JP2008179528A - 酸化チタンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】優れた可視光吸収特性及び可視光での光触媒活性を有する酸化チタンの製造方法を提供すること。
【解決手段】比表面積が200m/g以上400m/g以下であり、X線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.60°以上1.5°以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である原料酸化チタンと、硫黄化合物または窒素化合物のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方と、を混合して、焼成原料混合物を得、次いで、該焼成原料混合物を焼成することを特徴とする酸化チタンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、可視光型光触媒や色素増感型太陽電池に適用が可能な酸化チタンの製造方法に関する。
酸化チタン粉末は、白色顔料として古くから利用されており、近年は化粧品などの紫外線遮蔽材料、光触媒、コンデンサ、サーミスタの構成材料あるいはチタン酸バリウムの原料等電子材料に用いられる焼結材料などに広く利用され、また、最近は、色素増感型酸化チタンの電極などへの適用の研究開発がなされている。特にここ数年、光触媒としての利用が盛んに試みられており、光触媒反応の用途開発が盛んに行われている。
この酸化チタン光触媒の用途は非常に多岐に亘っており、水の分解による水素の発生、酸化還元反応を利用した有機化合物の合成、排ガス処理、空気清浄、防臭、殺菌、抗菌、水処理、照明機器等の汚れ防止等、数多くの用途開発が行われている。
しかしながら、酸化チタンは可視光付近の波長領域において大きな屈折率を示すため、可視光領域では殆ど光吸収は起こらない。屋内での蛍光灯などの下での利用を考えると、蛍光灯のスペクトルは殆どが400nm以上であるため、そのような光触媒では、十分な触媒性能を発現することはできない。そこで、可視光領域で触媒活性を発現し、より利用性が高い高活性の光触媒の開発が行なわれている。
近年、従前の金属イオンを酸化チタンにドープした光触媒の不十分な触媒活性を改善するものとして、特許文献1の特開2004−143032号公報には、金属原子の一部を硫黄で置換した酸化チタン粉末が開示されている。また、特許文献1には、(i)チタン塩(金属アルコキシド)とチオ尿素の均一混合溶液から、溶媒を除去した後、この粉末を、酸素を含む雰囲気下、500〜900℃、3〜10時間で焼成する含硫黄酸化チタンの製造方法、(ii)チタン酸化物とチオ尿素との均一混合物を300〜500℃で焼成する含硫黄酸化チタンの製造方法、及び(iii)硫酸チタンアンモニウムを500〜900℃で焼成する含硫黄酸化チタンの製造方法が開示されている(段落番号[0018]〜段落番号[0024])。
また、特許文献2の特開2005−254174号公報には、硫黄を含有するルチル型およびアナターゼ型の混合結晶の酸化チタン触媒が開示されており、また、酸化チタン粉末と硫黄または硫黄化合物の混合物の形成後、この混合物を200〜800℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは400〜500℃で焼成する酸化チタンの製造方法が開示されている(段落番号[0024])。
また、特許文献3のWO2005/87372号公報には、塩化チタン水溶液を加水分解またはアルカリで中和して固形物を得る際、この何れかの段階において硫黄または硫黄化合物を混合させ、次いで硫黄または硫黄化合物を含む固形物を焼成して得られることを特徴とする酸化チタン光触媒の製造方法が開示されている(要約)。
しかしながら、特許文献1〜3の酸化チタンには、十分な可視光吸収特性及び可視光での光触媒活性が得られず、より一層の性能の向上が必要であるという問題があった。
特開2004−143032号公報(特許請求の範囲) 特開2005−254174号公報(特許請求の範囲) 特再WO2005/87372号公報(特許請求の範囲)
したがって、本発明の目的は、優れた可視光吸収特性及び可視光での光触媒活性を有する酸化チタンの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、原料酸化チタンと硫黄化合物または窒素化合物のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方と、の混合物を焼成して、硫黄または窒素のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方を含む酸化チタンを製造する際に、該原料酸化チタンの比表面積および結晶性を、特定の範囲とすることにより、優れた性能を有する酸化チタンを製造することができること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、比表面積が200m/g以上400m/g以下であり、X線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.60°以上1.5°以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である原料酸化チタンと、硫黄化合物または窒素化合物のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方と、を混合して、焼成原料混合物を得、次いで、該焼成原料混合物を焼成することを特徴とする酸化チタンの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、優れた可視光吸収特性及び可視光での光触媒活性を有する酸化チタンの製造方法を提供することができる。
