JP2008179757A - 通気性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】通気性フィルムの引裂強度及び透湿度をバランス良く向上させること
【解決手段】密度が0.900〜0.940g/cm、MFRが0.5〜5.0g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜8であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60〜90重量%と、密度が0.871〜0.910g/cm、MFRが0.5〜10g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が1以上3未満である線状低密度ポリエチレン(B)2〜25重量%と、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜15である分岐状低密度ポリエチレン(C)2〜20重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤(D)30〜200重量部と、脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)0.5〜10重量部とを含有するポリエチレン樹脂組成物からなる通気性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は通気性フィルムに係る。詳しくは本発明はポリエチレン系樹脂に無機充填剤を配合したポリエチレン樹脂組成物からなる高い引裂強度を有する通気性フィルムに係るものである。
ポリエチレン系通気性フィルムは、線状低密度ポリエチレンおよび無機充填剤を含む組成物をフィルム状に成形後、一般には一軸方向に延伸し、フィルムに連通したボイドを発生させることにより製造されている。そして、この通気性フィルムは衛生材料、医療用材料、建築用材料、電池セパレーター等の多種の用途に使用されている。
一軸延伸されたフィルムは延伸方向の引裂強度が低下する問題があった。引裂強度を改善する手段として、延伸倍率を小さくする方法が考えられるが、この場合、ボイドの発生が不十分となり、フィルムに十分な通気性を付与できないという問題が発生する。
引裂強度を改善させるのに、線状低密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンに更にエチレン・α−オレフィン共重合体を5〜30重量部添加する技術が提案されている(特許文献1)。かかる提案によれば、添加するエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.850〜0.900g/cm、メルトフローレイトが0.5〜15g/10分、DSCのピーク温度が100℃以下、200%伸張時の応力が10〜80kg/cmというもので、低密度かつ低融点で、柔軟性のある樹脂により引裂強度を高めんとするものである。
しかしながら、このようなエチレン・α−オレフィン共重合体を添加しても、引裂強度の改良効果は小さく、通気性が不十分になることがあり、バランス良く通気性と引裂強度が改善された通気性フィルムが得られているとは言いがたかった。
特開平9−25372号公報
本発明が解決しようとする課題は、通気性フィルムの上記不具合を解消させることにある。具体的には引裂強度及び透湿度をバランス良く向上させることにある。
本発明者らは、通気性フィルムの上記不具合を解消させるべく鋭意検討した結果、それぞれ所定の分子量分布で規定されるエチレン・α−オレフィン共重合体、線状低密度ポリエチレン及び分岐状低密度ポリエチレンを樹脂成分とする通気性フィルムとすることで、引裂強度、衝撃強度及び透湿度をバランス良く改善できることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、密度が0.900〜0.940g/cm、MFRが0.5〜5.0g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜8であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60〜90重量%と、密度が0.871〜0.910g/cm、MFRが0.5〜10g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が1以上3未満である線状低密度ポリエチレン(B)2〜25重量%と、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜15である分岐状低密度ポリエチレン(C)2〜20重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤(D)30〜200重量部と、脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)0.5〜10重量部とを含有するポリエチレン樹脂組成物からなる通気性フィルムに存する。
フィルムへの成形加工性が良好で、得られるフィルムは高い表面品質を有し、また引裂強度、衝撃強度及び透湿性が良好である。
本発明の通気性フィルムは、密度が0.900〜0.940g/cm、MFRが0.5〜5.0g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜8であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60〜90重量%と、密度が0.871〜0.910g/cm、MFRが0.5〜10g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が1以上3未満である線状低密度ポリエチレン(B)2〜25重量%と、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜15である分岐状低密度ポリエチレン(C)2〜20重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、無機充填剤(D)30〜200重量部と、脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)0.5〜10重量部とを含有するポリエチレン樹脂組成物からなる。ここで、ポリエチレン樹脂組成物には、本発明の効果を著しく滅失しない範囲で(A)〜(E)以外の成分が含まれていても構わない。
