JP2008174135A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性及び生産性に優れる空気入りタイヤ2の提供。
【解決手段】このタイヤ2は、トレッド4と、ビード8と、カーカス10と、ベルト12と、一対の第一の補強層18と、この第一の補強層18の半径方向外側に位置する一対の第二の補強層20とを備える。このベルト12は、第一のコードを備える第一のプライ32と、第二のコードを備える第二のプライ34とを備える。この第一の補強層18は、この第一のプライ32の半径方向外側に位置する。この第二の補強層20は、この第一の補強層18とこの第二のプライ34との間に位置する。この第一の補強層18は、この第一のコードと交差するように配向する短繊維を含む。この第二の補強層20は、この第二のコードと交差するように配向する短繊維を含む。これらの短繊維の配向角度の絶対値は、45°以上90°以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
乗用車には、主としてラジアルタイヤが装着される。このタイヤは、トレッドとカーカスとの間に位置するベルトを備えている。このベルトは、カーカスと積層されている。このベルトは、カーカスを補強する。ベルトは通常、カーカスの外側に位置する第一のプライと、この第一のプライのさらに外側に位置する第二のプライとを備える。この第一のプライ及び第二のプライは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜して配置される。コードの材質は通常、スチールである。
タイヤに空気が充填されると、このタイヤは膨張する。この膨張により、ベルトは周方向に引き延ばされる。タイヤは、接地すると撓む。この撓みにより、ショルダーの近傍にあるベルトの端に、大きな歪みが生じる。走行中にあるタイヤのベルトの端では、このような歪みが繰り返して発生する。高速でしかも長時間車両が走行すると、この歪みの繰り返しが発熱を促しトッピングゴムを破壊する。このような現象は、ルースと称される。このルースは、タイヤの耐久性に影響を与える。
優れた耐久性を有するタイヤを得るために、ベルトの端に短繊維を含むゴムシートが設けられる場合がある。この場合、このゴムシートはこの端に生じる歪みの低減に寄与しうる。このゴムシートが効果的に作用しうるように、このゴムシートの短繊維は実質的に周方向に配向される。このようなタイヤが、特開2000−198318公報及び特開2004−123019公報に開示されている。
歪みの発生が抑えられるために、ベルトの半径方向外側にバンドが設けられる場合がある。このバンドは通常、ベルトの全域を覆うフルバンドと、軸方向において離間して配置されるエッジバンドとからなる。このエッジバンドは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれるコードを備えている。このエッジバンドは、ショルダーの近傍に位置しており、ベルトの端の動きを拘束する。このエッジバンドは、ベルトのリフティングを抑える。従って、このエッジバンドを備えるタイヤでは、ベルトの端における歪みの発生が効果的に抑えられる。このタイヤは、耐久性に優れる。
特開2000−198318公報 特開2004−123019公報
前述したように、エッジバンドを備えたタイヤでは、トッピングゴムで覆われた長尺のコードが実質的に周方向に螺旋状に巻かれている。このコードを巻回す作業は、長い時間を必要とする。このタイヤは、高い生産コストを有する。このタイヤは、生産性に劣る。
タイヤは、多数のゴム部材からなるグリーンタイヤがモールド内で加圧及び加熱されて得られる。この加圧及び加熱により、このグリーンタイヤのゴム組成物は流動する。加熱により、ゴム組成物において架橋反応が起こる。この工程は、加硫工程と称される。
第一のプライと第二のプライとからなるベルトを備えたタイヤでは、加硫工程において、第一のプライのコードと第二のプライのコードとの間にあるトッピングゴムが流動して、両コードの間の距離が狭められる。両コードの間にあるトッピングゴムの量が不充分なとき、走行中にこのベルトの端に生じる歪みにより、ルースが発生する。このようなタイヤは、耐久性に劣る。
本発明の目的は、耐久性及び生産性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッドと、一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスと、このトレッドとこのカーカスとの間に位置するベルトと、軸方向において離間して配置される一対の第一の補強層と、この第一の補強層の半径方向外側に位置しており軸方向において離間して配置される一対の第二の補強層とを備えている。このベルトは、カーカスの半径方向外側に位置する第一のプライと、この第一のプライのさらに半径方向外側に位置する第二のプライとを備えている。この第一の補強層は、この第一のプライの端部の外面を覆う。この第二の補強層は、この第二のプライの端部の内面を覆う。この第一のプライは、第一のコードを備えている。この第二のプライは、第二のコードを備えている。この第一の補強層は、多数の短繊維を含んでいる。この短繊維の配向方向がこの第一のコードの方向に対してなす角度の絶対値は、45°以上90°以下である。この第二の補強層は、多数の短繊維を含んでいる。この短繊維の配向方向がこの第二のコードの方向に対してなす角度の絶対値は、45°以上90°以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記第一の補強層と上記第二の補強層とが重複している領域の長さは、5mm以上である。
好ましくは、このタイヤでは、上記領域の厚みは、0.6mm以上3.0mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記第一の補強層の、上記短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下である。上記第二の補強層の、上記短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下である。
