JP2008176048A - 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008176048A
JP2008176048A JP2007009296A JP2007009296A JP2008176048A JP 2008176048 A JP2008176048 A JP 2008176048A JP 2007009296 A JP2007009296 A JP 2007009296A JP 2007009296 A JP2007009296 A JP 2007009296A JP 2008176048 A JP2008176048 A JP 2008176048A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
filler particles
image
resin
charge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007009296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4778914B2 (ja
Inventor
Takuya Arimura
拓也 有村
Koutaro Fukushima
功太郎 福島
Tomoko Kanazawa
朋子 金澤
Tomoki Nakamura
知己 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2007009296A priority Critical patent/JP4778914B2/ja
Publication of JP2008176048A publication Critical patent/JP2008176048A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4778914B2 publication Critical patent/JP4778914B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】短波長の光の露光下での長期間の繰り返し使用に対しても、耐磨耗性/クリーニング性/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高品位な画像出力が可能な電子写真感光体を提供することを課題とする。
【解決手段】導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を含有し、前記最表面層中のフィラー粒子が下記式(1)1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、前記電荷発生層が、350〜500nmの発振波長を有する露光光により電荷を発生しうる材料からなることを特徴とする電子写真感光体により上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置に関する。更に詳しくは、本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ又はファクシミリ装置等として多用されている電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、次のようにして画像が形成されている。即ち、電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の表面を帯電ローラ等の帯電手段によって一様に帯電させる。次いで、該表面を露光して画像情報に対応する静電潜像を形成する。次に、この静電潜像をトナーと呼ばれる微粒子で現像して可視画像であるトナー画像を形成する。更に、形成されたトナー画像を転写紙等の被転写材に転写して定着させることによって、被転写材上に画像が形成される。トナー画像の転写後の感光体は、クリーニングブレード等によって清掃することにより、転写動作時に被転写材上に転写されずに感光体表面に残留するトナー等が除去される。
電子写真感光体は、導電性支持体上に光導電性材料を含む感光層が積層されてなる。光導電性材料として、従来から、セレン等の無機光導電性材料が用いられてきた。しかしながら、近年では、環境面、製造コスト、材料の自由度から有機感光体が広く用いられている。有機感光体の有利な点は、可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が選択できること、環境汚染のない材料が選択できること、製造コストが安いこと等である。一方、欠点は、機械的強度が弱く異物が付着しやすいこと、化学的耐久性が弱く、多数枚のプリント時に感光体の静電特性の劣化や、表面の擦過傷の発生等である。また、有機感光体としては、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体が用いられている。機能分離型感光体は、バインダ樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂中に電荷発生機能を担う電荷発生物質と電荷輸送機能を担う電荷輸送物質とが共分散された感光層を備える単層型感光体と、電荷発生物質が分散された電荷発生層と電荷輸送物質が分散された電荷輸送層とが積層されてなる感光層を備える積層型感光体とに大別される。
積層型感光体は、感光層の設計が容易であり、感度及び安定性に優れる電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点を有することから、有機感光体の主流を占めている。一方、単層型感光体は、感光層が単一の層からなるので、積層型感光体に比べ、生産性が高く、低い製造原価で製造でき、また帯電時に有害物質であるオゾンが発生しにくい正帯電プロセスでの使用が可能であることから、実用化され始めている。
画像形成プロセスにおいて電子写真感光体に要求される性能としては、帯電性、電荷保持能、光感度及び応答性等の電気特性に優れること、温度及び湿度等の環境の変化による特性の変動が小さく環境安定性に優れること等が挙げられる。また、電子写真装置では前述の画像形成プロセスが幾度ともなく繰返される。そのため、感光体には、繰返し使用における耐摩耗性すなわち機械的耐久性に優れること、繰返し使用時においても前述の電気特性が安定しており、電気的耐久性に優れること等も求められる。また、感光層を塗布によって形成する場合には、生産効率を向上させるために、塗布液が物理的にも化学的にも安定であることが要求される。
更に、電子写真装置には先に述べたように高耐久化が求められているから、感光体にも電気的耐久性及び機械的耐久性の向上が求められる。感光体の電気的耐久性及び機械的耐
久性には、感光体の表面層となる感光層の膜強度すなわち耐刷性が影響する。感光層の膜強度が低く、耐刷性が充分でないと、繰返し使用によって感光層表面が削り取られて感光層の膜厚が減少する。その結果、感光体は、帯電電位の低下及び残留電位の上昇等の特性変化を引起しやすい。
感光層の耐刷性を向上させるための先行技術としては、感光体の最表面層に保護層を設ける技術(特許文献1)、保護層に潤滑性を付与する技術(特許文献2)、保護層を硬化させる技術(特許文献3)、保護層にフィラー粒子を含有させる技術(特許文献4)が知られている。これら保護層は、感光層の基本機能を阻害しないという観点から可能な限り薄層化することが基本的には望まれる。また、保護層を設けることにより、さまざまな弊害が発生する。例えば、感光体と保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により保護層が剥離することがある。また長期の繰り返し使用により、露光部電位が上昇する。逆に保護層と感光層が連続的な層構成、すなわち感光層が引き続き塗布される保護層塗布液により溶解される場合には、その溶解状況により感光層の画像特性が悪化する。
中でもフィラー粒子を含有させる技術については、フィラー粒子の分散性制御という新たな感光体の特性への影響因子が付与されることとなる。すなわち、単純なフィラー粒子の添加量のみによって、特性を規定できないからである。保護層の全固形分に対して0.1〜10重量%程度までの添加により、耐刷性が向上することが特許文献5で開示されている。しかし、例えば、同じ添加量であっても、分散状態の全く異なる保護層は、感光体に異なる画像特性/電気特性/耐刷性を与えることは、容易に推測される。また、保護層の誘電率が不均一になると、黒ベタ画像出力時のエッジ部の画像太り及びトナー飛散が発生する場合があり、このことから保護層内部でのフィラー粒子の分散状態が感光体の性質に大きく影響していることがわかる。このことより塗布液中でのフィラー粒子の分散性を向上させれば、保護層のフィラー粒子の分散を均一にできると同時に、均一な表面エネルギーを有する表面層を形成できる。よって、塗布液中で適当な分散状態を作り出すことができれば、上記のような弊害が抑制されることになる。