本発明のポリエチレン樹脂組成物の構成成分(組成)について説明する。
<エチレン・α−オレフィン共重合体(A)>
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とは、エチレンと一種以上のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンは炭素数が3〜20のものが好ましく、炭素数が3〜12のものがより好ましい。具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.900〜0.940g/cmであり、0.905〜0.936g/cmが好ましく、0.910〜0.932g/cmがより好ましく、0.915〜0.930g/cmが特に好ましい。密度がこの範囲にあると、無機充填剤の受容性に優れ、無機充填剤を多量に配合しても強度の低下が小さい。また、密度が0.900g/cm未満では、透湿性が悪化し、0.940g/cmを超えると、延伸むらが生じたり、柔軟性が損なわれたりする虞が生じる。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、以下の方法で測定したときの値をいう。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートはビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS−K7112に準拠して測定した。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRは、0.5〜5.0g/10分であり、1〜4g/10分が好ましく、1.5〜3g/10分がより好ましい。MFRが0.5g/10分未満では、成形加工性が劣り、5.0g/10分を超えると耐衝撃性、機械的強度等が低下する虞が生じる。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K7210に準拠して、190℃、21.18N荷重の条件で測定したときの値をいう。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、3〜8であり、3.5〜7が好ましく、4〜6がより好ましい。Qが3未満では、透湿性が劣り、8を超えるとフィルム外観悪化が生じる。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、以下の方法(以下、「分子量分布の測定方法」と言うこともある。)で測定したときの値をいう。
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
<線状低密度ポリエチレン(B)>
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)とは、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれる一種以上のα−オレフィンとの共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)の密度は、0.871〜0.910g/cmであり、0.875〜0.910g/cmが好ましく、0.880〜0.905g/cmがより好ましく、0.890〜0.900g/cmが特に好ましい。密度がこの範囲にあると、無機充填剤の受容性に優れ、無機充填剤を多量に配合しても強度の低下が小さい。また、密度が0.871g/cm未満では、透湿性が悪化し、0.910g/cmを超えると、引裂強度の改良効果が充分でなく、柔軟性が損なわれたりする虞が生じる。ここで、線状低密度ポリエチレン(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度の測定方法と同一方法で測定したときの値をいう。本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度より小さいことが好ましく、差が0.015g/cm以上あることがより好ましい。このように密度差を付けることで、引裂強度がより向上する。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)のMFRは、0.5〜10g/10分であり、1〜9g/10分が好ましく、2〜8g/10分がより好ましい。MFRが0.5g/10分未満では、成形加工性が劣り、10g/10分を超えるとフィルム成形時のネックインが大きく、耐衝撃性、機械的強度等が低下する虞が生じる。ここで、線状低密度ポリエチレン(B)のMFRは、JIS−K7210に準拠して、190℃、21.18N荷重の条件で測定したときの値をいう。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)のMFRは、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRより大きいことが好ましく、差が0.2g/10分以上あることがより好ましい。このようにMFR差を付けることで、引裂強度改良効果が向上する。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、1以上3未満であり、1.5〜2.7が好ましく、2〜2.4がより好ましい。Qが1未満では、押出負荷が大きく成形加工性が劣り、3以上では引裂強度効果が小さい。