JPH09156980A - 水硬性セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents

水硬性セメント組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09156980A
JPH09156980A JP34636895A JP34636895A JPH09156980A JP H09156980 A JPH09156980 A JP H09156980A JP 34636895 A JP34636895 A JP 34636895A JP 34636895 A JP34636895 A JP 34636895A JP H09156980 A JPH09156980 A JP H09156980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
cement
absorbing polymer
concrete
hydraulic cement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP34636895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3273883B2 (ja
Inventor
Ryukichi Okamura
隆吉 岡村
So Karibe
創 苅部
Seiichi Hashimoto
誠一 橋本
Hiroshi Harada
宏 原田
Shunichiro Uchida
俊一郎 宇智田
Toshio Kono
俊夫 河野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chichibu Onoda Cement Corp filed Critical Chichibu Onoda Cement Corp
Priority to JP34636895A priority Critical patent/JP3273883B2/ja
Publication of JPH09156980A publication Critical patent/JPH09156980A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3273883B2 publication Critical patent/JP3273883B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B24/00Use of organic materials as active ingredients for mortars, concrete or artificial stone, e.g. plasticisers
    • C04B24/24Macromolecular compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/0045Polymers chosen for their physico-chemical characteristics
    • C04B2103/0051Water-absorbing polymers, hydrophilic polymers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリートの高強度化と高流動化を実現す
る水硬性セメント組成物を提供する。 【解決手段】 0.005〜0.1重量%の吸水性ポリ
マーと0.2〜5.0重量%の水とを含有する水硬性セ
メント組成物によりコンクリートの高強度化と高流動化
が実現できる。その製造方法は、セメント製造時におけ
る粉砕工程からセメント使用時における練混ぜ水の添加
前までの適時に、水と吸水性ポリマーを別個にまたは同
時に添加し、0.2〜5.0重量%の水と0.005〜
0.1重量%の吸水性ポリマーがセメントに含有される
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として土木・建
築分野において使用される水硬性セメント組成物および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンクリートは土木・建築分
野における主材料として使用されてきたが、超高層建築
