JP2008173852A - ヒートシール性発泡フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性とヒートシール性を両立し、かつ、発泡層上に表面層を積層することにより、表面強度を向上し、外観の優れたヒートシール性発泡フィルムを提供すること。
【解決手段】 発泡層(A)とシール層(C)とこれらの間に設けられた中間層(B)を含み、かつ、発泡層(A)の中間層(B)が積層されていない面に表面層(D)が積層された事を特徴とする、4種類以上の層から構成された積層ポリオレフィン系発泡フィルムであり、中間層(B)および表面層(D)が実質的に発泡しておらず、以下の(1)〜(3)の物性を有するプロピレン系重合体を主成分とすることを特徴とするヒートシール性発泡フィルム。
(1)メルトフローレイトが0.1〜20g/10分
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点Tmが147〜159℃
(3)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融解ピークの半値幅HWとTmが
1.54≦((188−Tm)/5)−Hw≦1.86の関係を満たす。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱時の収縮を抑えたポリプロピレン系ヒートシール性発泡フィルムに関し、さらに詳しくは高いヒートシール強度と、加熱時の収縮を抑制することでヒートシールした場合の良好な仕上がり性を両立すること特徴とし、さらに詳しくは、各種包装材料構成要素として使用した場合に有用な加熱時の収縮を抑えたポリプロピレン系発泡フィルムに関するものである。
一般的に、包装材料は、内容物の種類等の目的・用途に応じて隠蔽性、バリア性、美観性などの性質を考慮し、適当な素材・構成が選択される。
そのような包装材料としての重要な特性のひとつとしてヒートシール性が挙げられる。現状有るヒートシール性を有するフィルムとしては、(1)各種延伸フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等)を基材とし、ヒートシール性を有するシーラントフイルム(無延伸ポリプロピレン、ポリエチレンなど)をラミネートした積層フィルム、(2)シーラント樹脂と、ポリプロピレン等とを共押出しし、延伸することで得る積層フィルムが主流である。特許文献1ではA/B、A/B/A、またはA/B/Cの2層または3層からなるポリオレフィン系低温シール性フィルムについて紹介している(例えば、特許文献1等参照。)。
特開平7−24980号公報
包装材料としての重要な特性として隠蔽性も挙げられる。包装用フィルムの隠蔽フィルム方策として(1)印刷、(2)顔料や着色剤等の練り込み、添加、(3)発泡剤添加によるボイド形成などが挙げられるが、コストや品質安定性の面から無機顔料の添加や発泡剤の添加による方法が一般的である(例えば、特許文献2、3等参照。)。
特開昭55−126056号公報 特開2005−22300号公報
その中で、ボイド発生機構としては[1]無機フィラーを添加して延伸工程での樹脂との剥離によりボイドを発生させる方法、[2]マイクロカプセルを添加し、熱によりガスを発生させることでボイドを発生させる方法、[3]溶剤可溶性物質を添加し、製膜後溶剤に浸漬し可溶性物質を溶融除去することでボイドを形成する方法などが代表的であるが、実用上最も普及しているのが炭酸カルシウムなどの無機粒子を発泡剤として樹脂に添加し、延伸時に発生する層間剥離を利用した方法が一般的である。
上記で述べたように、包装材料として、ヒートシール性付与と発泡剤の添加による特性付与は最も重要な特性の一つであるが、これらを高い水準で両立するフィルムのデザインは難しい。すなわち、ヒートシール性発泡フィルムでは、発泡により発生したボイドのため、非発泡フィルムと比較して層間強度が低く、そのため、ヒートシールした基材を剥離する際、シール層界面ではなく層間における剥離が発生するため、シール強度としては低い値となってしまう。
我々は、高いシール強度と低比重性を両立する延伸ポリプロピレン系発泡フィルムとして、発泡層とシール層間に中間層を設け、該中間層(B)に、シール層(C)を形成する樹脂の少なくとも一種類を含有し、かつ、該中間層(B)が、実質的に発泡していないことを特徴とする、フィルムを提案してきた。(例えば、特許文献4等参照)
しかし、上記組成のヒートシール性二軸延伸ポリプロピレン系発泡フィルムでは、発泡層が表面に露出するため、外観が悪く、またテープ剥離時に層間剥離が発生するなど表面強度が弱い点が欠点として挙げられる。
特開2004−345185号公報
本発明は、上記の様な事情に着目してなされたものであり、その目的は、加熱時の収縮を抑えたポリプロピレン系ヒートシール性発泡フィルムに関し、さらに詳しくは高いヒートシール強度と、加熱時の収縮を抑制することでヒートシールした場合の良好な仕上がり性を両立することを特徴とし、かつ、表面強度が向上し、外観が優れた発泡フィルムを提供しようとするものである。
発泡層(A)とシール層(C)とこれらの間に設けられた中間層(B)を含み、かつ、発泡層(A)の中間層(B)が積層されていない面に表面層(D)が積層された事を特徴とする、4種類以上の層から構成された積層ポリオレフィン系発泡フィルムであり、中間層(B)および表面層(D)が実質的に発泡しておらず、以下の(1)〜(3)の物性を有するプロピレン系重合体を主成分とすることを特徴とするヒートシール性発泡フィルム。
(1)メルトフローレイトが0.1〜20g/10分
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点Tmが147〜159℃
(3)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融解ピークの半値幅HWとTmが
1.54≦((188−Tm)/5)−Hw≦1.86の関係を満たす。
この場合において、中間層(B)に、シール層(C)を形成する樹脂の少なくとも一種類を含有することが好適である。
またこの場合において、該中間層(B)の主成分となるプロピレン系重合体が、プロピレン系ランダム共重合体であることが好適である。
さらにまた、この場合において、該中間層(B)の主成分となるプロピレン系重合体が、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体であることが好適である。