ここで、線状低密度ポリエチレン(B)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子量分布の測定方法と同一方法で測定したときの値をいう。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)とエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)との差が1.5以上あることが好ましく、差が1.7〜2.5であることがより好ましい。このように差を付けることで、引裂強度が向上する。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン(B)の製造方法には、前述の性状を満足する限り、制限はないが、重量平均分子量と数平均分子量との比が比較的小さいものが得られやすい、メタロセン触媒の作用により製造することが好ましい。
<分岐状低密度ポリエチレン(C)>
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、長鎖分岐を有するポリエチレンであり、例えばエチレンを高圧ラジカル重合法で重合することによって得られるポリエチレンである。高圧ラジカル重合法によって得られるポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンとも呼称される。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、3〜15であり、4〜12が好ましく、5〜9がより好ましい。Qが3未満では、フィルム成形時のネックインが劣り、15を超えるとフィルム外観悪化が生じる。ここで、分岐状低密度ポリエチレン(C)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の分子量分布の測定方法と同一方法で測定したときの値をいう。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、密度が好ましくは0.915〜0.930g/cm、より好ましくは0.918〜0.930g/cmである。この範囲であればドローダウン性、ドローレゾナンス、延伸性等の加工性を安定的に保持することができる。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、MFRが好ましくは0.5〜20g/10分、より好ましくは1.5〜15g/10分、さらに好ましくは1.7〜10g/10分である。この範囲であれば成形加工性が向上する。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、Z平均分子量(Mz)が400,000〜900,000であることが好ましい。Mzが400,000未満では、溶融張力が低く、成形加工性が悪化し、900,000を超えると、押出機のトルクが上昇する虞が生じる。なお、Z平均分子量(Mz)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用して測定される値である。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、溶融張力(MT)(単位g)とメルトフローレート(MFR)(単位g/10分)とが関係式(1)
MT>−8.74×logMFR+13.37・・・(1)
を満たすものが好ましい。より好ましくは関係式(2)
MT>−8.74×logMFR+14.74・・・(2)
を満たすものである。この範囲であれば、ドローダウン性、ドローレゾナンス、延伸性等の加工性を安定的に保持することができる。一般に、MFRが大きくなると、MTは小さくなる傾向があるが、重合温度の調整や多段重合等により、高分子量成分の量や長鎖分岐の量を増加させることでMTを高めることができ、上記の関係式を満たす分岐状低密度ポリエチレン(C)が得られるようになる。
ここで、MTの測定は、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で行なわれるものである。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、η/ηは4以上のものが好ましく、より好ましくは6以上である。後述する一軸伸張粘度の過渡応答曲線から求められるものである。上記を満足する分岐状低密度ポリエチレン(C)を用いると高速成形加工性が向上する利点がある。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、製造方法が限定されるものではなく、公知の製造方法が採用できる。例えば、チューブラープロセス、オートクレーブプロセス等が挙げられる。なかでも成形加工性の点で、オートクレーブプロセスが好ましい。
次に、樹脂成分の配合割合について説明する。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)/線状低密度ポリエチレン(B)/分岐状低密度ポリエチレン(C)の重量比(合計は100重量%である。)は、通常、(60〜90)/(2〜25)/(2〜20)、好ましくは(65〜88)/(5〜24)/(4〜18)、より好ましくは(70〜85)/(8〜23)/(6〜15)である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が多すぎると引裂強度が低下し、少ないと透湿性が悪化する。線状低密度ポリエチレン(B)が多すぎると透湿性が低下し、少ないと引裂き強度や衝撃強度が改善されない。分岐状低密度ポリエチレン(C)が多すぎると引裂強度が低下し、少ないと製膜時に延伸切れが発生したり、ネックインが大きくなる等成形加工性に劣る。
<無機充填剤(D)>
