JP2008180207A - 再始動支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタータによるエンジンの始動に失敗した場合に、短時間でスタータがエンジンを再始動させることができる再始動支援装置を提供する。
【解決手段】スタータ40によるエンジンEの始動に失敗した場合、DC/DCコンバータ13を第1時間(例えば5分間)、降圧側に切り替えて、リチウム電池12が出力した電力の電圧を降圧して鉛蓄電池11を充電し、鉛蓄電池11を第1時間充電した後、充電分極によって鉛蓄電池11の開放電圧値が一時的に上昇している第2時間(例えば5分間)以内にイグニッションキーIGを再びオンにするよう運転者に通知する。そして、イグニッションキーIGのオンに伴い作動したスタータ40によってエンジンEが始動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スタータによるエンジンの始動に失敗した場合に、スタータによるエンジンの再始動を支援する再始動支援装置に関する。
車両に搭載される電気負荷の個数は年々増加する傾向にあり、また、大容量の電気負荷が採用されている。このような電気負荷の増加、大容量化に対応して、鉛蓄電池を備える従来の電源装置に、鉛蓄電池よりも高電圧での充放電が容易なリチウムイオン二次電池(以下、リチウム電池という)と、車載発電機の発電電圧を昇圧する昇圧手段とを加えてなる電源装置が提案されている。
この電源装置は、昇圧手段が昇圧した電圧によってリチウム電池を充電し、鉛蓄電池の出力電圧よりも高電圧を電気負荷に供給する。
このように複数のバッテリを備える電源装置においては、各バッテリの充電状態に応じて、一方のバッテリが放電した電力を他方のバッテリに充電することがある(特許文献1〜3参照)。
特開2006−38664号公報 特開2004−25979号公報 特開2002−325377号公報
一般に、車両のエンジンは、200アンペア〜300アンペアの大きな電流を供給されたスタータによって始動される。このために、スタータに対しては、大電流を出力可能な鉛蓄電池から給電し、数十アンペア程度の小さな電流を出力するリチウム電池からは給電しない。
この結果、鉛蓄電池の充電量が不足している場合、スタータに十分給電できず、仮に、リチウム電池の充電量が大きくても、大電流を出力可能な大型のリチウム電池を搭載しない限り、エンジンを始動させることができないという問題がある。
このような問題を解決するために、充電量が不足している鉛蓄電池をリチウム電池で充電し、十分に充電された鉛蓄電池でスタータに給電するエンジン始動支援装置が考えられる。
しかしながら、リチウム電池が鉛蓄電池に十分な充電量を与えるまでには長時間を要することがあり、このため運転者が長時間待たされるという問題がある。
本発明は、バッテリが充電された直後には、充電分極によって、一時的にバッテリの開放電圧値が高くなるという現象に着目してなされたものであり、その主たる目的は、スタータによるエンジンの始動に失敗した場合に、第1時間充電された第1バッテリの充電分極による上昇電圧を利用してスタータに給電し、第2時間以内にイグニッションキーをオンにするよう通知する構成とすることにより、短時間でスタータがエンジンを再始動させることができる再始動支援装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、スタータによるエンジンの始動に失敗した場合に、第1時間充電された第1バッテリの充電分極による上昇電圧を利用してスタータに給電し、第2時間以内にスタータを作動させる構成とすることにより、短時間でスタータがエンジンを再始動させることができる再始動支援装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、第2バッテリの電圧値が低い場合は第1バッテリに充電しない構成とすることにより、第2バッテリの充電量が不足している場合の無駄な再始動支援動作を禁ずることができる再始動支援装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、放電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値と充電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値との比較結果に基づいて第1バッテリに充電するかしないかを判定する構成とすることにより、第2バッテリの充電量が不足している場合の無駄な再始動支援動作を禁ずることができる再始動支援装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、所定の負荷に対して放電中の第2バッテリの最低電圧値と所定の負荷に対する放電直前の第2バッテリの電圧値との比の大小に基づいて第1バッテリに充電するかしないかを判定する構成とすることにより、第2バッテリの充電量が不足している場合の無駄な再始動支援動作を禁ずることができる再始動支援装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、エンジンの再始動にも失敗した場合に異常を報知する構成とすることにより、運転者の利便性を向上させることができる再始動支援装置を提供することにある。
第1発明に係る再始動支援装置は、エンジンに連動する車載発電機によって充電され、前記エンジンを始動させるスタータを作動させることが可能な電流値を出力する第1バッテリと、前記車載発電機が発電した電圧を昇圧する昇圧手段と、該昇圧手段が昇圧した電圧によって充電され、前記電流値未満の電流値を出力する第2バッテリとを備え、前記エンジンの始動に失敗した場合に、前記エンジンの再始動を支援する再始動支援装置であって、前記エンジンの始動に成功したか失敗したかを判定する成否判定手段と、該成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1バッテリを充電すべく、前記第2バッテリが出力した電圧を降圧して前記第1バッテリに第1時間与える降圧手段と、前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、前記スタータを作動させるイグニッションキーを第2時間以内にオンにするよう通知する通知手段とを備え、前記第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、前記スタータによる前記エンジンの再始動を支援するよう構成してあることを特徴とする。
第2発明に係る再始動支援装置は、エンジンに連動する車載発電機によって充電され、前記エンジンを始動させるスタータを作動させることが可能な電流値を出力する第1バッテリと、前記車載発電機が発電した電圧を昇圧する昇圧手段と、該昇圧手段が昇圧した電圧によって充電され、前記電流値未満の電流値を出力する第2バッテリとを備え、前記エンジンの始動に失敗した場合に、前記エンジンの再始動を支援する再始動支援装置であって、前記エンジンの始動に成功したか失敗したかを判定する成否判定手段と、該成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1バッテリを充電すべく、前記第2バッテリが出力した電圧を降圧して前記第1バッテリに第1時間与える降圧手段と、前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、前記スタータを第2時間以内に作動させる作動手段とを備え、前記第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、前記スタータによる前記エンジンの再始動を支援するよう構成してあることを特徴とする。
