレノイドバルブ105への通電をONとしてパイロットポート121に信号圧を供給したときに、スプールがスプリングの付勢力に抗して右動されシフトバルブ120の入力ポート122と第2出力ポート124とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構130の第1油室131に供給され、シフトフォーク135が図におけるON位置(サーボ:ON)に配設されてシンクロクラッチ57が接続される。一方、ソレノイドバルブ105への通電をOFFとしてパイロットポート121への信号圧供給を遮断すると、スプールがスプリングの付勢力により左動してシフトバルブ120の入力ポート122と第1出力ポート123とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構130の第2油室132に供給され、シフトフォーク135がOFF位置(サーボ:OFF)に配設されてシンクロクラッチ57が切断される。
ソレノイドバルブ105の断線故障時には、Dレンジにおいてもソレノイドバルブ105に電源が供給されなくなるためシフトバルブ120のパイロットポート121に信号圧が供給されず、シフトバルブのスプールはスプリングの付勢力により左動されたセット側位置に保持される。一方、シフトバルブの入力ポート122には作動油圧が供給されている。このため、作動油圧は油圧サーボ機構130の第2油室132に供給され、シフトフォーク135がOFF位置に配設されて、シンクロクラッチ57が切断状態に保持される。従って、車両が高速走行時にソレノイドバルブ105が断線故障して、突然シンクロクラッチ57が接続状態になり、車両が急減速したり、シンクロクラッチ57や第1駆動モータM1に損傷を生じさせたりするようなことがない。
次に、車両を駐車させるときについて見ると、運転者は車両を停車させてシフトレバーをDレンジ(前進レンジ)からニュートラル(Nレンジ)またはパーキング(Pレンジ)に切り換え、イグニッション(IG)をON→OFF操作する。このとき、シフトレバーにおいてNレンジまたはPレンジが選択されると、マニュアルバルブ110では入力ポート111と前進レンジ出力ポート112との接続が遮断され、油路114への作動油供給が停止されるとともにドレンされる。このため、この段階でイグニッションがON→OFF操作されてソレノイドバルブ105からの信号圧が切り替わり、シフトバルブ120における入出力ポートの接続が切り換わったとしても、切り換えられて入力ポート122と接続された出力ポート側の油路に油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧が立たない。従って、油圧サーボ機構130は、NレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置、具体的には車両が停止する直前のシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。
車両を駐車状態から始動させるときには、運転者はシフトレバーをNレンジまたはPレンジとしてイグニッションIGをOFF→ON操作する。前述したように、NレンジまたはPレンジでは、マニュアルバルブ110において入力ポート111と前進レンジ出力ポート112との接続が遮断されており、油路114への作動油供給が停止されている。従って、イグニッションがOFF→ON操作されて信号圧が切り替わり、シフトバルブ120における入出力ポートの接続が切り換わったとしても、入力ポート122自体に油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧が供給されていない。従って、油圧サーボ機構130は、車両が駐車された状態の作動位置、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。
このように、シンクロクラッチ57は、イグニッションの切換操作に拘わらず、車両が停止する直前の低車速域で設定された接続状態に保持される。従って、以上説明した駆動力断接装置100によれば、ソレノイドバルブ105の断線故障に対する安全性を確保したうえで、イグニッションが切換操作されても断接位置が変化せずシンクロクラッチ57の接続状態を保持し得る駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供することができる。
次に、第1の本発明における第2実施形態の駆動力断接装置150について、図2を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の動力断接装置150は、ソレノイドバルブ及びシフトバルブの作動形態のみが前述した第1実施形態の動力断接装置100と相違し、他の構成形態については同様であるため、同様部分に同一番号を付して重複説明を省略する。
駆動力断接装置150は、第1オイルポンプP1から吐出された作動油を、供給油路を切り換えて油圧サーボ機構130を作動させるシフトバルブ170と、シフトバルブ170を切換作動させる信号圧をオンオフ制御するソレノイドバルブ155とを備えて構成される。
第1オイルポンプP1からの吐出油路102は、レギュレータバルブ103によりライン圧に調圧されてマニュアルバルブ110の入力ポート111に接続されるとともに、分岐する油路104に設けられたソレノイドバルブ155を介して油路106でシフトバルブ170のパイロットポート171に繋がっている。すなわちソレノイドバルブ155の入力ポートは、運転席のシフトレバーにおいて選択された走行レンジに拘わらず油路104により常に第1オイルポンプP1と接続されている。本実施形態におけるソレノイドバルブ155はノーマルオープンタイプ(無通電時に油路104,106を連通接続、通電時に遮断)の電磁開閉弁であり、この油路104,106の接続・遮断がコントロールユニットECUにより制御される。