このタイヤでは、第一の補強層の短繊維の配向方向は第一のコードの方向と交差しており、第二の補強層の短繊維の配向方向は第二のコードの方向と交差している。このタイヤでは、加硫工程でグリーンタイヤが加圧及び加熱されたとき、第一の補強層の第一のコードに沿った流動及び第二の補強層の第二のコードに沿った流動に対して、この短繊維が抵抗として作用する。このタイヤでは、加硫工程におけるこれらの補強層の流出が抑えられるので、第一のプライと第二のプライとの間に、適切な厚みを有する第一の補強層と第二の補強層とが形成される。このため、これらの補強層は、走行中にベルトの端に生じる歪みに伴う応力の緩和に寄与しうる。これらの補強層は短繊維により補強されている。高い剛性を有する補強層は、ベルトの端の動きを拘束しうる。このタイヤでは、リフティングが効果的に抑えられる。このタイヤでは、ベルトの端に生じる歪みは小さい。従って、このタイヤでは、従来のタイヤのように、周方向に螺旋状に巻かれるバンドコードを備えたバンドを設けることなく、このベルトの端におけるルースの発生が防止されうる。このタイヤは、耐久性及び生産性に優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2の一部が示された断面図である。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14、チェーファー16、第一の補強層18及び第二の補強層20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面22を備えている。このトレッド面22は、路面と接地する。トレッド面22には、溝24が刻まれている。この溝24により、トレッド4パターンが形成されている。トレッド4に溝24が刻まれなくてもよい。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。コア26は、リング状である。コア26は、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス28は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス28は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ30からなる。カーカスプライ30は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ30は、コア26の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、カーカスプライ30は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカスが採用されてもよい。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置しており、カーカス10の半径方向外側に位置している。換言すれば、このベルト12はトレッド4とカーカス10との間に位置している。このベルト12は、カーカス10と積層されており、カーカス10を補強する。ベルト12は、第一のプライ32と、第二のプライ34とを備えている。
このタイヤ2では、第一のプライ32は、カーカス10の半径方向外側に位置している。図示されていないが、この第一のプライ32は、並列された多数の第一のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。この第一のコードの好ましい材質は、スチールである。このコードに、有機繊維が用いられてもよい。
このタイヤ2では、第二のプライ34は、第一のプライ32のさらに半径方向外側に位置している。図示されていないが、この第二のプライ34は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。この第二のコードの傾斜方向は、第一のコードの傾斜方向とは逆である。第一のプライ32と第二のプライ34とは、いわゆるクロスプライ構造を構成する。なお、この第二のコードの好ましい材質は、スチールである。このコードに、有機繊維が用いられてもよい。本明細書では、タイヤ2の回転方向に沿ってコードがトレッド4の端の側から赤道面の側に向かって延在している場合は、このコードの傾斜角度は正の値で示される。一方、コードが赤道面の側からトレッド4の端の側に向かって延在している場合は、このコードの傾斜角度は負の値で示される。図1に示されたタイヤ2では、紙面の裏面から表面に向かう方向が、この傾斜角度を規定する基準の回転方向である。
インナーライナー14は、カーカス10の内周面に接合されている。インナーライナー14は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する役割を果たす。
チェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー16は、ゴム単体からなる。布とこの布に含浸したゴムとからなるチェーファー16が用いられてもよい。
図2は、図1のタイヤ2の一部が示された部分拡大断面図である。この図2には、ショルダーの近傍が示されている。この図には、トレッド4、サイドウォール6、カーカス10、ベルト12、第一の補強層18及び第二の補強層20が示されている。
このタイヤ2では、左右の第一の補強層18は、軸方向において離間して配置される。図示されているように、この第一の補強層18はショルダーの近傍に位置している。この第一の補強層18は、第一のプライ32の半径方向外側に位置している。この第一の補強層18は、第一のプライ32と積層している。この第一の補強層18は、この第一のプライ32の端部36の外面38を覆う。この第一の補強層18は、シートタイプである。
このタイヤ2では、左右の第二の補強層20は、軸方向において離間して配置される。図示されているように、この第二の補強層20は、ショルダーの近傍において、第一の補強層18の半径方向外側に位置している。この第二の補強層20は、この第一の補強層18と積層している。この第二の補強層20は、第二のプライ34の半径方向内側に位置している。この第二の補強層20は、この第二のプライ34と積層している。この第二の補強層20は、この第二のプライ34の端部40の内面42を覆う。この第二の補強層20は、この第一の補強層18とこの第二のプライ34との間に位置している。この第二の補強層20は、シートタイプである。