第3発明に係る再始動支援装置は、前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第2バッテリの電圧値を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段が検出した電圧値の高低に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する充電判定手段とを備え、該充電判定手段が、充電しないと判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする。
第4発明に係る再始動支援装置は、前記第2バッテリが放電している場合の該第2バッテリの電圧値を検出する第1電圧検出手段と、該第1電圧検出手段が検出しているときに前記第2バッテリの電流値を検出する第1電流検出手段と、前記第2バッテリの放電終了から第3時間後の前記第2バッテリの電圧値を検出する第2電圧検出手段と、前記第1電圧検出手段及び前記第2電圧検出手段夫々の検出結果の差を前記第1電流検出手段の検出結果で除することによって、放電に係る前記第2バッテリの見掛け上の抵抗値を算出する第1抵抗値算出手段と、前記第2バッテリが充電されている場合の該第2バッテリの電圧値を検出する第3電圧検出手段と、該第3電圧検出手段が検出しているときに前記第2バッテリの電流値を検出する第2電流検出手段と、前記第2バッテリの充電終了から第4時間後の前記第2バッテリの電圧値を検出する第4電圧検出手段と、前記第3電圧検出手段及び第4電圧検出手段夫々の検出結果の差を前記第2電流検出手段の検出結果で除することによって、充電に係る前記第2バッテリの見掛け上の抵抗値を算出する第2抵抗値算出手段と、前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1抵抗値算出手段及び第2抵抗値算出手段夫々の算出結果の大小関係に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する充電可否判定手段とを備え、該充電可否判定手段が否と判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする。
第5発明に係る再始動支援装置は、所定の負荷駆動時の前記第2バッテリの最低電圧値を検出する第1検出手段と、前記所定の負荷駆動直前の前記第2バッテリの電圧値を検出する第2検出手段と、前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1検出手段及び第2検出手段夫々の検出結果の比の大小に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する判定手段とを備え、該判定手段が、充電しないと判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする。
第6発明に係る再始動支援装置は、前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、再び前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、異常を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
第1発明にあっては、成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合、第1バッテリの充電量が不足しているため、降圧手段が、第2バッテリが出力した電圧を第1時間降圧して第1バッテリに与えることによって第1バッテリが充電される。そして、第1バッテリを第1時間充電した後、通知手段が、スタータを作動させるイグニッションキーを第2時間以内にオンにするよう、表示部におけるメッセージ表示、LEDの点滅、音声出力等で運転者に通知する。
ここで、第1時間は、第2バッテリからの充電開始後、第1バッテリに充電分極が生じて、第1バッテリの開放電圧値が、スタータの始動が可能な程度に上昇するまでに必要な時間以上の時間である。また、第2時間は、充電分極が時間の経過と共に解消して、第1バッテリの開放電圧値が、スタータの始動が不可能な程度に下降するまでの時間以内の時間である。即ち、第1時間も第2時間も1分〜10分程度の短時間である。
イグニッションキーがオンになった場合に、第1バッテリが出力する大電流を供給されてスタータが作動するため、運転者が手動で作動させたスタータが、エンジンを再始動させる。
つまり、本発明の再始動支援装置は、エンジンの始動に失敗した場合に、第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、スタータによるエンジンの再始動を支援する。
第2発明にあっては、成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合、第1バッテリの充電量が不足しているため、降圧手段が、第2バッテリが出力した電圧を第1時間降圧して第1バッテリに与えることによって第1バッテリが充電される。そして、第1バッテリを第1時間充電した後、作動手段が、第2時間以内にスタータを作動させる。このとき、第1バッテリが出力する大電流を供給されてスタータが作動するため、運転者の介在なしに自動的に作動したスタータが、エンジンを再始動させる。
つまり、本発明の再始動支援装置は、エンジンの始動に失敗した場合に、第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、スタータによるエンジンの再始動を支援する。
ここで、第1時間は、第2バッテリからの充電開始後、第1バッテリに充電分極が生じて、第1バッテリの開放電圧値が、スタータの始動が可能な程度に上昇するまでに必要な時間以上の時間である。また、第2時間は、充電分極が時間の経過と共に解消して、第1バッテリの開放電圧値が、スタータの始動が不可能な程度に下降するまでの時間以内の時間である。即ち、第1時間も第2時間も1分〜10分程度の短時間である。
第3発明にあっては、成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合、電圧検出手段が、第2バッテリの電圧値を検出する。
第2バッテリの電圧値が所定電圧値以上である場合、第2バッテリの充電量が大きいため、充電判定手段は第1バッテリを充電すると判定するが、第2バッテリの電圧値が所定電圧値未満である場合は、第2バッテリの充電量が小さいため、充電判定手段は第1バッテリを充電しないと判定する。
第1バッテリを充電しないと判定した場合は、降圧手段による降圧が禁止されるため、第2バッテリから第1バッテリへ電力が供給されない。
仮に、第2バッテリの電圧値が低いにも関わらず、即ち第2バッテリの充電量が小さいにも関わらず、降圧手段による降圧を行なっても、このような第2バッテリの出力電圧では、充電分極が生じるほど第1バッテリを充電することが不可能であるため、再始動支援動作を行なっても無駄である。
第4発明にあっては、成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合、充電可否判定手段が、第1抵抗値算出手段の算出結果と第2抵抗値算出手段の算出結果との大小関係に応じて、第1バッテリを充電するか否かを判定する。