マニュアルバルブ110の前進レンジ出力ポート112に接続された油路114は、減圧弁115を介して油路116でシフトバルブ170の入力ポート172に繋がっており、減圧弁115により油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧(サーボ供給圧:PS)に調圧された作動油が入力ポート172に供給される。すなわちシフトバルブ170の入力ポート172は、運転席のシフトレバーにおいてDレンジが選択されている時に油路114により第1オイルポンプP1と接続される。
シフトバルブ170は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在なスプールと、このスプールをパイロットポート171の方向(図2における左方)に付勢するスプリングを備え、パイロットポート171に作用する信号圧により、入力ポート172と第1出力ポート173または入力ポート172と第2出力ポート174との接続を切り換えて、油圧サーボ機構130に供給する作動油圧の供給油路を切り換える流路切換弁である。第1出力ポート173は、パイロットポート171に信号圧が作用していない状態、すなわちスプールが左方のセット側に位置するときに入力ポート172と接続され、第2出力ポート174はパイロットポート171に信号圧が作用している状態、すなわちスプールが右方の作動側に位置するときに入力ポート172と接続される。
油圧サーボ機構130は、前述した油圧サーボ機構と同様であり、シフトフォーク135がシンクロクラッチ57のシンクロスリーブ57sに係合され、第1油室131に作動油圧が作用してフォークシャフト134が伸長した状態(図においてシフトフォーク135がON位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が接続状態になり、第2油室132に作動油圧が作用してフォークシャフト134が縮小した状態(同上シフトフォーク135がOFF位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が切断状態になるように構成されている。
そして、シフトバルブ170の第1出力ポート173が油路175により第1油室131に接続され、シフトバルブ170の第2出力ポート174が油路176により第2油室132に接続されている。
このように構成される駆動力断接装置150では、Dレンジが選択されて車両が前進走行する通常作動時において、油路102に吐出された作動油は油路104を通ってソレノイドバルブ155の入力ポートに供給され(SOL元圧:有り)、マニュアルバルブ110が前進レンジであることから油路114及び減圧弁115を介してシフトバルブ170の入力ポート172にも作動油圧(サーボ供給圧PS:有り)が供給されている。
このため、ソレノイドバルブ155への通電をON/OFF制御し、油路106を介してシフトバルブ170のパイロットポート171への信号圧を遮断し(SOL信号圧:無し)、または供給する(SOL信号圧:有り)ことにより、シフトバルブ170から油圧サーボ機構130への供給油路が切り換えられる。
すなわち、ソレノイドバルブ155への通電をONとしてパイロットポート171への信号圧供給を遮断したときに、スプールが左動してシフトバルブ170の入力ポート172と第1出力ポート173とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構130の第1油室131に供給され、シフトフォーク135が図におけるON位置(サーボ:ON)に配設されてシンクロクラッチ57が接続される。一方、ソレノイドバルブ155への通電をOFFとしてパイロットポート171に信号圧を供給すると、スプールがスプリングの付勢力に抗して右動されシフトバルブ170の入力ポート172と第2出力ポート174とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構130の第2油室132に供給され、シフトフォーク135がOFF位置(サーボ:OFF)に配設されてシンクロクラッチ57が切断される。
ソレノイドバルブ155の断線故障時には、Dレンジにおいてソレノイドバルブ155に電源が供給されなくなるため、シフトバルブ170のパイロットポート171に信号圧が供給され、シフトバルブのスプールは右動された位置に保持される。一方、シフトバルブの入力ポート172には作動油圧が供給されている。このため、作動油圧は油圧サーボ機構130の第2油室132に供給され、シフトフォーク135がOFF位置に配設されて、シンクロクラッチ57が切断状態に保持される。従って、車両が高速走行時にソレノイドバルブ155が断線故障して、突然シンクロクラッチ57が接続状態になり、車両が急減速したり、シンクロクラッチ57や第1駆動モータM1に損傷を生じさせたりするようなことがない。
車両を駐車させるときには、運転者は車両を停車させてシフトレバーをDレンジからNレンジまたはPレンジに切り換え、イグニッションIGをON→OFF操作する。シフトレバーにおいてNレンジまたはPレンジが選択されると、マニュアルバルブ110において入力ポート111と前進レンジ出力ポート112との接続が遮断され、油路114への作動油供給が停止されるとともにドレンされる。このため、イグニッションがON→OFF操作されてソレノイドバルブ155からの信号圧が切り替わり、シフトバルブ170における入出力ポートの接続が切り換わったとしても、入力ポート172と接続された出力ポート側の油路に油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧が立たない。従って、油圧サーボ機構130は、NレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置、具体的には車両が停止する直前のシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。