本発明に用いる無機充填剤(D)としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、タルク等が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムがフィルムの通気性、触感、外観の点で好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。無機充填剤の平均粒径は20μm以下のものが好ましく、更に好ましくは10μm以下であり、0.5〜5μmのものが最も好ましい。また、無機充填剤は、ポリエチレン樹脂との親和性を高め、分散性を向上させる等のために表面処理が施されたものが好ましい。表面処理剤としては、無機充填剤の表面を被覆することにより、その表面を疎水化できるものが好ましく、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸又はそれらの金属塩等を挙げることができる。
無機充填剤(D)は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と線状低密度ポリエチレン(B)と分岐状低密度ポリエチレン(C)からなる樹脂成分100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部、より好ましくは80〜150重量部である。無機充填剤(D)が多すぎるとフィルムの成形不良や機械的強度が低下し、延伸時に延伸切れ等が生じる傾向にある。少ないと通気性、透湿性が不十分となる。
<脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)>
本発明に用いる脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)は、炭素数9〜40の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸と、脂肪族一価又は多価アルコールとのエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物からなる。飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸としては、ヒドロキシ基又はその誘導基を含有していてもよく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アセチルリシノレイン酸、アセチルヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。脂肪族一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ピナコール、ソルビタン等が挙げられる。多価アルコールのエステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル等アルコール性ヒドロキシ基の一部又は全部が置換されていてもよい。
不飽和脂肪酸エステルの具体例としては、例えば(ポリ)エチレングリコールオレエート、(ポリ)プロピレングリコールオレエート、グリセリルオレエート、ソルビタンオレエート、(ポリ)エチレングリコールソルビタンオレエート、ブチルオレエート、ピナコールオレエート、ペンタエリストールオレエート、グリセリルリノレエート、グリセリルリシノレート、メチルリシノレート、エチルリシノレート、ブチルリシノレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、(ポリ)エチレングリコールリシノレート、グリセリルアセチルリシノレート、グリセリルエルシエート等を挙げることができる。中でも、フィルムの通気性及び触感の点でグリセリルヒドロキシ不飽和脂肪酸エステルが良く、特にグリセリルリシノレート(ヒマシ油)、脱水ヒマシ油が好ましい。
飽和脂肪酸エステルの具体例としては、例えばエチレングリコールヒドロキシステアレート、プロピレングリコールヒドロキシステアレート、ピナコールヒドロキシステアレート、(ポリ)エチレングリコールヒドロキシステアレート、(ポリ)プロピレングリコールヒドロキシステアレート、ペンタエリストールヒドロキシステアレート、ソルビタンヒドロキシステアレート、エチレングリコールソルビタンヒドロキシステアレート、グリセリルヒドロキシステアレート、グリセリルアセチルヒドロキシステアレート等のグリセリルヒドロキシ飽和脂肪酸エステルが挙げられる。成形時の発煙が殆どなく且つ得られた延伸フィルムが無臭性に優れる点で、グリセリルヒドロキシステアレート、特にグリセリル−12−ヒドロキシステアレート、硬化ヒマシ油が好ましい。
脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と線状低密度ポリエチレン(B)と分岐状低密度ポリエチレン(C)からなる樹脂成分100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1.5〜5重量部である。脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)が、多すぎるとフィルムの押出成形が不安定になり、結果として均一な厚みの通気フィルムが得られない。また、ブリードすることにより耐ブロッキング性が低下する。少なすぎると、均一な延伸が困難となったり、最悪延伸切れを起こしフィルムへの加工が不能になったりする。
通気性フィルム成形時の目やにを改善する等の目的で脂肪酸金属塩を添加することができる。脂肪酸金属塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ基含有若しくは不含有の飽和又は不飽和脂肪酸とリチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の1価又は2価金属との金属塩が挙げられる。好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムである。これら脂肪酸金属塩の好ましい添加量は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と線状低密度ポリエチレン(B)と分岐状低密度ポリエチレン(C)からなる樹脂成分100重量部に対して、0.1〜3.0重量部、より好ましくは0.5〜2.0重量部である。