耐刷性を向上させると、その弊害として、感光体(ドラム)表面上に付着する帯電生成物等の影響による画像ボケ、画像流れが、特に高温高湿下にて発生する。これら弊害を排除するために、ある程度“削れる”感光体設計をおこなう方法、もしくはクリーニング手段に工夫を施す方法により、均一で不活性なドラム表面を提供する技術が開示されている(特許文献6)
機能分離型感光体において、その最表面に耐磨耗効果を付与できれば、生産プロセスに余分な工程を含むことがないため、保護層を付与する場合と比較して大きなコスト上のメリットがある。また、感光層と保護層を積層して設けることによっておこる上記の弊害を回避することが可能となる。しかしながら、その一方で、システム上の新たな課題を考慮することが必要となる。例えば、フィラー粒子を添加して耐刷性向上を図る際、フィラー粒子と感光層に含まれる高分子バルク(結着樹脂)との間に数10μmに及ぶ電荷輸送層全体にわたるトラップが生じる。その結果、露光部の残留電位の上昇をまねく危険性が、保護層に添加する場合と比較して、極めて大きくなることとなる。また、積層型感光体の場合に、フィラー粒子と電荷発生層の相互作用によると思われる電荷発生層と電荷輸送層との界面近傍の層の不均一性に由来する画像欠陥が発生する場合もある。
また、有機感光体を用いた画像形成装置は、近年の画像の出力端末として、プリンタ等への需要が拡大している。また、高精細なデジタル画像が出力できる画像形成装置も求められている。このようなデジタル化に伴って、その記録方式に対応させる光源としては、例えば、小型で安価な信頼性の高い半導体レーザや発光ダイオードが多く使われている。現在最もよく使用されている半導体レーザの光の発信波長は780〜800nm付近の近
赤外光領域にある。また、代表的な発光ダイオードの発光波長は740nmにある。
一方、最近ではこのデジタル記録方式に対応させる露光光源として400〜500nmに発信波長を有する紫色から青色の短波長レーザ又は発光ダイオードが開発、市販されるに及んでいる。
例えば、発信波長が従来からの近赤外光レーザに比べ、約半分近くとなる短波長レーザを露光光源として用いた場合、次式(2)
D=1.22λ/NA (2)
(D;感光体上でのスポット径、λ;レーザ波長、NA;レンズ開口数)
で示されるように感光体上におけるレーザ光のスポット径を理論上かなり小さくすることが可能である。従って、潜像の書き込み密度、すなわち解像度を上げるためには、これらレーザは非常に有用である。
このような短波長レーザは光ディスクの記録密度を向上させるものという意味で大きな期待が寄せられている。しかし、電子写真の露光光源としてはほとんど期待されていなかった。
それは従来の電子写真感光体は、次の理由から、この波長域に感度を示さないからである。従来の積層型感光体は導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順に積層したものが一般的に実用化されている。そのため、500nm以下の波長に吸収を示す電荷発生材料を用いれば、一般的には500nm以下の短波長レーザの露光にも感度を示すはずである。しかし、実際には電荷輸送層が500nm以下の波長の光を吸収することから、露光光源として用いた短波長レーザの露光光が電荷発生層に到達する前に吸収される。そのため、積層型感光体はこの波長域で感度を示さないのである。更に、短波長レーザは、波長成分の揃った高強度の光を発するため、露光された電荷輸送材料や電荷発生材料が変質しやすく、長期使用によって感光体の感度が低下し高画質が維持できないという問題もある。
また、フィラー粒子を含む表面層を有する有機感光体は、レーザ光の散乱を起こしやすい。有機感光体に、有機微粒子のフィラーを用い、短波長レーザを用いた感光体が提案されているが(特許文献7)、鮮鋭性の改善効果はあるものの、フィラー粒子を含む表面層を形成するに際し、フィラー粒子の塗布液中で分散安定性が低く、粒子同士が凝集して、粗大な凝集粒子を形成しやすい。これら凝集粒子はレーザ光の散乱を増大させると共に、均一な特性を有する表面層の形成を妨げる。その結果、電子写真画像に黒点のような異常画像等が発生し、著しく画質が低下するという問題が生じる。また、このことはカラー画像形成で用いられるタンデム方式(複数の感光体を使用し、画像を重ね合わせる現像方式)においては、レーザ光の散乱を更に助長し、画像ボケや鮮鋭性の低下を生じさせる原因となる。
特開昭57−30846号公報 特開平1−23259号公報 特開昭61−72256号公報 特開平1−172970号公報 特開平1−205171号公報 特開2004−61560号公報 特開2005−221720号公報
本発明の課題は、短波長の光の露光下での長期間の繰り返し使用に対しても、耐磨耗性
/クリーニング性/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高品位な画像出力が可能な電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
かくして本発明によれば、導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を含有し、
前記最表面層中のフィラー粒子が下記式(1)
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、
前記電荷発生層が、350〜500nmの発振波長を有する露光光により電荷を発生しうる材料を含むことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
更に、本発明によれば、感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、前記感光体が上記電子写真感光体を含むことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、耐刷性に優れ、長期の使用にわたっても電気的安定性を保持し、異常画像等の不良がなく、鮮鋭性が良好な画像を形成可能な電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料からなる円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上に更に積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とを含む。電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12、13の支持部材としても機能する。なお導電性基体11の形状は、図1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン等の金属単体、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の合金を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレン等の高分子材料、硬質紙又はガラス等の表面に、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)箔をラミネートしたもの、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)材料を蒸着したもの、又は導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したもの等を用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水等による表面処理、着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の
波長が揃っている。そのため、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性基体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止できる。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。電荷発生物質として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ系顔料、ペリレンイミド又はペリレン酸無水物等のペリレン系顔料、アントラキノン又はピレンキノン等の多環キノン系顔料、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表されるアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーン等に代表されるチアジン系色素、カプリブルー又はメルドラブルー等に代表されるオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料、ならびにセレン及び非晶質シリコン等の無機光導電性材料等を挙げることができる。
