JP2008173788A - 液体噴射装置 - Google Patents

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秀弥 横内
Hiroyuki Ito
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Abstract

【課題】液体噴射装置の大型化を招くことなく、簡単な構造で液体流路内に混入した気体を回収して、この気体混入に起因する不具合の発生を未然に防止することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】上部フィルタ室55aを区画形成している区画壁を間に介して気体回収空部60を形成し、キャリッジ6の移動により作動して気体回収空部60内の圧力を減圧可能なピストンポンプ71をキャリッジ6に備え、記録ヘッドの上部フィルタ室55aと気体回収空部60との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁61とし、キャリッジ6を移動してピストンポンプ71を作動させて気体回収空部60内の圧力を記録ヘッドの上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧にする。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット式プリンタ等の液体噴射装置に係り、特に、液体貯留部材に貯留された液体を液体流路を介して圧力室に導入し、この圧力室内に導入した液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関する。
液体を吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する液体噴射装置の代表的なものとしては、例えば、吐出対象物(記録媒体)としての記録紙等に対してインク滴を吐出・着弾させて記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、或いはFED(面発光ディスプレー)等のディスプレー製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して吐出するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
そして、上記液体噴射装置一種として、例えば、大判の記録紙に印刷を行う業務用のプリンタ等のように、比較的大量の液体を一度に使用するタイプの液体噴射装置では、液体貯留部材としての液体供給源(インクカートリッジ)を装置本体側に配置し、当該液体供給源からのインクを液体噴射ヘッドの内部に導入するための中継ユニット(インク圧調整ユニット)を液体噴射ヘッドに装着し、これらの液体供給源と中継ユニットとを、可撓性を有する液体供給チューブで接続し、この液体供給チューブを通じて液体供給源からのインクを液体噴射ヘッド内部に供給する構成(オフキャリッジタイプ)のものが採用されている(特許文献1)。
このような液体供給源に代表されるインクカートリッジを用いる構成では、インクカートリッジに挿入するインク導入針から記録ヘッドのノズル開口までに至るインク流路(液体流路)がインクで満たされている状態が理想的であるが、インクカートリッジの交換等でインク流路内に気体が入り込むことがあり、これを完全に防止することは困難である。特に、インクカートリッジから液体供給チューブを介して液体噴射ヘッド内部にインクを供給するオフキャリッジタイプでは、外部の空気が液体供給チューブの壁面を透過して内部のインクに溶け込むことで、インク流路内のインクを飽和状態にしてしまうことがある。このため、インク流路内に新たに進入した気体がインクに溶け込むことができずに、或いは溶けていた気体が、気泡となってインク流路内のインクに混入することがある。このようにしてインク流路内に入り込んだ気泡は、次第に成長して大きくなり、過度に成長した気泡の一部がインクの流れによって圧力室側に移動すると、吐出動作時の圧力変動を気泡が吸収することによる圧力損失や、気泡が流路を塞ぐことによるインクの供給不足等の不具合を招く虞がある。
このような気泡の混入による不具合を防止するために、上記の液体噴射ヘッドでは、記録動作時の数倍の流速のインク流を発生させるクリーニング動作を定期的に実行し、インク流路内の気泡を排出している。また、クリーニング動作以外でインクに混入した気体を排出可能なものとしては、圧力室に連通する共通液室(共通液体室)の側面に気体透過性膜を設け、この気体透過性膜の液体と接する側と反対側にチャンバを設け、このチャンバに負圧を発生させることにより共通液室内の液体に脱気処理を施すことで、圧力室内の気泡の発生を抑制するものが提案されている(特許文献2)。さらに、インクに混入した気体を脱気するものとしては、空気ポンプを備えた脱泡器をタンクと液体噴射ヘッドの間のインク供給通路(インク流路)中に設け、この脱泡器とタンクと液体噴射ヘッドとインク供給通路とが共に往復運動するように構成されるものが提案されている(特許文献3)。
特開2005−219229号公報 特開2006−95878号公報 特公平8−18434号公報
しかしながら、特許文献2の発明の構成では、共通液体室内とチャンバ内との圧力差を大きくしないと、共通液体室内の気体を気体透過性膜を透過させて脱気することができないため、大がかりな減圧手段が必要となる。その上、この圧力差が大きすぎると、インクに混入している水蒸気が抜けてインク流路内のインクが増粘してしまうため、圧力計などを用いて監視しながらチャンバ内の圧力を制御する必要があった。また、特許文献3の発明の構成では、往復移動する液体噴射ヘッドに、脱泡器とタンクおよびインク供給通路を備えているため、液体噴射ヘッド(キャリッジ)の大型化を招いてしまい、液体噴射ヘッドを高速移動させることが困難となるので、記録の高速化を図ることに支障を来たすという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体噴射装置の大型化を招くことなく、簡単な構造で液体流路内に混入した気体を回収して、この気体混入に起因する不具合の発生を未然に防止することが可能な液体噴射装置を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体貯留部材内に貯留された液体を液体流路を通じて圧力室に導入し、圧力発生手段の作動によって液体をノズル開口から吐出可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドを装着し、ガイド部材に沿って往復移動可能なキャリッジと、を備えた液体噴射装置であって、
前記液体流路を区画形成している区画壁を間に介して気体回収空部を形成し、前記キャリッジの移動により作動して気体回収空部内の圧力を減圧可能な減圧手段をキャリッジに備え、
前記液体噴射ヘッドの液体流路と気体回収空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁とし、前記キャリッジを移動して減圧手段を作動させて気体回収空部内の圧力を、液体噴射ヘッドの液体流路内の圧力に比較して低圧にすることを特徴とする。
上記構成によれば、前記キャリッジを移動して減圧手段を作動させて気体回収空部内の圧力を液体噴射ヘッドの液体流路内の圧力に比較して低圧にするので、キャリッジの駆動力を利用した簡単な構造で気体回収空部内を減圧することができる。したがって、減圧手段を備えることによるキャリッジの大型化を抑制することができる。また、上記気体回収空部内の圧力と液体噴射ヘッドの液体流路内の圧力との圧力差により液体流路内の気体を、上記透過区画壁を透過して気体回収空部に回収することができるので、圧力室に気泡が混入することを防止できる。このため、気泡排出のためのクリーニング動作の実行を減らすことができ、これにより、クリーニング動作に伴うインクの消費を少なくすることができる
