JP2012219206A - 無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物、及びこれからなるインフレーションフィルム - Google Patents

無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物、及びこれからなるインフレーションフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 溶融特性が改善され、インフレーション法によるフィルム成形が可能な無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 無機充填剤を多量に配合したポリオレフィン樹脂組成物に対して、分岐アルキル基を有する3価以上アルコール又はその縮合体の高級脂肪酸エステル化合物を所定量添加することによって、樹脂組成物の溶融特性が改善され、インフレーション法によるフィルム成形が可能な無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物及びこれからなるインフレーションフィルム、特に無機充填剤が多量に含有されたポリオレフィン樹脂組成物の溶融特性の改善に関する。
炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の無機充填剤を樹脂に配合することによって、剛性や耐熱性等、様々な性質を改良することが広く行なわれている。これらの無機充填剤は、通常、金属石鹸、脂肪酸エステルや脂肪酸アミド、炭化水素ワックス等の分散剤あるいは滑剤を併用することによって、樹脂中に均一に分散されている。無機充填剤は樹脂と比較して安価であるため、原料コストを低減できるというメリットがあり、また、近年では、化石資源由来樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)の使用量低減が望まれていることから、これらの樹脂に対して無機充填剤を多量に配合することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、無機充填剤を比較的多量に、例えば、60質量%以上を樹脂中に添加しようとすると、従来用いられてきた分散剤では無機充填剤を十分に分散することができないため、加工性や成形品の衝撃強度等が大きく低下してしまうという問題があった。これに対して、無機充填剤の分散性を改善する目的で、例えば、グリセリン脂肪酸エステルあるいはポリグリセリン脂肪酸エステル等を分散剤として使用することが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
他方、ポリマーフィルムは、ポリオレフィン樹脂における主要な用途の一つであり、近年では、その設備の簡易性等の理由から、インフレーション法によるポリオレフィン樹脂フィルムの製造が広く一般に行なわれている。しかしながら、無機充填剤を多量に含有したポリオレフィン樹脂においては、従来用いられている各種分散剤を添加したとしても、樹脂材料の溶融特性(メルトフローレート、溶融張力等)を十分に改善することができないため、特にインフレーション法の場合には、ダイスから樹脂を押し出すことができなかったり、あるいは製膜時に破れてしまったりする等、フィルムを成形することが非常に困難であった。
特開平11−277623号公報 特開昭64−90234号公報 特開平4−202429号公報
本発明は、前記従来技術の背景に鑑みなされたものであって、その解決すべき課題は、溶融特性が改善され、インフレーション法によるフィルム成形が可能な無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、無機充填剤を多量に配合したポリオレフィン樹脂組成物に対して、分岐アルキル基を有する3価以上アルコール又はその縮合体の高級脂肪酸エステル化合物を所定量添加配合することによって、樹脂組成物の溶融特性が改善され、インフレーション法によるフィルム成形が可能な無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明にかかる無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン樹脂20〜40質量部及び(b)無機充填剤60〜80質量部の合計100質量部に対して、(c)分岐アルキル基を有する総炭素数4〜10の3価以上のアルコール又はその縮合体と、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステル化合物0.5〜1.5質量部を含有することを特徴とするものである。
また、前記無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物において、(c)エステル化合物が下記一般式(1)で示されるアルキルプロパントリオール又はその縮合体の脂肪酸エステル化合物であることが好ましい。
Figure 2012219206
(式中、Rは、少なくとも1つが炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基であり、その他は水素であってもよく、Rは、少なくとも1つが炭素数1〜3のアルキル基であり、その他は水素であってもよい。nは2〜20の整数である)
また、前記無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物において、250℃,10kgf荷重の条件で測定したメルトフローレイト(JIS K−7210に準拠)が2.0〜3.0g/10分であり、265℃での溶融張力(JIS K−7199に準拠)が20.0〜30.0mNであることが好ましい。
