JP2008171776A - 水素透過構造体、その製造方法、及びそれを用いる燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素透過性基材とプロトン導電性膜との密着力が優れ、両者界面での剥離が抑制され、長期間安定した性能を維持できる、耐久性に優れた水素透過構造体を提供すること、この水素透過構造体の製造方法、さらに、この水素透過構造体を用いた耐久性に優れた燃料電池を提供することを課題とする。
【解決手段】表面よりの深さが2μm以内の領域において、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下である水素透過性基材、及び、その表面上に形成される酸化物プロトン導電性膜よりなることを特徴とする水素透過構造体、この水素透過構造体の製造方法、並びに、この水素透過構造体を用いる燃料電池。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素透過性能を有する金属基材(以下、「水素透過性基材」と言う。)と酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体、その製造方法、及びその水素透過構造体を用いた燃料電池に関するものである。
水素透過性基材上にプロトン導電性の固体電解質膜を形成した水素透過構造体は、水素を選択的に検出分離する機能や電気エネルギーを出力する機能を有しており、水素センサや燃料電池(水素燃料電池)等に用いられている。
このような水素透過構造体は、例えば、SOLID STATE IONICS、162−163(2003)、291−296頁(非特許文献1)に記載されており、この文献中では、水素透過性基材の材料としてパラジウム(Pd)またはPdを含む金属(Pd合金)が開示されている。又、プロトン導電性の固体電解質膜の材料としては、アルカリ土類金属及びセリウム(Ce)等を含む酸化物が開示されている。
ここで固体電解質膜を形成する酸化物としては、一般式ALO(式中、Aはアルカリ土類金属を表し、Lは、Ce、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)等の4価元素である。)で表される基本組成を有し、ペロブスカイト型結晶構造を持つ複合酸化物(以下、「ペロブスカイト構造酸化物」と言う。)が、耐熱性等に優れるので好ましく挙げられ、特に4価元素Lの一部を3価元素Mで置換した組成のペロブスカイト構造酸化物は優れたプロトン導電性を有するので種々提案されている。
又、優れたプロトン導電性を得るために固体電解質膜の薄膜化が望まれているが、このような水素透過構造体は、例えば、PdやPd合金等からなる水素透過性基材上に、前記のペロブスカイト構造酸化物を構成する原料元素を、スパッタリング法、レーザーアブレーション法(パルスレーザーディポジション法、PLD法)等により蒸着してプロトン導電性の薄膜を形成することにより得ることができる。
このような方法により固体電解質膜、すなわちプロトン導電性の薄膜(以下、プロトン導電性膜と言う。)を形成する場合、水素透過性基材の表面に凹凸があるとプロトン導電性膜の欠陥を生じやすい。そこで、水素透過性基材の表面にある凹凸の除去が望まれている。特に水素透過性基材がPd箔やPd合金箔の場合、これらは軟らかくその表面に凹凸が生じやすいので、凹凸の除去のための圧延や表面研磨等が行われている。
SOLID STATE IONICS、162−163(2003)、291−296頁
しかし、水素透過性基材の圧延や表面研磨を行うと、プロトン導電性膜の剥離が生じやすくなるとの問題が生じる。本発明者は、圧延や表面研磨により圧縮や引っ張り等の残留応力が残り、その表層数μmにわたる歪み層が残存し、この歪み層上に前記プロトン導電性膜を形成すると、膜の剥離が生じやすくなるとの問題を見出した。
すなわち、歪み層の残留応力が、成膜時の温度や燃料電池の使用時のプロトン導電が発現する温度域等で開放され、水素透過性基材とプロトン導電性膜との間にずれが生じ、プロトン導電性膜の剥離が生じやすくなる。剥離が生じると、プロトン導電性が低下し安定した性能を維持できない。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題を解決し、水素透過性基材とプロトン導電性膜との剥離が生じにくく、長期間安定した性能を維持できる、耐久性に優れた水素透過構造体を提供することを課題とする。
本発明はさらに、この水素透過構造体の製造方法、及び、この水素透過構造体を用いた耐久性に優れた燃料電池を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は請求項1として、