この構成において、前記液体流路の途中に、該液体流路内の気泡を捕捉する気体トラップ空部を形成し、該気体トラップ空部を区画形成している区画壁の一部を前記透過区画壁とし、該透過区画壁を間に介して前記気体回収空部を形成することが望ましい。
この構成によれば、液体流路内に混入した気体を、気体トラップ空部に確実に捕捉収集して、その捕捉された気体を透過区画壁を介して気体回収空部内に回収することができ、回収の効率を高めることができる。
この構成において、前記液体流路の途中の気体トラップ空部を、該液体流路内の液体を濾過するためのフィルタを内部に配設したフィルタ室とし、該フィルタ室のフィルタより上流側の空部を区画形成している区画壁を前記透過区画壁とし、該透過区画壁を間に介して前記気体回収空部を形成することが望ましい。
この構成によれば、液体流路内に気体を捕捉収集するための気体トラップ空部を別途形成する必要がなくなる。
上記各構成において、前記透過区画壁を、液体流路を区画している他の区画壁と同一の材料を用いて一体に形成すると共に、他の区画壁よりも薄くすることが望ましい。
この構成によれば、前記透過区画壁を、液体流路を区画している他の区画壁と同一の材料を用いて一体に形成するので、透過区画壁を別個形成して取り付ける工程を省略でき、しかも気体の透過性を高めることが可能となる。
上記各構成において、前記キャリッジの移動範囲のうち、液体噴射ヘッドのノズル開口から吐出可能な吐出範囲から外れた非吐出範囲に臨ませて、前記減圧手段の押圧受部が当接可能な駆動押圧部を設け、
前記減圧手段は、前記気体回収空部に連通して容積変化が可能な負圧発生室と、該負圧発生室を膨張させる方向に復元力で付勢する付勢部材と、前記負圧発生室内から外部への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁とを備えた吸引ポンプを含んで構成され、前記押圧受部を駆動押圧部に当接することにより負圧発生室を収縮すると共に付勢部材を収縮し、押圧受部が駆動押圧部から離れた後の付勢部材の復元力により前記負圧発生室の容積を膨張させることで負圧発生室内を減圧することが望ましい。
この構成によれば、減圧手段をキャリッジの駆動力を吸引ポンプの駆動力に変換することによって作動させることができるので、吸引用の駆動機構をキャリッジに別個に備える必要がない。したがって、減圧手段を備えていても、キャリッジの大型化を抑制でき、また、簡単な構造で気体回収空部内を減圧可能となる。また、減圧手段を駆動する大がかりな機構が不要なので、キャリッジの重量の増大も抑制でき、液体噴射ヘッドの高速移動が可能となる。このため、記録の高速化を図るのに支障を来たすことがない。
この構成において、前記吸引ポンプを、前記負圧発生室と付勢部材とを弾性素材で一体成型した蛇腹を有する蛇腹ポンプにより構成し、蛇腹の自由端側を押圧受部として駆動押圧部に当接可能とすることが望ましい。
また、この構成において、前記気体回収空部に連通したシリンダ部と、該シリンダ部内で摺動可能なピストン部と、該ピストン部とシリンダ部とにより囲まれて形成された負圧発生室と、該負圧発生室の容積を膨張させるように付勢する付勢部材としての復元スプリングと、からなるピストンポンプにより前記吸引ポンプを構成し、シリンダ部から突出したピストン部のロッドの先端を押圧受部として駆動押圧部に当接可能とすることが望ましい。
上記構成において、前記逆止弁は、開閉部を閉状態に維持する方向に付勢する弁付勢部材と、開閉部から前記ピストンポンプのピストン部に向けて延出された開閉ロッドとから構成され、前記ピストン部が負圧発生室の圧縮方向に移動すると、該ピストン部が途中から前記開閉ロッドに当接して開閉部を開放状態にすることにより前記負圧発生室内の圧縮気体を外部に排出し、ピストン部が開閉ロッドから離隔すると、弁付勢部材の付勢力により開閉部を閉状態に維持するようにすることが望ましい。
この構成によれば、流体の圧力を利用しなくても、ピストン部が負圧発生室の収縮方向に移動する際の押圧力を利用することにより開閉ロッドを介して開弁することができる。したがって、弁付勢部材の付勢力を使用環境の圧力に合わせて設定する必要がないので、同条件の圧力で使用する場合に、弁付勢部材の付勢力を、汎用の逆止弁のものよりも大きく設定することが可能となる。これにより、ピストン部に連動させて開弁する簡単な構造で閉弁状態での密閉度を高めることができる。したがって、長期に亘って負圧発生室の負圧状態を維持することが可能であり、信頼性も向上させることができる。また、ピストン部の押圧力を利用して開弁することができるので、負圧発生室の収縮の際に内部の気体を確実に外部に排出することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。なお、本実施形態では、液体噴射装置の一形態である画像記録装置に代表されるインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。
図1は、本発明に係る記録ヘッドを搭載するプリンタの構成を示す平面図である。このプリンタ1は、筐体2と、この筐体2内に配設されたプラテン3とを備えており、紙送りモータの駆動により回転する紙送りローラ(何れも図示せず)によってプラテン3上に記録紙(記録媒体又は吐出対象物の一種:図示せず)が搬送されるようになっている。また、筐体2内には、プラテン3と平行にガイドロッド4(ガイド部材の一種)が架設されており、このガイドロッド4には、記録ヘッド5を装備したキャリッジ6が摺動可能に支持されている。このキャリッジ6は、パルスモータ7の駆動によって回転する駆動プーリ8と、この駆動プーリ8とは筐体2における反対側に設けられた遊転プーリ9との間に架設されたタイミングベルト10に接続されている。そして、キャリッジ6は、パルスモータ7を駆動することで、ガイドロッド4に沿って紙送り方向と直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。
プリンタ1の一側の非記録領域(非吐出範囲)であるホームポジションには、キャッピング機構12が配設されている。キャッピング機構12は、記録ヘッド5のノズル形成面に当接し得るトレイ状のキャップ部材12´を有する。このキャッピング機構12では、キャップ部材12´内の空間が封止空部として機能し、この封止空部内に記録ヘッド5のノズル開口13(図3参照)を臨ませた状態でノズル形成面に密着可能に構成されている。また、このキャッピング機構12には、吸引ポンプを含んで構成されたポンプユニット14が接続されており、このポンプユニット14の作動によって封止空部内を負圧化することができる。そして、ノズル形成面への密着状態でポンプユニット14を作動し、封止空部(密閉空間)内を負圧化すると、ノズル開口13から記録ヘッド5内のインクが吸引されてキャップ部材12´の封止空部内に排出されるようになっている。つまり、このキャッピング機構12は、記録ヘッド5内(インク流路内)に記録動作時の数倍の流速のインク流を発生させてインクや気泡を強制的に吸引排出するクリーニング動作を行う構成となっている。
