JP2004196624A - 水硬性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】モルタルやコンクリートで使用した場合でも、流動性に優れ、流動性の経時変化を小さくすることができる水硬性組成物を提供する。
【解決手段】2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含む水硬性組成物。前記ポルトランドセメントとしては、モルタルやコンクリートの流動性や強度発現性の向上から、3CaO・Al2O3含有量が5〜15質量%であるポルトランドセメントが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含む水硬性組成物。前記ポルトランドセメントとしては、モルタルやコンクリートの流動性や強度発現性の向上から、3CaO・Al2O3含有量が5〜15質量%であるポルトランドセメントが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏の含有量及びその種類を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含む水硬性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポルトランドセメントは、一般に、ポルトランドセメントクリンカーに数%の石膏を混合し、粉砕して製造されている。さらに、混合セメントと称して、該ポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュなどの混和材を添加し混合したセメントも製造されている。それらのセメントは、通常、骨材、混練水のほかに、減水剤を添加・混合して使用されている。該減水剤は、例えば、施工時の作業性の確保、施工に伴う材料分離の抑制、硬化体の強度の改良等を目的として添加されるもので、現在では、コンクリート製品等を製造する上で不可欠な材料である。
【0003】
従来より、減水剤による減水効果を十分発揮するポルトランドセメントとして、クリンカーの鉱物組成及び石膏の種類とその含有量を調整したポルトランドセメントが提案されており、該セメントと減水剤とを組み合わせることにより、高い流動性を有する水硬性組成物が得られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−302518号公報(第2−4頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載される水硬性組成物は、クリンカー中の3CaO・Al2O3含有量に応じて、ポルトランドセメント中の石膏量及び半水石膏量を変えるものである。該水硬性組成物では、ペーストで使用した場合は流動性の経時変化を抑制することはできるのではあるが、モルタルやコンクリートで使用した場合には流動性の経時変化が大きくなるという課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を組み合わせることにより、モルタルやコンクリートで使用した場合でも、流動性に優れ、流動性の経時変化を小さくすることができる水硬性組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0007】
即ち、本発明は、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含むことを特徴とする水硬性組成物である(請求項1)。前記ポルトランドセメントとしては、3CaO・Al2O3含有量が5〜15質量%であるポルトランドセメントが好ましい(請求項2)。このようなポルトランドセメントを使用することにより、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性や強度発現性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するポルトランドセメントは、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメントである。
ポルトランドセメント中の2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの混練直後等の初期の流動性が低下するうえ、流動性の経時変化も大きくなる。また、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量も多くなるので好ましくない。ポルトランドセメント中の2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の好ましい割合は、モルタルやコンクリートで使用したときの初期の流動性の向上や流動性の経時変化の抑制等から、SO3換算で75〜100質量%である。
ポルトランドセメント中の半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%以下では、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性が低下するうえ、流動性の経時変化も大きくなる。また、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量も多くなるので好ましくない。ポルトランドセメント中の半水石膏の好ましい含有量は、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性の向上や流動性の経時変化の抑制等から、1.2質量%を越え2.5質量%以下である。
なお、本発明において、ポルトランドセメント中の総石膏量は、「JIS R 5210(ポルトランドセメント)」に規定されるSO3量を越えない範囲であれば、特に限定するものではない。
また、ポルトランドセメント中の2水・半水石膏の分別定量は、特開平6-242035号公報に開示される方法により行うことができる。
【0009】
本発明で使用するポルトランドセメントは、例えば、ポルトランドセメントクリンカーと2水石膏を同時粉砕する際の仕上げミル内の温度を調整したり、ミル内でのポルトランドセメントクリンカーと2水石膏の滞留時間を調整する等の方法で製造することができる。また、予め、2水石膏及び半水石膏の割合を調整した石膏をポルトランドセメントクリンカーと共に粉砕し、最終的に2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を所定の値となるようにすることもできる。この場合、2水石膏を適切な条件で加熱するなどして2水石膏及び半水石膏の割合を調整したり、単味の2水石膏及び半水石膏を混合するなどしてそれらの割合を調整することができる。