このタイヤ2では、軸方向において、第一の補強層18の一端44と、第二の補強層20の一端46とは一致する。この第一の補強層18の他端48は、第一のプライ32の端50と一致する。この第二の補強層20の他端52は、第二のプライ34の端54と一致する。この第二の補強層20の他端52は、軸方向において第一の補強層18の他端48よりも内側に位置している。このタイヤ2では、この第一の補強層18と、この第二の補強層20とは、この第一のプライ32と第一のプライ32との間において半径方向に重複している。このタイヤ2では、この第二の補強層20の一端46(又はこの第一の補強層18の一端44)から第二のプライ34の端54までの領域が、この第二の補強層20とこの第一の補強層18とが重複している領域である。この領域は、重複領域と称される。
このタイヤ2では、第一の補強層18は、多数の短繊維を含んだゴム組成物からなる。換言すれば、この第一の補強層18は、多数の短繊維を含んでいる。図示されていないが、これらの短繊維は、その長手方向が第一のコードと交差するように配向している。このタイヤ2では、この短繊維は有機繊維からなる。この有機繊維としては、セルロース繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。タイヤ質量の軽量化及びタイヤ2の低コスト化の観点から、この短繊維に紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ2では、第二の補強層20は、多数の短繊維を含んだゴム組成物からなる。換言すれば、この第二の補強層20は、多数の短繊維を含んでいる。図示されていないが、これらの短繊維は、その長手方向が第二のコードと交差するように配向している。このタイヤ2では、この短繊維は有機繊維からなる。この有機繊維としては、セルロース繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。タイヤ質量の軽量化及びタイヤ2の低コスト化の観点から、この短繊維に紙繊維が用いられてもよい。なお、このタイヤ2では、この第二の補強層20を構成するゴム組成物と、第一の補強層18を構成するゴム組成物とは同一である。これらの補強層が、異なるゴム組成物から構成されてもよい。
このタイヤ2では、第一の補強層18及び第二の補強層20は、多数の短繊維を含んだゴム組成物を押出機で成形されて得られている。このため、これらの短繊維は、その長手方向が押出方向と略一致するように配向する。このようにして得られた第一の補強層18及び第二の補強層20は、他のゴム部材と共にフォーマーに供給される。このフォーマーにおいて、これらの部材がアッセンブリーされてグリーンタイヤが得られる。このグリーンタイヤが得られる工程は、成形工程と称される。なお、前述の他のゴム部材としては、インナーライナー14、カーカスプライ30、第一のプライ32及び第二のプライ34、サイドウォール6用ゴムシート、トレッド4用ゴムシート等が例示される。
次に、グリーンタイヤは加硫工程に供される。この加硫工程では、グリーンタイヤがモールドに投入される。グリーンタイヤは、モールド及びブラダーで加圧され、かつ加熱される。加圧及び加熱により、ゴム組成物が流動する。この加熱により、ゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。この工程は、加硫工程と称される。
第一の補強層18及び第二の補強層20のように、短繊維を含んでいるゴム組成物は、この短繊維の配向方向に流動しやすい。前述したように、このタイヤ2では、第一のプライ32の半径方向外側に位置する第一の補強層18に含まれる短繊維の配向方向は、第一のコードの方向と交差している。第二のプライ34の半径方向内側に位置する第二の補強層20に含まれる短繊維の配向方向は、第二のコードの方向と交差している。さらにこのタイヤ2は、第一の補強層18の短繊維の配向方向と、第二の補強層20の短繊維の配向方向とが交差するように構成されている。従って、このタイヤ2では、加硫工程でグリーンタイヤが加圧及び加熱されたとき、第一の補強層18及び第二の補強層20の流動に対して、この短繊維が抵抗として作用する。このタイヤ2では、加硫工程におけるこれらの補強層18、20の流出が抑えられるので、第一のコードと第二のコードとの間に、適切な厚みを有する第一の補強層18及び第二の補強層20が形成される。この第一の補強層18及び第二の補強層20は、走行中にベルト12の端に生じる歪みに伴う応力の緩和に充分に寄与しうる。このタイヤ2では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、第一の補強層18は多数の短繊維を含んでいるので、この第一の補強層18は高い剛性を有する。第二の補強層20は多数の短繊維を含んでいるので、この第二の補強層20は高い剛性を有する。従って、この第一の補強層18及び第二の補強層20は、ベルト12の端の動きを拘束しうる。このタイヤ2では、リフティングが効果的に抑えられる。このタイヤ2では、ロードノイズが小さい。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。このタイヤ2では、この第一の補強層18及び第二の補強層20が耐久性及び乗り心地に寄与しうるので、従来のタイヤのように、周方向に螺旋状に巻かれるバンドコードを備えたバンドを設ける必要もない。このタイヤ2では、タイヤ質量の増加が抑えられる上に、生産コストが低減されうる。このタイヤ2は、生産性に優れる。
このタイヤ2では、第一の補強層18に含まれる短繊維の配向方向が、第一のコードの方向と垂直に交差するとき、この短繊維がこの第一の補強層18を構成するゴム組成物の流動を最も効果的に阻害しうる。この場合、充分な厚みを有する第一の補強層18が形成されうる。このタイヤ2では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配向方向が第一のコードの方向に対してなす角度の絶対値は90°であるのが好ましい。この短繊維による流動阻害が維持されうるという観点から、この角度の絶対値は45°以上であるのが好ましく、50°以上であるのがより好ましく、60°以上であるのが特に好ましい。この短繊維の配向方向が第一のコードの方向に対してなす角度は、配向角度と称される。