前述の電荷発生物質の中でも、電荷発生物質として350〜500nmの波長領域に高感度特性を有するアゾ系顔料、ペリレン系顔料、多感キノン系顔料等を用いることが好ましい。
これらの電荷発生物質は、1種が単独で使用されてもよく、又は2種以上が組合わされて使用されてもよい。
主成分として含まれる電荷発生物質以外の任意成分としては、増感染料、結着樹脂、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤等が挙げられる。
増感染料としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料又はチオピリリウム塩染料等が挙げられる。増感染料は、電荷発生物質100重量部に対して、10重量部以下の割合で使用することが好ましい、0.5〜2.0重量部の割合で使用することがより好ましい。
電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、又は前述の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリア
リレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用できる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばテトラクロロプロパン又はジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタン又はジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した溶剤を用いることもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)以上10分の100(100/10)以下であることが好ましい。前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。前記比率W1/W2が100/10を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。比率W1/W2は、10/40以上、100/40以下であることがより好ましい。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されていてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機等を挙げることができる。
電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが好ましい。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性及び生産性等を考慮に入れて最適な方法を選択できる。これらの塗布方法の中で、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法である。このように浸漬塗布法は、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好
ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、感光体の耐久性を向上させるフィラー粒子とを主成分とし、任意に電荷輸送物質及びフィラー粒子を結着させる結着樹脂とを含んで構成できる。バインダ樹脂は好ましくは30〜80重量%の範囲である。結着樹脂以外に酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、可塑剤等が挙げられる。電荷輸送物質としては、ホール輸送物質及び電子輸送物質を用いることができる。
ホール輸送物質としては、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体等を挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖又は側鎖に有するポリマーとしては、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセン等又はポリシラン等が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えばベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタル酸誘導体、ジフェノキノン誘導体等の有機化合物が挙げられる。
電荷輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独又は2種以上を混合して用いることができる。
但し、積層感光体では、前述のように使用する半導体レーザの発信波長に対して透過性のある電荷輸送材料や結着樹脂を適宜選択することが望ましい。具体的には、前述の電荷輸送物質の中でも、350〜500nmの波長領域に吸収を示さないアリールアミン系、ベンジジン系の化合物が好ましい。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用できる。特に、膜強度の観点から、ポリカーボネートを主成分とする樹脂が好ましい。
ポリカーボネート以外の樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる
。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上の混合物を使用してもよい。
更に、電荷輸送層13を構成するフィラー粒子には、大別して、有機系フィラーと金属酸化物を中心とする無機系フィラーがある。一般に、感光体表面の濡れ性を制御し、異物等の付着を抑制する目的でフッ素系材料を中心とする有機系フィラーが用いられ、耐刷性向上を目的とした用途に無機系フィラーが主に用いられる。本発明では、無機系フィラーを使用することが好ましい。無機系フィラーとしては、材料としての硬度が高く、結着樹脂に分散しやすいものが好ましい。例えば、酸化珪素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)等の酸化物、あるいは、窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化化合物が挙げられる。特に、電荷輸送層中での光散乱を考慮した結果、フィラー粒子以外の成分の屈折率との差の小さい酸化珪素(シリカ)が好適である。
フィラー粒子は、その分散状態が耐摩耗性、電気安定性に大きく影響を及ぼすため、単純な添加ではなく、その分散状態を加味した下記式(1)で規定される範囲の量で添加される。この範囲の量であれば、良好な耐刷性を示す感光体が得られる。
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
上記式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)、bは平均フィラー粒子径(nm)、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する。なお、a、b、df及びdmは以下の方法により測定できる。
また、aは正確にはTEMによる断面観察により測定することが好ましいが、均一な分散状態が確認できていればフィラー粒子の添加量と媒体である塗膜の体積より計算値として求めてもよい。
bは、正確にはSEM観察により求めることができるが、市販のフィラー粒子であればカタログ値より引用してもよい。
dfは、作製前のフィラー粒子の体積と重量を測定して計算、又は市販品であればカタログ値を引用してもよい。
dmは、塗膜の体積と重量を測定して計算して求める。
ここで最表面層の固形分とは、塗布液を塗布し溶媒を乾燥して固化した電荷輸送層の塗膜のことである。