などの新たなニーズの出現に伴って、高強度コンクリー
トや高流動コンクリートが強く求められるようになって
きた。コンクリートの高強度化には水セメント比(以
下、W/C)の低減が不可欠であり、低W/Cの条件下
で流動性を確保し施工可能なものとすることが必要であ
る。また、高流動コンクリートも従来よりも低いW/C
で配合するものであり、単位水量、単位セメント量及び
高性能AE減水剤使用量を著しく増やすことなく高い流
動性と材料分離抵抗性を得ることが求められる。
【0003】低W/Cのコンクリートに必要な流動性を
付与する技術としては、高性能AE減水剤をはじめとす
る有機混和剤の使用や、シリカフュームの混入、コンク
リート配合の工夫が通常行われている。また、セメント
自体の改良により高流動化を実現する試みは種々なされ
ているが、実用化された技術はほとんどなく、わずかに
高ビーライトセメントが上げられる程度である。高ビー
ライトセメントは、ポルトランドセメントのビーライト
含有量を増やし、混和剤を多く吸着する間隙質含有量を
減らすことで、コンクリートの高流動化と長期高強度化
を実現したセメントであるが、エーライト含有量が減っ
たために初期強度発現性が低いものとならざるを得な
い。また、クリンカー自体の組成が従来のものと大きく
異なる高ビーライトセメントのような特種なセメントの
製造には、専用のクリンカータンクの新設が必要であっ
たり、原料の選別が必要であったり、焼成時の品種切り
替えに際して中間品が多量に発生したりして、工場の設
備面や製造・品質管理面の負担が大きい。
【0004】一方、部分的に水和したセメント(風化し
たセメントや、一次水を少量加えて一旦練混ぜを行った
後に残りの練混ぜ水を加えて本来の練混ぜを行うダブル
ミキシングの場合)の流動性が良いことは以前から洪
(セメント技術年報No.38,p82,1984)や宮地ら
(セメント技術年報No.22,p344 ,1968)の研究報
告によって公知の事実となっている。セメントを部分的
に水和させて流動性を向上させることを特徴とする特許
は、何れも、これらの研究報告より後に出願されてお
り、このため、可塑剤(plasticizer )または超可塑剤
(superplasticizer)の含有(特公平6-104324)や、凝
結遅延可塑剤の含有(特公平6-47491 )、セメントのC
3 A量が5%以下であること(特開平2-175637)、セメ
ントの微粉部分のみを加水処理すること(特開平4-3134
9 )等、他の要因を組み合わせることによりその新規性
を主張している。これらの特許は何れも少量の水の添加
により水硬性セメントの粒子表面を改質(以下、表面改
質)し、極初期の水和反応性を低下させて流動性向上を
図ったものであり、高流動・高強度コンクリート用のセ
メントとして期待される。
【0005】然るに、本発明者らが検証したところで
は、これらの特許が主張する表面改質処理方法では、凝
結遅延可塑剤を併用する方法(特公平6-47491 )を除い
て、練り上がり直後の流動性は良いが、スランプロス等
が大きいという欠点があることが明らかになった。ここ
でいうスランプロス等とは、フレッシュコンクリートに
おけるスランプやスランプフローのロス、および(フレ
ッシュ)モルタルにおけるモルタルフローのロスをい
い、時間の経過とともに流動性が悪くなることである。
更に、サイロで貯蔵した場合に貯蔵中に流動性が大幅に
変化すること、必要量以上の水の添加により固結が生じ
ること等の欠点も認められる。
【0006】一方、遅延剤を併用する方法の場合、スラ
ンプロス等を小さくすることは可能であるが、この抑制
に必要な量の遅延剤を添加すると、凝結時間が著しく遅
延し、初期強度発現が阻害されるという問題が生じる。
このような、従来の表面改質方法における欠点は、実際
の高流動、高強度コンクリートの施工を想定したとき、
致命的と言わざるを得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高ビ
ーライトセメントのように鉱物組成を変更した特種なセ
メントにより高流動性を得るのではなく、表面改質によ
り既存の水硬性セメントに対して高流動性を付与または
流動性を大幅に向上させることにあり、なおかつ、従来
の表面改質技術の持つ欠点を克服し、スランプロスの抑
制、良好な初期強度発現性、貯蔵時の品質変動の抑制等