水素透過性基材及びその1面に密着して形成された酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体であって、
前記水素透過性基材が、前記酸化物プロトン導電性膜が形成されている面側において、その表面よりの深さが2μm以内の領域において、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下であることを特徴とする水素透過構造体を提供する。
水素透過性基材としては、水素透過性能を有する金属の膜(水素透過性金属膜)からなるもの、又、金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設けたものが例示される。ここで水素透過性金属膜としては、Pdの箔や、水素透過性能を損なわない範囲で銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)等を含むPdの合金の箔、すなわちPdを含んだ金属箔が挙げられる。
さらに5族元素、すなわちバナジウム(V)、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)の箔の表面にPdやPd合金を被覆したもの、又はV、Ta若しくはNbの合金の箔の表面にPdやPd合金を被覆したもの、すなわちV、Nb及びTaから選ばれるいずれかを含んだ金属箔の表面にPdを含んだ箔を成箔したものも用いることができる。V、Ta若しくはNbの合金としては、ニッケル(Ni)、Ti、コバルト(Co)、クロム(Cr)等との合金が例示される。
水素透過性金属膜の厚さは、水素透過性能を上げるためには薄い方が好ましい。しかし、その上に形成する酸化物プロトン導電性膜の構造維持をはかるだけの支持能力が求められるため、金属多孔体基材等が用いられない場合は、20μm以上、1mm未満が好ましい。20μm未満の場合は、強度不足により破壊する恐れがある。一方、1mmを越える場合は、水素透過量が少なくなり、基材を透過する水素量が律速して充分なプロトン導電が得られない恐れがある。
PdやPd合金の箔をV等の5族元素の箔の表面に被覆したものを用いると、高価なPd使用量を節約することができるが、この場合、PdやPd合金の箔の厚さは0.05〜2μm程度が通常好ましい。0.05μm以下ではV等下地を充分被覆できず、V等が酸化して劣化する恐れがある。2μmを超えると高価なPd使用量が増えコストアップする問題がある。
前記のように、水素透過性基材としては、水素透過性金属膜のみからなるものの他、金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設けたものも用いられる。ここで、金属多孔体基材とは、導電性の金属であって水素の透過が可能な孔を有するものであり、SUS等からなる多孔体基材が例示される。金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設ける方法としては、金属多孔体基材の表面上に水素透過性金属膜を構成する金属をスパッタ法、電子ビーム蒸着法、PLD法により積層する方法が挙げられる。メッキ法等ウェットプロセスによる方法も採用可能である。
本発明の水素透過構造体は、それを構成する水素透過性基材が、その酸化物プロトン導電性膜が形成されている面側において歪み層を有しないこと、具体的には、酸化物プロトン導電性膜が形成されている面側において、表面よりの深さが2μm以内の領域における、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下であること(中心値±0.05%を満たすこと)を特徴とする。この特徴により、密着性が向上し酸化物プロトン導電性膜の剥離が抑制され、耐久性に優れた水素透過構造体を得ることができる。
歪みの有無やその厚さは、X線解析(XRD)測定により得られるd値(結晶面間の距離)のばらつき(変動幅)により測ることができる。すなわち歪みのない層でのd値はほぼ一定の値であるが、歪みがあると、d値が位置によりばらついている。そこで、基材の表面に対するX線の入射角を変えて得られるX線スペクトルを分析してd値を測定し、その変動幅の大きさから表層からの深さ方向に対する歪みの程度を知ることができる。(本発明者の検討によると、当業界で一般的な条件で研磨したPd箔では、Pd表層より深さ1μm近傍までは、d値が小さくかつばらついており歪みを有することが示され、1μmを超えると一定化する傾向にあり歪みが小さくなることが示されている。)
酸化物プロトン導電性膜は、金属及び酸素を含有する化合物からなる固体電解質の膜であって、その中をプロトン(H、陽子)が伝播する性質を有するものである。