本発明の酸化チタンの製造方法は、比表面積が200m/g以上400m/g以下であり、X線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.60°以上1.5°以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である原料酸化チタンと、硫黄化合物または窒素化合物のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方と、を混合して、焼成原料混合物を得、次いで、該焼成原料混合物を焼成する酸化チタンの製造方法である。
本発明の酸化チタンの製造方法では、先ず、該原料酸化チタンと、該硫黄化合物または該窒素化合物のうちのいずれか、またはこれの両方と、を混合して、該原料酸化チタンと該硫黄化合物との混合物、あるいは、該原料酸化チタンと該窒素化合物との混合物、あるいは、該原料酸化チタンと硫黄化合物および窒素化合物との混合物、すなわち、該焼成原料混合物を作製する。なお、本発明では、焼成により硫黄または窒素がドープされる前の酸化チタン、すなわち、硫黄または窒素を含む酸化チタンを製造するための原料となる酸化チタンを、原料酸化チタンと記載する。
本発明の酸化チタンの製造方法に係る該原料酸化チタンは、比表面積が200m/g以上400m/g以下、且つX線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.60°以上1.5°以下である。そして、該原料酸化チタンの比表面積は、好ましくは240m/g以上400m/g以下、より好ましくは300m/g以上350m/g以下である。また、該原料酸化チタンのX線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅は、好ましくは2θ=0.80°以上1.39°以下、より好ましくは、2θ=1°以上1.2°以下である。該原料酸化チタンの比表面積及びX線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が上記範囲にあることにより、可視光での光触媒活性が高い酸化チタンが得られる。一方、原料酸化チタンの比表面積が、200m/g未満であると可視光での光触媒活性が高い酸化チタンが得られず、また、400m/gを超えると、乾燥した原料酸化チタン粉末を得ることは、作業効率が悪く、経済的に難しい。原料酸化チタンのX線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が、2θ=0.60°未満だと、あるいは、1.5°を超えると、可視光での光触媒活性が高い酸化チタンが得られない。
本発明の酸化チタンの製造方法に係る該原料酸化チタンは、結晶構造がアナターゼを主体とする相である。
本発明において、結晶構造がアナターゼ主体であるとは、下記の式で定義されるルチル化率が、1%以下であることを指す(ASTM D 3720−84)。なお、本発明の酸化チタンは、ブルッカイトを含んでいても構わない。例えば、X線回折パターンにおける「アナターゼ型結晶酸化チタンの101ピーク面積、並びにブルッカイト型結晶酸化チタンの面指数120及び面指数111のピーク面積の合計」に対する「ブルッカイト型結晶酸化チタンの面指数121のピーク面積」の比が、10%以下である。結晶構造をアナターゼ主体とすることで、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる。
ルチル化率(質量%)=100−100/(1+1.2×Ir/Id)
Ir:X線回折パターンにおけるルチル型結晶酸化チタンの最強干渉線(面指数110)のピーク面積、
Id:X線回折パターンにおけるアナターゼ型酸化チタン粉末の最強干渉線(面指数101)のピーク面積
該原料酸化チタンとしては、上記物性を有するものであれば、該原料酸化チタンがどのような製造方法で製造されたかは、特に限定されない。
該原料酸化チタンとしては、例えば、チタン塩とアルカリ化合物との中和反応により得られる酸化チタン、又はチタン塩の加水分解により得られる酸化チタンが挙げられる。また、該原料酸化チタンとしては、チタン塩とアルカリ化合物との中和反応により得られる酸化チタン、又はチタン塩の加水分解により得られる酸化チタンを、更に、加熱処理して得られる酸化チタンが挙げられる。
該原料酸化チタンに関し、チタン塩とアルカリ化合物との中和反応により該原料酸化チタンを製造する場合や、チタン塩の加水分解により該原料酸化チタンを製造する場合、アルカリ中和条件(pH、中和温度、アルカリ化合物の添加速度など)、加水分解条件(pH、加水分解速度、加水分解温度など)、スラリーからの固形物の分離、あるいは、固形物を得るために必要に応じて実施する洗浄、乾燥などの操作条件を種々選択することにより、該原料酸化チタンを製造することができる。また、チタン塩とアルカリ化合物との中和反応により得られる酸化チタン、又はチタン塩の加水分解により得られる酸化チタンを、更に、加熱処理することにより該原料酸化チタンを製造する場合、該加熱処理する際の加熱処理温度、加熱処理時間等の加熱処理条件を種々選択することにより、該原料酸化チタンを製造することができる。
例えば、四塩化チタン水溶液にアルカリ化合物を、20℃〜80℃にて、短時間(例えば、0.5時間以下)で、添加して中和し、中和反応によって得られた酸化チタンを、加熱処理することにより、該原料酸化チタンを製造することができる。
加熱処理する際の加熱処理温度は、200℃以上350℃以下である。該加熱処理温度が、上記範囲内にあることにより、比表面積が200m/g以上400m/g以下である加熱処理物を得易くなる。一方、該加熱処理温度が、200℃未満だと、加熱処理物の比表面積が400m/gより大きくなり易い。さらには、加熱処理前に含有されている水分を除くのに温度が低く、原料酸化チタンの作製効率が非常に悪くなる。また、該加熱処理温度が、350℃を超えると、加熱処理物の比表面積が200m/gより小さくなり易い。