ポリプロピレン系発泡フィルムにおいて、実質的に発泡していない中間層のポリプロピレン系樹脂の特性を制御することにより、高いヒートシール強度と、加熱時の収縮を抑制することでヒートシールした場合の良好な仕上がり性を両立すること特徴とし、かつ、発泡層上に表面層を積層することにより、表面強度を向上し、外観が優れたヒートシール性発泡フィルムを提供できる。
以下、本発明のヒートシール性発泡フィルムの実施の形態を説明する。
本発明のヒートシール性発泡フィルムは発泡層(A)とシール層(C)とこれらの間に設けられた中間層(B)を含み、かつ、発泡層(A)の中間層(B)が積層されていない面に表面層(D)が積層された事を特徴とする、4種類以上の層から構成される。
本発明のヒートシール性発泡フィルムの発泡層(A)に使用されるベースポリマーは、プロピレンを主たるモノマー単位として含むものであり、プロピレンの単独重合体のほか、プロピレンと共重合可能なα―オレフィン、すなわち、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン−1などを共重合せしめた共重合体を使用することができる。該共重合体においてはプロピレンが90モル%以上の重合体であることが好ましい。また上記ポリプロピレン樹脂はメルトフローレイト(MFR、JIS−K−7210;230℃、2.16kg荷重)が0.5〜40g/10分、特に1〜15g/10分のものが好ましい。また融点は一般的に120〜180℃、好ましくは150〜170℃のものを例示できる。
本発明の発泡層(A)には、発泡剤として、炭酸カルシウム、シリカ等の無機系フィラー、ポリメチルアクリレート等の有機系フィラーが好ましい。特に好ましくは炭酸カルシウムである。これらフィラー表面には各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。
また、発泡剤の配合量としては5重量%〜20重量%が好ましく、特に10重量%〜15重量%であることが好ましい。発泡剤が5重量%未満では良好な発泡が得られず、隠蔽化が困難となり、20重量%より多いとフィルム製膜時に破断の多発、異物の多発などの不具合が発生し、またフィルム物性としてはボイド率が高すぎ、層間強度が悪化するなどの問題が発生する。粒径としては1μm〜10μmが好ましく、特に1.5μm〜5μmが好ましい。1μm以下ではボイドが発生しにくく、10μm以上では凝集物による外観不良が発生する。粒子径はマイクロトラック HRA X−100にて測定した。
本発明の発泡層(A)には隠蔽性を増加させるために無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。無機質微細粒子としては、二酸化チタン、酸化タングステン、二酸化珪素、ゼオライト等が挙げられ、コスト面、効果から二酸化チタンが特に好ましい。これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径もフィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。
また、これら無機微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。また粒径としては150nm〜500nmが好ましく、特に200nm〜400nmが好ましい。200nm以下では隠蔽効果を発揮しにくく、500nm以上では凝集物によるブツ発生などの悪さがある。粒子径はマイクロトラック HRA X−100にて測定した
また、通常ポリオレフィンフイルムに配合される公知の安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、可塑剤も適宜配合できる。
本発明のヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムのシール層(C)に使用されるポリマーとしては、アイソタクチックポリプロピレンよりも低い融点を持つ、ポリプロピレンとα−オレフィン、すなわち、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン−1などを共重合せしめたコポリマー、もしくはターポリマーを用いることが好ましい。これらのコポリマー、ターポリマーは必ずしも1種である必要はなく、用途、目的によって2種類以上を混合しても良い。この場合、用いるコポリマー、ターポリマーの融点がポリプロピレンと同等もしくはそれ以上であると、シール開始温度の上昇、シール強度の減少などが発生し、本発明の目的の一つに挙げられる良好なシール性が達成できなくなる。
前記シール層(C)に使用されるポリマーとしては、アタクチックポリプロピレン樹脂を用いても良い。この場合も上記コポリマー、ターポリマーと同様に、融点がアイソタクチックポリプロピレンと同等もしくはそれ以上であると、シール開始温度の上昇、シール強度の減少などが発生し、本発明の目的の一つに挙げられる良好なシール性が達成できなくなる。
本発明のヒートシール性発泡フィルムの中間層(B)および表面層(D)の主成分とするプロピレン系重合体とはプロピレン単独重合体及びプロピレン系ランダム共重合体であることを特徴とし、好ましくはプロピレン系ランダム共重合体であり、更に好ましくはプロピレン−1−ブテンランダム共重合体である。
本発明のプロピレン単独重合体とは、モノマーとしてプロピレンのみを重合して得られる重合体である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体とは、プロピレンと、エチレンまたは炭素数4〜20個からなるα−オレフィンから選択された少なくとも1種以上のコモノマーを共重合して得られるランダム共重合体である。
α−オレフィンとしては、炭素数4〜20個からなるα−オレフィンが挙げられる。具体的に例示すると、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることができ、さらに好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンを用いることができる。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体である。
本発明のプロピレン系重合体のメルトフローレイト(g/10分)は、0.1〜20g/10分であり、好ましくは1.0〜10g/10分である。メルトフローレイトが0.1g/10分未満の場合、押出加工時の流動性が不充分であることがあり、20g/10分を超えた場合、流動性が高すぎ、成形性が悪化するという問題がある。