【0010】
本発明で使用するポルトランドセメントは、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性や強度発現性の向上の観点から、3CaO・Al2O3(以降C3Aと略す)含有量が5〜15質量%であることが好ましい。
なお、C3A含有量は、セメントの化学分析値から、ボーグの式により計算することができる。
【0011】
本発明では、ポリカルボン酸系高性能減水剤(高性能AE減水剤も含む)を使用する。ポリカルボン酸系高性能減水剤としては、カルボキシル基を含有する重合性単量体又はその無水物の1種又は2種以上の重合物、又はカルボキシル基を含有する重合性単量体又はその無水物の1種又は2種以上と他の重合性単量体との重合物又はそれらの塩で平均分子量が500〜50000の化合物が好適に用いられる。具体的には、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、アクリル酸とアリルエーテルとのコポリマー、α-オレフィンとエチレン性不飽和ジカルボン酸とのコポリマー、その部分エステル化物、部分アミド化物、部分イミド化物などの水溶性塩が挙げられる。ポリカルボン酸系高性能減水剤の市販されているものとしては、(株)エヌ・エム・ビー製のSP-8シリーズ、竹本油脂(株)製のHP-11シリーズ等がある。
【0012】
本発明において、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して固形分換算で0.02〜1.0質量部が好ましく、0.03〜0.8質量部がより好ましい。ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量が0.02質量部未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの減水効果が十分発揮されないうえ、流動性の経時変化も大きくなるので好ましくない。ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量が1.0質量部を越えると、凝結遅延や強度低下が生じる場合がある。また、コストも高くなるので好ましくない。
【0013】
本発明において、水の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して20〜70質量部が好ましく、25〜55質量部がより好ましい。水の添加量が20質量部未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性を確保することが困難になるうえ、流動性の経時変化も大きくなるので好ましくない。水の添加量が70質量部を越えると、モルタルやコンクリートで使用したとき、強度低下や材料分離、凝結遅延が生じる場合があるので好ましくない。
【0014】
本発明の水硬性組成物においては、本発明を構成するポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、
高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末、石灰石粉末、シリカフューム等の混和材、細骨材、粗骨材、AE剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、収縮低減剤、膨張材等を添加することは、差し支えない。
【0015】
本発明の水硬性組成物の混練方法は、特に限定するものではなく、例えば、▲1▼各材料を一括してミキサに投入して1分以上混練する方法、▲2▼水以外の材料をミキサに投入して空練りした後に、水を投入して1分以上混練する方法、▲3▼水と減水剤以外の材料をミキサに投入して空練りした後に、予め減水剤を溶かしておいた水を投入して1分以上混練する方法等が挙げられる。混練に用いるミキサは、特に限定するものではなく、ホバートミキサ、パンタイプミキサ、二軸ミキサ等の慣用のミキサで混練すれば良い。
また、養生方法も特に限定するものではない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.ポルトランドセメントの調製
▲1▼普通ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント(株)製、C3A含有量:9質量%、以降NCCと略す)96.3質量部、2水石膏3.7質量部をボールミルに投入し、ボールミル内の温度を調整して表1に示すポルトランドセメント(No.1〜3)を調製した。なお、各ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、3300±100cm2/gであった。
▲2▼早強ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント(株)製、C3A含有量:8.5質量%、以降VCCと略す)95.5質量部、2水石膏4.5質量部をボールミルに投入し、ボールミル内の温度を調整して表1に示すポルトランドセメント(No.4〜6)を調製した。なお、各ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、4500±100cm2/gであった。
【0017】
【表1】
【0018】
2.モルタルの配合及び混練
表2に示す配合にしたがって各材料をホバートミキサに一括投入し、5分間混練してモルタルを調製した。ポルトランドセメント以外の材料としては、以下の材料を使用した。
高性能減水剤;「SP-8N」(ポリカルボン酸系、(株)エヌ・エム・ビー製)
水;水道水
細骨材;セメント協会製標準砂
【0019】
3.評価
(1)フロー値
各モルタルをミニスランプコーン(上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に充填し、該ミニスランプコーンを引き上げた時のモルタルの広がりを、その最大寸法と、これに直角の方向の寸法を測定し、その平均値をフロー値として求めた。測定は、混練直後と30分経過後に行った。
結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