均一な分散状態とは、塗布液中の図2中◆のような1次粒子径に近い状態が塗膜として固化した後も固定化され、塗膜中の微粒子の平均粒子径が作製前の原材料の微粒子の1次粒子径にほぼ等しい状態を言う。すなわち、本式においては、均質な固形媒質中に、真球かつ粒度分布のないフィラー粒子を仮定し、この粒子が上記媒質中に均一分散されていることとする。すなわち、フィラーの添加量・粒子径・密度、及び媒質の密度(正確にはフィラーを含む固形分全体の密度)が決まれば、a:平均フィラー粒子間距離が決まる。得られた値aを、式(1)に代入することで、フィラー粒子が式(1)を満たすか否か判定できる。
言い換えると、式(1)は、フィラー粒子が均一に"分布"していることが前提となる。そのため、本発明では、塗液/塗膜中でのフィラー粒子の分散が均一であり、かつ、上式(1)を満たすように、フィラー粒子の添加濃度が規定されている。
ここで、aは、光散乱及び系中での電気的キャリア(電子及び/又は正孔)への弊害をできるだけ少なくするために小さいことが好ましい。具体的には、400nm以下(1次粒子径)が好適である。より好ましくは、aの範囲は20〜200nmである。
bの範囲は5〜100nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ま
しい。dfの範囲は1.5〜7g/cm3であることが好ましく、1.5〜3g/cm3であることがより好ましい。dmの範囲は1〜2g/cm3であることが好ましく、1〜1.5g/cm3であることがより好ましい。
フィラー粒子の添加にあたっては、均一な粒子分散状態を形成するため、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等さまざまな分散手法を用いることができる。そして、電子写真感光体の優れた特性を引き出すために、電子写真感光体の最表面の塗膜を形成するための分散液中あるいは塗膜形成後の分散状態を把握することが望まれる。図2では、同一塗布液処方(ポリカーボネート樹脂(Z400:帝人化成製)3.1重量部及びシリカ(TS−610:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製:一次粒子径17μm)3.1重量部をテトラヒドロフラン55.8重量部に混合)にて2種類の分散を実施した場合、分散処理後の塗布液中での粒度分布状態の違いが比較されている。図2中◆はボールミルにて5時間分散処理して得られた電荷輸送層用一次分散塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を、□はペイントシェーカにて5時間分散処理して得られた塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を示す。◆は、1次粒子径に近い状態まで安定に分散されており、他方□は、ミクロンオーダーの凝集体が形成されていることがわかる。□は再凝集による凝集体が形成されていることを示していることは確かであるが、この状態が得られる詳細な原因は解明されていない。図2のような凝集状態の変化は、最終塗膜の電気特性や表面の均一性等に直接対応し、分散液中での均一かつ1次粒子径に近い分散体の形成が、塗膜中でも反映される。そのため、◆の分散手法は、結果として耐久性に優れた最表面層が形成できるため好ましい。
上記では未凝集のフィラー粒子の好適な例を挙げたが、式(1)を満たすならば、フィラー粒子の凝集体を使用してもよい。凝集体の場合、式(1)のa、b、df中の「フィラー粒子」は「凝集体」と読み替えるものとする。また、上記ではペイントシェーカによる分散処理は、凝集体が形成される条件で行っているが、条件を変更することにより、一次粒子径に近い状態に分散させることも可能である。
なお、上記塗布液中のフィラー粒子の分散状態は、例えば光散乱式粒度分布測定装置等を用いて評価できる。
電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を電荷輸送層13に添加してもよい。可塑剤としては、例えばビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル(例えば、フタル酸エステル)、脂肪酸エステル、リン酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤等を挙げることができる。表面改質剤としては、シリコーンオイルのようなシリコーン系レベリング剤、フッ素樹脂系レベリング剤等が挙げられる。
電荷輸送層13は、前述の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶剤中に、電荷輸送物質、結着樹脂、フィラー粒子、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解又は分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジベンジルエーテル及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類、安息香酸メチル又は酢酸エチル等のエステル類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、ならびにN,N−ジメチルホルムア
ミド等の非プロトン性極性溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前述の溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶剤を更に加えて使用できる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。
電荷輸送層13の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下することがあるので好ましくない。電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、画像劣化が生じることがあるので好ましくない。更に、露光光源として、短波長レーザを用いる場合には5μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上16μm以下である。5μm以上20μm以下の場合、電荷輸送層内の短波長レーザの吸収や散乱を小さくでき、鮮鋭性を向上でき、残留電位を減少でき、その結果、画像劣化を抑制できるという効果を有する。
(感光層)
感光層14の各層には、感度の向上を図り、更に繰返し使用による残留電位の上昇及び疲労等を抑えるために、電子受容物質及び色素等の増感剤を1種又は2種以上添加してもよい。
電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等の多環もしくは複素環ニトロ化合物、又はジフェノキノン化合物等の電子吸引性材料等を用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものを用いることもできる。
色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また、感光層14の各層には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。これによって、オゾン、窒素酸化物等の酸化性のガスに対しての劣化を少なくできる。また各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。
また、フィラー粒子を含有する最表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。フィラー粒子を含有する最表面層は、感光体の帯電時の活性ガス、例えばオゾンやNOx等、で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすい。そのため酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止できる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が用いられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。これらの酸化防止剤の使用量は、合計で、電荷輸送物質100重量部当たり、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、0.2〜1
0重量部であることがより好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない場合があるので好ましくない。また、50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。
(他の感光体構成例)