車両を駐車状態から始動させるときには、運転者はシフトレバーをNレンジまたはPレンジとしてイグニッションIGをOFF→ON操作する。NレンジまたはPレンジでは、マニュアルバルブ110において入力ポート111と前進レンジ出力ポート112との接続が遮断されており、油路114への作動油供給が停止されている。従って、イグニッションがOFF→ON操作されて信号圧が切り替わり、シフトバルブ170における入出力ポートの接続が切り換わったとしても、入力ポート172自体に油圧サーボ機構130を作動させる作動油圧が供給されていない。従って、油圧サーボ機構130は、車両が駐車された状態の作動位置、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。
このように、シンクロクラッチ57は、イグニッションの切換操作に拘わらず、車両が停止する直前の低車速域で設定された接続状態に保持される。従って、以上説明した駆動力断接装置150によっても、ソレノイドバルブ155の断線故障に対する安全性を確保したうえで、イグニッションが切換操作されても断接位置が変化せずシンクロクラッチ57の接続状態を保持し得る駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供することができる。
次に、第2の本発明に係る駆動力断接装置200の回路構成を図3に示しており、以下この図を参照して駆動力断接装置200について説明する。駆動力断接装置200は、第1オイルポンプP1から吐出された作動油を、供給油路を切り換えて油圧サーボ機構230を作動させるシフトバルブ220と、シフトバルブ220を切換作動させる信号圧をオンオフ制御するソレノイドバルブ205と、シフトバルブ220よりも上流側に油路の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路を遮断するカットバルブ240とを有して構成される。
第1オイルポンプP1には、ストレーナが設けられたオイルパン201から吸入した作動油を吐出する吐出油路202が接続され、この吐出油路202に設けられたレギュレータバルブ203によりライン圧(PL)に調圧されてマニュアルバルブ210の入力ポート211に接続される。マニュアルバルブ210は、運転席のシフトレバーと連結されて当該シフトレバーにおいて選択された走行レンジに基づいて、入力ポート211に導入された作動油の供給油路を切り替えるバルブであり、選択された走行レンジがDレンジ(前進レンジ)のときに入力ポート211と接続される前進レンジ出力ポート212に油路204が接続されている。
油路204は、途中で分岐して一方がソレノイドバルブ205の入力ポートに接続され、油路206を介してシフトバルブ220のパイロットポート221に繋がっている。また分岐した他方の油路207は、カットバルブ240のパイロットポート241及び入力ポート242にそれぞれ繋がっている。
カットバルブ240は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在なスプールと、このスプールをパイロットポート241の方向(図3における左方)に付勢するスプリングを備え、パイロットポート241に作用する作動油圧すなわち油路207の内圧が、所定圧力以上であるときに入力ポート242と出力ポート243とを接続して連通させ、所定圧力未満であるときに入力ポート242と出力ポート223との接続を遮断する流路開閉弁である。
カットバルブ240の出力ポート243は、油路208により減圧弁215に接続され、油路216を介してシフトバルブ220の入力ポート222に繋がっている。従って、通常作動時においては、減圧弁215により油圧サーボ機構230を作動させる作動油圧(サーボ供給圧:PS)に調圧された作動油がシフトバルブの入力ポート222に供給される。
シフトバルブ220は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在なスプールと、このスプールをパイロットポート221の方向(図3における左方)に付勢するスプリングを備え、パイロットポート221に作用する信号圧により、入力ポート222と第1出力ポート223または入力ポート222と第2出力ポート224との接続を切り換えて、油圧サーボ機構230に供給する作動油圧の供給油路を切り換える流路切換弁である。第1出力ポート223は、パイロットポート221に信号圧が作用していない状態、すなわちスプールが左方のセット側に位置するときに入力ポート222と接続され、第2出力ポート224はパイロットポート221に信号圧が作用している状態、すなわちスプールが右方の作動側に位置するときに入力ポート222と接続される。
油圧サーボ機構230は、前述した油圧サーボ機構130と同様構成であり、第1油室231または第2油室232に供給される油圧により作動するピストン233と、このピストン233と同軸上に連結されて伸縮駆動されるフォークシャフト234、フォークシャフト234に固定されたシフトフォーク235、フォークシャフト234の作動位置を検出する第1検出器236a及び第2検出器236bなどから構成される。シフトフォーク235はシンクロクラッチ57のシンクロスリーブ57sに係合されており、第1油室231に作動油圧が作用してフォークシャフト234が伸長した状態(図においてシフトフォーク235がON位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が接続状態になり、第2油室232に作動油圧が作用してフォークシャフト234が縮小した状態(同上シフトフォーク235がOFF位置にある状態)の時にシンクロクラッチ57が切断状態になるように構成されている。