更に、本発明の通気性フィルムには、上記添加剤の他に一般に樹脂組成物用として用いられている添加物、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、スリップ剤、核剤、発泡剤、難燃剤、架橋剤、着色剤等が配合されていてもよい。また、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で他の樹脂成分が配合されていてもよい。
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物はメルトフローレート(JIS K7210、190℃、21.18N)が1.0〜5.0g/10分、好ましくは1.0〜4.0g/10分、より好ましくは1.5〜3.0g/10分が好ましい。MFRが前記範囲内であると、ドローダウンが生じにくく、且つ押出性も良好となり成形速度を高められる利点がある。また、ドローレゾナンスも低減できるので、フィルムの幅方向の偏肉精度が良好となる。
<レオロジー特性>
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物は、一軸伸張粘度指数(η)が60,000Pa・秒以下、好ましくは58,000Pa・秒以下、より好ましくは57,000〜54,000Pa・秒であることが好ましい。60,000Pa・秒を超えると、ドローダウン性が向上し、ダイ出口でフィルム膜が破断し易い。
歪み硬化度(λ)は、変形時間5秒における一軸伸張粘度(η)を一軸伸張粘度指数(η)で除した商として定義される。λ=η/ηは1.6以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0〜2.5の範囲から選択される。λが1.6未満だとドローレゾナンスが発生し易く、高速成形加工性に劣る。λが2.5を超えるとドローダウンが生じやすくなるので好ましくない。以下、η、η、λについて更に詳細に説明する。
一軸伸張粘度指数(η)及び歪み硬化度(λ)とは、一軸伸張粘度計によって測定された一軸伸張粘度の過渡応答曲線から求められる値である。
歪み硬化度(λ)は、線形領域から外れて一軸伸張粘度が立ち上がった領域で一軸伸張粘度の上昇の程度を表す指標であり、次のように測定される。すなわち、まず一軸伸張粘度計を用いて、測定温度180℃で、歪み速度1秒−での一軸伸張粘度の過渡応答を測定する。ηは、変形時間が1〜2秒[t(秒)]である範囲における一軸伸張粘度[η(Pa・秒)]のデータから、log(η)対log(t)について、最小二乗法により直線で近似し、変形時間が5秒における一軸伸張粘度に外挿した値である。一方、ηは、変形時間が5秒における一軸伸張粘度の値として実測し、それらの比(η/η)を歪み硬化度(λ)とした。
一軸伸張粘度の測定器としては、例えば、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製の一軸伸張粘度計「商品名:RME」を使用することができる。η/ηは「伸張粘度比」と呼称されることもあるが、本明細書では「歪み硬化度(λ)」の用語を使用した。
ηは一軸伸張粘度の線形領域から外挿される指標であるから、主にポリエチレン樹脂のMFRを調整することにより制御しうる。さらにポリエチレン樹脂のMFRは線状低密度ポリエチレン及び分岐状低密度ポリエチレンのMFRと組成により制御しうる。
ηは非線形領域の指標である。分岐状低密度ポリエチレン(C)は線状低密度ポリエチレン(B)と比較して非線形性が強いのが一般的であるから、分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類や量によって制御しうる。なお、分子量、分子量分布、分岐度、分岐度分布等と非線形の開始点、非線形度の関係は例えば日本レオロジー学会誌、Vol.19、174〜180頁(1991年)(小山清人著)等に記載がある。上記の通り、ポリエチレン樹脂組成物として、レオロジー特性と組成が満足されるものであれば、線状低密度ポリエチレン(B)、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、分岐状低密度ポリエチレン(C)、無機充填剤(D)の性状は問うものではない。
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物は、上記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、線状低密度ポリエチレン(B)、分岐状低密度ポリエチレン(C)、無機充填剤(D)及び脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)、必要に応じて添加又は配合される各種の添加剤及び樹脂成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で加熱混練し、ペレット化してもよい。
次いで、そのペレットをポリエチレン樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上であり、かつ分解温度未満の温度において、Tダイ等が装着された押出成形機、円形ダイが装着されたインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて、溶融、製膜する。場合によっては、ペレット化せず直接成形機で製膜することもできる。
