JP3212870B2 - セメント系グラウト材組成物 - Google Patents

セメント系グラウト材組成物

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JP3212870B2
JP3212870B2 JP7365196A JP7365196A JP3212870B2 JP 3212870 B2 JP3212870 B2 JP 3212870B2 JP 7365196 A JP7365196 A JP 7365196A JP 7365196 A JP7365196 A JP 7365196A JP 3212870 B2 JP3212870 B2 JP 3212870B2
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木・建築分野に
おいて主として使用されるセメント系グラウト材組成物
に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】土木・建築工事を始
め、鉱山等における工事において、コンクリート構造物
の細かい空隙、トンネルの履工背面と地山との間の空
隙、鉄筋スリーブ内空隙、あるいはPC鋼材用シースと
PC鋼材との空隙等にモルタルやセメントペーストを充
填するグラウト工事が行われており、各種のグラウト材
が開発され、広範囲に実用化されている。
【0003】そして、近年、構造物となるコンクリート
の品質が高性能化、高品質化し、構造体そのものが複雑
化するにつれて、グラウト材に要求される用途や性能が
多様化すると共に高度化している。このようなグラウト
材を用いたグラウトには、PCグラウト、プレパックド
コンクリート用グラウト、ダム継ぎ目グラウト、トンネ
ルやシールドの裏込めグラウト、プレキャスト用グラウ
ト、構造物の補修・補強注入グラウト、鉄筋継手グラウ
ト、橋梁の支承下グラウト、機械台座下グラウト、軌道
スラブ下グラウト、及び原子力発電所格納容器下グラウ
ト等の如く従来からのものの他に、近年では、斜張橋の
斜材グラウト、鋼材継手グラウト、RM構造用グラウ
ト、舗装版下グラウト、グラウンドアンカー用グラウ
ト、及び貯蔵ビット用グラウト等と言った新しい分野に
おいても多種多様なものが有る。
【0004】中には、複雑な形状を有し、かつ、接合部
の付着強度が強く要求されるものがある。例えば、太径
鉄筋の機械継手工法におけるねじ節鉄筋継手用のグラウ
トがある。これは、阪神大震災などの経験から耐震性能
などが評価され、最近、注目度が高まっているものであ
り、微細な間隙への良好な充填性と高い強度発現性が要
求される。ねじ節鉄筋継手とは、図1に示す如く、雄ね
じ節が形成されているねじ鉄筋に適合する雌ねじを内面
加工したカプラーを用いる機械的継手であるが、カプラ
ーとのねじ山間には僅かに間隙が生じる。この継手剛性
を母材並みとする為、ねじ山の間隙を充填するセメント
系グラウトが用いられる。
【0005】この他、コンクリート構造物のひび割れ補
修においても、微細で複雑な形状のひび割れ部分に対し
て良好な充填性を示すグラウトが必要となる。最近で
は、コンクリートの高強度化に伴ってグラウトにも良好
な充填性と共に、高強度発現性が要求されている。この
ような特性をセメント系グラウトに付与する為には、水
グラウト材比(以下、W/G)を低減した上で、高い流
動性と、適度な粘性を示すグラウト材の開発が必要とな
る。
【0006】すなわち、微細で複雑な形状の間隙を充填
する場合、流動性が十分に高くても、粘性が低いと、比
較的クリアランスの大きい部分を通ってグラウトが流出
してしまう為、未充填部分が残り、好ましくない。逆
に、粘性が高すぎると、間隙が比較的大きい場合でも、
注入時に大きな抵抗を生じ、注入自体が困難となる。こ
の為、グラウト材には、流動性と、粘性の両特性が適正
な範囲にコントロールされていることが要求される。
【0007】然るに、従来の技術では、高い強度を得る
為に、W/Gを低減すると、流動性が不足し、粘性が過
大となる問題があった。流動性が不足するだけであれ
ば、高性能減水剤(又は高性能AE減水剤)の使用によ
りある程度まで解決することも出来るが、W/Gの低減
に伴う粘性の増大を抑制するのは困難であった。更に、
高性能減水剤(又は高性能AE減水剤)の多量使用によ
り、強引に流動性を確保した場合、練混ぜが非常に困難
となり、実際の施工において作業性が悪化する問題もあ
った。
【0008】従って、本発明が解決しようとする課題
は、低W/Gにおいて、高い流動性と適度な粘性を示
し、更に混練が容易であって、例えばねじ節鉄筋継手カ
プラー等の複雑な形状を有する部位への充填性に優れ、
しかも機械的強度にも富むセメント系グラウト材組成物
を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、水を保持
した水硬性セメントと、膨張材とを含有してなり、水/