を達成した表面改質セメント組成物とその製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討
を重ねた結果、従来の部分水和による表面改質技術を基
本として、吸水性ポリマーを併用するのが有効であるこ
とを見出し本発明を完成するに至った。即ち、水硬性セ
メント中に0.005〜0.1重量%の吸水性ポリマー
と0.2〜5.0重量%の水とを含有することを特徴と
する水硬性セメント組成物によって上記課題は解決さ
れ、表面改質時の遅延剤の併用や、鉱物組成または粒度
分布の制約を設ける必要がなくなる。
【0009】さらに本発明者らは上記水硬性セメント組
成物の製造方法として、0.005〜0.1重量%の吸
水性ポリマーと0.2〜5.0重量%の水とを含有する
水硬性セメント組成物の製造方法において、セメント製
造時における、粉砕工程からセメント使用時における練
混ぜ水の添加前までの適時に、水と吸水性ポリマーを別
個にまたは同時に添加混合することを特徴とする水硬性
セメント組成物の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に供される水硬性セメント
とは、水硬性を示す無機物質であればほとんどが対象と
なり、例えば、普通・早強・超早強・中庸熱・高ビーラ
イト等の各種ポルトランドセメントや、それらに高炉ス
ラグ・フライアッシュ・シリカまたはシリカフューム等
を混合した各種混合セメント、あるいは、ポルトランド
セメントに膨張材料を混合した膨張セメントや、アルミ
ナセメント、超微粉砕セメント(コロイドセメント)等
の各種特殊セメント、更には、非晶質または結晶質のカ
ルシウムアルミネートを含有する急結材及び速硬材をは
じめとする各種のセメント用混和材料等が挙げられる。
【0011】本発明に供される吸水性ポリマーとは吸水
能が自重の5倍以上であるものであれば全て対象とな
り、例えば、アクリル酸系、デンプン/アクリル酸系、
マレイン酸系、セルロース系及びポリビニルアルコール
(以下PVAと略称する)系があり、120〜130℃
まで吸水能の温度変化のないものが好ましい。具体的に
は、アクリル酸系として、アラソープ(荒川化学)、ア
クアリザーブAP(日本合成化学)、ワンダーゲル(花
王)、スミカゲル(住友化学)、アクアキープ(製鉄化
学)、ランシール(日本エクスラン)、FAVOR(ス
トックハウゼン)、LUQUASORB(BASF)、
アクアリック(日本触媒化学)、デンプン/アクリル酸
系として、サンウェット(三洋化成)、WATER L
OCK(グラインプロセシング)、マレイン酸系とし
て、KIゲル(クラレイソプレン)、セルロース系とし
て、AQUALON(ハーキュレス)、DRYTECH
(ダウケミカル)、PVA系としてアクアリザーブGP
(日本合成化学)等が挙げられる。
【0012】本発明の水硬性セメント組成物は、0.2
〜5.0重量%の水と0.005〜0.1重量%の吸水
性ポリマーとを含有するが、この水の一部は、エトリン
ガイト等のセメント水和物の結合水として存在し、一部
は吸水性ポリマー中に存在する。このような状態で水が
存在することが本発明のポイントであり、添加した水が
自由水の状態で存在することは、固結物の発生や貯蔵時
の品質劣化をもたらすため好ましくない。吸水性ポリマ
ーはこのように余分な自由水を除去する効果を持つ。ま
た、本発明の水硬性セメント組成物の高流動性は、セメ
ント粒子表面に生成したセメント水和物によるところが
大きく、この水和物が結合水を失うと流動性が低下す
る。一方、スランプロス等の抑制は主に吸水性ポリマー
の可逆的な吸放水作用によるものであり、コンクリート
の練混ぜの際に添加された有機混和剤の一部が練混ぜ水
の一部とともに一時的に吸水性ポリマー内に吸収され、
その後の時間経過に伴って徐々に吸水性ポリマー外に放
出されることによりスランプが長時間保持されるものと
考えられる。以上のことから、本発明において定める
5.0重量%以下の水とは、表面改質のプロセスの中
で、水硬性セメントに対して添加された量ではなく、改
質後の水硬性セメント組成物が最終的に上述のような状
態で含有する量である。
【0013】含有する水量が多くなればその分だけ流動
性は向上するが、5.0重量%を超えると吸水性ポリマ
ーの効果を以てしても固結物の発生や貯蔵時の品質劣化
を避けることが困難となるので、十分な流動性が得られ
るならば、水量は5.0重量%以下、更に好ましくは
3.0重量%以下とするのが良い。また、下限値は0.