表2より、本発明の水硬性組成物(実施例1〜4)では、流動性に優れることに加え、流動性の経時変化も小さいことが分かる。
一方、半水石膏量の少ないポルトランドセメントを使用した水硬性組成物(比較例1〜2)では、高性能減水剤の添加量が多くなることに加え、流動性の経時変化も大きかった。
【0022】
4.コンクリートの配合及び混練
表3に示す配合にしたがって各材料をニ軸ミキサに一括投入し、90秒間混練してコンクリートを調製した。ポルトランドセメント以外の材料としては、以下の材料を使用した。
高性能減水剤;「SP-8LS」(ポリカルボン酸系、(株)エヌ・エム・ビー製)
水;水道水
細骨材;小笠産陸砂(F.M.:2.72)
粗骨材;砕石2005(F.M.:6.71)
【0023】
5.評価
(1)スランプフロー
各コンクリートのスランプフローを「JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)」に準じて測定した。測定は、混練直後と60分経過後に行った。
結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
表3より、本発明の水硬性組成物(実施例5〜6)では、流動性に優れることに加え、流動性の経時変化も小さいことが分かる。
一方、半水石膏量の少ないポルトランドセメントを使用した水硬性組成物(比較例3〜4)では、高性能減水剤の添加量が多くなることに加え、流動性の経時変化も大きかった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水硬性組成物は、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含むものであり、モルタルやコンクリートで使用した場合でも、流動性に優れ、流動性の経時変化を小さくすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏の含有量及びその種類を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含む水硬性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポルトランドセメントは、一般に、ポルトランドセメントクリンカーに数%の石膏を混合し、粉砕して製造されている。さらに、混合セメントと称して、該ポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュなどの混和材を添加し混合したセメントも製造されている。それらのセメントは、通常、骨材、混練水のほかに、減水剤を添加・混合して使用されている。該減水剤は、例えば、施工時の作業性の確保、施工に伴う材料分離の抑制、硬化体の強度の改良等を目的として添加されるもので、現在では、コンクリート製品等を製造する上で不可欠な材料である。
【0003】
従来より、減水剤による減水効果を十分発揮するポルトランドセメントとして、クリンカーの鉱物組成及び石膏の種類とその含有量を調整したポルトランドセメントが提案されており、該セメントと減水剤とを組み合わせることにより、高い流動性を有する水硬性組成物が得られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−302518号公報(第2−4頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載される水硬性組成物は、クリンカー中の3CaO・Al2O3含有量に応じて、ポルトランドセメント中の石膏量及び半水石膏量を変えるものである。該水硬性組成物では、ペーストで使用した場合は流動性の経時変化を抑制することはできるのではあるが、モルタルやコンクリートで使用した場合には流動性の経時変化が大きくなるという課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を組み合わせることにより、モルタルやコンクリートで使用した場合でも、流動性に優れ、流動性の経時変化を小さくすることができる水硬性組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0007】
即ち、本発明は、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含むことを特徴とする水硬性組成物である(請求項1)。前記ポルトランドセメントとしては、3CaO・Al2O3含有量が5〜15質量%であるポルトランドセメントが好ましい(請求項2)。このようなポルトランドセメントを使用することにより、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性や強度発現性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するポルトランドセメントは、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメントである。
ポルトランドセメント中の2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの混練直後等の初期の流動性が低下するうえ、流動性の経時変化も大きくなる。また、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量も多くなるので好ましくない。ポルトランドセメント中の2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の好ましい割合は、モルタルやコンクリートで使用したときの初期の流動性の向上や流動性の経時変化の抑制等から、SO3換算で75〜100質量%である。
ポルトランドセメント中の半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%以下では、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性が低下するうえ、流動性の経時変化も大きくなる。また、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量も多くなるので好ましくない。ポルトランドセメント中の半水石膏の好ましい含有量は、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性の向上や流動性の経時変化の抑制等から、1.2質量%を越え2.5質量%以下である。