本発明では、短繊維の配向角度は以下の方法で計測される。まず、第一の補強層18を含んだ試料が、周方向に沿って切り出される。この試料には、この第一の補強層18の断面が含まれる。次に、この第一の補強層18の断面が、実体顕微鏡で観察される。この断面観察において、短繊維の長手の第一のコードに対してなす角度が計測される。このコードの延在方向が基準(0°)とされて、−90°から+90°の範囲で、この角度は計測される。この明細書では、短繊維の両端が結ばれることにより得られる直線が短繊維の長手として用いられる。無作為に抽出された100本の短繊維について、この角度が計測される。次に、この角度と頻度との関係(度数分布)が求められる。この関係において、最大頻度を示す角度が、この短繊維の配向角度として示される。具体的には、この角度と頻度との関係を表す度数分布関数において、最大ピークを示す角度が配向角度とされる。(短繊維がランダムに配置されている第一の補強層18では、ピークは観測されない。)このようにして求められた配向角度の下限は−90°であり、上限は90°である。なお、第二の補強層20に含まれる短繊維の配向角度も、この第一の補強層18と同様の方法で計測されうる。本明細書では、タイヤ2の回転方向に沿って短繊維がトレッド4の端の側から赤道面の側に向かって配向している場合は、この短繊維の配向角度は正の値で示される。一方、短繊維が赤道面の側からトレッド4の端の側に向かって配向している場合は、この短繊維の配向角度は負の値で示される。図1に示されたタイヤ2では、紙面の裏面から表面に向かう方向が、この配向角度を規定する基準の回転方向である。
このタイヤ2では、第二の補強層20に含まれる短繊維の配向方向が、第二のコードの方向と垂直に交差するとき、この短繊維がこの第二の補強層20を構成するゴム組成物の流動を最も効果的に阻害しうる。この場合、充分な厚みを有する第二の補強層20が形成されうる。このタイヤ2では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配向角度の絶対値は90°であるのが好ましい。この短繊維による流動阻害が維持されうるという観点から、この配向角度の絶対値は45°以上であるのが好ましく、50°以上であるのがより好ましく、60°以上であるのが特に好ましい。
前述した度数分布関数において、最大ピークの半値幅は短繊維の配向性を表す。短繊維の配向性が高まると、この半値幅は狭くなる。短繊維の配向性が高められることにより、短繊維が効果的に流動を阻害しうる。このような第一の補強層18を備えたタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この半値幅は小さいことが好ましい。このタイヤ2では、この半値幅は20°以下が好ましい。この半値幅は10°以下であるのがより好ましく、5°以下が特に好ましい。第二の補強層20についても同様に、半値幅は20°以下が好ましく、10°以下であるのがより好ましく、5°以下が特に好ましい。
図2において、両矢印線WAは第一の補強層18と第二の補強層20との重複領域の軸方向長さを表している。両矢印線TAは、第二のプライ34の端54から第一のプライ32までの厚みを表している。この厚みTAは、この重複領域の厚みである。この厚みTAは、第一の補強層18の厚みと第二の補強層20との厚みとの和を表している。
このタイヤ2では、軸方向長さWAは5mm以上40mm以下であるのが好ましい。この軸方向長さWAが5mm以上に設定されることにより、第一の補強層18及び第二の補強層20がベルト12の端に生じる歪みを効果的に抑えうる。このタイヤ2では、ルースの発生が抑えられる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この軸方向長さWAは、7mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。この軸方向長さWAが、40mm以下に設定されることにより、ベルト12によるカーカス10の補強効果が維持されうる。この観点から、この軸方向長さWAは、30mm以下がより好ましく、20mm以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、厚みTAは0.6mm以上3.0mm以下であるのが好ましい。この厚みTAが0.6mm以上に設定されることにより、第一の補強層18及び第二の補強層20がベルト12の端に生じる歪みを効果的に抑えうる。このタイヤ2では、ルースの発生が抑えられる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この厚みTAは0.7mm以上がより好ましく0.8mm以上が特に好ましい。この厚みTAが3.0mm以下に設定されることにより、ショルダーの剛性が適切に維持されうる。このタイヤ2では、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚みTAは、2mm以下がより好ましく1mm以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、第一の補強層18の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下であるのが好ましい。この複素弾性率が10MPa以上に設定された第一の補強層18は、タイヤ2の耐久性に寄与しうる。この観点から、この複素弾性率は、12MPa以上がより好ましい。この複素弾性率が20MPa以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性が適切に維持されうる。この観点から、この複素弾性率は17MPa以下がより好ましい。
本発明において、複素弾性率は、「JIS−K 6394」の規定に準拠して、下記に示される条件で、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社の「VES・F−3型」)によって測定される。
初期歪み:10%
歪振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
開始温度:−100℃
終了温度:100℃
昇温速度:3℃/min
測定温度:70℃
粘弾性スペクトロメーターによる測定に供される試験片は板状であり、その長さは45mmであり、幅は4mmであり、厚みは2mmである。この試験片の両端部がチャックされて、測定がなされる。試験片の変位部分の長さは、30mmである。この試験片は、タイヤ2から切り出される。第一の補強層18の複素弾性率が計測されるとき、この試験片は、その長手の方向が短繊維の配向方向と一致するようにして切り出される。第二の補強層20の複素弾性率も、同様にして計測される。