また、上記ホームポジションに隣接する筐体2の一側には、インクカートリッジ17を着脱可能に搭載するカートリッジホルダ18が設けられている。本実施形態では、合計4個のインクカートリッジ17(本発明における液体貯留部材の一種に相当)がカートリッジホルダ18に搭載されている。このインクカートリッジ17は、エアチューブ19を介してエアポンプ20と接続されており、このエアポンプ20からの空気が各インクカートリッジ17内に供給される。そして、この空気によるインクカートリッジ17内の加圧により、インク供給チューブ21を通じて記録ヘッド5側にインクが供給(圧送)されるように構成されている。
インク供給チューブ21は、可撓性を有する長尺な中空部材であり、各インクカートリッジ17(各色)に対応してそれぞれ形成されている。また、プリンタ1本体側と記録ヘッド5側との間には、プリンタ1本体側の制御部から記録ヘッド5側に駆動信号等を伝送するためのFFC(フレキシブルフラットケーブル)22が配線されている。
次に、プリンタに搭載される記録ヘッドについて説明する。図2は記録ヘッドの分解斜視図、図3は記録ヘッドのヘッド本体の要部断面図、図4は記録ヘッドの斜視図である。
本実施形態における記録ヘッド5は、ヘッド本体5´、インク圧調整ユニット24、第1ケース25、及び、第2ケース26を主な構成要素としている。ヘッド本体5´は、導入針ユニット27、ヘッドケース28、振動子ユニット29、流路ユニット30、駆動基板31、中継基板32、ヘッドカバー33などから構成されている。
ヘッドケース28は、中空箱体状の部材であり、図3に示すように、その先端面(下面)には流路ユニット30を固定し、内部に形成された収容空部34内には振動子ユニット29を収容し、流路ユニット30とは反対側の基端面(上面)側には、中継基板32と導入針ユニット27を配置している。振動子ユニット29は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子35(圧力発生手段の一種)と、この圧電振動子35に駆動信号を供給するための配線部材(図示せず)と、圧電振動子35を固定する固定板36等から構成される。圧電振動子35は、流路ユニット30における圧力室37を区画する可撓面(振動板)に接合されている。そして、この圧電振動子35は、駆動信号の供給により伸縮駆動して圧力室37の容積を膨張又は収縮することで、圧力室37内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動の制御によりノズル開口13からインク滴を吐出させることができる。
流路ユニット30は、ノズル開口13を列設したノズル列を有するノズル形成基板38(図3参照)や、インク流路を形成する流路形成基板39等の構成部材を積層した状態で接着剤で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室40(共通液体室)からインク供給口及び圧力室37を通りノズル開口13に至るまでの一連のインク流路(液体流路)を形成するユニット部材である。流路ユニット30における圧力室37は、ノズル開口13毎に形成されており、インク圧調整ユニット24側から共通インク室40を介してインクが供給されるように構成されている。この流路ユニット30はヘッドケース28の先端面に接合され、この接合状態の流路ユニット30の外側からその周縁部を包囲するように、金属製のヘッドカバー33が止着部材33´によって取り付けられる。このヘッドカバー33は、流路ユニット30やヘッドケース28を保護すると共に、流路ユニット30のノズル形成基板38を接地電位に調整し、記録媒体の一種の記録紙等から発生する静電気によるノイズ等の障害を防止する機能を果たす。
駆動基板31は、FFC22を接続するためのコネクタ41を備え、このFFC22を通じて制御部側から駆動信号を受けてこの駆動信号を圧電振動子35側へ供給するように構成されており、両端部にそれぞれ2個ずつコネクタ41が装着されている。また、この駆動基板31は、フレキシブルケーブル42を介して中継基板32と接続されており、後述する第1ケース25の基板固定部25´に取り付けられるようになっている。中継基板32は、駆動基板31と圧電振動子35との間の信号経路を中継するための基板であり、ヘッドケース28の基端面(ノズル形成基板38の表面とは反対側の面)側に配置される。
このヘッドケース28の基端面には、上記中継基板32の他、導入針ユニット27が配置される。この導入針ユニット27は、合成樹脂等によって成型されており、その上面にはフィルタ43を介在させた状態でインク導入針44(液体導入針)が複数取り付けられている。また、導入針ユニット27の上面、即ち、ヘッド本体5´のノズル形成基板38の表面とは反対側の面には、上記インク圧調整ユニット24を配置するための調整ユニット配置部45が設けられている。そして、インク圧調整ユニット24を調整ユニット配置部45に装着すると、当該インク圧調整ユニット24内にインク導入針44が挿入される。さらに、この導入針ユニット27の下面側には、各インク導入針44に対応した集束流路が形成されている(図示せず)。なお、この集束流路は、インク導入針44からのインクを圧力室37側に供給するためのインク流路となっている。そして、記録ヘッド5をキャリッジ6に収容した場合は、この導入針ユニット27がキャリッジ6上に配置され、インク導入針44がキャリッジ6の底面から上に向いて立設した状態になる。また、インク導入針44については、後で詳述する。
上記インク圧調整ユニット24は、上面に接続するアタッチメント48(図1参照)を介してインク供給チューブ21と接続され、このインク供給チューブ21からのインクを記録ヘッド5の圧力室37側に導入する。そして、本実施形態においては、図1,2に示すように、各インクカートリッジ17(各色)若しくは各インク供給チューブ21に対応させて、合計4つのインク圧調整ユニット24が、各記録ヘッド5の調整ユニット配置部45に装着されるようになっている。各インク圧調整ユニット24の底部には、導入針挿入部49が設けられており、インク圧調整ユニット24を調整ユニット配置部45に載置する際、この導入針挿入部49内にインク導入針44が挿入される。また、インク圧調整ユニット24の上面には、アタッチメント48が接続される流路接続部50が上方に向けて突設されている。そして、アタッチメント48の内部には、各インク圧調整ユニット24の流路接続部50にそれぞれ対応したインク分配流路(図示せず)が区画形成されており、インク供給チューブ21側からのインクがインク分配流路を通じて各インク圧調整ユニット24に分配供給されるようになっている。
インク圧調整ユニット24は、内部の圧力変動に応じてバルブを開閉し、記録ヘッド5のヘッド本体5´(圧力室37)側へのインクの導入を制御する自己封止機能を有している。即ち、記録ヘッド5がインク滴の吐出をしない非記録状態(インクを消費しない状態)では、インク圧調整ユニット24は、バルブを閉じてヘッド本体5´側にインクを導入しないようにする。一方、記録ヘッド5が記録動作(吐出動作)時にインク滴を吐出することでインクを消費してインク圧調整ユニット24内部の圧力が低下すると、このインク圧調整ユニット24は、バルブを開いてヘッド本体5´側にインクを導入するようになっている。したがって、インク圧調整ユニット24は、上記のようにヘッド本体5´(圧力室37)側に導入されるインクを制御することで、このインクの圧力の変化量をできるだけ小さくでき、インク滴の吐出状態を安定させることができる。即ち、インク圧調整ユニット24は、記録ヘッド5の圧力室37に導入されるインクの圧力を調整する機能を有している。
上記第1ケース25は、図2に示すように、四周を4つの側壁で囲んで上下を開口したスリーブ状の部材である。第1ケース25の開口部の平面形状は略矩形に形成されており、その内部空間は、上記調整ユニット配置部45上に配置されたインク圧調整ユニット24を収容するための収容空部52となっている。また、第1ケース25の対向する2つの側壁には、駆動基板31を取り付けるための基板固定部25´がそれぞれ形成されている。