ここで、第1抵抗値算出手段は、第2バッテリが放電している場合の第2バッテリの電圧値V1 を検出する第1電圧検出手段の検出結果と、第2バッテリの放電終了から第3時間後の第2バッテリの電圧値V2 を検出する第2電圧検出手段の検出結果との差Va (=|V1 −V2 |)を、第1電圧検出手段が電圧値V2 検出しているときに第2バッテリの電流値l1 を検出する第1電流検出手段の検出結果で除することによって、放電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R1を算出する。即ち、放電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R1 を算出するためには、次の式(1)が用いられる。
1 =Va /|l1
=|V1 −V2 |/|l1 | …(1)
同様に、第2抵抗値算出手段は、第2バッテリが充電されている場合の第2バッテリの電圧値V3 を検出する第3電圧検出手段の検出結果と、第2バッテリの充電終了から第4時間後の第2バッテリの電圧値V4 を検出する第4電圧検出手段の検出結果との差Vb (=|V3 −V4 |)を、第3電圧検出手段が電圧値V3 を検出しているときに第2バッテリの電流値l2 を検出する第2電流検出手段の検出結果で除することによって、充電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R2 を算出する。即ち、充電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R2 を算出するためには、次の式(2)が用いられる。
2 =Vb /|l2
=|V3 −V4 |/|l2 | …(2)
リチウム電池を用いてなる第2バッテリの充電量が大きい場合、R1 ≦R2 が成立する。このため、第1抵抗値算出手段の算出結果(即ち放電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R1 )が、第2抵抗値算出手段の算出結果(即ち充電に係る第2バッテリの見掛け上の抵抗値R2 )以下である場合、第2バッテリの充電量が大きいため、充電可否判定手段は第1バッテリを充電すると判定する。
一方、第1抵抗値算出手段の算出結果が、第2抵抗値算出手段の算出結果より大きい場合は、第2バッテリの充電量が小さいため、充電可否判定手段は否(即ち第1バッテリを充電しない)と判定する。
第1バッテリを充電しないと判定した場合は、降圧手段による降圧が禁止されるため、第2バッテリから第1バッテリへ電力が供給されない。
仮に、R1 >R2 であるにも関わらず、即ち第2バッテリの充電量が小さいにも関わらず、降圧手段による降圧を行なっても、このような第2バッテリの出力電圧では、充電分極が生じるほど第1バッテリを充電することが不可能であるため、再始動支援動作を行なっても無駄である。
第5発明にあっては、成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合、判定手段が、第1検出手段の検出結果と第2検出手段の検出結果との比の大小に応じて、第1バッテリを充電するか否かを判定する。
ここで、第1検出手段は、所定の負荷駆動時の第2バッテリの最低電圧値(即ち第2バッテリが放電している場合の最低電圧値)V5を検出する。また、第2検出手段は、この所定の負荷駆動直前の第2バッテリの電圧値(即ち放電直前の第2バッテリの電圧値)V6 を検出する。
鉛蓄電池を用いてなる第2バッテリの充電量が大きい場合、理論上、V5 =ka ×V6 (ただしka は正数)が成立する。このため、例えば定数ka よりも適宜小さい正の定数kb を用い、V5 /V6 ≧kb である(即ち、第1検出手段の検出結果と第2検出手段の検出結果との比が大きい)場合、第2バッテリの充電量が大きいため、判定手段は第1バッテリを充電すると判定する。
一方、V5 /V6 <kb である(即ち、第1検出手段の検出結果と第2検出手段の検出結果との比が小さい)場合は、第2バッテリの充電量が小さいため、判定手段は第1バッテリを充電しないと判定する。
第1バッテリを充電しないと判定した場合は、降圧手段による降圧が禁止されるため、第2バッテリから第1バッテリへ電力が供給されない。
仮に、V5 /V6 <kb であるにも関わらず、即ち第2バッテリの充電量が小さいにも関わらず、降圧手段による降圧を行なっても、このような第2バッテリの出力電圧では、充電分極が生じるほど第1バッテリを充電することが不可能であるため、再始動支援動作を行なっても無駄である。
第6発明にあっては、第1バッテリを第1時間充電した後、再び成否判定手段が、スタータによるエンジンの始動に失敗したと判定した場合に、報知手段が、異常を運転者に報知する。この異常は、例えば第1バッテリの充電量が極端に小さい、第1バッテリが劣化して不具合を生じている、寿命によって第1バッテリの使用が不可能になっている等である。
第1発明の再始動支援装置による場合、第1バッテリの充電分極を利用し、充電直後の上昇電圧に基づく大電流を供給されたスタータが、エンジンを再始動させることができる。このため、スタータによるエンジンの始動失敗から短時間でエンジンを再始動させることができる。
また、第1バッテリに充電分極を発生させるだけでよいため、例えば第1バッテリを満充電にさせるほどの充電量を第2バッテリが有していなくても、問題はない。
更に、小電流を出力する第2バッテリが直接的にスタータに給電しないため、第2バッテリを大型化する必要がない。
しかも、運転者が手動でイグニッションキーをオンにすることでスタータを作動させるため、運転者が任意のタイミングでエンジンを再始動させることができる。
第2発明の再始動支援装置による場合、第1バッテリの充電分極を利用し、充電直後の上昇電圧に基づく大電流を供給されたスタータが、エンジンを再始動させることができる。このため、スタータによるエンジンの始動失敗から短時間でエンジンを再始動させることができる。
また、第1バッテリに充電分極を発生させるだけでよいため、例えば第1バッテリを満充電にさせるほどの充電量を第2バッテリが有していなくても、問題はない。
更に、小電流を出力する第2バッテリが直接的にスタータに給電しないため、第2バッテリを大型化する必要がない。
しかも、自動的にスタータを作動させるため、運転者が再始動作業をする必要がなく、運転者の利便性を向上させることができる。
第3発明の再始動支援装置、第4発明の再始動支援装置、又は第5発明の再始動支援装置による場合、充電量が不足している第2バッテリから第1バッテリに充電するような無駄な再始動支援動作を抑制することができ、運転者の利便性を向上させることができる。
仮に、このように無駄な再始動支援動作を行なう場合、再始動に失敗したことが明確になるまで運転者が待たされ、利便性が悪化する。
第6発明の再始動支援装置による場合、エンジンの再始動にも失敗した場合に運転者に異常を報知するため、運転者の利便性を向上させることができる。
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る再始動支援装置1の構成を示すブロック図である。
再始動支援装置1は、エンジンEを備える車両に搭載されており、給電線を介して互いに並列に接続されている鉛蓄電池(第1バッテリ)11及びリチウム電池(第2バッテリ)12と、鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の高圧側端子間に接続されているDC/DCコンバータ(昇圧手段)13とを備える。