該加熱処理において、加熱処理する際の加熱処理時間は、好ましくは1〜5時間、特に好ましくは2〜3時間である。
該加熱処理において、加熱処理する際の雰囲気は、特に制限されず、空気中、酸素ガス中のような酸化性雰囲気下;窒素ガス中、アルゴンガス中のような不活性雰囲気下;真空下等が挙げられ、経済的には、空気中が有利である。また、水蒸気を含んだ気流中で加熱処理を行うことにより塩素を低減することができる。
本発明の酸化チタンの製造方法において、該焼成原料混合物を調製する際に、該原料酸化チタンに、1種または2種以上の該硫黄混合物を混合しても、あるいは、1種または2種以上の該窒素化合物を混合しても、1種または2種以上の該硫黄混合物および1種または2種以上の該窒素化合物を混合してもよい。
本発明の酸化チタンの製造方法に係る該硫黄化合物は、熱により分解し、その分解過程でSOガスが発生する、分子中に硫黄原子を有する化合物であればよく、常温で固体または液体である化合物が好ましく、含硫黄有機化合物、含硫黄無機化合物、金属硫化物、硫黄などが挙げられ、更に具体的には、例えば、チオ尿素、チオ尿素の誘導体、硫酸塩などが挙げられる。これらのうち、特に、チオ尿素が、400〜500℃で完全に分解し、酸化チタン中に残存しないため好ましい。
また、本発明の酸化チタンの製造方法に係る該窒素化合物は、加熱により、窒素が金属酸化物中に侵入するものであれば良い。該窒素化合物としては、具体的には、例えば、尿素、1,1−ジメチル尿素などの還元力を有するものが挙げられる。
該原料酸化チタンと該硫黄化合物または窒素化合物との混合方法は、特に制限されないが、(i)該原料酸化チタンに、該硫黄化合物または窒素化合物を溶解させた溶液を添加し、十分混合した後、溶媒を蒸発させる方法、(ii)該原料酸化チタンと該硫黄化合物または窒素化合物とを、乾式で混合する方法、(iii)該原料酸化チタンと該硫黄化合物または窒素化合物を、分散媒中で混合する方法などが挙げられる。これらの混合方法のち、(ii)の方法が、操作性の点から好ましい。
該焼成原料混合物中の該硫黄化合物または該窒素化合物の混合量についてであるが、該硫黄化合物のみを用いる場合、該焼成原料混合物中の該硫黄化合物の合計混合量は、該原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する硫黄原子の合計質量が、好ましくは5〜150質量部、特に好ましくは5〜50質量部となる量である。また、該窒素化合物のみを用いる場合、該焼成原料混合物中の該窒素化合物の合計混合量は、該原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する窒素原子の合計質量が、好ましくは5〜150質量部、特に好ましくは5〜50質量部となる量である。また、該硫黄化合物及び該窒素化合物を併用する場合、該焼成原料混合物中の該硫黄化合物及び該窒素化合物の合計混合量は、該原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する硫黄原子及び窒素原子の合計質量が、好ましくは5〜150質量部、特に好ましくは5〜50質量部となる量である。なお、例えば、チオ尿素のように、1つの分子中に硫黄原子および窒素原子の両方を有する場合、該混合量は、酸化性雰囲気中で焼成する場合は、チオ尿素が該硫黄化合物であるとして、硫黄原子の質量を基準として計算し、還元性雰囲気中で焼成する場合は、チオ尿素は該窒素化合物であるとして、窒素原子を基準として計算する。例えば、硫黄を含有する酸化チタンを得る場合、該硫黄化合物を用いるが、該焼成原料混合物中の該硫黄化合物の混合量は、該原料酸化チタンをTiO換算したときの100重量部に対する硫黄原子の質量が、好ましくは5〜150質量部、特に好ましくは5〜50質量部となる量である。該焼成原料混合物中の該硫黄化合物または該窒素化合物の混合量が上記範囲にあることにより、可視光での酸化チタンの光触媒活性が高くなる。また、該焼成原料混合物中の該硫黄化合物または該窒素化合物の混合量が上記範囲を外れると、硫黄と窒素の含有量の合計が、0.045質量%以上0.3質量%以下である酸化チタンを製造し難くなる。
本発明の酸化チタンの製造方法では、次いで、該焼成原料混合物を焼成する。該硫黄化合物を用いる場合、本発明の酸化チタンの製造方法に係る該焼成では、該焼成原料混合物の焼成の際に、熱により該硫黄化合物が分解して、その分解過程でSOガスが発生し、これらのガス中の硫黄が、該原料酸化チタン中に取り込まれ、そして、該原料酸化チタン中のチタン原子の一部が硫黄原子で置換される。つまり、該硫黄化合物を用いる場合、本発明の酸化チタンの製造方法に係る該焼成では、該硫黄化合物の分解により生じるSOガスを雰囲気に滞留させつつ、該原料酸化チタンと該硫黄化合物との混合物の焼成を行う。また、該窒素化合物を用いる場合、本発明の酸化チタンの製造方法に係る該焼成では、該窒素化合物が酸化チタンに吸着し、該窒素化合物中の窒素が加熱により酸化チタン内に侵入する。つまり、該窒素化合物を用いる場合、本発明の酸化チタンの製造方法では、該窒素化合物を雰囲気に滞留させつつ、該原料酸化チタンと該窒素化合物との混合物の焼成を行う。
本発明の酸化チタンの製造方法において、該焼成原料混合物を焼成する方法としては、焼成用容器に該焼成原料混合物を投入し蓋をする。その際、完全開放だと、該硫黄化合物の分解により生じるSOガス、または該窒素化合物の滞留が起こらないため、若干の隙間を開ける。適切な分圧で、該硫黄化合物の分解により生じるSOガス、または該窒素化合物を、雰囲気に滞留させることができるので、硫黄または窒素のうちのいずれか、または硫黄および窒素の両方を含む酸化チタンの収率が高くなる。
本発明の酸化チタンの製造方法において、該焼成を行う際の焼成温度は、好ましくは200〜800℃、特に好ましくは300〜600℃、更に好ましくは400〜500℃である。該焼成温度が、上記範囲内にあることにより、可視光での酸化チタンの光触媒活性が高くなる。また、該焼成を行う際の焼成時間は、好ましくは1〜10時間、特に好ましくは1〜5時間、更に好ましくは2〜5時間である。