上記第2ケース26は、図2,4に示すように、第1ケース25における収容空部52の上部開口を被覆可能なベース面55と、当該ベース面55におけるインク圧調整ユニット24の列設方向に直交する方向の両辺縁部から下方に延出した側壁部56とから形成された断面略門型或いは倒コ字状の部材である。ベース面55は、第1ケース25の収容空部52の上部開口から露出したインク圧調整ユニット24を被覆している。そして、側壁部56は、第1ケース25の基板固定部25´に固定された駆動基板31を被覆している。また、ベース面55には、収容空部52に収容されたインク圧調整ユニット24の流路接続部50に対応する部分に、当該流路接続部50を露出可能な露出開口部50′が開設されている。
次に、インク導入針44の構成について説明する。
図5は、本実施形態におけるインク導入針の構成を示す針長手方向の断面図である。インク導入針44は、内部空間をインク導入路53(液体流路の一種)とした中空針状の部材であり、ストレート部54と、該ストレート部54の基端に連ねて形成したフィルタ室55とにより概略構成されている。
ストレート部54は、上記インク圧調整ユニット24の導入針挿入部49に挿入される中空円筒状の部材であり、その先端部分には、先細り形状に形成された円錐形状の尖端部56が形成されている。この尖端部56には、インク導入針44の外部とインク導入路53とを連通するインク導入孔57が複数開設されている。即ち、上記したように、インク導入針44(ストレート部54)をインク圧調整ユニット24の内部に挿入すると、当該インクカートリッジ17からインク供給チューブ21を介してインク圧調整ユニット24内に供給されたインクをインク導入孔57を通じてインク導入路53内に導入することができる。
上記のフィルタ室55は、図5に示すように、上記ストレート部54の下流側のインク導入路53の途中に円盤状のフィルタ43を介在して形成され、フィルタ43よりも上流側に位置し、上流(上端開口)側から下流側に向けて次第に拡径するスカート状拡径部55´内の上部フィルタ室55aと、フィルタ43よりも下流側に位置し、上流(上端開口)側から下流(下端開口)側に向けて次第に縮径する下部フィルタ室55bとで構成される。この下部フィルタ室55bは、フィルタ43側の上端開口の内径から次第に縮径した下端最小径部分(下端開口)にヘッド流路58が連続して形成されている。即ち、フィルタ室55は、共通インク室33(圧力室37)に連通するヘッド流路58の上流側であって、インク導入針44側のインク導入路53やヘッド流路58等の他のインク流路(液体流路)よりも大径となっている。そして、上部フィルタ室55aの上端開口の面積は、ストレート部54の下端開口の面積に揃える一方、下端開口の面積はその直下に配置されたフィルタ43の有効濾過面積(フィルタ43においてインクが実際に通過可能な領域の面積)に揃えてある。また、下部フィルタ室55bの上端開口の面積は、その直上に配置されたフィルタ43の有効濾過面積に揃える一方、下端開口の面積はヘッド流路58の上端開口の面積に揃えてある。したがって、このフィルタ室55は、ストレート部54側からのインクを、フィルタ43を介してヘッド流路38側に向けて円滑に流すことができるように構成されている。
このフィルタ室55の内部に配設したフィルタ43は、インク流路(液体流路)内のインクを濾過する機能を有し、他のインク流路の断面の面積よりも有効濾過積を大きくすることで、インク流路の流路抵抗を小さくしている。また、本実施形態におけるフィルタ43は、インク流路内に混入した気泡を通過させ難くして、その上流側のフィルタ室55の空部内(上部フィルタ室55a内)に捕捉する機能も有する。したがって、この上部フィルタ室55aは、インク流路内のインクに混入した気泡(気体)を捕捉可能な気体トラップ空部としても機能する。
以上のように構成されたインク導入針44は、フィルタ室55の上部フィルタ室55aの下端開口をフィルタ43に対向させる状態で、例えば超音波溶着によって導入針ユニット27に取り付けられる。これにより、上部フィルタ室55aの下端開口と下部フィルタ室55bの上端開口とがフィルタ43を介して液密状態で連通する。即ち、インク導入針44のインク導入路53とヘッドケース28側のヘッド流路58とが液密状態で連通し、このインク導入路53とヘッド流路58が、本発明における液体流路として機能する。
ところで、インクカートリッジ17を取り付ける際などに、気体がインク流路内に入り込むことがある。この気体は、通常では予め脱気されたインクに溶けてしまうが、環境温度の変化や気圧の変化によって気泡となってしまい、インク流路内に浮遊することがある。また、オフキャリッジタイプでは、上述したように、カートリッジ7から記録ヘッド5までのインク流路を比較的長尺なインク供給チューブ21により構成しているため、このインク供給チューブ21の壁面から気体が進入し、インク流路内のインクに溶け込んでインクが飽和状態になってしまうことがある。この状態では、外部から新たに進入した気体が飽和状態になったインクに溶け難くなるので、気泡となってインク流路内を浮遊することになる。このようにインク流路内に浮遊する気泡は、記録動作等によるインク流によって徐々に下流側に流れて行き、インク流路の途中に形成されたフィルタ室55内に流入する。ここで、本実施形態のフィルタ43は、気泡を通過し難くしているため、気泡がこのフィルタ43に引っ掛かり、そのまま上部フィルタ室55aに滞留するようになる。さらに、本実施形態のフィルタ室55は、上述したように他のインク流路より拡径することによってインクの流速が穏やかになるので、流入してきた気泡をフィルタ43の下流側に移動させ難くし、上流側で滞留させることができる。したがって、上流からフィルタ室55に流入した気泡を、フィルタ43の上流側の空部、即ち、上部フィルタ室55aに集めて捕捉することが可能となる。この様に上部フィルタ室55aを気体トラップ空部として構成すると、インク流路内に気体を捕捉収集するための気体トラップ空部を別途形成する必要がない。また、本実施形態の上部フィルタ室55a(インク導入針44)は、キャリッジ6上に配置していると共に、記録ヘッド5のインク流路の途中であって最も圧力室37寄りに配置しているので、圧力室37の近傍のインク流路内の気泡を確実に捕捉でき、気泡が圧力室37内に混入する可能性を小さくすることができる。
インクに混入した気体に起因する不具合を防止するために、本実施形態のプリンタ1では、図5に示すように、上部フィルタ室55aを区画形成しているスカート状拡径部55´の内周側の区画壁を間に介して気体回収空部60を上部フィルタ室55aの外周に形成し、上部フィルタ室55aと気体回収空部60との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁61とし、この気体回収空部60内を減圧手段によって上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧になるように減圧し、この圧力差により上部フィルタ室55a内に捕捉された気体(気泡A)を、透過区画壁61を透過して気体回収空部60に回収するようにしている。