水硬性セメント=1〜3(重量%)であることを特徴と
するセメント系グラウト材組成物によって解決される。
特に、セメント系グラウト材組成物と水とを所定のW/
G(例えば、W/G=26%)で混練・施工する前の段
階において、水を保持した水硬性セメントと、膨張材と
を含有してなり、水/水硬性セメント=1〜3(重量
%)であることを特徴とするセメント系グラウト材組成
物によって解決される。
【0010】又、粒子表面に水和物の形で水が存在する
水硬性セメントと、膨張材とを含有してなり、水/水硬
性セメント=1〜3(重量%)であることを特徴とする
セメント系グラウト材組成物によって解決される。特
に、セメント系グラウト材組成物と水とを所定のW/G
(例えば、W/G=26%)で混練・施工する前の段階
において、粒子表面に水和物の形で水が存在する水硬性
セメントと、膨張材とを含有してなり、水/水硬性セメ
ント=1〜3(重量%)であることを特徴とするセメン
ト系グラウト材組成物によって解決される。
【0011】本発明のセメント系グラウト材組成物にお
ける水の割合は、水/水硬性セメントが1〜3(重量
%)である。又、本発明のセメント系グラウト材組成物
における膨張材の割合は、水硬性セメント100重量部
に対して膨張材が1〜20重量部であるものが好まし
い。より好ましい割合は2〜15重量部、特に3〜12
重量部である。
【0012】又、前記の課題は、水硬性セメント100
重量部に対して膨張材が1〜20重量部の割合で水硬性
セメントと膨張材とを含有し、更に前記水硬性セメント
と膨張材との総量100重量部に対して水を0.2〜5
重量部含有することを特徴とするセメント系グラウト材
組成物によって解決される。特に、セメント系グラウト
材組成物と水とを所定のW/G(例えば、W/G=26
%)で混練・施工する前の段階において、水硬性セメン
ト100重量部に対して膨張材が1〜20重量部の割合
で水硬性セメントと膨張材とを含有し、更に前記水硬性
セメントと膨張材との総量100重量部に対して水を
0.2〜5重量部含有することを特徴とするセメント系
グラウト材組成物によって解決される。
【0013】本発明のセメント系グラウト材組成物にお
ける水硬性セメントはブレーン比表面積が4000〜1
0000cm2 /g、特に5000〜9000cm2
gであるものが好ましい。又、本発明のセメント系グラ
ウト材組成物には、更に、吸水性ポリマーを含有してい
るものが好ましい。吸水性ポリマーの含有割合は、水硬
性セメント100重量部に対して吸水性ポリマーが0.
005〜0.2重量部、特に0.01〜0.1重量部で
あるものが好ましい。
【0014】又、本発明のセメント系グラウト材組成物
には、減水剤(特に、高性能減水剤、高性能AE減水
剤)が含まれているのが好ましい。減水剤の含有割合
は、水硬性セメント100重量部に対して減水剤が0.
1〜4重量部、特に0.5〜3重量部であるものが好ま
しい。又、本発明のセメント系グラウト材組成物には、
増粘剤が含まれているのが好ましい。増粘剤の含有割合
は、水硬性セメント100重量部に対して増粘剤が0.
001〜0.2重量部、特に0.003〜0.1重量部
であるものが好ましい。
【0015】又、本発明のセメント系グラウト材組成物
には、凝結遅延剤が含まれているのが好ましい。凝結遅
延剤の含有割合は、水硬性セメント100重量部に対し
て凝結遅延剤が0.01〜1.5重量部、特に0.01
〜0.5重量部であるものが好ましい。又、本発明のセ
メント系グラウト材組成物には、シリカ質微粉末が含ま
れているのが好ましい。シリカ質微粉末の含有割合は、
水硬性セメント100重量部に対してシリカ質微粉末が
1〜60重量部、特に5〜30重量部であるものが好ま
しい。
【0016】そして、上記のように構成させてなる本発
明のセメント系グラウト材組成物は、低W/Gにおい
て、高い流動性と適度な粘性を示し、更に混練が容易で
あって、例えばねじ節鉄筋継手カプラー等の複雑な形状
を有する部位への充填性に優れ、しかも機械的強度にも
富むものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のセメント系グラウト材組
成物は、水を保持した水硬性セメントと、膨張材とを含
有する。特に、セメント系グラウト材組成物と水とを所
定のW/Gで混練・施工する前の段階において、水を保
持した水硬性セメントと、膨張材とを含有する。又、粒
子表面に水和物の形で水が存在する水硬性セメントと、
膨張材とを含有する。特に、セメント系グラウト材組成
物と水とを所定のW/Gで混練・施工する前の段階にお
いて、粒子表面に水和物の形で水が存在する水硬性セメ
ントと、膨張材とを含有する。前記セメント系グラウト
材組成物における水の割合は、水/水硬性セメントが
0.2〜5重量%、特に0.5〜4重量%、更には1〜
3重量%である。又、前記セメント系グラウト材組成物