図3は、本発明の第2の実施の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。電子写真感光体2は、電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性基体11と感光層14との間に、中間層(下引き層)15が設けられていることである。
導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11から感光層14に電荷が注入されることがある。この電荷は、感光層14の帯電性を低下させることで、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷を減少させ、その結果、画像にかぶり等の欠陥を発生させることがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成される場合がある。そのため、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、その結果、画質の著しい劣化が生じることがある。すなわち、導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11又は感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽち等の画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となることがある。
電子写真感光体2では、前述のように導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止できる。従って、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止できる。
また、中間層15を設けることによって、導電性基体11表面の凹凸を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上できる。
中間層15には、各種樹脂材料からなる樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。
樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びエチルセルロース等も挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロン及び12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂等を挙げることができる。
中間層15は、金属酸化物粒子を含有してもよい。中間層15にこの粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節できるので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができる。加えて、各種の環境下におい
て感光体の電気特性を維持できる。粒子径は0.02〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化スズ等の粒子を挙げることができる。
中間層15は、例えば前述の樹脂を適当な溶剤中に溶解又は分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。中間層15に前述の金属酸化物粒子等を含有させる場合には、例えば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製する。次いで、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって中間層15を形成できる。
中間層用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が用いられる。例えば、水、メタノール、エタノールもしくはブタノール等の単独溶剤、又は水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソラン等とアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタン等の塩素系溶剤とアルコール類等の混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等を用いる一般的な方法を使用できる。
中間層用塗布液中において、樹脂及び金属酸化物の合計重量Cと、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂の重量Eと金属酸化物の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層16を形成する場合にも多く利用されている。
中間層15の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層16の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能し難くなり、導電性基体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることが困難となる。その結果、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することが困難となり、感光層14の帯電性の低下が生じることがあるため好ましくない。膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層15の形成が困難であるとともに、中間層15上に感光層14を均一に形成できないため、感光体の感度が低下する場合があるので好ましくない。
(感光体の製造方法)
感光体の製造方法に際して、好ましくは電荷発生層12、電荷輸送層13、中間層15等、各層の形成毎に乾燥工程が含まれることが好ましい。感光体の乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。感光体の乾燥温度が約50℃未満では乾燥時間が長くなる又は溶剤が充分に蒸発せず感光層中に残るため好ましくない。また、乾燥温度が約140℃を越えると、繰返し使用時の電気的特性が悪くなり、感光体を使用して得られる画像が劣化することがあるため好ましくない。
(画像形成装置)
図4は、本発明の画像形成装置30の構成を簡略化して示す配置側面図である。図4に示す画像形成装置30は、感光体1を搭載するレーザプリンタである。以下、図4を参照してレーザプリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお、図4に記載のレーザプリンタ30は、本発明の画像形成装置の単なる例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45及びクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。半導体レーザに代えて発光ダイオードを用いてもよい。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前述のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
前述のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42よびクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前述の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電ランプによって除電された後、更に回転され、前述の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
また、感光体を複数設けることで複数の異なるトナーを用いて重ね併せ画像を形成可能な構成も採用できる。この構成はタンデム方式と称される。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
まず、直径:30mm、長さ:362mmのアルミニウム製円筒状支持体上に種々の条件にて感光層を形成し、実施例及び比較例として準備した感光体について説明する。なお、下記実施例及び比較例において「部」は重量部を意味する。
(実施例1)