上部フィルタ室55aの透過区画壁61は、この上部フィルタ室55aやストレート部54等を区画している他の区画壁と同一材料であって気体が透過可能な材料、例えば、POM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)等によって一体成型されており、他の区画壁やストレート部54の区画壁よりも厚さを薄くしている。即ち、透過区画壁61は、上部フィルタ室55aを区画している区画壁の少なくとも一部を薄くして形成されている。これにより、透過区画壁61を別個形成して取り付ける工程を省略でき、他の区画壁よりも気体の透過性を高めることができる。なお、本実施形態においては、実験の結果より、この透過区画壁61の面積を約1cm、厚さを約1mmとすると、透過効率が好適であることがわかった。また、材料においても、気体透過係数が5cc・mm/m・day・atm以上であり、透湿係数が2g・mm/m・day・atm以下が好適であり、これを満たすものであれば、上記の材料以外のものでも用いることが可能である。さらに、透過区画壁61を、上部フィルタ室55aを区画している他の区画壁よりも気体透過性の高い材料を用いて形成してもよい。
上記気体回収空部60は、透過区画壁61とスカート状拡径部55´の外周側の区画壁によって囲まれた環状の空部であり、吸引経路63(図6参照)を介して後述する減圧手段に連通するように構成される。なお、気体回収空部60は、上部フィルタ室55aの全体を囲繞して形成する必要はなく、上部フィルタ室55aの一部を囲繞する状態でもよい。要は、上部フィルタ室55aの外側に位置する気体回収用の空間を有し、透過区画壁61を間に介して形成することができれば、どのような形状でもよい。
次に、上記気体回収空部60内の圧力を上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧にする減圧手段の第1の実施形態について説明する。図6はキャリッジに備えられた吸引ポンプの一種であるピストンポンプの作動状態を説明する模式図であり、図7は本実施形態の変形例を示す図であり、キャリッジに備えられた蛇腹ポンプの作動状態を説明する模式図である。
減圧手段は、キャリッジ6に備えられ、このキャリッジ6の走査方向の移動により吸引ポンプを作動させて、気体回収空部60内の圧力を上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧になるように気体回収空部60内を大気圧よりも低い圧力に減圧可能に構成されている。具体的には、キャリッジ6の移動範囲のうち、記録ヘッド5のノズル開口から吐出可能な記録領域(吐出範囲)から外れた非記録領域(非吐出範囲)、例えば、プリンタ1の一側のホームポジションとは反対側となる他側の非記録領域に臨ませて、吸引ポンプの押圧受部が当接可能なストッパ65(本発明の駆動押圧部に相当)を設けている。吸引ポンプは、図6に示すように、長手方向がキャリッジ6の走査方向に配置され、気体回収空部60に連通したシリンダ部66と、このシリンダ部66内で摺動可能なピストン部67と、ピストン部67とシリンダ部66とにより囲まれて形成され容量変化が可能な負圧発生室68と、この負圧発生室68の容積を膨張させるように付勢する復元スプリング69(本発明の付勢部材に相当)と、負圧発生室68から外部への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁70とを備えたピストンポンプ71を含んで構成される。そして、シリンダ部66から突出したピストン部67のロッド72の先端を押圧受部としてストッパ65に当接可能にしてある。この減圧手段の作動については、以下に詳述する。
制御部に予め設定した減圧開始条件、例えば電源オンから3秒間経過すると、制御部からの信号に基づいて、キャリッジ6をストッパ65が設けられた側の非記録領域に移動し、キャリッジ6から突出したピストン部67のロッド72の先端をストッパ65に当接させ、さらにストッパ65に向けてキャリッジ65を移動し、ピストン部67のロッド72をストッパ65により押圧して内側に押し込む。すると、ピストン部67が復元スプリング69の付勢力に抗して移動し、負圧発生室68を収縮させる(図6(a)参照)。この時、負圧発生室68内で圧縮された気体は、この負圧発生室68の昇圧によって開弁した逆止弁70を介して外部に排出される(同図(a)白抜き矢印参照)。
次に、キャリッジ6をストッパ65から離れる方向に移動する。すると、ピストン部67のロッド72の先端がストッパ65から離れるので、復元スプリング69の復元力によってピストン部67が負圧発生室68の容積を膨張させる方向に移動する(図6(b)参照)。この時、逆止弁70は閉弁されるため、密閉された負圧発生室68内は容積の膨張によって減圧されて負圧になる。これにより、吸引経路63を介して気体回収空部60内を減圧することができる。この様に、本実施形態の減圧手段は、キャリッジ6を非記録領域において往復移動させることによって、キャリッジ6の駆動力をピストンポンプ71の駆動力に変換して作動させることができる。また、この減圧手段を定期的に作動させることより、気体回収空部60内に回収した気体を外部に排出することができ、気体回収空部60内の減圧状態をほぼ一定に保つことができる。
なお、この減圧手段に関し、記録ヘッド5が記録動作中(装置の稼動中)においては、逆止弁70が閉弁状態、且つピストン部67のロッド72がストッパ65から離れた状態になり、復元スプリング69によってピストン部67を常に負圧発生室68の容積が膨張する方向に付勢力を加えているので、負圧発生室68内の負圧状態を維持可能にすることができる。同様に、装置の非稼働時においても、復元スプリング69の付勢力により、負圧発生室68内の負圧状態を維持可能にすることができる。即ち、このように構成された減圧手段における復元スプリング69は、プリンタ1の稼働・非稼働時を問わず上部フィルタ室55a内と負圧発生室68内との圧力差を維持可能にする圧力差維持手段としても機能する。
また、この減圧手段は、上記のように構成することで、ピストン部67とシリンダ部66からなる負圧発生室68の容積の変位量や、復元スプリング69の付勢力を適宜設定することで、気体回収空部60内に供給する圧力を容易に調整することが可能である。さらに、上記のインク圧調整ユニット24によって上部フィルタ室55a内のインクの圧力を一定に調整可能であるので、これらのことにより気体回収空部60内と上部フィルタ室55a内の圧力差を適宜設定することが可能となる。本実施形態においては、この圧力差を上部フィルタ室55aの周辺の環境温度における飽和水蒸気圧以上に設定することが望ましい。例えば、この圧力差を10kPa以上に設定すると好適である。
このように、減圧手段は、キャリッジ6の駆動力をピストンポンプ71の駆動力に変換して作動させることができるので、吸引用の駆動機構をキャリッジ6に別個に備える必要がない。したがって、減圧手段を備えていても、従来に比べて、キャリッジ6の大型化を抑制できるだけでなく、上記ピストンポンプ71のようなキャリッジ6の駆動力を利用した簡単な構造で負圧発生室68内を減圧することで気体回収空部60内を減圧することができる。また、減圧手段を駆動する大がかりな機構が不要なので、減圧手段を備えることによるキャリッジ6の重量の増大も抑制でき、記録ヘッド5の高速移動が可能となる。このため、記録の高速化を図るのに支障を来たすことがない。
また、気体回収空部60内の圧力を上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧にする圧力差により、上部フィルタ室55a内に捕捉された気泡を、透過区画壁61を介して気体回収空部60内に回収することができる。そして、上部フィルタ室55aが気体トラップ空部として機能することにより、インク流路内に浮遊する気泡を、フィルタ43よりも上流側の空部に確実に捕捉収集して、その捕捉された気泡を気体回収空部60内に重点的に回収することができ、回収の効率を高めることができる。このため、圧力室37に気泡が混入することに起因して発生する不具合を未然に防止することができる。ひいては、気泡排出のためのクリーニング動作の実行頻度を従来よりも減らすことができるので、クリーニング動作に伴うインクの消費を少なくすることができる。