該硫黄化合物を用いる場合、該焼成で、焼成を行う際の該焼成容器の周辺の雰囲気、つまり、該焼成容器の加熱を行う加熱装置内の雰囲気は、特に制限されず、空気中、酸素ガス中のような酸化性雰囲気下;窒素ガス中、アルゴンガス中のような不活性雰囲気下;真空下等が挙げられ、特殊な設備を要しない点で、空気中が有利である。また、該窒素化合物を用いる場合、該焼成で、焼成を行う際の該焼成容器の周辺の雰囲気、つまり、該加熱装置内の雰囲気は、該窒素化合物の酸化を防止するために、水素ガス、アンモニアガス、ヒドラジンガスなどの還元性ガスの雰囲気であり、特にアンモニアガス雰囲気が好ましい。つまり、該窒素化合物を用いる場合、該焼成では、還元性の雰囲気下で、該窒素化合物の酸化を抑制させつつ、該原料酸化チタンと該窒素化合物との混合物の焼成を行う。
このように、本発明の酸化チタンの製造方法を行うことにより、硫黄または窒素のうちのいずれか、または硫黄および窒素の両方を含む酸化チタンが得られる。
また、本発明の酸化チタンの製造方法では、酸化チタン中に遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物を含む酸化チタンを調製した後、調製した該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む酸化チタンを該原料酸化チタンとして用い、該硫黄化合物または該窒素化合物のうちのいずれか、またはこれらの両方と混合して、該焼成原料混合物を得てもよい。つまり、本発明の酸化チタンの製造方法では、該原料酸化チタンが、酸化チタン中に該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンであってもよい。
本発明の酸化チタンの製造方法に係る該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物としては、例えば、鉄、亜鉛、クロム、バナジウム、タングステン、銅、コバルト、銀、金、白金及びパラジウムなどや、これらの化合物(酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、有機金属化合物など)が挙げられる。該原料酸化チタンが、これらの遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物の少なくとも1種類を含むことにより、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる。また、該原料酸化チタンは、複数の該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含んでいても構わない。特に、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる点で、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物としては、鉄、白金、鉄塩、白金塩が好ましく、特に鉄塩は経済的である。具体的には、該鉄塩としては、FeCl、FeCl、FeSO、Fe(SO、Fe(NO、FeI、FeI、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄などが挙げられる。
該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンの調製方法としては、例えば、
(1)チタン塩及び該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有する溶液を調製し、次いで、該溶液中で該チタン塩を加水分解あるいはアルカリ中和し、その後必要に応じて加熱処理を行い、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンを得る方法、
(2)チタン塩を加水分解またはアルカリ中和して、チタン塩加水分解物またはアルカリ中和物含有スラリーを調製後、該スラリーに、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を加え、撹拌混合し、その後必要に応じて加熱処理を行い、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンを得る方法、
(3)チタン塩を加水分解またはアルカリ中和して、チタン塩加水分解物またはアルカリ中和物含有スラリーを調製後、チタン塩加水分解物またはアルカリ中和物を分離する。該チタン塩加水分解物またはアルカリ中和物の加熱処理を行い、酸化チタンまたは酸化チタン前駆体を作製する。次いで、この酸化チタンまたは酸化チタン前駆体のスラリーを調製し、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を混合した後、撹拌混合、加水分解、アルカリ中和、光照射、あるいは溶媒を蒸発させて、その後必要に応じて加熱処理を行い、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンを得る方法、
(4)前記(3)と同様に酸化チタンまたは酸化チタン前駆体を作製する。これをCVD、PVD(スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法など)、めっき法などにより、酸化チタンまたは酸化チタン前駆体の表面に該遷移金属または該貴金属を含有させる方法、
などが挙げられる。
そして、本発明の酸化チタンの製造方法では、該原料酸化チタンを、遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含む原料酸化チタンとすることにより、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含み、且つ、硫黄または窒素のうちのいずれか、またはこれらの両方を含む酸化チタンが得られる。
