JP2008181884A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、正極、負極及び非水電解質を備え、非水電解質に複数の非水溶媒が含有されることで電池特性が大幅に改良された非水電解質電池に関する。
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、負極に炭素質材料等を用いたリチウムイオン二次電池がある。
このリチウムイオン二次電池は、負極に用いる炭素質材料、具体的には例えば黒鉛等の黒鉛層間にリチウムイオンをインターカレーションさせる反応を電池反応に用いている。このため、リチウムイオン二次電池では、負極活物質にリチウムのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料が用いられる。これにより、リチウムイオン二次電池では、充電時に負極にリチウムが析出することが抑制されて、優れた充放電サイクル特性が得られる。
ところで、このリチウムイオン二次電池では、炭素質材料へのリチウムイオンのインターカレーションによる負極側の容量に限界があることから、更なる高容量化が困難となっている。この問題を解決することについては、例えば下記の特許文献1に炭素質材料及びその製造方法を選択することで高容量化を図れる炭素質材料が提案されている。
しかしながら、このリチウムイオン二次電池では、以上のような炭素質材料を負極に用いた場合、リチウムに対する負極の放電電位が0.8V〜1.0V程度となり、放電電圧が低く、エネルギー密度を向上させることが困難となる。また、このリチウムイオン二次電池では、放電電位の曲線形状におけるヒステリシスが大きく、充放電を繰り返した際の各放電時のエネルギー効率が低くなってしまう。
このような問題を解決するリチウムイオン二次電池としては、負極活物質に炭素質材料ではなく例えばある種のリチウム合金を用い、このリチウム合金が電気化学的に可逆的に生成/分解する反応を応用させることで充放電を行う電池がある。
この負極活物質にリチウム合金を用いることについては、例えばLi−Al合金やLi−Si合金等を負極活物質として用いることがすでに知られ、特に特許文献2において、Si合金を負極に用いることが提案されている。
しかしながら、負極にリチウム合金を用いたリチウムイオン二次電池では、充放電に伴うリチウム合金の膨張収縮が大きく、充放電の繰り返しによるリチウム合金の膨張収縮の繰り返しでリチウム合金が崩壊して電池特性が劣化することがある。
具体的に、リチウムイオン二次電池において、リチウム合金を用いた負極では、充放電に伴う膨張収縮により負極活物質の粒子に亀裂が生じ、この亀裂が充放電に伴う膨張収縮で開閉するが、亀裂の内部表面に例えば電解質等との反応によりリチウム酸化物等の副生成物が蓄積すると、充放電に伴う亀裂の開閉が困難になる。このため、このリチウムイオン二次電池では、充放電に伴い負極活物質の粒子に更なる亀裂が生じ、この亀裂の内部表面にも副生成物が順次蓄積することから、充放電が繰り返されることで負極活物質の粒子に次々と亀裂が生じて負極活物質が微粉化し、充放電に関与しない不可逆な負極活物質が増える負極の劣化で電池特性が低下してしまう。
この充放電に伴う膨張収縮が抑制されたリチウム合金や化合物としては、例えば特許文献3にLixSiOy(x≧0、2>y>0)、特許文献4にLixSi1−yMyOz(x≧0、1>y>0、0<z<2)、特許文献5にLi−Ag−Te系合金等が提案されている。
しかしながら、これらの提案でも、充放電の繰り返しに伴うリチウム合金や化合物の劣化、すなわち負極の劣化を大幅に改善させることは困難であり、高容量化が可能な負極活物質の特徴を生かし切れていないのが現状である。
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、エネルギー密度が高く、充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池を提供することを目的としている。
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を有する正極と、リチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物からなる負極活物質を有する負極と、化学式(1)及び化学式(2)で示されるオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を少なくとも一種以上含有する非水電解質とを備えていることを特徴とする。
本発明では、非水電解質に含有させたオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物が、負極表面に硫黄元素を含有する被膜を形成させることによって非水電解質と負極との反応により形成される更なる被膜が負極表面に形成されることを抑制することから、負極及び非水電解質の劣化が抑えられて優れた電池特性を有する非水電解質電池を提供できる。
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質電池としてリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、ペレット状の正極2と、この正極2を収容する正極缶3と、ペレット状の負極4と、この負極4を収容する負極缶5と、正極2及び負極4の間に配されたセパレータ6と、正極缶3と負極缶5との間を絶縁する絶縁ガスケット7と、非水電解液8とを有している。
正極2は、正極集電体9上に、正極活物質を含有する正極合剤層10が形成されている。この正極2には、正極活物質として例えば化学式LixMO2(xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等で示されるリチウム複合酸化物、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマー等を用いる。これらのうち、リチウム複合酸化物としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1−yO2(x、yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02である。)や、LiMn2O4等で示されるスピネル型リチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。そして、正極2では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム複合酸化物等のうちの何れか一種又は複数種を混合して用いることも可能である。
また、正極2には、正極集電体9として例えば網状や箔状のアルミニウム等が用いられる。正極2においては、正極合剤層10に含有される結合剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結合剤として例えばポリフッ化ビニリデン等を用いる。また、正極2においては、正極合剤層10に含有される導電材として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知のものを用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等を用いる。
正極缶3は、正極2を収容する底の浅い皿状、いわゆるシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部正極となる。具体的に、この正極缶3には、正極2が収納された際に、正極2側から例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケルが厚み方向に順次積層された積層構造の金属容器等を用いる。
負極4は、負極集電体11上に、負極活物質を含有する負極合剤層12が形成されている。負極4に含有される負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物等が挙げられる。負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとしたときにMxM'yLiz(M'はLi元素及びM元素以外の金属元素であり、xは0より大きな数値であり、y及びzは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この化学式においては、例えば半導体元素であるB、Si、As等も金属元素として挙げられる。具体的には、例えばMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B、Si、As等の元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうち何れか一種又は複数種である。)、AlSb、CuMgSb等が挙げられる。
特に、リチウムと化合可能な元素には、3B族典型元素が好ましく、これらの中でもSi、Snが好ましく、更にはSiを用いることが好ましい。具体的には、MxSi、MxSn(MはSi、Sn以外の一種以上の元素であり、xは0以上の数値である。)の化学式で示されるSi化合物、Sn化合物として、例えばSiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
さらに、負極活物質としては、一つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、Ge2N2O、SiOx(0<x≦2)、SnOx(0<x≦2)、LiSiO、LiSnO等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
負極活物質として用いる化合物は、例えば化合物の原料を不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で所定の温度で所定の時間、加熱処理する等して合成されるが、このような合成方法に限定されることなく、様々な手法で合成されても良い。具体的には、例えばメカニカルアロイニング法、メルトスピニング法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法等により合成される。そして、これらの方法で合成される化合物は、粉砕して粉末にしてもよいが、粉砕せずに固形物で用いることもできる。また、負極活物質として用いる化合物等にリチウムのドープを行う際は、例えば電池製造前或いは後に正極5或いは正極5以外のリチウム源からリチウムを供給して電気化学的にドープさせることや、負極活物質の合成時にリチウムを含有させること等で行われる。
負極6に含有される負極活物質としては、上述した化合物等の他に例えばリチウムイオンのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料等を用いることができる。この炭素質材料としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛類、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等のコークス類、ガラス状炭素繊維、フェノール樹脂やフラン樹脂等を適当な温度で焼成して炭素化させた有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。これらの炭素質材料は、負極合剤層12に含有された場合、負極合剤層12の導電性を向上させる導電材としても機能することになる。
負極4において、負極合剤層12は、上述した負極活物質に、例えばこの種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料からなる結合剤を含有させることで形成される。具体的に、結合剤としては、例えばポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム等を用いる。
負極4には、負極集電体11上にリチウムのドープ/脱ドープ可能な金属等をスパッタや、蒸着等により成膜した後に、アニールを施すことで負極集電体11上にリチウムのドープ/脱ドープ可能な金属が成膜されたものを用いても良い。
負極缶5は、負極4を収容するシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部負極となる。具体的に、この負極缶5には、例えばステンレスや、表面にニッケルめっきが施された鉄等からなる金属容器を用いる。
セパレータ6は、正極2と負極4とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ非水電解液8中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ6は、微少な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここで、微多孔性膜とは、孔の平均孔径が5μm以下程度の微孔を多数有する樹脂膜のことである。また、セパレータ6としては、材料として従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリプロピレンやポリオレフィン等からなる微多孔性フィルムを用いる。
セパレータ6は、その厚みが5μm以上、50μm以下の範囲にされていると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲にされている。このような条件に合致するセパレータ6では、製造歩留まり、出力特性、サイクル特性、安全性に優れた電池1を得ることが可能となる。
絶縁ガスケット7は、負極缶5に組み込まれ一体化された構成となっており、例えばポリプロピレン等の有機樹脂で形成されている。この絶縁ガスケット7は、外部正極となる正極缶3と外部負極となる負極缶5とを絶縁させていると共に、正極缶3及び負極缶5内に充填された非水電解液8の漏出を防止させるように機能することになる。
非水電解液8としては、例えば第1の非水溶媒と第2の非水溶媒とを混合させた混合非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。第1の非水溶媒としては、例えば炭酸エチレン(EC)、炭酸フッ化エチレン(FEC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)、γ−ブチルラクトン(GBL)、エチレンサルファイト(ES)等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。第2の非水溶媒としては、例えば炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド(DESO)等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。
なお、非水電解液8には、第1の非水溶媒と第2の非水溶媒とからなる混合非水溶媒の他に、非水溶媒として例えば1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル等も挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を含有させることも可能である。
この非水電解液8においては、第1の溶媒が、高い比誘電率を有することから、電解質塩の非水液中の解離度を向上させてリチウムイオンの存在度を高くする。また、この非水電解液8においては、第2の溶媒が、非水溶媒の粘性を低下させてリチウムイオンの移動度を向上させる。特に、非水電解液8では、第2の非水溶媒としてDECを用いることにより更にサイクル特性を向上させることができる。
この非水電解液8には、第1の非水溶媒を15体積%以上、50体積%以下の範囲で含有させている。非水電解液8に対し、第1の非水溶媒の含有量が15体積%より少ない場合、比誘電率が高い第1の非水溶媒が少なくすぎて非水電解液8のイオン導電性が小さくリチウムイオンを円滑に移動させることが困難になる。一方、非水電解液8に対し、第1の非水溶媒の含有量が50体積%より多い場合、粘性の高い第1の非水溶媒が多すぎて非水電解液8の粘性を大きくすることから、電池1の内部抵抗が向上して電池特性を低下させてしまう。
したがって、この非水電解液8では、第1の非水溶媒を15体積%以上、50体積%以下の範囲で含有させることにより、電池1内のリチウムイオンを円滑に移動させると共に電池1の内部抵抗を抑制させることから、電池1の電池特性の低下を防止できる。
この非水電解液8には、第2の非水溶媒を40体積%以上、70体積%以下の範囲で含有させている。非水電解液8に対し、第2の非水溶媒の含有量が40体積%より少ない場合、第2の非水溶媒が少なくすぎることから、第2の非水溶媒による作用効果を得ることが困難となる。一方、非水電解液8に対し、第2の非水溶媒の含有量が70体積%より多い場合、第2の非水溶媒が多すぎて非水溶媒全体の誘電率が低下することから、リチウム塩の解離度が低下して電池特性を低下させてしまう。
したがって、この非水電解液8では、第2の非水溶媒を40体積%以上、70体積%以下の範囲で含有させることにより、電池特性の低下を防止できる。
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiSbF6、LiClO4、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、電解質塩としては、酸化還元電位が安定しているLiPF6及び/又はLiBF4を用いる。
この非水電解液8には、電解質塩を0.6モル/リットル以上、1.8モル/リットル以下の範囲で含有させている。非水電解液8に対し、電解質塩の含有量が0.6モル/リットルより少ない場合、非水電解液8中に含まれるリチウムイオンが少なく電池反応を円滑に行うことが困難となる。一方、非水電解液8に対し、電解質塩の含有量が1.8モル/リットルより多い場合、電解質塩が過剰なことから、非水電解液8の粘性が大きくなり、電池1の内部抵抗を向上させて電池特性を低下させてしまう。
したがって、この非水電解液8では、電解質塩を0.6モル/リットル以上、1.8モル/リットル以下の範囲で含有させることにより、電池1内のリチウムイオンを円滑に移動させると共に電池1の内部抵抗を抑制させることから、電池1の電池特性の低下を防止できる。
この非水電解液8においては、例えばプロピオン酸エステル等を添加させることにより、電池特性を向上させることが可能となる。具体的に、プロピオン酸エステルとしては、例えばプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられ、これらのうち一種以上を用いる。
さらに、非水電解液8にプロピオン酸エステルを添加させる場合は、非水電解液8に対し、プロピオン酸エステルを0.5体積%以上、20体積%以下の範囲で添加させる。非水電解液8にプロピオン酸エステルを添加する際に、プロピオン酸エステルの添加量が非水電解液8に対して0.5体積%より少ないと、プロピオン酸エステルによる作用効果を得ることが困難となる。一方、プロピオン酸エステルの添加量が非水電解液8に対して20体積%より多いと、プロピオン酸エステルが過剰量なことから非水電解液8の機能が低下して電池特性が劣化してしまう。
したがって、この非水電解液8では、プロピオン酸エステルを0.5体積%以上、20体積%以下の範囲で添加させることにより、電池1の電池特性を向上させることが可能となる。
さらにまた、非水電解液8においては、例えばオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物等を含有させることも可能である。具体的に、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物としては、例えば化学式(1)及び化学式(2)等で示される化合物等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。
以上に示した化学式(1)において、置換基Xは、3位、4位、5位のうちの何かれの位置に置換されても良いが、3位の位置が好ましい。上述した化学式(2)において、置換基Xは、3位、4位、5位、6位のうちの何れかの位置に置換されても良いが、化学式(1)と同様に3位の位置が好ましい。
さらに、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物としては、例えば化学式(1)を複合環化させた化合物やその誘導体、化学式(2)を複合環化させた化合物やその誘導体等も用いることができる。具体的には、例えば化学式(3)に示す1,2,3−ジオキサチオラン−2,2−オキシドや、2−スルホ安息香線無水物等を用いる。
これにより、非水電解液8では、含有されたオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物が、負極4の表面に硫黄元素を含有する被膜を形成させることから、非水電解液8と負極4との反応により形成される更なる被膜が負極4の表面に形成されることを抑さえ、充放電の繰り返しにより電池特性が劣化することを抑える。
この非水電解液8にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させた場合は、非水電解液8に対し、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を0.05重量%以上、10重量%以下の範囲で含有させる。
非水電解液8にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させる際に、非水電解液8に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物の含有量が0.05重量%より少ないと、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物が少なすぎてオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物による作用効果を得ることが困難となる。一方、非水電解液8に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物の含有量が10重量%より多いと、負極4の表面に形成される硫黄元素を含有する皮膜が厚くなりすぎて負極4側で行われる充放電に伴うリチウムイオンのドープ/脱ドープを妨げることから、電池特性を劣化させてしまう。
したがって、この非水電解液8では、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を0.05重量%以上、10重量%以下の範囲で含有させることで負極4の表面に適切な厚みの被膜を形成させることから、負極4の劣化を抑え、負極4におけるリチウムイオンのドープ/脱ドープが適切に行われ電池1の電池特性の低下を防止できる。
そして、以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極2を作製する。正極2を作製する際は、正極活物質と、導電材と、結合剤とを非水溶媒等に分散させた正極合剤塗液を、正極集電体9となる例えばアルミニウム箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して正極合剤層10を形成する。そして、これら正極集電体9と正極合剤層10とを所定の形状に一括して切り抜くことにより正極2が作製される。
次に、負極4を作製する。負極4を作製する際は、負極活物質と、結合剤とを非水溶媒等に分散させた負極合剤塗液を、負極集電体11となる例えば銅箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して負極合剤層12を形成する。そして、これら負極集電体11と負極合剤層12とを所定の形状に一括して切り抜くことにより負極4が作製される。
次に、非水電解液8を調製させる。非水電解液8を調製する際は、例えばLiPF6やLiBF4等の電解質塩を、第1の非水溶媒及び第2の非水溶媒を混合させた混合非水溶媒に溶解させる。これにより、非水電解液8が得られる。なお、調製した非水電解液8には、例えば上述したオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させたり、プロピオン酸エステルを添加させたりすることもできる。
次に、正極2を正極缶3に収容し、負極4を負極缶5に収容し、正極2と負極4との間に、ポリプロピレン製の多孔質膜等からなるセパレータ6を配置する。これにより、電池1は、正極2、セパレータ6、負極4が順次積層された内部構造となる。
次に、正極缶3と負極缶5とに非水電解液8を注液し、絶縁ガスケット7を介して正極缶3と負極缶5とをかしめて固定する。以上のようにしてコイン型の電池1が製造される。
以上のようにして製造される電池1では、非水電解液8に含まれる第1の非水溶媒が高い比誘電率を有しており、リチウムイオンの電導性が向上して効率良くリチウムイオンが移動することから、電池容量が大きくなって高いエネルギー密度が得られる。この電池1では、非水電解液8に含まれる第2の非水溶媒が溶媒の粘性を下げることで、充放電が繰り返されてもリチウムイオンが適切に移動されることから、優れた充放電サイクル特性が得られる。
したがって、この電池1では、高いエネルギー密度と優れた充放電サイクル特性とを両立させることが可能であり、優れた電池特性が得られる。
また、この電池1では、非水電解液8にプロピオン酸エステルを添加させた場合、添加されたプロピオン酸エステルが、例えば負極4と非水電解液8とが反応して互いに分解してしまうこと等を抑えることから電池特性の劣化を抑制させることができる。
さらに、この電池1では、非水電解液8にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させた場合、含有されたオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物が、負極4の表面に硫黄元素を含有する被膜を形成させることから、非水電解液8と負極4との反応により形成される更なる被膜が負極4の表面に形成されることを抑制する。これにより、電池1では、充放電が繰り返されても、負極活物質と非水電解液8との反応による被膜が負極4の表面に形成されることが無く、負極4や非水電解液8の劣化が抑えられて充放電の繰り返しによる電池特性の低下を防止させることができる。
また、上述した実施の形態においては、非水電解液8を用いた電池1について説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液8の代わりに例えばゲル状電解質等を用いた場合も適用可能である。
ゲル状電解質は、上述した非水電解液8と、この非水電解液8を吸収してゲル化するマトリックス高分子とからなる。ゲル状電解質に用いるマトリックス高分子としては、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)やこれの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(アクリロニトリル)等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、マトリックス高分子には、酸化還元安定性が良好なフッ素系高分子を用いることが好ましい。
また、上述した実施の形態おいては、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を非水電解液8に含有させているが、このことに限定されることはなく、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を例えばリチウムイオン導電性を有する無機固体電解質や、高分子固体電解質等に含有させても上述したオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を非水電解質に含有させた際の作用効果を得ることができる。
具体的に、無機固体電解質としては、例えば窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。一方、高分子固体電解質は、例えば上述した電解質塩と、電解質塩を含有することでイオン導電性が付与される高分子化合物とからなる。高分子固体電解質に用いる高分子化合物としては、例えばポリ(エチレンオキサイド)やこの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)等のエステル系高分子、アクリレート系高分子等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
なお、以上の例では、コイン型電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば円筒形電池、角型電池、ボタン型電池等といった外装材に金属製容器等を用いた電池、薄型電池といった外装材にラミネートフィルム等を用いた電池等、種々の形状や大きさにすることも可能である。
以下、本発明を適用した非水電解質電池としてコイン型のリチウムイオン二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、負極活物質として80wt%Cu−20wt%Siを合成した。この80wt%Cu−20wt%Siを合成する際は、Cuと80gと、Siを20gとを均質になるように混合した混合物を、石英ボートに入れてアルゴン雰囲気中、高周波溶融炉を用いて1050℃に加熱して混合物を溶解した。次に、溶解した混合物を、室温まで冷却することで80wt%Cu−20wt%Siを合成した。次に、得られた80wt%Cu−20wt%Siをアルゴン雰囲気中ボールミルで粉砕し、分級することで平均粒径が10μmの粉末状の80wt%Cu−20wt%Siを作製した。
サンプル1では、先ず、負極活物質として80wt%Cu−20wt%Siを合成した。この80wt%Cu−20wt%Siを合成する際は、Cuと80gと、Siを20gとを均質になるように混合した混合物を、石英ボートに入れてアルゴン雰囲気中、高周波溶融炉を用いて1050℃に加熱して混合物を溶解した。次に、溶解した混合物を、室温まで冷却することで80wt%Cu−20wt%Siを合成した。次に、得られた80wt%Cu−20wt%Siをアルゴン雰囲気中ボールミルで粉砕し、分級することで平均粒径が10μmの粉末状の80wt%Cu−20wt%Siを作製した。
次に、負極を作製した。この負極を作製する際は、以上のようにして得られた80wt%Cu−20wt%Siを54.5重量部と、人造黒鉛を35重量部と、アセチレンブラックを0.5重量部と、結合材としてポリビニリデンフルオロライド(PVdF)を10重量部とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に均質に分散させて負極合剤塗液を調製し、この負極合剤塗液、厚み10μmの銅箔からなる負極集電体上に均一に塗布、乾燥した後に、ロールプレス機で圧縮して負極合剤層を形成した。そして、負極集電体上に形成された負極合剤層を、負極集電体ごと一括して打ち抜いた。以上のようにして、直径15.5mmのペレット状の負極を作製した。
次に、正極活物質となるリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を合成した。このLiCoO2を合成する際は、炭酸リチウムと炭酸コバルトとを0.5モル対1モルの比率となるように混合し、空気雰囲気中900℃で5時間焼成した。このようにしてLiCoO2を合成した。次に、得られたLiCoO2を粉砕し、分級することでLiCoO2を粉末状にした。
次に、正極を作製した。この正極を作製する際は、以上のようにして得られたLiCoO2を91重量部と、導電材としてグラファイトを6重量部と、結着剤としてPVdFを3重量部とをNMPに均質に分散させて正極合剤塗液を調製し、この正極合剤塗液、厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体上に均一に塗布、乾燥した後に、ロールプレス機で圧縮して正極合剤層を形成した。そして、正極集電体上に形成された正極合剤層を、正極集電体ごと一括して打ち抜いた。以上のようにして、直径15.5mmのペレット状の正極を作製した。
次に、上述した第1の非水溶媒及び第2の非水溶媒とを有する非水電解液を調製した。非水電解液を調製する際は、第1の非水溶媒として炭酸エチレン(EC)と、第2の非水溶媒として炭酸ジメチル(DMC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が15対70対15になるように混合し、LiPF6の濃度が1.3モル/リットルの非水電解液を調製した。
次に、ペレット状の負極をステンレスからなる負極缶に収容し、ペレット状の正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、負極と正極との間に厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを積層配置した。
次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶をかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。
〈サンプル2〉
サンプル2では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル2では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル3〉
サンプル3では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸フッ化エチレン(FEC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル3では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸フッ化エチレン(FEC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル4〉
サンプル4では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸プロピレン(PC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル4では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸プロピレン(PC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル5〉
サンプル5では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸ブチレン(BC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル5では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒として炭酸ブチレン(BC)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル6〉
サンプル6では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒としてγ−ブチルラクトン(GBL)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル6では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒としてγ−ブチルラクトン(GBL)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル7〉
サンプル7では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒としてエチレンサルファイト(ES)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル7では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、このECの他に第1の非水溶媒としてエチレンサルファイト(ES)と、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が20対10対58.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル8〉
サンプル8では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が50対40対10になるように混合し、LiPF6の濃度が0.86モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル8では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が50対40対10になるように混合し、LiPF6の濃度が0.86モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル9〉
サンプル9では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒として炭酸ジエチル(DEC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が48.5対40対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル9では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒として炭酸ジエチル(DEC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が48.5対40対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル10〉
サンプル10では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が38.5対50対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル10では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が38.5対50対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル11〉
サンプル11では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル11では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル12〉
サンプル12では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸メチルエチル(MEC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル12では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸メチルエチル(MEC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル13〉
サンプル13では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸メチルプロピル(MPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル13では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸メチルプロピル(MPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル14〉
サンプル14では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸ジプロピル(DPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル14では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸ジプロピル(DPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル15〉
サンプル15では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸ジイソプロピル(DIPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル15では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒として炭酸ジイソプロピル(DIPC)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル16〉
サンプル16では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル16では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル17〉
サンプル17では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてジエチルスルホキシド(DESO)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル17では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、このDECの他に第2の非水溶媒としてジエチルスルホキシド(DESO)と、電解質塩としてLiPF6とを体積比が28.5対50対10対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル18〉
サンプル18では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が18.5対70対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル18では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が18.5対70対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル19〉
サンプル19では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が10対78.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル19では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が10対78.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル20〉
サンプル20では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が13.5対75対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル20では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が13.5対75対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル21〉
サンプル21では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が53.5対35対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル21では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が53.5対35対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル22〉
サンプル22では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が55対33.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル22では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が55対33.5対11.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
次に、以上のように作製したサンプル1〜サンプル22の電池に対して充放電を以下のようにして行った。各サンプルに対して電流10mA、上限電圧4.2Vの定電流定電圧充電を行った後に、10mAの電流値で2.5Vまでの定電流放電を行った。そして、このような充放電条件で充放電を100回繰り返した。
そして、各サンプルついて、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率を測定した。
以下、各サンプルにおける、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率の評価結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2において、初回充放電容量は、各サンプルに対して初めて充放電を行った際の放電容量を示している。また、100サイクル目の放電容量維持率は、初回放電容量に対する充放電を100回繰り返した際の100回目の放電容量の比率である。
表1及び表2に示す評価結果から、非水電解液に対し、第1の非水溶媒を15容量%以上、50容量%以下の範囲で含有し、第2の非水溶媒を40容量%以上、70容量%以下の範囲で含有しているサンプル1〜サンプル18では、非水電解液に対して第1の非水溶媒が15容量%より少なく、第2の非水溶媒が70容量%より多く含有させたサンプル19及びサンプル20に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル19及びサンプル20では、比誘電率が大きい第1の非水溶媒が少ないことから、イオン導電性が小さくなってリチウムイオンを円滑に移動させることが困難となり、電池特性が低下してしまう。また、サンプル19及びサンプル20では、非水電解液に含まれる第2の非水溶媒が多すぎて非水溶媒全体の誘電率が低下することから、リチウム塩の解離度が低下して電池特性を低下させてしまう。
また、表1及び表2に示す評価結果から、サンプル1〜サンプル18では、非水電解液に対して第1の非水溶媒が50容量%より多く、第2の非水溶媒が40容量%より少なく含有させたサンプル21及びサンプル22に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル21及びサンプル22では、粘性の高い第1の非水溶媒が多すぎて非水電解液の粘性が高くなって内部抵抗が大きくなり電池特性を低下させてしまう。また、サンプル21及びサンプル22では、非水電解液に含まれる第2の非水溶媒が少なくすぎることから、第2の非水溶媒による作用効果を得ることができず、電池特性を向上させることが困難となる。
これらのサンプルに対し、サンプル1〜サンプル18では、非水電解液に対して第1の非水溶媒が15容量%〜50容量%の範囲で適切な量含有されており、高い比誘電率を有する第1の非水溶媒がリチウムイオンの電導性を向上させて効率良くリチウムイオンを移動させることから電池特性の低下が抑制される。また、サンプル1〜サンプル18では、非水電解液に対して第2の非水溶媒が40容量%〜70容量%の範囲で適切な量含有されており、第2の非水溶媒が非水溶媒の粘性を低下させてリチウムイオンの移動度を向上させることから電池特性の低下が抑制される。
したがって、サンプル1〜サンプル18では、サンプル19〜サンプル22に比べ、優れた初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が得られる。
さらに、表1に示す評価結果から、第1の非水溶媒としてECに、FEC、PC、BC、GBL、ESのうちの何れか一種を混合させたサンプル3〜サンプル7でも、優れた電池特性が得られていることがわかる。このことから、電池においては、第1の非水溶媒として用いられたEC、FEC、PC、BC、GBL、ESのうちの何れでも上述した第1の非水溶媒の作用効果が得られることがわかる。
さらにまた、表1及び表2に示す評価結果から、第2の非水溶媒としてDECに、DMC、MEC、MPC、DPC、DIPC、DMSO、DESOのうちの何れか一種を混合させたサンプル11〜サンプル17でも、優れた電池特性が得られていることがわかる。このことから、電池においては、第2の非水溶媒として用いられたDMC、MEC、DEC,MPC、DPC、DIPC、DMSO、DESOのうちの何れでも上述した第2の非水溶媒の作用効果が得られることがわかる。
以上のことから、電池を作製する際に、非水電解液に対し、第1の非水溶媒を15容量%以上、50容量%以下の範囲で含有させると共に第2の非水溶媒を40容量%以上、70容量%以下の範囲で含有させることは、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が優れた電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
次に、本発明を適用した非水電解質二次電池として、非水電解液に含まれる電解質塩の濃度を変えて製造したサンプル23〜サンプル27ついて説明する。
〈サンプル23〉
サンプル23では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対63.1対6.9になるように混合し、LiPF6の濃度が0.6モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル23では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対63.1対6.9になるように混合し、LiPF6の濃度が0.6モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル24〉
サンプル24では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対56.3対13.7になるように混合し、LiPF6の濃度が1.2モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル24では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対56.3対13.7になるように混合し、LiPF6の濃度が1.2モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル25〉
サンプル25では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対49.4対20.6になるように混合し、LiPF6の濃度が1.8モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル25では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対49.4対20.6になるように混合し、LiPF6の濃度が1.8モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル26〉
サンプル26では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対64.3対5.7になるように混合し、LiPF6の濃度が0.5モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル26では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対64.3対5.7になるように混合し、LiPF6の濃度が0.5モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル27〉
サンプル27では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対48.2対21.8になるように混合し、LiPF6の濃度が1.9モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル27では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDMCと、電解質塩としてLiPF6とを体積比が30対48.2対21.8になるように混合し、LiPF6の濃度が1.9モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
次に、以上のように作製したサンプル23〜サンプル27の電池に対し、上述したサンプル1〜サンプル22と同様の条件で充放電を行った。
そして、サンプル23〜サンプル27ついて、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率を測定した。
以下、各サンプルにおける、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率の評価結果を表3に示す。
なお、表3において、初回充放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率は、上述したサンプル1〜サンプル22と同様にして測定した。
表3に示す評価結果から、非水電解液に対して電解質塩を0.6モル/リットル以上、1.8モル/リットルの範囲で含有させたサンプル23〜サンプル25では、非水電解液に対して電解質塩を0.5モル/リットル含有させたサンプル26に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル26では、非水電解液中に含まれる電解質塩が少なすぎて充放電に寄与するリチウムイオンが少ないことから、電池反応を円滑に行うことが困難となり電池特性が低下してしまう。
また、表3に示す評価結果から、サンプル23〜サンプル25では、非水電解液に対して電解質塩を1.9モル/リットル含有させたサンプル27に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル27では、非水電解液中に含まれる電解質塩が多すぎて非水電解液の粘性が大きくすることから、内部抵抗が大きくなって電池特性を低下させてしまう。
これらのサンプルに対し、サンプル23〜サンプル25では、非水電解液に対して電解質塩が0.6モル/リットル〜1.8モル/リットルの範囲で適切な量含有されており、電池内のリチウムイオンを円滑に移動させると共に内部抵抗を抑制させることから、電池特性の低下が防止される。
したがって、サンプル23〜サンプル25では、サンプル26及びサンプル27に比べ、優れた初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が得られる。
以上のことから、電池を作製する際に、第1の非水溶媒と第2の非水溶媒とを混合させた混合溶媒を有する非水電解液に対し、電解質塩を0.6モル/リットル以上、1.8モル/リットル以下の範囲で含有させることは、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が優れた電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
次に、本発明を適用した非水電解質二次電池として、非水電解液にプロピオン酸エステルを添加して製造したサンプル28〜サンプル34ついて説明する。
〈サンプル28〉
サンプル28では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてプロピオン酸メチル(MP)とを体積比が30対58対11.5対0.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル28では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてプロピオン酸メチル(MP)とを体積比が30対58対11.5対0.5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル29〉
サンプル29では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対53.5対11.5対5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル29では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対53.5対11.5対5になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル30〉
サンプル30では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対48.5対11.5対10になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル30では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対48.5対11.5対10になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル31〉
サンプル31では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてプロピオン酸エチル(EP)とを体積比が30対48.5対11.5対10になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル31では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてプロピオン酸エチル(EP)とを体積比が30対48.5対11.5対10になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル32〉
サンプル32では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対38.5対11.5対20になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル32では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対38.5対11.5対20になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル33〉
サンプル33では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対58.3対11.5対0.2になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル33では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対58.3対11.5対0.2になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル34〉
サンプル34では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対33.5対11.5対25になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル34では、非水電解液を調製する際に、第1の非水溶媒としてECと、第2の非水溶媒としてDECと、電解質塩としてLiPF6と、プロピオン酸エステルとしてMPとを体積比が30対33.5対11.5対25になるように混合し、LiPF6の濃度が1モル/リットルの非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
次に、以上のサンプル28〜サンプル34の電池に対し、上述したサンプル1〜サンプル22と同様の条件で充放電を行った。
そして、サンプル28〜サンプル34ついて、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率を測定した。
以下、各サンプルにおける、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率の評価結果を表4に示す。
なお、表4において、初回充放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率は、上述したサンプル1〜サンプル22と同様にして測定した。
表4に示す評価結果から、非水電解液に対してプロピオン酸エステルを0.5体積%以上、20体積%の範囲で添加させたサンプル28〜サンプル32では、非水電解液に対してプロピオン酸エステルを0.2体積%添加させたサンプル33に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル33では、プロピオン酸エステルの添加量が少なすぎることから、プロピオン酸エステルを添加させた際の作用効果を得ることが困難となり、非水電解液に第1の非水溶媒と第2の非水溶媒との混合非水溶媒を用いることで得られる作用効果によりサンプル1〜サンプル18と同等の電池特性を持った電池となる。
また、表4に示す評価結果から、サンプル28〜サンプル32では、非水電解液に対してプロピオン酸エステルを25体積%添加させたサンプル34に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大幅に大きくなっていることがわかる。
サンプル34では、プロピオン酸エステルの添加量が多すぎて非水電解液に含まれる第1の非水溶媒と第2の非水溶媒との混合非水溶媒が少ないことから、混合非水溶媒の作用効果を得ることが困難となり電池特性が低下してしまう。
これらのサンプルに対し、サンプル28〜サンプル32では、非水電解液に対してプロピオン酸エステルが0.5体積%〜20体積%の範囲で適切な量添加されており、プロピオン酸エステルが電池特性を向上させるように作用している。
したがって、サンプル28〜サンプル32では、サンプル33及びサンプル34に比べ、大幅に初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が向上することになる。
以上のことから、電池を作製する際に、非水電解液に対し、プロピオン酸エステルを0.5体積%以上、20体積%以下の範囲で添加させることは、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大幅に向上された電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
次に、本発明を適用した非水電解質二次電池として、非水電解液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させて製造したサンプル35〜サンプル51ついて説明する。
〈サンプル35〉
サンプル35では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が0.05重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル35では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が0.05重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル36〉
サンプル36では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル36では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル37〉
サンプル37では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをFにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル37では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをFにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル38〉
サンプル38では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをClにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル38では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをClにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル39〉
サンプル39では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをBrにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル39では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをBrにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル40〉
サンプル40では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCH3にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル40では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCH3にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル41〉
サンプル41では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCH2Fにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル41では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCH2Fにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル42〉
サンプル42では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCHF2にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル42では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCHF2にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル43〉
サンプル43では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCF3にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル43では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをCF3にした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル44〉
サンプル44では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が5重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル44では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が5重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル45〉
サンプル45では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が10重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル45では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が10重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル46〉
サンプル46では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(2)の置換基XをHにした化合物が0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル46では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(2)の置換基XをHにした化合物が0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル47〉
サンプル47では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(2)の置換基XをFにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル47では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(2)の置換基XをFにした化合物が2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル48〉
サンプル48では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(3)に示す1,2,3−ジオキサチオラン−2,2−オキシドが0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル48では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(3)に示す1,2,3−ジオキサチオラン−2,2−オキシドが0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル49〉
サンプル49では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として2−スルホ安息香酸が0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル49では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として2−スルホ安息香酸が0.2重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル50〉
サンプル50では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させないで非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル50では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させないで非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル51〉
サンプル51では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が0.02重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル51では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が0.02重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
〈サンプル52〉
サンプル52では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が15重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
サンプル52では、非水電解液を調製する際に、ECとDECとを同体積で混合させた混合非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解された溶液を調製し、この溶液にオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物として化学式(1)の置換基XをHにした化合物が15重量%含有されるようにした非水電解液を調製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外はサンプル1と同様にして電池を作製した。
次に、以上のサンプル35〜サンプル52の電池に対し、上述したサンプル1〜サンプル22と同様の条件で充放電を行った。
そして、サンプル35〜サンプル52ついて、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率を測定した。
以下、各サンプルにおける、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率の評価結果を表5に示す。
なお、表5において、初回充放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率は、上述したサンプル1〜サンプル22と同様にして測定した。
表5に示す評価結果から、非水電解液に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を0.05重量%以上、10重量%の範囲で含有させたサンプル35〜サンプル49では、非水電解液に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を0.05重量%より少なく含有させたサンプル50及びサンプル51に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大きくなっていることがわかる。
サンプル50及びサンプル51では、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物の含有量が少なすぎることから、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を含有させた際の作用効果を得ることが困難となり、非水電解液に第1の非水溶媒と第2の非水溶媒との混合非水溶媒を用いることで得られる作用効果によりサンプル1〜サンプル18と同等の電池特性を持った電池となる。
また、表5に示す評価結果から、サンプル35〜サンプル49では、非水電解液に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を15重量%含有させたサンプル52に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大幅に大きくなっていることがわかる。
サンプル52では、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物の添加量が多すぎて負極表面に形成される硫黄元素を含有する被膜が厚くなってしまい、厚くなった皮膜が負極側でリチウムイオンのドープ/脱ドープを妨げることから電池特性を低下させてしまう。
これらのサンプルに対し、サンプル35〜サンプル49では、非水電解液に対してオキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物が0.5重量%〜10重量%の範囲で適切な量含有されており、負極の表面に硫黄元素を含有する被膜を適切な厚みに形成させることから、非水電解液と負極との反応により形成される更なる被膜が負極表面に形成されることを抑制させる。これにより、サンプル35〜サンプル49では、充放電が繰り返されても、負極活物質と非水電解液との反応による被膜が負極表面に形成されることが無く、負極や非水電解液の劣化が抑えられて充放電の繰り返しによる電池特性の低下が防止される。
したがって、サンプル25〜サンプル49では、サンプル50〜サンプル52に比べ、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大幅に大きくなる。
以上のことから、電池を作製する際に、非水電解液に対し、オキサチオラン−2,2−ジオキシド骨格を持つ化合物を0.5重量%以上、10重量%以下の範囲で含有させることは、初回放電容量及び100サイクル目の放電容量維持率が大幅に向上された電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
1 リチウムイオン二次電池、2 正極、3 正極缶、4 負極、5 負極缶、6 セパレータ、7 絶縁ガスケット、8 非水電解液、9 正極集電体、10 正極合剤層、11 負極集電体、12 負極合剤層
Claims (4)
- 上記非水電解質に対し、上記化合物が0.05重量%以上、10重量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記負極活物質は、Sn、Si、Sn化合物、Si化合物のうちの何れか一種以上を含有していることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
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- 2008-02-18 JP JP2008036708A patent/JP2008181884A/ja active Pending
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