2重量%であるが、下限値未満では十分な効果が得られ
ない。適切な水量はベースに用いる水硬性セメントの水
和反応性によって異なり、水和反応性の高い超微粉砕セ
メントやカルシウムアルミネート系材料等では含有水量
を多めに設定することが好ましく、逆に水和反応性の低
い混合セメントや高ビーライトセメントでは少ない水量
で良い。
【0014】一方、吸水性ポリマーの量は多いほど上述
のような効果が強く得られるが、過剰に添加すると、フ
レッシュコンクリートの粘性の増大や、硬化後の強度低
下を招くため、0.1重量%以下、好ましくは0.07
重量%以下,更に好ましくは0.05重量%以下とする
のが良い。また下限値は0.005重量%程度である
が、下限値未満では十分な効果が得られない。
【0015】ところで、吸水性ポリマーをセメントまた
はコンクリートの製造に用いるのは、本発明が初めてで
はなく、すでにいくつかの特許が出願されている。しか
し、これらの特許の目的は、本発明とは大きく異なり、
(1)コンクリートの吸湿性の改善(特開昭62-13274
7)、(2)コンクリートの気泡の大量導入(特開平3-1
46478,特開平4-26538)(3)吸水性ポリマーに包含さ
せた固体状態の水によるコンクリートの練混ぜ(特開昭
62-198406、特開昭63-282149、特開平3-231806、特開平
4-86205 )等である。上述の(1)の特許は、セメント
に吸水性ポリマーを単純に添加するものであり、その目
的を達成するためには本発明よりも多量の吸水性ポリマ
ーを必要とする。(2)の特許も同様に、有効な気泡量
の導入のためには多量の吸水性ポリマーを必要とする。
(3)の特許は、練混ぜ水の全部または約半分を吸水性
ポリマーに含有させて固体状態または固体に近い状態で
コンクリートを練混ぜるものであり、実質的に練混ぜが
可能となるだけの多量の水と、この水を吸収できるだけ
の多量の吸水性ポリマーを必要とする。これに対して本
発明は、少量の水による水硬性セメントの表面改質を行
うにあたって、ごく少量の吸水性ポリマーの存在が大幅
な品質向上をもたらすことを見出したところに特徴があ
り、あくまで、高品質のコンクリート(特に高流動コン
クリートや高強度コンクリート)の製造に適した粉体状
の水硬性セメント組成物を得ることを目的とするもので
ある。
【0016】本発明の水硬性セメント組成物の製造方法
においては、水と吸水性ポリマーを水硬性セメントに分
散させることが出来ればどのような方法でもよい。セメ
ントはクリンカーに石膏を、また必要に応じて混合材料
や粉砕助剤を添加し、粉砕により製造されるが、水と吸
水性ポリマーの分散方法としては、例えばその粉砕時に
添加するか、あるいは粉砕したセメントに添加し撹拌・
混合する方法が考えられる。粉砕装置としては、チュー
ブミル、竪型ミル等が挙げられる。撹拌・混合装置とし
ては、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー(下部駆動型
垂直軸撹拌式の高速流動化混合機)、エアーブレンダー
等の一般の粉体混合装置でも良いし、可傾式ミキサー、
ドラムミキサー、パン型ミキサー、パグミルミキサー
(一軸、二軸)、二段ミキサー等のコンクリート練混ぜ
用のミキサーでも良い。
【0017】これらの製造方法のうち、粉砕工程での製
造には、更に二通りの方法がある。一つには、粉砕機
(ミル)中に水と吸水性ポリマーを添加し、クリンカー
及び石膏と混合粉砕する。この場合、粉砕により新しく
生じる粒子面に水と吸水性ポリマーを与え続けなければ
いけないので、水量および吸水性ポリマー量は比較的多
く必要となるが、水と吸水性ポリマーを水硬性セメント
の表面に均質に分布せしめる上で最も有効な方法であ
る。粉砕機は円筒型のチューブミルでもよいが、竪型粉
砕機(ローラーミル)の方がより低温での粉砕が可能で
あるので生成したセメント水和物からの結合水の脱水が
少なくなり好ましい。二つには、粉砕工程中の空気分級
機に添加する方法があり、分級機への入粉に添加しても
良いし、分級機からミルへの戻り粉に添加することもで
きる。特に前者は分級機によって吸水性ポリマーと水が
均一に分散されると共にその多くが製品側へ分配される
ので、両者の添加量を少なく出来る。また、水と吸水性
ポリマーを別々に、片方はミルへ添加し、もう片方は分
級機へ添加することも可能である。
【0018】また粉体混合装置での製造方法の場合、上
述の分級機への入粉に添加する場合と同様に水と吸水性
ポリマーの添加量を少なく出来るという利点がある。装
置としては上述のような各種のものが利用可能である
が、大量生産のための効率を考えるとエアーブレンダー
が特に好ましい。エアーブレンダーとは、タンク内にて