このタイヤ2では、第二の補強層20の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下であるのが好ましい。この複素弾性率が10MPa以上に設定された第二の補強層20は、タイヤ2の耐久性に寄与しうる。この観点から、この複素弾性率は、12MPa以上がより好ましい。この複素弾性率が20MPa以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性が適切に維持されうる。この観点から、この複素弾性率は17MPa以下がより好ましい。
このタイヤ2では、第一の補強層18に含まれる短繊維の平均長さは10μm以上3000μm以下であるのが好ましい。この平均長さが10μm以上に設定されることにより、短繊維が第一の補強層18を効果的に補強する。この第一の補強層18は、ベルト12の端の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この平均長さは100μm以上がより好ましく、400μm以上が特に好ましい。この平均長さが3000μm以下に設定されることにより、短繊維がこの第一の補強層18に均一に分散する。この第一の補強層18は、均一な物性を有する。この第一の補強層18を備えるタイヤ2の性能は、安定である。この観点から、この平均長さは1500μm以下がより好ましく、800μm以下が特に好ましい。なお、この平均長さは、無作為に抽出された100本の短繊維について計測された長さの平均値で表される。この短繊維の長さは、実体顕微鏡で計測される。同様の観点から、第二の補強層20に含まれる短繊維の平均長さは10μm以上3000μm以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、第一の補強層18に含まれる短繊維の平均直径は、1μm以上100μm以下であるのが好ましい。この平均直径が1μm以上に設定されることにより、短繊維が第一の補強層18を効果的に補強する。この第一の補強層18は、ベルト12の端の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この平均直径は2μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましい。この平均直径が100μm以下に設定されることにより、短繊維がこの第二の補強層20に均一に分散する。この第二の補強層20は、均一な物性を有する。この第二の補強層20を備えるタイヤ22の性能は、安定である。この観点から、この平均直径は80μm以下がより好ましく、50μm以下が特に好ましい。なお、この平均直径は、無作為に抽出された100本の短繊維について計測された直径の平均値で表される。この短繊維の直径は、実体顕微鏡で計測される。同様の観点から、第二の補強層20に含まれる短繊維の平均長さは1μm以上100μm以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、第一の補強層18に含まれる短繊維の平均直径に対する平均長さの比は、10以上2000以下であるのが好ましい。この比が10以上に設定されることにより、ゴム成分と短繊維との接触面積が大きくなるので、短繊維が第一の補強層18を効果的に補強する。この第一の補強層18は、ベルト12の端の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この比は20以上がより好ましく、40以上が特に好ましい。この比が2000以下に設定されることにより、短繊維がこの第一の補強層18に均一に分散する。この第一の補強層18は、均一な物性を有する。この第一の補強層18を備えるタイヤ2の性能は、安定である。この観点から、この比は1500以下がより好ましく、1000以下が特に好ましい。同様の観点から、第二の補強層20に含まれる短繊維の平均直径に対する平均長さの比は、10以上2000以下であるのが好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、第一の補強層18は短繊維を含んだゴム組成物からなる。このゴム組成物への短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であるのが好ましい。この短繊維の配合量が1質量部以上に設定されることにより、短繊維が第一の補強層18を効果的に補強する。この第一の補強層18は、ベルト12の端の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は2質量部以上がより好ましく、4質量部以上が特に好ましい。この短繊維の配合量が10質量部以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性の過大が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が維持されうる。この観点から、この短繊維の配合量は8質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。同様の観点から、第二の補強層20を構成するゴム組成物への短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であるのが好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。便宜上、乗用車用タイヤ2の内圧は180kPaに設定される。
図3は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ56の一部が示された部分拡大断面図である。このタイヤ56は、トレッド、サイドウォール、ビード、カーカス、ベルト、インナーライナー、チェーファー、第一の補強層及び第二の補強層を備えている。この図3には、ショルダーの近傍が示されている。この図には、トレッド58、サイドウォール60、カーカス62、ベルト64、第一の補強層66及び第二の補強層68が示されている。このタイヤ56は、第一の補強層66及び第二の補強層68以外は図1のタイヤ2と同一の構成とされている。従って、ベルト64は、第一のコードを有する第一のプライ70と、第二のコードを有する第二のプライ72とを備えている。各コードは、赤道面に対して傾斜している。コードの傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。この第一のコードの傾斜方向は、第二のコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。