また、本発明の酸化チタンの製造方法では、該焼成原料混合物を焼成した後、得られた酸化チタン、すなわち、硫黄または窒素のうちのいずれか、またはこれらの両方を含む酸化チタンに、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有させてもよい。つまり、本発明の酸化チタンの製造方法では、該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタン中に、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有させてもよい。
該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタン中に、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有させる方法としては、例えば、
(1)該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタンのスラリーを調製し、次いで、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を混合した後、撹拌混合、加水分解、アルカリ中和、光照射、あるいは溶媒を蒸発させて、その後必要に応じて加熱処理を行い、該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタン中に、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有させる方法、
(2)該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタンと該遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物を、CVD、PVD(スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法など)、めっき法などにより、該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタンの表面に該遷移金属または該貴金属を含有させる方法、
などが挙げられる。
そして、本発明の酸化チタンの製造方法では、該焼成原料混合物を焼成して得られる酸化チタン中に、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含有させることにより、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を含み、且つ、硫黄または窒素のうちのいずれか、またはこれらの両方を含む酸化チタンが得られる。
本発明者は、単に、酸化チタン中の硫黄含有量または窒素含有量を増やしたり、焼成の際に混合する硫黄化合物または窒素化合物の混合量を多くしたのでは、可視光での光触媒活性が高い酸化チタンは得られず、硫黄または窒素ドープ前の原料酸化チタンの比表面積及び結晶性(半値幅)に最適な範囲があり、該原料酸化チタンの比表面積及び半値幅を、該最適な範囲にすれば、可視光での光触媒活性が高い酸化チタンが得られることを見出し、本発明を完成させた。
そして、本発明の酸化チタンの製造方法を行うことにより、以下に示す本発明の酸化チタンが得られる。
本発明の酸化チタンは、硫黄または窒素の含有量が0.045質量%以上0.3質量%以下であり、比表面積が70m/g以上140m/g以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である酸化チタンが得られる。本発明の酸化チタンは、硫黄または窒素の含有量及び比表面積が、上記範囲にあることにより、優れた可視光吸収特性及び可視光での光触媒活性を有する。
本発明の酸化チタンは、酸化チタン中に硫黄または窒素のいずれかを含む酸化チタン、あるいは、酸化チタン中に硫黄および窒素の両方を含む酸化チタンである。本発明の酸化チタンの硫黄または窒素の含有量は、0.045質量%以上0.3質量%以下、好ましくは0.065質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以上0.1質量%以下である。該硫黄または窒素の含有量が、上記範囲にあることにより、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる。なお、本発明の酸化チタンが、酸化チタン中に硫黄および窒素の両方を含む場合、硫黄および窒素の含有量の合計が、0.045質量%以上0.3質量%以下、好ましくは0.065質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以上0.1質量%以下である。
本発明の酸化チタンの比表面積は、70m/g以上140m/g以下、好ましくは90m/g以上140m/g以下である。該比表面積が、上記範囲にあることにより、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる。
本発明の酸化チタンの結晶構造は、X線回折によるとアナターゼを主体とする相である。そして、本発明において、結晶構造がアナターゼ主体であるとは、下記の式で定義されるルチル化率が、1%以下であることを指す(ASTM D 3720−84)。なお、本発明の酸化チタンは、ブルッカイトを含んでいても構わない。例えば、X線回折パターンにおける「アナターゼ型結晶酸化チタンの101ピーク面積、並びにブルッカイト型結晶酸化チタンの面指数120及び面指数111のピーク面積の合計」に対する「ブルッカイト型結晶酸化チタンの面指数121のピーク面積」の比が、10%以下である。結晶構造をアナターゼ主体とすることで、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる。
ルチル化率(質量%)=100−100/(1+1.2×Ir/Id)
