JP5785413B2 - 鉄筋継手用充填材およびそれを用いた鉄筋継手充填施工方法 - Google Patents
鉄筋継手用充填材およびそれを用いた鉄筋継手充填施工方法 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、アクリル系やセルロース系の増粘剤を用いても、だれる量を低減する効果が充分でない場合があり、また、その効果を高めるために、増粘剤の添加量を増加した場合には、グラウト材の強度が低下するという課題があった。
しかしながら、特許文献5には、デュータンガムを併用して、低だれ性を付与することについての記載はない。
しかしながら、特許文献6や特許文献7には、高流動性を有するセメント組成物やモルタルの記載はあるものの、「高流動性」と相反する性能である「低だれ性」を併せ持つことについての記載はなかった。
(1)本発明は、セメントとシリカ質微粉末からなる結合材、減水剤、消泡剤、及びデュータンガムを含有してなり、前記セメント100質量部に対して、前記シリカ質微粉末が4〜12質量部であり、前記減水剤が0.02〜3質量部であり、前記デュータンガムが0.005〜0.015質量部であることを特徴とする鉄筋継手用充填材である。
(2)前記シリカ質微粉末が、シリカフュームであることを特徴とする前記(1)の鉄筋継手用充填材である。
(3)前記消泡剤が、セメント100質量部に対して、0.002〜0.3質量部であることを特徴とする前記(1)又は(2)の鉄筋継手用充填材である。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの鉄筋継手用充填材に、前記鉄筋継手用充填材中の前記結合材100質量部に対して、15〜23質量部の水を加えて練り混ぜ、施工することを特徴とする鉄筋継手充填施工方法である。
なお、本発明における部や%は、特に断らない限り質量規準で示す。
酸化ジルコニウムを含有するシリカヒュームの酸化ジルコニウムの含有率は、1〜10%が好ましく、3〜6%がより好ましい。
消泡剤としては、低級アルコール系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、油脂系消泡剤、界面活性剤系消泡剤、及びシリコーン系消泡剤等があり、具体的には、粉末状の消泡剤としては、旭電化工業社製商品名「アデカネートB−115F」や、サンノプコ社製商品名「SNデフォーマー14HP」などが挙げられる。
デュータンガムは、セメントなどの材料を混練したペーストの流動性を損なわない程度に適度に増粘させ、充填後のだれる量を顕著に低減することを可能にするものであり、白色〜淡黄褐色の粉末であって、水に可溶で、粘性の水溶液になり、この1%水溶液のpHはほぼ中性である。
デュータンガムの粒度は、80メッシュパスが95%以上である。
ハンドミキサや高速グラウトミキサでの練り混ぜは、例えば、ペール缶等の練り容器やミキサにあらかじめ所定の水を入れ、その後ミキサを回転させながら鉄筋継手用充填材を投入し、3分以上練り混ぜることが好ましい。また、強制ミキサでの練り混ぜは、例えば、あらかじめ前記鉄筋継手用充填材をミキサに投入し、ミキサを回転させながら所定の水を投入し、少なくとも4分以上練り混ぜることが好ましい。練り混ぜ時間が所定時間未満では、練り不足のため適切なセメントペーストの流動性が得られない場合がある。
練り混ぜられた鉄筋継手用充填材は、通常、手動式注入ガン、ダイヤフラム式手押しポンプ、あるいは、スクイズ式等のポンプにより鉄筋継手に充填施工される。
セメント100部に対して、減水剤1.5部、消泡剤0.01部、デュータンガム0.008部、及び表1に示すシリカ質微粉末を加えて鉄筋継手用充填材を調製した。
この鉄筋継手用充填材中のセメントとシリカ質微粉末からなる結合材100部に対して、水を20部加えて練り混ぜ、その後、静置フロー、圧縮強度、及びだれる量を測定した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
シリカ質微粉末A:酸化ジルコニウムを含有するシリカヒューム、酸化ジルコニウムの含有率5%、BET面積12m2/g、pH3.0、市販品
シリカ質微粉末B:フェロシリコン製造時、副生するシリカヒューム、BET面積19m2/g、市販品
シリカ質微粉末C:高炉水砕スラグ微粉末、ブレーン値4,000cm2/g、市販品
シリカ質微粉末D:フライアッシュ、ブレーン値4,000cm2/g、市販品