このタイヤ56では、左右の第一の補強層66は、軸方向において離間して配置される。図示されているように、この第一の補強層66はショルダーの近傍に位置している。この第一の補強層66は、第一のプライ70の端部74を包み込んでいる。この第一の補強層66の一端76は、第一のプライ70の半径方向外側に位置している。この第一の補強層66の他端78は、第一のプライ70の半径方向内側に位置している。この第一の補強層66は、第一のプライ70の半径方向外側、端及び半径方向内側と直接に接触している。従って、この第一の補強層66の一部は、この第一のプライ70の半径方向外側に位置している。この第一の補強層66は、第一のプライ70の端部74の外面80を覆う。この第一の補強層66は、カバリングタイプである。
このタイヤ56では、第一の補強層66は、多数の短繊維を含んだゴム組成物からなる。換言すれば、この第一の補強層66は、多数の短繊維を含んでいる。図示されていないが、第一のプライ70の半径方向外側に位置する第一の補強層66の短繊維は、その長手方向が第一のコードと交差するように配向している。このタイヤ56では、この短繊維は有機繊維としてのナイロン繊維からなる。
このタイヤ56では、左右の第二の補強層68は、軸方向において離間して配置される。図示されているように、この第二の補強層68は、トレッド58のショルダーの近傍において、第一の補強層66の半径方向外側に位置している。この第二の補強層68は、この第二のプライ72の端部82を包み込んでいる。この第二の補強層68の一端84は、第二のプライ72の半径方向内側に位置している。この第二の補強層68の他端86は、この第二のプライ72の半径方向外側に位置している。この第二の補強層68は、第二のプライ72の半径方向内側、端及び半径方向外側と直接に接触している。従って、この第二の補強層68の一部は、この第二のプライ72の半径方向外側に位置している。この第二の補強層68は、第二のプライ72の端部82の内面88を覆う。この第二の補強層68は、カバリングタイプである。
このタイヤ56では、この第二の補強層68は、この第一の補強層66とこの第二のプライ72との間に位置している。このタイヤ56では、この第二の補強層68の一端84の位置は、第一の補強層66の一端76の位置とは一致する。このタイヤ56では、この第一の補強層66と、この第二の補強層68とは、この第一のプライ70と第一のプライ70との間において半径方向に重複している。このタイヤ56では、この第二の補強層68の一端84(又はこの第一の補強層66の一端76)から第二のプライ72の端90までの領域が、この第二の補強層68とこの第一の補強層66とが重複している領域である。この領域は、重複領域と称される。
このタイヤ56では、第二の補強層68は、多数の短繊維を含んだゴム組成物からなる。換言すれば、この第二の補強層68は、多数の短繊維を含んでいる。図示されていないが、第二のプライ72の半径方向内側に位置する第二の補強層68の短繊維は、その長手方向が第二のコードと交差するように配向している。このタイヤ56では、この短繊維は有機繊維としてのナイロン繊維からなる。このタイヤ56では、この第二の補強層68と、第一の補強層66とは、同一のゴム組成物からなる。
このタイヤ56では、第一の補強層66及び第二の補強層68のように、短繊維を含んでいるゴム組成物は、この短繊維の配向方向に流動しやすい。前述したように、このタイヤ56では、第一のプライ70の半径方向外側に位置する第一の補強層66に含まれる短繊維の配向方向は、第一のコードの方向と交差している。第二のプライ72の半径方向内側に位置する第二の補強層68に含まれる短繊維の配向方向は、第二のコードの方向と交差している。さらにこのタイヤ56は、第一の補強層66の短繊維の配向方向と、第二の補強層68の短繊維の配向方向とが交差するように構成されている。従って、このタイヤ56では、加硫工程でグリーンタイヤ56が加圧及び加熱されたとき、第一の補強層66及び第二の補強層68の流動に対して、この短繊維が抵抗として作用する。このタイヤ56では、加硫工程におけるこれらの補強層66、68の流出が抑えられるので、第一のコードと第二のコードとの間に、適切な厚みを有する第一の補強層66及び第二の補強層68が形成される。この第一の補強層66及び第二の補強層68は、走行中にベルト64の端に生じる歪みに伴う応力の緩和に充分に寄与しうる。このタイヤ56では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。
このタイヤ56では、第一の補強層66は多数の短繊維を含んでいるので、この第一の補強層66は高い剛性を有する。第二の補強層68は多数の短繊維を含んでいるので、この第二の補強層68は高い剛性を有する。従って、この第一の補強層66及び第二の補強層68は、ベルト64の端の動きを拘束しうる。このタイヤ56では、リフティングが効果的に抑えられる。このタイヤ56では、ロードノイズが小さい。このタイヤ56は、乗り心地に優れる。このタイヤ56では、この第一の補強層66及び第二の補強層68が耐久性及び乗り心地に寄与しうるので、従来のタイヤ56のように、周方向に螺旋状に巻かれるバンドコードを備えたバンドを設ける必要もない。このタイヤ56では、タイヤ質量の増加が抑えられる上に、生産コストが低減されうる。このタイヤ56は、生産性に優れる。
このタイヤ56では、第一の補強層66に含まれる短繊維の配向方向が、第一のコードの方向と垂直に交差するとき、この短繊維がこの第一の補強層66を構成するゴム組成物の流動を最も効果的に阻害しうる。この場合、充分な厚みを有する第一の補強層66が形成されうる。このタイヤ56では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配向角度の絶対値は90°であるのが好ましい。この短繊維による流動阻害が維持されうるという観点から、この配向角度の絶対値は45°以上であるのが好ましく、50°以上であるのがより好ましく、60°以上であるのが特に好ましい。