また、本発明にかかるインフレーションフィルムは、前記無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物をインフレーション成形して得られることを特徴とするものである。
本発明によれば、無機充填剤を多量に配合したポリオレフィン樹脂組成物に対して、分岐アルキル基を有する3価以上アルコール又はその縮合体の高級脂肪酸エステル化合物を所定量配合することによって、樹脂組成物の溶融特性が改善され、インフレーション法によるフィルム成形が可能な無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物が得られる。
本発明にかかる無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン樹脂20〜40質量部及び(b)無機充填剤60〜80質量部の合計100重量部に対して、(c)分岐アルキル基を有する総炭素数4〜10の3価以上のアルコール又はその縮合体と、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステル化合物0.5〜1.5質量部を含有することを特徴とするものである。
以下、上記(a)〜(c)の必須成分について、詳しく説明する。
(a)ポリオレフィン樹脂
本発明に用いられる(a)ポリオレフィン樹脂としては、公知の各種ポリオレフィン樹脂を用いることができ、具体的には、炭素数2〜6個を有するオレフィンモノマー、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等から誘導されるポリオレフィン樹脂を用いることができる。より具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー等が挙げられる。これらの(a)ポリオレフィン樹脂のうち、特に高密度ポリエチレン(密度:0.942g/cm以上)を好適に用いることができる。
(b)無機充填剤
本発明に用いられる(b)無機充填剤としては、公知の各種無機充填剤を用いることができ、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス等が挙げられる。これらの(b)無機充填剤のうち、特に炭酸カルシウム、タルクを好適に用いることができる。
(b)無機充填剤の粒子径は特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.2〜50μmの範囲内であることが望ましい。平均粒子径が0.2μm未満であると、インフレーション成形により得られたフィルムが滑らかになりすぎて他のフィルムに張り付いてしまう場合がある。一方で、平均粒子径が50μmを超えると、延伸時にフィルムが穴が空いてしまったり、滑らかな表面が得られずに印刷仕上がりが悪くなってしまう場合がある。また、最大分布の粒子径が2.5〜6μmの範囲であることが、より望ましい。
本発明の樹脂組成物中における(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)無機充填剤の含有量は、(a)及び(b)の合計量に対して、(a)ポリオレフィン樹脂が20〜40質量部、(b)無機充填剤が60〜80質量部である。(b)無機充填剤の含有量が60質量部未満では、(a)ポリオレフィン樹脂の含有量が相対的に多くなってしまい、化石資源由来樹脂の使用量を低減するという点で望ましくない。一方で、(b)無機充填剤の含有量が80質量部を超えると、樹脂組成物の溶融張力が低下し過ぎてしまい、加工性に乏しくなってしまう。より具体的には、樹脂の延伸性がほとんど無くなってしまうため、後述する(c)エステル化合物を添加したとしても、インフレーション法によって製膜することができない。
(c)エステル化合物
本発明に用いられる(c)エステル化合物は、分岐アルキル基を有する総炭素数4〜10の3価以上のアルコール又はその縮合体と、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステル化合物である。
ここで、上記3価以上のアルコールは、構造中に3以上、好ましくは3〜5個の水酸基を有する、総炭素数4〜10の炭化水素化合物である。また、上記3価以上のアルコールは、その構造中に分岐アルキル基を有する。すなわち、上記3価以上のアルコールにおいては、水酸基を有するいずれか二つの炭素同士を結ぶ炭化水素の連続構造を主鎖と見なした場合に、主鎖中の炭素から分岐した少なくとも1以上のアルキル基を有している。なお、分岐アルキル基における炭素数は1〜3であることが好ましい。