酸化チタンTTO−MI−1(石原産業製商標)3部、アルコール可溶性ナイロン樹脂CM−8000(東レ製商標)3部、メタノール60部、1,3−ジオキソラン40部をペイントシェーカにて10時間分散処理することで、下引き層用塗布液を調製した。調製した下引き層用塗布液を、直径30mm、長さ362mmのアルミニウム製円筒状支持体上に膜厚0.9μmとなるように浸漬塗布法によって成膜することで、下引き層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBMS:積水化学製商標)1部、構造式(A)で示されるペリレン顔料(例えば、Bulletin of the Chemical Society of Japan ,vol.25(1952)p411-413に記載された公知の方法により作製)2部とテトラヒドロフラン97部をボールミルにより72時間分散することで、電荷発生層用塗布液を作製した。この塗布液を、前記下引き層を設けたアルミニウム製円筒状支持体上に浸漬塗布法により膜厚が0.2μmとなるように成膜することで、電荷発生層を形成した。
Figure 2008176048
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成製)0.18部及びフィラー粒子としてのシリカ(TS−610:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.18部をテトラヒドロフラン3.24部に混合して、ボールミルにて5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。なお、この段階でフィラー粒子が均一に分散し、1次粒子径(約17nm)に対応する分散状態が保持されていることを、光散乱式粒度分布測定装置:マイクロトラックUPA−150(日機装製)を用いて確認した。
次に、電荷輸送物質として下記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)138.2部及び酸化防止剤(スミライザーBHT:住友化学製)5部をテトラヒドロフラン984部に溶解した。得られた溶液に前記電荷輸送層用一次分散塗布液を混合して、ボールミルにて更に1時間分散処理することで、電荷輸送層用二次分散塗布液を調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前述の電荷発生層上に塗布し、得られた塗膜を130℃で1時間乾燥することで、層厚28μmの電荷輸送層を形成した(乾燥温度100℃、乾燥時間60分)。
上記工程により、実施例1の感光体を作製した。
Figure 2008176048
(実施例2)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)1.25部及びシリカ(TS−610)1.25部をテトラヒドロフラン22.5部に混合し、次いでボールミルにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)138.75部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン984部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例3)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)3.1部及びシリカ(TS−610)3.1部をテトラヒドロフラン55.8部に混合し、次いでボールミルにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)136.9部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン992部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例4)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)4.65部及びシリカ(TS−610)4.65部をテトラヒドロフラン83.7部に混合し、次いでボールミルにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)135.35部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン998部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例5)
フィラー粒子をアルミナ(スミコランダムAA−04:住友化学工業製)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、感光体を作製した。
(実施例6)
フィラー粒子をシリカ(X−24−9163A:信越化学工業製)に変更したこと以外
は、実施例3と同様にして、感光体を作製した。
(実施例7)
フィラー粒子をシリカ(SO−E5:アドマテックス製)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、感光体を作製した。
(実施例8)
電荷輸送層用一次分散塗布液に、酸化防止剤(スミライザーBHT:住友化学製)を添加しないこと以外は、実施例3と同様にして、感光体を作製した。
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)3.1部及びシリカ(TS−610)3.1部をテトラヒドロフラン55.8部に混合し、次いでペイントシェーカにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。この塗布液中のフィラー粒子の粒度分布を測定したところ、明らかに1次粒子径より極めて大きな粗大凝集体(粒子径1μm)が形成されていることを確認した。得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、感光体を作製した。
(比較例2)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)0.12部及びシリカ(TS−610)0.12部をテトラヒドロフラン2.16部に混合し、次いでボールミルにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)139.8部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン980部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(比較例3)
ポリカーボネート樹脂(TS2040)5.0部及びシリカ(TS−610)5.0部をテトラヒドロフラン90部に混合し、ボールミルにて混合液を5時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)135.0部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン1005.6部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(比較例4)
電荷輸送物質として上記構造式(2)で示されるトリアリールアミン系化合物(日本蒸留工業社製)100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040)140部及び酸化防止剤(スミライザーBHT)5部をテトラヒドロフラン980部に混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
実施例1〜8及び比較例1〜4のフィラー粒子の種類、組成、平均フィラー粒子間距離a(nm)、フィラー粒子径b(nm)、フィラー粒子の密度df(g/cm3)、最表面層の固形分の平均密度dm(g/cm3)、Rf値(df×b3)/(dm×a3)及び電荷輸送層中の含有量(重量%)を表1に示す。なお、a、b、df及びdmの測定方法を下記する。また、電荷輸送物質(CTM)の種類、電荷輸送層用の樹脂の種類、酸化防止剤の種類を表1に示す。更に、以下のように評価した電荷輸送層用二次分散塗布液中のフィラー粒子の分散状態を表1に示す。
[フィラー粒子の分散状態]
フィラー粒子の分散状態の優劣については、粒度分布を粒度分布測定装置(UPA−150(日機装製))にて測定した。フィラー粒子が、1次粒子径に近い状態まで安定に分散されている状態(分布を示している場合)を○、ミクロンオーダーの凝集体が形成されている状態(分布を示している場合)を×とした。
[a、b、df及びdmの測定方法]
また、aは、本実施例では均一な分散状態が確認できたのでフィラー粒子の添加量と媒体である塗膜の体積より計算値として求めた。
bは、市販のフィラー粒子なのでカタログ値より引用した。
dfは、市販品のフィラー粒子なのでカタログ値を引用した。
