JP4735871B2 - 窒素導入型金属酸化物の製造方法及びこれを用いた光触媒の製造方法 - Google Patents

窒素導入型金属酸化物の製造方法及びこれを用いた光触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒素導入型金属酸化物の製造方法、詳細には、金属酸化物または金属水酸化物の部分窒化方法に関する。さらに本発明は、可視光下で高性能を示す窒素導入型金属酸化物光触媒の製造方法に関する。
酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物は紫外光を照射すると光励起により電子や正孔を生じ、強い還元力や酸化力を呈する光触媒体として作用する。この光触媒体は、有害物質の分解・浄化、脱臭、殺菌等に広く利用されている。また、光触媒体は、水の分解による水素製造にも使用され、新たなエネルギー源として期待されている。しかし、屋内の蛍光灯や太陽光を効率的に利用するためには、可視光を利用することが必要となる。
現在、このような可視光領域で動作できる可視光動作型光触媒として窒素、硫黄、炭素等の異原子導入型金属酸化物が注目されている。非特許文献1には窒素導入型酸化チタン光触媒が記載されており、アルデヒドの酸化分解において可視光下でも高い分解活性を示している。
このような窒素導入型酸化チタン光触媒は、酸化チタン(TiO)などのチタン化合物をターゲットとして窒素雰囲気でスパッタリングすることにより作製することができる(非特許文献1参照)。
また、特許文献1には酸化チタン微粒子をアンモニア雰囲気下での700℃の熱処理により作製する方法が記載されている。このような高温且つ窒素濃度の高い条件は、可視光領域で十分に動作するのに十分な量の窒素を酸化チタンに導入するために不可欠であると考えられていた。
しかしながら、このような高温での加熱処理過程は、一般的には光触媒の活性を低下させる原因となる。光触媒反応は触媒表面での反応であるため、高い活性を発現させるためには高い比表面積が求められるが、高温加熱処理プロセスは光触媒の緻密化を引き起こし、比表面積を低下させる原因となるからである。また、600℃以上の加熱により、酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型から触媒活性の低いルチル型へと転移することが知られている。
そこで、低温下で触媒活性の高い窒素導入型酸化チタンを作製するために、種々の試みがなされてきた。例えば、特許文献2では、遷移金属元素を酸化チタンにドープしたものに、アンモニアガスまたはアンモニア含有ガスの雰囲気下で、300〜600℃での加熱により、窒素を導入させている。特許文献3では、層間に有機配位子を有する層状のチタニア有機複合体をアンモニア水で処理した後、400℃で加熱することで窒素導入型酸化チタンを作製している。
しかしながら、これらの試みにおいてもなお、加熱処理温度は300℃以上であり、また、これらは出発物質として複雑な構造を有する酸化チタンを必要とする点で問題がある。
加熱処理により窒素導入型酸化チタンを作製する方法として、特許文献4には、酸化チタンを尿素と混合し、アンモニア雰囲気下、450℃で30分間加熱することにより、窒素導入型酸化チタンを作製できることが記載されている。なお、特許文献4には、加熱温度が150〜600℃で作製できる旨の記載があるが、実際には、350℃以下の熱処理では、酸化チタンはわずかに黄色くなるのみで、十分な可視光吸収特性を得ることはできず、可視光下で光触媒性能を十分に発揮できない。
また、特許文献5には、水分解用光触媒としてBaCOとTaを混合し、空気中で焼成してBa4.5Ta14.5を合成し、これを前駆体として、さらにこの前駆体にLaを添加して、アンモニア中で窒素化して、Ba4.5La0.5Ta14.50.5を製造する方法が記載されている。さらに、その実施例1には、前駆体とLaの混合物を窒素化するために、アンモニアガス中、1000℃で3時間処理することが開示されている。しかしながら、このような高温にさらされると、酸化物はシンタリングにより粒子が大きく成長し、比表面積が小さくなる。
特開2001−207082号公報 特開2004−97868号公報 特開2006−75794号公報 特開2002−154823号公報 特開2007−175659号公報
"Visible-Light Photocatalysis in Nitrogen-Doped Titanium Oxides.",Science, pp.269-271 vol.293, No.5528, 2001, Asahi,R.; Morikawa,T.; Ohwaki,T.; Aoki,K.; Taga,Y.