本発明のプロピレン系重合体の示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点Tm(℃)は147〜159℃である。好ましくは150〜158℃であり、より好ましくは152〜157℃である。融点Tm(℃)が147℃未満の場合、延伸フィルムの剛性が不充分であることがあり、159℃を超えた場合、フィルムの延伸性が悪化することがある。
本発明のプロピレン系重合体の示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融解ピークの半値幅HW(℃)と融点Tm(℃)は、HW≦(188−Tm)/5で、1.54≦((188−Tm)/5)−HW≦1.86を満足するものである。
上記値が下限値を下回ると、隠蔽性が低下し、加熱後収縮率が大きくなり加熱後収縮率が大きくなり、製袋加工適性の悪化等という問題が生じやすい。
上記値が上限値を上回ると高結晶成分が多くなり、延伸性が悪化する可能性がある。
上記式中の本発明はメルトフローレイトが0.1〜20g/10分、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点Tmが147〜159℃、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融解ピークの半値幅HWとTmはそれぞれフィルムを構成する主成分のポリプロピレン系樹脂の結晶成分とコモノマー成分含量に対応しており、延伸性と剛性・熱収縮性のバランスを表している。
上記値は、好ましくはHW≦(184−Tm)/5で、0.74≦((184−Tm)/5)−HW≦1.06であり、より好ましくはHW≦(182−Tm)/5で、0.34≦((182−Tm)/5)−HW≦0.66である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体が、プロピレン−エチレンランダム共重合体である場合、エチレン含有量は、剛性および耐熱性と延伸性とのバランスから、好ましくは2.1〜4.0mol%であり、より好ましくは2.2〜3.0mol%である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体が、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体である場合、α−オレフィン含有量は、剛性、耐熱性および延伸性とのバランスから、好ましくは2.6〜10mol%であり、より好ましくは3.0〜8.0mol%である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体がプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体である場合、エチレンとα−オレフィンの含有量の合計は、剛性、耐熱性および延伸性とのバランスから、好ましくは2.6〜10mol%であり、より好ましくは3.0〜8.0mol%である。
本発明のプロピレン系重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体成分から形成される触媒系を用い、公知の重合方法を用いる製造方法が挙げられる。その代表的な例を以下に示す。
・ 触媒系
(a)固体触媒成分
(a−1)チタン化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられるチタン化合物としては、例えば、一般式Ti(OR4−a(Rは炭素数が1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を、aは0≦a≦4の数を表す。)で表されるチタン化合物が挙げられる。具体的には、四塩化チタン等のテトラハロゲン化チタン化合物、エトキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド等のトリハロゲン化アルコキシチタン化合物、ジエトキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン化合物、トリエトキシチタンクロライド、トリブトキシチタンクロライド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン化合物、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン化合物を挙げることができる。これらチタン化合物は、単独で用いても良いし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
(a−2)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられる有機ケイ素化合物としては、例えば、一般式R Si(OR4−n(Rは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子を表し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。また、nは0≦n<4の数を表す。)で表されるケイ素化合物が挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン、ジブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジ−t−ブチルジエトキシシラン、ブチルメチルジエトキシシラン、ブチルエチルジエトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。
(a−3)エステル化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられるエステル化合物としては、例えば、モノおよび多価のカルボン酸エステルが用いられ、それらの例として脂肪族カルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルが挙げられる。具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸エチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル等が挙げられる。好ましくはメタクリル酸エステル等の不飽和脂肪族カルボン酸エステルおよびマレイン酸エステル等のフタル酸エステルであり、さらに好ましくはフタル酸ジエステルである。