dmは、塗膜の体積と重量を測定して計算して求めた。
Figure 2008176048
実施例1〜8及び比較例1〜4の各感光体を、現像器と表面電位測定器を交換できるよう試験用に改造したカラータンデムデジタル複合機AR−C260(シャープ社製:露光光源としてSONY製半導体レーザ:489.9nmを使用)に装着した。次いで、この
複合機を用いて下記文字テストチャートを10万枚画像形成することによって、感度、耐刷性及び画像を以下の方法により評価した(サンプル画像出力及び画像形成時すべてモノクロ印字)。
[感度(電気特性)評価]
複写機から現像器を取外し、代わりに表面電位計(トレック・ジャパン製:model
344)を取り付けた。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整した。その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm2)し、感光体の初期の表面電位を露光電位VL1(−V)とし、文字テストチャートを記録紙10万枚に印刷することで、耐刷試験を行なった後の表面電位を露光電位VL2(−V)として測定した。得られたVLから以下の基準で感度を評価した。なお、露光電位VLの絶対値が小さい程、感光体が高感度であることを意味する。
<判定基準>
○:|VL|<80(V)
△:80(V)≦|VL|<110(V)
×:110(V)≦|VL|
[耐刷性評価]
AR−C260改造機に備わるクリーニング器のクリーニングブレードが、感光体に接する圧力、いわゆるクリーニングブレード圧を21gf/cm(2.06×10-1N/cm:初期線圧)に調整した。N/N環境中で、各感光体毎に文字テストチャートを記録紙10万枚に印刷することで、耐刷試験を行なった。
文字テストチャートはISO19752で規定されたテストチャートを用いた。
耐刷試験開始時と10万枚画像形成後の感光層の厚みを、膜厚測定装置(商品名:F−20−EXR、フィルメトリックス製)を用いて測定した。耐刷試験開始時の膜厚と10万枚画像形成後の膜厚との差から、感光体ドラム10万回転あたりの削れ量を求めた。得られた削れ量から以下の基準で耐刷性を評価した。なお、削れ量が多い程、耐刷性が悪いことを意味する。
<判定基準>
○:削れ量d<0.8μm/100k回転
△:0.8μm/100k回転≦削れ量d<1.0μm/100k回転
×:1.0μm/100k回転≦削れ量d
[画像評価]
1)画像判定(ドット・文字再現性<鮮鋭性>)
試験用複写機にて、N/N環境中で、耐刷試験スタート前に1200dpi相当の1ドット1スペース画像及び5ポイントの文字画像を出力した。これらの画像から、以下の判断基準で画像評価(文字・ドット再現性)を行った。
○:目視にて、画像上に異常なく、鮮明な画像。
△:目視にて、画像上に若干のドット・文字の乱れがみられるが実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像上にドット・文字の乱れが発生し不鮮明な画像。
2)画像判定(濃度ムラ)
耐刷試験後の画質の低下レベルを、ハーフトーン画像を出力することで、以下の判断基準で濃度ムラを評価した。
○:目視にて、画像に濃度ムラなし。良好な画像。
△:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題となるレベル。
3)画像判定(画像ボケ)
耐刷試験後の画質の低下レベルを、1200dpi相当の1ドット1スペース画像及び5ポイントの文字画像を出力することで、以下の判断基準で画像ボケを評価した。
○:目視にて、画像上に画像ボケ無し。良好な画像。
△:目視にて、画像上に部分的な画像ボケが発生したが、実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像上に部分的に数箇所、又は広範囲に画像ボケが1枚以上発生。
[総合評価/(電気特性、耐刷性、画像評価)]
上記5項目の判定結果を基に、下記のとおり判定する。
◎:5項目すべて○
○:5項目のうち○或いは△のみで1項目以上△
×:少なくとも1つ以上×
評価結果を表2に示す。
Figure 2008176048
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2を満たすフィラー粒子を使用した実施例1〜8の感光体は、100,000実写時の平均削れ量(ドラム膜べり量)が、1μm以下であり、良好な耐刷性を示した。また、実施例3、6、7の比較より、粒子径の小さいフィラー粒子を使用した感光体の方が、より電気特性が安定し、鮮鋭性が高いこと(文字ドットの再現性がよいこと)がわかった。更に、実施例3、6、7と実施例5との露光電位の比較より、アルミナよりシリカの方が、電気的安定性において、やや優れている傾向が確認された。また、実施例3と実施例8の比較により、酸化防止剤の導入によって、実写時に帯電器付近で発生するO3あるいはNOx等のガスに対する耐性が向上していること
も明らかとなった。
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2の範囲外のフィラー粒子を使用した比較例の感光体においては、
・不均一な分散状態に起因する、電気的安定性の著しい悪化、及び鮮鋭性の低下と画像ボケ等の異常画像の発生(比較例1)、
・耐刷性の著しい悪化(比較例2及び4)、
・フィラー粒子の添加量が多いことによる電気的安定性の著しい悪化と鮮鋭性の低下及び耐磨耗性向上により最表面層がリフェイスされず、酸性ガスの影響を受けやすくなったために生じた画像ボケや画像ムラ等の異常画像の発生(比較例3)
が確認された。
(比較例5)
実施例1の感光体を用い、露光器の半導体レーザの発信波長を780nmに変更したこと以外は、上記と同様にして感度、耐刷性及び画像を評価した。結果を下記表3に示す。
Figure 2008176048
実施例3及び比較例4、5から、短波長レーザを用いたことにより
・ドット・文字再現性(鮮鋭性)が高くなること、
・フィラー粒子を添加した場合でもレーザ光による散乱の影響が抑えられ、その結果、繰返し疲労後も濃度ムラや画像ボケ等の異常画像が発生しなかったこと
が確認された。
本発明の電子写真感光体の概略部分断面図である。 フィラー粒子の分散条件による凝集粒子径の差異を示すグラフである。 本発明の電子写真感光体の概略部分断面図である。 本発明の画像形成装置の概略側面図である。
符号の説明
1,2 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 中間層
30 レーザプリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段

Claims (6)

  1. 導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順で有する電子写真感光体であって、
    前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を含有し、
    前記最表面層中のフィラー粒子が下記式(1)
    1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
    (式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、
    前記電荷発生層が、350〜500nmの発振波長を有する露光光により電荷を発生しうる材料を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記フィラー粒子が酸化珪素からなる請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フィラー粒子が100nm以下の粒子径を有する請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 酸化防止剤を更に含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、前記感光体が請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体を含むことを特徴とする画像形成装置。
  6. 感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有し、重ね合わせ画像を形成可能にするために、前記感光体を複数備え、前記複数の感光体がタンデム方式で配置され、前記現像手段が複数のトナーを備え、前記複数の感光体が請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体を含むことを特徴とする画像形成装置。