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は低温下でかつ簡便に窒素導入型金属酸化物を製造する方法を提供する。さらに本発明の第二の目的は、当該窒素導入型金属酸化物を活性化させることにより可視光領域で光触媒として高い性能を有する窒素導入型金属酸化物光触媒の製造方法を提供するものである。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、低温下で効率的に金属酸化物に窒素を導入することのできる、窒素導入型金属酸化物の製造方法に関する。
本発明の第一の態様は、
(1)以下の成分:
(a)第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物および水酸化物と、
(b)常温で固体の窒素化合物と、
(c)以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩、またはその付加物からなる群から選択されるヒドラジン化合物:
Figure 0004735871
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
を混合する工程と、
(2)前記混合物を空気中、100〜200℃で加熱する工程とを順に含む。
また、本発明の第二の態様は、
(1’)以下の成分:
(a)第4族,第5族,第6族,および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物および水酸化物と、
(b)常温で固体の窒素化合物と、
を混合する工程と、
(2’)前記混合物を空気中、100〜200℃で加熱しながら
(c)以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩、またはその付加物からなる群から選択されるヒドラジン化合物:
Figure 0004735871
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
を前記混合物に接触させる工程であって、前記ヒドラジン化合物は液体または気体である工程とを順に含む。
本発明の第三の態様は、可視光領域で光触媒として高い性能を有する窒素導入型金属酸化物光触媒の製造方法に関する。上記工程(1)および(2)または上記工程(1’)および(2’)に次いで、
(3)得られた窒素導入型金属酸化物を無酸素雰囲気下、350℃以上で加熱処理する工程と、
(4)前工程(3)の加熱処理物を酸素含有雰囲気下、300℃以上で加熱処理する工程を順に含む。
本発明によれば、ヒドラジン化合物存在下で、第4族,第5族,第6族,および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物または水酸化物と固体の窒素化合物の混合物を加熱することにより、ヒドラジン等が存在しない場合またはアンモニアガス存在下に比べて、効率的に金属酸化物に窒素を導入することができ、さらにそれを活性化させることにより可視光領域で高い触媒能を有する光触媒を提供することができる。
実施例1及び2ならびに比較例1〜4により製造された窒素導入型酸化チタンの紫外―可視吸収スペクトル図である。
1.本発明の第一の態様について
本発明者は、低温下で効率的に第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物に窒素を導入するために、種々検討した。その結果、ヒドラジン化合物存在下で、金属酸化物または金属水酸化物と固体の窒素化合物の混合物を加熱することにより、ヒドラジン等が存在しない場合またはアンモニアガス存在下に比べて、効率的に金属酸化物に窒素を導入することができることを見出した。
以下、本発明の実施形態について、説明する。
(第1工程)
本発明の方法の第1工程は、第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属化合物(a)と、常温で固体の窒素化合物(b)と、ヒドラジン化合物(c)とを混合する工程である。混合は、金属化合物(a)と常温で固体の窒素化合物(b)が均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、金属化合物(a)と窒素化合物(b)をボールミルや乳鉢で混合粉砕する方法、または金属化合物(a)と窒素化合物(b)をそれぞれボールミルや乳鉢で粉砕後、同一の容器に移送して混合する方法等がある。また、ヒドラジン化合物(c)の混合には、ヒドラジン化合物(c)が固体の場合は、粉砕して金属化合物(a)および窒素化合物(b)と一緒に混合する。ヒドラジン化合物(c)が液体の場合は、金属化合物(a)と窒素化合物(b)の混合物に後から加えてもよい。
金属化合物(a)
金属化合物(a)には、第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物または水酸化物を使用することができる。粉状の金属化合物がより好適である。また、このような粉状の金属化合物は市販されているものでよい。これらの金属化合物としては、酸化チタン(TiO)、水酸化チタン(Ti(OH))、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)がある。
金属化合物(a)として酸化チタンを用いる場合、結晶構造はアナタ―ゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでもよいが、特にアナターゼ型が触媒能が高く、好適である。酸化チタン粒子は、十分な触媒活性を有するために、窒素吸着によるB.E.T.法により測定した比表面積が200m/g以上であるものが好適である。