粉末物質を圧縮空気の挿入によって混合する装置であ
り、セメント原料の均斉化等に使用されるものでよい。
また、水と吸水性ポリマーを別々に、片方は粉体混合装
置で添加し、もう片方は粉砕工程で添加することも可能
である。
【0019】また、セメント使用時における練混ぜ水の
添加前に当該水硬性セメント組成物を製造する方法も採
用可能であり、この場合にはセメントの流通において専
用のサイロ等を設ける必要がなくなるため、大幅なコス
トの低減が可能となる。装置としては、上述のような各
種のコンクリートミキサーやその他のミキサーが利用可
能であるが、中でも二段ミキサーの上段部分で当該水硬
性セメント組成物を製造するのが、混合効率が良く好ま
しい。また、水と吸水性ポリマーを別々に、片方は上述
の粉砕工程または粉体混合装置で添加し、もう片方はセ
メント使用時における練混ぜ水の添加前の適時に添加す
ることも可能である。ただし、水を先に添加する場合
は、吸水性ポリマーの添加はなるべく水を添加した直後
に行うのが好ましく、水を添加しただけで長期間保存す
るのは好ましくない。
【0020】請求項3に記載の含水状態の吸水性ポリマ
ーはセメント製造時における粉砕工程からセメント使用
時における練混ぜ水の添加前までの適時に添加する。従
来の水による表面改質技術は、単なる散水や噴霧である
ため、既存の粉砕または混合設備において水および材料
が壁面に付着するなどの問題があったが、本方法は固体
状態での水の添加であるので取扱いが容易で、なおかつ
付着などの問題が少なく従来の粉砕又は混合設備での製
造が容易となる。また、吸水性ポリマーから水が徐々に
放出されて水硬性セメントの表面改質が行われる特徴が
あり、これは中でも粉砕工程における製造方法において
特に有効である。すなわち、粉砕により新しい粒子面が
生じても、水を含んだ吸水性ポリマーがこれと接触し、
徐々に放出される水で効率的な表面改質が行える。この
場合ミル内は一般に高温となるので、100〜130℃
程度の高温下でも高い吸水性能を示す吸水性ポリマーを
用いれば一層効果的である。同様のことをミル内での散
水で行おうとした場合、高温下で揮散し水硬性セメント
中に含有されずに失われる水が多くなり、多量の散水が
必要となるので、粉砕工程に付帯した粉塵回収設備(バ
グフィルター)の目詰まりを起こすなどの不都合を生じ
る。
【0021】請求項4に記載の添加する水が含有する無
機イオンとしては、Ca2+イオン、NO2 、NO3 -
オン、SO4 2-イオン等が特に好ましい。該無機イオン
には流動性の更なる向上と、吸水性ポリマーによるスラ
ンプロス抑制を助長する効果が認められる。
【0022】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、上述の本発明の主旨に沿うものであるかぎ
り、以下の実施例には制約されない。
【0023】水硬性セメントとして市販普通ポルトラン
ドセメント(秩父小野田(株)製、以下、OPCとい
う)を、吸水性ポリマーとしてアクアリザーブAP−1
00S(日本合成社製)を用いて表面改質処理を行い、
モルタルフロー試験及び強度試験を行った結果を表1〜
表3に示す。比較例1は比較としてOPCをそのまま試
験に供し、比較例2〜5は水のみを所定の割合でOPC
に添加・混合し、実施例1〜4は吸水性ポリマー及び水
を所定の割合でそれぞれOPCに添加・混合し、試験に
供したものである。また、実施例5は、無機イオンを含
む水の例として、亜硝酸カルシウムを5%含む水溶液を
用いて、これと吸水性ポリマーの所定量をそれぞれ添加
して表面改質処理を行ったものである。混合には三井三
池化工機株式会社製のヘンシェルミキサーを用い3分間
の撹拌を行った。尚、上記実施例1〜4及び比較例2〜
5は、撹拌・混合の直後のほかに2週間の貯蔵後にも試
験に供した。尚、モルタルの練込みにはホバートミキサ
ーを使用し、混和剤は高性能AE減水剤(以下、SP
剤)としてポリカルボン酸系のものを用い、所定のW/
C及び、砂/セメント比(以下、S/C)で混練した。
モルタルのフロー試験にはJIS R 5201に規定のフローコ
ーン(下部内径100mm)を用い、テーブルの落下運動
を伴わない静置フローを測定した。フロー値は、練混ぜ
直後、30分後、及び60分後まで可能な限り測定し、
経時変化を観察した。モルタル強度試験用供試体の作製
には、JIS R 5201に規定の4×4×16cmの型枠を使
用した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】表1、表2、表3における使用材料とモル
タルの配合を下記に示す。 ベースとした水硬性セメント:OPC(秩父小野田
(株)製) 吸水性ポリマー:アクアリザーブAP−100S(日本