そして、シフトバルブ220の第1出力ポート223が油路225により第2油室232に接続され、シフトバルブ220の第2出力ポート224が油路226により第1油室231に接続されている。
すなわち、本構成の駆動力断接装置200では、ソレノイドバルブ205の入力ポート、及びシフトバルブ220の入力ポート222は、いずれも運転席のシフトレバーにおいてDレンジが選択されている時に第1オイルポンプP1と繋がる油路204により接続され、シフトバルブ220に作動油圧を導入する油路にはシフトバルブよりも上流側に、当該油路の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路207と油路208との間を遮断するカットバルブ240が設けられている。この所定圧力は、油圧サーボ機構230を切り換え作動させる作動油圧(サーボ供給圧:PS)よりも幾分低く、シフトバルブ220が切り換わる信号圧よりも高めに設定されている。
このように構成される駆動力断接装置200では、Dレンジが選択されて車両が前進走行する通常作動時において、油路202に吐出された作動油は、マニュアルバルブ210がDレンジであることから油路204を通ってソレノイドバルブ205の入力ポートに供給され(SOL元圧:有り)、油路207を介してカットバルブ240に供給される。このときの油路207の内圧は、ソレノイド元圧と同様に、レギュレータバルブ203により調圧されたライン圧と同程度の圧力が作用しており、カットバルブ240を開放させる。
従って、シフトバルブ220の入力ポート222には、減圧弁215により調圧された作動油圧(サーボ供給圧PS:有り)が供給されている。このため、ソレノイドバルブ205への通電をON/OFF制御し、油路206を介してシフトバルブ220のパイロットポート221に信号圧を供給し(SOL信号圧:有り)、または遮断する(SOL信号圧:無し)ことで、シフトバルブ220から油圧サーボ機構230への供給油路が切り換えられる。
すなわち、ソレノイドバルブ205への通電をONとしてパイロットポート221に信号圧を供給したときに、スプールがスプリングの付勢力に抗して右動されシフトバルブ220の入力ポート222と第2出力ポート224とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構230の第1油室231に供給され、シフトフォーク235が図におけるON位置(サーボ:ON)に配設されてシンクロクラッチ57が接続される。またソレノイドバルブ205への通電をOFFとしてパイロットポート221への信号圧供給を遮断すると、スプールがスプリングの付勢力により左動してシフトバルブ220の入力ポート222と第1出力ポート223とが接続される。このため作動油圧が油圧サーボ機構230の第2油室232に供給され、シフトフォーク235がOFF位置(サーボ:OFF)に配設されてシンクロクラッチ57が切断される。
ソレノイドバルブ205の断線故障時には、Dレンジにおいてもソレノイドバルブ205に電源が供給されなくなるためシフトバルブ220のパイロットポート221に信号圧が供給されず、シフトバルブのスプールはスプリングの付勢力により左動されたセット側位置に保持される。一方、シフトバルブの入力ポート222には作動油圧が供給されている。このため、作動油圧は油圧サーボ機構230の第2油室232に供給され、シフトフォーク235がOFF位置に配設されて、シンクロクラッチ57が切断状態に保持される。従って、車両が高速走行時にソレノイドバルブ205が断線故障した場合に、突然シンクロクラッチ57が接続状態になり、車両が急減速したり、シンクロクラッチ57や第1駆動モータM1に損傷を生じさせたりするようなことがない。
次に、車両を駐車させるときについて見ると、運転者は車両を停車させてシフトレバーをDレンジからNレンジまたはPレンジに切り換え、イグニッションをON→OFF操作する。このとき、シフトレバーにおいてNレンジまたはPレンジが選択されると、マニュアルバルブ210では入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断され、油路204への作動油供給が停止されるとともにドレンされる。このため、この段階でイグニッションがON→OFF操作されてソレノイドバルブ205への通電状態が変化しても、シフトバルブの入力ポート222に作動油が供給されないため、油圧サーボ機構230は作動せず、NレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置、具体的には車両が停止する直前のシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。
車両を駐車状態から始動させるときには、運転者はシフトレバーをNレンジまたはPレンジとしてイグニッションIGをOFF→ON操作する。NレンジまたはPレンジでは、マニュアルバルブ210において入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断されており、油路204への作動油供給が停止されている。従って、イグニッションがOFF→ON操作されてソレノイドバルブ205に通電されても、シフトバルブのパイロットポート221に信号圧が立たないためシフトバルブ220は切り換わらない。しかしながら、同時にシフトバルブの入力ポート222への油圧も遮断されているため、油圧サーボ機構230は、車両が駐車された状態の作動位置、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態(サーボ:ON)に保持される。このように、シンクロクラッチ57は、イグニッションの切換操作に拘わらず、車両が停止する直前の低車速域で設定された接続状態に保持される。