(a−4)有機マグネシウム化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられるマグネシウム化合物としては、例えば、マグネシウム−炭素結合やマグネシウム−水素結合を持ち還元能を有するマグネシウム化合物、あるいは、還元能を有さないマグネシウム化合物等が挙げられる。還元能を有するマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム化合物、ブチルマグネシウムクロライド等のアルキルマグネシウムハライド化合物、ブチルエトキシマグネシム等のアルキルアルコキシマグネシウム化合物、ブチルマグネシウムハイドライド等のアルキルマグネシウムハイドライド等が挙げられる。これらの還元能を有するマグネシウム化合物は、有機アルミニウム化合物との錯化合物の形態で用いてもよい。
一方、還元能を有さないマグネシウム化合物の具体例としては、マグネシウムジクロライド等のジハロゲン化マグネシウム化合物、メトキシマグネシウムクロライド、エトキシマグネシウムクロライド、ブトキシマグネシウムクロライド等のアルコキシマグネシウムハライド化合物、ジエトキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム等のジアルコキシマグネシウム化合物、ラウリル酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。
これらの還元能を有さないマグネシウム化合物は、予め或いは固体触媒成分(a)の調製時に、還元能を有するマグネシウム化合物から公知の方法で合成したものであってもよい。
(a−5)エーテル化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられるエーテル化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル等のジアルキルエーテルが挙げられる。好ましくはジブチルエーテルと、ジイソアミルエーテルである。
(a−6)有機酸ハライド化合物
固体触媒成分(a)の合成に用いられる有機酸ハライド化合物としては、モノおよび多価のカルボン酸ハライド等が挙げられ、例えば、脂肪族カルボン酸ハライド、脂環式カルボン酸ハライド、芳香族カルボン酸ハライド等が挙げられる。具体例としては、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、塩化ベンゾイル、トルイル酸クロライド、アニス酸クロライド、コハク酸クロライド、マロン酸クロライド、マレイン酸クロライド、イタコン酸クロライド、フタル酸クロライド等を挙げることができる。好ましくは塩化ベンゾイル、トルイル酸クロライド、フタル酸クロライド等の芳香族カルボン酸クロライドであり、さらに好ましくはフタル酸クロライドである。
固体触媒成分の合成
固体触媒成分(a)を製造する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)液状のマグネシウム化合物、あるいはマグネシウム化合物および電子供与体からなる錯化合物を析出化剤と反応させたのち、チタン化合物、あるいはチタン化合物および電子供与体で処理する方法。
(2)固体のマグネシウム化合物、あるいは固体のマグネシウム化合物および電子供与体からなる錯化合物をチタン化合物、あるいはチタン化合物および電子供与体で処理する方法。
(3)液状のマグネシウム化合物と、液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法。
(4)(1)、(2)あるいは(3)で得られた反応生成物をチタン化合物、あるいは電子供与体およびチタン化合物でさらに処理する方法。
(5)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の共存下アルコキシチタン化合物をグリニャール試薬等の有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物、エーテル化合物およびTiClで処理する方法。
(6)有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物およびエステル化合物の存在下、チタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エーテル化合物と四塩化チタンの混合物、次いで有機酸ハライド化合物の順で加えて処理したのち、該処理固体をエーテル化合物と四塩化チタンの混合物もしくはエーテル化合物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理する方法。
(7)金属酸化物、ジヒドロカルビルマグネシウムおよびハロゲン含有アルコ−ルとの接触反応物をハロゲン化剤で処理した後あるいは処理せずに電子供与体およびチタン化合物と接触する方法。
(8)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物をハロゲン化剤で処理した後あるいは処理せずに電子供与体およびチタン化合物と接触する方法。
(9)(1)〜(8)で得られる化合物を、ハロゲン、ハロゲン化合物または芳香族炭化水素のいずれかで処理する方法。
これらの固体触媒の合成方法のうち、好ましくは(1)〜(6)の方法であり、さらに好ましくは(6)の方法である。これらの合成反応は通常、全て窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で行われる。
チタン化合物、有機ケイ素化合物およびエステル化合物は、適当な溶媒に溶解もしくは希釈して使用するのが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物等が挙げられる。
有機マグネシウム化合物を用いる還元反応の温度は、通常−50〜70℃、好ましくは−30〜50℃、特に好ましくは−25〜35℃である。還元反応温度が高すぎると触媒活性が低下することがある。有機マグネシウム化合物の滴下時間は、特に制限はないが、通常30分〜12時間程度である。また、還元反応終了後、さらに20〜120℃の温度で後反応を行っても良い。
