JP2008184350A - 高吸水率再生骨材使用コンクリートの乾燥収縮低減方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングし、これをコンクリートに使用することを特徴とするコンクリートの乾燥収縮低減方法である。
【選択図】なし
Description
この乾燥収縮を低減する法としては、例えば、再生骨材に対する水性シラン系吸水防止剤による表面撥水性の付与(特許文献1)のように骨材表面を改質する提案もあるが、コストや手間がかかり、一般的なコンクリートへの適用は難しい。
従って、吸水率の高い再生骨材を使用する場合でも、普通骨材使用時に行われている収縮低減剤や膨張材の使用等で乾燥収縮を軽減する方法が実際的である。
また、収縮低減剤の添加量が過大になると、凝結遅延、強度低下等コンクリートの物性に悪影響を及ぼすことがある。
一方、配(調)合の変更による単位水量の減少には、限界があり、コンクリートの大幅な乾燥収縮低減が望めないのが実状である。
なお、膨張材と収縮低減剤を併用して収縮低減を図る方法は、効果的ではあるがコスト増につながるため、あまり実用的ではない。
すなわち、本発明は、
(1)吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングし、これをコンクリートに使用することを特徴とするコンクリートの乾燥収縮低減方法、
(2)収縮低減剤が、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物である前記(1)記載のコンクリートの乾燥収縮低減方法、
(3)吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングしてなるコンクリート用骨材、及び
(4)前記(3)記載のコンクリート用骨材を含有してなるコンクリート、
を提供する。
本発明のコンクリート用骨材は、吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングしているので、乾燥収縮低減が要求されるコンクリートに利用できる。
本発明のコンクリートは、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングした再生骨材を含有しているので、収縮低減剤による空気連行性や消泡性を有する場合の強度低下や凍結融解抵抗性の低下の危惧のない極めて効率的、経済的なコンクリートとして利用できる。
再生骨材の表面に付着している原モルタルの品質が低下していたり、付着量が多い場合には、再生骨材自体の品質が低下する。再生骨材は、粒度5mmを境に細骨材と粗骨材に分類される。
また、再生骨材は、再生コンクリートの利用拡大と高品質化を図るために、特開2003−2724号公報に開示されているような加熱すりもみ法やスクリュー磨砕法などの処理によって原モルタルを可能な限り除去したものであってもよいが、本発明方法による収縮低減効果を得るためには、吸水率が3%以上であることを要する。
本発明において吸水率は、粗骨材の場合、JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に準拠し、細骨材の場合は、JIS A 1109(細骨材の密度及び吸水率試験方法)に準拠して求められる。
これらの中でもポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテルなどの低級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好適に用いられる。
収縮低減剤添加量=再生骨材質量×再生骨材の吸水率×収縮低減剤希釈濃度
で表される。
一般添加法における収縮低減剤の使用量は、水セメント比(W/C)によって異なるが、通常、2〜9kg/m3(対セメントの1〜2質量%)であるが、本発明の高吸水率再生骨材への収縮低減剤水溶液のプレウェッチング(以下、「溶液散布法」ということがある。)によれば、W/C、骨材の吸水率によって異なるが0.5〜8kg/m3で一般添加法よりも少量の使用量で同等以上の乾燥収縮低減効果を得ることが可能である。その際、上記収縮低減剤希釈濃度としては、通常0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
一般に生コン工場では、骨材を湿潤状態でサイロやストックヤードに貯蔵しており、吸水率の大きい骨材は、コンクリートを製造する前に水でプレウェッチングが施され、湿潤状態を保つようにしている。本発明では、それらの設備を利用して一般的な水のみによるプレウェッチングに替えて、高吸水率再生骨材に予め収縮低減剤水溶液をプレウェッチングすればよい。
また、セメントとして、普通ポルトランドセメント〔住友大阪セメント(株)製、密度3.15g/cm3〕、主成分がリグニンスルフォン酸化合物とポリオールの複合体であるAE減水剤〔(株)エヌエムビー製、商品名:ポゾリスNo.70〕、低級アルコールアルキレンオキシド付加物である収縮低減剤〔住友大阪セメント(株)製、商品名:テスタF〕を準備した。