金属化合物(a)は、さらに表面がシリカまたはジルコニアにより修飾されていてもよい。金属化合物(a)を修飾する方法は特に限定されないが、例えば、金属アルコキシドの加水分解により、あるいはスパッタ、真空蒸着、イオンプレーティング、またはCVD法などで珪素またはジルコンを金属化合物(a)に担持させることにより修飾することができる。
例えば、金属化合物(a)の表面を修飾するために、アルコキシシランを使用してもよい。使用するアルコキシシランは、加熱処理により燃焼してシリカを与えるものであれば、いずれのアルコキシシランでもよいが、燃焼除去され易い低分子量のアルコキシル基を有するものが好適である。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基を有するものが好適であり、特にテトラエトキシシランが好適である。
なお、光触媒は触媒表面で反応が進行するため、上記金属化合物粒子の表面の修飾は局所的に行われることが好適である。例えば、シリカで修飾された酸化チタン粒子のシリカ含有量は5〜10重量%であることが好適である。
窒素化合物(b)
常温で固体の窒素化合物(b)は、尿素、チオ尿素、1,1−ジメチル尿素、シアヌル酸、メラミンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が好適であり、特に尿素が好適である。
ヒドラジン化合物(c)
ヒドラジン化合物(c)は、以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩、またはその付加物からなる群から選択されるヒドラジン化合物である。
Figure 0004735871
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
その中でも、ヒドラジンは沸点が113.5℃であり、工程(2)の100〜200℃の加熱処理において、反応容器内に気体として存在しうるため好適である。
上述した金属化合物(a)と上記固体の窒素化合物(b)とヒドラジン化合物(c)との混合比は任意でよいが、例えば窒素化合物(b)として尿素粉末を使用する場合には、金属酸化物に十分に窒素を導入するためには、金属化合物(a)100に対し尿素粉末が10以上が好ましく、経済的な点からも1000未満の重量比で十分である。好適には10〜200であり、より好適には20〜100である。
ヒドラジン化合物(c)としてヒドラジンを使用する場合には、効率的に窒素を導入するためには、金属化合物(a)100に対し、ヒドラジンが10以上が好ましく、経済的な点からも1000未満の重量比で十分である。好適には10〜200であり、より好適には50〜100である。
(第2工程)
本発明の方法の第2工程は、前記第1工程から得られる混合物を空気中、100〜200℃で加熱する工程である。100度未満の温度ではヒドラジンが蒸発しにくく、いつまでも液体として存在するため、金属酸化物(または金属化合物)の還元効率が低下する。また、加熱工ネルギーの効率を考慮すれば、200℃程度までの加熱で十分である。
加熱は、窒素等で置換して無酸素雰囲気で行ってもよい。空気中では、例えばヒドラジンの蒸発により、引火による爆発の危険性があるため、多量に処理する場合には無酸素雰囲気の方が好ましい。加熱時間は、金属化合物(a)、窒素化合物(b)およびヒドラジン化合物(c)の仕込量により異なるが、得られた金属酸化物を用いた光触媒が可視光領域で十分に触媒能を有する程度に窒素を導入できればよく、ヒドラジン化合物(c)が液体の場合は、未反応のヒドラジン化合物が蒸発して、混合物が乾燥するまで加熱するとよい。ヒドラジン化合物(c)が固体の場合は、ヒドラジン化合物が分解して、ヒドラジンが発生する温度以上で加熱することが好ましい。
加熱処理は、上記混合物を所定温度に加熱できる手段を用いて行われるが、この手段は特に限定されない。例えば金属化合物(a)、窒素化合物(b)およびヒドラジン化合物(c)をフラスコ、ガラス瓶等の耐熱性容器に入れて、蓋を少し開けた状態でオーブン等の加熱装置に入れて行うことが好ましい。ヒドラジン化合物(c)は、蒸発して金属酸化物の酸素を引き抜くと考えられるため、金属酸化物をヒドラジン化合物の蒸気と効果的に接触させる必要がある。したがって、耐熱容器の開口部は、ヒドラジン化合物が徐々に蒸発するように小さく、蓋が使える方が好ましい。また、容器は、大型の容器を外部から加熱する方法でもよい。この場合も、ヒドラジン化合物が徐々に蒸発するように開口部を小さくする方が好ましい。
加熱処理は、静置しながらでもよいが、撹絆しながら加熱しても良い。理論により限定されないが、このような加熱処理によって、金属酸化物の酸素原子が窒素原子と置き換わり、窒素導入型金属酸化物が生成されると考えられる。その際、ヒドラジンは還元力が強いため、酸素原子を金属化合物から引き抜き、次いで尿素から窒素原子が金属化合物に導入されると考えられる。一方、尿素単独では、ヒドラジンよりも還元力が弱いため、このような引き抜きは行われず、350℃より高い温度でなければ窒素を十分に導入することができないと考えられる。
2.本発明の第二の態様について
また、本発明では、上記第1工程および第2工程にかえて、以下に記載する方法で金属酸化物に窒素を導入しても良い。金属化合物(a)および窒素化合物(b)は、発明の第一の態様と同様のものを用いることができる。また、ヒドラジン化合物(c)は、後述するように、加熱された反応混合物に液体または気体状態で供給することができれば、以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩、またはその付加物からなる群から選択されるヒドラジン化合物を用いることができる。