における膨張材の割合は、水硬性セメント100重量部
に対して膨張材が1〜20重量部、特に2〜15重量
部、更には3〜12重量部である。又、本発明のセメン
ト系グラウト材組成物は、水硬性セメント100重量部
に対して膨張材が1〜20重量部の割合で水硬性セメン
トと膨張材とを含有し、更に前記水硬性セメントと膨張
材との総量100重量部に対して水を0.2〜5重量部
含有する。特に、セメント系グラウト材組成物と水とを
所定のW/Gで混練・施工する前の段階において、水硬
性セメント100重量部に対して膨張材が1〜20重量
部の割合で水硬性セメントと膨張材とを含有し、更に前
記水硬性セメントと膨張材との総量100重量部に対し
て水を0.2〜5重量部含有する。前記セメント系グラ
ウト材組成物における水硬性セメントはブレーン比表面
積が4000〜10000cm2 /g、特に5000〜
9000cm2 /gである。又、前記セメント系グラウ
ト材組成物には、更に、水硬性セメント100重量部に
対して吸水性ポリマーを0.005〜0.2重量部、特
に0.01〜0.1重量部含有する。又、前記セメント
系グラウト材組成物には、更に、水硬性セメント100
重量部に対して減水剤を0.1〜4重量部、特に0.5
〜3重量部含有する。又、前記セメント系グラウト材組
成物には、更に、水硬性セメント100重量部に対して
増粘剤を0.001〜0.2重量部、特に0.003〜
0.1重量部含有する。又、前記セメント系グラウト材
組成物には、更に、水硬性セメント100重量部に対し
て凝結遅延剤を0.01〜1.5重量部、特に0.01
〜0.5重量部含有する。又、前記セメント系グラウト
材組成物には、更に、水硬性セメント100重量部に対
してシリカ質微粉末を1〜60重量部、特に5〜30重
量部含有する。
【0018】本発明のポイントは、例えば水硬性セメン
ト(又は水硬性セメントと膨張材の両者)に少量の水を
含有させることによって、すなわち水硬性セメント粒子
に水を保持、特に水硬性セメント粒子表面に水和物の形
で水を存在させることにより、セメント粒子の接水直後
の急激な水和反応性を抑制し、グラウトに高い流動性を
付与すると共に、膨張材を併用した点である。
【0019】水硬性セメント粒子に水を保持させるに
は、水硬性セメント(又は水硬性セメントと膨張材の両
者)の製造時の粉砕工程において水を加えても良いし、
粉砕済みの水硬性セメント粉末(又は水硬性セメントと
膨張材の両方の粉末)に水を加えてヘンシェルミキサー
等の粉体混合機で混合しても良いし、グラウトの施工時
における本来の練混ぜ水の添加の前に、水硬性セメント
粉末と膨張材粉末の混合物に0.2〜5重量%の水を添
加混合するようにしても良い。
【0020】このような表面改質処理技術に基づいたセ
メント系グラウト材組成物の製造方法について更に詳し
く説明すると、粉砕工程での製造には、更に二通りの方
法がある。一つには、粉砕機(ミル)中に水を添加し、
クリンカー及び石膏と混合粉砕する。この場合、粉砕に
より新しく生じる粒子表面に水を与え続けなければなら
ないので、水量は比較的多く必要となるが、水を水硬性
セメントの粒子表面に均質に分布せしめる上で有効であ
る。粉砕機は円筒型のチューブミルでも良いが、竪型粉
砕機(ローラーミル)の方が、より低温での粉砕が可能
なことから、生成したセメント水和物からの結合水の脱
水が少なくなり、好ましい。二つには、粉砕工程中の空
気分級機に添加する方法があり、分級機への入粉への添
加でも良く、分級機からミルへの戻り粉に添加すること
も出来る。特に、前者は、分級機によって、水が均一に
分散されると共に、その多くが製品側へ分配されるの
で、水の添加量を少なく出来る。又、膨張材は、上記の
水硬性セメントと同時に混合粉砕して水を含有させても
良いし、別個の粉砕工程において水を含有させても良い
が、単に、別工程で粉砕を行い、水硬性セメントへ添加
するだけでも良い。但し、膨張材にも水を含有させる方
が、本発明のセメント系グラウト材組成物のW/Gの低
減には有効である。
【0021】又、粉体混合装置での製造方法の場合、上
述の分級機への入粉への添加の場合と同様に水の添加量
を少なく出来る利点がある。装置としてはV型ミキサ
ー、ヘンシェルミキサー(下部駆動型垂直軸攪拌式の高
速流動化混合機)、エアーブレンダー等の各種装置が利
用可能であるが、大量生産の効率を考えると、エアーブ
レンダーが特に好ましい。エアーブレンダーは、タンク
内にて粉末を圧縮空気の挿入によって混合する装置であ
り、セメント原料の均質化等に使用されるものでよい。
【0022】又、グラウトの施工時における本来の練混
ぜ水の添加前に水硬性セメントと膨張材粉末の混合物に
水を添加して当該セメント系グラウト材組成物を製造す
る方法も採用できる。この場合には、グラウトの使用条
件に合わせて、表面改質処理の程度を変更することが可
能となる。装置としては、施工現場で練混ぜに用いられ