上記3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、1−メチル1,2,3−プロパントリオール、2−メチル1,2,3−プロパントリオール、1−エチル1,2,3−プロパントリオール、2−エチル1,2,3−プロパントリオール、1,2−ジメチル1,2,3−プロパントリオール、1,2−ジエチル1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−トリメチル1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−トリエチル1,2,3−プロパントリオール、1−メチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、2−メチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1−エチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、2−エチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2−ジメチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2−ジエチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3−トリメチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3−トリエチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3,4−テトラメチル1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3,4−テトラエチル1,2,3,4−ブタンテトラオール等が挙げられる。これら脂肪酸のうち、特に1−メチル1,2,3−プロパントリオール、又は2−エチル1,2,3−プロパントリオールを好適に用いることができる。また、上記3価以上のアルコールは、その縮合体であってもよく、特に縮合数2〜20の縮合体であることが好ましい。
また、上記脂肪酸は、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸であって、具体的には、飽和脂肪酸として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、不飽和脂肪酸として、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等が挙げられる。これら脂肪酸のうち、ステアリン酸を好適に用いることができる。
また、本発明の(c)エステル化物において、上記脂肪酸のエステル結合数は、特に限定されるものではない。すなわち、上記3価以上のアルコールにおける遊離の水酸基の数Xに応じて、3価以上のアルコール1モルに対し、脂肪酸1モル〜Xモルまでの各種エステル結合数の化合物を形成することができる。より具体的には、例えば、1−メチル1,2,3−プロパントリオールは水酸基の数が3であることから、モノエステル、ジエステル、トリエステルの3種のエステル化合物を形成し得る。あるいは、例えば1−メチル1,2,3−プロパントリオールの4モル縮合体を用いる場合、遊離の水酸基の数が6であるから、モノエステル〜ヘキサエステルまで6種のエステル化物を形成し得る。なお、通常の場合、3価以上のアルコールと脂肪酸とのエステル化反応の際のモル数を調整したり、あるいは3価以上のアルコールの水酸基を一部保護した状態でエステル化反応を行なうことで、所望のエステル結合数を有するエステル化物を調製することができる。
なお、本発明に用いられる(c)エステル化合物としては、下記一般式(1)で示されるアルキルプロパントリオール又はその縮合体の脂肪酸エステル化合物であることが、特に好ましい。
Figure 2012219206
上記一般式(1)中、Rは、少なくとも1つが炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基であって、その他は水素であってもよい。ここで、Rは、上記脂肪酸のエステル結合残基である。例えば、脂肪酸がステアリン酸である場合、Rはステアリン酸残基(CH(CH16C(=O)−)となる。なお、上記一般式(1)中、3つのRのうち、少なくとも1つが脂肪酸残基であればよく、この場合、他のRは水素であってもよい。あるいは3つのRのうち、2つ又は3つ全てが脂肪酸残基であってもよい。
また、Rは、少なくとも1つが炭素数1〜3のアルキル基であって、その他は水素であってもよい。ここで、Rは、上記3価以上のアルコールの分岐アルキル基に相当し、炭素数は1〜3であることが好ましい。また、上記一般式(1)中、括弧内の3つの主鎖炭素のうち、いずれか1つが分岐アルキル基を有していればよく、この場合、他の炭素と結合したRは水素であってもよい。あるいは3つの主鎖炭素のうち、2つ又は3つ全ての炭素が分岐アルキル基を有していてもよい。
また、上記一般式(1)中、nは2〜10の整数である。ここで、nは、アルキルプロパントリオールの縮合モル数を意味しており、したがって、上記一般式(1)において、3価以上のアルコールに相当する箇所は、少なくとも2〜10モルの分子を重縮合して得られた縮合体由来の構造となる。なお、nが1である場合、すなわち、未縮合の3価以上アルコールを使用した場合、樹脂組成物の溶融特性が十分に改善されないことがある。
また、本発明の樹脂組成物における(c)エステル化物の含有量は、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)無機充填剤合計100質量部に対して、0.5〜1.5質量部である。(c)エステル化物の含有量が0.5質量部未満であると、流動性が低すぎてダイスから押し出すことができなかったり、あるいは延伸性が十分でないために製膜時にフィルムが破れてしまう場合がある。一方で、(c)エステル化物の含有量が1.5質量部を超えると、ポリオレフィン樹脂が滑り易くなり過ぎて、却って無機充填剤と分離してしまい、フィルム表面上に無機充填剤の凝集物(ブツ)が発生する場合がある。また、(c)エステル化物の含有量は、より好ましくは0.8〜1.0質量部である。