Figure 0004735871
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
(第1’工程)
本発明の方法の第1’工程は、第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属化合物(a)と、常温で固体の窒素化合物(b)とを混合する工程である。また、混合は、金属化合物(a)と常温で固体の窒素化合物(b)が均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、金属化合物(a)と窒素化合物(b)をボールミルや乳鉢で混合粉砕する方法、または金属化合物(a)と窒素化合物(b)をそれぞれボールミルや乳鉢で粉砕後、同一の容器に移送して混合する方法等がある。
(第2’工程)
本発明の方法の第2’工程は、前記第1’工程から得られる混合物を空気中、100〜200℃で加熱しながら、ヒドラジン化合物(c)を液体または気体で供給し、接触させる工程である。100度未満の温度ではヒドラジンが蒸発しにくく、いつまでも液体として存在するため、金属酸化物(または金属化合物)の還元効率が低下する。また、加熱工ネルギーの効率を考慮すれば、200℃程度までの加熱で十分である。
加熱は、窒素等で置換して無酸素雰囲気で行ってもよい。空気中では、例えばヒドラジンガスにより、引火による爆発の危険性があるため、多量に処理する場合には無酸素雰囲気の方が好ましい。加熱時間は、金属化合物(a)、窒素化合物(b)およびヒドラジン化合物(c)の仕込量により異なるが、得られた金属酸化物を用いた光触媒が可視光領域で十分に触媒能を有する程度に窒素を導入できればよい。ヒドラジン化合物(c)を液体で供給した場合は、未反応のヒドラジン化合物が蒸発して、混合物が乾燥するまで加熱するとよい。ヒドラジン化合物(c)が気体の場合は、供給量の全てが(a)と(b)の混合物と接触するようにして、接触しない部分が残らないように注意する。
加熱処理は、上記混合物を所定温度に加熱できる手段を用いて行われるが、この手段は特に限定されない。例えば、金属化合物(a)と窒素化合物(b)の混合物をガラス管等の筒状容器の中央部にフィルターで固定した状態でセットし、ヒドラジン化合物(c)を含んだキャリヤーガスを、(a)と(b)の混合物を通過させて行うことが好ましい。筒状容器の素材は、ガラス、石英、アルミナ等の200℃程度の温度に耐える物質であれば、特に制限はされない。筒状容器は、横置き、縦置きどちらで良い。この筒状容器の加熱方法は、容器の周りに電気ヒーターを巻いて加熱する方法、オーブンや電気炉の内部に筒状容器を設置して加熱する方法等、筒状容器内の混合物が均一に加熱される方法であれば、特に制限されない。
また、筒状容器ではなく、フラスコ、ガラス瓶等の耐熱性容器に(a)と(b)の混合物を入れて、加熱しながら、ヒドラジン化合物(c)を供給する方法でもよい。気体状態でヒドラジン化合物を供給した場合、混合物の下部がヒドラジン化合物と接触しにくいため、攪拌しながら行うことが好ましい。また、耐熱容器の開口部は、ヒドラジンが急激に拡散して外部へ逃げるのを防ぐために、小さく、蓋が使える方が好ましい。
3.本発明の第三の態様について
また、本発明では、前記第1工程及び第2工程または第1’工程及び第2’工程から得られる窒素導入型金属酸化物を活性化させることにより、優れた触媒能を有する光触媒を提供する方法にも関する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第3工程)
本発明の方法の第3工程は、上記第1工程及び第2工程または第1’工程及び第2’工程から得られる窒素導入型金属酸化物を350℃以上の温度で無酸素雰囲気下、加熱処理する工程である。加熱処理をする手段は特に限定されないが、例えば、無酸素状態にした雰囲気焼成炉で処理する方法、または、管状炉内を無酸素状態にして、外部から電気ヒーターまたはバーナー等で加熱して処理する方法等がある。
また、上記第3工程の加熱処理を行う際には、無酸素雰囲気であればよく、特に雰囲気の種類は限定されない。例えば、窒素ガス、アルゴンガス、アンモニアガスなどが好適であり、特にアンモニアガス雰囲気が好適である。
この加熱処理前は、窒素原子と金属原子の結合が弱く、窒素原子が結晶から容易に脱離してしまう。そのため当該第3工程の加熱処理前の化合物を空気中で加熱すると、容易に結晶中の窒素原子が酸素と反応して酸化窒素となり金属酸化物結晶から消失してしまい、可視光下での光触媒機能が発揮できない。
そこで本発明者は、当該第3工程において、無酸素雰囲気下で加熱処理すると、得られた加熱処理物は、空気中で第3工程の加熱処理以下の温度で加熱しても結晶中の窒素が酸化されにくくなることを見出した。これは、理論により限定されるものではないが、無酸素雰囲気下の加熱処理により、金属酸化物に導入された窒素が金属酸化物結晶中に強固に固定化されるためと考えられる。
さらに、空気中、当該加熱処理を超える温度で第3工程の加熱処理物を処理すると、窒素は酸化されて消失してしまう。したがって、350℃以上の加熱処理は、可視光下での光触媒機能を発揮するためには必須である。
また、第3工程の加熱処理温度は350℃以上であればよいが、金属酸化物結晶中の窒素をより強固に固定化するために、600℃以上で処理してもよい。先述したように、第3工程の加熱処理は、結晶中の窒素原子の固定化に必須であり、加熱処理温度で窒素原子の安定な温度も決定される。したがって、無酸素中600℃以上で処理することにより、得られた窒素導入型金属酸化物は、600℃以下では空気中でも窒素原子が安定化し、容易に酸化されない。