また還元反応の際に、無機酸化物、有機ポリマー等の多孔質物質を共存させ、固体生成物を多孔質物質に含浸させることも可能である。かかる多孔質物質としては、細孔半径20〜200nmにおける細孔容積が0.3ml/g以上であり、平均粒径が5〜300μmであるものが好ましい。
多孔質無機酸化物としては、SiO、Al、MgO、TiO、ZrO又はこれらの複合酸化物等が挙げられる。また、多孔質ポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等のポリスチレン系多孔質ポリマー、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体等のポリアクリル酸エステル系多孔質ポリマー、ポリエチレン、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系多孔質ポリマーが挙げられる。これらの多孔質物質のうち、好ましくはSiO、Al、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体である。
(b)有機アルミニウム化合物
本発明のプロピレン系重合体の製造に用いられる触媒系の有機アルミニウム化合物(b)は、少なくとも分子内に一個のAl−炭素結合を有するものであり、代表的なものを一般式で下記に示す。
AlY3−m
Al−O−AlR
(R〜Rは炭素数が1〜8個の炭化水素基を、Yはハロゲン原子、水素またはアルコキシ基を表す。R〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、mは2≦m≦3で表される数である。)有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムハライド、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物のようなトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキサン等のアルキルアルモキサン等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物のうち、好ましくはトリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、アルキルアルモキサンであり、さらに好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、またはテトラエチルジアルモキサンが好ましい。
(c)電子供与体成分
本発明のプロピレン系重合体の製造に用いられる触媒系の電子供与体成分(c)としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類等の含酸素電子供与体、アンモニア類、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素電子供与体等の一般的に使用されるものを挙げることができる。これらの電子供与体のうち好ましくは無機酸のエステル類およびエ−テル類である。
無機酸のエステル類として好ましくは、一般式R Si(OR104−n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子、R10は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R、R10は、それぞれ同一分子内に異なった置換基を有していても良く、nは0≦n<4である)で表されるケイ素化合物である。具体例としては、テトラブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、 ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
さらに、エーテル類として好ましくは、ジアルキルエーテル、一般式
Figure 2008173852
(式中、R11〜R14は炭素数1〜20の線状または分岐状のアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基、またはアラルキル基であり、R11またはR12は水素原子であってもよい。)で表されるジエーテル化合物が挙げられる。具体例としては、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン等を挙げることができる。
これらの電子供与体成分のうち一般式R1516Si(OR17で表される有機ケイ素化合物が特に好ましく用いられる。ここで式中、R15はSiに隣接する炭素原子が2級もしくは3級である炭素数3〜20の炭化水素基であり、具体的には、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられる。また式中、R16は炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、等の分岐鎖状アルキル基、シクロペンンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられる。さらに式中、R17は炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基である。このような電子供与体成分として用いられる有機ケイ素化合物の具体例としては、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
(2)重合方法
本発明で用いられるプロピレン系重合体の製造方法としては、公知の重合方法を用いて、前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)からなる触媒系の存在下に、プロピレンを重合させる方法が挙げられる。
重合方法としては、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法であり、溶液重合もしくはスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法であり、また、気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法である。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも可能であり、また、これらの重合方法を任意に組合せもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法が好ましい。