本発明の樹脂組成物においては、上記(a)〜(c)の必須成分以外に、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、艶消剤、劣化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、増粘剤、粘度安定剤等を、任意の割合で添加してもよい。これら添加成分の含有量は、通常、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)無機充填剤合計100質量部に対して、5質量部以下が望ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記(a)〜(c)の必須成分と、任意の添加成分とを、公知の方法により溶融混合して得られる。具体的には、例えば、(a)ポリオレフィン樹脂のペレットに対し、(b)無機充填剤、(c)エステル化物、及び任意添加成分を、それぞれ所定量添加して予備混合した後、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸押出機等に供給し、150〜300℃、好ましくは200〜250℃の条件で溶融混合することによって得られる。
また、本発明の樹脂組成物は、250℃,10kgf荷重の条件で測定したメルトフローレイト(JIS K−7210に準拠)が2.0〜3.0g/10分の範囲であることが望ましい。メルトフローレートが2.0g/10分未満であると、流動性が低すぎてダイスから押し出すことができなかったり、あるいは均一に押し出すことができない場合がある。一方で、3.0g/10分を超えると、インフレーション成形では成形時にフィルムが破れやすくなる場合がある。なお、より好ましくは、2.2〜2.8g/10分の範囲である。
また、本発明の樹脂組成物は、265℃での溶融張力(JIS K−7199に準拠)が20.0〜30.0mNであることが望ましい。溶融張力が20.0mN未満であると、延伸性が十分でないために製膜時にフィルムが破れてしまう場合がある。一方で、30.0mNを超えると、インフレーション成形ではフィルムを十分に薄膜化できない場合がある。なお、より好ましくは、24.0〜30.0mNの範囲である。
なお、本発明の樹脂組成物は、特にインフレーション成形により得られたインフレーションフィルムとしての用途に、好適に使用することができる。インフレーション成形方法は、公知の方法であれば、特に限定されるものではないが、概略以下の手順により行なわれる。
(1)樹脂組成物を融点以上の温度に加熱、混合し、環状ダイからチューブ状に溶融押出する。
(2)押出された溶融状態のチューブ内部にエアを吹き込み、樹脂を延伸してフィルム化する。
(3)延伸されたチューブ状の樹脂フィルムは、空冷あるいは水冷によって冷却されるとともに、巻き取り機によってさらに延伸されて巻き取られる。
なお、インフレーション成形における溶融押出工程の加熱温度は、使用するポリオレフィン樹脂あるいは他の添加成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは150〜220℃、さらに好ましくは180〜200℃の範囲内である。
本発明のインフレーションフィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、通常、5〜250μmであり、特に好ましくは10〜220μmである。
また、本発明のインフレーションフィルムは、例えば、他の樹脂組成物からなるフィルムを積層した多層フィルムとしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明者らは、ポリオレフィン樹脂、無機充填剤及び各種分散剤を、下記表1〜3に示す各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製し、インフレーションフィルムの作成を試みた。また、得られた各種樹脂組成物について、それぞれメルトフローレート及び溶融張力を評価した。
なお、各実施例及び比較例において用いたポリオレフィン及び無機充填剤は、以下のとおりである。
ポリオレフィン樹脂:高密度ポリエチレン;ニポロンハード7300A(東ソー社製,密度0.951g/cm)
無機充填剤:炭酸カルシウム;サンライトSL−100(竹原化学工業社製,平均粒径6.0μm)
:タルク;MS−P(日本タルク社製,平均粒径13μm)
〈評価方法〉
(1)インフレーション製膜性
下記表1〜3に示す組成物を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製,50MR,L/D=25)にて加熱混合(230℃)し、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。次いで、得られた各種樹脂組成物について、単層インフレーション製膜機(プラコー社製,L−40;ダイス径50mm,クリアランス2.0mm)を用い、インフレーションフィルム(厚さ60μm,幅200mm)の作成を試みた。
○:良好なインフレーションフィルムが得られた。
×:フィルムが破れてしまったり、あるいは樹脂がダイスから押出せない等、良好なインフレーションフィルムが得られなかった。
(2)メルトフローレート
下記表1〜3に示す組成物を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製,50MR,L/D=25)にて加熱混合(230℃)し、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製し、それぞれのメルトフローレートを、メルトインデクサーF−B01(東洋精機製作所製)を用い、250℃,10kgf荷重の条件(JIS K−7210に準拠)で測定した。