この特性を利用すると、光触媒を無機バインダーで固定化する方法 (例えば、シリカゾルを混合して一緒に塗布し、400〜500℃の温度で焼結させて強固な塗膜を形成させる方法)に適応できる。この方法は、特に、耐火性が高いセラミックスや金属では、長期間安定な塗膜を形成できるため、好んで利用される方法である。
また、第3工程の加熱処理温度は、800℃未満が好ましい。800℃以上になると、金属酸化物の結晶が粒成長を起こし、比表面積が小さくなって光触媒としての性能が低下してしまうからである。
(第4工程)
本発明の方法の第4工程は、第3工程の加熱処理物を、酸素含有雰囲気下、300℃以上で酸化処理する工程である。この酸化処理は、光触媒表面に残存する有機物の除去および部分的に還元された金属イオンの酸化が目的である。第3工程後、化合物(b)、化合物(c)およびそれらが変異した化合物が、金属酸化物表面に吸着して残存している。これらの化合物が残存していると、光触媒表面が覆われてしまい、光触媒性能が十分に発揮できない。これらの化合物は、500℃以上で昇華する物質も含まれるが、それより低い温度での酸化処理により除去することもできる。
この酸化処理は、350℃より低い温度でも除去は可能であるが、処理時間の観点から、350℃以上での酸化処理が好ましい。また、酸化処理の温度は、第3工程の温度より低い温度が好ましい。第3工程より高い温度で酸化処理すると、結晶中の窒素原子が酸化されて、窒素原子が消失してしまい、光触媒性能が低下するからである。
第3工程の処理温度が500℃を超える場合、金属原子が還元されて、部分的に還元された金属イオンが生成する。還元された金属イオンは、再酸化される時に、光触媒機能を発揮する場合もあるが、一時的な効果であるため、触媒としては機能しない。したがって、酸化処理により金属酸化物を再酸化することにより、安定した光触媒機能を得ることができる。
本発明により製造された光触媒は、有機および/または無機固体支持体の表面に導入または固定化することができる。有機および/または無機固体支持体には、例えば、吸湿材、調湿材、建材、外壁材、繊維、濾過材などの機能性材料が含まれるが、これらに限定されない。また、これらの機能性材料の原料には、ガラス、石英、鉄およびステンレス等の金属、シリコン、セラミックス、粘土、マイカ、合成樹脂、天然樹脂、合成繊維、天然繊維および、これらの混合物などが含まれるが、本発明の光触媒を表面に固定化できるものであれば、これらに限定されない。
有機および/または無機固体支持体の表面に本発明の光触媒を導入、固定化する方法は当業者に広く一般に知られている方法を用いることができる。例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、印刷、スプレーコーティング、塗布などのコーティング法により光触媒を含む膜を形成することができる。上記膜は、本発明の窒素導入型金属酸化物を無機および/または有機バインダーならびにこれらの混合物に添加して得られるコーティング組成物をコーティングすることにより作製してもよい。また、該コーティング組成物は、コーティングする有機および/または無機固体支持体ならびに使用するバインダーの性質、あるいは所望する膜の厚さなどにより溶媒を含んでもよく、さらに、これらに限定されないが、その他の顔料、防腐剤、増粘剤、硬化剤、消泡剤、分散剤、つや消し剤、レベリング剤などのコーティング組成物に一般的に添加される添加剤を含んでもよい。本発明により得られる光触媒は、可視光領域に十分な吸収を有する窒素導入金属酸化物を含むため、可視光領域で動作することができ、例えば、脱臭、殺菌、VOC除去、超親水性膜等の分野に利用してもよい。
(実施例1)
上述した実施形態の具体例を、以下に実施例として説明する。
窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例2)
工程2における加熱処理温度を100℃にし、かつ8日間加熱したことを除いて、実施例1と同様の手順を繰り返した。得られた加熱処理物は、黄色であった。
(比較例1)
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、シリコンゴム栓を隙間を空けてセツトした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、10日間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で白色であった。
(比較例2)
工程2における加熱処理温度を200℃にしたことを除いて、比較例1と同様の手順を繰り返した。得られた加熱処理物は、白色であった。
(比較例3)
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gを200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、10日間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で白色であった。
(比較例4)
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を石英管 (内径36mm、長さ700mm)に詰め、長さ300mmの電気管状炉にセットした。
(工程2)
石英管内部をアンモニアガスで置換した後、極微量のアンモニアガスを流しながら200℃で24時間加熱処理した。得られた混合物は、白色であった。
(実施例3)
製造された窒素導入型酸化チタンの物性
実施例1及び実施例2、ならびに比較例1〜比較例4において得られた加熱処理物を日本分光製V−550に積分球装置を設置して、粉末の吸収スペクトルを測定した。結果は、図1に示すとおり、実施例1および実施例2では、400nm以上の波長にまで吸収が認められるが、比較例1〜比較例4では、400nm以上の波長の吸収はほとんど認められなかった。