有機アルミニウム化合物(b)の使用量は、固体触媒成分(a)に含まれるチタン原子1mol当たり1〜1000molであり、好ましくは5〜600molである。
また、電子供与体成分(c)の使用量は、固体触媒成分(a)に含まれるチタン原子1mol当たり0.1〜2000mol、好ましくは0.3〜1000mol、さらに好ましくは0.5〜800molであり、有機アルミニウム化合物(b)に含まれるアルミニウム原子1mol当たり0.001〜5mol、好ましくは0.005〜3mol、さらに好ましくは0.01〜1molである。
重合温度は、−30〜300℃で実施することができるが、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、特に制限は無いが、工業的かつ経済的な観点から、一般に、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。
分子量調整剤としては、水素が好ましい。水素の供給量は本発明のプロピレン系重合体の用途によって適宜、決めることができる。
各触媒成分を重合槽に供給する方法としては、チッソ、アルゴン等の不活性ガス中で水分の無い状態で供給する以外は、特に制限すべき条件はない。また、固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)は、個別に供給しても良いし、いずれか二者、または、全てを予め接触させて供給しても良い。
本発明に用いられるプロピレン系重合体の製造において重合(本重合)の実施前に、以下に述べる予備重合を行っても良い。
予備重合の方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。予備重合に用いられる溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンのような不活性炭化水素及び液状のプロピレンが挙げられ、これらを2種類以上混合して用いても良い。
予備重合における有機アルミニウム化合物(b)の使用量は、固体触媒成分(
a)に含まれるチタン原子1mol当たり0.5〜700molであり、好ましくは0.8〜500molであり、さらに好ましくは1〜200molである。
予備重合されるプロピレンの量は、固体触媒成分1g当たり0.01〜1000gであり、好ましくは0.05〜500gであり、さらに好ましくは0.1〜200gである。
予備重合におけるスラリー濃度は、溶媒1L当たりに含まれる固体触媒成分(a)の重量にして、好ましくは1〜500g/Lであり、さらに好ましくは3〜300g/Lである。予備重合温度として、好ましくは−20〜100℃であり、さらに好ましくは0〜80℃である。また、予備重合中の気相部におけるプロピレンの分圧は、好ましくは0.001〜2.0MPaであり、さらに好ましくは0.01〜1.0MPaであるが、予備重合の圧力、温度において液状であるプロピレンについては、この限りではない。さらに、予備重合時間は、特に制限はないが、通常、2分から15時間が好適である。
予備重合における固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及びプロピレンの供給方法としては、固体触媒成分(a)と有機アルミニウム化合物(b)を接触させた後、プロピレンを供給する方法、または、固体触媒成分(a)とプロピレンを接触させた後、有機アルミニウム化合物(b)を供給する方法等が挙げられる。また、プロピレンの供給方法としては、重合槽内が所定の圧力になるように保持しながら順次プロピレンを供給する方法、または、所定のプロピレン量の全てを最初に供給する方法等が挙げられる。また、得られる予備重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加しても良い。
さらに、予備重合において、必要に応じて電子供与体成分(c)を共存させても良い。その使用量は、固体触媒成分(a)に含まれるチタン原子1mol当たり0.01〜400molであり、好ましくは0.02〜200molであり、さらに好ましくは0.03〜100molであり、有機アルミニウム化合物(b)に含まれるアルミニウム原子1mol当たり0.003〜5molであり、好ましくは0.005〜3molであり、さらに好ましくは0.01〜2molである。
予備重合に用いる電子供与体成分の供給方法は、特に制限はなく、固体触媒成分(a)及び有機アルミニウム化合物(b)と別個に供給しても良いし、予め接触させて供給しても良い。また、予備重合で使用されるプロピレンは、本重合で使用されるプロピレンと同一であっても良く、異なっていても良い。
また主成分たるプロピレン系重合体含有量としては40重量%以上が好ましく、更に好ましくは50重量%以上である。ただしどのような配合比であっても他の樹脂組成物と比較して多いことが主成分たるゆえんである。このように実質的にボイドを含まない中間層(B)に耐熱収縮性良好な樹脂を用いる事で、充分な熱収縮低減効果を付与できる。
また主成分とならない樹脂としては、シール層(C)を形成する樹脂の少なくとも一種類を含有することが特に好ましい。
これはシール層との相溶性を向上させることでシール強度を向上させる目的で添加しており、含有量としては10〜49重量%以上が好ましく、更に好ましくは30〜45重量%以上である。
主成分となる樹脂及びシール層(C)を形成する少なくとも一種類の樹脂以外の樹脂としては、プロピレン系共重合体を使用することができる。この樹脂はプロピレンを主たるモノマー単位として含むものであり、プロピレン単独重合体をはじめ、プロピレンと共重合可能なα―オレフィン、すなわち、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン−1などを共重合せしめた共重合体を使用することができる。該プロピレン系共重合体においてはプロピレンが90モル%以上の重合体であることが好ましい。また上記ポリプロピレン樹脂はメルトフローレイトが0.5〜40g/10分、特に1〜20g/10分のものが好ましい。また融点は一般的に120〜180℃、好ましくは140〜170℃である。
