JP2008183721A - 押出機用スクリュ、これに用いられる軸受セグメント、および押出機用スクリュを備える2軸押出機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】押出機用スクリュ1において、混練を行っている際にスクリュ本体を中途部で支持する機能を備えた軸受セグメント21が、前記混練部に対応する位置又は混練部14より下流側に設けられており、軸受セグメント21は、1条完全噛合い型の断面形状を有するフライトを軸方向に少なくとも2つ以上備え、各フライトが回転方向にそれぞれ均等に位相をずらして配置されていて、各フライトの軸方向長さが0.2D以上(D:軸受セグメントの回転外径)に設定されている。
【選択図】図1
Description
連続押出機は、軸方向に沿って長い空洞部(チャンバー)を備えるバレルと、該空洞部を軸方向に挿通するようにスクリュ体とを備えており、スクリュ体の数により単軸や2軸のものが知られている。
連続押出機は、バレル内に被混練材料を供給し、モータなどによりスクリュ体を回動させて、被混練材料を混練するものである。該スクリュ体は軸方向に複数のセグメントを連結しており、各セグメントには特徴的なフライトが備えられ、該フライトにより被混練材料の上流側から下流側への移動と、混練に必要な剪断応力の付与とが行われる。
例えば、特許文献1では2軸押出機の技術が開示されており、ロータセグメントに軸方向に対して螺旋状に捩じれた2条の混練フライトが採用されている。該フライトは、回転外径の大きな高位チップ部と、回転外径の小さな低位チップ部とを有しており、高位チップ部ではバレル内壁までのチップクリアランスが小さくされ、低位チップ部においてはチップクリアランスが大きくされている。
しかしながら、2軸押出機は一般に高い混練作用の反作用として混練スクリュにも大きな力学的負荷が作用する。特に、ニーディングセグメントとロータセグメントとの双方においてスクリュ体に加わる力学的負荷は非常に大きなものとなる。
その結果、スクリュ体の軸芯が撓み、スクリュ体の回転軸がぶれやすくなる。回転軸がぶれたスクリュ体ではフライトの先端部がバレルの内壁に接触しやすくなる。この傾向はチップクリアランスが小さなニーディングセグメントやロータセグメントを備える混練部において顕著であると予想される。
また、本発明は、スクリュ本体のぶれを防止できる軸受セグメントを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、上述の押出機用スクリュを備えた2軸押出機を提供することを目的としている。
即ち、被混練材料を搬送するスクリュセグメントと、該スクリュセグメントにより搬送されてきた被混練材料を混練する2条以上の混練用フライトを有する混練セグメントと、該混練セグメントからなる混練部とを備えるスクリュ本体を備えている押出機用スクリュにおいて、
前記被混練材料の混練を行っている際にスクリュ本体を中途部で支持する機能を備えた軸受セグメントが、前記混練部に対応する位置又は混練部より下流側に設けられており、
前記軸受セグメントは、1条完全噛合い型の断面形状を有するフライトを軸方向に少なくとも2つ以上備え、各フライトが回転方向にそれぞれ均等に位相をずらして配置されていて、前記各フライトの軸方向長さが0.2D以上(D:軸受セグメントの回転外径)に設定されている。
なお、前記混練セグメントの回転外径は前記軸受セグメントの回転外径より小さく構成されているのが好ましい。
また、スクリュ本体の軸方向に複数かつ互いに離間して設けられている場合には、複数の前記混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部に前記軸受セグメントが備えられているのが良い。さらに、前記混練部は、スクリュ本体の軸方向に互いに離間して設けられている複数の混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部であって、前記第1混練部の軸方向長さが4.5D以上である場合には、前記軸受セグメントが第1混練部の上流端から下流側4.5D以上に位置しているのが良い。なお、前記軸受セグメントは第1混練部の下流端から下流側3.0D以内に位置させることもできる。
さて、ここで本発明は軸受セグメントに以下の通りの技術的手段を講じている。