る各種ミキサーが利用可能である。
【0023】本発明に供される水は水道水で良い。尚、
亜硝酸カルシウム溶液などの無機イオン含有水を使用す
れば流動性が向上するので、このような無機イオン含有
水を使用しても良い。上記表面改質処理の水量は、使用
する水硬性セメントに対して1〜3重量%であれば良
い。少な過ぎると、効果が殆どなくなり、逆に、多すぎ
ると、固結物発生の原因となる。尚、ここで言う表面改
質の水量とは処理の結果最終的に水硬性セメント(又は
水硬性セメントと膨張材)が保持した水量を言うのであ
って、処理時に添加した水量ではない。
【0024】表面改質処理により、後述の高性能減水剤
(又は高性能AE減水剤)との併用でグラウトの流動性
が向上し、混練が容易となる。又、粘性が過剰に増大す
ることなく、W/Gを低減することが可能になる為、ね
じ節鉄筋継手カプラー等複雑な形状を有する部位への良
好な充填が可能となり、硬化後も高い強度が得られる。
【0025】又、膨張材の添加は、水和による収縮を低
減させ、充填後の付着性状を良好にする。更に、水を保
持した水硬性セメントと膨張材との併用により、後述す
る通り、各々、単独の場合には奏することが出来ない特
長が奏される。又、表面改質処理において水と共に吸水
性ポリマーを添加・混合すると、吸水性ポリマーの持つ
吸・放水作用により、流動性の経時ロスの減少、長期間
貯蔵における品質維持等の効果が奏される。
【0026】この他に、高性能減水剤(又は高性能AE
減水剤)、増粘剤、凝結遅延剤、シリカ質微粉末などを
加えることも好ましい。例えば、凝結遅延剤の添加は、
混練後数時間流動性を増大させ、可使時間を延長させる
効果がある。以下、更に、詳細に説明する。本発明の水
硬性セメントは、水硬性を示す無機物質であれば全ての
物が対象となる。但し、ブレーン空気透過装置で測定し
た比表面積(ブレーン比表面積;JIS R 5201
に規定)が4000cm2 /g以上、好ましくは500
0cm2 /g以上、更に好ましくは6000cm2 /g
以上であれば一層好ましい。又、10000cm2 /g
以下、好ましくは9000cm2 /g以下のものが好ま
しい。これは、粒子が細かい方が微細間隙へ充填しやす
く、強度発現性も良いからである。このような高比表面
積の水硬性セメントとしては、例えば早強ポルトランド
セメント、超早強ポルトランドセメント、超微粉砕セメ
ント(コロイドセメント)、アルミナセメント等が挙げ
られる。
【0027】本発明のもう一つのポイントは水を保持し
た水硬性セメントに膨張材を組合わせたことである。表
面改質を施し、水を保持させた水硬性セメントは、飛躍
的に流動性が高まるものの、初期水和反応が抑制される
為、ブリーディングし易い欠点が有る。しかし、表面改
質した水硬性セメントに水和反応性が高い膨張材を配す
ることにより、ブリーディングの発生を回避することに
成功した。
【0028】使用する膨張材は単に粉砕しただけのもの
でも良いが、上記と同様な表面改質処理により水を含有
(保持)させれば、グラウトの流動性を一層高めること
が出来る。但し、表面改質により水を含有(保持)させ
た膨張材を用いる場合、膨張材の初期水和反応が遅くな
り、ブリーディングを抑制する効果が若干小さくなるの
で、凝結遅延剤の添加量を少なくする等の配慮をするの
が好ましい。
【0029】又、膨張材を併用する更なる効果は、収縮
を低減し、複雑形状部位における付着性能を確保するこ
とである。本発明に供される膨張材は、収縮を低減し、
水和反応性が高く、膨張作用のあるものならば全て対象
となる。例えば、カルシウムサルフォアルミネート系
(以下、CSA系)、カルシウムアルミネート系(以
下、CA系)、石灰系等の無機物質、又は金属系のもの
等が挙げられる。具体的には、CSA系としてアウイ
ン、CA系として非晶質又は結晶質の各種カルシウムア
ルミネート、石灰系として酸化カルシウム、金属系とし
て金属アルミニウム粉末や鉄粉等が挙げられる。
【0030】膨張剤の添加量は、表面改質した水硬性セ
メント100重量部に対して20重量部を上限とするの
が好ましい。多すぎると、膨張破壊の原因となる。逆
に、少なすぎると、効果が小さい。本発明に供される吸
水性ポリマーは、吸水能が自重の5倍以上あるものが好
ましい。例えば、アクリル酸系、デンプン/アクリル酸
系、マレイン酸系、セルロース系やポリビニルアルコー
ル(以下、PVA)系があり、120〜130℃まで吸
水能の温度変化のないものが好ましい。具体的には、ア
クリル酸系として、アラソープ(荒川化学)、アクアリ
ザーブAP(日本合成化学工業)、ワンダーゲル(花
王)、スミカゲル(住友化学)、アクアキープ(製鉄化
学)、ランシール(日本エクスラン)、FAVOR(ス
トックハウゼン)、LUQUASORB(BASF)、
アクアリック(日本触媒化学)、デンプン/アクリル酸
系として、サンウェット(三洋化成)、WATER L