JP2007009296A 2007-01-18 2007-01-18 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置 Active JP4778914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007009296A JP4778914B2 (ja) 2007-01-18 2007-01-18 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007009296A JP4778914B2 (ja) 2007-01-18 2007-01-18 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008176048A true JP2008176048A (ja) 2008-07-31
JP4778914B2 JP4778914B2 (ja) 2011-09-21

Family

ID=39703118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007009296A Active JP4778914B2 (ja) 2007-01-18 2007-01-18 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4778914B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014119586A (ja) * 2012-12-17 2014-06-30 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01205171A (ja) * 1988-02-10 1989-08-17 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体
JPH0895267A (ja) * 1994-09-26 1996-04-12 Canon Inc 電子写真感光体及び該電子写真感光体を備えた電子写真装置
JPH08123053A (ja) * 1994-10-20 1996-05-17 Canon Inc 電子写真感光体、電子写真装置及び電子写真装置ユニット
JPH10339962A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子写真用感光体、輸送層形成用塗料及び該塗料の製造方法
JP2002091029A (ja) * 2000-09-20 2002-03-27 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2005221720A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Canon Inc 画像形成装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01205171A (ja) * 1988-02-10 1989-08-17 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体
JPH0895267A (ja) * 1994-09-26 1996-04-12 Canon Inc 電子写真感光体及び該電子写真感光体を備えた電子写真装置
JPH08123053A (ja) * 1994-10-20 1996-05-17 Canon Inc 電子写真感光体、電子写真装置及び電子写真装置ユニット
JPH10339962A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子写真用感光体、輸送層形成用塗料及び該塗料の製造方法
JP2002091029A (ja) * 2000-09-20 2002-03-27 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2005221720A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 Canon Inc 画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014119586A (ja) * 2012-12-17 2014-06-30 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4778914B2 (ja) 2011-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6333629B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP4648909B2 (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置
JP4565013B2 (ja) 電子写真感光体を備えた画像形成装置
JP2008134425A (ja) 電子写真感光体
JP2009020204A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP4138832B2 (ja) 電子写真感光体
JP6426490B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2008165156A (ja) 電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置
JP2008191488A (ja) 電子写真装置
JP5719886B2 (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置
JP2009069184A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP2012027257A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP4778914B2 (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置
JP2005202022A (ja) 電子写真感光体及びそれを備えた画像形成装置
JP2008176056A (ja) 電子写真感光体、塗布液及び画像形成装置
JP5718413B2 (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置
JP2013134374A (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
US20080138727A1 (en) Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus including the same
JP4819705B2 (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置
JP2010152099A (ja) 下引き層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置
JP4871197B2 (ja) 画像形成装置
JP2010250174A (ja) 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置
JP2016053634A (ja) 電子写真感光体、その製造検査方法および電子写真感光体を備えた画像形成装置
JP2015230406A (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置
JP2015114348A (ja) 電荷輸送層形成用塗布液、それを用いた電子写真感光体および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110628

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110704

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4778914

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140708

Year of fee payment: 3