製膜の際のフィルムの冷却方法は公知の方法がいずれも採用できる。具体的には、エアナイフ方式、エアチャンバー方式等の空冷式やタッチロール方式による直接冷却式等が挙げられる。タッチロール方式とは、溶融樹脂をキャストロールと該キャストロールに対向して設置されたタッチロールで挟み、樹脂膜をキャストロールに密着させることにより冷却する方法をいう。前者はドローレゾナンスを生じ難く、キャストロール速度が40m/分以上の高速成形が可能な点で有効である。後者は表面品質に優れた通気性フィルムが得られる点で有効である。本発明ではタッチロール式でもキャストロール速度が40m/分以上(延伸倍率が2倍であれば巻取り速度が80m/分以上)でも表面品質を損なうことなく製膜できるので、タッチロール方式が好ましい。本発明で、キャストロール速度とは、キャストロールを通過する樹脂膜(フィルム)の通過速度をいう。
本発明の通気性フィルムは、製膜されたフィルムを、ロール法、テンター法等の公知の方法により、室温〜樹脂の軟化点(JIS−K6760に規定される方法により測定した値)、好ましくは60〜105℃において、少なくとも一軸方向に延伸を行ない、ポリエチレン樹脂と無機充填剤との界面剥離を起こさせることにより製造することができる。延伸は、一段で行ってもよいし、多段階に分けて行ってもよい。延伸倍率は、延伸時のフィルムの破れ、得られるフィルムの通気性、フィルムのソフト感等に関係するので、倍率が高すぎても低すぎても好ましくない。かかる観点から、本発明における延伸倍率は1.2〜5倍、好ましくは1.5〜3倍である。2軸延伸する場合は、最初に機械方向、又はそれと直角をなす方向に1軸延伸し、次いで、該方向と直角をなす方向に2軸目の延伸を行う方法、及び、機械方向、およびそれと直角をなす方向に同時に2軸延伸する方法がある。いずれの方法も適用できる。各方向とも1段で延伸しても、2段以上で延伸してもよい。
また、延伸した後、必要に応じて得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行ってもよい。熱固定処理としては、樹脂の軟化点〜融点未満の温度において、0.1〜100秒間熱処理する方法が挙げられる。
フィルムの坪量としては、延伸前の無孔フィルムにおいて、通常15〜200g/m、好ましくは30〜100g/mであり、延伸処理後の通気性フィルムにおいて、通常12〜40g/m、好ましくは20〜35g/mである。坪量はフィルムの厚みに相当する指標となるものであり、上記範囲の坪量であれば衛材用並びに建材用等の広範囲の用途に適合する。
また、本発明の通気性フィルムの透湿度は、好ましくは160〜1000g/m・24hr、より好ましくは180〜900g/m・24hr、さらに好ましく200〜700g/m・24hrの範囲である。また、本発明の通気性フィルムのMD方向の引裂強度は、好ましくは0.28N以上、より好ましくは0.30N以上である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、物性測定法は下記の通りである。
[物性測定法]
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS−K7210に準拠して、190℃、21.18N荷重の条件で測定した。
(2)密度:
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートはビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS−K7112に準拠して測定した。
[使用原料]
実施例で使用した原料は下記の通りである。
なお、密度の単位はg/cm、MFRの単位はg/10分である。
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体
EO−1: 密度0.910、MFR3.8、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
EO−2: 密度0.920、MFR2.0、重量平均分子量と数平均分子量との比4.2のエチレン・ヘキセン−1共重合体
EO−3: 密度0.930、MFR2.5、重量平均分子量と数平均分子量との比4.5のエチレン・ヘキセン−1共重合体
(B)線状低密度ポリエチレン
LL−2: 密度0.880、MFR2.2、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ブテン−1共重合体
LL−3: 密度0.898、MFR2.2、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ブテン−1共重合体
LL−4: 密度0.898、MFR7.5、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
LL−5: 密度0.918、MFR3.5、重量平均分子量と数平均分子量との比3.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
LL−6: 密度0.905、MFR2.2、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
LL−7: 密度0.870、MFR2.9、重量平均分子量と数平均分子量との比2.0のメタロセン系エチレン・ブテン−1共重合体
LL−8: 密度0.872、MFR2.2、重量平均分子量と数平均分子量との比2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
(C)分岐状低密度ポリエチレン
LD−1: 密度0.918、MFR8.4、重量平均分子量と数平均分子量との比7.2、Mz50万の高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン
(D)無機充填剤
炭酸カルシウム: 脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウム((株)カルファイン社製、商品名SST40)、平均粒径1.1μm
(E)脂肪族アルコール系脂肪酸エステル
ヒマシ油K: 水添硬化したヒマシ油(伊藤製油(株)社製、商品名ヒマシ硬化油A)