また、気体回収空部60内と上部フィルタ室55a内との圧力差を長期に亘って維持できるため、この圧力差を従来に比べて大きくしなくても、上部フィルタ室55a内の気泡を長期間で徐々に回収することができる。これにより、この圧力差を大きくすることによって発生する透過区画壁61のインクの滲みや変形を抑制することができる。したがって、インクの滲みに起因して起こる気体透過率の低下等の不具合の発生を未然に防止することができる。また、低圧力差で長時間に亘って気体を回収するように構成すると、大きな圧力を供給する必要がないので、気体回収空部60内の圧力を監視する圧力計やこの圧力計の圧力値に基づいて圧力を制御する装置等を備えた大がかりな吸引装置等が必要なくなり、復元スプリング69を有するピストンポンプ71のような簡単な構造の減圧手段で足りる。
ここで、本実施形態では、上部フィルタ室55a内に捕捉された気泡の体積が気体回収空部60内に回収されて減少する体積減少速度を、上部フィルタ室55a内に捕捉された気体の体積がインク流路の上流側から流入する気泡と合わさって増大(成長)する体積増大速度よりも速くするように設定している。具体的には、区画透過壁の24時間(1日)あたりの気体透過量を、例えば0.05mm/day以上、水蒸気の透過量を0.10mg/day以下となるように、区画透過壁(透過領域)の面積S(例えば約1cm)、厚さT(例えば約1mm)、透過区画壁61を境にして発生せる圧力差P(例えば約10kPa)、材料の気体透過係数K(例えば約5cc・mm/m・day・atm以上)若しくは材料の透湿係数k(例えば約2g・mm/m・day・atm以下)のバランスを調整することで設定している。なお、このバランスに関しては、上記の数値に限定されるものではなく、「透過量 ∝ S・K(若しくはk)・P/T」の式に基づいて適宜設定することができる。
このように設定すると、上部フィルタ室55aの気泡が不具合を起こす体積まで増大することを抑制でき、気泡が圧力室37内に混入する可能性を小さくできるので、気泡が圧力室37内に混入することに起因する不具合が発生する虞がなくなる。
また、上記実施形態においては、減圧手段としての吸引ポンプを、シリンダ部66とピストン部67等で構成されたピストンポンプ71のタイプの例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、図7に示すように、減圧手段としてのキャリッジ6に備えられた吸引ポンプを、負圧発生室68と付勢部材とを弾性素材で一体成型した蛇腹74を有し、負圧発生室68から外部への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁70を備えた蛇腹ポンプ75により構成し、キャリッジ6の走査方向の一側に向けて突出し、走査方向に伸縮可能な蛇腹74の自由端側を押圧受部としてストッパ65(駆動押圧部)に当接可能としたものでもよい。この様に構成すると、上記実施形態と同様に、キャリッジ6を非記録領域において往復移動させることにより、負圧発生室68を収縮した後に膨張させて、キャリッジ6の駆動を利用して、吸引ポンプとして作動させることができる。そして、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、上記減圧手段の第2の実施形態について説明する。図8は第2の実施形態におけるキャリッジに備えられたピストンポンプの作動状態を説明する模式図である。
本実施形態の減圧手段は、キャリッジ6の移動範囲のうち、記録ヘッド5のノズル開口から吐出可能な記録領域(吐出範囲)から外れた非記録領域(非吐出範囲)、例えば、プリンタ1の一側のホームポジションとは反対側となる他側の非記録領域に臨ませて、吸引ポンプの押圧受部が当接可能であって上方に向けて突出した凸カム部76(本発明の駆動押圧部に相当)を設けている。この吸引ポンプは、図8に示すように、第1の実施形態と同様に構成された逆止弁70とピストンポンプ71とを含んで構成され、長手方向が上下方向に配置されたシリンダ部66から下方に向けて突出したピストン部67のロッド72の先端をカムフォロア77(本発明の押圧受部に相当)として凸カム部76に当接可能にしており、このピストン部67のロッド72がキャリッジ6の下方から突出した状態となっている。
この様に構成することで、キャリッジ6を凸カム部76が設けられた非記録領域に移動させて、カムフォロア77を上方に向けて盛り上がった凸カム部76を登るように摺動すると、ピストン部67が上昇して負圧発生室68を収縮すると共に復元スプリング69を収縮することができる(図8(a)参照)。その後、キャリッジ6を反対方向に移動させて、カムフォロア77が凸カム部76から下降すると、復元スプリング69の復元力によりピストン部67が下降して負圧発生室68の容積を膨張させて負圧発生室68を減圧する(図8(b)参照)。これにより、吸引経路63を介して負圧発生室68に連通する気体回収空部60内を減圧することができる。したがって、第1の実施形態と同様に、キャリッジ6を非記録領域において往復移動させることにより、負圧発生室68を収縮した後に膨張させて、キャリッジ6の駆動を利用して、吸引ポンプとして作動させることができる。そして、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施形態では、キャリッジ6の下方に凸カム部76を設け、下方に突出したカムフォロア77によって、上下方向に伸縮作動可能なピストンポンプ71の例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、キャリッジ6の側方に凸カム部76を設け、その凸カム部76に当接可能なカムフォロア77を側方に向けて突出させて、凸カム部76に摺動させた後に、離隔させることによって、ピストンポンプ71を水平方向に伸縮作動させるように構成してもよい。
なお、上記実施形態においては、減圧手段としての吸引ポンプを、ピストンポンプ71で構成した例を示したが、第1の実施形態と同様に、蛇腹ポンプ75で構成してもよい。この場合、蛇腹74の自由端に下方に向けて突出したロッド72を設けて、このロッド72の先端をカムフォロワ77とすることで、吸引ポンプとして上記実施形態と同様に作動させることが可能となる。
また、上記各実施形態における逆止弁70に関し、負圧発生室68から外部への通気を許容してその逆を阻止する機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。要は、上述したように、負圧発生室68の収縮の際に開弁して内部の気体を外部に排出するようにし、負圧発生室68の膨張の際に閉弁して内部を密閉状態にできるものであれば、どのような構成のものを用いてもよい。勿論、流体の流れを一方向にだけ通ずるようにし、逆流に対しては自動的に通路を閉ざす構造となる汎用の逆止弁70を用いることも可能である。そこで、上記各実施形態において、上記吸引ポンプをピストンポンプ71で構成した場合には、例えば、図9に示すように、逆止弁70を、外部に連通する開閉部79を閉状態に維持する方向に付勢する弁スプリング80(弁付勢部材に相当)と、開閉部79からピストンポンプ71のピストン部67に向けて延出された開閉ロッド81とをシリンダ部66の長手方向に連続して形成した弁部負圧発生室82に備えた構成にしてもよい。このように構成すると、この弁部負圧発生室82と気体回収空部60とを吸引経路63を介して連通させ、ピストン部67が負圧発生室68の圧縮(収縮)方向に移動すると、該ピストン部67が途中から開閉ロッド81に当接して開閉部79を移動して開放状態に変換し、これにより負圧発生室68内の圧縮気体が弁部負圧発生室82を通して外部に排出される(同図(a)白抜き矢印参照)。そして、ピストン部67が負圧発生室68の膨張方向に移動することにより開閉ロッド81から離隔すると、弁スプリング80の付勢力により開閉部79を閉状態に維持することができる(同図(b)参照)。