・空気量試験:JIS A 1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法」に準拠した。
・圧縮強度試験:JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠した。
・乾燥収縮試験の長さ変化試験:JIS A 1129−2「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法」に準拠した。
表2、表3で示すように実施例1、2では、粒度5mm以下で吸水率が15.2%の再生細骨材に、それぞれ1質量%濃度、3質量%濃度の収縮低減剤水溶液を溶液散布(プレウェッチング)することで得た、表面乾燥飽水状態の再生細骨材を660kg用いた。
一方、収縮低減剤無添加で、水をプレウェッチングして得た表面乾燥飽水状態の再生細骨材を660kg用いた場合を比較例1とし、水をプレウェッチングして得た表面乾燥飽水状態の再生細骨材を660kg用い、コンクリート製造時にセメントの質量を基準にその1質量%の収縮低減剤を練混ぜ水に加えて使用した場合(一般添加法)を比較例2とした。
表4、表5に示すように、実施例3〜5では、粒度5〜20mmで吸水率が6.2%の再生粗骨材にそれぞれ1質量%濃度、3質量%濃度及び5質量%濃度の収縮低減剤水溶液を溶液散布(プレウェッチング)して得た、表面乾燥飽水状態の再生粗骨材を886kg用いた。
一方、収縮低減剤無添加で、水をプレウェッチングして得た表面乾燥飽水状態の再生粗骨材を886kg用いた場合を比較例3とし、水をプレウェッチングして得た表面乾燥飽水状態の再生粗骨材を886kg用い、コンクリート製造時にセメントの質量を基準にその1質量%の収縮低減剤を練混ぜ水に加えて使用した場合(一般添加法)を比較例4とした。
表6、表7に示すように、普通骨材を用い、収縮低減剤無添加の場合を比較例5とし、コンクリート製造時にセメントの質量を基準にその1質量%の収縮低減剤を練混ぜ水に加えて使用する場合(一般添加法)を比較例6とした。また、比較例7〜9では、普通細骨材としての山砂及び砕砂に3質量%濃度、5質量%濃度及び10質量%濃度の収縮低減剤水溶液で表面乾燥飽水状態にした骨材を使用し、同様に、比較例10〜12では、普通粗骨材(大)及び普通粗骨材(小)にそれぞれ3質量%濃度、5質量%濃度及び10質量%濃度の収縮低減剤水溶液で表面乾燥飽水状態にした骨材を使用した。
同様に、表9に示す再生粗骨材に溶液散布した実施例3〜5は一般添加法である比較例4との比較においても、同様に少ない収縮低減剤の使用量で、同等に近い又は同等以上の収縮低減率を得ることができる。
一方、表10に示すように、吸水率が1.37%の普通細骨材に溶液散布した場合は、濃度を10%(比較例9)まで上げても、十分な収縮低減効果は得られず、同等の収縮低減剤の使用量である実施例1との収縮低減率の比較からもわかるように、再生骨材に使用した場合のような効果は得られなかった。
また、表11に示すように、吸水率が0.54の普通粗骨材に溶液散布した場合は、濃度を10%(比較例12)まで上げても、十分な収縮低減効果は得られず、同等の収縮低減剤の使用量である比較例8と同等の低い収縮低減率の値であり、再生骨材に使用した場合のような効果は得られなかった。
以上より、本発明の溶液散布による方法は、高吸水率再生骨材に限り一般添加法よりも少ない収縮低減剤使用量で同等又は同等以上の乾燥収縮低減効果が得られるのでコストの削減ができる。
さらに、一般添加法(比較例4)では、収縮低減剤無添加のものと比較して圧縮強度が低下するが、溶液散布法の実施例3〜5では収縮低減剤無添加と比べても強度に差が生じておらず、一般添加法において問題であった強度低下に対する悪影響も解消された。
本発明のコンクリート用骨材は、吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングしているので、乾燥収縮低減が要求されるコンクリートに利用できる。
本発明のコンクリートは、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングした再生骨材を含有しているので、収縮低減剤による空気連行性や消泡性を有する場合の強度低下や凍結融解抵抗性の低下の危惧のない極めて効率的、経済的なコンクリートとして利用できる。
Claims (4)
- 吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングし、これをコンクリートに使用することを特徴とするコンクリートの乾燥収縮低減方法。
- 収縮低減剤が、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物である請求項1記載のコンクリートの乾燥収縮低減方法。
- 吸水率3%以上の再生骨材に、収縮低減剤水溶液をプレウェッチングしてなるコンクリート用骨材。
- 請求項3記載のコンクリート用骨材を含有してなるコンクリート。
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