OCK(グラインプロセシング)、マレイン酸系とし
て、KIゲル(クラレイソプレン)、セルロース系とし
て、AQUALON(ハーキュレス)、DRYTECH
(ダウケミカル)、PVA系としてアクアリザーブGP
(日本合成化学)等が挙げられる。
【0031】吸水性ポリマーは、本発明のグラウト材組
成物を用いたグラウトの経時的な流動性のロス(以下、
フローロス)を抑制する効果を付与する。この効果は、
主に、吸水性ポリマーの可逆的な吸・放水作用によると
考えられる。すなわち、グラウトを練り混ぜた際に、添
加された高性能減水剤(又は高性能AE減水剤)の一部
が練混ぜ水の一部と共に、一時的に、吸水性ポリマー内
に吸収され、その後の時間経過に伴って徐々に吸水性ポ
リマー外に放出され、流動性が長時間保持されるものと
考えられる。
【0032】吸水性ポリマーは、予め本発明のグラウト
材組成物に添加・混合しておいても良いし、施工現場で
の本来の練混ぜの前にグラウト材に適量を添加・混合し
ても良い。吸水性ポリマーは表面改質に用いる水と別々
に添加しても良いが、予め表面改質の為の水を吸水性ポ
リマーに吸収させて、一種の固体状態にしてから添加す
れば、ハンドリングが容易になる場合が多くなると共
に、添加した水が揮散し難くなり、効率良く水硬性セメ
ント(又は水硬性セメントと膨張材)に取り込まれるよ
うになり、好ましい。吸水性ポリマーの添加量は、使用
する水硬性セメント100重量部に対して0.2重量部
以下が好ましい。吸水性ポリマーは高分子であるので、
後述の増粘剤と似たような効果があり、多すぎる添加は
流動性の低下や強張りを生じ、更には強度低下を招く。
【0033】本発明に供される高性能減水剤(又は高性
能AE減水剤)は、リグニンスルフォン酸系、多環芳香
族縮合物スルフォン酸系、メラミンスルフォン酸ホルム
アルデヒド縮合物、β−ナフタリンスルフォン酸ナトリ
ウムのホルマリン縮合物等が挙げられる。通常市販され
ているセメント用高性能減水剤または高性能AE減水剤
で良い。又、粉末のものを予めセメント系グラウト材組
成物に添加・混合しておいても良いし、施工現場におい
て練混ぜの際に添加しても良い。
【0034】高性能減水剤(または高性能AE減水剤)
の添加量は、表面改質した水硬性セメント100重量部
に対して0.1〜4重量部であることが好ましい。少な
すぎると、十分な減水効果が得られ難く、逆に、多すぎ
ると、減水効果が頭打ちとなるだけでなく、凝結の異常
遅延や強度低下の恐れが有る。本発明に供される増粘剤
は、本発明のセメント系グラウト材組成物の流動性(特
に粘性)を使用条件に合わせて最終的に微調整し、一層
良好な充填性を得られるようにする。一般に、水中不分
離性混和剤と呼ばれるもので良いが、これ以外でも粘性
を付与する作用が有るものならば全て対象となる。例え
ば、水溶性高分子等が挙げられる。具体的には、メチル
セルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0035】増粘剤は、粉末状のものを予め本発明のグ
ラウト材組成物に添加・混合しておいても良いし、施工
現場での練混ぜの際に適量を添加しても良い。その添加
量は、表面改質した水硬性セメント100重量部に対し
て0.001〜0.2重量部が好ましい。多すぎる添加
は流動性の低下や強張りの恐れが有り、更には強度低下
の恐れも有る。
【0036】本発明に供される凝結遅延剤は、水和反応
の遅延により本グラウト材組成物を用いたグラウトの可
使時間の延長という効果を付与する。凝結時間を遅延す
る作用のあるものならば全て対象となる。その例とし
て、珪フッ化物系、リン酸系、ホウ酸系、オキシカルボ
ン酸系、アミノカルボン酸系、糖類、金属酸化物等が挙
げられる。具体的には、珪フッ化物系として珪フッ化ナ
トリウム、珪フッ化マグネシウム等、オキシカルボン酸
系としてクエン酸、クエン酸ナトリウム、ヘプトン酸、
ヘプトン酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリ
ウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム等、糖類としてショ糖
等、金属酸化物として酸化亜鉛等が挙げられる。
【0037】凝結遅延剤は、粉末状のものを予め本発明
のグラウト材組成物に添加・混合しておいても良いし、
施工現場での練混ぜの際に適量を添加しても良い。その
添加量は、水硬性セメント100重量部に対して0.0
1〜1.5重量部が好ましい。少なすぎると、可使時間
の延長効果が小さく、逆に、多すぎると、凝結時間の過
剰遅延の為にブリーディングの恐れが有り、付着性能が
低下する恐れが有る。
【0038】本発明に供されるシリカ質微粉末とは、本
発明のセメント系グラウト材組成物の流動性をより一層
高める効果を持つ。例えば、シリカフューム、フライア
ッシュ等のシリカダスト類が挙げられる。シリカ質微粉
末は、予め本発明のグラウト材組成物に添加・混合して