(3)溶融張力
下記表1〜3に示す組成物を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製,50MR,L/D=25)にて加熱混合(230℃)し、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製し、それぞれの溶融張力を、キャピログラフ 1D(東洋精機製作所製)を用い、265℃の条件(JIS K−7199に準拠)で測定した。
Figure 2012219206
上記表1に示されるように、高密度ポリエチレン30質量部と無機充填剤(炭酸カルシウム又はタルク)70質量部との合計100質量部に対し、分散剤として、1−メチルプロパントリオール縮合体(4モル)モノステアリン酸エステルあるいは2−エチルプロパントリオール縮合体(4モル)モノステアリン酸エステルを1.0質量部ずつ配合した実施例1〜3の樹脂組成物においては、良好なインフレーションフィルムを作製することが可能であった。これは、上記エステル化物を分散剤として用いることによって、メルトフローレート2.3〜2.5g/10分、溶融張力24.0〜29.0mNと、それぞれの樹脂の溶融特性が良好に改善されているためと考えられる。
これに対して、従来、樹脂の分散剤あるいは滑剤として使用されているステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ステアリン酸を添加した比較例1〜4の樹脂組成物においては、ポリオレフィン樹脂に対して無機充填剤の量が多量であるため、溶融特性を十分に改善することができず、延伸時にフィルムが破れてしまい、良好なインフレーションフィルムが得られなかった。
Figure 2012219206
上記表2に示されるように、従来、樹脂の滑剤として使用されているステアリン酸メチル、あるいは分散剤として公知であるポリエチレングリコールステアリン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステルを用いた比較例5〜9の樹脂組成物においては、良好なインフレーションフィルムを得ることができなかった。
これに対して、親水部を2−エチルプロパントリオール縮合体とした実施例4,5の樹脂組成物においては、溶融特性が良好に改善され、インフレーションフィルムを得ることが可能であったことから、分散剤として使用するエステル化物の親水部が分岐アルキル基を有している点が、樹脂の溶融特性の改善において重要な役割を果たしているものと考えられる。
Figure 2012219206
上記表3に示されるように、高密度ポリエチレンと炭酸カルシウムの合計100質量部に対し、2−エチルプロパントリオール縮合体(4モル)モノステアリン酸エステルを0.5〜1.5質量部添加した実施例6〜9の樹脂組成物においては、溶融特性が改善され、良好なインフレーションフィルムを得ることが可能であった。
これに対して、2−エチルプロパントリオール縮合体(4モル)モノステアリン酸エステルを0.3質量部添加した比較例10の樹脂組成物では、溶融特性の改善が十分でなく、樹脂をダイスから均一に押し出すことができなかった。一方で、2.0質量部添加した比較例11では、樹脂が滑り易くなり過ぎて、却って無機充填剤と分離してしまい、フィルム表面上に無機充填剤の凝集物(ブツ)が発生してしまった。

Claims (4)

  1. (a)ポリオレフィン樹脂20〜40質量部及び(b)無機充填剤60〜80質量部の合計100質量部に対して、
    (c)分岐アルキル基を有する総炭素数4〜10の3価以上のアルコール又はその縮合体と、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステル化合物0.5〜1.5質量部
    を含有することを特徴とする無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. (c)エステル化合物が下記一般式(1)で示されるアルキルプロパントリオール又はその縮合体の脂肪酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1記載の無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物。
    Figure 2012219206
    (式中、Rは、少なくとも1つが炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基であり、その他は水素であってもよく、Rは、少なくとも1つが炭素数1〜3のアルキル基であり、その他は水素であってもよい。nは2〜20の整数である)
  3. 250℃,10kgf荷重の条件で測定したメルトフローレイト(JIS K−7210に準拠)が2.0〜3.0g/10分であり、265℃での溶融張力(JIS K−7199に準拠)が20.0〜30.0mNであることを特徴とする請求項1又は2記載の無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の無機充填剤高含有ポリオレフィン樹脂組成物をインフレーション成形して得られることを特徴とするインフレーションフィルム。
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