この場合においては、前記フライトは、前記スクリュ本体が挿入されるバレルの内壁に対向する先端部に、クリアランス部が形成されており、該クリアランス部は、軸受セグメントの回転方向前方に向って先端部とバレルの内壁との間の間隔が徐々に広がるように設定されているのが良い。
前記混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部に対応する位置に、前述の軸受セグメントが設けられているのが好ましい。
また、本発明は2軸押出機に同方向回転噛合型であって前述の押出機用スクリュを備えるという技術的手段を講じている。
また、本発明の軸受セグメントによれば、被混練材料をバレルの内壁とフライトの先端部との間に導き入れることで、該被混練材料がスクリュ本体をバレルの内壁から一定距離あけて支持する液体軸受機能を発揮し、スクリュ本体のぶれを防止できる。
図1は、本発明の押出機用スクリュ1を組み込んだ2軸押出機2を模式的に示したものであり、図上部は押出機用スクリュ1とバレル3との位置関係を示すためのバレル3の側面図であり、図下部は該バレル3に収容される押出機用スクリュ1の側面図である。なお、以降の説明において、図1の左側(供給側)を上流側と呼び、図1の右側(排出側)を下流側と呼ぶ。
バレル3の上流側には材料供給口8が形成されており、該材料供給口8にはホッパ9が接続されている。該ホッパ9を介して投入された被混練材料10は、該材料供給口8を通って空洞部4に供給される。該ホッパ9の下流側にあるバレル3には電気ヒーターや加熱した油を用いた加熱装置(図示せず)が設けられており、該バレル3から内部を通過する被混練材料10に熱が供給され、該被混練材料10を溶融状態または半溶融状態で搬送可能となっている。
本発明の押出機用スクリュ1は、複数のセグメントを軸方向に組み合わして成るスクリュ本体12を有している。該スクリュ本体12は、互いに機能の異なるセグメントが組み合わされて、異なった機能を発揮する部分を軸方向に複数有している。本実施形態のスクリュ本体10においては、被混練材料10を下流側へ送る送り部13、被混練材料10を混練する混練部14、及び被混練材料10を加圧して押し出す押出部15が上流側から下流側に向けて設けられている。
混練部14は被混練部材10を混練する混練用フライトを有する混練セグメント36を有しており、該混練セグメント36は本実施の形態においては8個のロータセグメント17と2個のニーディングディスクセグメント19で成る。
押出部15は、上記送り部13と同様なスクリュセグメント16を軸方向に連結して構成されているが、上記送り部13と異なる点は下流側にいくに従ってスクリュセグメント16の軸方向ピッチが徐々に狭くなっている点である。これによって、押出部15では下流側に向かう被混練材料10の送り出し速度が徐々に下がり、被混練材料10が空洞部4内に充満して加圧状態となる。
図2(a)、図2(b)は軸受セグメント21を軸方向から見た図(正面図)であり、図3は軸受セグメント21の側面図である。また、図4は軸受セグメント21とバレル3との関係を示す断面図である。
図4にあるように、軸受セグメント21、21は、左右一対のスクリュ軸22、22にそれぞれ噛み合い状態になるように取り付けられており、更に各々の軸受セグメント21は2つのフライト23a、23bを軸方向に組み合わして構成される。
図2(a)にあるように、フライト23a、23bは、スクリュ本体12の回転軸心Oを中心として回転方向Rにそれぞれ均等(等角度の間隔)となるように位相をずらして配置されている。すなわち、本実施形態のようにフライトの軸方向の設置数が2枚である場合は180°位相をずらして設けられ、仮にフライトの設置数が3枚である場合は120°位相をずらして等角度の間隔となるよう設けられる。
フライト23a、23bは、断面形状がスクリュ軸22の軸心を頂点としてバレル3の内壁に向かって広がるように形成され、スクリュ本体12の回転軸心Oからもっとも離れた外周面には円弧状の先端部27a、27bが形成されている。該フライト23a、23bは、左右のいずれか一方の先端部27a、27bが絶えず他方のフライト23a及びフライト23bのフライトが形成されていない胴部周縁に対向する完全噛み合い型の断面形状となっている。軸受セグメント21のフライト23a、23bを完全噛み合い型とすることで、フライト23a、23b相互により被混練材料10が相互にかき取られセルフクリーニングされるようになり、被混練材料10に滞留及びそれに起因する材料変質が生じなくなる。その結果、滞留に起因するコンタミの発生が抑制される。