また、上記逆止弁70をこのように構成すると、汎用の逆止弁70のように流体の圧力を利用しなくても、ピストン部67が負圧発生室68の収縮方向に移動する際の押圧力を利用することにより開閉ロッド81を介して開弁することができ、弁スプリング80を付勢力を使用環境の圧力に合わせて設定する必要がない。したがって、同条件の圧力で使用する場合に、閉状態に維持する方向に付勢する弁スプリング80の付勢力を、汎用の逆止弁70の弁スプリング80よりも大きく設定することが可能となる。これにより、逆止弁70の閉弁状態での密閉度を高めることが可能となる。このことから、ピストン部67に連動させて開弁する簡単な構造とすることで閉弁状態での密閉度を高めることができる。したがって、長期に亘って負圧発生室68の負圧状態を維持することが可能であり、信頼性も向上させることができる。また、ピストン部67の押圧力を利用して開弁するので、負圧発生室68の収縮の際に内部の気体を確実に外部に排出することができる。さらに、簡単な構成のため、容易に製造できる。
また、上記各実施形態において、吸引ポンプとしてピストンポンプ71や蛇腹ポンプ75で構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、ピストン部67の代わりにダイヤフラム部を往復運動させることにより内部(負圧発生室に相当)の気体を圧縮・膨張するダイヤフラムポンプを用いることもできる。この場合、ダイヤフラム部が常態に復元する付勢部材としても機能し、このダイヤフラム部からキャリッジの外側に向けて延出したロッド72を押圧受部とすることで容易に適用することができる。
また、上記各実施形態では、キャリッジ6に備えられた減圧手段について例示したが、本発明はこれに限られない。例えば、減圧手段は、気体回収空部60に通じる吸引経路63をキャップ部材12´内を減圧するキャップ吸引経路84と並列に接続し、クリーニング動作用のポンプユニット14によって気体回収空部60内を減圧可能に構成してもよい。以下、この第3の実施形態について簡単に説明する。図10は、第3の実施形態の減圧手段を説明する模式図である。
本実施形態の減圧手段は、図10に示すように、上記各実施形態と同様に構成された気体回収空部60から吸引経路63を通じてこの気体回収空部60内を減圧可能なポンプユニット14と、この吸引経路63の途中に設けられ、気体回収空部60からポンプユニット14への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁70とを備える。そして、吸引経路63は分岐接続部85を介してキャップ吸引経路84に接続され、この分岐接続部85からキャリッジ6までの吸引経路間は可撓性を有する中空のチューブ部材によって構成されている。
このように、クリーニング動作用のポンプユニット14を用いて気体回収空部60内を減圧するように構成すると、減圧手段を別途設ける必要が無くなる。また、クリーニング動作と共に気体回収空部60を減圧できるので、気体回収空部60内を減圧するためだけの吸引を個別に行なわなくてもよい。さらに、キャップ吸引経路84との分岐接続部85からキャリッジ6までの吸引経路63をチューブ部材によって構成しているので、キャリッジ6の移動が制限されることがない。そして、吸引経路63の途中に逆止弁70を設けることによって気体回収空部60内の気体が減圧する方向にのみ流れるので、気体回収空部60内を減圧した負圧の状態で維持することが可能になる。また、この逆止弁70は、減圧手段の作動時のみ開弁するため、常態では閉弁状態を維持する。つまり、この逆止弁70は、上記各実施形態と同様に、装置非稼働・稼働を問わずに上部ファイル室20aと気体回収空部60との圧力差を維持可能にする圧力差維持手段としても機能する。なお、上記各実施形態における圧力差維持手段に関し、気体回収空部60から負圧発生室82若しくは逆止弁70に至るまでの吸引経路63にバキュームストレージタンクを設けて構成してもよい。
また、上記各実施形態では、気体回収空部60内を減圧する減圧手段を例示したが、これに限られない。例えば、インク流路内を加圧する加圧手段によって気体トラップ空部としての上部フィルタ室55a内を加圧する構成としてもよい。具体的には、気体回収空部60と上部フィルタ室55aを上記各実施形態と同様に形成し、気体回収空部60と外部とを連通する大気開放路を備え、カートリッジ13内のインクを加圧供給するエアポンプ20を加圧手段とし、一側のホームポジション、若しくはその反対側の他側の非記録領域に、全てのノズル開口13を封止可能な弾性部材からなる板状のノズル封止部材を設けて構成する。これにより、このノズル封止部材によってノズル開口13を封止した状態でエアポンプ20を作動させて、カートリッジ13からノズル開口に至までのインク流路内を大気圧よりも大きい圧力になるように加圧することで、気体回収空部60内の圧力を上部フィルタ室55a内の圧力に比較して低圧にすることができる。そして、加圧手段によってインク流路内の上部フィルタ室55a内を加圧することにより、上部フィルタ室内20aの気体を気体回収空部60内に回収して、大気開放路を通じて外部に排出することができる。また、非稼動時に、エアポンプ20による圧力をインク流路にかけたままにすると共に、ノズル封止部材によってノズル開口13を封止した状態にすると、気体回収空部60内の圧力と上部フィルタ室55a内の圧力との圧力差を維持することができる。したがって、非稼働時もこの圧力差を維持可能にする圧力差維持手段としても機能させることができる。なお、このエアポンプ20による加圧は、透過区画壁61がインク滲み等の不具合を発生しない程度の大きさまでの範囲で設定することが望ましい。
また、上記各実施形態では、インク導入針44に一体に形成された上部フィルタ室55aを、インク流路内の気泡を捕捉可能な気体トラップ空部とした例を示したが、本発明はこれには限られない。要は、インク流路の途中に形成され、気泡を捕捉可能であればどのような構成でもよい。例えば、図11に示すように、インク流路の途中に上記各実施形態と同構成のフィルタ室55を形成し、この上部フィルタ室55aを気体トラップ空部としてもよい。また、気体トラップ空部は、フィルタ室55に限定されるものではなく、浮力を利用して気泡を捕捉可能な空部により構成してもよい。具体的には、図12に示すように、インク流路の途中に他の部分よりも幅広であってドーム状のトラップ室89を形成し、このトラップ室89の床面の一側に入口流路90を、他側に出口流路91を形成し、このトラップ室89のドーム型天井となって区画形成している透過区画壁61を間に介して、その上方に気体回収空部60を形成する構成としてもよい。この様に構成すると、この入口流路90と出口流路91とを通るインクに含まれた気泡Aが、浮力によって浮かび上がってドーム型の透過区画壁61の下面に接して滞留することになる。また、このトラップ室89は他のインク流路よりも拡幅しているので、インクの流速が穏やかになり、上方に浮遊する気泡Aが下方の出口流路91側に流れ難くなる。これにより、このトラップ室89の上方に気泡Aを捕捉し易い。
なお、上記各実施形態においては、オフキャリッジタイプの液体噴射装置の一種である上記プリンタ1について本発明を適用する例を示したが、勿論、オンキャリッジタイプの液体噴射装置にも本発明を適用可能である。即ち、上記インク圧調整ユニット24に替えてインクカートリッジ17をキャリッジ6の収容空部に収容する構成においても好適である。