このタイヤ56では、第二の補強層68に含まれる短繊維の配向方向が、第二のコードの方向と垂直に交差するとき、この短繊維がこの第二の補強層68を構成するゴム組成物の流動を最も効果的に阻害しうる。この場合、充分な厚みを有する第二の補強層68が形成されうる。このタイヤ56では、ルースの発生が防止されうる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配向角度の絶対値は90°であるのが好ましい。この短繊維による流動阻害が維持されうるという観点から、この配向角度の絶対値は45°以上であるのが好ましく、50°以上であるのがより好ましく、60°以上であるのが特に好ましい。
図3において、両矢印線WAは第一の補強層66と第二の補強層68との重複領域の軸方向長さを表している。両矢印線TAは、第二のプライ72の端90から第一のプライ70までの厚みを表している。この厚みTAは、この重複領域の厚みである。この厚みTAは、第一の補強層66の厚みと第二の補強層68との厚みとの和を表している。
このタイヤ56では、軸方向長さWAは5mm以上40mm以下であるのが好ましい。この軸方向長さWAが5mm以上に設定されることにより、第一の補強層66及び第二の補強層68がベルト64の端に生じる歪みを効果的に抑えうる。このタイヤ56では、ルースの発生が抑えられる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。この観点から、この軸方向長さWAは、7mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。この軸方向長さWAが、40mm以下に設定されることにより、ベルト64によるカーカス62の補強効果が維持されうる。この観点から、この軸方向長さWAは、30mm以下がより好ましく、20mm以下が特に好ましい。
このタイヤ56では、厚みTAは0.6mm以上3.0mm以下であるのが好ましい。この厚みTAが0.6mm以上に設定されることにより、第一の補強層66及び第二の補強層68がベルト64の端に生じる歪みを効果的に抑えうる。このタイヤ56では、ルースの発生が抑えられる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。この観点から、この厚みTAは0.7mm以上がより好ましく0.8mm以上が特に好ましい。この厚みTAが3.0mm以下に設定されることにより、ショルダーの剛性が適切に維持されうる。このタイヤ56では、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚みTAは、2mm以下がより好ましく1mm以下が特に好ましい。
このタイヤ56では、第一の補強層66の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下であるのが好ましい。この複素弾性率が10MPa以上に設定された第一の補強層66は、タイヤ56の耐久性に寄与しうる。この観点から、この複素弾性率は、12MPa以上がより好ましい。この複素弾性率が20MPa以下に設定されることにより、タイヤ56の剛性が適切に維持されうる。この観点から、この複素弾性率は17MPa以下がより好ましい。
このタイヤ56では、第二の補強層68の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、10MPa以上20MPa以下であるのが好ましい。この複素弾性率が10MPa以上に設定された第二の補強層68は、タイヤ56の耐久性に寄与しうる。この観点から、この複素弾性率は、12MPa以上がより好ましい。この複素弾性率が20MPa以下に設定されることにより、タイヤ56の剛性が適切に維持されうる。この観点から、この複素弾性率は17MPa以下がより好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1及び図2に示された基本構成を備え、表2に示された仕様の乗用車用空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、195/65R15 91Sである。第一のコードの傾斜角度は、−20°である。第二のコードの傾斜角度は、20°である。第一の補強層及び第二の補強層は、シートタイプである。この構成は、表2において、Sとして表されている。第一の補強層及び第二の補強層は、同一のゴム組成物からなる。第一の補強層及び第二の補強層の短繊維の材質は、ナイロン繊維である。第一の補強層の短繊維の配向角度は、90°である。第二の補強層の短繊維の配向角度は、−90°である。第一の補強層の短繊維の配向方向と第二の補強層の短繊維の配向方向とは、交差している。第一の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、15MPaである。第二の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、15MPaである。第一の補強層と第二の補強層との重複領域の軸方向長さWAは、10mmである。この重複領域の厚みTAは、1mmである。
[実施例9]
第一の補強層の短繊維の配向角度の絶対値を下記表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例10]
第二の補強層の短繊維の配向角度の絶対値を下記表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[比較例3並びに実施例6及び7]
第一の補強層の短繊維の配向角度の絶対値及び厚みTAを下記表1及び表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[比較例2及び実施例8]
第二の補強層の短繊維の配向角度の絶対値及び厚みTAを下記表1及び表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例4、5及び15]
軸方向長さWAを下記表1及び表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例2、3、13及び14]
第一の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率及び第二の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率を下記表1及び表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例11及び12]