おいても良いし、施工現場での練混ぜの際に適量を添加
しても良い。その添加量は、表面改質した水硬性セメン
ト100重量部に対して1〜60重量部が好ましい。多
すぎると、強度が低下する恐れが有る。
【0039】
【実施例1】各種試験に供するグラウト材の内容を表−
1に示す。水硬性セメントとして実施例1,2では普通
ポルトランドセメント(ブレーン比表面積3400cm
2 /g。秩父小野田社製。以下、OPC)を、実施例3
では早強ポルトランドセメント(ブレーン比表面積45
00cm2 /g。秩父小野田社製。以下、HPC)を、
実施例4〜9ではHPCを微粉砕したもの(ブレーン比
表面積6700cm2 /g。秩父小野田社製。以下、H
G)を用いた。
【0040】実施例1〜4では水硬性セメントが水を
2.0重量%含有(保持)するように、実施例5〜9で
はHGが水を2.0重量%、かつ、吸水性ポリマーを
0.04重量%含有するようにヘンシェルミキサーを用
いて表面改質処理したものを用い、膨張材および実験に
応じて減水剤他の各種混和剤(材)を混合した後、所定
のW/Gにてグラウトの性能試験を行った。
【0041】但し、実施例2では膨張材についても水を
2.0重量%含有(保持)するように表面改質したもの
を用いた。又、吸水性ポリマーにはアクリル酸系のアク
アリザーブAP−100S(日本合成化学工業社製)
を、膨張材には生石灰粉末を、高性能減水剤にはβ−ナ
フタリンスルフォン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を
主成分とするマイティ100(花王社製)を、増粘剤に
はメチルセルロースを、凝結遅延剤にはクエン酸粉末
を、シリカ質微粉末にはシリカフュームを用いた。
【0042】比較として、比較例1〜2ではOPCを、
比較例3ではHPCを、比較例4ではHGを用い、試験
に供した。実施例および比較例とも、混練にはハンドミ
キサーを用い、所定量の混練水を加えて3分間混練を行
った。尚、グラウト材に高性能減水剤を予め混合してい
ない試料については、同量の1.5%を混練水に添加し
た(実施例1〜5、比較例1〜4)。
【0043】 表−1 添加量 (%) 備考 膨張材 高性能 増粘剤 遅延剤 シリカ 減水剤 質微粉末 実施例1 5.0 OPCを表面改質 実施例2 5.0 OPCと膨張材を表面改質 実施例3 5.0 HPCを表面改質 実施例4 5.0 HGを表面改質 実施例5 5.0 HGを表面改質,ポリマー 添加 実施例6 5.0 1.5 〃 〃 実施例7 5.0 1.5 0.03 〃 〃 実施例8 5.0 1.5 0.03 0.1 〃 〃 実施例9 5.0 1.5 0.03 0.1 20.0 HG+シリカ質微粉末を表 面改質,ポリマー添加 比較例1 OPCを表面改質 比較例2 5.0 OPC(未改質) 比較例3 5.0 HPC(未改質) 比較例4 5.0 HG (未改質) 表−1の試料を用いたフロー試験、及び注入試験の結果
を表−2に示す。
【0044】フロー試験にはJIS R 5201に規
定のフローコーン(下部内径100mm)を用い、テー
ブルの落下運動を伴わない静置フローを測定した。フロ
ー値は、練混ぜ直後、60分後、及び120分後まで可
能な限り測定し、経時変化を観察した。又、注入試験に
は、図1や図2に示すようなねじ節鉄筋継手とその透明
カプラーを用い、目視による充填性状の観察を行った。
尚、図1は継手構造の断面図であり、図中、1a,1b
はねじ節鉄筋、2はカプラー、3はグラウト、4はグラ
ウト注入口、5ははみ出したグラウトである。
【0045】 表−2 高性能 W/ 静置フロー(mm) 充填性状 減水剤 G 直後 60分後 120分後 直後 60分後 120分後 (%) (%) 実施例1 1.5 26 236 170 133 良好 注入困難 注入不能 実施例2 1.5 25 240 175 135 〃 〃 〃 実施例3 1.5 27 235 169 127 〃 〃 〃 実施例4 1.5 27 230 170 125 〃 〃 〃 実施例5 1.5 27 245 215 186 〃 良 好 注入困難 実施例6 (1.5) 27 247 220 189 〃 〃 〃 実施例7 (1.5) 27 241 206 180 極めて良好 〃 〃 実施例8 (1.5) 27 244 282 280 〃 極めて良好 良 好 実施例9 (1.5) 22 243 260 257 〃 〃 〃 比較例1 1.5 26 235 178 146 流出 注入困難 注入不能 比較例2 1.5 35 243 138 107 良好 注入不能 〃 比較例3 1.5 37 240 124 103 〃 〃 〃 比較例4 1.5 38 236 122 101 〃 〃 〃 *高性能減水剤の欄における(1.5)で示したものはグラウト材中に予め 混合し、その他のものは混練水に添加した。
【0046】表2によれば、水硬性セメントにOPCを