したがって、尿素もしくはヒドラジン単独で酸化チタンに混合した場合、または尿素とアンモニアを同時に酸化チタンに混合した場合であっても、150〜200℃での加熱では窒素原子を酸化チタンに導入することはできない。一方、尿素とヒドラジンを同時に酸化チタンに混合することにより100〜200℃の低い温度で窒素原子を酸化チタンに導入することが可能となる。
(実施例4)
窒素導入型酸化チタンの活性化
(工程3)
実施例1の工程2で加熱処理した混合物を乳鉢で粉砕して、石英管(内径36mm、長さ700mm)に詰め、長さ300mmの電気管状炉にセットし、石英管内部を窒素ガスで置換した。その後、窒素ガスの流入を止めて、350℃で2時間加熱処理を行った。混合物は、窒素ガスを流しながら冷却した後、石英管から取り出した。
(工程4)
工程3の加熱処理物をセラミックス製焼成容器に入れ、電気炉を使用して、空気中350℃で30分間加熱処理を行った。得られた加熱処理物は、加熱処理前に較べて黄色が薄くなった粉末であった。
(実施例5)
工程3における電気管状炉による加熱処理温度を400℃に変更したことを除いて、実施例4と同様の手順を繰り返した。得られた加熱処理物は、加熱処理前に較べて黄色が薄くなった粉末であった。
(実施例6)
工程3における電気管状炉による加熱処理温度を450℃に変更したことを除いて、実施例4と同様の手順を繰り返した。得られた加熱処理物は、加熱処理前に較べて黄色が薄くなった粉末であった。
(比較例5)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を、石英管(内径36mm、長さ700mm)に詰め、長さ300mmの電気管状炉にセットし、石英管内部を窒素ガスで置換した。その後、窒素ガスの流入を止めて、350℃で2時間加熱処理を行った。混合物は、窒素ガスを流しながら冷却した後、石英管から取り出した。加熱処理物は、黄色の粉末であった。得られた黄色粉末は、純水で洗浄して、不純物を除去して乾燥した。
(比較例6)
比較例5において、加熱処理温度を450℃に変更した以外は、同様の手順で処理した。得ちれた黄色粉末は、純水で洗浄して、不純物を除去して乾燥した。
(実施例7)
表面がシリカ修飾された二酸化チタンを用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(シリカ原料の担持工程)
酸化チタン(石原産業製ST−01)100gを1000mLビーカーに入れ、そこに、オルト珪酸テトラエチル16gおよびエタノール90gの混合溶液を添加し、全体が均―になるように撹絆した。この混合物を120℃で乾燥して白色の粉体を得た。
ここで、添加したオルト珪酸テトラエチルは、シリカとして、酸化チタンの5wt%になる量である。
(酸化チタンへの窒素導入)
(工程1)
この白色粉体8.0gと尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を開けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れ、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(窒素導入型酸化チタンの活性化)
(工程3)
工程2で加熱処理した混合物を乳鉢で粉砕して、石英管 (内径36mm、長さ700mm)に詰め、長さ300mmの電気管状炉にセットし、石英管内部をアンモニアガスで置換した。その後、アンモニアガスの流入を止めて、450℃で2時間加熱処理を行なった。混合物は、窒素ガスを流しながら冷却した後、石英管から取り出した。
(工程4)
工程3の加熱処理物をセラミックス製焼成容器に入れ、電気炉を使用して、空気中450℃で1時間加熱処理を行なった。得られた加熱処理物は、加熱処理前に較べて黄色が薄くなった粉末であった。
(実施例8)
窒素導入型酸化チタン光触媒の可視光下での光触媒性能
実施例4〜実施例7、比較例5および比較例6で得られた粉末ならびに未処理の酸化チタン(ST−01:比較例7)の可視光照射下での光触媒性能を測定した。
粉末0.5gを純水に懸濁した後、直径92mmのシャーレに入れて乾燥した。その後、360nmの紫外線(1mW/cm)を16時間以上照射して光触媒表面の有機物を除去した後、容量2Lのセパラブルフラスコに入れ、上部をホウ珪酸ガラスでフタをして、ホウ珪酸ガラスの上部に青色LED(中心波長470nm、1W)30個をモジュールとしたLED照明をセットした。その後、アセトンを4μL入れて、7時間吸着させて安定した後、セパラブルフラスコ内部のアセトンガス濃度、および更に、16時間経過後のアセトンガス濃度を測定した。
触媒活性は、縦軸をアセトン濃度(ppm)の自然対数とし、横軸を時間(時間)としたときの、2点間の傾きの絶対値を評価した。傾きが大きいほど、アセトンガスが分解されたことを示す。結果は、表1に示すとおりとなった。
Figure 0004735871
(実施例9)
N,N-ジメチルヒドラジンを用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、N,N-ジメチルヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、約16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例10)
硫酸ヒドラジンを用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、硫酸ヒドラジン26gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、約16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例11)