ところで、通常走行時にはD→Nレンジ、N→Dレンジへの切換操作が、一般的な運転操作として行われる。D→N操作が行われるとマニュアルバルブ210の入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断され油路204の油圧が低下してゆくが、ソレノイドバルブ205はシンクロクラッチ57の接続を維持させるため通電状態であり、油路204と油路206とは連通状態になっている。このため油路206の圧力低下過程でパイロットポート221の信号圧がシフトバルブ220の作動圧以下まで低下するとスプールがセット側位置に移動し、シフトバルブ220は、入力ポート222と第1出力ポート223とを接続する状態に切り換わる。
従って、カットバルブ240を設けずに油路207を直接減圧弁215に接続した場合には、当該回路構成におけるD→N操作時の各油路の圧力変化状況を図4に示すように、シフトバルブ220の入力ポート222にサーボ供給圧が残った状態でシフトバルブ220が切り替わり、この油路残圧によって油圧サーボ機構230がOFF方向に変化する。すなわち、シンクロクラッチ57の接続維持を意図してソレノイドバルブ205を通電状態としているにもかかわらず、シフトバルブ220がセット側に切り替わりシンクロクラッチ57が切断状態に切り替わってしまうおそれがある。
しかしながら、本構成の駆動力断接装置200では、シフトバルブ220よりも上流側に油路207の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路を遮断するカットバルブ240を設けている。そして、この「所定圧力(カットバルブ作動圧)」は、油圧サーボ機構230を切り換え作動させる作動油圧(サーボ供給圧:PS)よりも幾分低く、シフトバルブ220が切り換わる信号圧(シフトバルブ作動圧)よりも高めに設定されている。
このため、本回路構成におけるD→N操作時の各油路の圧力変化状況を図5に示すように、D→N操作により油路204への作動油供給が遮断され、油路内圧が低下してゆく過程において、シフトバルブ作動圧まで低下する以前にカットバルブ作動圧を下回ってカットバルブ240が作動し油路207と208との接続を遮断する。次いで油路内圧がシフトバルブ作動圧以下まで低下するとスプールがセット側位置に左動し、シフトバルブ220が入力ポート222と第1出力ポート223とを接続する状態に切り換わる。ところが、シフトバルブ220のシフト位置が作動側からセット側に切り替わっても、シフトバルブ220に作動油圧を導入する油路がカットバルブ240により遮断されており、入力ポート222と接続された第1出力ポート223側の油路225に油圧サーボ機構230を作動させる作動油圧が立たない。従って、油圧サーボ機構230は、D→N操作される以前の作動位置、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。
また、N→D操作された場合においても、油路204の圧力がカットバルブ作動圧を超えて油圧サーボ機構230を確実に作動させ得る圧力に上昇するまで、シフトバルブ220に作動油圧が供給されず、油圧サーボ機構230はN→D操作される以前の状態、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。
従って、以上説明した駆動力断接装置200によれば、ソレノイドバルブ205の断線故障に対する安全性を確保し、イグニッションが切換操作されてもシンクロクラッチ57の接続状態を保持し得ることに加えて、D→N操作あるいはN→D操作が成されてもシンクロクラッチ57の接続状態を保持して迅速な再始動が可能な駆動力断接装置を、一本の油路204で連結する簡明な回路構成で実現することができる。
次に、D→N操作あるいはN→D操作時における油路204の残圧変化に伴う油圧サーボ機構230の不安定作動を防止する機能を具備した駆動力断接装置の他の構成形態を、図6に示しており、以下この駆動力断接装置250について説明する。なお、本構成の駆動力断接装置250は、前述したカットバルブ240に代えて、フォークシャフト234を油圧サーボ機構230のON位置(シンクロクラッチ57の接続位置)またはOFF位置(シンクロクラッチ57の切断位置)に係止するディテント構造270を設けた構成であり、他の構成部分は動力断接装置200と同様であるため、同様部分に同一番号を付して重複説明を省略する。
駆動力断接装置250は、第1オイルポンプP1から吐出された作動油を、供給油路を切り換えて油圧サーボ機構230を作動させるシフトバルブ220と、シフトバルブ220を切換作動させる信号圧をオンオフ制御するソレノイドバルブ205と、油圧サーボ機構230のフォークシャフト234をON位置またはOFF位置に係止するディテント構造270とを備えて構成される。
第1オイルポンプP1からの吐出油路202は、レギュレータバルブ203によりライン圧に調圧されてマニュアルバルブ210の入力ポート211に接続され、前進レンジ出力ポート212に油路204が接続されている。油路204は、途中で分岐して一方がソレノイドバルブ205の入力ポートに接続され油路206を介してシフトバルブ220のパイロットポート221に繋がっている。分岐した他方の油路207は減圧弁215に接続され油路216を介してシフトバルブ220の入力ポート222に繋がっている。