更に再始動支援装置1は、鉛蓄電池11の電圧値及び電流値を計測すべく夫々鉛蓄電池11に接続されている電圧センサ51及び電流センサ61と、リチウム電池12の電圧値及び電流値を計測すべく夫々リチウム電池12に接続されている電圧センサ52及び電流センサ62とを備える。
更にまた、再始動支援装置1は、信号線を介して電圧センサ51,52及び電流センサ61,62、並びにDC/DCコンバータ13及び表示部14夫々に接続されている制御部10を備える。
図中3はオルタネータ(ALT)であり、オルタネータ3は交流の車載発電機であって、エンジンEの作動に連動して発電し、エンジンEの停止に連動して発電を停止する。
再始動支援装置1の制御部10はマイクロコンピュータを用いてなり、主に鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の充放電に関する制御を行なう。
制御部10には、エンジンEの回転数を示す回転数信号が、エンジンEから与えられる。この回転数信号は、エンジンEの始動が成功したか失敗したかを示す情報であり、制御部10は、この回転数信号に基づき、エンジンEの始動の成功/失敗を判定する。
なお、エンジンEの始動が成功したか失敗したかを示す情報は、エンジンEの回転数に限定されず、スタータ40の回転数、エンジンEの燃料消費量、オルタネータ3の電圧値、鉛蓄電池11のクランキング電圧値等でもよい。
更に制御部10には、イグニッションキーIGがオンであることを示すオン信号が与えられ、制御部10は、このオン信号が与えられているか否かに基づき、イグニッションキーIGのオン/オフを判定する。
イグニッションキーIGは、運転者によって手動でオンにされた場合に、スタータ40へ給電されるようにして、スタータ40を作動させる。一方、スタータ40は電動モータを用いてなる低電圧系の電気負荷であり、所定の大電流(約200アンペア〜約300アンペア)及び低電圧(約12〜13V)が与えられた場合に作動して、エンジンEを始動させる。つまり、運転者はイグニッションキーIGをオンにすることによって、エンジンEを作動させる。
表示部14は液晶表示パネルを用いてなり、制御部10に制御されて、各種のメッセージを表示する。
鉛蓄電池11は、約12〜13Vの低電圧で最大約200アンペア〜約300アンペアの大電流を出力することが可能なバッテリである。
鉛蓄電池11の高圧側端子は、給電線を介してDC/DCコンバータ13の低圧側端子に接続され、更に、オルタネータ3、スタータ40、及び負荷41,41,…に接続されている。そして、鉛蓄電池11の低圧側端子は接地端子に接続されている。
ここで、負荷41,41,…は、車載ランプ、ラジオ装置等の低電圧系の電気負荷群である。また、制御部10も低電圧系の電気負荷群に含まれる。
リチウム電池12は、30個のバッテリセルを10直列3並列に接続してなり、約42Vの高電圧で最大約45アンペアの小電流を出力することが可能なバッテリである。
リチウム電池12の高圧側端子は、給電線を介してDC/DCコンバータ13の高圧側端子に接続され、更に、モータドライバ44を通じて、電気負荷である電動モータ43に接続されている。そして、リチウム電池12の低圧側端子は接地端子に接続されている。なお、リチウム電池12の高圧側端子は、電動モータ43を含む複数の電気負荷に接続されていてもよい。
昇圧手段としてのDC/DCコンバータ13は、オルタネータ3の出力電圧を含む鉛蓄電池11側の低電圧(具体的には約12〜13V)を高電圧(具体的には約42V)に昇圧してリチウム電池12側に与える(図1中、白抜矢符方向)。また、DC/DCコンバータ13は、リチウム電池12側の約42Vの高電圧を約12〜13Vの低電圧に降圧して鉛蓄電池11側に与える(図1中、二点鎖線で示した矢符方向)。
DC/DCコンバータ13の昇圧動作と降圧動作とは排他的に実行され、昇圧動作と降圧動作との切り替えは、制御部10が制御する。
なお、制御部10は、DC/DCコンバータ13の出力電圧及び出力電流夫々の制御も行なう。
鉛蓄電池11には、オルタネータ3が発電し整流した約12〜13Vの電圧が与えられる。また、鉛蓄電池11には、DC/DCコンバータ13によって約12〜13Vに降圧された電圧が与えられることもある。
鉛蓄電池11は、約12〜13Vの電圧によって充電され、スタータ40、負荷41,41,…等の低電圧系の電気負荷群に給電する。ただし、低電圧系の電気負荷群には、オルタネータ3が発電し整流した約12〜13Vの電圧、又は、DC/DCコンバータ13によって約12〜13Vに降圧された電圧が与えられることもある。
リチウム電池12には、オルタネータ3が発電し、DC/DCコンバータ13によって約42Vに昇圧された電圧が与えられる。また、鉛蓄電池11が出力した低電圧が、DC/DCコンバータ13によって約42Vに昇圧されて、リチウム電池12に与えられることもある。
リチウム電池12は、約42Vの電圧によって充電され、電動モータ43に、モータドライバ44を通じて給電する。ただし、電動モータ43には、DC/DCコンバータ13によって約42Vに昇圧された電圧が、モータドライバ44を介して与えられることもある。
モータドライバ44は、例えばリチウム電池12から給電された直流を交流に変換して電動モータ43に与える。
電圧センサ51(及び電圧センサ52)は、鉛蓄電池11(及びリチウム電池12)の電圧値を検出して制御部10に与え、電流センサ61(及び電流センサ62)は、鉛蓄電池11(及びリチウム電池12)に対して流入出する電流値を検出して制御部10に与える。
例えば制御部10は、流出(放電)方向の電流値を正の値、流入(充電)方向の電流値を負の値として、電流センサ61,62夫々の検出結果に基づき、鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の充放電電流の積算値を算出し、算出結果に基づいて、鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の充電量を推定する。
エンジンE始動前は、鉛蓄電池11からスタータ40へ低電圧大電流の電力が与えられる。このため、例えば長時間の放置によって鉛蓄電池11の充電量が小さくなっている場合、周囲の温度が低くて鉛蓄電池11の開放電圧値が低くなっている場合等には、鉛蓄電池11からスタータ40へ十分な電力が供給されず、スタータ40がエンジンEを始動させることができない。
また、リチウム電池12は高電圧小電流の電力を出力するため、リチウム電池12がスタータ40に対して直接的に給電することはできない。
更に、仮にリチウム電池12がDC/DCコンバータ13を通じて鉛蓄電池11を充電しても、鉛蓄電池11が十分な充電量を得るまでには長時間を要することがあり、また、リチウム電池12に、鉛蓄電池11が十分な充電量を得ることができる程度の充電量がないこともある。
ところが、鉛蓄電池11が充電された直後には、充電分極が生じる。即ち、鉛蓄電池11内部の電極表面の硫酸濃度が一時的に高くなる。このことによって、実質的な充電量は小さくとも一時的に鉛蓄電池11の開放電圧値が高くなり、スタータ40が作動可能な低電圧大電流の電力を出力することが可能となる。
図2は、一般的な鉛蓄電池の充電後の開放電圧値の時間変化を示す特性図であり、図3は、一般的な鉛蓄電池の充電後の内部抵抗値の時間変化を示す特性図である。
図2及び図3の横軸は、鉛蓄電池の充電後の経過時間[分]を示し、縦軸は、鉛蓄電池の開放電圧値[V]及び内部抵抗値[mΩ]を示している。