チオ尿素を用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、チオ尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、約16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例12)
シアヌル酸を用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、シアヌル酸8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、約16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例13)
メラミンを用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、メラミン8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、約16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態でクリーム色に着色していた。
(実施例14)
液体状態のヒドラジン化合物を用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1’)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2’)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、フラスコ内の混合物が150℃になった後、ヒドラジン10gを液状で三角フラスコ内に滴下しながら添加した。その後、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例15)
液体状態のヒドラジン化合物を用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1’)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を石英管(内径36mm、長さ700mm)に詰めた。
(工程2’)
この石英管を長さ300mmの電気管状炉にセットして150℃に加熱した。ヒドラジン10gを液状で石英管内に滴下して、5時間加熱処理した。石英管内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例16)
気体状態のヒドラジン化合物を用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1’)
酸化チタン(石原産業製ST−01)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物をこの混合物を石英管(内径36mm、長さ700mm)に詰めた。
(工程2’)
この石英管を長さ300mmの電気管状炉にセットして150℃に加熱した。ヒドラジンは、窒素ガスでヒドラジン中をバブリングして、石英管内に供給した。窒素ガスを100mL/minで供給し、16時間加熱処理した。石英管内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例17)
水酸化チタンを用いた窒素導入型酸化チタンの作製
(工程1)
水酸化チタン(白色粉末)8.0gと、尿素8.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で黄色に着色していた。
(実施例18)
窒素導入型酸化ニオブの作製
(工程1)
酸化ニオブ(白色粉末)10.0gと、尿素10.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態でクリーム色に着色していた。
(実施例19)
窒素導入型酸化亜鉛の作製
(工程1)
酸化亜鉛(白色粉末)10.0gと、尿素10.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態でクリームに着色していた。
(実施例20)
窒素導入型酸化タングステンの作製
(工程1)
酸化タングステン(黄色粉末)10.0gと、尿素10.0gを乳鉢で粉砕しながら混合した。この混合物を200mLの三角フラスコに入れ、ヒドラジン10gを添加した後、シリコンゴム栓を隙間を空けてセットした。
(工程2)
この三角フラスコを150℃に加熱してあるオーブンに入れて、16時間加熱処理した。三角フラスコ内の混合物は、乾燥した状態で青色に着色していた。
上記のとおり、実施例12〜実施例15では工程2の後に混合物の着色が確認され、窒素が導入されたことが認められた。
(実施例21)
窒素導入型金属酸化物中の窒素含有量測定
実施例1で得られた窒素導入型金属酸化物を、下記工程3の加熱処理により窒素を金属酸化物結晶中に固定し、工程4により残存している有機物および固定化されていない窒素原子を除去した。
(工程3)
実施例1の工程2で得られた混合物を乳鉢で粉砕して、石英管(内径36mm、長さ700mm)に詰め、長さ300mmの電気管状炉にセットし、石英管内部を窒素ガスで置換した。その後、窒素ガスの流入を止めて、450℃で2時間加熱処理を行った。混合物は、窒素ガスを流しながら冷却した後、石英管から取り出した。
(工程4)
上記工程3の加熱処理物をセラミックス製焼成容器に入れ、電気炉を使用して、空気中350℃で16時間加熱処理を行った。