シフトバルブ220の第1出力ポート223は、パイロットポート221に信号圧が作用していない状態、すなわちスプールが左方のセット側に位置するときに入力ポート222と接続され、第2出力ポート224はパイロットポート221に信号圧が作用している状態、すなわちスプールが右方の作動側に位置するときに入力ポート222と接続される。
油圧サーボ機構230は、基本構成が前述した油圧サーボ機構230と同様であるが、フォークシャフト234の先端部に、ボールプランジャ271のボール272を受容するボール溝237a,237bが形成され、モータ動力伝達機構5を収容するモータギヤハウジングには、内蔵されたスプリングによりボール272がフォークシャフト234の外周面に付勢配設されるボールプランジャ271が取り付けられている。これらのボール溝237a,237bは、シフトフォーク235のON位置とOFF位置とに対応して形成されており、ON側ボール溝234a及びOFF側ボール溝234bとボールプランジャのボール272とにより、フォークシャフト234をシフトフォーク235のON位置またはOFF位置に係止するディテント構造270が構成される。
このように構成される駆動力断接装置250では、Dレンジが選択されて車両が前進走行する通常作動時において、油路202に吐出された作動油は、マニュアルバルブ210がDレンジであることから油路204を通ってソレノイドバルブ205の入力ポートに供給され、油路207から減圧弁215及び油路216を介してシフトバルブ220の入力ポート222に供給される。従って、シフトバルブ220の入力ポート222には、減圧弁215により調圧された作動油圧(サーボ供給圧PS:有り)が供給されている。このため、ソレノイドバルブ205への通電をON/OFF制御してシフトバルブ220のパイロットポート221に信号圧を供給し(SOL信号圧:有り)、または遮断する(SOL信号圧:無し)ことで、シフトバルブ220から油圧サーボ機構230への供給油路が切り換えられる。
すなわち、ソレノイドバルブ205への通電をONとしてパイロットポート221に信号圧を供給したときに、シフトバルブ220の入力ポート222と第2出力ポート224とが接続され、作動油圧が油圧サーボ機構230の第1油室231に供給されてシフトフォーク235がON位置(シンクロクラッチ57の接続位置)に配設される。このとき、ディテント構造270は、ボール272がON側ボール溝237aと係合し、フォークシャフト234がシフトフォークのON位置に係止される。またソレノイドバルブ205への通電をOFFとしてパイロットポート221への信号圧供給を遮断すると、シフトバルブ220の入力ポート222と第1出力ポート223とが接続され、作動油圧が油圧サーボ機構230の第2油室232に供給されてシフトフォーク235がOFF位置(シンクロクラッチ57の切断位置)に配設される。このとき、ディテント構造270は、ボール272がOFF側ボール溝237bと係合し、フォークシャフト234がシフトフォークのOFF位置に係止される。
ソレノイドバルブ205の断線故障時には、Dレンジにおいてもソレノイドバルブ205に電源が供給されなくなるためシフトバルブ220のパイロットポート221に信号圧が供給されず、シフトバルブのスプールはスプリングの付勢力によりセット側位置に保持される。一方、シフトバルブの入力ポート222には作動油圧が供給されているため、作動油圧は油圧サーボ機構230の第2油室232に供給され、シフトフォーク235がOFF位置に配設されて、シンクロクラッチ57が切断状態に保持される。従って、車両が高速走行時にソレノイドバルブ205が断線故障した場合に、突然シンクロクラッチ57が接続状態になり、車両が急減速したり、シンクロクラッチ57や第1駆動モータM1に損傷を生じさせたりするようなことがない。
車両を駐車させるとき、運転者は車両を停車させてシフトレバーをDレンジからNレンジまたはPレンジに切り換え、イグニッションをON→OFF操作する。シフトバルブにおいてNレンジまたはPレンジが選択されると、マニュアルバルブ210では入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断され、油路204への作動油供給が停止されるとともにドレンされる。このため、この段階でイグニッションがON→OFF操作されてソレノイドバルブ205への通電状態が変化しても、シフトバルブの入力ポート222に油圧が供給されないため、油圧サーボ機構230はNレンジまたはPレンジが選択される以前の作動位置、すなわち車両が停止する直前のシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。
車両を駐車状態から始動させるときには、運転者はシフトレバーをNレンジまたはPレンジとしてイグニッションIGをOFF→ON操作する。NレンジまたはPレンジでは、マニュアルバルブ210において入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断されており、油路204への作動油供給が停止されている。従って、イグニッションがOFF→ON操作されてソレノイドバルブ205に通電されても、シフトバルブのパイロットポート221に信号圧が立たないためシフトバルブ220は切り換わらない。しかしながら、同時にシフトバルブの入力ポート222への油圧供給も遮断されているため、さらにディテント構造270の保持機能により、油圧サーボ機構230は車両が駐車された状態の作動位置、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。このように、シンクロクラッチ57は、イグニッションの切換操作に拘わらず、車両が停止する直前の低車速域で設定された接続状態に保持される。