図中「×」、「黒四角」、「◆」、及び「黒三角」のプロットは、互いに種類が異なる鉛蓄電池を示している。
図2に示すように、充電後5分以内の鉛蓄電池の開放電圧値は、5分を超過した鉛蓄電池の開放電圧値よりも十分に高く、図3に示すように、充電後5分以内の鉛蓄電池の内部抵抗値は、5分を超過した鉛蓄電池の内部抵抗値よりも低い。
つまり、充電後5分以内であれば、鉛蓄電池11からの給電によってスタータ40が作動可能となり、5分を超過すれば、鉛蓄電池11からの給電によるスタータ40の作動ができなくなる可能性が高い。
このため、本実施の形態において、エンジンEの作動失敗に係る鉛蓄電池11の充電後、スタータ40の作動によるエンジンEの再始動が可能である再始動可能時間(第2時間)は5分間とする。
なお、鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の充電量、周囲の温度等によって再始動可能時間は異なるため、再始動可能時間は5分に限定されるものではなく、例えば1分、10分等でもよい。
このように充電直後の開放電圧値を上昇させ、内部抵抗値を低下させるためにリチウム電池12から鉛蓄電池11へ充電し続けるべき充電時間(第1時間)は、鉛蓄電池11及びリチウム電池12夫々の充電量、周囲の温度等にもよるが、一般に約1分〜約10分である。このため、本実施の形態において、充電時間は5分間とする。
図4及び図5は、制御部10が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。この再始動処理は、図示しないアクセサリスイッチがオンになった場合に実行される。
制御部10は、イグニッションキーIGがオンになったか否かを判定し(S11)、オフのままである場合は(S11でNO)、オンになるまでS11の処理を繰り返す。一方、イグニッションキーIGがオンになった場合は(S11でYES)、エンジンEの始動に成功したか否かを判定する(S12)。エンジンEの始動に成功した場合(S12でYES)、制御部10は、再始動処理を終了する。
アクセサリスイッチをオンにした運転者が、更にイグニッションキーIGをオンにした場合、鉛蓄電池11からスタータ40へ給電されて、スタータ40が作動して、エンジンEを始動させる。この場合、エンジンEから制御部10へ、エンジンEの最低始動回転数以上の回転数を示す回転数信号が与えられるため、制御部10は、エンジンEの始動に成功したと判定する。なお、エンジンEの最低始動回転数は、車種によって異なる。
しかしながら、鉛蓄電池11に十分な充電量がない場合、鉛蓄電池11からスタータ40へ給電されず、スタータ40が作動せず、エンジンEが始動しない。この場合、エンジンEから制御部10へ最低始動回転数未満の回転数を示す回転数信号が与えられるため、制御部10は、エンジンEの始動に失敗したと判定する。
エンジンEの始動に失敗した場合(S12でNO)、制御部10は、電圧センサ52の検出結果に基づいて、リチウム電池12の電圧値が所定電圧値以上であるか否かを判定する(S13)。リチウム電池12の電圧値が所定電圧値未満である場合(S13でNO)、リチウム電池12にも十分な充電量がないため、制御部10は表示部14に、エンジンEが再始動不可能であることを示すメッセージを表示させ(S14)、再始動処理を終了する。
リチウム電池12の電圧値が所定電圧値以上である場合(S13でYES)、リチウム電池12に十分な充電量があるため、制御部10は、DC/DCコンバータ13を降圧側に切り替える(S15)。S15の処理の結果、リチウム電池12が放電した高電圧の電力が、DC/DCコンバータ13によって降圧されて、鉛蓄電池11に与えられ、鉛蓄電池11が充電される。
S15の処理完了後、制御部10はDC/DCコンバータ13を降圧側に切り替えてからの経過時間、即ちリチウム電池12による鉛蓄電池11充電開始からの経過時間の計時を開始し(S16)、更に、表示部14に、鉛蓄電池11を充電中であることを示すメッセージを表示させる(S17)。
S17の処理完了後、制御部10は所定の充電時間(具体的には5分間)が経過したか否かを判定し(S18)、経過していない場合は(S18でNO)、経過するまでS18の処理を繰り返し、経過した場合は(S18でYES)、DC/DCコンバータ13を昇圧側に切り替え(S19)、S16で開始した計時を終了する(S20)。S19の処理の結果、鉛蓄電池11の実質的な充電量の多寡に関わらず、鉛蓄電池11の充電が終了する。
S20の処理完了後、制御部10は、鉛蓄電池11充電後の経過時間の計時を開始し(S31)、所定の再始動可能時間(具体的には5分間)以内にエンジンEを再始動させるために、運転者に対し、鉛蓄電池11の充電が完了したので、5分間以内にイグニッションキーIGをにオンにするよう通知するメッセージを表示部14に表示させる(S32)。
そして、制御部10は、イグニッションキーIGが再びオンになったか否かを判定し(S33)、オフのままである場合は(S33でNO)、所定の再始動可能時間が経過したか否かを判定し(S34)、経過していない場合は(S34でNO)、S33及びS34の処理を繰り返す。
所定の再始動可能時間が経過しない内にイグニッションキーIGが再びオンになった場合(S33でYES)、制御部10は、S31で開始した計時を終了し(S35)、エンジンEの始動に成功したか否かを判定する(S36)。エンジンEの始動に成功した場合(S36でYES)、制御部10は、S17及びS32における表示部14のメッセージ表示を終了して、再始動処理を終了する。
エンジンEの始動に再び失敗した場合(S36でNO)、制御部10は、電圧センサ51及び電流センサ61夫々の検出結果に基づいて、鉛蓄電池11の内部抵抗値を算出し(S37)、S37の算出結果が所定値(例えば15mΩ)以上であるか否かを判定する(S38)。
S37の算出結果が所定値以上である場合(S38でYES)、鉛蓄電池11は劣化しているため、制御部10は表示部14に、鉛蓄電池11が劣化しており、エンジンEが再始動不可能であることを示すメッセージを表示させ(S39)、再始動処理を終了する。
S37の算出結果が所定値未満である場合(S38でNO)、充電分極による上昇電圧でもスタータ40を作動させることができないほど鉛蓄電池11の充電量が不足しているため、制御部10は表示部14に、鉛蓄電池11の充電量が不足しており、エンジンEが再始動不可能であることを示すメッセージを表示させ(S40)、再始動処理を終了する。
イグニッションキーIGが再びオンにならない内に所定の再始動可能時間が経過した場合(S34でYES)、制御部10は、S31で開始した計時を終了し(S41)、更に、表示部14を制御して、タイムオーバーでエンジンEの再始動ができなかったことを示すメッセージを表示させて(S42)、再始動処理を終了する。
以上のような再始動処理のS12及びS36夫々における制御部10は、成否判定手段として機能し、S16〜S20における制御部10は、DC/DCコンバータ13を制御して、降圧手段として機能し、S32における制御部10は、表示部14を制御して、通知手段として機能する。
また、S13における制御部10は、充電判定手段として機能し、S13でNOの場合にS15以降の処理を実行しないことによって、降圧手段による降圧を禁止している。
更に、S39及びS40夫々における制御部10は、表示部14を制御して報知手段として機能する。