Ir:X線回折パターンにおけるルチル型結晶酸化チタンの最強干渉線(面指数110)のピーク面積、
Id:X線回折パターンにおけるアナターゼ型酸化チタン粉末の最強干渉線(面指数101)のピーク面積
本発明の酸化チタンは、硫黄または窒素のうちのいずれか、あるいは、硫黄および窒素の両方を含む酸化チタンであるが、硫黄または窒素のうちのいずれか、あるいは、硫黄および窒素の両方を含む酸化チタンとは、酸化チタンの骨格構造中に硫黄原子または窒素原子あるいはその両者がドープされた酸化チタンである。例えば、硫黄を含む二酸化チタンとは、二酸化チタンの結晶中に含まれる全チタン原子中の少なくとも1つが硫黄原子に置換された状態である。また、窒素を含む二酸化チタンとは、二酸化チタンの結晶中、本来酸素原子が存在する位置の少なくとも1つに、窒素原子が存在する状態である。また、硫黄および窒素の両方を含む二酸化チタンとは、(1)二酸化チタンの結晶中、本来酸素原子が存在する位置の少なくとも1つに、窒素原子のいずれかが存在する状態と、(2)二酸化チタンの結晶中に含まれる全チタン原子中の少なくとも1つが硫黄原子に置換された状態と、の組合せである。
硫黄原子または窒素原子のドープ状態を、X線光電子分光法(XPS)分析などにより確認することができる。例えば、窒素を含む酸化チタンにおいて、N1sに由来する396eV〜398eV付近の特性ピークが見られる場合、酸素サイト、つまり、アニオンサイトの一部が、窒素原子で置換されていると推測できる。一方、酸化チタンのチタンサイトの一部が、硫黄原子に置換されている場合、S4+に由来する169eV付近の特性ピークが見られる。つまり、チタンサイト、つまり、カチオンサイトの一部が、硫黄原子で置換されていると推測できる。なお、酸化チタンのチタンサイトの一部が、硫黄原子に置換された構造ではなく、酸素原子の一部が、硫黄原子で置換された構造を有する場合は、S2−に由来する160eV付近の特性ピークが見られ、169eV付近には特性ピークは見られない。酸化チタンが、酸化チタン中の原子の一部が硫黄原子で交換された化合物ではなく、単なる酸化チタンと硫黄との混合物である場合は、169eV付近及び160eV付近のいずれにも特性ピークは見られない。
本発明の酸化チタンは、特に、アナターゼ型酸化チタンのチタンサイト(カチオンサイト)の一部が、硫黄原子で置換された構造、すなわち、硫黄カチオン置換型酸化チタンが好ましい。
また、本発明の酸化チタンは、さらに遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物を含んでいても良い。該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物としては、例えば、鉄、亜鉛、クロム、バナジウム、タングステン、銅、コバルト、銀、金、白金及びパラジウムなどや、これらの化合物(酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、有機金属化合物など)が挙げられる。本発明の酸化チタンは、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物の少なくとも1種類を含むことにより、可視光での光触媒活性が高くなる。また、本発明の酸化チタンは、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物を複数含んでいても良い。特に、該遷移金属、該貴金属、該遷移金属化合物または該貴金属化合物としては、酸化チタンの可視光での光触媒活性が高くなる点で、鉄、白金、鉄塩、白金塩であることが好ましく、特に鉄塩は経済的である。具体的には、該鉄塩としては、FeCl、FeCl、FeSO、Fe(SO、Fe(NO、FeI、FeI、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄などが挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(1)酸化チタン中の硫黄含有量、窒素含有量、鉄含有量の測定
硫黄含有量は、酸素気流中燃焼−赤外線吸収法(測定装置:株式会社堀場製作所製 EMIA−520)で測定した。
窒素含有量は、X線光電子分光装置(XPS)(PHI社製XPS5700)によって、酸化チタン中の窒素原子の定量分析を行った。
鉄含有量は、酸化チタンをフッ硝酸(フッ酸−硝酸)により溶解し、その液の鉄濃度をICP発光分光分析(高周波誘導結合プラズマを光源とした発光分析法)により測定した。
(2)X線回折分析
以下の、X線回折測定条件にて行った。半値幅は、アナターゼ(101)ピークの高さの1/2となる幅(角度)を測定した。
(X線回折測定条件)
回折装置 RAD−1C(株式会社リガク製)
X線管球 Cu
管電圧・管電流 40kV、30mA
スリット DS-SS:1度、RS:0.15mm
モノクロメータ グラファイト
測定間隔 0.002度
計数方法 定時計数法
ルチル化率は、ASTM D 3720−84に従い、X線回折パターンにおけるルチル型結晶酸化チタンの最強干渉線(面指数110)のピーク面積(Ir)と、アナターゼ型酸化チタン粉末の最強干渉線(面指数101)のピーク面積(Id)を求め、以下の算出式より求めた。
ルチル化率(質量%)=100−100/(1+1.2×Ir/Id)
(3)比表面積の測定
BET法により測定した。試料の脱気は、110℃にて行った。
(4)光触媒性能の測定
イソプロピルアルコール(IPA)の分解性能において評価した。10mlの試験管に、IPAの初期濃度が50mmol/lのアセトニトリル溶液5mlを用意する。これに得られた酸化チタン粉末を0.10g混合する。このような試験管を2つ用意する(試験管X1及び試験管Y1)。1つの試験管(試験管X1)には、撹拌子で撹拌しながら、350nm以下の波長を除いた光を2時間照射する。他の1つの試験管(試験管Y1)は、光を当てないように暗所で2時間撹拌する。