酸化物プロトン導電性膜としては、化学式AL1−x3−α(式中、Aは、アルカリ土類金属を表し、Lは、Zr、Ce、Ti及びハフニウム(Hf)から選ばれる1種以上の元素を表し、Mは、3価の元素から選ばれる1種以上の元素を表し、xは、0より大きく0.2以下、αは0.3以上で0.95以下である。)で表されペロブスカイト構造を有する酸化物からなるものが、優れたプロトン導電性が得られるので好ましい(請求項2)。
上記化学式AL1−X3−αにおいて、Aで表されるアルカリ土類金属としては、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、及びストロンチウム(Sr)から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
Mは3価元素であり、4価元素Lの一部をMで置換することによりプロトン導電性を発現する。Mは、ネオジム(Nd)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、インジウム(In)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、及びプラセオジム(Pr)よりなる群から選ばれ、A、Lの元素の種類に基づき、1種以上の元素が適宜選択される。式中のA、L及びMとして、前記の元素、中でも好ましいものとして例示されたものの中から適宜選択することにより、高いプロトン導電性と電子絶縁性を両立させることができる。
xは、Lに対するMの置換比率を表し、0より大きく0.2以下である。0.2を超えると、酸化物のペロブスカイト構造が不安定となり水に対する安定性が急激に低下する。
又、αは、ペロブスカイト構造酸化物における酸素欠損の程度を示す指数であり、0.3〜0.95の範囲内である。αが0でないので、このペロブスカイト構造酸化物は、酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物である。
酸化物プロトン導電性膜の厚さは、0.02μm〜2μmが好ましい。厚さが0.02μm未満ではピンホール等の膜の欠陥が生じやすい。ピンホール等が存在すると、水素ガスがプロトン化せずに膜を抜けてしまうので電流が出力されない。2μmより厚くなると、プロトン透過抵抗が大きくなりプロトン導電性が低下し電流の出力が低下する。
本発明の水素透過構造体は、
水素透過性基材の、表面よりの深さが2μm以内の領域における、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下となるように、前記水素透過性基材の1面側の歪み層を除去する歪み除去工程、及び
歪み層が除去された前記1面上に、酸化物プロトン導電性膜を形成する成膜工程、
を有する方法により、容易に製造することができる。本発明は、この水素透過構造体の製造方法も提供するものである(請求項3)。
歪み除去工程は、表面の凹凸の除去等、例えば圧延や表面研磨により生じた歪みを有する層(歪み層)を、水素透過性基材の、酸化物プロトン導電性膜が形成される面側より除去する工程である。除去の方法は、特定の方法に限定されず、Arイオンミリング、電解研磨やアニール等の様々な方法により行うことができる。なお、水素透過性金属膜が、PdやPd合金の箔をV等の5族元素の箔の表面に被覆したものであり、PdやPd合金の箔の厚さが0.05〜2μm程度の場合、V等の5族元素の箔の表面の凹凸を圧延や表面研磨により除去した後、生じた歪み層を前記のようにして除去し、その後PdやPd合金の箔をその上に形成する方法を採用することができる。
前記のようにして歪み層が除去された水素透過性基材の1面上には、酸化物プロトン導電性膜が形成される(成膜工程)。前記のように、この酸化物プロトン導電性膜としては、ペロブスカイト構造酸化物からなるものが好ましい。ペロブスカイト構造の酸化物プロトン導電性膜の形成については、特定の手段に限定されず、イオンプレーティング法、PLD法(レーザーアブレーション法)、物理蒸着法(PVD法)、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD法)等、プロトン導電性の膜の形成に用いられている既存の手段を用いることが出来る。また、ゾルゲル法の湿式法を用いることもできる。
ペロブスカイト構造の酸化物プロトン導電性膜を得るためには、成膜を500℃以上の温度で、酸化性雰囲気で行うことが好ましい。又は、成膜後、500℃以上の温度、酸化性雰囲気での焼成を行うことによりペロブスカイト構造を得ることができる。なお、水素透過性基材の耐熱性を考慮して、成膜温度や焼成温度は、650℃以下が好ましい。
このようにして得られた水素透過構造体は耐久性に優れたものであるので、電極等の機能部材を組み合わせることによって、各種水素デバイスの部材、特に、地球環境に優しいクリーンなエネルギー供給源として期待されている燃料電池の部材として好適に用いられる。