該ヒートシール性発泡フィルムの中間層(B)および表面層(D)には本発明の効果を損なわない範囲であれば、隠蔽性、滑り性、生産性等を向上させる手段として、無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。無機質微細粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、ゼオライト等が挙げられ、これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径もフィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。
この時のフィルム厚みは、その用途や使用方法によって異なるが、包装フィルムとしてのポリプロピレン系発泡フィルムは一般的に10〜200μm程度であり、機械的強度やハンドリングの点において、より好ましくは、20〜150μm程度である。
またシール層の厚みとしては全体の2%〜30%程度が好ましい。シール層が薄すぎるとシール性が悪くなり、シール層が厚すぎるとフィルムの腰感悪くなり包装材料として好ましくない。
尚、本発明における隠蔽性良好なヒートシール性発泡フィルムを製膜する方法は、特に限定されるものではなく、通常の押し出し機、例えばTダイ法などで原反を製膜し、適宜、所望の温度、倍率で延伸することができる。例えば、一般的なポリオレフィンの場合の製膜条件となんら変わるものではなく、押し出し温度150〜300℃の温度で溶融押し出しした樹脂組成物を10〜100℃の冷却ロールで固化させたシートに延伸を施すことによって得られる。
延伸工程では、面積倍率で8〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸することができる。また、延伸方法は、1軸延伸、2軸延伸を問うものではなく、2軸延伸の場合も、同時2軸延伸法、逐次2軸延伸法、インフレーション法などで実施することができるが逐次2軸延伸が一般的である。
次に本発明の内容および効果を実施例によって説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定されるものではない。尚、本明細書中における特性値の測定方法は以下の通りである。
(メルトフローレイト:MFR)
JIS K7210に準拠して測定した。
(融点Tm)
融点(Tm)は、示差走査型熱量計(島津製作所社製DSC−60)を用い、ポリマーを220℃で5分間熱処理後、降温速度300℃/分で150℃まで冷却して150℃において1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで冷却して50℃において1分間保温し、さらに50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際の融解ピーク温度を融点Tmとして求めた。
(融解ピーク半値幅(HW))
融解ピークの半値幅HW(℃)は、融点Tm(℃)を測定した際のDSC融解曲線を試料重量で標準化して書き出した場合の、融解ピーク全体のベースラインからピークトップまでの高さの中点におけるピーク幅として求めた。
(フィルム比重)
サンプルを280mm×400mmのサイズにカットし、化学天秤にて重さを測定する。その後ダイヤルゲージを用いて厚みを測定する。それらの結果を以下の式(1)に当てはめ算出する。
見かけ比重(g/cm)=重さ(g)/(面積(cm)×厚み(μm)) (1)
(ヒートシール強度)
JIS Z1707に準拠してシール強度測定実施した。具体的な手順を簡単に以下に記す。ヒートシーラーにて、サンプルシール層面同士を接着。該接着サンプルを、引張強度試験機(東洋測機社製:商品名テンシロンUTM)を使用して、T時剥離強度の測定を行った。この時のシール圧力は10N/cm、シール時間は1秒、シール温度は130℃、引張速度は200mm/分、試験片幅は15mm幅である。単位はN/15mmで示す。
(ヒートシール仕上がり性)
前述のヒートシール強度測定方法と同様に、ヒートシーラーにて130℃の温度で、サンプルのシール層面同士を接着し、そのときのシール部のシワやズレの程度を目視で判断した。
試験片幅は15mm幅である。
◎・・・シール部およびその周辺にシワ・ズレがない状態
○・・・シール部およびその周辺にシワ・ズレが若干ある状態
△・・・シール部およびその周辺にシワ・ズレが全面にある状態
×・・・シール部およびその周辺にシワ・ズレが全面にあり、シール性(密閉性)に
影響がでる状態
(ヒートシール特性)
ヒートシール強度、ヒートシール仕上がり性がともに良好なものを○、両立するものを×とした。
(加熱収縮率)
JIS Z1715を引用した。すなわち、フィルムを20mm×250mmの長方形に裁断し、150mmの距離をおいて標線をつけ、120℃の熱風乾燥機中に無荷重状態で30分間熱処理して熱収縮させた後、フィルムの縦及び横方向の寸法を測定し、下式に従い熱収縮率を求めた。
熱収縮率=
{(加熱前の標点間距離−加熱後の標点間距離)/加熱前の標点間距離}×100(%)
(光沢度)
JIS K7105に準拠して光沢度(45℃)を測定した。
(表面強度)
セロテープ(登録商標)(ニチバン製 18mm幅)をフィルムサンプルに貼着後、急激剥離し、層間剥離もしくは凝集破壊の有無・程度を目視で確認する。剥離角度は試験サンプルを平面に保ち約150°方向で実施した。
クラス5・・・全体が剥離または凝集破壊した。
クラス4・・・ほとんどが剥離または凝集破壊した。
クラス3・・・半分程度が剥離または凝集破壊した。
クラス2・・・ほとんどが剥離または凝集破壊しない。
クラス1・・・全く剥離または凝集破壊しない。
(実施例1)
本実施例としては、表面層(D)、発泡層(A)、中間層(B)及びシール層(C)の4層から構成された積層ポリオレフィン系発泡フィルムであり、表面層(D)と中間層(B)は、同一の押出し機から押出しし、ダイス前のアダプターにて分流させた同一の樹脂組成物からなる構成である。