ヒマシ油H: ヒマシ油(伊藤製油(株)社製、商品名精製ヒマシ油マル特A)
<フィルムの成形>
幅300mm、リップ幅0.8mmのTダイを備えた50mmφTダイフィルム成形装置(三菱重工社製)により、成形温度を240℃、キャストロール速度7.5m/minで製膜後、70℃の延伸温度で縦延伸倍率2倍の一軸延伸フィルム(坪量25g/m)を製造した。
<ネックイン>
上記300mm幅Tダイ成形装置で成形された延伸前のフィルム幅を測定し、300(mm)−フィルム幅(mm)の値をネックインとした。ネックインの値は小さいほど好ましい。
<通気性フィルムの品質>
引裂強度: JIS K7128−2−1998に準拠して延伸方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)のエルメンドルフ引裂強度を測定した。
打抜衝撃強度: JIS P8134に準じた試験機のホルダー(直径50mmφ)にフィルムを固定し、25.4mmφの半球型貫通部で打撃して打抜衝撃強度を測定した。
引張弾性率: JIS K7127−1999に準拠して延伸方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)の弾性率を測定した。
透湿度: 40℃、相対湿度60%の雰囲気下で、純水法により測定した。
[実施例1]
EO−2 82重量%、LL−4 11重量%、LD−1 7重量%とからなるポリエチレン樹脂100重量部に対して、炭酸カルシウム(商品名SST−40、カルファイン社製)120重量部、硬化ひまし油3重量部、酸化防止剤として化学名:トリスジブチルヒドロキシベンジルイソシアヌル酸(商品名:アデカスタブAO20、旭電化社製)を0.22重量部、テトラキスジブチルフェニルビフェニルジイルビスホスフォナイト(商品名:サンドスタブPEPQ、クラリアント社製)を0.44重量部、中和剤として化学名:ステアリン酸カルシウム(商品名:BK、日東化成社製)を1.33重量部加え、ミキサーにて混合均質化した。次に、得られた混合物を二軸押出機にて溶融混練し押出し物を固化、造粒した。最終的に得られた粒状のポリエチレン樹脂組成物について、前記した方法でフィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。結果を表−1に示した。
[実施例2]〜[実施例9]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(EO)、線状低密度ポリエチレン(LL)及び分岐状低密度ポリエチレン(LD)の種類及び配合量を表−1に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。結果を表−1に示した。
[比較例1]〜[比較例8]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(EO)、線状低密度ポリエチレン(LL)及び分岐状低密度ポリエチレン(LD)の種類及び配合量を表−2に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。結果を表−2に示した。
Figure 2008179757
Figure 2008179757
ポリエチレン樹脂組成物が本発明の請求項1規定の諸要件を満足する実施例1〜8では、いずれも引裂強度、衝撃強度、透湿度がバランスよく改善されている。
一方、規定の諸要件の少なくとも一部を欠く比較例1〜7では、フィルムへの成形加工性が良好で、引裂強度、衝撃強度、透湿度がバランスよく改善することができない。例えば、線状低密度ポリエチレン(LL)を含まない比較例1では引裂強度と打抜衝撃強度が劣っている。線状低密度ポリエチレン(LL)の配合量が規定上限を超える比較例2では透湿性が劣る。エチレン・α-オレフィン共重合体(EO)のQ値が規定下限未満の比較例3では透湿性が劣る。線状低密度ポリエチレン(LL)のQ値が規定上限を超える比較例4では引裂強度が劣る。分岐状低密度ポリエチレン(LD)を配合しない比較例5では、フィルム成形時のネックインが劣っている。なお、ヒマシ油を添加しない比較例6では、ネックインは比較的良好であったが、延伸切れが多発したため、評価に必要なフィルムが十分に得られなかったため、フィルム物性評価を省略した。また、線状低密度ポリエチレン(LL)の密度が規定下限未満の比較例7では透湿性が劣る。

Claims (4)

  1. 密度が0.900〜0.940g/cm、MFRが0.5〜5.0g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜8であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60〜90重量%と、
    密度が0.871〜0.910g/cm、MFRが0.5〜10g/10分、重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が1以上3未満である線状低密度ポリエチレン(B)2〜25重量%と、
    重量平均分子量と数平均分子量との比(Q)が3〜15である分岐状低密度ポリエチレン(C)2〜20重量%と
    からなる樹脂成分100重量部に対して、
    無機充填剤(D)30〜200重量部と、
    脂肪族アルコール系脂肪酸エステル(E)0.5〜10重量部と
    を含有するポリエチレン樹脂組成物からなる通気性フィルム。
  2. の値とQの値との差が1.5以上である請求項1に記載の通気性フィルム。
  3. 線状低密度ポリエチレン(B)が、メタロセン触媒の作用により得られたものである請求項1又は2に記載の通気性フィルム。
  4. 無機充填剤(D)が、炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気性フィルム。
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