合成社製) W/C=0.30 S/C=1.30(小笠原陸砂使用) SP剤:レオビルドSP−8S(株式会社エヌエムビー
製) SP剤使用量:C×0.70%
【0028】表1によれば、比較例2〜5および実施例
1〜4の練混ぜ直後のフロー値は、比較例1に対してす
べて大きい値であるが、更に詳細には、同一の含有水量
において、単に水のみを含有する比較例2〜5よりも、
水と吸水性ポリマーを含有した実施例1〜4の方が練混
ぜ直後および特に時間経過後のフロー値が大きい。ま
た、表2によれば、2週間の貯蔵後の比較では、単に水
のみを含有したものは時間経過後のフロー値がさらに小
さくなり、固結物の発生も認められた。水と吸水性ポリ
マーを含有したものでは、時間経過によるフロー値の低
下がなく、固結物の発生もほとんどなかった。
【0029】以上から明らかなように、単に水のみを含
有するものよりも、水と吸水性ポリマーを含有するもの
は、特に時間経過によるフロー値の低下、すなわちフロ
ーロスが改善されている。更に、実施例5を見ると、亜
硝酸カルシウムを含む水で処理したものは、練混ぜ直後
のフロー値が大きくなるとともにフローロスも認められ
ない。また、強度発現性は表3に示すように、OPCを
そのまま実験に供した比較例1および水のみを含有する
比較例2〜5に対して、吸水性ポリマーを併用した実施
例1〜5は,同一W/Cにおいてほぼ同等の強度を発現
している。従って、流動性が一定となるように配合した
場合には、W/Cの低減が可能な実施例1〜5のほうが
高い強度を得ることができる。
【0030】また、普通ポルトランドセメント用クリン
カーを用いて、試験粉砕機(バッチ式ボールミル)によ
る表面改質を行った例を表4に示す。尚、粉砕は石膏を
仕上りセメントのSO3 量が2.0%となるように配合
し、ブレーン比表面積が3200±200cm2/gとな
るように行った。実施例6〜9はクリンカー及び石膏に
あらかじめ所定量の水を含有させた吸水性ポリマーを添
加して粉砕したものである。比較例6は水を添加しない
場合であり、比較例7〜10はクリンカー及び石膏に水
を所定量添加して粉砕したものである。
【0031】
【表4】
【0032】表4における使用材料とモルタルの配合を
以下に示す。 ベースとしたクリンカー:普通ホ゜ルトラント゛セメントクリンカー (秩
父小野田(株)製) 吸水性ポリマー:アクアリザーブAP−100S(日本
合成社製) 粉砕助剤:ジエチレングリコール 添加量0.05% W/C=0.30 S/C=1.30(小笠原陸砂使用) SP剤:レオビルドSP−8S(株式会社エヌエムビー
製) SP剤使用量:C×0.70%
【0033】表4の実施例6〜9及び比較例6〜10に
示すように、セメントの粉砕時に添加したものの比較で
も、市販セメントに混合添加した場合である表1と同様
の結果が得られた。
【0034】更に、水をあらかじめ所定量含有させた吸
水性ポリマーをコンクリートの練混ぜ直前にOPCに添
加・混合し、引き続いて練混ぜを行ったコンクリートの
スランプ試験結果を表5に示す。コンクリートの練込み
には、一軸式のパン型ミキサーを用いた。また、コンク
リートのスランプロスの測定には、JIS A 1101に規定の
スランプコーンを用い、練混ぜ直後、30分後、及び6
0分後まで可能な限り測定し、経時変化を観察した。
【0035】
【表5】
【0036】表5における使用材料とコンクリートの配
合を以下に示す。 ベースとした水硬性セメント:OPC(秩父小野田
(株)製) 吸水性ポリマー:アクアリザーブAP−100S(日本
合成社製) W/C=0.30、単位セメント量C=567kg/m3 細骨材率s/a=0.43 (小笠原陸砂および岩瀬産
砕石使用) SP剤:レオビルドSP−8S(株式会社エヌエムビー
製)
【0037】表5の実施例10〜13に示すように、コ
ンクリートの練混ぜ直前に水と吸水性ポリマーを添加し
た場合も、比較例11〜15に比べて流動性の低下が改
善されている。
【0038】これらのことから、本発明品はベースとな
ったセメントの強度発現性を損なうことなく流動性を大
幅に向上できており、必要な施工性を長時間確保しなが
ら、容易にW/Cを低減することが可能で、従来よりも
低いW/Cで製造される高強度コンクリートや高流動コ
ンクリートに適するものといえる。
【0039】
【発明の効果】上述したように、本発明の表面改質技術
はセメント系の水硬性物質であれば全てのものが対象と
なる。各種のポルトランドセメントや混合セメントに本
発明を適用すれば、従来のものに比べて低いW/Cでコ
ンクリートを製造し、高強度または超高強度を得ること
が容易に可能である。更に、単位水量や単位セメント量