詳細には、一方の押し出し機より発泡層(A)としてポリプロピレン単独重合体(住友化学製、FS2011DG3:MFR=2.5g/10分、融点156℃、半値幅:6.6℃)55重量部、炭酸カルシウム含有マスターバッチ(ポリプロピレン(住友化学製、FS2011DG3:MFR=2.5g/10分、融点156℃、半値幅:6.6℃)40wt%、炭酸カルシウム(備北粉化工業PO150B−10)60wt%)25重量部、二酸化チタンマスターバッチ(大日本インキ化学工業製、L−11145M:ポリプロピレン(MFR=2.5g/10分、融点156℃、半値幅:6.6℃)40wt%、二酸化チタン(堺化学製、ルチル型)60wt%))20重量部を混合後、250℃の樹脂温度で溶融押し出しし、もう一方の押し出し機により中間層(B)および表面層(D)として、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(住友化学製 FSX21E1:MFR=1.9g/10分、融点156℃、半値幅:4.7℃)70重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」MFR=3g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分5%)30重量部を250℃の樹脂温度にて溶融押し出しし、さらにもう一方の押し出し機よりシール層(C)として、プロピレン−ブテン共重合体(住友化学製「SPX89E3」MFR=9g/10分、ブテン成分18%)70重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」MFR=3g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分5%)30重量部にアンチブロッキング剤として炭酸カルシウム立方体粒子(丸尾カルシウム製「CUBE50KAS」平均粒子径5μm)3750ppm、炭酸カルシウム立方体粒子(丸尾カルシウム製「CUBE80KAS」平均粒子径8μm)8250ppm、PMMA架橋ビーズ(住友化学製 平均粒子径1.8μm)750ppmを添加し、260℃の樹脂温度で溶融押し出しし、Tダイ内にて、表面層(D)、発泡層(A)、中間層(B)、シール層(C)の順に積層し、50℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用してタテ方向に4.5倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、ヨコ方向に9.0倍の延伸を行った上で、フィルムワインダーにより巻き取ってフィルムを得た。最終的なフィルム厚みは、30μmである。また表面層(D)/発泡層(A)/中間層(B)/シール層(C)のそれぞれの層厚みは5μm、18μm、5μm、2μmであった。
本フィルムは、加熱シール時の収縮による外観不良低減と高シール強度を両立し、かつ表面強度・外観の良好なフィルムであった。特性値を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、中間層(B)および表面層(D)の配合をプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(住友化学製、FSX21E1:MFR=1.9g/10分、融点156℃、半値幅:4.7℃)30重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」MFR=3g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分5%)70重量部した以外は実施例1と同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、加熱シール時の熱収縮によって仕上がり性が不良となった。フィルムの特性値を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、中間層(B)の配合をプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(住友化学製、FSX21E1:MFR=1.9g/10分、融点156℃、半値幅:4.7℃)70重量部、ポリプロピレン単独重合体(住友化学製、FS2011DG3:MFR=2.5g/10分、融点156℃、半値幅:6.6℃)30重量部とした以外は実施例1と同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、層間強度が低下することによって、ヒートシール性の劣るフィルムとなった。フィルムの特性値を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、層構成を発泡層(A)/中間層(B)/シール層(C)とした以外は実施例1と同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、表面強度および光沢度の劣るフィルムとなった。フィルムの特性値を表2に示す。
Figure 2008173852
Figure 2008173852
本発明のヒートシール性発泡フィルムは、高いヒートシール強度と、加熱時の収縮を抑制することでヒートシールした場合の良好な仕上がり性を両立することを特徴とし、かつ、発泡層上に表面層を積層することにより、表面強度を向上し、外観の優れたヒートシール性発泡フィルムを提供しようとするものであり、包装材料に好適なフィルムである。

Claims (4)

  1. 発泡層(A)とシール層(C)とこれらの間に設けられた中間層(B)を含み、かつ、発泡層(A)の中間層(B)が積層されていない面に表面層(D)が積層された事を特徴とする、4種類以上の層から構成された積層ポリオレフィン系発泡フィルムであり、中間層(B)および表面層(D)が実質的に発泡しておらず、以下の(1)〜(3)の物性を有するプロピレン系重合体を主成分とすることを特徴とするヒートシール性発泡フィルム。
    (1)メルトフローレイトが0.1〜20g/10分
    (2)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融点Tmが147〜159℃
    (3)示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した融解ピークの半値幅HWとTmが
    1.54≦((188−Tm)/5)−Hw≦1.86の関係を満たす。
  2. 中間層(B)に、シール層(C)を形成する樹脂の少なくとも一種類を含有することを特徴とする請求項1記載のヒートシール性発泡フィルム。
  3. 該中間層(B)の主成分となるプロピレン系重合体が、プロピレン系ランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載のヒートシール性発泡フィルム。
  4. 該中間層(B)の主成分となるプロピレン系重合体が、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載のヒートシール性発泡フィルム。
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