減水剤 :ポリカルボン酸塩系高性能減水剤、市販品
消泡剤 :高級アルコール系消泡剤、市販品
デュータンガム:2個のグルコースと1個のグルクロン酸と3個のラムノースを構成単位とする天然高分子多糖類、市販品
静置フロー:JIS R 5201の凝結試験容器をフローコーンに用いて、コーン引き上げ後のペーストの広がりを測定した。
圧縮強度 :JIS R 5210に準拠した。材齢28日。
だれる量 :鉄筋継手用充填材を、鉄筋継手の注入口からグリースガンを用いて充填。継手上部の流出口から鉄筋継手用充填材が流出した時点で充填を停止し、停止時点の継手下部からだれ落ちた部分の長さを測定した。
セメント100部に対して、シリカ質微粉末8部、消泡剤0.01部、デュータンガム0.008部、及び表2に示す量の減水剤を加えて鉄筋継手用充填材を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
セメント100部に対して、シリカ質微粉末8部、減水剤1.5部、デュータンガム0.008部、及び表3に示す量の消泡剤を加えて鉄筋継手用充填材を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
セメント100部に対して、シリカ質微粉末8部、減水剤1.5部、消泡剤0.01部、及び表4に示す量のデュータンガムを加えて鉄筋継手用充填材を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
なお、比較のため、デュータンガムの代わりに市販の増粘剤を使用して同様に実験を行った。結果を表4に併記する。
市販の増粘剤:主成分ヒドロキシエチルメチルセルロース、市販品
セメント100部に対して、シリカ質微粉末8部、減水剤1.5部、消泡剤0.01部、及びデュータンガム0.008部を加えて鉄筋継手用充填材を調製した。この鉄筋継手用充填材中のセメントとシリカ質微粉末からなる結合材100部に対して、表5に示す水を加えて練り混ぜたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
実験例1の実験No.1- 5の鉄筋継手用充填材を使用して鉄筋継手性能を評価した。
試験は、SD490鉄筋のD32を用い、ポストグラウト方式を採用し、継手に鉄筋を挿入後、練り上げた鉄筋継手用充填材をダイヤフラム式手動ポンプで継手の注入口から充填し、空気排出口から排出されるのを確認して鉄筋継手用充填材の充填を止めた。
鉄筋継手用充填材を充填した鉄筋継手試験体は、20℃恒温室で所定の材齢まで養生後、2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書「鉄筋継手性能判定基準」に定められた試験方法により継手試験を行った。
評価は、20℃養生における実験No.1- 5配合の鉄筋継手用充填材が2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書「鉄筋継手性能判定基準」に定められたA級性能に適合するかで行った。結果とA級性能判定基準を表6に示す。
したがって、土木および建築分野での鉄筋継手定着工事において、迅速な施工、高強度、高耐力の継手定着を実現することができる。
Claims (4)
- セメントとシリカ質微粉末からなる結合材、減水剤、消泡剤、及びデュータンガムを含有してなり、前記セメント100質量部に対して、前記シリカ質微粉末が4〜12質量部であり、前記減水剤が0.02〜3質量部であり、前記デュータンガムが0.005〜0.015質量部であることを特徴とする鉄筋継手用充填材。
- 前記シリカ質微粉末が、シリカフュームであることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋継手用充填材。
- 前記消泡剤が、セメント100質量部に対して、0.002〜0.3質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋継手用充填材。
- 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の鉄筋継手用充填材に、前記鉄筋継手用充填材中の前記結合材100質量部に対して、15〜23質量部の水を加えて練り混ぜ、施工することを特徴とする鉄筋継手充填施工方法。
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