なお、本発明において、ポルトランドセメント中の総石膏量は、「JIS R 5210(ポルトランドセメント)」に規定されるSO3量を越えない範囲であれば、特に限定するものではない。
また、ポルトランドセメント中の2水・半水石膏の分別定量は、特開平6-242035号公報に開示される方法により行うことができる。
【0009】
本発明で使用するポルトランドセメントは、例えば、ポルトランドセメントクリンカーと2水石膏を同時粉砕する際の仕上げミル内の温度を調整したり、ミル内でのポルトランドセメントクリンカーと2水石膏の滞留時間を調整する等の方法で製造することができる。また、予め、2水石膏及び半水石膏の割合を調整した石膏をポルトランドセメントクリンカーと共に粉砕し、最終的に2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を所定の値となるようにすることもできる。この場合、2水石膏を適切な条件で加熱するなどして2水石膏及び半水石膏の割合を調整したり、単味の2水石膏及び半水石膏を混合するなどしてそれらの割合を調整することができる。
【0010】
本発明で使用するポルトランドセメントは、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性や強度発現性の向上の観点から、3CaO・Al2O3(以降C3Aと略す)含有量が5〜15質量%であることが好ましい。
なお、C3A含有量は、セメントの化学分析値から、ボーグの式により計算することができる。
【0011】
本発明では、ポリカルボン酸系高性能減水剤(高性能AE減水剤も含む)を使用する。ポリカルボン酸系高性能減水剤としては、カルボキシル基を含有する重合性単量体又はその無水物の1種又は2種以上の重合物、又はカルボキシル基を含有する重合性単量体又はその無水物の1種又は2種以上と他の重合性単量体との重合物又はそれらの塩で平均分子量が500〜50000の化合物が好適に用いられる。具体的には、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、アクリル酸とアリルエーテルとのコポリマー、α-オレフィンとエチレン性不飽和ジカルボン酸とのコポリマー、その部分エステル化物、部分アミド化物、部分イミド化物などの水溶性塩が挙げられる。ポリカルボン酸系高性能減水剤の市販されているものとしては、(株)エヌ・エム・ビー製のSP-8シリーズ、竹本油脂(株)製のHP-11シリーズ等がある。
【0012】
本発明において、ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して固形分換算で0.02〜1.0質量部が好ましく、0.03〜0.8質量部がより好ましい。ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量が0.02質量部未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの減水効果が十分発揮されないうえ、流動性の経時変化も大きくなるので好ましくない。ポリカルボン酸系高性能減水剤の添加量が1.0質量部を越えると、凝結遅延や強度低下が生じる場合がある。また、コストも高くなるので好ましくない。
【0013】
本発明において、水の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して20〜70質量部が好ましく、25〜55質量部がより好ましい。水の添加量が20質量部未満では、モルタルやコンクリートで使用したときの流動性を確保することが困難になるうえ、流動性の経時変化も大きくなるので好ましくない。水の添加量が70質量部を越えると、モルタルやコンクリートで使用したとき、強度低下や材料分離、凝結遅延が生じる場合があるので好ましくない。
【0014】
本発明の水硬性組成物においては、本発明を構成するポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、
高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉末、石灰石粉末、シリカフューム等の混和材、細骨材、粗骨材、AE剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、収縮低減剤、膨張材等を添加することは、差し支えない。
【0015】
本発明の水硬性組成物の混練方法は、特に限定するものではなく、例えば、▲1▼各材料を一括してミキサに投入して1分以上混練する方法、▲2▼水以外の材料をミキサに投入して空練りした後に、水を投入して1分以上混練する方法、▲3▼水と減水剤以外の材料をミキサに投入して空練りした後に、予め減水剤を溶かしておいた水を投入して1分以上混練する方法等が挙げられる。混練に用いるミキサは、特に限定するものではなく、ホバートミキサ、パンタイプミキサ、二軸ミキサ等の慣用のミキサで混練すれば良い。
また、養生方法も特に限定するものではない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.ポルトランドセメントの調製
▲1▼普通ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント(株)製、C3A含有量:9質量%、以降NCCと略す)96.3質量部、2水石膏3.7質量部をボールミルに投入し、ボールミル内の温度を調整して表1に示すポルトランドセメント(No.1〜3)を調製した。なお、各ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、3300±100cm2/gであった。
▲2▼早強ポルトランドセメントクリンカー(太平洋セメント(株)製、C3A含有量:8.5質量%、以降VCCと略す)95.5質量部、2水石膏4.5質量部をボールミルに投入し、ボールミル内の温度を調整して表1に示すポルトランドセメント(No.4〜6)を調製した。なお、各ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、4500±100cm2/gであった。
【0017】
【表1】
【0018】
2.モルタルの配合及び混練
表2に示す配合にしたがって各材料をホバートミキサに一括投入し、5分間混練してモルタルを調製した。ポルトランドセメント以外の材料としては、以下の材料を使用した。