用いた場合について、表面改質を行った実施例1と未改
質の比較例2を比べると、実施例1は表面改質の効果に
より比較例2と同等のフロー値(練り混ぜ直後)となる
W/Gが低減可能となっている。又、水硬性セメントの
種類をHPCとHGに変えた実施例3,4についても、
表面改質していない比較例3,4に比べて同等のフロー
値が得られるW/Gが低減されていることが判る。
【0047】又、膨張材を共に表面改質した実施例2は
水硬性セメントのみを改質した実施例1よりもW/Gの
低減が可能となっている。水と共に吸水性ポリマーを添
加して表面改質を行った実施例5では、吸水性ポリマー
の吸・放水作用によりフローロスが小さくなることが判
る。又、高性能減水剤をグラウト材粉末に混合添加した
実施例6でも、その減水効果(W/Gの低減)はグラウ
ト材の練練水に添加した実施例5と同等であることが判
る。増粘剤を添加した実施例7でも、減水効果に殆ど変
化がない。凝結遅延剤を添加した実施例8では、フロー
値が時間の経過にもかかわらず増加している。
【0048】一般的に、セメント系材料は時間の経過に
よりフロー値が減少して注入性状が悪化するが、実施例
8の如く、時間の経過によってフロー値が増大する傾向
は、混練後数時間まで注入性状を安全側に保証する手段
となり得る。シリカフュームを添加した実施例9では、
W/Gを更に大幅に低減できることが判る。
【0049】一方、充填性状に関しては、実施例はすべ
て練込み直後は良好な注入が可能である。特に、吸水性
ポリマーを用いた実施例5〜7は混練1時間後まで、凝
結遅延剤を更に用いた実施例8〜9は混練2時間後まで
注入が可能であった。尚、増粘剤を用いた実施例7〜9
は適度な粘性が付与される為、未充填部分を殆ど残さな
い極めて良好な注入が可能であった。比較例について
は、表面改質のみを施した比較例1は、注入は出来るも
のの、膨張材を配合していない為、粘性が過度に小さ
く、グラウトの流出が大きくなり、充填性が悪かった。
又、表面改質を行わなかった比較例2〜4は注入の為の
フロー値を大きく確保する為に、W/Gが大きいものと
なった。
【0050】次に、表−1の試料を用いたものについて
圧縮強度試験を行った結果を表−3に示す。強度試験用
供試体の作製には、JIS R 5201に規定の4×
4×16cmの型枠を使用し、20℃において24時間
の湿空養生の後、水中養生を行った。 表−3 材齢7日圧縮強さ(N/mm2 ) ブリーディング率(%) 実施例1 72 0.09 実施例2 75 0.16 実施例3 81 0.10 実施例4 85 0.07 実施例5 86 0.05 実施例6 88 0.06 実施例7 87 0.01 実施例8 87 0.01 実施例9 98 0.01 比較例1 70 1.23 比較例2 50 0.61 比較例3 56 0.65 比較例4 63 0.55 表−3によれば、材齢7日での圧縮強度を比較すると、
実施例はいずれも表面改質の効果により比較例2〜4に
比べて同等のフロー値を示すW/Gが低減できた為、強
度が増大した。用いた水硬性セメントの種類の比較で
は、HG,HPC,OPCの順で大きな強度を示した。
一般に水硬性セメントは、粒子が細かくなる程、すなわ
ち比表面積が大きくなる程、水和反応性が高くなる為、
初期強度は増大する。予めグラウト材に高性能減水剤を
添加した実施例6〜8も、グラウト材の混練水に添加し
た実施例4,5と同様に、W/Gの低減が可能となるの
で、強度もほぼ同様に増大した。更に、シリカフューム
を添加した実施例9では、W/Gが更に低減できる為、
実施例の中では最も高い強度を示した。実施例はいずれ
も70N/mm2 以上の強度を示しており、その使用に
際しては十分な付着強度を有すると考えてよい。
【0051】更に、表−1の試料を用いてブリーディン
グ試験および収縮試験を行った結果を表−3,−4に示
す。ブリーディング試験には、JIS A 1104に
規定の、内径14cm、内高13cmの容器を使用し
た。グラウトを練混ぜ後、容器の上面から1cm下にな
るまで入れ、JIS A 1123に準じてブリーディ
ング水を採取し、最終のブリーディング水量を測定し
た。ブリーディング率は、ブリーディングによる水量の
混練水量に対する百分率で表した。又、収縮率の測定は
実施例1,8と比較例1について行い、混練直後のグラ
ウトを変形自在なゴム袋に詰めて水中に入れ、その気中
重量と水中重量との差から体積を求め、混練20分後の
体積を基準として各材齢における体積の変化率を計算し
た。体積変化率の値が正ならば基準の体積よりも膨張し
ていることを、負ならば収縮していることを示す。