本発明はさらに、前記水素透過構造体を用いることを特徴とする燃料電池を提供するものである(請求項4)。
この燃料電池は、通常、水素透過構造体を構成する酸化物プロトン導電性膜の上に酸素電極(カソード電極。なお、水素透過性基材がアノード電極となる。)を設け、酸化物プロトン導電性膜が水素透過性基材及び酸素電極間に挟まれた構造を有している。酸素電極としては、Pd、Pt、Ni、ルテニウム(Ru)やそれらの合金からなる薄膜状の電極、貴金属や酸化物導電体からなる厚膜状の電極、及び貴金属や酸化物導電体を含み多孔質状の多孔質電極が好ましく例示される。薄膜状の酸素電極は、Pd、Pt、Ni、Ruやそれらの合金をプロトン導電性膜の上に、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、PLD法等により成膜して得ることができる。通常その厚みは、0.01〜10μm程度であり、好ましくは0.03〜0.3μm程度である。
厚膜状の酸素電極は、例えば、Ptペースト、Pdペースト、酸化物導電体ペースト等をプロトン導電性膜の上に塗布し、焼付けることにより形成することができる。このようにして形成された電極は一般的には多孔質の電極となる。酸化物導電体としては、例えば、ランタン(La)−Sr−Co系、La−Sr―鉄(Fe)系及びSr−Pr−Co系の複合酸化物が挙げられる。塗布される層の厚みは、通常5〜500μm程度である。
この燃料電池の使用時においては、水素透過構造体の水素透過性基材側に接する水素が、水素透過性基材を透過してプロトン導電性膜に達し、そこで電子を放出してプロトンになる。このプロトンは、プロトン導電性膜中を透過して酸素電極側に達し、そこで電子を得るとともに酸素電極側にある酸素と結合して水を生成し系外に放出される。基材側及び酸素電極側での電子の授受により起電力を生じ、電池として機能する。
従来の燃料電池では、水素透過性基材とプロトン導電性膜間の剥離の問題が生じていたが、本発明の燃料電池は、剥離の問題が抑制され、耐久性に優れたものである。
本発明の水素透過構造体は、水素透過性基材とプロトン導電性膜からなるが、水素透過性基材とプロトン導電性膜間の剥離が抑制され、安定した性能を有し、耐久性に優れたものである。この水素透過構造体は、本発明の水素透過構造体の製造方法により、容易に得ることができる。又、この水素透過構造体を使用した本発明の燃料電池は、長期間にわたって安定した性能を発揮する耐久性に優れた燃料電池である。
以下、本発明を実施するためのその最良の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
図1は、本発明の水素透過構造体を模式的に示す模式断面図である。図中、1は水素透過性基材であり、3はプロトン導電性膜であり、水素透過性基材1の1面上にプロトン導電性膜3が成膜された水素透過構造体であることが示されている。図中の2は、水素透過性基材1の、プロトン導電性膜3側の表面よりの深さが2μm以内の領域を表すが、この領域におけるX線解析測定によるd値の変動幅は0.05%以下である。すなわち、水素透過性基材1は、歪み層を有しない。
以下に、実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲はこの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
[歪み除去工程]
表面の凹凸を表面研磨により除去した厚さ0.1mmのPd箔(基材)の、表面よりの深さが2μm以内の領域におけるd値の変動幅を、予め測定した。なお、測定は、X線解析計(RINT:株式会社リガク製)を用いて行った(入射角:40.1°)。次ぎに、前記Pd箔に、歪み除去工程としてArイオンミリング処理を行い、処理後、同様にd値の変動幅を測定した。
ここで、Arイオンミリング処理は、以下の手順で行った。
(1)真空度1×10−2Pa以下の雰囲気中に、アルゴン(Ar)ガス25sccmを導入する。
(2)13.56MHzの高周波で電場を与え、Arをイオン化させる。
(3)Pd箔には1kVのマイナス電位を与えArイオンを基材に衝突させる。
(4)Arイオンの衝突を約1時間行い、1μmの表層除去を行う。
[水素透過構造体の作製]
処理後の水素透過性基材の表面に、PLD法を用いて、膜厚1μm、組成SrZr0.8Yb0.23-αの酸化物プロトン導電性膜(ペロブスカイト構造)を形成し、実施例1の水素透過構造体を得た。
ここで、PLD法は、以下の手順で行った。
(1)レーザー透過用の合成石英ガラス窓を備えた真空チャンバー内部のホルダーに、水素透過性基材をセットし、ホルダー部の温度を550℃に加熱する。