所定の時間経過後、それぞれの試験管中の溶液を遠心分離機にかけ、上澄みを分取し、ガスクロマトグラフィーを使用してIPAの濃度を測定した。IPA分解性能は以下の式で求めた。
分解性能(%)=(2時間後のY1のIPA濃度−2時間後のX1のIPA濃度)×100/(2時間後のY1のIPA濃度)
(5)XPSの測定
以下の測定条件にて行った。エッチングなどの試料の前処理は特に行わなかった。
(XPSの測定条件)
XPS装置:PHI社製XPS-5700
X線源:単色化 AlKα(1486.6eV) 200W
測定領域:800μm径
検出角:45°(試料法線から)
中和電子銃:使用
(原料酸化チタンの製造)
撹拌機を備えた容量1000mlの丸底フラスコに、四塩化チタン水溶液(チタン濃度:4質量%)を297g入れ、次いで、60℃に加熱した。次いで、アンモニア水を添加して、反応系のpHが7.4に維持されるように、60℃で1時間中和処理を行った。この液を株式会社西村鐵工所製CDドライヤー(間接加熱により乾燥を行う伝導加熱型乾燥機:熱せられた円筒ドラムにスラリーを噴霧する)にて乾燥したのち、得られた固形物を、純水で洗浄し、濾過するという操作を2回繰り返した。濾過後の粉末を、110℃、24時間乾燥した。純水での洗浄の際の純水の使用量及び洗浄時間を変化させて、この作業を6バッチ行ったところ、以下の6種類の比表面積、アナターゼ(101)ピークの半値幅を有する酸化チタン粉末が得られた。この6バッチの作業では、純水での洗浄の際の純水の使用量及び洗浄時間を変化させた。粉末A〜粉末Fの特性を表1に示す。
Figure 2008179528
(実施例1)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
該原料酸化チタン粉末Aに、乳鉢で粉砕したチオ尿素を、硫黄原子の質量が該原料酸化チタン粉末AをTiO換算したときの100質量部に対して、40質量部となるように、添加および混合し、原料酸化チタンとチオ尿素との混合物を得た。
この混合物を焼成炉にて、400℃で2.5時間焼成した。得られた焼成物をボールミルにて粉砕して、純水で洗浄した後、60℃で乾燥して黄色から黄橙色の酸化チタン粉末Gを得た。この酸化チタン粉末Gの比表面積は72m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.068質量%であった。
(実施例2)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
原料酸化チタン粉末Aに代えて、原料酸化チタン粉末Bとする以外は、実施例1と同様の方法で行い、酸化チタン粉末Hを得た。該酸化チタン粉末Hの比表面積は87m/g、X線回折によるルチル化率は0%であり、硫黄含有量は0.070質量%であった。
(実施例3)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
原料酸化チタン粉末Aに代えて、原料酸化チタン粉末Cとする以外は、実施例1と同様の方法で行い、酸化チタン粉末Iを得た。該酸化チタン粉末Iの比表面積は95m/g、X線回折によるルチル化率は0%であり、硫黄含有量は0.094質量%であった。
(実施例4)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
原料酸化チタン粉末Aに代えて、原料酸化チタン粉末Dとする以外は、実施例1と同様の方法で行い、酸化チタン粉末Jを得た。該酸化チタン粉末Jの比表面積は115m/g、X線回折によるルチル化率は0%であり、硫黄含有量は0.071質量%であった。
(比較例1)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
原料酸化チタン粉末Aに代えて、酸化チタン粉末Eとする以外は、実施例1と同様の方法で行い、酸化チタン粉末Kを得た。該酸化チタン粉末Kの比表面積は47m/g、X線回折によるルチル化率は0%であり、硫黄含有量は0.032質量%であった。
(比較例2)
(原料酸化チタンと硫黄化合物との混合物の焼成)
原料酸化チタン粉末Aに代えて、酸化チタン粉末Fとする以外は、実施例1と同様の方法で行い、酸化チタン粉末Lを得た。該酸化チタン粉末Lの比表面積は64m/g、X線回折によるルチル化率は0%であり、硫黄含有量は0.043質量%であった。
該酸化チタン粉末GのXPSスペクトルの測定の結果、S4+に由来する169eV付近の特性ピークが見られ、S2−に由来する160eV付近の特性ピークが見られなかった。該酸化チタン粉末H〜JのXPSスペクトルも同様であった。
また、該酸化チタン粉末G〜Lの光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(実施例5)
(鉄化合物担持体の焼成)
実施例1の酸化チタン粉末Gを、塩化鉄六水和物(和光純薬製)の水溶液(鉄濃度:3.4質量%)に分散させ、60分間の間、室温にて攪拌を行った。これを濾過を行いながら、純水で十分洗浄を行った後、80℃で乾燥して、鉄化合物を担持した酸化チタン粉末Mを得た。この酸化チタン粉末Mの比表面積は72m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.068質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。鉄を担持することで、触媒活性が向上することがわかる。
(実施例6)
実施例1の酸化チタン粉末Gに変えて、実施例2の酸化チタン粉末Hを用いて、実施例5と同様に処理を行い、酸化チタン粉末Nを得た。この酸化チタン粉末Nの比表面積は87m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.070質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(実施例7)