および高性能AE減水剤使用量を少なく抑えながら、必
要な流動性と材料分離抵抗性を長時間確保し、施工性が
良好でなおかつ高強度のコンクリート(例えば、高流動
・高強度コンクリート)を容易に製造することが可能で
ある。また、このような利点は締固め不要の高流動コン
クリートを製造する場合についても同様であり、特に単
位セメント量を低減し、普通強度ではあるが、発熱量の
少ない高流動コンクリートを製造することも可能であ
る。一方、その他の分野に本発明を適用する場合につい
て例を挙げてみると、本発明の高流動性を生かして、高
浸透性の地盤注入材、高充填性かつ高強度のグラウト材
や補修材、流動性の良好な速硬材や膨張材、可使時間が
長く高強度のセルフレベリング材等が容易に製造でき、
広範囲な応用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 宏 埼玉県熊谷市月見町二丁目1番1号 秩父 小野田株式会社中央研究所内 (72)発明者 宇智田 俊一郎 埼玉県熊谷市月見町二丁目1番1号 秩父 小野田株式会社中央研究所内 (72)発明者 河野 俊夫 千葉県市原市青葉台五丁目6番4号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.005〜0.1重量%の吸水性ポリ
    マーと、0.2〜5.0重量%の水とを含有することを
    特徴とする水硬性セメント組成物。
  2. 【請求項2】 0.005〜0.1重量%の吸水性ポリ
    マーと、0.2〜5.0重量%の水とを含有する水硬性
    セメント組成物の製造方法において、セメント製造時に
    おける粉砕工程からセメント使用時における練混ぜ水の
    添加前までの適時に、水と吸水性ポリマーを別個にまた
    は同時に添加混合することを特徴とする水硬性セメント
    組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 添加する水があらかじめ吸水性ポリマー
    に含まれた状態にあることを特徴とする請求項2に記載
    の水硬性セメント組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 添加する水が無機イオンを含有する水溶
    液であることを特徴とする請求項2又は3に記載の水硬
    性セメント組成物の製造方法。
JP34636895A 1995-12-12 1995-12-12 水硬性セメント組成物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3273883B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34636895A JP3273883B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 水硬性セメント組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34636895A JP3273883B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 水硬性セメント組成物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09156980A true JPH09156980A (ja) 1997-06-17
JP3273883B2 JP3273883B2 (ja) 2002-04-15

Family

ID=18382947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34636895A Expired - Fee Related JP3273883B2 (ja) 1995-12-12 1995-12-12 水硬性セメント組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3273883B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002012464A (ja) * 2000-06-28 2002-01-15 Taiheiyo Cement Corp 高流動高強度コンクリート
WO2004101463A3 (en) * 2003-05-14 2005-01-06 Schlumberger Services Petrol Compositions and methods for treating lost circulation
JP2006169842A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd コンクリート構造物の補修工法