以上のような再始動支援装置1は、スタータ40によるエンジンEの始動に失敗した場合に、リチウム電池12からDC/DCコンバータ13を介して鉛蓄電池11を充電し、充電分極による上昇電圧を利用してスタータ40を作動させることによって、スタータ40によるエンジンEの再始動を支援する。このとき、スタータ40は運転者が手動でイグニッションキーIGをオンにして作動させる。
つまり、エンジンEの始動に失敗しても、運転者は、5分間〜10分間という短時間だけ待機して、エンジンEを再始動させればよい。
また、リチウム電池12を、スタータ40に直接的に給電することが可能な高価で大型のバッテリに取り替える必要がないため、再始動支援装置1は安価である。
実施の形態 2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る再始動支援装置1の構成を示すブロック図である。
本実施の形態における再始動支援装置1は、実施の形態1の再始動支援装置1と略同様であるが、制御部10がスタータ40を作動させることが可能であるよう構成されている。このため、運転手が手動でイグニッションキーIGをオンにするのみならず、制御部10がイグニッションキーIGをオンにすることが可能であるようにしてある。
以下では、実施の形態1との差異について主に説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図7は、制御部10が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。
図4のS20の処理完了後、制御部10は表示部14に、エンジンEが再始動するまで待つよう運転者に指示するメッセージを表示させる(S51)。
S51の処理完了後、制御部10は、所定の再始動可能時間(具体的には5分間)以内にエンジンEを再始動させるために、イグニッションキーIGをオンにしてスタータ40を作動させ(S52)、エンジンEの始動に成功したか否かを判定する(S53)。エンジンEの始動に成功した場合(S53でYES)、制御部10は、S17及びS51における表示部14のメッセージ表示を終了して、再始動処理を終了する。
エンジンEの始動に再び失敗した場合(S53でNO)、制御部10は、実施の形態1のS37〜S40の処理と同様のS54〜S57の処理を実行する。
このような再始動処理のS52における制御部10は、作動手段として機能する。また、S12及びS53夫々における制御部10は、成否判定手段として機能する。
以上のような再始動支援装置1は、スタータ40によるエンジンEの始動に失敗した場合に、リチウム電池12からDC/DCコンバータ13を介して鉛蓄電池11を充電し、充電分極による上昇電圧を利用してスタータ40を作動させることによって、スタータ40によるエンジンEの再始動を支援する。このとき、スタータ40は制御部10が自動的に作動させる。
つまり、エンジンEの始動に失敗しても、運転者は、5分間〜10分間という短時間だけ待機すれば、エンジンEが自動的に再始動する。
また、リチウム電池12を、スタータ40に直接的に給電することが可能な高価で大型のバッテリに取り替える必要がないため、再始動支援装置1は安価である。
なお、実施の形態1〜2に関し、各種の通知及び報知は、メッセージ表示に限定されず、LEDの点滅、音声出力等によって行なってもよい。
また、DC/DCコンバータ13ではなく、変圧器で昇圧又は降圧する構成でもよい。
実施の形態 3.
本実施の形態における再始動支援装置は、実施の形態1,2の再始動支援装置1と略同様である。このため、以下では、実施の形態1,2との差異について主に説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
実施の形態1,2においては、リチウム電池12の電圧値が所定電圧値以上であるか否かを判定することによって、リチウム電池12を用いて鉛蓄電池11を充電するか否かが判定される。一方、本実施の形態においては、放電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値が充電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値以下であるか否かを判定することによって、リチウム電池12を用いて鉛蓄電池11を充電するか否かが判定される。
このために、制御部10は、随時、モータ43が駆動されてリチウム電池12が放電している場合(即ち電流センサ62の検出結果が正の値である場合)のリチウム電池12の電圧値V1 を、電圧センサ52を用いて検出する(第1電圧検出手段)。このとき同時的に電流センサ62を用いて、リチウム電池12の電流値l1(l1 >0)を検出する(第1電流検出手段)。
また、制御部10は、随時、リチウム電池12の放電終了から第3時間後(例えば30秒後)のリチウム電池12の電圧値を検出する(第2電圧検出手段)。このために、制御部10は、電流センサ62の検出結果が正の値から略“0”になった時点から計時を開始して、電流センサ62の検出結果が、第3時間(即ち30秒間)以上、略“0”であり続けたか否かを判定し、電流センサ62の検出結果が略“0”のまま第3時間が経過したと判定した場合に、リチウム電池12の電圧値V2 を、電圧センサ52を用いて検出する。
ここで、電圧値V1 ,V2 の間には、放電分極によって、V1 <V2 の関係が成り立つ。
更に、制御部10は、放電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R1 を、次の式(3)を用いて算出して随時更新しておく(第1抵抗値算出手段)。
1 =(V2 −V1 )/l1 …(3)
更にまた、制御部10は、随時、DC/DCコンバータ13を介してオルタネータ3から発電電力を供給されて、又は、モータドライバ44を介してモータ43から回生電力を供給されて、リチウム電池12が充電されている場合(即ち電流センサ62の検出結果が負の値である場合)のリチウム電池12の電圧値V3 を、電圧センサ52を用いて検出する(第3電圧検出手段)。このとき同時的に電流センサ62を用いて、リチウム電池12の電流値l2(l2 <0)を検出する(第2電流検出手段)。
また、制御部10は、随時、リチウム電池12の充電終了から第4時間後(例えば3分後)のリチウム電池12の電圧値を検出する(第4電圧検出手段)。このために、制御部10は、電流センサ62の検出結果が負の値から略“0”になった時点から計時を開始して、電流センサ62の検出結果が、第4時間(即ち3分間)以上、略“0”であり続けたか否かを判定し、電流センサ62の検出結果が略“0”のまま第4時間が経過したと判定した場合に、リチウム電池12の電圧値V2 を、電圧センサ52を用いて検出する。
ここで、電圧値V3 ,V4 の間には、充電分極によって、V3 >V4 の関係が成り立つ。
更に、制御部10は、充電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R2 を、次の式(4)を用いて算出して更新しておく(第2抵抗値算出手段)。
2 =(V4 −V3 )/l2 …(4)
ここで、リチウム電池12の充電量が十分に大きい場合は、R1 ≦R2 の関係が成立する。
図8は、リチウム電池12の充電量と電圧値との関係を示す特性図であり、横軸はリチウム電池12の充電量を示し、縦軸はリチウム電池12の電圧値を示している。電流が流入出していない状態におけるリチウム電池12の電圧値(即ち開放電圧値)に比べて、電流が流出している状態におけるリチウム電池12の電圧値(即ち放電電圧値)は小さく、電流が流入している状態におけるリチウム電池12の電圧値(即ち充電電圧値)は大きい。また、リチウム電池12の充電量が過剰に低くなると、リチウム電池12の放電電圧値は急激に減少する(図中「低充電量」より左側の範囲参照)。このため、充電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R2 が、放電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R1 を下回る。