本発明の押出機用スクリュ1は、上述した軸受セグメント21を異なる軸方向位置に設けることで、特に混練部14との位置関係を変えることで、複数の実施形態を得ることができる。
そこで、図5〜8を用いて第1〜第3実施形態に係る押出機用スクリュ1の軸受セグメント21の設置位置とスクリュ本体12の摩耗量との関係を詳しく説明する。なお、図5〜図8の上図(a)はいずれもスクリュ本体12を構成する各セグメントが軸方向にどのように連結されているかを示しており、下図(b)は各セグメント毎の摩耗量を軸方向位置に対して示したものである。
摩耗量は、運転前のスクリュ本体12の各セグメントの質量から運転後の各セグメントの質量を引いて、その値を運転前のスクリュ本体12の各セグメントの質量で割ったものである。該摩耗量は左右一対の押出機用スクリュ1、1のそれぞれ、つまり左側と右側の押出機用スクリュのそれぞれについて求められる。
図5(a)のA1及びA2に設けられるニーディングセグメント19の摩耗量は、図5(b)のa1及びa2に示されるように0.25%以上となっており、混練部14のA1またはA2以外のセグメントにおいても摩耗量は殆どが0.05%以上となっている。これに対して、送り部13のセグメントや押出部15のセグメントでは摩耗量が0.05%以下と低い。このことから、従来の押出機用スクリュ29においては、軸方向のいずれかの位置に摩耗が発生していること、及び摩耗が特に混練部で生じやすいことが分かる。
図6(a)のA1及びA2に設けられるニーディングセグメント19は、図6(b)のa1及びa2に示されるように、摩耗量が0.05%以下となっており、従来の押出機用スクリュ29のニーディングセグメント19の摩耗量より著しく低くなっていることが分かる。また、図6(b)の混練部14の摩耗量も0.05%以下となっており、混練部14のいずれの位置においても摩耗が従来の押出機用スクリュ29より抑制されていることが分かる。
また、混練部14の軸方向長さは4.5D以上であり、軸受セグメント21は混練部14の上流端より下流側4.5D以上に設けられている。これによって、混練部14を通過する間に被混練材料10が十分に溶解・混練され、供給された被混練材料10がフライト23a、23bの先端部27a、27bとバレル3の内壁との間に入り込める程度まで溶解されるので、十分に溶解された被混練材料10により流体軸受効果を発揮させることができる。
第2実施形態の押出機用スクリュ1では、図7(a)のa1及びa2に示されるニーディングセグメント19の摩耗量は、第1実施形態の摩耗量(図6(b)のa1及びa2の摩耗量)よりは大きくなるものの、従来の押出機用スクリュ29の摩耗量(図5(b)のa1及びa2の摩耗量)よりは小さくなっている。また、本実施形態のニーディングセグメント19の摩耗量においては、軸受セグメント21に近い側のa2の摩耗量の方がa1より小さくなっている。
また、本実施形態においても、押出機用スクリュ1の混練部14は軸方向長さが4.5D以上であり、軸受セグメント21は混練部14の下流端より下流側3.0D以内であると共に混練部14の上流端より下流側4.5D以上の軸方向位置に設けられている。これによって、材料供給口8が混練部14のやや上流側に設けられた場合であっても、混練部14を通過する間に被混練材料10が十分に溶融・混練され、供給された被混練材料10がフライト23a、23bの先端部27a、27bとバレル3の内壁との間に入り込める程度まで融解された被混練材料10により流体軸受効果を発揮させることができる。
第3実施形態の押出機用スクリュ1においても、第1混練部14a及び第2混練部14bのニーディングセグメント19の摩耗量が第2実施形態のa1及びa2の摩耗量より小さくなることが確認されている。よって、本実施形態の押出機用スクリュ1のように、混練部14がスクリュ本体12の軸方向に複数かつ互いに離間して設けられる場合にあっては、軸方向に設けられる複数の混練部14のうちで最も上流側の第1混練部14aに少なくとも軸受セグメント21を設置するのがよいと判断される。これは、被混練材料10が上流側に位置するほど未溶融の割合が増して粘度が高くなる場合があるため、スクリュ本体12に及ぼされる力学的負荷が大きくなるからである。