また、上記各実施形態における気体回収空部60は、プリンタ1の複数のインク流路において、各インク流路に形成された気体トラップ空部毎に設けてもよいが、複数の気体トラップ空部に対して共通に適用してもよい。
また、本発明は、上記プリンタ1に限らず、液体貯留部材に貯留された液体を液体流路を介して液体噴射ヘッド内部に導入し、この液体噴射ヘッドがキャリッジ等により移動可能な構成であれば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置、マイクロピペット等の液体噴射装置にも適用することができる。
プリンタの構成を示す平面図である。 記録ヘッドの分解斜視図である。 記録ヘッドのヘッド本体の要部断面図である。 記録ヘッドの斜視図である。 インク導入針の構成を示す針長手方向の断面図である。 キャリッジに備えられた吸引ポンプの一種のピストンポンプの作動状態を説明する模式図である。 キャリッジに備えられた吸引ポンプの一種の蛇腹ポンプの作動状態を説明する模式図である。 第2の実施形態におけるキャリッジに備えられたピストンポンプの作動状態を説明する模式図である。 ピストンポンプ用の逆止弁の構造を説明する断面図である。 第3の実施形態の減圧手段を説明する模式図である。 インク流路の途中にフィルタ室を形成した構造の模式図である。 ドーム状のトラップ室を形成した構造の模式図である。
符号の説明
1…プリンタ,2…筐体,3…プラテン,4…ガイドロッド,5…記録ヘッド,5´…ヘッド本体,6…キャリッジ,7…パルスモータ,8…駆動プーリ,9…遊転プーリ,10…タイミングベルト,12…キャッピング機構,12´…キャップ部材,13…ノズル開口,14…ポンプユニット,17…インクカートリッジ,18…カートリッジホルダ,19…エアチューブ,20…エアポンプ,21…インク供給チューブ,22…FFC,24…インク圧調整ユニット,25…第1ケース,25´…基板固定部,26…第2ケース,27…導入針ユニット,28…ヘッドケース,29…振動子ユニット,30…流路ユニット,31…駆動基板,32…中継基板,33…ヘッドカバー,33´…止着部材,34…収容空部,35…圧電振動子,36…固定板,37…圧力室,38…ノズル形成基板,39…流路形成基板,40…共通インク室,41…コネクタ,42…フレキシブルケーブル,43…フィルタ,44…インク導入針,45…調整ユニット配置部,48…アタッチメント,49…導入針挿入部,50…流路接続部,52…収容空部,53…インク導入路,54…ストレート部,55…フィルタ室,56…尖端部,57…インク導入孔,58…ヘッド流路,60…気体回収空部,61…透過区画壁,63…吸引経路,65…ストッパ,66…シリンダ部,67…ピストン部,68…負圧発生室,69…復元スプリング,70…逆止弁,71…ピストンポンプ,72…ロッド,74…蛇腹,75…蛇腹ポンプ,76…凸カム部,77…カムフォロア,79…開閉部,80…弁スプリング,81…開閉ロッド,82…弁部負圧発生室,84…キャップ吸引経路,85…吸引接続部,87…ノズル封止部材,89…トラップ室,90…入口流路,91…出口流路

Claims (8)

  1. 液体貯留部材内に貯留された液体を液体流路を通じて圧力室に導入し、圧力発生手段の作動によって液体をノズル開口から吐出可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドを装着し、ガイド部材に沿って往復移動可能なキャリッジと、を備えた液体噴射装置であって、
    前記液体流路を区画形成している区画壁を間に介して気体回収空部を形成し、前記キャリッジの移動により作動して気体回収空部内の圧力を減圧可能な減圧手段をキャリッジに備え、
    前記液体噴射ヘッドの液体流路と気体回収空部との間の区画壁を気体が透過可能な透過区画壁とし、前記キャリッジを移動して減圧手段を作動させて気体回収空部内の圧力を、液体噴射ヘッドの液体流路内の圧力に比較して低圧にすることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記液体流路の途中に、該液体流路内の気泡を捕捉する気体トラップ空部を形成し、該気体トラップ空部を区画形成している区画壁の一部を前記透過区画壁とし、該透過区画壁を間に介して前記気体回収空部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記液体流路の途中の気体トラップ空部を、該液体流路内の液体を濾過するためのフィルタを内部に配設したフィルタ室とし、該フィルタ室のフィルタより上流側の空部を区画形成している区画壁を前記透過区画壁とし、該透過区画壁を間に介して前記気体回収空部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記透過区画壁を、液体流路を区画している他の区画壁と同一の材料を用いて一体に形成すると共に、他の区画壁よりも薄くしたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記キャリッジの移動範囲のうち、液体噴射ヘッドのノズル開口から吐出可能な吐出範囲から外れた非吐出範囲に臨ませて、前記減圧手段の押圧受部が当接可能な駆動押圧部を設け、
    前記減圧手段は、前記気体回収空部に連通して容積変化が可能な負圧発生室と、該負圧発生室を膨張させる方向に復元力で付勢する付勢部材と、前記負圧発生室内から外部への通気を許容してその逆を阻止する逆止弁とを備えた吸引ポンプを含んで構成され、前記押圧受部を駆動押圧部に当接することにより負圧発生室を収縮すると共に付勢部材を収縮し、押圧受部が駆動押圧部から離れた後の付勢部材の復元力により前記負圧発生室の容積を膨張させることで負圧発生室内を減圧することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記吸引ポンプを、前記負圧発生室と付勢部材とを弾性素材で一体成型した蛇腹を有する蛇腹ポンプにより構成し、蛇腹の自由端側を押圧受部として駆動押圧部に当接可能としたことを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
  7. 前記気体回収空部に連通したシリンダ部と、該シリンダ部内で摺動可能なピストン部と、該ピストン部とシリンダ部とにより囲まれて形成された負圧発生室と、該負圧発生室の容積を膨張させるように付勢する付勢部材としての復元スプリングと、からなるピストンポンプにより前記吸引ポンプを構成し、シリンダ部から突出したピストン部のロッドの先端を押圧受部として駆動押圧部に当接可能としたことを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
  8. 前記逆止弁は、開閉部を閉状態に維持する方向に付勢する弁付勢部材と、開閉部から前記ピストンポンプのピストン部に向けて延出された開閉ロッドとから構成され、前記ピストン部が負圧発生室の圧縮方向に移動すると該ピストン部が途中から前記開閉ロッドに当接して開閉部を開放状態にすることにより前記負圧発生室内の圧縮気体を外部に排出し、ピストン部が開閉ロッドから離隔すると、弁付勢部材の付勢力により開閉部を閉状態に維持するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012045725A (ja) * 2010-08-24 2012-03-08 Canon Inc インクジェットプリンタ

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