図9は、本発明の実施の形態3に係る再始動支援装置の制御部10が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。この再始動処理のS71〜S72の処理、及びS74〜S80の処理は、夫々図4に示すS11〜S12の処理、及びS14〜S20の処理と略同様である。
エンジンEの始動に失敗した場合(S72でNO)、制御部10は、放電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R1 が、充電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値R2 以下であるか否かを判定し(S73)、R1 >R2 である場合(S73でNO)、リチウム電池12にも十分な充電量がないため、制御部10はS74の処理を実行してから再始動処理を終了する。つまり、降圧手段による降圧が禁止される。
また、R1 ≦R2 である場合(S73でYES)、リチウム電池12に十分な充電量があるため、制御部10は、S75の処理を実行する。S75の処理の結果、リチウム電池12が放電した高電圧の電力が、DC/DCコンバータ13によって降圧されて、鉛蓄電池11に与えられ、鉛蓄電池11が充電される。
以上のような再始動支援装置も、スタータ40によるエンジンEの始動に失敗した場合に、リチウム電池12からDC/DCコンバータ13を介して鉛蓄電池11を充電し、充電分極による上昇電圧を利用してスタータ40を作動させることによって、スタータ40によるエンジンEの再始動を支援する。
実施の形態 4.
本実施の形態における再始動支援装置は、実施の形態3の再始動支援装置と略同様である。ただし、実施の形態3においては、リチウム電池12を用いて鉛蓄電池11を充電する構成を例示していたが、本実施の形態においては、鉛蓄電池11とは異なる鉛蓄電池(以下、第2鉛蓄電池という)を用いて鉛蓄電池11を充電する構成を例示する。この場合、本実施の形態における装置構成は、リチウム電池12の代わりに第2鉛蓄電池を備えることを除けば、実施の形態3における装置構成と略同様である。
以下では、実施の形態3との差異について主に説明し、その他、実施の形態3に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
実施の形態3においては、放電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値が充電に係るリチウム電池12の見掛け上の抵抗値以下であるか否かを判定することによって、リチウム電池12を用いて鉛蓄電池11を充電するか否かが判定される。一方、本実施の形態においては、所定の負荷に対して放電中の第2鉛蓄電池の最低電圧値と所定の負荷に対する放電直前の第2鉛蓄電池の電圧値との比が所定値以上であるか否かを判定することによって、第2鉛蓄電池を用いて鉛蓄電池11を充電するか否かが判定される。
このために、制御部10は、随時、モータ43が駆動されて第2鉛蓄電池が放電している場合の第2鉛蓄電池の最低電圧値V5 を、電圧センサ52を用いて検出する(第1検出手段)。具体的には、制御部10は、モータ43の始動時の数秒間の電圧センサ52の検出結果を図示しないメモリに記憶し、記憶した検出結果の内、最も小さい値を最低電圧値V5とする。
また、制御部10は、随時、モータ43が駆動される直前(即ち第2鉛蓄電池の放電直前)の第2鉛蓄電池の電圧値V6 を検出する(第2検出手段)。具体的には、制御部10は、電流センサ62の検出結果が略“0”である場合の電圧センサ52の検出結果を記憶して更新していき、電流センサ62の検出結果が正の値になる直前にメモリに記憶した検出結果を最低電圧値V6とする。
図10は、第2鉛蓄電池が放電している場合の第2鉛蓄電池の最低電圧値V5 と第2鉛蓄電池の放電直前の第2鉛蓄電池の電圧値V6 との関係を示す特性図であり、横軸は電圧値V6 を示し、縦軸は最低電圧値V5 を示している。
第2鉛蓄電池の充電量が十分に大きい場合、理論上、V5 =ka ×V6 (ただしkaは正数)が成立する。このため、V5 /V6 ≧ka である(即ち、第1検出手段の検出結果と第2検出手段の検出結果との比が定数ka以上である)場合、第2鉛蓄電池の充電量は十分に大きく、V5 /V6 <ka である(即ち、第1検出手段の検出結果と第2検出手段の検出結果との比が定数kaより小さい)場合、第2鉛蓄電池の充電量は小さい。
しかしながら、実際に検出される各電圧値V5 ,V6 に対応する定数ka =V6 /V5 にはバラツキが生じるため、本実施の形態における再始動支援装置は、予め、各電圧値V5,V6 を複数検出し、検出された各電圧値V5 ,V6 毎に定数ka =V6/V5 を算出し、算出したka の移動平均値を算出して、算出された移動平均値よりも十分に小さい定数kbを用いる。このため、図中「○」で示す各電圧値V5 ,V6 が検出された場合は第2鉛蓄電池の充電量は十分に大きいと判定され、図中「●」で示す各電圧値V5,V6 が検出された場合は第2鉛蓄電池の充電量は小さいと判定される。
図11は、本発明の実施の形態4に係る再始動支援装置の制御部10が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。この再始動処理のS91〜S92の処理、及びS94〜S100の処理は、夫々図4に示すS11〜S12の処理、及びS14〜S20の処理と略同様である。
エンジンEの始動に失敗した場合(S92でNO)、制御部10は、モータ43が駆動されて第2鉛蓄電池が放電している場合の第2鉛蓄電池の最低電圧値V5 とモータ43が駆動される直前の第2鉛蓄電池の電圧値V6 との比(ただし、この比は最新の最低電圧値V5 及び電圧値V6 を用いて算出した比)が定数kb 以上であるか否かを判定し、(S93)、V5 /V6 <kb である場合(S93でNO)、第2鉛蓄電池にも十分な充電量がないため、制御部10はS94の処理を実行してから再始動処理を終了する。つまり、降圧手段による降圧が禁止される。
また、V5 /V6 ≧kb である場合(S93でYES)、第2鉛蓄電池に十分な充電量があるため、制御部10は、S95の処理を実行する。S95の処理の結果、第2鉛蓄電池が放電した電力が、DC/DCコンバータ13によって降圧されて、鉛蓄電池11に与えられ、鉛蓄電池11が充電される。
以上のような再始動支援装置も、スタータ40によるエンジンEの始動に失敗した場合に、第2鉛蓄電池からDC/DCコンバータ13を介して鉛蓄電池11を充電し、充電分極による上昇電圧を利用してスタータ40を作動させることによって、スタータ40によるエンジンEの再始動を支援する。