(実施例22〜25)
実施例17〜20で得られた化合物を、実施例21と同様に、2段階で加熱処理した。
工程4で得られた窒素導入金属酸化物をCHN分析装置(住化分析装置 SUMIGRAPH NHC−900)を使用して、窒素含有量を測定した。結果は、表2に示すとおりとなった。
Figure 0004735871
(比較例8〜12)
ヒドラジンを添加せずに工程1を行った以外は、実施例1および実施例17〜20と同様に、窒素導入金属化合物をそれぞれ作製した。
(比較例13〜17)
比較例8〜12で得られた化合物を実施例21と同様に加熱処理し、窒素含有量をそれぞれ測定した。結果は、表3に示すとおりとなった。
Figure 0004735871
表2および表3の結果より、ヒドラジンと尿素を同時に金属化合物に混合して加熱処理した場合には、尿素だけを混合した場合に較べて、効果的に窒素を金属酸化物に導入できることが認められる。
以上の結果より、本発明の工程を使用することにより、効果的に金属酸化物に窒素原子を導入でき、さらに、可視光下において高性能な光触媒が得ることができた。
本発明は、低温下で効率的に金属酸化物に窒素を導入することのできる窒素導入型金属酸化物の製造方法と、それにより製造された窒素導入型金属酸化物を用いた光触媒の製造方法である。本発明の光触媒は、通常の光触媒と同様の種々の利用分野があるが、可視光領域で動作しうることから、例えば、脱臭、殺菌、VOC除去、超親水性膜等の分野に利用することができる。

Claims (10)

  1. (1)以下の成分:
    (a)第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物または水酸化物と、
    (b)常温で固体の窒素化合物と、
    (c)以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩からなる群から選択されるヒドラジン化合物:
    Figure 0004735871
    (式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
    を混合する工程と、
    (2)前記混合物を空気中、100〜200℃で加熱する工程と、
    を順に含み、
    前記窒素化合物が、尿素、チオ尿素、1,1−ジメチル尿素、シアヌル酸、メラミンから選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  2. (1’)以下の成分:
    (a)第4族、第5族、第6族、および第12族からなる群から選択される一種以上の金属の酸化物または水酸化物と、
    (b)常温で固体の窒素化合物
    を混合する工程と、
    (2’)前記混合物を空気中、100〜200℃で加熱しながら、
    (c)以下の式(1)を有するヒドラジンもしくはアルキルヒドラジン、またはその塩からなる群から選択されるヒドラジン化合物:
    Figure 0004735871
    (式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、HまたはC〜Cのアルキル基である)
    を前記混合物に接触させる工程であって、前記ヒドラジン化合物は液体または気体である工程と、
    を順に含み、
    前記窒素化合物が、尿素、チオ尿素、1,1−ジメチル尿素、シアヌル酸、メラミンから選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  3. 前記工程(1)で、前記金属の酸化物または水酸化物の表面がシリカまたはジルコニアにより修飾されていることを特徴とする請求項1に記載の窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  4. 前記工程(1’)で、前記金属の酸化物または水酸化物の表面がシリカまたはジルコニアにより修飾されていることを特徴とする請求項2に記載の窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  5. 前記金属の酸化物または水酸化物の表面の前記シリカによる修飾が、アルコキシシランによって行われることを特徴とする請求項3または4に記載の窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  6. シリカで修飾された前記金属の酸化物または水酸化物のシリカ含有量が5〜10重量%であることを特徴とする請求項5に記載の窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  7. 前記金属酸化物がアナタ―ゼ型の酸化チタンであり、窒素吸着により測定したB.E.T.比表面積が200m/g以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の窒素導入型金属酸化物の製造方法。
  8. (3)請求項1〜に記載された窒素導入型金属酸化物を無酸素雰囲気下、350℃以上で加熱処理する工程と、
    (4)前記工程(3)の加熱処理物を酸素含有雰囲気下、300℃以上で加熱処理する工程、
    を順に含むことを特徴とする光触媒の製造方法。
  9. 前記工程(3)の加熱処理をアンモニアガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項に記載の光触媒の製造方法。
  10. 前記工程(3)で加熱処理温度が600℃以上であることを特徴とする請求項又はに記載の光触媒の製造方法。
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