実施例1の酸化チタン粉末Gに変えて、実施例3の酸化チタン粉末Iを用いて、実施例5と同様に処理を行い、酸化チタン粉末Oを得た。この酸化チタン粉末Oの比表面積は95m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.094質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(実施例8)
実施例1の酸化チタン粉末Gに変えて、実施例4の酸化チタン粉末Jを用いて、実施例5と同様に処理を行い、酸化チタン粉末Pを得た。この酸化チタン粉末Pの比表面積は115m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.071質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(比較例3)
実施例1の酸化チタン粉末Gに変えて、比較例1の粉末Kを用いて、実施例5と同様に処理を行い、酸化チタン粉末Qを得た。この酸化チタン粉末Qの比表面積は47m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.032質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(比較例4)
実施例1の酸化チタン粉末Gに変えて、比較例2の酸化チタン粉末Lを用いて、実施例5と同様に処理を行い、酸化チタン粉末Rを得た。この酸化チタン粉末Rの比表面積は64m/g、X線回折によるルチル化率は0%、硫黄含有量は0.043質量%、鉄含有量は0.1質量%であった。光触媒性能の測定結果(IPA分解性能)を表2に示す。
(実施例9)
(原料酸化チタンと窒素化合物との混合物の焼成)
該原料酸化チタン粉末Aに、乳鉢で粉砕した尿素を、窒素原子の質量が該原料酸化チタン粉末AをTiO換算したときの100質量部に対して、40質量部となるように、添加および混合し、原料酸化チタンと尿素との混合物を得た。
この混合物を焼成炉にて、アンモニア雰囲気中、400℃で2.5時間焼成した。得られた焼成物をボールミルにて粉砕して、純水で洗浄した後、60℃で乾燥して黄色から黄橙色の酸化チタン粉末Sを得た。この酸化チタン粉末Sの比表面積は80m/g、X線回折によるルチル化率は0%、窒素含有量は0.41質量%であった。また、IPAの分解性能測定の結果、IPA分解性能は60%であり、可視光で光触媒活性を示すことが確認された。また、XPSスペクトルの測定の結果、N1sに由来する396eV〜398eV付近の特性ピークが見られた。
Figure 2008179528

Claims (9)

  1. 比表面積が200m/g以上400m/g以下であり、X線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.60°以上1.5°以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である原料酸化チタンと、硫黄化合物または窒素化合物のうち少なくともいずれか、またはこれらの両方と、を混合して、焼成原料混合物を得、次いで、該焼成原料混合物を焼成することを特徴とする酸化チタンの製造方法。
  2. 前記原料酸化チタンが、比表面積が200m/g以上350m/g以下であり、X線回折分析によるアナターゼの(101)ピークの半値幅が2θ=0.80°以上1.2°以下であり、且つ結晶構造がアナターゼ主体である原料酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の酸化チタンの製造方法。
  3. 前記原料酸化チタンが、チタン塩とアルカリ化合物との中和反応により得られる酸化チタン、又はチタン塩の加水分解により得られる酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化チタンの製造方法。
  4. 前記原料酸化チタンが、四塩化チタンとアルカリ化合物との中和反応により得られる酸化チタンであることを特徴とする請求項3に記載の酸化チタンの製造方法。
  5. 前記焼成原料混合物中の前記硫黄化合物の合計混合量が、前記原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する硫黄原子の合計質量が、5〜150質量部となる量であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
  6. 前記焼成原料混合物中の前記窒素化合物の合計混合量が、前記原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する窒素原子の合計質量が、5〜150質量部となる量であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
  7. 前記焼成原料混合物中の前記硫黄化合物および前記窒素化合物の合計混合量が、前記原料酸化チタンをTiO換算したときの100質量部に対する硫黄原子および窒素原子の合計質量が、5〜150質量部となる量であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
  8. 前記原料酸化チタンが、酸化チタン中に遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物を含む原料酸化チタンであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
  9. 前記焼成原料混合物を焼成した後、前記焼成原料混合物を焼成したて得られる酸化チタンを、遷移金属化合物または貴金属化合物と接触させ、遷移金属、貴金属、遷移金属化合物または貴金属化合物を含有させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
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