厚みTAを下記表2及び表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[比較例1]
第一の補強層及び第二の補強層に短繊維を配合しなかった他は実施例1を同様にして、タイヤを得た。
[実施例17]
図3に示された基本構成を備え、表3に示された仕様の乗用車用空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、195/65R15 91Sである。第一のコードの傾斜角度は、−20°である。第二のコードの傾斜角度は、20°である。第一の補強層及び第二の補強層は、カバリングタイプである。この構成は、表3において、Cとして表されている。第一の補強層及び第二の補強層は、同一のゴム組成物からなる。第一の補強層及び第二の補強層の短繊維の材質は、ナイロン繊維である。第一の補強層の短繊維の配向角度は、90°である。第二の補強層の短繊維の配向角度は、−90°である。第一の補強層の短繊維の配向方向と第二の補強層の短繊維の配向方向とは、交差している。第一の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、15MPaである。第二の補強層の、短繊維の配向方向における複素弾性率は、15MPaである。第一の補強層と第二の補強層との重複領域の軸方向長さWAは、10mmである。この重複領域の厚みTAは、1mmである。
[実施例16]
第一の補強層の短繊維の配向角度の絶対値を下記表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例18]
第二の補強層の短繊維の配向角度の絶対値を下記表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実車評価]
試作タイヤを、国産の、前側エンジン後輪駆動の乗用車に装着した。タイヤの内圧を220kPaとした。この乗用車を、粗度の高いアスファルト製路面の上で、50km/hの速度で走行させた。この走行時の、ドライバーの右耳許での音量(オーバーオール値)と、車外での音量とを測定した。この測定結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。この結果が、下記の表1、表2及び表3に示されている。
[耐久性評価]
試作タイヤがドラム耐久試験機のリムに装着されて、JIS D 4230の規格に準拠して高速耐久性が評価された。この評価に併せて、タイヤ質量の計測も行った。この評価結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。高速耐久性については、この値が大きいほど、良好であることが示される。タイヤ質量に関しては、この値が大きいほど、タイヤ質量が小さいことが示される。この結果が、下記表1、表2及び表3に示されている。
Figure 2008174135
Figure 2008174135
Figure 2008174135
表1、表2及び表3に示されるように、実施例の。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の車両に装着されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された部分拡大断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された部分拡大断面図である。
符号の説明
2、56・・・タイヤ
4、58・・・トレッド
6、60・・・サイドウォール
8・・・ビード
10、62・・・カーカス
12、64・・・ベルト
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18、66・・・第一の補強層
20、68・・・第二の補強層
22・・・トレッド面
24・・・溝
26・・・コア
28・・・エイペックス
30・・・カーカスプライ
32、70・・・第一のプライ
34、72・・・第二のプライ
36、40、74、82・・・端部
38、80・・・外面
42、88・・・内面
44、46、76、84・・・一端
48、52、78、86・・・他端
50、54、90・・・端

Claims (4)

  1. トレッドと、一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスと、このトレッドとこのカーカスとの間に位置するベルトと、軸方向において離間して配置される一対の第一の補強層と、この第一の補強層の半径方向外側に位置しており軸方向において離間して配置される一対の第二の補強層とを備えており、
    このベルトが、カーカスの半径方向外側に位置する第一のプライと、この第一のプライのさらに半径方向外側に位置する第二のプライとを備えており、
    この第一の補強層が、この第一のプライの端部の外面を覆い、
    この第二の補強層が、この第二のプライの端部の内面を覆い、
    この第一のプライが、第一のコードを備えており、
    この第二のプライが、第二のコードを備えており、
    この第一の補強層が、多数の短繊維を含んでおり、
    この短繊維の配向方向がこの第一のコードの方向に対してなす角度の絶対値が、45°以上90°以下であり、
    この第二の補強層が、多数の短繊維を含んでおり、
    この短繊維の配向方向がこの第二のコードの方向に対してなす角度の絶対値が、45°以上90°以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記第一の補強層と上記第二の補強層とが重複している領域の長さが、5mm以上である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記領域の厚みが、0.6mm以上3.0mm以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記第一の補強層の、上記短繊維の配向方向における複素弾性率が、10MPa以上20MPa以下であり、
    上記第二の補強層の、上記短繊維の配向方向における複素弾性率が、10MPa以上20MPa以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
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