なお、上記実施の形態においては、混練セグメント36としてロータセグメント17及びニーディングディスクセグメント19を用いているが、少なくとも一方からなる混練セグメント36を用いればよく、組合せて用いる場合は組合せ個数を任意に設定することができる。また、ロータセグメント17としては、チップクリアランスが一定となるクリアランス部28a、28b(チップ部)を形成したものを用いることができる。
2 2軸押出機
3 バレル
10 押出機用スクリュ
12 スクリュ本体
14 混練部
16 スクリュセグメント
21 軸受セグメント
23 フライト
27 先端部
28 クリアランス部
Claims (10)
- 被混練材料を搬送するスクリュセグメントと、該スクリュセグメントにより搬送されてきた被混練材料を混練する2条以上の混練用フライトを有する混練セグメントと、該混練セグメントからなる混練部とを備えるスクリュ本体を備えている押出機用スクリュにおいて、
前記被混練材料の混練を行っている際にスクリュ本体を中途部で支持する機能を備えた軸受セグメントが、前記混練部に対応する位置又は混練部より下流側に設けられており、
前記軸受セグメントは、1条完全噛合い型の断面形状を有するフライトを軸方向に少なくとも2つ以上備え、各フライトが回転方向にそれぞれ均等に位相をずらして配置されていて、前記各フライトの軸方向長さが0.2D以上(D:軸受セグメントの回転外径)に設定されていることを特徴とする押出機用スクリュ。 - 前記混練セグメントの回転外径が、前記軸受セグメントの回転外径より小さく構成されていることを特徴とする請求項1に記載の押出機用スクリュ。
- 前記混練部は、スクリュ本体の軸方向に複数かつ互いに離間して設けられており、複数の前記混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部に対応する位置に、前記軸受セグメントが備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の押出機用スクリュ。
- 前記混練部は、スクリュ本体の軸方向に互いに離間して設けられている複数の混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部であって、
前記第1混練部の軸方向長さが4.5D以上である場合に、
前記軸受セグメントが、第1混練部の上流端から下流側4.5D以上の距離に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出機用スクリュ。 - 前記軸受セグメントが、前記混練部の下流端から下流側3.0D以内の距離に位置していることを特徴とする請求項1、2または4に記載の押出機用スクリュ。
- 前記軸受セグメントのフライトは、前記スクリュ本体が挿入されるバレルの内壁に対向する先端部に、クリアランス部が形成されており、
該クリアランス部は、軸受セグメントの回転方向前方に向って先端部とバレルの内壁との間の間隔が徐々に広がるように設定されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の押出機用スクリュ。 - 1条完全噛合い型の断面形状を有するフライトを軸方向に少なくとも2つ以上備え、各フライトが回転方向にそれぞれ均等に位相をずらして配置されていて、前記各フライトの軸方向長さが0.2D以上(D:軸受セグメントの回転外径)に設定されていることを特徴とする軸受セグメント。
- 前記フライトは、前記スクリュ本体が挿入されるバレルの内壁に対向する先端部に、クリアランス部が形成されており、該クリアランス部は、軸受セグメントの回転方向前方に向って先端部とバレルの内壁との間の間隔が徐々に広がるように設定されていることを特徴とする請求項7に記載の軸受セグメント。
- 被混練材料を搬送するスクリュセグメントと、該スクリュセグメントにより搬送されてきた被混練材料を混練する2条以上の混練用フライトを有する混練セグメントとを備え、該混練セグメントからなる混練部が軸方向に複数かつ互いに離間して設けられているスクリュ本体を備えていて、
前記混練部のうち最も上流側に位置する第1混練部に対応する位置に、請求項7又は8に記載の軸受セグメントが設けられていることを特徴とする押出機用スクリュ。 - 請求項1〜6又は9の何れか1項に記載の押出機用スクリュを備えた同方向回転噛合型の2軸押出機。
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