高性能減水剤;「SP-8N」(ポリカルボン酸系、(株)エヌ・エム・ビー製)
水;水道水
細骨材;セメント協会製標準砂
【0019】
3.評価
(1)フロー値
各モルタルをミニスランプコーン(上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に充填し、該ミニスランプコーンを引き上げた時のモルタルの広がりを、その最大寸法と、これに直角の方向の寸法を測定し、その平均値をフロー値として求めた。測定は、混練直後と30分経過後に行った。
結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
表2より、本発明の水硬性組成物(実施例1〜4)では、流動性に優れることに加え、流動性の経時変化も小さいことが分かる。
一方、半水石膏量の少ないポルトランドセメントを使用した水硬性組成物(比較例1〜2)では、高性能減水剤の添加量が多くなることに加え、流動性の経時変化も大きかった。
【0022】
4.コンクリートの配合及び混練
表3に示す配合にしたがって各材料をニ軸ミキサに一括投入し、90秒間混練してコンクリートを調製した。ポルトランドセメント以外の材料としては、以下の材料を使用した。
高性能減水剤;「SP-8LS」(ポリカルボン酸系、(株)エヌ・エム・ビー製)
水;水道水
細骨材;小笠産陸砂(F.M.:2.72)
粗骨材;砕石2005(F.M.:6.71)
【0023】
5.評価
(1)スランプフロー
各コンクリートのスランプフローを「JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)」に準じて測定した。測定は、混練直後と60分経過後に行った。
結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
表3より、本発明の水硬性組成物(実施例5〜6)では、流動性に優れることに加え、流動性の経時変化も小さいことが分かる。
一方、半水石膏量の少ないポルトランドセメントを使用した水硬性組成物(比較例3〜4)では、高性能減水剤の添加量が多くなることに加え、流動性の経時変化も大きかった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水硬性組成物は、2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合及び半水石膏含有量を調整したポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含むものであり、モルタルやコンクリートで使用した場合でも、流動性に優れ、流動性の経時変化を小さくすることができる。
Claims (2)
- 2水石膏及び半水石膏の合量に占める半水石膏の割合がSO3換算で70質量%以上で、かつ半水石膏含有量がSO3換算で1.2質量%を越えるポルトランドセメント、ポリカルボン酸系高性能減水剤及び水を含むことを特徴とする水硬性組成物。
- ポルトランドセメント中の3CaO・Al2O3含有量が5〜15質量%である請求項1記載の水硬性組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002369346A JP2004196624A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 水硬性組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002369346A JP2004196624A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 水硬性組成物 |
Publications (1)
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JP2004196624A true JP2004196624A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32765592
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004196624A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007045647A (ja) * | 2005-08-08 | 2007-02-22 | Ube Ind Ltd | セメント組成物、コンクリート及びセメント組成物の製造方法 |
US8070875B2 (en) | 2005-10-14 | 2011-12-06 | W.R. Grace & Co.-Conn. | Slump retention in cementitious compositions |
JP2012140777A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Taiheiyo Material Kk | 建築用目地材 |
JP2015044717A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | 太平洋セメント株式会社 | 蒸気養生製品用ポルトランドセメントの製造方法 |
JP2016183060A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 太平洋セメント株式会社 | セメントの製造方法 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002369346A patent/JP2004196624A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007045647A (ja) * | 2005-08-08 | 2007-02-22 | Ube Ind Ltd | セメント組成物、コンクリート及びセメント組成物の製造方法 |
US8070875B2 (en) | 2005-10-14 | 2011-12-06 | W.R. Grace & Co.-Conn. | Slump retention in cementitious compositions |
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