KR100847375B1 (ko) * 2007-06-13 2008-07-21 주식회사 에스알건설 초미립 시멘트를 이용한 흡수성 폴리머 개질 속경성 폴리머시멘트 페이스트 조성물 및 이를 이용한 도로 포장방법
JP2016161298A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 有限会社技研産業 放射線遮蔽組成物、放射線遮蔽材或いは放射線遮蔽建材等の製造方法。

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002012464A (ja) * 2000-06-28 2002-01-15 Taiheiyo Cement Corp 高流動高強度コンクリート
WO2004101463A3 (en) * 2003-05-14 2005-01-06 Schlumberger Services Petrol Compositions and methods for treating lost circulation
EP2199539A1 (en) * 2003-05-14 2010-06-23 Services Pétroliers Schlumberger Self adaptive cement systems
JP2006169842A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd コンクリート構造物の補修工法
JP4555066B2 (ja) * 2004-12-16 2010-09-29 住友大阪セメント株式会社 コンクリート構造物の補修工法
KR100847375B1 (ko) * 2007-06-13 2008-07-21 주식회사 에스알건설 초미립 시멘트를 이용한 흡수성 폴리머 개질 속경성 폴리머시멘트 페이스트 조성물 및 이를 이용한 도로 포장방법
JP2016161298A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 有限会社技研産業 放射線遮蔽組成物、放射線遮蔽材或いは放射線遮蔽建材等の製造方法。

Also Published As

Publication number Publication date
JP3273883B2 (ja) 2002-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20180162774A1 (en) Method to produce aggregates from unsettled cementitious mixtures
JPH04124054A (ja) 超高強度コンクリート
JP4643857B2 (ja) 透水性コンクリート
KR101885673B1 (ko) 신규한 형태의 혼화제를 포함하는 시멘트 또는 무시멘트계 고화제 및 그 제조방법
JP2009203145A (ja) ポーラスコンクリート及びその製造方法
JP3273883B2 (ja) 水硬性セメント組成物及びその製造方法
JP2002226245A (ja) コンクリート混合材及びコンクリート組成物
JPH07144941A (ja) ポルトランドセメント組成物
CN105776991A (zh) 一种生态纳米改性胶凝材料及其制备方法
JPH059049A (ja) セメント混和材及びセメント組成物
JPH08277153A (ja) 軽量高強度コンクリート
JP2004284873A (ja) 水硬性複合材料
JPH0832575B2 (ja) 粒度を調整したポルトランドセメント
JPH0687635A (ja) 水硬性セメント
JPH1017355A (ja) ハイスランプコンクリート及びその製法
JP3212870B2 (ja) セメント系グラウト材組成物
JP3290171B2 (ja) ポーラスコンクリートの製造方法
JP3991242B2 (ja) 高強度吹付けコンクリート
JP4261675B2 (ja) 細骨材、その製造方法、及びセメント組成物
JPH10218648A (ja) 高性能減水剤組成物及びセメント組成物
JP2004196624A (ja) 水硬性組成物
JP5919940B2 (ja) 高保水性ブロックおよび高保水性ブロックの製造方法
JP2003063847A (ja) 膨張材
JPH07207264A (ja) グラウト材
JPH10273353A (ja) 水硬性セメント組成物、及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees