以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明に係る現像装置が使用される画像形成装置の第1の実施の形態の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明に係る現像装置が使用される画像形成装置の第1の実施の形態の全体の構成を示す説明図であり、図2は、かかる画像形成装置の装置本体の構成を示す部分詳細図である。
本実施の形態に係る画像形成装置1Aは、図1、図2に示すように、スキャナ等に読み込まれた画像データや外部から伝達された画像データを電子写真方式によって、回転駆動される円筒状の感光体ドラム(潜像担持体)3上に静電潜像を形成して、この静電潜像を帯電性のトナーと磁性キャリアの2成分を混合して帯電された現像剤によって現像剤像として可視像化した後、記録媒体となる所定のシート状の記録用紙(以下、用紙と称する。)に転写してモノクロ(単色)画像として出力する画像形成装置であって、感光体ドラム3上の静電潜像を可視像化する現像装置として、感光体ドラム3に付着した磁性キャリアを回収するキャリア回収ローラ220と、キャリア回収ローラ220によって回収された磁性キャリアをキャリア回収ローラ220から除去するキャリア除去装置230とを備えた本発明に係る特徴的な現像装置2を採用したものである。
画像形成装置1Aの構成として、用紙Pを複数枚積載可能な給紙トレイ8と、この給紙トレイ8から供給される用紙Pを画像形成部14に搬送する用紙搬送部59と、画像形成部14で印字された用紙P上の未定着トナーを溶融させて定着させる定着ユニット6へ搬送する用紙搬送装置7とを備えており、予め設定された複数の排出処理モードに対応した用紙Pの搬送速度に基づいて、印字要求に応じて選択的に用紙Pの搬送速度を制御して給紙トレイ8から自動的に排紙トレイ9に用紙Pを供給可能としたものである。
まず、画像形成装置1Aの全体構成について説明する。画像形成装置1Aは、図1に示すように、主に、露光ユニット1、現像装置2、トナー供給装置30、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送装置7、用紙搬送路7a、給紙トレイ8、排紙トレイ9および転写機構10等を備える装置本体1A1と、自動原稿処理装置1A2とにより構成されている。
装置本体1A1の上面部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台21が設けられ、この原稿載置台21の上方には、自動原稿処理装置1A2が上方に向かい揺動開放自在に設けられ、一方、この原稿載置台21の下方には、原稿の画像情報を読み取る原稿読み取り部であるスキャナ部22が配置されている。
そのスキャナ部22の下方には、露光ユニット1、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送装置7、用紙搬送路7a、排紙トレイ9、および転写機構10が配設され、さらに、その下方には、用紙Pが収納された給紙トレイ8が配設されている。
露光ユニット1は、画像処理部(図示省略)から出力された画像データに応じて、レーザ光を帯電器4によって均一に帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を書込み形成する機能を有するものである。この露光ユニット1は、スキャナ部22の直下で且つ感光体ドラム3上方に配置され、レーザ照射部11および反射ミラー12を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)13a、13bが採用されている。本実施の形態では、高速印字処理を行うために、複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減する手法を用いた2ビーム手法を採用しているものとする。なお、本実施の形態では、露光ユニット1にレーザスキャニングユニット(LSU)13a、13bを用いているが、発光素子をアレイ状に並べたもの、例えば、ELやLED書込みヘッドを用いるものであっても良い。
感光体ドラム3は、略円筒形状を呈し、露光ユニット1の下方に配設され、図示しない駆動手段と制御手段により所定方向(図中の矢印A方向)に回転するように制御されている。この感光体ドラム3の外周面に沿って、図2に示すように、画像転写終了後の位置を基準として感光体ドラム回転方向下流側に向かい、用紙剥離爪31、クリーナユニット5、電界発生部としての帯電器4、現像装置2、除電装置41の順に配置されている。
用紙剥離爪31は、ソレノイド32により感光体ドラム3の外周面に接離可能に配置されている。この用紙剥離爪31は、感光体ドラム3の外周面に当接した状態で、感光体ドラム3上の未定着トナー像を用紙Pに転写する際にその感光体ドラム3の表面に張り付いた用紙Pを剥離するものである。なお、用紙剥離爪31の駆動手段として、ソレノイド32の換わりに駆動用モータ等を採用しても良く、その他の駆動手段の選択も可能である。
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を黒トナーで顕像化するものであって、感光体ドラム回転方向(図中の矢印A方向)で帯電器4より下流側で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で右側)に配置されている。この現像装置2の下方には、記録媒体搬送方向上流側にレジストローラ15が配置されている。なお、現像装置2の詳細については後述するものとする。
キャリア回収ローラ220は、現像装置2の下部に設けられ、感光体ドラム3に付着した磁性キャリアを回収するものであり、キャリア除去装置230は、キャリア回収ローラ220によって回収された磁性キャリアをキャリア回収ローラ220から除去する機能を備える。なお、本実施の形態のキャリア回収ローラ220については、後述する。
トナー供給装置30は、トナーが充填されたトナー容器300から排出されるトナーを一時的に中間ホッパ部33に貯留してから現像装置2に供給するものであって、現像装置2に隣接するようにして配置されている。このトナー供給装置30の下側には、現像装置2の作動中に生ずる動作熱を強制冷却するために、現像装置2の現像槽200に風を送り込むダクト50が設けられる。
レジストローラ15は、給紙トレイ8から供給された用紙Pの先端と感光体ドラム3上のトナー像とを整合して感光体ドラム3と転写ベルト103との間に搬送するように、図示しない駆動手段および制御手段により動作制御されている。
帯電器4は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であって、感光体ドラム3の上方でその外周面に近接して配置されている。なお、本実施の形態では、チャージャー型の帯電器4を使用しているが、接触型のローラ方式によるものやブラシ方式によるものに代用しても良い。
除電装置41は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像を用紙Pに転写し易くするために、この感光体ドラム3の表面電位を低下させるための転写前除電手段であって、感光体ドラム回転方向で現像装置2より下流側で、かつ感光体ドラム3の下方でその外周面に近接して配置されている。なお、本実施の形態では、除電装置41は、除電電極を用いて構成されているが、除電電極の替わりに除電ランプを使用したり、その他の方式により除電するようにしたものであっても良い。
クリーナユニット5は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものであって、感光体ドラム3を挟んで現像装置2と略対向する位置で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で左側)に配置されている。
上述したように、感光体ドラム3上で顕像化された静電像は、静電像が有する電荷の逆極性の電界が搬送される用紙P上に転写機構10から印加されることで用紙P上に転写される。例えば、静電像が(−)極性の電荷を有している時は、転写機構10の印加極性は(+)極性となる。
転写機構10は、駆動ローラ101、従動ローラ102、および他のローラで架橋されるとともに、所定の抵抗値(本実施の形態では、1×109〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト103が配置された転写ベルト式ユニットで構成され、感光体ドラム3の下方で、転写ベルト103の表面が感光体ドラム3の外周面の一部と接触するように配置されている。この転写ベルト103により、用紙Pを感光体ドラム3に押圧しながら搬送するようになっている。感光体ドラム3と転写ベルト103の接触部104には、駆動ローラ101および従動ローラ102とは異なる導電性で転写電界を印加可能な弾性導電性ローラ105が配置されている。
弾性導電性ローラ105は、弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料により構成されている。この弾性導電性ローラ105が弾性を有することで、感光体ドラム3と転写ベルト103とが線接触でなく転写ニップと呼ばれる所定の幅を有する面接触となるので、搬送される用紙Pへの転写効率の向上を図ることができる。
さらに、転写ベルト103の転写領域の用紙搬送方向下流側には、搬送される用紙Pが転写領域で印加された電界を除電し、次工程への搬送をスムーズに行う為の除電ローラ106が転写ベルト103の背面側に配置されている。
また、図2に示すように、転写機構10には、転写ベルト103の残留トナーによる汚れを取るクリーニングユニット107と、転写ベルト103の除電を行う複数の除電機構108が配置されている。この除電機構108に用いられる除電を行うための手法として、装置を介して接地する手法、若しくは積極的に転写電界の極性と逆極性を印加する手法がある。
転写機構10で用紙P上に転写された静電像(未定着トナー)は、定着ユニット6に搬送されて加圧・加熱されることで未定着トナーが溶融されて用紙P上に定着される。当該定着ユニット6は、図2に示すように、加熱ローラ6a、加圧ローラ6bを備え、この加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとによって、用紙Pを挟持した状態で加熱ローラ6aを回転させ、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの間を通過させることにより、用紙P上に転写されたトナー像を溶融して定着させるものである。定着ユニット6の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを搬送する搬送ローラ16が設けられている。この搬送ローラ16の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを排紙トレイ9に排紙するための排紙ローラ17が設けられている。
加熱ローラ6aは、その外周部には用紙剥離爪611、ローラ表面温度検出部材であるサーミスター612、ローラ表面クリーニング部材613が配置され、内周部には加熱ローラ表面を所定温度(定着設定温度:概ね160〜200℃)とする熱源614が設けられている。
加圧ローラ6bは、ローラの両端部で加熱ローラ6aに対し所定圧量で加圧ローラ6bが圧接することが可能な加圧部材621が配置され、さらに、加圧ローラ6bの外周には加熱ローラ6aの外周と同様に用紙剥離爪622、ローラ表面クリーニング部材623が配置されている。
定着ユニット6は、図2に示すように、いわゆる定着ニップ部と呼ばれる加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接部600において、搬送される用紙P上の未定着トナーを加熱ローラ6aにより加熱して溶融し、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接力による用紙P上への投鋲作用で、未定着トナーを用紙P上に定着するようになっている。
給紙トレイ8は、図1に示すように、画像情報が出力(印字)されるシート(用紙)を複数枚蓄積しておくためのものであり、露光ユニット1、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6等で構成される画像形成部14の下側に構成されている。この給紙トレイ8の排紙側上部には、用紙ピックアップローラ8aが配置されている。
この用紙ピックアップローラ8aは、給紙トレイ8内に積載収容された用紙Pを最上層から1枚ずつピックアップし、下流側に向かって(便宜上の用紙Pの流れ出し側、換言するとカセット側を上流、排紙側を下流とする。)用紙搬送路7a上のレジストローラ(「アイドルローラ」とも称する。)15側に搬送するようになっている。
本実施の形態に係る画像形成装置1Aでは、高速印字処理を行うことを目的とするため、画像形成部14の下方に定型サイズの用紙Pを各々のトレイに500〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ8が配置され、一方、装置側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット81が配置されるとともに、この大容量給紙カセット81の上方に、主に不定型サイズの印字等に対応する手差しトレイ82が設けられている。
排紙トレイ9は、手差しトレイ82とは反対側の装置側面に配置されている。また、排紙トレイ9に変わって、排紙用紙のステープル、パンチ処理等を行う後処理装置や複数段排紙トレイ等をオプションとして配置することも可能な構成となっている。
用紙搬送装置7は、前述した感光体ドラム3と給紙トレイ8との間に構成され、用紙搬送装置7に備わる用紙搬送路7aを経由させて、給紙トレイ8から供給される用紙Pを一枚ずつ転写機構10に搬送し、転写機構10において、感光体ドラム3からトナー像が転写された用紙を定着ユニット6に搬送し、定着ユニット6において、未定着トナー像を用紙に定着した後に、指定された排紙処理モードに応じて形成された用紙搬送路や分岐爪によって用紙を搬送するように構成されている。
本実施の形態に係る画像形成装置1Aは、予め設定された排出処理モードとして、片面印字モードおよび両面印字モードが設定されている。片面印字モードにおいて、排出処理として印字面を上方に向けて排出されるフェースアップ排出、および、印字面を下方に向けて排出されるフェースダウン排出が設定されている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1Aに備わる現像装置2とその周辺構成について図面を参照して説明する。図3は、本実施の形態に係る画像形成装置に備わる現像装置およびトナー供給装置の構成を側面側から示す概略構成図である。
本実施の形態では、図3に示すように、現像装置2に隣接してトナー供給装置30が設けられている。このトナー供給装置30の下側には、現像装置2の作動中に生ずる動作熱を強制冷却するために、現像装置2の外装部を形成する現像槽200に風を送り込むダクト50が設けられる。
現像装置2は、図3に示すように、外装部を形成する現像槽200のトナー供給装置30に備わるトナーを供給するための開口部30aと当接する部位には、トナーを導入するためのトナー導入口201が形成されている。現像槽200内部には、現像ローラ202、パドルローラ203、混合ローラ204、搬送ローラ205、仕切り板206、規制部材207が設けられている。現像装置2は、現像ローラ202の周面と感光体ドラム3の周面(周面領域に付着した現像剤)とが接するように、画像形成装置1A内に取り付けられる。現像ローラ202の周面領域において、感光体ドラム3との接触部付近が現像位置となる。また、現像槽200の開放部200aの現像ローラ202下側で隣接する位置には、感光体ドラム3に付着したキャリアを回収するキャリア回収ローラ220を備えるキャリア除去装置230が配置されている。
現像槽200では、トナー供給装置30から供給され、トナー導入口201から導入されたトナーが搬送ローラ205で混合ローラ204へ搬送され、磁性キャリアと混合されて二成分系現像剤が形成される。混合ローラ204は、前述した新たに形成された二成分系現像剤と、上記の仕切り板206で還流された余剰現像剤とを混合する。このように、混合ローラ204で混合して得られた現像剤がパドルローラ203で撹拌されながら帯電されてから、静電潜像を現像するための現像ローラ202に供給され、感光体ドラム3に担持された静電潜像に搬送される。
また、現像ローラ202に供給された現像剤は、まず、仕切り板206の一端側に一体成形で設けられる摺擦部材211が現像ローラ202へ搬送する現像剤の搬送量(層厚)を規制しつつ現像剤を摺擦して現像剤の予備帯電をする。その後、現像槽200に備わる支持部材212によって支持される規制部材207が現像ローラ202で搬送される現像剤の層厚を規制することによって、現像剤供給量が規制され、規制された余剰現像剤は、余剰現像剤を還流させる還流板となる仕切り板206によって、規制部材207と離隔する位置へ還流される。これら規制部材207、摺擦部材211、および仕切り板206は、現像ローラ202に対応する長さに形成されている。
さらに、仕切り板206上には、余剰現像剤を所定の方向に振り分ける複数の整流板208が設けられ、仕切り板206の下側には、余剰現像剤を搬送する搬送スクリュー210で搬送する仕切り板側搬送部209が設けられている。なお、これら現像装置2に備わる構成要素の細部の詳細な説明は、後述するものとする。
トナー供給装置30は、現像装置2に隣接して配設され、トナーが充填されたトナー容器300から排出されるトナーを一時的に中間ホッパ部33に貯留してから現像装置2に供給する。本実施の形態では、トナー容器300は、トナーが充填される容器本体310が支持部材350に回転可能に支持される構成となっている。
中間ホッパ部33に送出されたトナーは、中間ホッパ部33内にて、まず、撹拌部材34によって撹拌される。撹拌部材34は、撹拌軸34aに撹拌羽根34bが設けられている構成であり、撹拌軸34aが回転することによって撹拌軸34a周りを撹拌羽根34bが回転してトナー容器300から供給された中間ホッパ部33内のトナーが撹拌される。
撹拌部材34によって撹拌されたトナーは、撹拌部材34の撹拌動作によって搬送ローラ35を介して供給ローラ36側に送出される。供給ローラ36は、撹拌部材34から搬送ローラ35を経て送出されたトナーを中間ホッパ部33の現像装置2と当接する部位に形成された開口部30aへトナーを送出することによって、トナーを現像装置2に供給する。
また、トナー容器300の支持部材350の底面側(画像形成装置1Aにトナー容器300を装着したときの下面)には、図3に示すように、トナー容器300から供給されるトナーを支持部材350外部に排出するためのトナー供給孔300aを開閉するためのシャッタ開閉機構400が設けられている。つまり、シャッタ開閉機構400により支持部材350のトナー供給孔300aが開放状態になると、トナー供給孔300aと中間ホッパ部33に設けられた開口部33aとが連通状態となり、トナー容器300から排出されるトナーが中間ホッパ部33に供給される。
次に、本実施の形態に係る特徴的な現像装置2の構成について図面を参照して詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る現像装置の構成を示す断面図、図5(a)は当該現像装置を構成する混合ローラの構成を示す側面断面図、(b)は(a)のB1−B1矢視図、(c)は(a)のB2−B2矢視図、(d)は(a)のB3−B3矢視図、(e)は(a)のB4−B4矢視図である。
現像装置2は、図4に示すように、外装部を形成する現像槽200を備え、当該現像槽200におけるトナー供給装置30に備わるトナーを供給するための開口部30aと当接する部位には、トナーを導入するためのトナー導入口201が形成されている。この現像槽200内部には、現像剤が貯留されるとともに、現像ローラ202、パドルローラ203、混合ローラ204、搬送ローラ205、規制部材207およびキャリア回収ローラ220が設けられている。
現像装置2は、現像槽200から一部露出した現像ローラ202の周面と感光体ドラム3の周面(周面領域に付着した現像剤)とが対向して近接するように画像形成装置1A内に取り付けられる。そして、現像ローラ202の周面領域において、感光体ドラム3との対向部付近が現像位置(現像領域)となる。
現像槽200では、トナー供給装置30から供給され、トナー導入口201から導入されたトナーが搬送ローラ205で混合ローラ204へ搬送され、磁性キャリアと混合されて二成分系現像剤が形成される。混合ローラ204は、前述した新たに形成された二成分系現像剤と現像槽200内に既存の現像剤とを混合する。混合ローラ204で混合して得られた現像剤は、パドルローラ203で撹拌されながら帯電されてから静電潜像を現像するための現像ローラ202に供給され、現像ローラ202により感光体ドラム3に担持された静電潜像に搬送される。現像ローラ202に供給された現像剤は、現像槽200を構成する支持部材212によって支持される規制部材207により現像ローラ202で搬送される現像剤の層厚が規制される。これにより、感光体ドラム3に供給される現像剤供給量が規制される。
現像槽200は、現像装置2内の温度上昇対策として、ダクト50からの送風で強制冷却するより大きな効果を奏するために、熱伝導性の大きいアルミニウム等の金属材料により形成されており、感光体ドラム3の周面に臨む位置に開放部200aが存在する。
現像槽200の上部を構成する支持部材212の外側上部には、現像槽200内の圧抜きをするための圧抜機構部217が設けられている。この圧抜機構部217を定期的に作動させることにより、現像装置2内の圧抜きが実行され、装置内のトナー飛散を防止できるようになる。
現像槽200内の開放部200aに臨む位置には、現像ローラ202が配置され、トナー導入口201に臨む位置には、トナー導入口201から現像槽200内へ供給された現像剤(トナー)を混合ローラ204へ搬送する搬送ローラ205が回転自在に配置されている。
現像槽200の混合ローラ204の下側と対向する位置には、現像槽200内のトナーの濃度を検出するためのトナー濃度センサ213が設けられており、混合ローラ204により混合・撹拌されるトナー量が適正量よりも減少したときの検出値に基づいて、トナー導入口201からトナーを補給するように構成されている。
また、現像槽200の開放部200aの現像ローラ202下側には、換言すると、現像ローラ202に対して、感光体ドラム3の回転方向の下流側の位置には、感光体ドラム3に付着した磁性キャリアを回収するためのキャリア回収ローラ220が感光体ドラム3と約1mmの微小間隔を有して配置されている。このキャリア回収ローラ220の回転方向の上流側の位置には、当該キャリア回収ローラ220によって回収された磁性キャリアをキャリア回収ローラ220から除去するキャリア除去装置230が備わっている。
現像ローラ202は、図4に示すように、感光体ドラム3との間に現像ギャップ(0.5〜1.5mm程度)を設けて配置され、複数の周方向位置に断面形状が長方形の棒磁石からなるN極の磁性を有する磁極部材N1、N2、N3、N4およびS極の磁性を有する磁極部材S1、S2、S3が離隔して放射状に配設された多極着磁のマグネットローラ214と、このマグネットローラ214に回転自在に外嵌された略円筒形状のアルミニウム合金および黄銅等で形成される非磁性のスリーブ215とを備えている。
マグネットローラ214は、両端部が現像槽200の両側壁に非回転に固定・支持されており、磁極部材N1が感光体ドラム3の周面と対向する位置に配置されている。磁極部材N1、N2、N3、N4は、現像ローラ202の周方向となる幅寸法の中央がそれぞれ現像ローラ中心軸に対して、磁極の中心軸がP1、P2、P3、P4になっており、この磁極中心軸P1、P2、P3、P4を棒磁石の全長にわたって有している。感光体ドラム3の周面と対向する磁極部材N1は、感光体ドラム3の中心軸および現像ローラ202の中心軸を通る直線に対して磁極中心軸P1がほぼ一致するように配置されている。
このように構成された磁極部材N1、N2、N3、N4およびS1、S2、S3による磁界によって、スリーブ215の外周に沿って、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を吸着して磁気ブラシを形成される。感光体ドラム3と現像ローラ202の回転により形成された磁気ブラシによって、上述した現像ギャップ部で感光体ドラム3の表面を摺擦して現像が行なわれる。
また、現像槽200の開放部200aの現像ローラ202下側で隣接する位置には、感光体ドラム3に付着したキャリアを回収するキャリア回収ローラ220が設けられ、感光体ドラム3に付着した磁性キャリアを回収する。キャリア回収ローラ220によって回収された磁性キャリアは、キャリア除去装置230によって、除去される。なお、本実施の形態のキャリア回収ローラ220については、後述する。
規制部材207は、現像ローラ202との間で現像剤の搬送量を規制しつつ現像剤の主帯電を行うものであり、断面形状が略矩形の非磁性の金属板からなり、規制部材207の幅方向一端面が現像ローラ202(スリーブ215)の外周面と所定の大きさの隙間部を有して対向している。この規制部材207は、カバー体216により取り付けられ、開放部200aに設置されている。なお、規制部材207は、アルミニウム、ステンレス等の非磁性の金属板により形成される。
混合ローラ204は、図5(a)に示すように、トナー供給装置30から供給されたトナーを撹拌、搬送するもので、現像ローラ202に対して略平行に配置された回転軸204aと、複数の分離された皿状の撹拌体204bとを備える。
撹拌体204bは、回転軸204aの軸心方向に対して略45度傾斜して配置され、回転軸204aの略中央部に配置された撹拌体204b3を中心に、軸線方向で図中右端の撹拌体204b1と複数の撹拌体204b2からなる集合体204B1と、複数の撹拌体204b2と図中左端に有する撹拌体204b4からなる集合体204B2とに分割して構成されている。
本実施の形態では、これら集合体204B1、204B2に含まれる撹拌体204b2は、同数である。すなわち、混合ローラ204の撹拌体204bは、奇数枚となる。このように撹拌体204bを奇数枚とすることにより、全体としての現像剤の流れのバランスを崩して設定された一方向への現像剤の撹拌搬送が可能となる。
回転軸204aの両端側に配置される撹拌体204b1、204b4は、図5(b)、(e)に示すように、回転軸204aを中心に点対称の略半月状に形成されている。詳しくは、撹拌体204b1、204b4は、それぞれ回転軸204aを通る長い法線L1に沿った方向に対して略垂直に分割された半月状となっている。
撹拌体204b1、204b4と撹拌体204b3との間に設けられる各撹拌体204b2は、図5(c)に示すように、略楕円形状であり、回転軸204aの軸心方向に対して傾斜して複数配置されている。このような構成とすることにより、個々の撹拌体により大きな回転軸方向の搬送力を生じさせることができる。
回転軸204aの略中央部に配置される撹拌体204b3は、図5(d)に示すように、略楕円形状で形成され、前述したトナー濃度センサ213と対向する位置に切欠部204cが形成され、トナー濃度センサ213からの検出光が通過可能となるようにされている。この切欠部204cは、回転軸204aを中心に点対称の位置にさらに1カ所に形成されている。すなわち、切欠部204cは、回転軸204aを中心に点対称に一対設けられている。このように、撹拌体204b3に混合ローラ204の撹拌体204bの通過に伴う現像剤かさ密度変動によるトナー濃度センサ213の出力リップルを防止できる。
現像ローラ202と混合ローラ204との間には、図4に示すように、混合ローラ204で混合して得られた現像剤を撹拌しながら帯電させてから現像ローラ202に供給するパドルローラ203が設けられている。
パドルローラ203は、その長手方向に延びる支軸、および該支軸に平行な向きの羽根を備えており、支軸まわりに回転することができる。パドルローラ203がその支軸まわりに回転することにより、現像剤を攪拌することができる。
上述したように、現像ローラ202の下方には、感光体ドラム3に付着した磁性キャリアを回収するためのキャリア回収ローラ220が感光体ドラム3に当接するようにして備わる。このキャリア回収ローラ220の回転方向の下流側の位置には、当該キャリア回収ローラ220によって回収された磁性キャリアをキャリア回収ローラ220から除去するキャリア除去装置230が備わっている。
次に、本実施の形態に係る現像装置2に備わる現像ローラ202と、その周辺構成について図面を参照して説明する。図6は、本実施の形態に係る現像装置の現像ローラおよびキャリア回収ローラの要部の構成を側面側から示す概略構成図である。
本実施の形態の画像形成装置1Aは、感光体ドラム3の回転速度が360mm/sec以上の高速機であり、この画像形成装置1Aに備わる現像装置2は、図6に示すように、7つの固定磁極部材N1、N2、N3、N4、S1、S2、S3を回転中心から放射状に設けられるように内包するマグネットローラ214に対して、相対的に回転する円筒状スリーブ215の表面に現像剤を吸着してから、感光体ドラム3に現像剤を供給する現像ローラ202と、この現像ローラ202に対して感光体ドラム3の回転方向の下流側に備わるキャリア回収ローラ220と、を備える構成である。
キャリア回収ローラ220は、感光体ドラム3との間に約1mmの微小間隔を設けて配置され、図6に示すように、アルミニウム等の金属で形成され、S極、N極と磁極の異なる2つの磁極部材S10、N10が回転軸O220を中心に放射状に配設された二極着磁のキャリア回収用マグネットローラ221と、このキャリア回収用マグネットローラ221に回転自在に外嵌された略円筒形状のアルミニウム合金および黄銅等で形成される非磁性のキャリア回収用スリーブ222とを備えている。
キャリア回収用マグネットローラ221は、両端部が現像槽200の両側壁に非回転に固定・支持されており、当該キャリア回収用マグネットローラ221に備わる磁極部材S10、N10のうち、感光体ドラム3と対面する位置からキャリア回収ローラ220の中心(回転軸O220)を挟んで反対側の位置に、N極の磁極部材N10が設けられている。一方、S極の磁極部材S10は、現像ローラ220と対向する位置に設けられている。
本実施の形態では、これらの磁極部材S10、N10の磁力が400〜750Gの大きさであり、これらの磁極部材S10、N10の磁極間のなす角度が80°〜150°となるように設けられている。また、これらの磁極部材S10、N10のうち、磁極部材N10と、キャリア回収ローラ220の中心O220からキャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と最近接する最近接点までを結ぶ最近接中心線L1とのなす角度が140°以上180°以下になるように、磁極部材N10が設けられている。このとき、感光体ドラム3に付着したキャリアの回収が円滑に実行されるために、S極の磁極部材S10は、マグネットローラ214に含まれる固定磁極部材のうち、最近接する磁極部材S3は、互いにS極で同極となることが好ましい。
キャリア回収ローラ220の回転方向の下流側には、キャリア回収ローラ220に含まれるキャリア回収用スリーブ222の外周面220aをクリーニングするために、当該外周面220aに当接して、この外周面220aに付着したトナーやトナーの外添剤等の不要物を掻き取るスクレーパ部材240が設けられている。本実施の形態では、スクレーパ部材240は、図4に示すように、キャリア除去装置230の一端にスクレーパ部材240の基端部が固定されるようにして設けられる。本実施の形態では、キャリア回収ローラ220の外周面220aに付着したトナーやトナーの外添剤等を効率よく除去するために、スクレーパ部材240は、先端240aがキャリア回収ローラ220の外周面220aに対する垂直方向の磁力が最も弱くなっている位置に当接するように設けられている。なお、本実施の形態では、スクレーパ部材240は、SUS/0.1tで形成されているが、かかる材質に限定されない。
このように、本実施の形態では、キャリア回収ローラ220の磁極部材S10、N10を感光体ドラム3に対面する位置に設けずに、キャリア回収ローラ220の中心を挟んでその反対の方向に磁力が400以上750G以下のN極の磁極部材N10を設け、磁力が400以上750G以下のS極の磁極部材S10を現像ローラ220と対面する位置に設ける。このため、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対面する外周面には、キャリアを回収するのに十分な大きさの35G〜80G程度の磁極部材S10、N10の漏れ磁界が広範囲に生じるので、当該漏れ磁界によって、磁性のキャリアを確実に回収できるようになる。なお、磁極部材S10、N10の磁力が400G未満では、有効な漏れ磁界が発生せず、750Gより大きい場合には、キャリア回収ローラ220でのキャリア回収が円滑に実行されない。
また、キャリア回収ローラ220の磁極部材221を感光体ドラム3に対面する位置に直接磁極部材221を設けないで、上述したような態様で磁極部材221を設けるので、方向性が単一で回収できる磁極幅が狭くなる通常の磁極部材による磁界よりも、キャリア回収ローラ220の外周面220aに沿って、幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界が発生するようになる。
このため、上述したように、キャリアを回収するのに十分な大きさの漏れ磁界がキャリア回収ローラ220の外周面220aのうち、感光体ドラム3に対面する側の外周面220aに沿って、幅広い範囲の方向性を有する形状であるため、高速で回転する感光体ドラム3からも効率良くキャリアを回収可能となる。また、当該漏れ磁界が幅広い範囲の方向性を有していることから、隣り合う磁極間の幅が実質的に狭くなるので、回収したキャリアの搬送性も良好になる。
さらに、磁極部材S10、N10の磁極間のなす角度を80°以上150°以下、磁極部材N10と、最近接中心線L1とのなす角度が140°以上180°以下とすることによって、磁極部材N10の対向部、すなわち、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対面する側に有する外周面220aには、キャリアを回収するのに十分な大きさの35G〜80G程度の磁極部材S10、N10の漏れ磁界が生じるようになる。このため、高速機の画像形成装置1Aで小粒径キャリアを使用した場合でも、効率よく付着キャリアを回収することが可能となる。
このとき、キャリア回収ローラ220に備わる磁極部材S10、N10の磁極間の成す角度が80°より小さくなると、磁極部材N10の対向部側となるキャリア回収ローラ220の外周面220aに幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界が発生せず、磁極部材N10の近傍に有効角度の小さい漏れ磁界が発生するため、キャリア回収ローラ220として使用不能となる。また、150°より大きい場合は、現像ローラ202の対面部に磁極部材S10を有し、感光体ドラム3と対面する位置からローラ中心を挟んで反対側の位置に磁極部材N10を有する本実施の形態の構成と合わなくなるので、150°以上の磁極間の角度を必要としない。このため、磁極部材S10、N10の磁極間のなす角度が上記のような80°以上150°以下の範囲となる。なお、キャリア回収ローラ220に備わる磁極部材S10、N10の磁極間の成す角度とキャリア回収ローラ220のキャリア回収量との関係の詳細な説明は、後述する。
また、本実施の形態では、現像装置2は、感光体ドラム3の回転速度が360mm/sec以上の高速機に対応する構成である。すなわち、感光体ドラム3の回転速度が360mm/sec以上では、キャリアは、感光体ドラム3から離れて飛散し、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3に対向していない磁極部材N10で発生する漏れ磁界に付着することによって回収される。そして、感光体ドラム3上に残存するキャリアは、キャリア回収ローラ220の漏れ磁界で回収されるようになる。仮に、感光体ドラム3の回転速度が360mm/sec未満、例えば、回転速度が250mm/secの場合では、キャリアの飛散が生じないため、キャリア回収ローラ220の磁極が感光体ドラム3に対向していなければキャリアを回収できないので、キャリア回収ローラ220としての役目を果たせないこととなる。
以上説明したような構成の現像装置2とすることにより、画像形成装置1Aが高速機で小粒径キャリアを使用した場合でも、現像装置2に備わるキャリア回収ローラ220が効率よく付着キャリアを回収してキャリア除去装置230に搬送するので、感光体ドラム3上にキャリアが付着することによって発生する当該キャリアが転写時における感光体ドラム3に対する転写材料の密着性の低下やいわゆる白抜け等の転写画像の品質低下を抑制することができる。
(実施例1)
次に、本実施の形態におけるキャリア回収ローラに備わる各磁極部材の好適な設計値を決定する実施例1について説明する。図7は、本実施の形態の現像装置の実施例1におけるキャリア回収ローラに備わる磁極部材の設定条件に応じた各種効果との関係を示す表であり、図8は、本実施の形態の現像装置の実施例1の現像ローラに含まれるマグネットローラの磁極と磁力の関係を示す表である。また、図9〜図17は、本実施の形態の現像装置のキャリア回収ローラに備わる磁極部材の磁界強度および磁極間のなす角度の好適値を求めるための実験データを示す図であり、(a)は、キャリア回収ローラの磁極部材の磁界強度と磁極間のなす角度、および磁極部材N1と感光体ドラム最近接点を通る最近接中心線L1のなす角度との関係を示す表であり、(b)は、キャリア回収ローラで形成される磁力波形を示す図である。なお、図9〜17では、磁極N10の磁界強度、磁極間のなす角度、および磁極部材N1と最近接中心線L1のなす角度がそれぞれ285G・70.00°・133.23°、427G・100.1°・163.74°、452G・99.42°・160.10°、589G・98.7°・160.83°、658G・140.7°・149.29°、734G・103.45°・169.10°、893G・102.54°・165.34°、297G・51.77°・114.25°、292G・62.83°・128.04°の場合のデータを示す。なお、これら各図の(b)では、各磁極部材で形成される磁場の大きさは、マグネットローラの周面の法線方向の成分(以下、単に「法線方向成分」という。)で示している。
実施例1では、使用キャリアの平均粒子径40μm、磁気特性65emu/g、キャリア回収ローラ220の磁極部材S10、N10の磁極間角度を120°に固定、マグネット(現像)ローラの径をφ30mm、感光体ドラム3の回転速度に対するマグネットローラ215の回転速度比を2.0、キャリア回収ローラ220の径をφ12、マグネットローラ215に対するキャリア回収ローラ220の回転速度比を1/108、キャリア回収ローラ220とマグネットローラ215との間のギャップを3mm、キャリア回収ローラ220と感光体ドラム3と間のギャップを0.8mm、スリーブ材質をアルミニウムで表面にV溝80本形成の設定条件で感光体ドラム3の回転速度を540mm/sec、360mm/sec、および250mm/secのプロセス速度で実施されている。
このような設定条件下で実施されている実施例1では、図7に示すような通常磁極の磁界強度とキャリア回収に対する磁極の有効角度、各通常磁極に対する漏れ磁界強度と漏れ磁界の有効角度の関係が得られる。これらのデータから、磁極部材N10、S10の磁界強度が427G以上で漏れ磁界の有効角度が広くなり、それに伴い画質評価も良好になっていることがわかる。
また、図7では、感光体ドラム3の回転速度は、360mm/sec、540mm/sec、250mm/secにおいて、実写エージング500k後のキャリアの減少量と形成画像の画質を調べた結果を示している。図7に示すデータから、本発明のキャリア回収ローラ220を使用することによって、回転速度350mm/sec以上でキャリアの減少を大幅に抑制でき、特に、磁極N10、S10の磁界強度が427〜734Gでは、キャリア減少量の抑制を図る効果が得られ、キャリア付着による画像不良を改善できることがわかる。
磁極N10、S10の磁界強度が400Gより小さい場合は、図9(b)に示すように、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対向するドラム最近接点Q1を含む外周面220aには、磁極N10、S10の漏れ磁界が発生しない。一方、磁極N10、S10の磁界強度が400G以上の場合には、図10〜図14に示すように、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対向するドラム最近接点Q1を含む外周面220aには、磁極N10、S10の漏れ磁界M10が発生する。当該漏れ磁界は、35G〜80G程度の大きさであり、キャリアを回収するために十分な大きさである。このため、高速機の画像形成装置1Aで小粒径キャリアを使用した場合でも、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対向するドラム最近接点Q1を含む外周面220aを広範に被覆するように発生する漏れ磁界M10によって、効率よく感光体ドラム3の付着キャリアを回収することが可能となる。
しかし、磁極N10、S10の磁界強度が750Gより大きい893Gの場合には、図15(b)に示すように、キャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と対向するドラム最近接点Q1を含む外周面220aには、磁極N10、S10の漏れ磁界M10が発生するものの、図7の表に示すように、キャリアの減少量が増加してしまい、それに伴って、キャリア付着による画像不良によって、画質評価も低下する。実施例1では、図8に示す表より、現像ローラ202に含まれる磁極部材のうち、キャリア回収ローラ220に最近接する磁極部材S3の磁界強度が924Gであり、キャリア回収ローラ220の磁極部材S10、N10の磁界強度が750Gより大きい場合には、現像ローラ202の方にキャリアが載り難くなるので、キャリア回収ローラ220に回収キャリアが残留してしまい、次の新しいキャリアがキャリア回収ローラ220の外周面220aに載り難くなる。このため、キャリア回収ローラ220でのキャリア回収効率が低下するので、キャリア減少量も抑制できずに増加させてしまう。
また、キャリア回収ローラ220に備わる磁極部材S10、N10の磁極間の成す角度が80°より小さくなると、図16および図17に示すように、磁極部材N10の対向部側となるキャリア回収ローラ220の外周面220aに幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界が発生せず、磁極部材S10、N10の近傍に有効角度の小さい漏れ磁界m10が発生するため、キャリア回収ローラ220として使用不能となる。一方、磁極部材S10、N10の磁極間の成す角度が80°以上の場合では、図10〜図14に示すように、磁極部材N10の対向部側となるキャリア回収ローラ220の外周面220aに、35G〜80G程度のキャリア回収に必要な大きさの幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界M10が発生するので、キャリア回収ローラ220として使用可能となる。
さらに、感光体ドラム3と対面する位置からキャリア回収ローラ220の中心O220を挟んで反対側の位置に有する磁極部材N10と、キャリア回収ローラ220の中心O220からキャリア回収ローラ220の感光体ドラム3と最近接する最近接点Q1までを結ぶ最近接中心線L1とのなす角度が140°以上の場合では、図10〜図14に示すように、磁極部材N10の対向部側となるキャリア回収ローラ220の外周面220aに、35G〜80G程度のキャリア回収に必要な大きさの幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界M10が発生する。一方、磁極部材N10と最近接中心線L1とのなす角度が140°未満の場合では、図9、図16、図17に示すように、磁極部材N10の対向部側となるキャリア回収ローラ220の外周面220aに幅広い範囲の方向性を有する漏れ磁界が発生しないので、キャリア回収ローラ220として使用不能となる。
また、本実施の形態では、キャリア回収ローラ220の外周面220aに付着したトナーやトナーの外添剤等を効率よく除去するために、スクレーパ部材240は、先端240aがキャリア回収ローラ220の外周面220aに対する垂直方向の磁力が最も弱くなっている位置、すなわち、図12に示す例では、磁極S10と磁極N10のちょうど間の位置に当接するように設けられることが好ましい。
このように、実施例1からも本発明のキャリア回収ローラ220は、磁極が感光体ドラム3に対面しない位置にN極とS極を一組有し、各磁極の磁力は、400G以上750G以下という構成とすることにより、感光体ドラム3に対面する位置に通常の磁極を設定した場合よりも、キャリアを回収するのに十分な大きさの35G〜80G程度の大きさの漏れ磁界M10が広範囲の角度幅を有するように発生するので、磁界の有効角度が従来の磁極の有効角度よりも大きくなる。このため、感光体ドラム3が高速に回転しても、キャリアを効率よく回収することが可能となる。また、キャリア回収ローラ220内の磁極間隔が実質的に狭くなるため、回収したキャリアをスムースに搬送することができ、マグネットローラ215の磁極で現像ローラ側にキャリアを効率よく再回収することができる。さらに、従来の5極のマグネットローラよりも効率よくキャリアを回収・搬送でき、コストの低減化を図れるようになる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第1の実施の形態では、一つのトナー容器を設置するモノクロ用の画像形成装置に設置される現像装置に本発明が適用されているが、複数のトナー容器を設置するカラー用の現像装置に本発明のキャリア回収ローラを適用することも可能である。