【0052】 表−4 体積変化率(×10-4;+は膨張、−は収縮を表す。) 1hr 3hr 6hr 12hr 24hr 7日 14日 21日 28日 実施例1 +15.5 +85.0 +169 +140 +62.9 -19.8 -104 -144 -187 実施例8 +19.1 +87.6 +182 +153 +70.6 -14.5 -92 -147 -191 比較例1 -15.7 -42.4 -67.0 -90.8 -119 -215 -292 -366 -419 表−3によれば、ブリーディングに関しては、比較例に
対して実施例はいずれもブリーディング率が小さい値を
示した。比較例1は膨張材を配合せずに表面改質のみを
行ったものであるので、W/Gを下げることは出来て
も、ブリーディングが生じている。比較例2〜4は膨張
材を添加してあるものの、未改質の為、W/Gを低減で
きず、ブリーディングが生じている。
【0053】これに対して、実施例1は表面改質による
W/G低減と膨張材の効果によりブリーディングが減少
している。実施例2は膨張材も表面改質している為、W
/Gは実施例1よりも低いが、ブリーディング率は実施
例1よりやや大きい。実施例7〜9の増粘剤を添加した
系では、殆どブリーディングは生じなかった。又、表−
4によれば、収縮に関して、比較例1は、混練直後から
収縮が始まり、材齢4週までの収縮率は約4×10-2
あった。これに対して、実施例1,8は、適正な膨張材
の配合により、混練直後から約6時間膨張を続け、その
後材齢1週間でほぼ混練直後の体積に戻った。材齢4週
までの収縮率も比較例1の半分の約2×10-2であっ
た。従って、ブリーディング率も収縮率も共に小さい実
施例は比較例に比べて注入後の充填性状がより良好であ
ると言える。
【0054】
【発明の効果】本発明のセメント系グラウト材組成物
は、高流動性、及び高強度性、並びに高充填性を可能と
した。従って、複雑形状部位への注入(例えば、ねじ節
鉄筋継手カプラーやコンクリート構造物のひび割れ部分
等への注入)に有効であり、充填材や補修材として広範
囲の用途がある。又、本発明のセメント系グラウト材組
成物は、ブリーディングの発生を高度に抑制できる為、
グラウトとしての用途だけでなく、一般の建築工事用セ
メント、例えば汎用のノンブリーディングセメントとし
ての使用も有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ねじ節鉄筋の継手構造の断面図
【図2】ねじ節鉄筋の継手構造の説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 24:26 C04B 24:26 A 22:12) 22:12) 103:22 103:22 103:32 103:32 103:60 103:60 111:70 111:70 (56)参考文献 特開 平7−237950(JP,A) 特開 平4−89338(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 2/00 - 32/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水を保持した水硬性セメントと、膨張材
    とを含有してなり、 水/水硬性セメント=1〜3(重量%)である ことを特徴とするセメント系グラウト材組成物。
  2. 【請求項2】 粒子表面に水和物の形で水が存在する水
    硬性セメントと、膨張材とを含有してなり、 水/水硬性セメント=1〜3(重量%)である ことを特徴とするセメント系グラウト材組成物。
  3. 【請求項3】 水硬性セメント100重量部に対して膨
    張材が1〜20重量部であることを特徴とする請求項1
    又は請求項2のセメント系グラウト材組成物。
  4. 【請求項4】 水硬性セメント100重量部に対して膨
    張材が1〜20重量部の割合で水硬性セメントと膨張材
    とを含有し、更に前記水硬性セメントと膨張材との総量
    100重量部に対して水を1〜3重量部含有することを
    特徴とするセメント系グラウト材組成物。
  5. 【請求項5】 水硬性セメントのブレーン比表面積が4
    000〜10000cm 2 /gであることを特徴とする
    請求項1〜請求項4いずれかのセメント系グラウト材組
    成物。
  6. 【請求項6】 更に吸水性ポリマーを含有してなり、水
    硬性セメント100重量部に対して吸水性ポリマーが
    0.005〜0.2重量部の割合であることを特徴とす
    る請求項1〜請求項5いずれかのセメント系グラウト材
    組成物。
  7. 【請求項7】 水硬性セメント100重量部に対して、
    0.1〜4重量部の減水剤、0.001〜0.2重量部
    の増粘剤、0.01〜1.5重量部の凝結遅延剤、1〜
    60重量部のシリカ質微粉末の群の中から選ばれるいず
    れか一つ以上を更に含有してなることを特徴とする請求
    項1〜請求項6いずれかのセメント系グラウト材組成
    物。
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