通常走行時にD→Nレンジ、N→Dレンジへの切換操作が行われた場合に、本回路構成では、油路204の残留圧力でシフトバルブ220がセット側に切り替わってしまうおそれがあり、このとき油圧サーボ機構230の作動位置が切り換わるか否かが問題となる。
すなわち、D→N操作が行われるとマニュアルバルブ210の入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断され、油路204の油圧が低下してゆくところ、ソレノイドバルブ205はシンクロクラッチ57の接続を維持させるため通電状態であり、油路204と油路206とは連通状態になっている。このため油路206の圧力低下過程でパイロットポート221の信号圧がシフトバルブ220の作動圧以下まで低下するとスプールがセット側位置に移動し、シフトバルブ220は、入力ポート222と第1出力ポート223とを接続する状態に切り換わる。
この場合、図4に示したように、シフトバルブ220の入力ポート222にもシフトバルブ作動圧程度の残圧が残っており、低下しつつある油路残圧が、切り替わった第1出力ポート223を介して油圧サーボ機構230の第2油室232に供給される。しかしながら、本構成の駆動力断接装置250では、フォークシャフト234の位置をシフトフォーク235のON位置またはOFF位置に係止するディテント構造270が設けられている。そしてディテント構造270の保持力は、油圧サーボ機構230のピストンにシフトバルブ作動圧程度の油圧が作用したときの軸方向駆動力よりも幾分大きめに設定されている。このため、油圧サーボ機構230は、D→N操作される以前の作動位置、すなわちディテント構造270のボール272がON側ボール溝237aと係合してシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。
また、N→D操作された場合においても、油路204の圧力がディテント構造270の保持力を超えて油圧サーボ機構230のピストンを作動させ得る圧力に上昇するまで、シフトフォーク235の位置が変位せず、油圧サーボ機構230はN→D操作される以前の状態、すなわちシンクロクラッチ57が接続された状態に保持される。
従って、以上説明した駆動力断接装置250においても、ソレノイドバルブ205の断線故障に対する安全性を確保し、イグニッションが切換操作されてもシンクロクラッチ57の接続状態を保持し得ることに加えて、D→N操作あるいはN→D操作が成されてもシンクロクラッチ57の接続状態を保持して迅速な再始動が可能な駆動力断接装置を、一本の油路204で連結する簡明な回路構成で実現することができる。
ところで、以上説明した駆動力断接装置200,250では、シフトバルブのスプールがセット側にあるときに、シフトフォーク235がOFF側に配設され、油圧サーボ機構230がシンクロクラッチ57を切断側(非係合側)に作動させるように構成している。これは、D→N→D操作時にシフトバルブ220にバルブロックが生じた故障モードにおける安全性を確保する目的でなされたものであり、以下この構成について図7(a)〜(c)を参照しながら説明する。なお、D→N→D操作は、例えば、車速を一定速度に維持制御するクルーズコントロールを利用した走行中に、このクルーズコントロールを解除するために普通に行われる通常操作である。
まず、第1駆動モータM1を用いて前進走行しているときには、図7(a)に示すように、シフトバルブ220のパイロットポート221に信号圧が作用してスプールを作動側に位置させ、入力ポート222と第2出力ポート224が接続されてサーボ機構230の第1油室231に作動油圧が供給され、シフトフォークがON位置(シンクロクラッチが接続状態)に設定される。
D→N操作すると、マニュアルバルブ210において入力ポート211と前進レンジ出力ポート212との接続が遮断され、油路204への作動油供給が停止されるとともにドレンされる。このため、図7(b)に示すように、パイロットポート221の信号圧が抜けてスプールがセット側に移動され、入力ポート222と第1出力ポート223が接続された状態に切り換わるが、油路204への作動油供給停止により第1出力ポート223に作動油圧が立たず、サーボ機構230は前状態維持、すなわちシフトフォークがON位置に維持される。
この状態で、例えば、スプールとハウジングとの間にゴミが噛み込んでバルブロック(スプールロック)が発生しシフトバルブがロック故障した場合、再びDレンジが選択されると、パイロットポート221に信号圧が作用し、本来であればスプールが作動側に切り替わり油圧サーボ機構230がシフトフォーク235のON位置に切り換わる((a)図の状態に戻る)が、シフトバルブ220は入力ポート222と第1出力ポート223が接続された状態でロックしているため、図7(c)に示すように、作動油圧が第1出力ポート223から油圧サーボ機構230の第2油室に供給され、油圧サーボ機構230はシフトフォーク235のOFF位置に移動され、シンクロクラッチ57の係合が切断される。すなわち第1駆動モータM1と駆動輪WR,WLとの動力伝達経路が遮断される。
一方、これと逆の回路形態、すなわちシフトバルブのスプールがセット側にあるときに、油圧サーボ機構230がON側にセットされる回路形態とした場合には、スプールがセット側でバルブロックすると、油圧サーボ機構のOFF作動(シンクロクラッチ57の切断作動)を意図して入力ポートに供給された作動油圧が第1油室に供給されてシンクロクラッチ57が接続され、第1駆動モータM1と駆動輪WR,WLとが接続される。このような状況が高速走行中に生じると、それまで停止していた第1駆動モータM1が高速回転している車軸に急激に接続されることになり、車両を急減速させたり、シンクロクラッチ57等の損傷を生じさせたりするおそれがある。
他方、本構成によれば、モータ走行中のD→N→D操作により油圧サーボ機構がOFF作動し第1駆動モータM1と駆動輪WR,WLとの動力伝達が遮断された場合には、定常走行中若しくは加速中であればエンジンENGを始動してエンジンにより走行することで車両の運転状態を維持可能であり、減速回生中であっても第2駆動モータM2を利用した協調ブレーキ制御若しくはトランスミッション2に設けられたクラッチを締結制御することでエンジンブレーキを発生させて車両の運転状態を安定的に維持可能であり、いずれにおいても車両の運転状態を急変させたりシンクロクラッチ等に損傷を生じさせたりすることなく、車両の安全性を確保することができる。
従って、以上説明した本発明によれば、イグニッションの切換操作が行われても油圧サーボ機構によるシンクロクラッチの断接位置が変化することがない駆動力断接装置を、構成要素の少ない簡明な構成で提供することができる。
第1の本発明における第1実施形態の駆動力断接装置の回路構成を示す要部回路図である。 第1の本発明における第2実施形態の駆動力断接装置の回路構成を示す要部回路図である。 第2の本発明に係る駆動力断接装置の回路構成を示す要部回路図である。 図3に示す油圧制御回路からカットバルブを削除した場合におけるD→N操作時の各油路の圧力変化状況を示すグラフである。 図3に示す回路構成におけるD→N操作時の各油路の圧力変化状況を示すグラフである。 油圧サーボ機構の不安定作動を防止する機能を具備した駆動力断接装置の他の構成形態を示す要部回路図である。 シフトバルブにバルブロックが生じた場合の作用を説明する説明図である。 本発明に係る駆動力断接装置が設けられた車両用動力伝達装置の全体構成を模式的に示す模式図(スケルトン図)である。 電磁切換弁の断線故障に対する対策例として考案される駆動力断接装置の第1構成例である。 電磁切換弁の断線故障に対する対策例として考案される駆動力断接装置の第2構成例である。 断線故障時及びイグニッションをオフ操作した時の両方の対策として考案される駆動力断接装置の第3構成例である。
符号の説明
ENG エンジン
M1 第1駆動モータ(電動モータ)
WR,WL 駆動輪
P1 第1オイルポンプ
1 動力伝達装置
5 モータ動力伝達機構(伝達機構)
57 シンクロクラッチ(クラッチ)
105 ソレノイドバルブ(電磁切替弁)
110 マニュアルバルブ(速度レンジ選択手段)
120 シフトバルブ
130 油圧サーボ機構
205 ソレノイドバルブ(電磁切替弁)
210 マニュアルバルブ(速度レンジ選択手段)
220 シフトバルブ
230 油圧サーボ機構
240 カットバルブ

Claims (3)

  1. 電動モータの駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構に、前記駆動力の伝達を断接可能なクラッチ及び当該クラッチを作動させる油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置において、
    前記油圧サーボ機構に供給する作動油圧の供給油路を切り換えて前記油圧サーボ機構を作動させるシフトバルブと、
    前記シフトバルブに前記供給油路の切り換え作動を行わせる信号圧の供給をオンオフ制御する電磁切換弁とを備え、
    前記電磁切換弁に作動用の元圧を導入する油路を、車両の走行レンジ選択手段において選択された走行レンジに拘わらず油圧供給源と接続される油路から導き、
    前記シフトバルブに前記作動油圧を導入する油路を、前記走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に前記油圧供給源と接続される油路から導く
    ように構成したことを特徴とする駆動力断接装置。
  2. 電動モータの駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構に、前記駆動力の伝達を断接可能なクラッチ及び当該クラッチを作動させる油圧サーボ機構を有する車両の駆動力断接装置において、
    前記油圧サーボ機構に供給する作動油圧の供給油路を切り換えて前記油圧サーボ機構を作動させるシフトバルブと、
    前記シフトバルブに前記供給油路の切り換え作動を行わせる信号圧の供給をオンオフ制御する電磁切替弁とを備え、
    前記電磁切換弁に作動用の元圧を導入する油路及び前記シフトバルブに前記作動油圧を導入する油路を、前記走行レンジ選択手段において前進レンジが選択されている時に前記油圧供給源と接続される油路から導くとともに、
    前記作動油圧を導入する油路における前記シフトバルブよりも上流側に、当該油路の圧力が所定圧力よりも低下したときに油路を遮断するカットバルブを設けた
    ことを特徴とする駆動力断接装置。
  3. 前記シフトバルブは、当該シフトバルブのスプールがセット側にあるときに、前記油圧サーボ機構が前記クラッチを非係合側に作動させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の駆動力断接装置。
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JP2013005637A (ja) * 2011-06-20 2013-01-07 Ehime Prefecture コンバートevの動力伝達装置
JP2018075876A (ja) * 2016-11-07 2018-05-17 トヨタ自動車株式会社 車両の駆動装置

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