本発明の実施の形態1に係る再始動支援装置の構成を示すブロック図である。 一般的な鉛蓄電池の充電後の開放電圧値の時間変化を示す特性図である。 一般的な鉛蓄電池の充電後の内部抵抗値の時間変化を示す特性図である。 本発明の実施の形態1に係る再始動支援装置の制御部が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る再始動支援装置の制御部が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る再始動支援装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る再始動支援装置の制御部が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。 リチウム電池の充電量と電圧値との関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態3に係る再始動支援装置の制御部が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。 第2鉛蓄電池が放電している場合の第2鉛蓄電池の最低電圧値と第2鉛蓄電池の放電直前の第2鉛蓄電池の電圧値との関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態4に係る再始動支援装置の制御部が実行する再始動処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 再始動支援装置
10 制御部(成否判定手段,作動手段,充電判定手段)
11 鉛蓄電池(第1バッテリ)
12 リチウム電池(第2バッテリ)
13 DC/DCコンバータ(昇圧手段,降圧手段)
14 表示部(通知手段,報知手段)
3 オルタネータ(車載発電機)
40 スタータ
52 電圧センサ(電圧検出手段)
E エンジン
IG イグニッションキー

Claims (6)

  1. エンジンに連動する車載発電機によって充電され、前記エンジンを始動させるスタータを作動させることが可能な電流値を出力する第1バッテリと、
    前記車載発電機が発電した電圧を昇圧する昇圧手段と、
    該昇圧手段が昇圧した電圧によって充電され、前記電流値未満の電流値を出力する第2バッテリと
    を備え、
    前記エンジンの始動に失敗した場合に、前記エンジンの再始動を支援する再始動支援装置であって、
    前記エンジンの始動に成功したか失敗したかを判定する成否判定手段と、
    該成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1バッテリを充電すべく、前記第2バッテリが出力した電圧を降圧して前記第1バッテリに第1時間与える降圧手段と、
    前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、前記スタータを作動させるイグニッションキーを第2時間以内にオンにするよう通知する通知手段と
    を備え、
    前記第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、前記スタータによる前記エンジンの再始動を支援するよう構成してあることを特徴とする再始動支援装置。
  2. エンジンに連動する車載発電機によって充電され、前記エンジンを始動させるスタータを作動させることが可能な電流値を出力する第1バッテリと、
    前記車載発電機が発電した電圧を昇圧する昇圧手段と、
    該昇圧手段が昇圧した電圧によって充電され、前記電流値未満の電流値を出力する第2バッテリと
    を備え、
    前記エンジンの始動に失敗した場合に、前記エンジンの再始動を支援する再始動支援装置であって、
    前記エンジンの始動に成功したか失敗したかを判定する成否判定手段と、
    該成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1バッテリを充電すべく、前記第2バッテリが出力した電圧を降圧して前記第1バッテリに第1時間与える降圧手段と、
    前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、前記スタータを第2時間以内に作動させる作動手段と
    を備え、
    前記第1バッテリの充電分極による上昇電圧を用いて、前記スタータによる前記エンジンの再始動を支援するよう構成してあることを特徴とする再始動支援装置。
  3. 前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第2バッテリの電圧値を検出する電圧検出手段と、
    該電圧検出手段が検出した電圧値の高低に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する充電判定手段と
    を備え、
    該充電判定手段が、充電しないと判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の再始動支援装置。
  4. 前記第2バッテリが放電している場合の該第2バッテリの電圧値を検出する第1電圧検出手段と、
    該第1電圧検出手段が検出しているときに前記第2バッテリの電流値を検出する第1電流検出手段と、
    前記第2バッテリの放電終了から第3時間後の前記第2バッテリの電圧値を検出する第2電圧検出手段と、
    前記第1電圧検出手段及び前記第2電圧検出手段夫々の検出結果の差を前記第1電流検出手段の検出結果で除することによって、放電に係る前記第2バッテリの見掛け上の抵抗値を算出する第1抵抗値算出手段と、
    前記第2バッテリが充電されている場合の該第2バッテリの電圧値を検出する第3電圧検出手段と、
    該第3電圧検出手段が検出しているときに前記第2バッテリの電流値を検出する第2電流検出手段と、
    前記第2バッテリの充電終了から第4時間後の前記第2バッテリの電圧値を検出する第4電圧検出手段と、
    前記第3電圧検出手段及び第4電圧検出手段夫々の検出結果の差を前記第2電流検出手段の検出結果で除することによって、充電に係る前記第2バッテリの見掛け上の抵抗値を算出する第2抵抗値算出手段と、
    前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1抵抗値算出手段及び第2抵抗値算出手段夫々の算出結果の大小関係に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する充電可否判定手段と
    を備え、
    該充電可否判定手段が否と判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の再始動支援装置。
  5. 所定の負荷駆動時の前記第2バッテリの最低電圧値を検出する第1検出手段と、
    前記所定の負荷駆動直前の前記第2バッテリの電圧値を検出する第2検出手段と、
    前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、前記第1検出手段及び第2検出手段夫々の検出結果の比の大小に応じて、前記第1バッテリを充電するか否かを判定する判定手段と
    を備え、
    該判定手段が、充電しないと判定した場合、前記降圧手段による降圧を禁止するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の再始動支援装置。
  6. 前記第1バッテリを前記第1時間充電した後、再び前記成否判定手段が、失敗したと判定した場合に、異常を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の再始動支援装置。
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