(2)酸素を、マスフローメータを通して導入し、酸素分圧1×10−2Torrにチャンバー内圧力を調整した。
(3)酸化物プロトン導電性膜の原料焼結体(20mmφ、厚さ5mm)にレーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を照射した。
(実施例2)
ペロブスカイト構造酸化物の組成をBaZr0.80.23−αに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水素透過構造体を得た。
(実施例3)
歪み除去工程をアニール処理により行った以外は、実施例1と同様にして、実施例3の水素透過構造体を得た。なお、アニール処理は、真空度1×10−2Pa以下、約700℃の雰囲気中に、基材を2時間以上静置して行った。
(実施例4)
基材をPd箔からPd−Ag合金箔に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の水素透過構造体を得た。
(実施例5)
基材を、表面の凹凸を表面研磨により除去した厚さ0.1mmのV箔に、実施例1と同様にしてd値の変動幅の測定、Arイオンミリング処理を行った後、その上に厚さ0.1μmのPdを成膜したものに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の水素透過構造体を得た。
(比較例1)
Arイオンミリング処理、アニール処理による歪み除去工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の水素透過構造体を得た。
(物性試験)
実施例1〜5及び比較例1で得られた各水素透過構造体(試験体)のプロトン導電性膜上に、1μm径の粉末Ptの電極をスクリーン印刷で形成し、水素透過性基材側に水素ガス、プロトン導電性膜及び酸素電極側に加湿空気を流して、450℃×1000時間、0.7Vの定電圧発電試験を行った。試験の前後に、電流密度を測定し、電流密度の経時的低下率を算出した。また、試験後のプロトン導電性膜の剥離状態を観察した。測定結果を、歪み除去工程前後でのd値の変動幅と併せて、表1に示す。
Figure 2008171776
表1より明らかなように、Arイオンミリング処理又はアニール処理(歪み除去工程)によりd値の変動幅を0.05%以下に調製した実施例1〜5では、1000時間経過後も、電流密度の低下がなく、耐久性に優れていることがわかる。しかし、歪み除去工程を行わなかった比較例1では、1000時間経過後にはプロトン導電性膜の破損や剥離を生じており、電流密度の低下率も93%となり、耐久性に問題があることがわかる。
本発明の水素透過構造体を模式的に示す模式断面図である。
符号の説明
1 水素透過性基材
2 表面よりの深さが2μm以内の領域
3 プロトン導電性膜

Claims (4)

  1. 水素透過性基材及びその1面に密着して形成された酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体であって、
    前記水素透過性基材が、前記酸化物プロトン導電性膜が形成されている面側において、その表面よりの深さが2μm以内の領域において、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下であることを特徴とする水素透過構造体。
  2. 前記酸化物プロトン導電性膜が、化学式AL1−x3−α(式中、Aは、アルカリ土類金属を表し、Lは、ジルコニウム、セリウム、チタン及びハフニウムから選ばれる1種以上の元素を表し、Mは、3価の元素から選ばれる1種以上の元素を表し、xは、0より大きく0.2以下、αは0.3以上で0.95以下である。)で表されペロブスカイト構造を有する酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の水素透過構造体。
  3. 水素透過性基材及びその1面に密着して形成された酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体の製造方法であって、
    前記水素透過性基材の、表面よりの深さが2μm以内の領域における、X線解析測定によるd値の変動幅が0.05%以下となるように、前記水素透過性基材の1面側の歪み層を除去する歪み除去工程、及び
    歪み層が除去された前記1面上に、酸化物プロトン導電性膜を形成する成膜工程、
    を有することを特徴とする水素透過構造体の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の水素透過構造体を用いることを特徴とする燃料電池。
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